IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2023-180383半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール
<>
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図1
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図2
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図3
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図4
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図5
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図6
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図7
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図8
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図9
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図10
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図11
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図12
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図13
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図14
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図15
  • 特開-半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180383
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H01L31/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093655
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗秋 智成
(72)【発明者】
【氏名】北原 大祐
(72)【発明者】
【氏名】恒岡 道朗
(72)【発明者】
【氏名】梶本 剛志
【テーマコード(参考)】
5F889
【Fターム(参考)】
5F889AB03
5F889AC02
5F889AC09
5F889AC10
5F889AC30
5F889CA11
5F889CA12
5F889CA21
5F889FA10
(57)【要約】
【課題】入力側の構造に起因した出力信号の劣化を抑制できる半導体リレーを提供する。
【解決手段】半導体リレー1は、ハウジング11と第1及び第2入力端子6,7と第1及び第2出力端子8,9と発光素子2と受光素子51と第1及び第2MOSFET3,4とを少なくとも備えている。第1基体7dの上面にあたる第1主面7d1に発光素子2が配置され、第2基体10の第2主面10aに発光素子2が配置される。受光駆動素子5のソース電極5aと第2基体10とが同電位に接続される。第2基体10が、第1軸に沿って見て、第1MOSFET3と第2MOSFET4との間に配置されている。発光素子2と受光駆動素子5は、第1軸に沿って見て、互いに離れて配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、前記上面に対して第1軸に沿って下方に位置する下面とを有するハウジングと、
第1入力端子と第2入力端子と、
第1出力端子と第2出力端子と、
前記第1入力端子と前記第2入力端子に電気的に接続される発光素子と、
前記発光素子の出力光を受光する第1面と、前記第1面に対して前記第1軸に沿って下方に位置する第2面と、第1電極と、を有する受光駆動素子と、
前記第1電極に電気的に接続される第1中間電極と、前記第1出力端子に電気的に接続される第1出力電極と、第1ゲート電極と、を有する第1MOSFETと、
前記第1電極に電気的に接続される第2中間電極と、前記第2出力端子に電気的に接続される第2出力電極と、第2ゲート電極と、を有する第2MOSFETと、
前記発光素子が配置される第1主面にあたる上面を有する第1基体と、
前記受光駆動素子が配置される第2主面を有するとともに、前記第1電極に同電位に接続される接続導体と、
を少なくとも備え、
前記接続導体の少なくとも一部が、前記第1軸に沿って見て、前記第1MOSFETと前記第2MOSFETとの間に配置されており、
前記発光素子は、前記受光駆動素子は、前記第1軸に沿って見て、互いに離れている、
半導体リレー。
【請求項2】
前記第1主面の法線が、前記第2主面の法線と平行である、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項3】
前記接続導体は、前記受光駆動素子が載置され、前記第2主面を有する第2基体を含み、
前記第1基体の第1主面は、前記第1軸と直交する軸に沿って見て、前記第2基体の第2主面よりも上方に配置された、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項4】
前記接続導体は、前記受光駆動素子が載置される第2基体を含み、
前記第1基体は、前記第2入力端子の一端に接続されており、
前記第1基体と前記第2基体間の最短距離は、前記第1入力端子と前記第2基体間の最短距離、及び第2入力端子と前記第2基体間の最短距離よりも小さい、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項5】
前記第1入力端子と前記第2入力端子が、前記第1軸と直交する第2軸に並んで配置されており、
前記第1入力端子は、前記第1軸に沿って見て、前記ハウジングの内部において前記第2軸に沿って延びる起立部位を有し、
前記第1入力端子の前記起立部位は、前記第1軸に沿って見て、前記第2基体に対向する部位に切り欠きが設けられた、
請求項3に記載の半導体リレー。
【請求項6】
前記第1入力端子と前記第2入力端子が、前記第1軸と直交する第2軸に並んで配置されており、
前記第1入力端子と前記第2入力端子は、前記第1軸に沿って見て、それぞれ前記ハウジングの内部において前記第2軸に沿って延びる起立部位を有し、
前記第1入力端子と前記発光素子は、ワイヤを介して接続され、
前記第2入力端子の上端は、前記第1入力端子の上端より上方に配置される、
請求項3に記載の半導体リレー。
【請求項7】
前記接続導体は、前記ハウジングの外部に露出する部位を有する、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項8】
前記接続導体は、前記受光駆動素子が載置される第2基体を含み、
前記第2基体は、前記第2主面を有するとともに、前記第1MOSFETが載置される基体と前記第2MOSFETが載置される基体との間に配置される、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項9】
前記第1入力端子と前記発光素子とを接続する導電経路及び前記第2入力端子と前記発光素子とを接続する導電経路の少なくとも一方に、所定の抵抗を有する抵抗素子または所定のインピーダンスを有するインダクタ素子が電気的に直列に接続されている、
請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項10】
前記発光素子と前記受光駆動素子の配列方向に沿った軸を第3軸とするとき、
前記第3軸に沿った前記第2基体の幅は、前記第3軸に沿った前記第1出力端子の幅または前記第3軸に沿った前記第2出力端子の幅よりも広い、
請求項8に記載の半導体リレー。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体リレーと、
第1~第4配線がそれぞれ形成された回路基板と、を少なくとも備え、
前記第1配線と前記第2配線は、それぞれ、前記半導体リレーの前記第1入力端子と前記第2入力端子に接続され、
前記第3配線と前記第4配線は、それぞれ、前記半導体リレーの前記第1出力端子と前記第2出力端子に接続されている、
半導体リレーモジュール。
【請求項12】
前記第1配線における前記第1入力端子との接続箇所の近傍に、所定の抵抗を有する抵抗素子または所定のインピーダンスを有するインダクタ素子が電気的に直列に接続されている、
及び/または、
前記第2配線における前記第2入力端子との接続箇所の近傍に、所定の抵抗を有する抵抗素子または所定のインピーダンスを有するインダクタ素子が電気的に直列に接続されている、
請求項11に記載の半導体リレーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体リレー及びそれを備えた半導体リレーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交流信号の伝送手段として、MOSFET出力フォトカプラや光MOSFETとも呼ばれる半導体リレーが知られている。
【0003】
従来の半導体リレーでは、入力端子や出力端子及びこれらに接続される導電部材の配置によって、内部にスタブ、つまり、信号の枝分かれ部分が形成され、当該スタブで共振することにより共振周波数付近での挿入損失(Insertion Loss)が増加して、使用可能な周波数帯域が狭くなるという問題があった。
【0004】
これを解決するため、例えば、特許文献1では、受光素子が載置される導体フレームの両側にそれぞれMOSFETが載置される導体フレームを配置した構成が提案されている。各フレームの配置をこのようにすることで、スタブの長さを短くでき、スタブの影響により使用可能な周波数帯域が狭くなるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-082916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された従来の構成では、信号の入出力間の構造に起因して、容量結合と誘導結合が発生しており、出力側に高周波信号を伝送した場合、これらの結合を通じて入力側に信号が漏洩するおそれがあった。
【0007】
また、従来の構成では、信号入力用の発光素子に接続される入力端子の物理的な長さ(物理長)が長くなっており、このことに応じて、入力側の電気長が長くなる。なお、電気長とは、信号の伝送媒体における電磁波の伝搬速度を基準とした長さであり、真空中では物理長と電気長とは同じであるが、一般的な伝送媒体中では、電気長は物理長よりも長くなる。
【0008】
入力側の電気長が長くなると、これに応じた共振現象が半導体リレーで発生し、出力側の高周波特性が劣化するおそれがあった。
【0009】
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、入力側の構造に起因した出力信号の劣化を抑制できる半導体リレー及びこれを備えた半導体リレーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示に係る半導体リレーは、上面と、前記上面に対して第1軸に沿って下方に位置する下面とを有するハウジングと、第1入力端子と第2入力端子と、第1出力端子と第2出力端子と、前記第1入力端子と前記第2入力端子に電気的に接続される発光素子と、前記発光素子の出力光を受光する第1面と、前記第1面に対して前記第1軸に沿って下方に位置する第2面と、第1電極と、を有する受光駆動素子と、前記第1電極に電気的に接続される第1中間電極と、前記第1出力端子に電気的に接続される第1出力電極と、第1ゲート電極と、を有する第1MOSFETと、前記第1電極に電気的に接続される第2中間電極と、前記第2出力端子に電気的に接続される第2出力電極と、第2ゲート電極と、を有する第2MOSFETと、前記発光素子が配置される第1主面にあたる上面を有する第1基体と、前記受光駆動素子が配置される第2主面を有するとともに、前記第1電極に同電位に接続される接続導体と、を少なくとも備え、前記接続導体の少なくとも一部が、前記第1軸に沿って見て、前記第1MOSFETと前記第2MOSFETとの間に配置されており、前記発光素子は、前記受光駆動素子は、前記第1軸に沿って見て、互いに離れていることを特徴とする。
【0011】
本開示に係る半導体リレーモジュールは、前記半導体リレーと、第1~第4配線がそれぞれ形成された回路基板と、を少なくとも備え、前記第1配線と前記第2配線は、それぞれ、前記半導体リレーの前記第1入力端子と前記2入力端子に接続され、前記第3配線と前記第4配線は、それぞれ、前記半導体リレーの前記第1出力端子と前記2出力端子に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、入出力間の容量結合や誘導結合を低減でき、入力側の電気長を短くできる。このことにより、出力側の高周波特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る半導体リレーを上方から見た斜視図である。
図2】半導体リレーを下方から見た斜視図である。
図3】半導体リレーを第1軸に沿って見た図である。
図4】半導体リレーを第2軸に沿って見た図である。
図5】半導体リレーを第3軸に沿って見た図である。
図6】発光素子が実装された第1入力端子及び第2入力端子を第3軸に沿って見た図である。
図7】半導体リレーの等価回路図である。
図8】半導体リレーの斜視図である。
図9】比較例に係る半導体リレーの斜視図である。
図10】半導体リレーの出力側の伝送信号における挿入損失の周波数依存性の一例である。
図11】変形例に係る半導体リレーの斜視図である。
図12】実施形態2に係る半導体リレーの斜視図である。
図13】入力側への抵抗挿入前後の共振現象の違いを説明する模式図である。
図14】実施形態3に係る半導体リレーモジュールの斜視図である。
図15】半導体リレーモジュールを第2軸に沿って見た図である。
図16】半導体リレーモジュールを第3軸に沿って見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0015】
(実施形態1)
[1:半導体リレーの構成]
図1は、実施形態1に係る半導体リレーを上方から見た斜視図を示し、図2は、半導体リレーを下方から見た斜視図を示す。図3~5は、半導体リレーを第1~3軸に沿ってそれぞれ見た図を示す。図6は、発光素子が実装された第1入力端子及び第2入力端子を第3軸に沿って見た図を示す。
【0016】
なお、説明の便宜上、図1及び以降に示す各図面において、ハウジング11及びこれを構成する遮光部11aと透光部11bのそれぞれの輪郭を破線で示している。
【0017】
なお、以降の説明において、第1入力端子6と第2入力端子7の配列方向をX方向と呼ぶことがある。また、X方向に延びる仮想軸を第2軸と呼ぶことがある。X方向(第2軸方向)は、第1出力端子8と第2出力端子9との配列方向でもある。第1入力端子6と第1出力端子8の配列方向をY方向と呼ぶことがある。また、Y方向に延びる仮想軸を第3軸と呼ぶことがある。Y方向(第3軸方向)は、第2入力端子7と第2出力端子9の配列方向でもある。また、Y方向は、発光素子2と受光駆動素子5の配列方向でもある。
【0018】
X方向及びY方向とそれぞれ交差する方向をZ方向と呼ぶことがある。また、Z方向に延びる仮想軸を第1軸と呼ぶことがある。X方向とY方向とZ方向とはとは互いに直交している。なお、本願明細書において、「直交」しているとは、半導体リレー1を構成する各部品の加工公差や製造公差、また部品間の組み立て公差を含んで直交しているという意味であり、比較対象同士が、厳密な意味で直交しているということを意味するものではない。
【0019】
また、Z方向(第1軸方向)において、発光素子2が配置された側を上または上方と呼び、受光駆動素子5が配置された側を下または下方と呼ぶことがある。なお、本願明細書における「上」、「下」の呼称はあくまでも相対的なものであり、例えば、鉛直方向に沿って「上」、「下」を意味するものではない。
【0020】
図1に示すように、半導体リレー1は、発光素子2と受光駆動素子5と第1MOSFET3と第2MOSFET4とを備えている。また、半導体リレー1は、第1入力端子6と第2入力端子7と第1出力端子8と第2出力端子9と第2基体10とハウジング11とを備えている。
【0021】
[1-1:発光素子、受光駆動素子及び第2基体の構成]
発光素子2は、公知のLED(Light Emitting Diode)素子である。銀ペースト等の導電接着材(図示せず)を介して、図1及び図3~6に示すように、発光素子2のカソード電極(図示せず)が第1基体7dに接続固定されている。第1基体7dは、第2入力端子7に接続されている。
【0022】
また、発光素子2のアノード電極2aがワイヤ12を介して第3基体6dに電気的に接続されている。第3基体6dは、第1入力端子6に接続されている。第1入力端子6及び第2入力端子7、また、第1基体7d及び第3基体6dについては後で詳述する。
【0023】
受光駆動素子5は、受光素子51と制御回路52(いずれも図7参照)とを有している。受光素子51は、発光素子2からの出力光を受光し、例えば、公知のフォトダイオードがアレイ状に配置されてなる。図3に示すように、受光駆動素子5の上面(第1面)に、ソース電極5aとドレイン電極5bとが形成されている。ドレイン電極5bは、上面における互いに離間した位置に2箇所設けられている。なお、受光駆動素子5の上面には、受光素子51における出力光を受光する部位である受光部も形成されているが、説明の便宜上、その図示を省略している。
【0024】
なお、ソース電極5aは受光素子51のカソード電極51a(以下、第1電極5aまたは第1電極51aと呼ぶことがある。)に相当し、ドレイン電極5bは受光素子51のアノード電極51bに相当する。
【0025】
受光駆動素子5の下面(第2面)は、図示しない接着材を介して第2基体10に接続固定されている。第2基体10は、第1軸に沿って見て四角形の導体である。また、第2基体10における受光駆動素子5の載置面、つまり、第2基体10の上面を第2主面10aと呼ぶ。第2主面10aの法線は、第1軸と平行である、つまり、Z方向に沿っている。ただし、当該法線が、第1軸と厳密な意味で平行であることまでは意味しない。
【0026】
第2基体10は、Y方向に対向する2つの側面のうち、第1入力端子6や第2入力端子7と反対側に位置する側面から突出し、ハウジング11の側面から外部に露出する部位(以下、第1外部露出部位10bという)を有している、第1外部露出部位10bは、第2基体10の前述した側面において、第2軸に沿って互いに離間した位置に2箇所設けられている。ただし、第1外部露出部位10bの位置や個数は特にこれに限定されない。
【0027】
図1~3に示すように、受光駆動素子5のソース電極5a、言い換えると、受光素子51のカソード電極51a(第1電極51a)は、ワイヤ13を介して第2基体10と電気的に接続されている。つまり、受光素子51のカソード電極51aは、第2基体10と同電位である。また、ワイヤ12を介して、受光駆動素子5の2つのドレイン電極5b,5bのうち一方は、第1MOSFET3の第1ゲート電極3bに、他方は、第2MOSFET4の第2ゲート電極4bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
[1-3:第1MOSFET及び第2MOSFETの構成]
図1及び図3に示すように、第1MOSFET3は、公知の縦型MOSFETであり、上面に第1ゲート電極3bと第1ソース電極3a(以下、第1中間電極3aと呼ぶことがある。)が、下面に第1ドレイン電極(図示せず)がそれぞれ形成されている。第1MOSFET3の第1ドレイン電極(以下、第1出力電極と呼ぶことがある。)は、銀ペースト等の導電性接着材(図示せず)を介して、第1出力端子8、具体的には、第4基体8aに電気的に接続されている。
【0029】
また、第1MOSFET3の第1ソース電極3aは、ワイヤ12を介して第2基体10に電気的に接続されている。つまり、第1MOSFET3の第1ソース電極3aは、第2基体10とワイヤ12とを介して、受光駆動素子5のソース電極5aと電気的に接続されている。なお、図1及び図3に示す例では、接続強化のために、第1MOSFET3の第1ソース電極3aと第2基体10との間は、2本のワイヤ12,12で接続されている。
【0030】
第2MOSFET4は、公知の縦型MOSFETであり、上面に第2ゲート電極4bと第2ソース電極4a(以下、第2中間電極4aと呼ぶことがある。)が、下面に第2ドレイン電極(図示せず)がそれぞれ形成されている。第2MOSFET4の第2ドレイン電極(以下、第2出力電極と呼ぶことがある。)は、銀ペースト等の導電性接着材(図示せず)を介して、第2出力端子9、具体的には、第5基体9aに電気的に接続されている。第1出力端子8及び第2出力端子9については後で詳述する。
【0031】
また、第2MOSFET4の第2ソース電極4aは、ワイヤ12を介して第2基体10に電気的に接続されている。つまり、第2MOSFET4の第2ソース電極4aは、第2基体10とワイヤ12とを介して、受光駆動素子5のソース電極5aと電気的に接続されている。なお、図1,3に示す例では、接続強化のために、第2MOSFET4の第2ソース電極4aと第2基体10との間は、2本のワイヤ12,12で接続されている。
【0032】
[1-4:第1入力端子及び第2入力端子の構成]
図1~3及び図6に示すように、第1入力端子6は、第1起立部位6bと第1外部接続部位6aとを有する導電部材である。また、第1入力端子6は、第3基体6dと一体に形成されており、第3基体6dは第1入力端子6の一部をなしている。第3基体6dと第1起立部位6bと第1外部接続部位6aとは、例えば、1枚の銅板を打ち抜き加工や折り曲げ加工して得られる。ただし、第1入力端子6の製造方法は特にこれに限定されない。なお、銅板の表面に別の金属膜、例えば、ニッケルを含む金属膜(図示せず)がめっきされている。なお、金属膜の材質はこれに特に限定されない。
【0033】
第3基体6dは、ハウジング11の内部に位置しており、第1軸に沿って見て四角形の導体である。また、第3基体6dにおけるワイヤ12との接続面の法線は、第1軸と平行である、つまり、Z方向に沿っている。ただし、当該法線が、第1軸と厳密な意味で平行であることまでは意味しない。
【0034】
第3基体6dには、発光素子2のアノード電極2aに接続されたワイヤ12が接続されている。さらに、第3基体6dにおいて、第2入力端子7と反対側に位置する側面に、第1起立部位6bが接続されている。
【0035】
第1起立部位6bは、第1軸に沿って見て、ハウジング11の内部において第2軸に沿って延びるように設けられており、途中で第1軸に沿って下方に屈曲している。また、第1起立部位6bは、第1軸に沿って見て、第2基体10に対向する部位に切り欠き6eが設けられている。第1起立部位6bの両端のうち、第1軸に沿って上方に位置する一端が、第3基体6dに、下方に位置する他端が第1外部接続部位6aにそれぞれ接続されている。
【0036】
第1外部接続部位6aは、第1起立部位6bの他端に接続され、第1軸に沿って見て略四角形の導体である。第1外部接続部位6aの下面は、ハウジング11の下面から露出するように形成されている。
【0037】
また、第1外部接続部位6aにおけるX方向に対向する2つの側面のうち、ハウジング11に対向する側面には、第2軸に沿って突出してハウジング11の側面から外部に露出する部位(以下、第4外部露出部位6cという)が設けられている。
【0038】
第2入力端子7は、第2起立部位7bと第2外部接続部位7aとを有する導電部材である。また、第2入力端子7は、第1基体7dと一体に形成されており、第1基体7dは第2入力端子7の一部をなしている。第1基体7d及び第2入力端子7の材質や製造方法は、第3基体6d及び第1入力端子6と同様であるので説明を省略する。また、第1基体7d、第2起立部位7b及び第2外部接続部位7aの互いの接続関係は、第3基体6d、第1起立部位6b及び第1外部接続部位6aと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0039】
第1基体7dは、第1軸に沿って見て四角形の板状の導体であり、第1基体7dの上面に発光素子2が載置されている。当該上面、つまり、第1基体7dにおける発光素子2の載置面を第1主面7d1と呼ぶ。第1主面7d1の法線は、第1軸と平行である、つまり、Z方向に沿っている。ただし、当該法線が、第1軸と厳密な意味で平行であることまでは意味しない。
【0040】
第2起立部位7bは、第1軸に沿って見て、第2軸に沿って延びるように設けられた部分と、当該部分の端部から下方に屈曲した部分を有している、下方に屈曲した部分の端部に第2外部接続部位7aが接続されている。
【0041】
第2外部接続部位7aは、第1軸に沿って見て四角形の板状の導体であり、第2外部接続部位7aの下面は、ハウジング11の下面から露出するように形成されている。第2外部接続部位7aにおけるX方向に対向する2つの側面のうち、ハウジング11に対向する側面には、第2軸に沿って突出してハウジング11の側面から外部に露出する部位(以下、第5外部露出部位7cという)が設けられている。
【0042】
なお、以降の説明において、第1起立部位6bと第2起立部位7bとを総称して、起立部位と呼ぶことがある。また、第1外部接続部位6aと第2外部接続部位7aとを総称して、外部接続部位と呼ぶことがある。第1外部接続部位6aと第2外部接続部位7aのそれぞれの下面は、後で述べる回路基板40(図14~16参照)との接続端子となる。
【0043】
[1-5:第1出力端子及び第2出力端子の構成]
図1~3に示すように、第1出力端子8は、第1軸に沿って見て四角形の板状の導体である第4基体8aを含んでいる。また、第4基体8aの下面は、ハウジング11の下面から露出しており、後で述べる回路基板40との接続端子となる。
【0044】
また、第4基体8aは、X方向に対向する2つの側面のうち、第2MOSFET4や受光駆動素子5と反対側に位置する側面から突出し、ハウジング11の側面から外部に露出する部位(以下、第2外部露出部位8bという)を有している、なお、第2外部露出部位8bの個数は図1~3に示したものに特に限定されない。
【0045】
第2出力端子9は、第1軸に沿って見て四角形の板状の導体である第5基体9aを含んでいる。また、第5基体9aの下面は、ハウジング11の下面か露出しており、後で述べる回路基板40との接続端子となる。
【0046】
また、第5基体9aは、X方向に対向する2つの側面のうち、第1MOSFET3や受光駆動素子5と反対側に位置する側面から突出し、ハウジング11の側面から外部に露出する部位(以下、第3外部露出部位9bという)を有している、なお、第3外部露出部位9bの個数は図1~3に示したものに特に限定されない。
【0047】
[1-6:ハウジングの構成]
図1,2に示すように、ハウジング11は、上面と下面と4つの側面とを有している。下面は、上面に対して第1軸に沿って下方に位置している。4つの側面のそれぞれは、上面と下面に連続するとともに、第1軸に平行である。X方向に対向する2つの側面の法線は、第2軸と交差し、Y方向に対向する2つの側面の法線は、第3軸と交差している。
【0048】
ハウジング11は、遮光部11aと透光部11bとを有している。遮光部11aは、例えば、黒色色素が含有された絶縁性のエポキシ樹脂からなる。ただし、これに特に限定されず、光を遮蔽する絶縁材料であればよい。透光部11bは、受光駆動素子5と発光素子2との間に設けられ、遮光部11aによって封止されている。具体的には、透光部11bは、発光素子2を含んで第1基体7dの第1主面7d1を覆い、第3軸に沿って延び、さらに下方に屈曲して、受光駆動素子5の上面を覆うように設けられている。
【0049】
透光部11bは、例えば、絶縁性の透明シリコーン樹脂からなる。ただし、これに特に限定されず、少なくとも発光素子2が発する光に対して透明な絶縁材料であればよい。透光部11bは、受光駆動素子5の受光素子51(図6参照)と発光素子2とを光学的に結合する光結合部を構成している。
【0050】
ハウジング11は、第1入力端子6と第2入力端子7と第1~第3基体7d,10,6dと第1出力端子8と第2出力端子9とを封止し、それぞれの位置を固定する。また、第1基体7dに載置された発光素子2や、第4基体8aに載置された第1MOSFET3や第5基体9aに載置された第2MOSFET4、さらに、第2基体10に載置された受光駆動素子5が、ハウジング11によってそれぞれの位置が固定される。
【0051】
また、第1入力端子6及び第2入力端子7と、第1出力端子8及び第2出力端子9とは、ハウジング11により互いに電気的に絶縁されている。さらに、発光素子2と受光駆動素子5と第1MOSFET3と第2MOSFET4とは、ハウジング11により互いに電気的に絶縁されている。つまり、本願明細書に示す半導体リレー1は、入力信号と出力信号とを電気的に絶縁した状態で出力信号のオンオフを行う入出力絶縁型の半導体リレー1である。
【0052】
[1-7:第1~第5基体間の関係]
前述したように、第1基体7dの第1主面7d1の法線は、第1軸に沿っている。同様に、第2基体10の第2主面10aの法線は、第1軸に沿っている。つまり、第1基体7dの第1主面7d1の法線は、第2基体10の第2主面10aの法線と平行である。なお、これら2つの法線は、厳密な意味で平行していなくてもよい。2つの法線が所定の角度範囲で交差していてもよい。また、第1基体7dは、第1軸に沿って見て、第2基体10とY方向に間隔をあけて配置されている。また、第1基体7dは、第1軸と直交する軸(第2軸または第3軸)に沿って、第2基体10の上方に位置している。つまり、第1基体7dの第1主面7d1は、第1軸と直交する軸に沿って見て、第2基体10の第2主面10aよりも上方に配置されている。
【0053】
また、図3に示すように、第1基体7dは、第3軸に沿って、間隔L0をあけて第2基体10と離間して配置されている。また、第1基体7dと第2基体10との第3軸に沿った間隔L0が、第1入力端子6と第2基体10との第3軸に沿った間隔L1よりも小さくなるように、第1入力端子6と第2基体10とが配置されている。また、当該間隔L0が、第2入力端子7と第2基体10との第3軸に沿った間隔L2よりも小さくなるように、第2入力端子7と第2基体10とが配置されている。
【0054】
なお、以降の説明において、間隔L0を第1基体7dと第2基体10間の最短距離L0と呼ぶことがある。同様に、間隔L1を第1入力端子6と第2基体10間の最短距離L1と呼ぶことがある。間隔L2を第2入力端子7と第2基体10間の最短距離L2と呼ぶことがある。
【0055】
また、図4及び図6に示すように、第1基体7dは、第3基体6dよりも第1軸に沿った上方に配置されている。言い換えると、第2入力端子7の上端は、第1入力端子6の上端より上方に配置されている。
【0056】
第2基体10は、ワイヤ13を介して受光駆動素子5のソース電極5aと電気的に接続されている。つまり、第2基体10は、受光駆動素子5のソース電極5aと同電位となるように接続されている。以降の説明において、第2基体10と、受光駆動素子5のソース電極5a(受光素子51のカソード電極51a)と第2基体10とを接続するワイヤ13と、を含めて接続導体14と呼ぶことがある。
【0057】
また、第2基体10は、ワイヤ12を介して、第1MOSFET3の第1ソース電極3a(第1中間電極3a)と電気的に接続されている。さらに、第2基体10は、ワイヤ12を介して、第2MOSFET4の第2ソース電極4a(第2中間電極4a)と電気的に接続されている。つまり、受光駆動素子5のソース電極5aは、第1MOSFET3及び第2MOSFET4のそれぞれのソース電極3a,4aと同電位となるように接続されている。
【0058】
また、第1軸に沿って見て、第2基体10は、第4基体8aと第5基体9aとの間に、第4基体8aと第5基体9aとそれぞれ間隔をあけて配置されている。言い換えると、第1軸に沿って見て、第2基体10は、第1MOSFET3と第2MOSFET4との間に配置されている。さらに言うと、第1軸に沿って見て、第2基体10は、第1MOSFET3の第1ソース電極3aと第2MOSFET4の第2ソース電極4aとの間に配置されている。なお、図1~に示す例では、ハウジング11の下面を基準として、かつ第1軸に沿って、第2基体10が、第4基体8a及び第5基体9aよりも上方に位置している。つまり、第2基体10の下面は、ハウジング11の遮光部11aに覆われている。また、ハウジング11の下面を基準として、かつ第1軸に沿って、第2基体10は、第3基体6dと略同じ高さにある。ただし、両者が、ハウジング11の下面を基準として異なる高さに配置されていてもよい。
【0059】
[2:半導体リレーの動作]
図7は、半導体リレーの等価回路図を示す。
【0060】
第1入力端子6と第2入力端子7との間に伝送信号が入力されると、発光素子2は、所定の波長の光を出力する。発光素子2で発生した光が透光部11bの内部を伝搬して、受光素子51で受光される。
【0061】
受光素子51では、光電変換により電流が発生し、この電流に基づいて制御回路52が動作する。ワイヤ12を介して、発光素子2の光量に応じた電圧信号である駆動信号が、第1MOSFET3の第1ゲート電極3b及び第2MOSFET4の第2ゲート電極4bにそれぞれ印加される。
【0062】
駆動信号の電圧が第1MOSFET3及び第2MOSFET4のそれぞれのしきい値電圧を超えると、第1MOSFET3のソース(S)-ドレイン(D)間及び第2MOSFET4のソース(S)-ドレイン(D)間がそれぞれオン状態となる。さらに、第1MOSFET3と第2MOSFET4とを介して、第1出力端子8と第2出力端子9との間が導通状態となる。このことにより、第1出力端子8と第2出力端子9との間に高周波信号を双方向に伝送することが可能となる。
【0063】
第1入力端子6と第2入力端子7との間で、伝送信号の入力が停止すると、発光素子2からの発光も停止する。これに応じて、受光素子51では電流が発生しなくなり、制御回路52は停止する。
【0064】
その結果、第1MOSFET3の第1ゲート電極3b及び第2MOSFET4の第2ゲート電極4bにそれぞれ印加された駆動信号の電圧が低下する。駆動信号の電圧が前述したしきい値電圧を下回ると、第1MOSFET3のソース(S)-ドレイン(D)間及び第2MOSFET4のソース(S)-ドレイン(D)間がそれぞれオフ状態となる。さらに、第1出力端子8と第2出力端子9との間が非導通状態となる。このことにより、第1出力端子8と第2出力端子9との間で、信号の伝送が遮断される。
【0065】
[3:効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る半導体リレー1は、ハウジング11と第1入力端子6と第2入力端子7と第1出力端子8と第2出力端子9とを少なくとも備えている。また、半導体リレー1は、発光素子2と受光駆動素子5と第1MOSFET3と第2MOSFET4とを備えている。
【0066】
ハウジング11は、上面と、上面に対して第1軸に沿って下方に位置する下面とを有している。
【0067】
発光素子2は、第1入力端子6と第2入力端子7に電気的に接続されている。
【0068】
受光駆動素子5は、受光駆動素子5の上面(第1面)に形成された発光素子2の出力光を受光する部位である受光部と、受光部の近傍に設けられたソース電極5a(第1電極5a)と、を有している。また、受光駆動素子5は、ドレイン電極5bを有している。
【0069】
第1MOSFET3は、受光駆動素子5のソース電極5aに電気的に接続される第1ソース電極3a(第1中間電極3a)と、第1出力端子8に電気的に接続される第1ドレイン電極(第1出力電極)と、第1ゲート電極3bと、を有している。
【0070】
第2MOSFET4は、受光駆動素子5のソース電極5aに電気的に接続される第2ソース電極4a(第2中間電極4a)と、第2出力端子9に電気的に接続される第2ドレイン電極(第2出力電極)と、第2ゲート電極4bと、を有している。
【0071】
また、半導体リレー1は、第1基体7dと接続導体14とを有している。第1基体7dは、発光素子2が配置される第1主面7d1を有している。また、第1基体7dは、第2入力端子7に接続されている。接続導体14は、第2基体10を含んでいる。第2基体10は、受光素子51が配置される第2主面10aを有しており、受光駆動素子5のソース電極5aと同電位になるように、ソース電極5aに電気的に接続されている。
【0072】
接続導体14の一部、つまり、第2基体10が、第1軸に沿って見て、第1MOSFET3と第2MOSFET4との間に配置されている。さらに言うと、第1軸に沿って見て、第2基体10が、第1MOSFET3の第1ソース電極3aと第2MOSFET4の第2ソース電極4aとの間に配置されている。別の見方をすれば、第1軸に沿って見て、第2基体10が、第1MOSFET3を載置する第4基体8aと第2MOSFET4を載置する第5基体9aとの間に配置されている。なお、受光駆動素子5のソース電極5aと第2基体10とを接続するワイヤ13が、第1軸に沿って見て、第4基体8aと第5基体9aとの間に配置されていてもよいことは言うまでもない。
【0073】
また、第1基体7dの第1主面7d1は、第1基体7dの上面にあたる。また、発光素子2と受光駆動素子5は、第1軸に沿って見て、互いに離れて配置されている。
【0074】
半導体リレー1をこのように構成することで、入出力間の容量結合や誘導結合を低減でき、また、入力側の電気長を短くできる。このことにより、出力側の高周波特性の劣化を抑制できる。これらについてさらに説明する。
【0075】
図8は、本実施形態に係る半導体リレーの斜視図を示し、図9は、比較例に係る半導体リレーの斜視図を示す。なお、図8及び図9には、発光素子2への導電経路及び寄生容量、寄生相互インダクタンスを図示している。図8及び図9に示す寄生容量C1、C2、寄生相互インダクタンスM1、M2は、便宜的に集中定数として示している。また、本実施形態に係る半導体リレーの等価回路図は、第1入力端子6と第1出力端子8間、第1入力端子6と第2基体10間等に存在する分布定数として図示することもできる。
【0076】
図9に示す半導体リレー20は、特許文献1に開示されるものと同様の構成を示す比較例であり、以下の点で図1に示す本実施形態の半導体リレー1と異なる。
【0077】
まず、入力側において、第1基体7dは、第1入力端子6の上端から第3軸に沿って延びるように形成されている。また、第3基体6dは、第2入力端子7の上端から第3軸に沿って延びるように形成されている。さらに、第1軸に沿って見て、第1基体7dと第3基体6dは、受光駆動素子5の上方まで延びて設けられている。また、第3基体6dの下面に発光素子2が接続固定されている。なお、発光素子2のアノード電極(図示せず)と第1基体7dとがワイヤ12により接続されている。
【0078】
これらの構成を有することで、図9に示す半導体リレー20では、第1軸に沿って、発光素子2の直下に受光素子51が配置される。発光素子2からの出力光は下方に進行して、そのまま受光素子51に入射される。
【0079】
この構成によれば、前述したように、スタブの長さを短くでき、スタブの影響により使用可能な周波数帯域が狭くなるのを防止することができる。一方、第1基体7dや第3基体6dが受光駆動素子5の上方まで延びるように設けられるため、入力側の導電経路、つまり、第1入力端子6から発光素子2とワイヤ12とを介して第2入力端子7に至る入力信号の伝送経路が長くなってしまう。言い換えると、入力側の電気長が長くなってしまう。また、このことに応じて、第1入力端子6と第2基体10及び受光駆動素子5との間の誘導結合による寄生相互インダクタンスM1が大きくなってしまう。なお、図9には図示しないが、同様の理由から、第2入力端子7と第2基体10及び受光駆動素子5との間の誘導結合による寄生相互インダクタンスも大きくなってしまう。
【0080】
また、第1軸に沿って見て、発光素子2が載置された第1基体7dと受光駆動素子5が載置された第2基体10とが対向して重なる面積が大きくなってしまう。このことに応じて、第1基体7dと第2基体10及び受光駆動素子5との間の容量結合による寄生容量C1が大きくなってしまう。
【0081】
このように入出力間で、寄生相互インダクタンスM1や寄生容量C1が大きくなると、第1出力端子8と第2出力端子9との間に高周波信号を伝送する場合、寄生相互インダクタンスM1や寄生容量C1を通じて出力側の高周波信号が入力側に漏洩してしまうおそれがある。
【0082】
また、入力側において、電気長が長くなると、共振周波数が低下し、共振現象が発生することがある。この場合、出力側の信号伝送特性、言い換えると、出力側の高周波特性が劣化してしまうおそれがある。
【0083】
一方、本実施形態によれば、図1~3及び図8に示すように、第2軸に沿って延びるように設けられた第2起立部位7bに連続して第1基体7dが設けられている。また、第1基体7dの第1主面7d1の法線は第1軸に沿っている。また、第2基体10の第2主面10aの法線も、第1軸に沿っている。さらに、第1軸に沿って見て、第1基体7dと第2基体10とは、最短距離L0をあけて互いに離れて配置されている。
【0084】
つまり、第1軸に沿って見たとき、第1基体7dと第2基体10とが重なり合う部分が無い。このことにより、第1基体7dと第2基体10及び受光駆動素子5との間の容量結合による寄生容量C2を前述の寄生容量C1よりも大幅に低下できる。
【0085】
また、第1基体7dや第3基体6dのサイズを小さくできるため、入力側の電気長を図9に示す半導体リレー20に比べて短くすることができる。このことにより、第1入力端子6と第2基体10及び受光駆動素子5との間の誘導結合による寄生相互インダクタンスM2を前述の寄生相互インダクタンスM1よりも低下できる。同様の理由から、第2入力端子7と第2基体10及び受光駆動素子5との間の誘導結合による寄生相互インダクタンスも図9に示す半導体リレー20に比べて低下できる。このことにより、出力側の高周波信号が入力側に漏洩するのを抑制し、出力側の高周波特性が劣化するのを抑制できる。
【0086】
また、入力側において、電気長が長くなると、共振周波数が低下し、共振現象が発生することがある。この場合、出力側の信号伝送特性、言い換えると、出力側の高周波特性が劣化してしまうおそれがある。
【0087】
一方、本実施形態によれば、入力側の電気長も図8に示す半導体リレー20に比べて低下できる。このことにより、入力側の共振周波数を高めることができる。
【0088】
図10は、半導体リレーの出力側の伝送信号における挿入損失の周波数依存性の一例を示す。
【0089】
図10に示すように、本実施形態の半導体リレー1を動作させた場合、図9に示す比較例の半導体リレー20に比べて、挿入損失が増加し始める周波数が高周波側にシフトしている。つまり、半導体リレー1の出力側における高周波特性の劣化が抑制されていることがわかる。
【0090】
また、本実施形態によれば、接続導体14の少なくとも一部が、第1軸に沿って見て、第1MOSFET3と第2MOSFET4との間に配置されている。このようにすることで、第1出力端子8から第1MOSFET3と第2基体10と第2MOSFET4とを経由して第2出力端子9に至る経路中にスタブが形成されるのを抑制できる。このことにより、半導体リレー1で伝送される出力信号の周波数帯域が狭くなるのを防止することができる。
【0091】
発光素子2と受光素子51は、第1軸に沿って見て、互いに離れて配置されており、このようにすることで、透光部11bを通じて、発光素子2からの出力光を確実に受光素子51に入射させることができる。
【0092】
なお、第1基体7dの第1主面7d1の法線が、第2基体10の第2主面10aの法線と平行であるのが好ましい。このようにすることで、第1基体7dと第2基体10及び受光駆動素子5との間の容量結合を比較例と比べて小さくできる。
【0093】
また、発光素子2が載置される第1基体7dの第1主面7d1は、第1基体7dの上面にあたる。発光素子2で発生する光は、等方的に放射されるが、その多くは、アノード電極2aが部分的に形成された上面側から放射される。よって、第1基体7dの上面である第1主面7d1に発光素子2を載置することで、発光素子2で発生する光を受光素子51に効率良く入射させることができる。
【0094】
また、第1基体7dの第1主面7d1は、第1軸と直交する軸(第2軸または第3軸)に沿って見て、第2基体10の第2主面10aよりも上方に配置されている。さらに言うと、発光素子2は、受光素子が形成された受光駆動素子5の受光面よりも上方に配置されている。
【0095】
このようにすることで、ハウジング11の下面を基準として、第1基体7dの第1主面7d1と、第2基体10の第2主面10aとが同じ高さに位置する場合に比べて、発光素子2で発生した光が、透光部11bを通って、受光駆動素子5の受光素子51に入射する際の光結合効率を高めることができる。
【0096】
また、第1基体7dは、第2入力端子7の一端、具体的には、第2起立部位7bの一端に接続されている。さらに、第1基体7dと第2基体10間の最短距離L0は、第1入力端子6と第2基体10間の最短距離L1よりも小さい。また、最短距離L0は、第2入力端子7と第2基体10間の最短距離L2よりも小さい。
【0097】
最短距離L0,L1,L2の関係をこのように規定することで、第1入力端子6と第2入力端子7における主な導電経路、つまり、第1外部接続部位6aと第1起立部位6b、さらに、第2外部接続部位7aと第2起立部位7bとを、出力側の導電経路である第2基体10から遠ざけることができる。このことにより、発光素子2と受光素子51との光結合効率を高めつつ、入力側での寄生容量成分及び寄生インダクタンス成分をそれぞれ小さくすることができ、高周波特性を向上させることができる。よって、発光素子2からの出力光に応じて、第1出力端子8と第2出力端子9との間で、高周波信号の通過及び遮断を確実に行うことができる。
【0098】
接続導体14、具体的には、第2基体10は、ハウジング11の外部に露出する部位として第1外部露出部位10bを有するのが好ましい。また、第4基体8aは、ハウジング11の外部に露出する部位として第2外部露出部位8bを有し、第5基体9aは、ハウジング11の外部に露出する部位として第3外部露出部位9bを有するのが好ましい。
【0099】
通常、第1入力端子6、第3基体6d、第2入力端子7及び第1基体7dは、1枚の金属板材を加工して得られる。一方、複数の半導体リレー1を製造するにあたって、第1入力端子6や第2入力端子7を個片化した後に発光素子2を組み付けるのでは効率が悪い。
【0100】
よって、まず、金属板材を加工して、第1入力端子6、第3基体6d、第2入力端子7及び第1基体7dの各部材を1組として、複数組が連結された入力端子原型を形成する。この状態で、それぞれの第1基体7dに発光素子2が接続固定され、さらに発光素子2のアノード電極2aと第3基体6dとがワイヤ12で接続される。また、発光素子2と受光駆動素子5との間に光透過性樹脂からなる透光部11bが形成される。
【0101】
また、同様の工程が出力側でも行われる。つまり、金属板材を加工して、第1出力端子8、第2基体10及び第2入力端子7の各部材を1組として、複数組が連結された出力端子原型を形成する。この状態で、第2基体10、第4基体8a及び第5基体9aに、それぞれ、受光駆動素子5、第1MOSFET3、第2MOSFET4が接続固定される。さらに、各部がワイヤ12,13で接続される。
【0102】
これらが形成された後、入力端子原型と出力端子原型とが位置合わせされて配置され、さらに樹脂注入により各素子が封止され、ハウジング11が形成される。ハウジング11の形成後に、金属フレームとの連結部分が切断され、複数の半導体リレー1がそれぞれ個片化される。
【0103】
第1外部露出部位10bや第2外部露出部位8bや第3外部露出部位9bは、第2基体10や第1出力端子8や第2出力端子9と金属フレームとの連結部分にあたる。第1外部露出部位10bや第2外部露出部位8bや第3外部露出部位9bが残るように、第2基体10や第1出力端子8や第2出力端子9が形成されることで、半導体リレー1の組み立てを簡便に行える。また、簡便に大量の半導体リレー1を製造することができる。
【0104】
同様の理由から、第1入力端子6及び第2入力端子7にも、ハウジング11の外部に露出する部位を有しているのが好ましい。具体的には、第1外部接続部位6aは、第4外部露出部位6cを有しており、第2外部接続部位7aは、第5外部露出部位7cを有しているのが好ましい。
【0105】
接続導体14は、受光素子51が載置される第2基体10を含み、第2基体10が、第1MOSFET3が載置される第4基体8aと第2MOSFET4が載置される第5基体9aとの間に配置されるのが好ましい。また、第2基体10が、第1MOSFET3の第1ソース電極3aと第2MOSFET4の第2ソース電極4aとの間に配置されるのがさらに好ましい。
【0106】
このようにすることで、第1出力端子8から第1MOSFET3と第2基体10と第2MOSFET4とを経由して第2出力端子9に至る経路を第2軸に沿って直線状に設けることができ、スタブが形成されるのを確実に抑制できる。このことにより、半導体リレー1で伝送される出力信号の周波数帯域が狭くなるのを確実に防止することができる。
【0107】
また、第1入力端子6と第2入力端子7が、第2軸(X方向)に沿って並んで配置されている。第1入力端子6は、第1軸に沿って見て、ハウジング11の内部において第2軸に沿って延びる第1起立部位6bを有している。第1軸に沿って見て、第1起立部位6bには、第2基体10に対向する部位に切り欠き6eが設けられている。
【0108】
前述したように、第1入力端子6と第2入力端子7の原型は同じ金属フレームに連結されている。また、1枚の金属板を打ち抜き加工等して、当該原型が連結された金属フレームが形成される。この状態で、第1入力端子6と第2入力端子7の原型は平板状であり、起立部位が曲げ加工される前よりも、第1入力端子6と第2入力端子7との間隔は狭くなっている。よって、第1入力端子6と第2入力端子7を形成する工程で、両者が接触してしまうおそれがある。これを回避するのに、第1入力端子6と第2入力端子7の形成工程が複雑になるおそれがあった。
【0109】
そこで、本実施形態に示すように、第1起立部位6bに切り欠き6eを設けることで、第1入力端子6と第2入力端子7の形成工程で、両者が接触してしまうのを防止でき、当該形成工程を簡素化できる。
【0110】
また、第1起立部位6bに切り欠き6eを設けることで、第1入力端子6の第3軸に沿った幅を部分的に狭くできる。このことにより、寄生相互インダクタンスM2や寄生容量C2を低減できる。
【0111】
第1入力端子6及び第2入力端子7のそれぞれにおいて、起立部位は、ハウジング11の内部で、第2軸に沿って延びるように設けられている。また、起立部位は、外部接続部位に接続される一端から、第3基体6dまたは第1基体7dに接続される他端までの途中で、第1軸に沿って屈曲し、上方に延びるように設けられている。
【0112】
第1入力端子6と発光素子2は、ワイヤ12を介して接続され、図6に示すように、第2入力端子7の上端、つまり、第1基体7dの第1主面7d1は、第1入力端子6の上端、つまり、第3基体6dの上面よりも上方に配置されている。
【0113】
第1入力端子6及び第2入力端子7のそれぞれにおいて、起立部位を前述のように設けることで、第1入力端子6において、第2軸に沿った長さ、つまり、物理的な導電経路を短くすることができる。また、第1入力端子6と第2入力端子7との第2軸に沿った間隔を狭くでき、発光素子2に接続されたワイヤ12の長さを短くできる。つまり、入力側の電気長を短くできる。また、発光素子2に接続されたワイヤ12の長さを短くできるため、当該ワイヤ12と出力側の導体、例えば、第2基体10との寄生相互インダクタンスや寄生容量を低減できる。
【0114】
また、第2入力端子7の上端が、第1入力端子6の上端よりも上方に配置されるように、第1入力端子6と第2入力端子7とを形成することで、第1入力端子6と第2入力端子7の形成工程で、両者が接触してしまうのを防止でき、当該形成工程を簡素化できる。
【0115】
また、外部接続部位に連続して、ハウジング11の下面から上方に向かう起立部位を設けることで、発光素子2をハウジング11の上面に近い側に配置することができる。このことにより、ハウジング11の下面に近い側に位置する受光素子51と発光素子2との距離を確保することができる。また、透光部11bを通じて、発光素子2からの出力光を受光素子51に導光することができる。
【0116】
また、第1入力端子6と第2入力端子7のそれぞれにおいて、外部接続部位は、ハウジング11の下面に沿って延びるように設けられている。
【0117】
外部と電気的に接続する外部接続部位をハウジング11の下面に沿って延びるように設けることで、半導体リレー1を、例えば、回路基板40(図14~16参照)の上面に設けられた配線に対して面実装することができる。
【0118】
<変形例>
図11は、変形例に係る半導体リレーの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、図10及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0119】
図11に示す第2基体10は、第3軸に沿った幅W2が、第1出力端子8や第2出力端子9の第3軸に沿った幅W1よりも広くなっている点で、図1~5に示す実施形態1の第2基体10と異なる。
【0120】
第2基体10の幅W2をこのように規定することで、ハウジング11の底面より高い位置にある第2基体10の部位に起因する伝送線路の特性インピーダンスの増加を抑制することができ、インサーションロスを低減することができる。
【0121】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る半導体リレーの斜視図を示す。
【0122】
図12に示す本実施形態の半導体リレー30は、発光素子2のアノード電極2aが、ワイヤ12と抵抗素子として電子部品であるチップ抵抗器15とを介して第3基体6dに接続されている点で、図1に示す実施形態1の半導体リレー1と異なる。
【0123】
具体的には、第3基体6dの上面にチップ抵抗器15の下面が接続固定され、チップ抵抗器15の上面と発光素子2のアノード電極2aとがワイヤにより接続されている。
【0124】
本実施形態によれば、実施形態1に示す構成に比べて、入力側の電気長を確実に短くすることができる。このことにより、入力側の共振周波数を高められ、共振現象の発生を抑制できる。ひいては、出力側の高周波特性の劣化を抑制できる。図13を用いてさらに説明する。
【0125】
図13は、入力側への抵抗挿入前後の共振現象の違いを説明する模式図を示す。
【0126】
第1入力端子6と第2入力端子7との間に高周波信号が入力された場合、図13の左側に示すように、入力側の電気長が所定の値になると定在波が発生して、共振現象が起こることがある。よって、入力側の共振周波数を高めるためには、定在波の波長を短くする必要がある。
【0127】
そこで、本実施形態に示すように、入力側の導電経路の途中に、当該導電経路の抵抗値よりも高い抵抗値の抵抗素子を電気的に直列に接続するように挿入する。このようにすることで、定在波の振動が、抵抗素子が挿入された位置で大幅に減衰する。つまり、抵抗素子の挿入位置が定在波の節となる。その結果、図13の右側に示すように、定在波の波長を短くすることができ、入力側の共振周波数を高められる。その結果、共振現象の発生及び出力側の高周波特性の劣化を抑制できる。
【0128】
なお、図13の右側に示すように、定在波の波長を短くするためには、定在波のもとの節と節との間の中間点に抵抗素子を挿入することが有効である。つまり、抵抗素子を挿入する前の半導体リレー1で共振現象が起こっているのであれば、第1入力端子6や第2入力端子7のそれぞれ端部近傍ではなく、それぞれの物理的な中間部分に抵抗素子を直列に挿入するのが好ましい。
【0129】
また、図12に示すように、第1入力端子6と発光素子2とを接続する導電経路に抵抗素子としてチップ抵抗器15を挿入する必要は無い。第1入力端子6と発光素子2とを接続する導電経路及び第2入力端子7と発光素子2とを接続する導電経路の少なくとも一方に、チップ抵抗器15が直列に接続されていればよい。
【0130】
なお、チップ抵抗器15の抵抗値は、前述した導電経路の抵抗値よりも高いことが好ましいが、具体的な値は、入力信号の周波数や導電経路の抵抗値等に応じて適宜変更されうる。
【0131】
また、入力側の電気長を短くするには、抵抗素子の挿入以外の手法も取りうる。例えば、チップ抵抗器15の代わりに、高周波領域において前述した導電経路のインピーダンスよりも高インピーダンスが得られるインダクタ素子としてチップインダクタに変更することによっても、入力側の電気長を短くできる。この場合も、共振現象の発生を抑制し、出力側の高周波特性の劣化を抑制することができる。
【0132】
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係る半導体リレーモジュールの斜視図を示し、図15は、半導体リレーモジュールを第2軸に沿って見た図を示し、図16は、半導体リレーモジュールを第3軸に沿って見た図を示す。
【0133】
図14~16に示すように、半導体リレーモジュール100は、半導体リレー1と回路基板40とを少なくとも備えている。半導体リレー1については、実施形態1に示すと同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0134】
回路基板40は、所定の比誘電率を有する誘電体材料からなる誘電体基板40aに第1~第4配線41~44がそれぞれ形成されてなる、いわゆるプリント配線板(Printed Wiring Board)である。
【0135】
第1~第4配線41~44は、誘電体基板40aの上面に銅めっき等を施して形成される。また、第1~第4配線41~44のそれぞれの一端には、導電ビア45が接続されている。導電ビア45は、誘電体基板40aを厚さ方向に貫通するビアホールの内面に銅めっき等で導体が埋め込まれたものである。なお、半導体リレーモジュール100の製造工程を簡素化する上で、この導体は、第1~第4配線41~44の形成時に同時に形成されるのが好ましい。
【0136】
第3配線43と第4配線44のそれぞれにおいて、導電ビア45が接続された一端とは反対側の端部(以下、他端という)には、半導体リレー1の第1出力端子8と第2出力端子9がそれぞれ接続される。接続にあたっては、銀ペーストやクリームはんだ等の導電性接着材が用いられる。
【0137】
また、第1配線41と第2配線42のそれぞれの他端において、半導体リレー1の第1入力端子6と第2入力端子7がそれぞれ接続される。接続にあたっては、銀ペーストやクリームはんだ等の導電性接着材が用いられる。
【0138】
一方、第1配線41と第2配線42のそれぞれは、他端の近傍で分割されている。第1配線41と第2配線42のそれぞれにおいて、分割された部分同士をつなぐように抵抗素子としてチップ抵抗器16が直列に接続されている。
【0139】
第1配線41に接続された導電ビア45及び第2配線42に接続された導電ビア45から第1配線41及び第2配線42に入力信号が伝送される。さらに、半導体リレー1の第1入力端子6及び第2入力端子7に入力信号が伝送される。また、所定以上の振幅の入力信号が入力されている期間は、第1出力端子8が接続された第3配線43と第2出力端子9が接続された第4配線44との間に半導体リレー1を介して高周波信号が伝送される。さらに、第3配線43に接続された導電ビア45と第4配線44に接続された導電ビア45との間に高周波信号が伝送される。入力信号の振幅が所定以下になると、第3配線43と第4配線44との間で、さらに、第3配線43に接続された導電ビア45と第4配線44に接続された導電ビア45との間で高周波信号の伝送が遮断される。
【0140】
本実施形態によれば、半導体リレー1において、入出力間の容量結合や誘導結合を低減でき、また、入力側の電気長を短くできる。このことにより、第3配線43と第4配線44との間に伝送される出力信号の高周波特性の劣化を抑制できる。
【0141】
また、本実施形態の半導体リレーモジュール100では、第1配線41と第2入力端子7に接続された第2配線42のそれぞれにおいて、第1入力端子6と第2入力端子7の近傍に、それぞれチップ抵抗器16を直列に接続している。さらに言うと、第1配線41における第1入力端子6との接続箇所の近傍に、所定の抵抗値を有する抵抗素子として、チップ抵抗器16が電気的に直列に接続するように挿入されている。また、第2配線42における第2入力端子7との接続箇所の近傍に、所定の抵抗値を有する抵抗素子として、チップ抵抗器16が電気的に直列に接続するように挿入されている。
【0142】
このようにすることで、実施形態2において、図13を用いて説明したように、定在波の波長を短くでき、入力側の共振周波数を高められる。その結果、共振現象の発生及び出力側の高周波特性の劣化を抑制できる。
【0143】
なお、第1配線41に接続する抵抗素子と第2配線42に接続する抵抗素子のうちいずれか一方の抵抗素子を接続しなくてもよい。また、入力側の共振周波数が所定以上に高くなるように半導体リレー1及び半導体リレーモジュール100が設計されている場合、抵抗素子としてチップ抵抗器16を接続することは必須ではなく、接続しなくともよい。その場合、第1配線41や第2配線42が分割されずに、導電ビア45から第1入力端子6や第2入力端子7まで連続して設けられている。また、チップ抵抗器15の代わりにチップインダクタを用いることができる。
【0144】
なお、図14~16には、回路基板40に半導体リレー1のみが実装された半導体リレーモジュール100を示したが、他の素子が回路基板40に実装されていてもよい。また、回路基板40を貫通する導電ビア45は、必ずしも設けられていなくてもよい。回路基板40の上面に外部との接続用パッド電極(図示せず)が複数設けられ、それぞれが第1~第4配線41~44に接続される構造としてもよい。
【0145】
(その他の実施形態)
実施形態1~3及び変形例に示す各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、実施形態3に示す半導体リレーモジュール100において、半導体リレー1の構成を、実施形態2や変形例に示す構成としてもよい。
【0146】
また、本願明細書において、前述した最短距離L0、最短距離L1及び最短距離L2の関係を、図3に示すように規定したが、特にこれに限定されない。最短距離L0が最短距離L1と同じであってもよく、また、最短距離L0が最短距離L2であってもよい。なお、図3に示すように、最短距離L0、最短距離L1及び最短距離L2の関係を規定することで、入力側での寄生容量成分を低減できることは、前述した通りである。
【0147】
また、本願明細書において、第1出力端子8及び第2出力端子9は、第4基体8a及び第5基体9aのそれぞれのハウジング11から露出した裏面を外部、例えば、図14~16に示す第3配線43や第4配線44との接続部位としているが、特にこれに限定されない。半導体リレー1が面実装型リレーであればよく、例えば、第1入力端子6や第2入力端子7のようにハウジング11の下面に沿って、かつハウジング11の側面から外部に露出して突出する外部接続部位を第1出力端子8及び第2出力端子9にそれぞれ設けてもよい。
【0148】
また、第1入力端子6の第1外部接続部位6aや第2入力端子7の第2外部接続部位7aは、ハウジング11の側面から外部に突出していなくてもよい。つまり、外部接続部位は、少なくともハウジング11の下面から露出していればよい。このようにすることで、面実装型の半導体リレー1を実現できる。
【0149】
また、制御回路52を受光素子51と別の半導体チップに形成してもよい。その場合は、制御回路52は、ハウジング11の遮光部11aで封止されるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示の半導体リレーは、出力側の高周波特性の劣化を抑制でき、高周波信号の伝送用リレーとして有用である。
【符号の説明】
【0151】
1 半導体リレー
2 発光素子
2a アノード電極
3 第1MOSFET
3a 第1ソース電極(第1中間電極)
3b 第1ゲート電極
4 第2MOSFET
4a 第2ソース電極(第2中間電極)
4b 第2ゲート電極
5 受光駆動素子
5a ソース電極(第1電極)
5b ドレイン電極
6 第1入力端子
6a 第1外部接続部位
6b 第1起立部位
6c 第4外部露出部位
6d 第3基体
6e 切り欠き
7 第2入力端子
7a 第2外部接続部位
7b 第2起立部位
7c 第5外部露出部位
7d 第1基体
7d1 第1主面
7e 第7外部露出部位
8 第1出力端子
8a 第4基体
8b 第2外部露出部位
9 第2出力端子
9a 第5基体
9b 第3外部露出部位
10 第2基体
10a 第2主面
10b 第1外部露出部位
11 ハウジング
11a 遮光部
11b 透光部
12 ワイヤ
13 ワイヤ
14 接続導体
15 チップ抵抗器(抵抗素子)
16 チップ抵抗器(抵抗素子)
20 半導体リレー
30 半導体リレー
40 回路基板
40a 誘電体基板
41~44 第1~第4配線
45 導電ビア
51 受光素子
51a カソード電極(第1電極)
51b アノード電極
52 制御回路
100 半導体リレーモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16