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特開2023-180358災害発生時における移動支援装置、災害発生時における移動支援方法、及び、災害発生時における移動支援プログラム
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  • 特開-災害発生時における移動支援装置、災害発生時における移動支援方法、及び、災害発生時における移動支援プログラム 図1
  • 特開-災害発生時における移動支援装置、災害発生時における移動支援方法、及び、災害発生時における移動支援プログラム 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180358
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】災害発生時における移動支援装置、災害発生時における移動支援方法、及び、災害発生時における移動支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20231214BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093591
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大久保 亜美
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太
(72)【発明者】
【氏名】水谷 明士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩子
(72)【発明者】
【氏名】藤森 啓汰
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD20
2F129DD21
2F129DD53
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF72
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF12
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援する。
【解決手段】移動支援装置40は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定410を取得する取得部41と、移動開始時間及び当該出発地から当該目的地への移動経路を表す移動計画に従って個々の人が移動した場合における、当該移動経路において発生する交通混雑量420を推定する推定部42と、当該緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された交通混雑量420が基準430を満たすように、移動計画431を生成あるいは更新する生成部43と、災害発生時に、移動計画431を個々の人に提示する提示部44と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得する取得手段と、
移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定する推定手段と、
前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新する生成手段と、
前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する提示手段と、
を備える災害発生時における移動支援装置。
【請求項2】
前記出発地の属性、前記目的地の属性、及び、前記個々の人の属性の少なくともいずれかに関する前記緊急度を算出する算出手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記出発地の属性、前記目的地の属性、及び、前記個々の人の属性の少なくともいずれかを含む前記移動予定を取得する、
請求項1に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項3】
前記取得手段は、発生した災害の種別を取得し、
前記出発地の属性及び前記目的地の属性は、前記災害の種別に応じた、前記出発地及び前記目的地の危険性の高さを表す、
請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記災害発生時に、前記移動経路の現在の交通混雑状況を取得し、
前記生成手段は、前記現在の交通混雑状況が前記基準を満たせるように、前記移動計画を更新する、
請求項1または請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記移動計画を地図に重畳して、前記個々の人が所持する端末装置の表示画面、及び、前記個々の人が運転する車両のナビゲーションシステムの表示画面に表示する、
請求項1または請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項6】
前記提示手段は、前記個々の人が所持する端末装置の表示画面に、当該個々の人が交通機関に乗車可能か否かを表す前記移動計画を表示する、
請求項1または請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記交通混雑量が前記基準を満たせるように交通機関を制御するための制御情報を含む前記移動計画を生成あるいは更新し、
前記提示手段は、前記制御情報を用いて前記交通機関を制御する交通機関制御システムに、前記制御情報を出力する、
請求項1または請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記個々の人に関する個人情報を取得し、前記移動予定が前記個人情報と整合しているか否かを判定し、前記移動予定が前記個人情報と整合していない場合、前記個人情報と整合するように前記移動予定を更新する、
請求項1または請求項2に記載の災害発生時における移動支援装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得し、
移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定し、
前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新し、
前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する、
災害発生時における移動支援方法。
【請求項10】
災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得する取得処理と、
移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定する推定処理と、
前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新する生成処理と、
前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する提示処理と、
をコンピュータに実行させるための災害発生時における移動支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時における移動支援装置、災害発生時における移動支援方法、及び、災害発生時における移動支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生したときに、交通渋滞によって緊急車両が救急現場あるいは火災現場に到着するのが遅れ、人命救助に支障をきたすことがある。したがって、災害発生時に緊急車両が速やかに救急現場あるいは火災現場に到着することを支援する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、災害発生時に移動経路における移動体の混雑を 回避するとともに災害発生時に必要な緊急車両を確保できるように移動経路の交通を管制する交通管制システムが開示されている。このシステムは、災害の発生時に移動経路に位置している移動体の状態を示す移動体情報を取得する。そして、このシステムは、取得した移動体情報に基づいて、災害の発生時における移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路を決定し、移動体の緊急時運行のための用途変更及び移動経路に関する緊急運行情報を移動体に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-174023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、災害が発生したときに、保育園あるいは幼稚園などに通園している子どもあるいは老人ホーム等の施設で生活している高齢者を迎えに行くことが必要となる人がいる。このような事情を有する人、あるいは自身が高齢者あるいは障がい者である人などは、避難を完了するのに時間を要する。また、津波、洪水、土砂崩れ等の災害を被る可能性が高い地域に居住する人は、一刻も早く避難を行う必要がある。
【0006】
一方、災害発生時には、被災者が一斉に移動しようとすることによって、平常時とは異なる多大な交通混雑が発生することがある。そして、そのような交通混雑の発生によって、上述したような避難を完了するのに時間を要する被災者、及び、災害を被る可能性が高い地域に居住する被災者の目的地への移動(避難)が遅れることにより、多数の犠牲者が発生するおそれがある。即ち、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することが課題である。特許文献1は、このような課題には特に言及していない。
【0007】
本発明の主たる目的は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る災害発生時における移動支援装置は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得する取得手段と、移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定する推定手段と、前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新する生成手段と、前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する提示手段と、を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る災害発生時における移動支援方法は、情報処理装置によって、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得し、移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定し、前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新し、前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る災害発生時における移動支援プログラムは、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定を取得する取得処理と、移動開始時間及び前記出発地から前記目的地への移動経路を表す移動計画に従って前記個々の人が移動した場合における、前記移動経路において発生する交通混雑量を推定する推定処理と、前記緊急度が高い人ほど前記移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された前記交通混雑量が基準を満たすように、前記移動計画を生成あるいは更新する生成処理と、前記災害発生時に、前記移動計画を前記個々の人に提示する提示処理と、をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る災害発生時における移動支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動支援システム1の構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の第1の実施形態に係る移動支援装置10の平常時(災害発生前)の動作を示すフローチャート(1/2)である。
図2B】本発明の第1の実施形態に係る移動支援装置10の平常時(災害発生前)の動作を示すフローチャート(2/2)である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る移動支援装置10の災害発生時の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る移動支援装置40の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る移動支援装置40の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の各実施形態に係る移動支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る移動支援システム1の構成を示すブロック図である。移動支援システム1は、大別して、移動支援装置10、1以上の端末装置21、1以上の車両のナビゲーションシステム22、交通機関制御システム23、自治体システム24を有する。移動支援装置10、端末装置21、車両のナビゲーションシステム22、交通機関制御システム23、自治体システム24は、通信ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、例えばインターネットである。
【0016】
1以上の端末装置21は、個々の人(住民)が使用する、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置である。
【0017】
1以上の車両のナビゲーションシステム22は、例えば、個々の人が運転する車両、及び、バス及びタクシー等の交通機関の車両に搭載された、運転の支援を行うシステムである。
【0018】
交通機関制御システム23は、例えば信号機などの交通設備を制御するシステムであり、信号機を青信号から赤信号、あるいは赤信号から青信号へ切り替えるタイミングなどを制御する。交通機関制御システム23は、また、道路などに設置された監視カメラの映像等から、道路における交通混雑状況166を取得し、取得した交通混雑状況166を、移動支援装置10及び車両のナビゲーションシステム22等に提供する。
【0019】
自治体システム24は、災害の発生状況を表す災害情報165、及び、個々の人に関する個人情報167を管理する。尚、自治体システム24は、移動支援装置10を含んでもよい。
【0020】
移動支援装置10は、取得部11、推定部12、生成部13、提示部14、算出部15、記憶部16を備える。取得部11、推定部12、生成部13、提示部14、算出部15は、順に、取得手段、推定手段、生成手段、提示手段、算出手段の一例である。
【0021】
記憶部16は、例えば、図6を参照して後述するRAM(Random Access Memory)903あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部16は、移動予定161、交通混雑量162、基準163、移動計画164、災害情報165、交通混雑状況166、個人情報167を記憶している。記憶部16に記憶されたこれらの情報に関しては後述する。
【0022】
本実施形態では、まず、移動支援システム1の平常時(災害発生前)の動作を説明し、次に、移動支援システム1の災害発生時の動作を順番に説明する。
【0023】
<移動支援システム1の平常時(災害発生前)の動作>
取得部11は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定161を端末装置21から取得する。移動予定161は、個々の人による入力操作を介して端末装置21に入力される。移動予定161は、例えば、ある人が災害発生時において自分の子供が通園している保育園に子供を迎えに行く必要がある場合、出発地である自宅の場所、目的地である保育園の場所を表す。移動予定161は、例えば自治体等から提供されているハザードマップにおいて、当該保育園の場所が危険な地域内である場合、自宅から保育園への移動の緊急度が高いことを表す。また、ある人が災害発生時において保育園に子供を迎えに行ったのちに子供を連れて避難所に行く場合、移動予定161は、最初の目的地である保育園の場所、及び、最終目的地である避難所の場所を表す。
【0024】
取得部11は、移動予定161の取得元である端末装置21を識別可能な識別情報と関連付けて、移動予定161を記憶部16に格納する。尚、取得部11によって取得された移動予定161は、当該識別情報として、例えば、端末装置21に関するMAC(Media Access Control)アドレスあるいはIP(Internet Protocol)アドレス等が添付されていることとする。
【0025】
取得部11は、また、災害発生時における出発地の属性、目的地の属性、及び、個々の人の属性の少なくともいずれかを含む移動予定161を取得してもよい。出発地及び目的地の属性は、例えば、災害発生時における危険性を表す。出発地及び目的地の属性は、具体的には例えば、地震が発生した際に津波を被る危険がある海岸沿いであるか否か、大雨の際に洪水を被る危険がある河川沿いであるか否か、あるいは、大雨の際に土砂崩れを被る危険がある山間部であるか否か等を表す。出発地及び目的地の属性は、ハザードマップにおいて示されている災害発生時における危険性を表してもよい。
【0026】
移動予定161に含まれる個々の人の属性は、その人が、移動に支障がある障がい者あるいは高齢者等であるか否か、あるいは、その人が、障がい者、高齢者、子供等を迎えに行ったのち、それらの人を連れて移動(避難)する必要があるか否か等を表す。即ち、移動予定161に含まれる個々の人の属性は、移動を完了するのに時間を要する要因を表す。
【0027】
算出部15は、移動予定161に含まれる、出発地の属性、目的地の属性、及び、個々の人の属性の少なくともいずれかに関する移動の緊急度を算出する。算出部15は、例えば、ある人に関して、出発地あるいは目的地の属性が示す災害発生時における危険性が高ければ高いほど、その人の移動の緊急度をより高く算出する。算出部15は、例えば、ある人に関して、上述したような移動を完了するのに時間を要する要因による、移動時間への影響が大きければ大きいほど、その人の移動の緊急度をより高く算出する。算出部15は、より具体的には、例えば、ある人に関して、障がい者、高齢者、子供等を連れて移動することによる負担が大きいほど、あるいは、自身の障がいあるいは加齢による移動(歩行)能力の衰えが大きいほど、その人の移動の緊急度をより高く算出する。算出部15は、上述の通りに算出した緊急度を、記憶部16に格納されている移動予定161に反映する。
【0028】
前記取得部11は、また、個々の人に関する個人情報167を、例えば自治体システム24から取得し、移動予定161が取得した個人情報167と整合しているか否かを判定する。取得部11は、移動予定161が個人情報167と整合していない場合、個々の人から申請された移動予定161に虚偽の情報が含まれると認定し、個人情報167と整合するように移動予定161を更新する。
【0029】
取得部11は、例えば、ある人に関して、移動予定161が示す年齢と個人情報167が示す年齢とが異なる(例えば、実際は高齢者でないのに移動予定161において高齢者であると申請されている)場合、移動予定161における年齢を個人情報167が示す年齢に更新する。取得部11は、例えば、移動予定161において障がい者であると申請されているある人に関して、個人情報167において障がい者であることが示されていない場合、移動予定161における障がい者であることを示す情報を削除する。取得部11は、また、個人情報167が示す家族構成に基づいて、災害発生時に迎えに行く子供あるいは高齢者が存在するか否かを確認し、そのような子供あるいは高齢者が存在しない場合、移動予定161における子供あるいは高齢者を迎えに行くことを示す情報を削除する。
【0030】
推定部12は、後述する生成部13によって生成される移動計画164に従って、個々の人(被災者)が移動した場合における、被災者が移動する移動経路において発生する交通混雑量162を推定する。但し移動計画164は、災害発生時における個々の人に関する移動開始時間及び出発地から目的地への移動経路を表す。
【0031】
推定部12は、例えば、移動計画164によって示される個々の人に関する移動開始時間及び移動経路から、個々の人が移動経路におけるどの部分を移動中であるのかを、移動開始後の時間ごとに推定し、全ての人に関するその推定結果を時間ごとに集計することによって、交通混雑量162を推定する。
【0032】
推定部12は、上述した集計を行うことにより、例えば、移動経路におけるある場所(区間)を歩行あるいは車両を運転することにより移動する人の数、移動経路におけるある場所を、鉄道、バス、タクシー等の交通機関を利用して移動する人の数に関して、時間の経過に伴う推移を推定する。推定部12は、移動経路における場所ごとの、移動可能な人数の容量に関する情報を、交通機関制御システム23及び自治体システム24などから取得する。但し、移動可能な人数の容量に関する情報は、例えば、歩道及び車道の幅(車線数等を含む)等に依存する、人あるいは車両が滞留することなく通行可能な人あるいは車両の数を表す。移動可能な人数の容量に関する情報は、あるいは、鉄道あるいはバスが滞留することなく運行する場合における、列車1編成あたりあるいはバス1台あたりの定員と鉄道あるいはバスの運行本数(運行頻度)との積から求められる、単位時間あたりに鉄道あるいはバスに乗車して移動可能な人の数を表す。
【0033】
推定部12は、移動経路における場所ごとに、移動する人の数の時間の経過に伴う推移と、移動可能な人数の容量との差分を算出することにより、その差分が大きいほど大きくなる交通混雑量162を推定する。尚、推定部12は、上述の通りに交通混雑量162を推定する際に、移動経路におけるある場所において発生することが推定される交通混雑による人の移動における滞留の影響をフィードバックしてもよい。
【0034】
生成部13は、移動予定161により示される移動の緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定部12によって上述の通りに推定された交通混雑量162が基準163を満たす、移動計画164を生成あるいは更新する。尚、基準163は、例えば、移動支援装置10の管理者等によって与えられてもよいし、移動支援装置10が通信ネットワーク30と通信可能に接続された装置から取得するようにしてもよい。
【0035】
移動計画164は、端末装置21を使用する個々の人に関する、移動予定161によって示される出発地から目的地まで(子供あるいは高齢者等を迎えに行く場合は経由地を経由することを含む)の移動経路及び移動開始時間を表す。即ち、移動計画164は、端末装置21を識別可能な識別情報と、その端末装置21を使用する人に関する移動経路及び移動開始時間とを関連付けた情報を表す。
【0036】
生成部13は、出発地の場所と、目的地の場所と、出発地及び目的地を含む地図情報とに基づいて、出発地から目的地の移動経路を算出する既存の技術を使用可能である。
【0037】
生成部13は、移動予定161により示される移動の緊急度が高い人ほど移動開始時間が早くなるように、移動計画164を生成する。換言すれば、生成部13は、移動予定161により示される移動の緊急度が低い人ほど移動開始時間が遅くなるように、移動計画164を生成する。
【0038】
生成部13は、また、災害の種別ごとに移動の優先度が異なるように、移動計画164を生成する。生成部13は、例えば災害が地震である場合、津波の発生に備えて、出発地あるいは経由地が海岸沿いである人に関する移動の優先度を高くした移動計画164を生成する。生成部13は、例えば災害が大雨である場合、洪水あるいは土砂崩れの発生に備えて、出発地あるいは経由地が河川沿いあるいは山間部である人に関する移動の優先度を高くした移動計画164を生成する。
【0039】
生成部13は、また、交通機関制御システム23の制御対象である例えば信号機などの交通設備に対する制御情報を含む移動計画164を生成してもよい。この場合、生成部13は、交通機関制御システム23によって、交通混雑量162が基準163を満たすことができるような交通制御が行われるための交通設備に対する制御情報を生成する。
【0040】
生成部13は、最初に、移動予定161から所定の生成手順(アルゴリズム)を用いて、最初の移動計画164(移動計画164の1次案)を生成する。この時点の移動計画164は、まだ、交通混雑量162が基準163を満たすことが十分に考慮されていない状態にある。推定部12は、最初の移動計画164に従って個々の人が移動した場合における、移動経路において発生する交通混雑量162を、上述した通りに推定する。
【0041】
生成部13は、推定部12によって推定された交通混雑量162が基準163を満たす場合、最初の移動計画164を個々の人に提示する移動計画として確定する。尚、基準163は、例えば、交通混雑量162が、移動経路におけるいずれの場所においても交通混雑による人の移動における滞留が発生しない値であることを表す。基準163は、あるいは、交通混雑量162が、移動経路において交通混雑による人の移動における滞留が発生する場所の数が閾値以下となるような値であることを表してもよい。基準163は、あるいは、交通混雑量162が、移動経路のある場所において発生する交通混雑による人の移動における滞留の度合い(即ち、上述した、移動する人の数の時間の経過に伴う推移と、移動可能な人数の容量との差分の大きさに相当)が閾値以下となるような値であることを表してもよい。
【0042】
生成部13は、推定部12によって推定された交通混雑量162が基準163を満たさない場合、交通混雑量162が基準163を満たすことができるように最初の移動計画164を更新する。例えば、移動経路におけるある場所において、交通混雑による人の移動における滞留が発生することが推定される場合、生成部13は、当該交通混雑が発生することが予測される時間に、当該場所を移動する人の数がより少なくなるように、一部の人に関する移動開始時間及び移動経路を変更した2番目の移動計画164(移動計画164の2次案)を生成する。但し、2番目の移動計画164も、移動予定161により示される移動の緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たすこととする。そして、推定部12は、2番目の移動計画164に従って個々の人が移動した場合における、移動経路において発生する交通混雑量162を、上述した通りに推定する。
【0043】
生成部13は、推定部12によって推定された交通混雑量162が基準163を満たす場合、2番目の移動計画164を個々の人に提示する移動計画として確定する。生成部13は、推定部12によって推定された交通混雑量162が基準163を満たさない場合、交通混雑量162が基準163を満たすことができるように2番目の移動計画164を更新した3番目の移動計画164(移動計画164の3次案)を生成する。
【0044】
推定部12及び生成部13は、推定された交通混雑量162が基準163を満たすまで、上述した処理を繰り返し行う。そして、生成部13は、交通混雑量162が基準163を満たすことができた時点の移動計画164を、個々の人に提示する移動計画として確定する。
【0045】
生成部13は、また、移動予定161に基づいて移動計画164を生成する際のパラメータ変数の値を所定の値ずつ変更しながら、複数の移動計画164を生成してもよい。但し、当該パラメータ変数は、例えば、個々の人に関する移動開始時間及び移動経路等を表す変数である。そして、生成部13は、生成した複数の移動計画164のうち、緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなるという観点、及び、交通混雑量162が基準163を満たすという観点において、最も適切な移動計画164を個々の人に提示する移動計画として確定してもよい。但し、移動計画164が最も適切であるか否かの判定基準は、例えば、移動支援装置10の管理者等によって与えられてもよいし、移動支援装置10が通信ネットワーク30と通信可能に接続された装置から取得するようにしてもよい。
【0046】
生成部13は、また、例えば、移動の優先度が低い人に対して、その人の出発地の近隣において使用可能な食事券、避難所として使用可能なホテル等の設備の宿泊券等を付与することを表す情報を含む移動計画164を生成してもよい。
【0047】
次に図2A及び2Bのフローチャートを参照して、本実施形態に係る移動支援装置10の平常時(災害発生前)の動作(処理)について詳細に説明する。
【0048】
取得部11は、端末装置21から、災害発生時における個々の人の移動予定161を取得する(ステップS101)。取得部11は、自治体システム24から個人情報167を取得する(ステップS102)。取得部11は、移動予定161が個人情報167と整合しているか否か判定する(ステップS103)。
【0049】
移動予定161が個人情報167と整合している場合(ステップS104でYes)、処理はステップS106へ進む。移動予定161が個人情報167と整合していない場合(ステップS104でNo)、取得部11は、個人情報167と整合するように移動予定161を更新する(ステップS105)。
【0050】
算出部15は、移動予定161が示す出発地の属性、目的地の属性、及び、個々の人の属性との少なくともいずれかに関する緊急度を算出する(ステップS106)。生成部13は、緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなるように、かつ、推定部12によって推定される交通混雑量162が基準163を満たせるように、災害の種別ごとの移動計画164を生成あるいは更新する(ステップS107)。推定部12は、生成部13によって生成あるいは更新された移動計画164に従って個々の人が移動する場合に、移動計画164が示す移動経路において発生する交通混雑量162を推定する(ステップS108)。
【0051】
生成部13は、交通混雑量162が基準163を満たすか否か判定する(ステップS109)。交通混雑量162が基準163を満たさない場合(ステップS110でNo)、処理はステップS107に戻る。交通混雑量162が基準163を満たす場合(ステップS110でYes)、生成部13は、移動計画164を災害発生時に個々の人に提示する移動計画として記憶部16に格納し(ステップS111)、全体の処理は終了する。
【0052】
<移動支援システム1の災害発生時の動作>
次に、移動支援システム1の災害発生時の動作について説明する。
【0053】
取得部11は、自治体システム24等から、発生した災害の種別(例えば、地震、大雨、洪水、土砂崩れ等)を含む災害情報165を取得する。上述した通り、移動予定161に含まれる出発地の属性及び目的地の属性は、災害の種別に応じた出発地及び目的地の危険性の高さを表している。
【0054】
提示部14は、記憶部16に格納されている、取得部11によって取得された災害の種別に関する移動計画164を、端末装置21、車両のナビゲーションシステム22、交通機関制御システム23に出力する。
【0055】
提示部14は、例えば、個々の端末装置21の表示画面に、その端末装置21の使用者に関する移動計画164が示す移動経路及び移動開始時間を表示する。提示部14は、当該移動経路を地図に重畳して、端末装置21の表示画面に表示してもよい。端末装置21の使用者は、端末装置21に表示された移動計画164が示す移動開始時間になったのちに移動(避難)を開始する。また、移動計画164が表示された表示画面は、端末装置21の使用者が、鉄道、バス、タクシー等の交通機関を利用する際に、交通機関の職員(例えば運転者等)に提示され、当該職員によって端末装置21の使用者が当該交通機関に乗車可能か否かをチェックされる。例えば、端末装置21の表示画面に表示された移動開始時間が現在よりも後の時間である場合、端末装置21の使用者は、移動開始時間になるまで交通機関への乗車を待たされることになる。
【0056】
提示部14は、例えば、車両のナビゲーションシステム22の表示画面に、車両のナビゲーションシステム22の使用者(車両の運転者)に関する移動計画164が示す移動経路を地図に重畳して表示する。移動支援装置10は、ある人が使用する端末装置21を識別可能な情報と、その人が使用する車両のナビゲーションシステム22を識別可能な情報とを関連付ける情報を保持してもよい。
【0057】
提示部14は、例えば、交通機関制御システム23に、移動計画164が示す、信号機などの交通設備に対する制御情報を出力する。交通機関制御システム23は、提示部14から取得した移動計画164に含まれる当該制御情報に従って、交通混雑量162が基準163を満たすことができるように、信号機などの交通設備を制御する。
【0058】
取得部11は、例えば交通機関制御システム23等から、移動計画164が示す移動経路における現在の交通混雑状況166を、随時あるいは所定のタイミングに取得する。交通混雑状況166は、例えば、道路などに設置された監視カメラの映像等によって表される情報である。交通混雑状況166は、あるいは、SNS(Social Networking Service)において発信された交通混雑に関する情報などでもよい。
【0059】
生成部13は、取得部11によって取得された現在の交通混雑状況166が、基準163を満たしているか否か(例えば、交通混雑による人の移動における滞留が発生しているか否か等)を判定する。生成部13は、現在の交通混雑状況166が、基準163を満たしていない場合、交通混雑状況166が基準163を満たすことができるように移動計画164を更新する。この場合、生成部13は、平常時(災害発生前)において、交通混雑量162が基準163を満たさない場合に、交通混雑量162が基準163を満たせるように移動計画164を更新するときと同様の手順で、移動計画164を更新すればよい。
【0060】
生成部13は、上述の通りに更新した移動計画164を、記憶部16に格納する。
【0061】
提示部14は、生成部13によって更新された移動計画164を、端末装置21、車両のナビゲーションシステム22、交通機関制御システム23に出力する。端末装置21の使用者は、端末装置21に表示された更新された移動計画164にしたがって移動(避難)する。車両のナビゲーションシステム22を備える車両の運転者は、車両のナビゲーションシステム22の表示画面に表示された更新された移動計画164にしたがって、車両を運転する。交通機関制御システム23は、更新された移動計画164に含まれる信号機などの交通設備に対する制御情報にしたがって、当該交通設備を制御する。
【0062】
次に図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る移動支援装置10の災害発生時の動作(処理)について詳細に説明する。
【0063】
取得部11は、自治体システム24から、発生した災害の種別を表す災害情報165を取得する(ステップS201)。提示部14は、記憶部16に格納されている、取得した災害の種別に関する移動計画164を、端末装置21、車両のナビゲーションシステム22、交通機関制御システム23に出力する(ステップS202)。取得部11は、移動計画164が示す移動経路における現在の交通混雑状況166を取得する(ステップS203)。
【0064】
生成部13は、交通混雑状況166が基準163を満たすか否か判定する(ステップS204)。交通混雑状況166が基準163を満たす場合(ステップS205でYes)、処理はステップS203へ戻る。交通混雑状況166が基準163を満たさない場合(ステップS205でNo)、生成部13は、交通混雑状況166が基準163を満たすことができるように移動計画164を更新し、更新した移動計画164を記憶部16に格納し(ステップS206)、処理はステップS202へ戻る。
【0065】
本実施形態に係る移動支援装置10は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することができる。その理由は、移動支援装置10は、事前に取得した災害発生時における移動予定161に従って個々の人が移動した場合の交通混雑量162を推定し、移動予定161が示す緊急度が高いほど移動の優先度が高くなり、かつ、交通混雑量162が基準163を満たすように移動計画164を生成あるいは更新して個々の人に提示するからである。
【0066】
以下に、本実施形態に係る移動支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0067】
例えば、災害が発生したときに、保育園あるいは幼稚園などに通園している子どもあるいは老人ホーム等の施設で生活している高齢者を迎えに行くことが必要となる人がいる。このような事情を有する人、あるいは自身が高齢者あるいは障がい者である人などは、避難を完了するのに時間を要する。また、津波、洪水、土砂崩れ等の災害を被る可能性が高い地域に居住する人は、一刻も早く避難を行う必要がある。
【0068】
一方、災害発生時には、被災者が一斉に移動しようとすることによって、平常時とは異なる多大な交通混雑が発生することがある。そして、そのような交通混雑の発生によって、上述したような避難を完了するのに時間を要する被災者、及び、災害を被る可能性が高い地域に居住する被災者の目的地への移動(避難)が遅れることにより、多数の犠牲者が発生するおそれがある。即ち、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することが課題である。
【0069】
このような問題に対して、本実施形態に係る移動支援装置10は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定161を取得する。移動支援装置10は、移動開始時間及び当該出発地から当該目的地への移動経路を表す移動計画164に従って個々の人が移動した場合における、当該移動経路において発生する交通混雑量162を推定する。移動支援装置10は、当該緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定した交通混雑量162が基準163を満たすように、移動計画164を生成あるいは更新する。そして、移動支援装置10は、災害発生時に、移動計画164を個々の人に提示する。これにより、移動支援装置10は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、出発地の属性、目的地の属性、及び、個々の人の属性の少なくともいずれかを含む移動予定161を取得し、出発地の属性、目的地の属性、及び、個々の人の属性の少なくともいずれかに関する緊急度を算出する。即ち、移動支援装置10は、災害発生時における個々の人の移動に関する緊急度を自動で算出するので、個々の人による移動予定161の申請手続きの負担を軽減することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、発生した災害の種別を取得し、災害の種別ごとの出発地及び目的地の危険性の高さを含む移動予定161に基づいて、災害の種別に応じた移動計画164を生成あるいは更新する。これにより、移動支援装置10は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように支援することを、より適切に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、災害発生時において、移動経路の現在の交通混雑状況166を取得し、現在の交通混雑状況166が基準163を満たせるように、移動計画164を更新する。これにより、移動支援装置10は、例えば、一部の人が移動計画164とは異なる移動を行うことなどによって想定外の交通混雑が発生した場合に、その交通混雑を解消するように、柔軟な対応を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、移動計画164を地図に重畳して、個々の人が所持する端末装置21の表示画面、及び、個々の人が運転する車両のナビゲーションシステム22の表示画面に表示する。これにより、移動支援装置10は、個々の人に移動計画164をわかりやすく提示することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、個々の人が所持する端末装置21の表示画面に、個々の人が交通機関に乗車可能か否かを表す移動計画164を表示する。この場合、交通機関の職員は、移動計画164とは異なる移動を行おうとしている人の乗車を許可しないようにする。これにより、移動支援装置10は、移動の緊急度が高い被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することを、より確実に実行することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、交通混雑量162が基準163を満たせるように交通機関を制御するための制御情報を含む移動計画164を生成あるいは更新し、当該制御情報を用いて交通機関を制御する交通機関制御システム23に、当該制御情報を出力する。これにより、移動支援装置10は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することを、より確実に実行することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る移動支援装置10は、個々の人に関する個人情報167を取得し、移動予定161が個人情報167と整合しているか否かを判定し、移動予定161が個人情報167と整合していない場合、個人情報167と整合するように移動予定161を更新する。即ち、移動支援装置10は、例えば、災害発生時における自分の避難の優先度が高くなるように虚偽の移動予定161が申請された場合に、移動予定161に含まれる虚偽の情報を訂正する。これにより、移動支援装置10は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように支援することを、より適切に行うことができる。
【0077】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る移動支援装置40の構成を示すブロック図である。
【0078】
本実施形態に係る移動支援装置40は、取得部41、推定部42、生成部43、提示部44を備えている。取得部41、推定部42、生成部43、提示部44は、順に、取得手段、推定手段、生成手段、提示手段の一例である。
【0079】
取得部41は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定410を取得する。移動予定410は、例えば、第1の実施形態に係る移動予定161と同様な情報である。取得部41は、例えば、第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作する。
【0080】
推定部42は、移動開始時間及び当該出発地から当該目的地への移動経路を表す移動計画431に従って個々の人が移動した場合における、当該移動経路において発生する交通混雑量420を推定する。交通混雑量420は、例えば、第1の実施形態に係る交通混雑量162と同様な情報である。移動計画431は、例えば、第1の実施形態に係る移動計画164と同様な情報である。推定部42は、例えば、第1の実施形態に係る推定部12と同様に動作する。
【0081】
生成部43は、当該緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定された交通混雑量420が基準430を満たすように、移動計画431を生成あるいは更新する。基準430は、例えば、第1の実施形態に係る基準163と同様な基準である。生成部43は、例えば、第1の実施形態に係る生成部13と同様に動作する。
【0082】
提示部44は、災害発生時に、移動計画431を個々の人に提示する。提示部44は、例えば、第1の実施形態に係る提示部14と同様に動作する。
【0083】
次に図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る移動支援装置40の動作(処理)について詳細に説明する。
【0084】
取得部41は、災害発生時における個々の人の移動に関する、出発地、目的地、及び緊急度を含む移動予定410を取得する(ステップS301)。推定部42は、移動開始時間及び出発地から目的地への移動経路を表す移動計画431に従って個々の人が移動した場合における、移動経路において発生する交通混雑量420を推定する(ステップS302)。
【0085】
生成部43は、緊急度が高い人ほど移動の優先度が高くなることを満たし、かつ、推定部42によって推定された交通混雑量420が基準430を満たすように、移動計画431を生成あるいは更新する(ステップS303)。提示部44は、災害発生時に、移動計画431を個々の人に提示し(ステップS304)、全体の処理は終了する。
【0086】
本実施形態に係る移動支援装置40は、災害発生時において、被災者が速やかに目的地への移動を完了できるように適切に支援することができる。その理由は、移動支援装置40は、事前に取得した災害発生時における移動予定410に従って個々の人が移動した場合の交通混雑量420を推定し、移動予定410が示す緊急度が高いほど移動の優先度が高くなり、かつ、交通混雑量420が基準430を満たすように移動計画431を生成あるいは更新して個々の人に提示するからである。
【0087】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図4に示した移動支援装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図4において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び41、
・推定部12及び42、
・生成部13及び43、
・提示部14及び44、
・算出部15、
・記憶部16における記憶制御機能。
【0088】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図6を参照して説明する。
【0089】
図6は、本発明の各実施形態に係る移動支援装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図6は、図1、及び、図4に示した移動支援装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0090】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0091】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0092】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図4)における上述した構成、或いはフローチャート(図2A図2B図3図5)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0093】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0094】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 移動支援システム
10 移動支援装置
11 取得部
12 推定部
13 生成部
14 提示部
15 算出部
16 記憶部
161 移動予定
162 交通混雑量
163 基準
164 移動計画
165 災害情報
166 交通混雑状況
167 個人情報
21 端末装置
22 車両のナビゲーションシステム
23 交通機関制御システム
24 自治体システム
30 通信ネットワーク
40 移動支援装置
41 取得部
410 移動予定
42 推定部
420 交通混雑量
43 生成部
430 基準
431 移動計画
44 提示部
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6