(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180405
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置、及び、半導体装置の制御回路の電源制御処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20231214BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231214BHJP
H03K 19/00 20060101ALI20231214BHJP
G06F 1/3287 20190101ALN20231214BHJP
【FI】
G06F1/26 303
H01L27/04 D
H03K19/00 210
G06F1/3287
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093695
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 浩
【テーマコード(参考)】
5B011
5F038
5J056
【Fターム(参考)】
5B011DB04
5B011DC01
5B011DC06
5B011EA08
5B011LL11
5F038CA07
5F038CD02
5F038CD16
5F038DF05
5F038DF08
5F038DF11
5F038EZ10
5J056AA00
5J056BB02
5J056CC03
5J056CC14
5J056DD13
5J056DD52
5J056FF07
5J056KK01
(57)【要約】
【課題】スタンバイモードからアクティブモードに移行するスタンバイ復帰時間を短縮する半導体装置を提供すること。
【解決手段】第1の電源ラインに電気的に接続された第1のレギュレータと、第2の電源ラインに電気的に接続された第2のレギュレータと、第1のレギュレータ及び第2のレギュレータを制御する制御回路と、第1の電源ライン及び第2の電源ラインと電気的に接続可能な少なくとも2つ以上の機能回路モジュールを備え、制御回路は、全ての機能回路モジュールを電源導通状態にする場合(アクティブモード)には、第1のレギュレータが第1の電源ラインに電圧を出力し、第2のレギュレータが第2の電源ラインに電圧を出力するように制御し、一部の機能回路モジュールを電源遮断状態にする場合(スタンバイモード)には、第1のレギュレータが第1の電源ラインに電圧を出力し、第2のレギュレータが第2の電源ラインに電圧を出力しないように制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源ラインに電気的に接続された第1のレギュレータと、
第2の電源ラインに電気的に接続された第2のレギュレータと、
前記第1のレギュレータ及び前記第2のレギュレータを制御する制御回路と、
前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインと電気的に接続可能な少なくとも2つ以上の機能回路モジュールを備え、
前記制御回路は、
前記機能回路モジュールをアクティブモードにする場合には、前記第1のレギュレータが前記第1の電源ラインに電圧を出力し、前記第2のレギュレータが前記第2の電源ラインに電圧を出力するように制御し、
前記機能回路モジュールをスタンバイモードにする場合には、前記第1のレギュレータが前記第1の電源ラインに電圧を出力し、前記第2のレギュレータが前記第2の電源ラインに電圧を出力しないように制御する、
半導体装置。
【請求項2】
前記機能回路モジュールは、スタンバイモード時に動作を休止するスタンバイモード動作休止モジュールと、スタンバイモード時であっても動作を休止しないスタンバイモード動作継続モジュールとを含み、
前記制御回路は、
前記スタンバイモード動作継続モジュールを、アクティブモード及びスタンバイモードのいずれの場合にも、前記第1の電源ラインに電気的に接続させ、
前記スタンバイモード動作休止モジュールを、アクティブモード時に前記第1の電源ラインに電気的に接続させ、スタンバイモード時に前記第2の電源ラインに電気的に接続させるように制御する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記機能回路モジュールと前記第1の電源ラインとの間には第1のスイッチ回路が介在し、前記機能回路モジュールと前記第2の電源ラインとの間には第2のスイッチ回路が介在し、
前記制御回路は、
前記機能回路モジュールと前記第1の電源ラインとを電気的に接続させる場合には、前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、
前記機能回路モジュールと前記第2の電源ラインとを電気的に接続させる場合には、前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記機能回路モジュールをスタンバイモード動作継続モジュール又はスタンバイモード動作休止モジュールに設定する設定レジスタを含み、
前記制御回路は、前記設定レジスタの設定にしたがって、前記機能回路モジュールを前記スタンバイモード動作継続モジュール又は前記スタンバイモード動作休止モジュールとして制御する請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の前記制御回路の電源制御処理方法であって、
前記アクティブモードから前記スタンバイモードに遷移する遷移工程を含み、
前記遷移工程は、
前記設定レジスタによって前記スタンバイモード動作休止モジュールに設定されている前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオフ状態に制御し、前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御する工程と、
前記第2のレギュレータの出力を停止させる工程と、
を含む制御回路の電源制御処理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置の前記制御回路の電源制御処理方法であって、
前記スタンバイモードから前記アクティブモードに復帰する復帰工程を含み、
前記復帰工程は、
前記第2のレギュレータの出力を停止状態から出力状態に移行させる工程と、
前記設定レジスタによって前記スタンバイモード動作休止モジュールに設定されている前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオフ状態に制御する工程と、
を含む制御回路の電源制御処理方法。
【請求項7】
請求項4に記載の半導体装置の前記制御回路の電源制御処理方法であって、
前記第1のレギュレータから前記第1の電源ラインに第1の電圧を供給し、前記第2のレギュレータから前記第2の電源ラインに第2の電圧を供給し、前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御し、すべての前記機能回路モジュールをアクティブモードにする工程を含む制御回路の電源制御処理方法。
【請求項8】
請求項4に記載の半導体装置の前記制御回路の電源制御処理方法であって、
請求項7に記載の前記アクティブモードからスタンバイモードに遷移する遷移工程をさらに含み、
前記遷移工程は、
前記設定レジスタによって設定される前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオフ状態に制御する工程と、
前記設定レジスタによって設定される前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオフ状態に制御し、前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御する工程と、
前記第2のレギュレータの出力を停止させる工程と、
を含む制御回路の電源制御処理方法。
【請求項9】
請求項4に記載の半導体装置の前記制御回路の電源制御処理方法であって、
スタンバイモードから請求項7に記載の前記アクティブモードに復帰する復帰工程をさらに含み、
前記復帰工程は、
前記第2のレギュレータの出力を停止状態から出力状態に移行させる工程と、
前記設定レジスタによって設定される前記スタンバイモード動作休止モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御する工程と、
前記設定レジスタによって設定される前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第1のスイッチ回路をオン状態に制御し、前記スタンバイモード動作継続モジュールと電気的に接続されている前記第2のスイッチ回路をオン状態に制御する工程と、
を含む制御回路の電源制御処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、及び、半導体装置の制御回路の電源制御処理方法に関し、特に、半導体装置のスタンバイ復帰時間に対して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のMCU(Micro Control Unit)の大規模化や、マルチCPU(Central Processing Unit)コア化によって、スタンバイモード時に低電力化を図るためのパワーゲーティング機能が半導体装置に必要不可欠な機能になりつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、論理LSIにおいて、トランジスタで構成された電源スイッチをパワーゲーティング制御することによって、電源ラインが共通化されている回路ブロックごとに電源を遮断し、論理LSIの消費電力を低減化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような動作の工夫にもかかわらず、特許文献1の技術では、各回路ブロックの電源ラインが共通化されているために、電源遮断状態から電源導通状態に移行するためのスタンバイ復帰時間が長くなってしまうという課題が存在している。
【0006】
例えば、MCUにおけるほとんどの機能を電源遮断状態にするモードをスタンバイモードと称すると、スタンバイモードは低消費電力状態なので、スタンバイモードを多用すれば、MCUの消費電力は低減される。しかし、スタンバイモード中に割り込みイベント等が発生した場合には、システムが要求する割り込み応答時間以内にMCUが起動して、アクティブモードになることが必須の要件である。もし、当該割り込み応答時間以内にMCUが起動しない場合には、スタンバイモードを使用することが不可能となってしまう。すなわち、スタンバイモード復帰時間が長いと、MCUをアクティブモードで動作させざるを得ない場合が生じ、MCUの低電力化を図る機能が損なわれてしまう場合がある。
【0007】
本開示は、このようなことに鑑みてなされたものである。その目的の一つは、スタンバイモードからアクティブモードに移行するためのスタンバイ復帰時間を短縮することが可能な半導体装置を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。代表的な半導体装置は、第1の電源ラインに電気的に接続された第1のレギュレータと、第2の電源ラインに電気的に接続された第2のレギュレータと、第1のレギュレータ及び第2のレギュレータを制御する制御回路と、第1の電源ライン及び第2の電源ラインと電気的に接続可能な少なくとも2つ以上の機能回路モジュールを備え、制御回路は、機能回路モジュールをアクティブモードにする場合には、第1のレギュレータが第1の電源ラインに電圧を出力し、第2のレギュレータが第2の電源ラインに電圧を出力するように制御し、機能回路モジュールをスタンバイモードにする場合には、第1のレギュレータが第1の電源ラインに電圧を出力し、第2のレギュレータが第2の電源ラインに電圧を出力しないように制御する。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、電源遮断状態から電源導通状態に移行するためのスタンバイ復帰時間を短縮することが可能な半導体装置を提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)は、電源遮断状態の論理回路モジュールと電源導通状態の論理回路モジュールが隣接する場合の電荷、コンデンサ容量、コンデンサに印加される電圧の関係の原理を簡略化して示した図である。(B)は、(A)の構成における電源遮断状態の論理回路モジュールが電源導通状態に遷移する場合の瞬間的な電圧降下の原理を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る半導体装置のActive mode(アクティブモード)における構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る半導体装置のSTBY mode(スタンバイモード)における構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。
【
図4】(A)は、実施形態1に係る半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。(B)は、実施形態1に係る半導体装置がActive modeからSTBY modeに遷移する途中過程の一例の動作を簡易的に示したブロック図である。(C)は、実施形態1に係る半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。
【
図5】(A)は、実施形態1に係る半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。(B)は、実施形態1に係る半導体装置がSTBY modeからActive modeに遷移する途中過程の一例の動作を簡易的に示したブロック図である。(C)は、実施形態1に係る半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。
【
図6】(A)は、比較例の半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。(B)は、比較例の半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。
【
図7】
図7は、比較例の半導体装置におけるSTBY modeからActive modeに遷移する場合の時間軸の電位及び状態の変化の一例を簡易的に示した図である。
【
図8】(A)は、
図7の比較例の半導体装置のSTBY modeからレギュレータの安定待ち状態が終了するまでの構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。(B)は、(A)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_1に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。
【
図9】(A)は、
図8(B)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_3に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。(B)は、(A)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_5に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。
【
図10】(A)は、
図9(B)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_6に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。(B)は、(A)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_7に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。
【
図11】(A)は、
図10(B)の比較例の半導体装置の機能回路モジュール500_8に電源を供給した場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。(B)は、(A)の比較例の半導体装置のその他の電源遮断状態の機能回路モジュールに電源を供給し、クロック安定待ち等を実行する場合の構成及び動作状態の一例を説明するためのブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る半導体装置におけるSTBY modeからActive modeに遷移する場合の時間軸の電位及び状態の変化の一例を簡易的に示した図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。
【
図15】(A)は、実施形態1に係る半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。(B)は、実施形態1に係る半導体装置がActive modeからSTBY modeに遷移する途中過程の一例の動作を簡易的に示したブロック図である。(C)は、実施形態1に係る半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。
【
図16】(A)は、実施形態1に係る半導体装置のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。(B)は、実施形態1に係る半導体装置がSTBY modeからActive modeに遷移する途中過程の一例の動作を簡易的に示したブロック図である。(C)は、実施形態1に係る半導体装置のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を簡易的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0012】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。
【0014】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0015】
(単一電源によって電源遮断状態から電源導通状態に遷移する過程の瞬時電圧降下の原理説明)
【0016】
図1(A)は、電源遮断状態の論理回路モジュールと電源導通状態の論理回路モジュールが隣接する場合の電荷、コンデンサ容量、コンデンサに印加される電圧の関係の原理を簡略化して示した図である。
【0017】
コンデンサ容量C1は、電源遮断状態の論理回路モジュールの回路の寄生コンデンサ容量を示し、コンデンサ容量Cpは、電源導通状態の論理回路モジュールの回路の寄生コンデンサ容量を示す。電源遮断状態の論理回路モジュールはスイッチによって電圧が供給されない。したがって、電源遮断状態の論理回路モジュールに蓄えられる電荷は
図1(A)に示すように0クーロン(0c)である。電源遮断状態の論理回路モジュールには、スイッチを介してレギュレータ10から電圧Vdが供給されるので、電源導通状態の論理回路モジュールに蓄えられる電荷は
図1(A)に示すようにQpクーロンである。したがって、電源導通状態の論理回路モジュールに関して、下記の式(1)の関係が成立する。
Cp×Vd=Qp・・・(1)
【0018】
図1(B)は、
図1(A)の構成における電源遮断状態の論理回路モジュールが電源導通状態に遷移する場合の瞬間的な電圧降下の原理を説明するための図である。
図1(B)において、電源遮断状態の論理回路モジュールが電源導通状態に遷移するためには、電源遮断状態の論理回路モジュールにスイッチを介してレギュレータ10から電圧Vdが供給される必要があるが、しかし、スイッチがON状態になると、電荷Qpの一部が瞬間的に、電源遮断状態にあった論理回路モジュールに供給される。なぜなら、レギュレータ10は、電圧Vdが小さくなると、小さくなった電圧値を検知してから電圧Vdを維持しようと動作を開始するので、スイッチがON状態になってから動作が開始するまでにタイムラグがあるので、レギュレータ10は瞬間的には電荷をC1に供給できないからである。また、電源ラインを安定させる外部コンデンサであるVCLも半導体装置の外部に配置されるので、半導体装置の内部の抵抗及びインダクタンスによって、瞬時的には電源遮断状態にあった論理回路モジュールに電荷を供給することができない。
【0019】
上述したように、電源ラインの瞬時的な過渡電圧をVd’とし、電源遮断状態にあった論理回路モジュールに供給される電荷をQ1、電源導通状態の論理回路モジュールの減少した電荷をQp’とすると、以下の式(2)、(3)が成立する。
C1×Vd’=Q1・・・(2)
Cp×Vd’=Qp’・・・(3)
また、電荷保存の原理から以下の式(4)が成立する。
Qp=Q1+Qp’・・・(4)
式(4)に、式(1)、式(2)及び式(3)を代入すると
Cp×Vd=C1×Vd’+Cp×Vd’=(C1+Cp)×Vd’
上式をVd’について解くと、
Vd’=(Cp/(C1+Cp))×Vd=((1/(1+(C1/Cp)))・Vd
となる。
すなわち、(C1/Cp)が大きいほど、電圧Vd’が小さくなる(電圧Vdの電圧降下が大きくなる)ことが分かる。
【0020】
例えば、電源遮断状態の論理回路モジュールと電源導通状態の論理回路モジュールのコンデンサ容量(寄生容量等を含む)が等しい場合には、電圧Vd’は電圧Vdの1/2になるので、電源導通状態の論理回路モジュールが誤動作する場合があり得るので、電源遮断状態の論理回路モジュールの規模を大きくすることが困難になる。
【0021】
電源遮断状態にすることができる論理回路モジュールの規模を大きくするためには、後述するように、電源遮断状態の論理回路モジュールを分割し、時分割により分割された論理回路モジュールを電源導通状態にすることも考えられる。しかし、この場合には、時分割により分割された個数によって、電源遮断状態から電源導通状態に移行するためのスタンバイ復帰時間が長くなってしまう。
【0022】
(実施形態1)
<半導体装置1000の構成、及び、Active modeの説明>
図2は、実施形態1に係る半導体装置1000のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。実施形態1に係る半導体装置1000は、第1のレギュレータ100、第2のレギュレータ200、制御回路300及び設定レジスタ400を含む。さらに、実施形態1に係る半導体装置1000は、複数の機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数)、及び、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数)を含む。
【0023】
第1のレギュレータ100は、外部から供給される電圧をレギュレートして、機能回路モジュールの規定電圧として供給されるべき電圧VDDを生成する。例えば、外部から第1のレギュレータ100に供給される電圧VCCが3.3ボルトであり、第1のレギュレータ100から出力される電圧VDDが約1.18ボルトである場合があり得る。第1のレギュレータ100から出力される電圧VDDは、機能回路モジュールの動作を保証する電圧(動作保証電圧)以上であることが必要である。なお、第1のレギュレータ100は、機能回路モジュールが必要とする電流を供給する。例えば、半導体装置のすべての機能回路モジュールが電源導通状態である場合と、半導体装置の一部に電源遮断状態の論理回路モジュールを含む場合では、第1のレギュレータ100の供給電流は異なる。また、第1のレギュレータ100の出力ラインである第1の電源ラインの半導体装置1000からの出力端にあるパッドPの近傍には、電源ラインの電圧を安定化させるための安定化容量VCLが当該電源ラインと電気的に接続される。また、
図2は、Active modeの半導体装置1000を示すので、第1のレギュレータ100が生成する電圧VDDは、すべての機能回路モジュールに供給される。
【0024】
第2のレギュレータ200は、外部から供給される電圧をレギュレートして、機能回路モジュールの規定電圧として供給されるべき電圧VDD_PGを生成する。電圧VDDと電圧VDD_PGは同一であることが好ましい。ただし、第2のレギュレータ200から出力される電圧VDD_PGも、機能回路モジュールの動作を保証する電圧(動作保証電圧)以上であることが必要である。例えば、外部から第2のレギュレータ200に供給される電圧VCCが3.3ボルトであり、第2のレギュレータ200から出力される電圧VDD_PGが約1.18ボルトである場合があり得る。第2のレギュレータ200の出力ラインである第2の電源ラインによって、電圧VDD_PGは機能回路モジュールに供給される。なお、第2の電源ラインには、第1の電源ラインに電気的に接続されるような安定化容量は電気的に接続されない。また、第2のレギュレータ200第2の電源ラインと、第1のレギュレータ100の第1の電源ラインとは、STBY modeでは、相互に独立した電源ラインとなっている。さらに、
図2は、Active modeの半導体装置1000を示すので、第2のレギュレータ200が生成する電圧VDD_PGは、すべての機能回路モジュールに供給されていない。
【0025】
制御回路300は、外部から供給されるVCC電圧で動作し、上述した第1のレギュレータ100及び第2のレギュレータ200を制御する。また、制御回路300はスイッチ制御部310を含む。
【0026】
スイッチ制御部310は、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))をON/OFF制御するための制御線を有する。例えば、制御線C1は、スイッチ回路510_1をON/OFF制御する。スイッチ回路510_1がONになると、機能回路モジュール500_1は第2のレギュレータ200の出力と電気的に接続され、電圧VDD_PGが供給される。また、スイッチ回路510_1がOFFになると、機能回路モジュール500_1と第2のレギュレータ200の出力とは電気的に未接続となる。また、制御線C2は、スイッチ回路520_1をON/OFF制御する。スイッチ回路520_1がONになると、機能回路モジュール500_1は第1のレギュレータ100の出力と電気的に接続され、電圧VDDが供給される。また、スイッチ回路520_1がOFFになると、機能回路モジュール500_1と第1のレギュレータ100の出力とは電気的に未接続となる。
【0027】
上述したように、スイッチ制御部310は、それぞれの機能回路モジュールと第1のレギュレータ100及び第2のレギュレータ200との電気的接続をON/OFF制御するための制御線を有する。一例として、
図2においては、機能回路モジュールの数の2倍のスイッチ回路を制御する制御線を設けている。しかし、図示しないデコーダ等を用いて、スイッチ制御部310がスイッチ回路のON/OFFを制御することも可能である。
【0028】
図2においては、制御線C3は、スイッチ回路510_2のON/OFFを制御し、制御線C4は、スイッチ回路520_2のON/OFFを制御する。また、制御線C5は、スイッチ回路510_3のON/OFFを制御し、制御線C6は、スイッチ回路520_3のON/OFFを制御する。さらに、制御線Cx-1は、スイッチ回路510_nのON/OFFを制御し、制御線Cxは、スイッチ回路520_nのON/OFFを制御する。上述したように、スイッチ回路の数は、機能回路モジュールの数の2倍となる。
【0029】
設定レジスタ400には、STBYモード時においてONされるべきスイッチ回路及びOFFされるべきスイッチ回路の識別情報が書き込まれる。したがって、スイッチ制御部310は、設定レジスタ400の識別情報を読み出し、STBYモード時においてONされるべきスイッチ回路及びOFFされるべきスイッチ回路を識別し、制御線の論理レベルを決定する。なお、識別情報の書き込み、並びに、Active modeとSTBY modeとの切り替えに関する技術は従来技術に属するので、本開示の実施形態においては詳細を省略する。
【0030】
スイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))は、バイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタ等の半導体スイッチであり得る。スイッチ回路520_1、520_2、520_3・・・520_nは、総称して第1のスイッチ回路と称する場合がある。スイッチ回路510_1、510_2、510_3・・・510_nは、総称して第2のスイッチ回路と称する場合がある。第1のスイッチ回路は、第1のレギュレータの第1の電源ラインと機能回路モジュールとの電気的接続をON/OFFする機能を有する。また、第2のスイッチ回路は、第2のレギュレータの第2の電源ラインと機能回路モジュールとの電気的接続をON/OFFする機能を有する。Active modeの場合にはすべての第1のスイッチ回路はON状態となり、すべての第2のスイッチ回路はOFF状態となる。
【0031】
機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数))は、IP(Intellectual Property)であり得る。すなわち、機能回路モジュールは、何らかの機能を有する回路モジュール、何らかの機能の一部を有する回路モジュール、複数の機能を有する回路モジュールであり得る。例えば、一つの機能回路モジュールは、CPU、CPUの一部、記憶回路の少なくとも一部、複数のCPU、複数の記憶部、タイマー等の回路モジュールであり得る。また、本実施形態における半導体装置1000に含まれる機能回路モジュールは少なくとも2つ以上ある。
【0032】
図2においては、機能回路モジュール500_1、500_2、500_3及び500_nのすべての機能回路モジュールがスイッチ回路を介して第1のレギュレータ100の出力に電気的に接続されている。したがって、すべての機能回路モジュールが電源導通状態であり、動作可能である。なお機能回路モジュールは、STBY mode時に動作を休止する機能回路モジュールをスタンバイモード動作休止モジュールと称する場合がある。また、STBY mode時であっても動作を休止しない機能回路モジュールをスタンバイモード動作継続モジュールと称する場合がある。
【0033】
<半導体装置1000のSTBY modeの説明>
図3は、実施形態1に係る半導体装置1000のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。実施形態1に係る半導体装置1000は、上述したように第1のレギュレータ100、第2のレギュレータ200、制御回路300及び設定レジスタ400を含む。さらに、実施形態1に係る半導体装置は、上述したように、複数の機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数))、及び、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))を含む。
【0034】
また、
図3に示すように、STBY modeの実施形態1に係る半導体装置1000においては、電源遮断状態になる一つ以上の機能回路モジュールを含む。例えば、
図3においては、機能回路モジュール500_1及び500_3は第1のレギュレータ100及び第2のレギュレータ200から電圧が供給されないので、機能回路モジュール500_1及び500_3は電源遮断状態になる。STBY mode時においては、第2のレギュレータ200の出力ラインである第2の電源ラインは、0ボルト又はハイインピーダンス状態となる。
【0035】
さらに、
図3に示すように、STBY modeの実施形態1に係る半導体装置1000においては、電源遮断状態にある機能回路モジュール500_1及び500_3の第2のスイッチ回路はON状態となる。これは、電源遮断状態にある機能回路モジュール500_1及び500_3を速やかにActive modeに復帰させるためである。また、電源導通状態にある機能回路モジュール500_2及び500_nの第2のスイッチ回路はOFF状態となる。しかし、機能回路モジュール500_2及び500_nの第1のスイッチ回路はON状態なので、機能回路モジュール500_2及び500_nは第1のレギュレータ100から電圧VDDが供給され、電源導通状態を維持する。
【0036】
<半導体装置1000のActive modeからSTBY modeへの遷移>
図4(A)から
図4(C)は、半導体装置1000がActive modeからSTBY modeへ遷移する過程を経過時間に対応して説明したブロック図である。
図4(A)は、半導体装置1000がActive modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図4(B)は、半導体装置1000がActive modeからSTBY modeに遷移する途中過程の動作を簡易的に示したブロック図である。
図4(C)は、半導体装置1000がSTBY modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図4(A)は、
図2の一部を示しているために詳細な説明を省略する。また、
図4(C)は、
図3の一部を示しているために詳細な説明を省略する。
【0037】
半導体装置1000がActive modeにある場合には、
図4(A)に示したように、半導体装置1000に含まれる機能回路モジュールは、第1のレギュレータから第1の電源ラインを介して電圧VDDが供給される。また、半導体装置1000に含まれる機能回路モジュールは、第2のレギュレータから第2の電源ラインを介した電圧VDD_PGの供給は受けない。すなわち、第2のスイッチ回路はOFF状態となり、第1のスイッチ回路はON状態となる。
【0038】
半導体装置1000がActive modeからSTBY modeに遷移する遷移過程において、半導体装置1000は
図4(B)に示したように動作する。すなわち、Active modeからSTBY modeに遷移する機能回路モジュールの第2のスイッチ回路がOFF状態からON状態に変化し、第1のスイッチ回路はON状態からOFF状態に変化する。この状態では、電源導通状態から電源遮断状態に遷移する機能回路モジュールも電源導通状態を維持している。
【0039】
図4(C)に示すように、半導体装置1000が
図4(B)に示す遷移過程からSTBY modeに遷移すると、第2のレギュレータの出力電圧が0ボルト、又は、第2のレギュレータの出力がハイインピーダンスになる。したがって、ON状態の第2のスイッチ回路に電気的に接続されている機能回路モジュールは電源遮断状態に遷移する。
図4(C)の場合には、機能回路モジュール500_1及び500_3が電源遮断状態に遷移する。
【0040】
<半導体装置1000のSTBY modeからActive modeへの遷移>
図5(A)から
図5(C)は、半導体装置1000がSTBY modeからActive modeへ遷移する過程を経過時間に対応して説明したブロック図である。
図5(A)は、半導体装置1000がSTBY modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図5(B)は、半導体装置1000がSTBY modeからActive modeに遷移する途中過程の動作を簡易的示したブロック図である。
図5(C)は、半導体装置1000がActive modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図5(A)は、
図4(C)の半導体装置1000がSTBY modeにある状態と同じ状態を示している。
図5(B)は、
図4(B)の半導体装置1000の状態と同じ状態を示している。
図5(C)は、
図4(A)の半導体装置1000がActive modeにある状態と同じ状態を示している。
【0041】
図5(A)の電源遮断状態にある機能回路モジュールは、第2のスイッチ回路がON状態にある。
図5(B)において、第2のレギュレータが電圧を出力し始めると、ON状態にある第2のスイッチ回路に電気的に接続されている機能回路モジュールは電源遮断状態(0ボルト)から電圧VDD_PGにチャージアップされる。この場合、第2のレギュレータの出力電圧は、初期電圧から電圧VDD_PGに変化する。この時、
図1(B)において説明した電圧降下は、500_2、500_n等のSTBY mode時であっても動作を休止しない機能回路モジュールにおいて発生しない。なぜなら、機能回路モジュール500_2、500_nは、電圧VDD_PGと電気的に絶縁された状態にあるからである。また、第2のレギュレータの出力電圧が、初期電圧から電圧VDD_PGに変化する立上り時間の間に、ON状態にある第2のスイッチ回路に電気的に接続されているすべての機能回路モジュールは電源遮断状態(0ボルト)から電圧VDD_PGにチャージアップされる。
【0042】
図5(C)において、電圧VDD_PGにチャージアップされた機能回路モジュールは、第1のスイッチ回路をON状態にしてから、第2のスイッチ回路をOFF状態にして、第1のレギュレータから供給される電圧VDDを電源電圧とする。電圧VDD_PGと電圧VDDが同じ電圧であれば、スイッチ回路の切り替え時に、機能回路モジュールに供給される電源電圧の降下は発生しない。
【0043】
図6(A)は、従来の単一電源を使用して、チップ全体をActive modeに維持している状態を示すブロック図である。すなわち、CPUが動作し、チップ全体が動作している。したがって、機能回路モジュール500_1~500_8及び500_nは、第1のレギュレータ100からスイッチ回路を介して、電圧VDD(1.18V)が供給され、動作可能状態となっている。
【0044】
図6(B)は、従来の単一電源を使用して、チップ全体をSTBY modeに維持している状態の一例を示すブロック図である。すなわち、CPUは停止しているが、タイマー等の継続して動作することが必要な機能回路モジュールや、継続して情報を保持することが必要なメモリー等の機能回路モジュールに第1のレギュレータ100からスイッチ回路を介して、電圧VDD(1.18V)が供給される。
図6(B)では、一例として、機能回路モジュール500_2、500_4及び500_nに電圧VDD(1.18V)が供給され、機能回路モジュール500_1、500_3及び500_5~500_8等に電圧VDD(1.18V)が供給されていない状態を示している。
【0045】
図7は、従来の単一電源を使用して、チップ全体をSTBY modeからActive modeに遷移させる動作を示したタイミングチャートである。
図7においては、
図1(B)で説明した電圧降下を抑えるために、複数の機能モジュールを時分割して、電源遮断状態から電源導通状態に遷移させている。このように時分割している理由は、一度にすべての機能モジュールを電源遮断状態から電源導通状態に遷移させると電圧降下が大きくなりすぎるからである。例えば、単一電源として、第1のレギュレータだけを使用して、チップ全体をSTBY modeからActive modeに遷移させる場合には、
図1(B)において説明した電圧降下が発生する。すなわち、電圧降下によって、機能回路モジュールに供給される電圧の
図6(A)に示す電圧極小値P1、P2、P3等が機能回路モジュールが正常動作可能な下限値電圧Vminを下回らないことが必要である。なぜなら、機能回路モジュールに供給される電圧の電圧極小値が、下限値電圧Vminを下回ると、電源導通状態で動作中の機能回路モジュールが正常に動作しなくなるからである。したがって、分割された機能回路モジュールを順番にチャージアップし、機能回路モジュールに供給される電圧の電圧極小値が、下限値電圧Vminを下回らないようにする必要がある。そのために、分割された機能回路モジュールの数に対応して、STBY modeからActive modeに遷移する時間(スタンバイ復帰時間)が長くなる。
【0046】
具体的に、
図7の実験例では、レギュレータ(第1のレギュレータ)の安定待ち時間、電源遮断状態にある複数の機能回路モジュールへ順番に電源電圧を供給する処理時間、半導体装置1000のクロックが安定するまでの時間に約50μsを要した。当該レギュレータの安定待ち時間は、レギュレータの供給電力を上げるために必要な時間である。また、クロックの安定待ち時間は、半導体装置1000のクロックのセトリング時間等を含む時間である。
図8(A)から
図11(B)を使用して、
図7の動作を順番に説明する。
【0047】
図8(A)は、チップ全体をSTBY modeからActive modeに遷移させる動作を開始してから、
図7における「レギュレータの安定待ち」時間が終了するまでのチップの状態を示した図である。すなわち、レギュレータ100のチップ全体への電流供給能力が静定されるまで
図8(A)の状態が維持される。なお、低電力化を目的にSTBY状態ではレギュレータの電流駆動能力を下げた状態にしておくことが一般的である。そのため、STBY modeからActive modeに変化させる際は、まず初めにレギュレータを高駆動な状態に変化させる必要がある。このレギュレータを低駆動な状態から高駆動な状態に変化させるための待ち時間を、ここでは「レギュレータの安定待ち」時間と称している。
【0048】
図8(B)は、
図8(A)における「レギュレータの安定待ち」時間が終了してから、機能回路モジュール500_1のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_1に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合に、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように、
図7の電圧P1まで下降する。上述したように、電圧P1が下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_1のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_1のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、
図7に示されるように機能回路モジュール500_1に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0049】
図9(A)は、
図8(B)における機能回路モジュール500_1に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、機能回路モジュール500_3のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_3に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合にも、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように、
図7の電圧P2まで下降する。上述したように、電圧P2も下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_3のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_3のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、
図7に示すように機能回路モジュール500_3に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0050】
同様に、
図9(B)は、
図9(A)における機能回路モジュール500_3に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、機能回路モジュール500_5のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_5に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合にも、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように、
図7の電圧P3まで下降する。上述したように、電圧P3も下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_5のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_5のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、
図7に示すように機能回路モジュール500_5に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0051】
図9(B)と同様に、
図10(A)は、
図9(B)における機能回路モジュール500_5に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、機能回路モジュール500_6のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_6に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合にも、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように、
図7の電圧P4まで下降する。上述したように、電圧P4も下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_6のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_6のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、
図7に示すように機能回路モジュール500_6に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0052】
さらに、
図10(A)と同様に、
図10(B)は、
図10(A)における機能回路モジュール500_6に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、機能回路モジュール500_7のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_7に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合にも、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように下降するが、上述したように、下降電圧値が下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_7のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_7のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、機能回路モジュール500_7に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0053】
さらに、
図10(B)と同様に、
図11(A)は、
図10(B)における機能回路モジュール500_7に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、機能回路モジュール500_8のスイッチ回路をON状態として、機能回路モジュール500_8に電圧VDD(1.18V)が供給される状態を示したブロック図である。この場合にも、電圧VDDは、
図1(B)において説明したように下降するが、上述したように、下降電圧値が下限値電圧Vminを下回らないように、機能回路モジュール500_8のモジュール規模を制限する必要がある。機能回路モジュール500_8のスイッチ回路がON状態となってから、しばらくすると、機能回路モジュール500_8に供給される電圧VDDは、約1.18ボルトに回復する。
【0054】
図11(B)は、
図11(A)における機能回路モジュール500_8に供給される電圧VDDが約1.18ボルトに回復してから、その他の電源遮断状態の機能回路モジュールスイッチ回路を上述した手順によって順番にON状態とした後、
図7のクロック安定待ち等を実行し、スタンバイ復帰完了となった状態を示したブロック図である。
【0055】
図6(A)から
図11(B)における従来の単一電源を使用して、チップ全体をSTBY modeからActive modeに遷移させる動作に対して、
図12は、本実施形態に係る半導体装置1000の機能回路モジュールをSTBY modeからActive modeに遷移させる動作を示したタイミングチャートである。
図5(A)から
図5(C)に至るSTBY modeからActive modeに遷移する過程で説明したように、STBY mode中に電源遮断状態にあるすべての機能回路モジュールに一斉に電圧VDD_PGを印加することが可能である。したがって、
図6(A)における電源遮断状態にある複数の機能回路モジュールへ順番に電源電圧を供給するのに必要な処理時間(約30μs)が大幅に短縮される。
図12の実験例では、第1のレギュレータ100の安定待ち時間に半導体装置1000のクロックが安定するまでの時間を加えた約20μs以内に、機能回路モジュールを電源遮断状態から電源導通状態に遷移させることが可能である。すなわち、
図6(A)の従来の実験例と比べて本実施形態の半導体装置1000は、MCUをSTBY modeからActive modeに遷移させるための時間を半減させることが可能になった。
【0056】
上述したように、本実施形態の構成及び動作によれば、STBY modeからActive modeに移行するためのスタンバイ復帰時間を短縮することが可能な半導体装置を提供可能になる。
【0057】
(実施形態2)
<半導体装置1000’の構成、及び、Active modeの説明>
図13は、実施形態2に係る半導体装置1000’のActive modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。実施形態2に係る半導体装置1000’は、第1のレギュレータ100’、第2のレギュレータ200’、制御回路300’及び設定レジスタ400を含む。さらに、実施形態2に係る半導体装置1000’は、複数の機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数))、及び、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))を含む。実施形態2に係る半導体装置1000’の複数の機能回路モジュール及び複数のスイッチ回路は、実施形態1に係る半導体装置1000’の複数の機能回路モジュール及び複数のスイッチ回路と同一であってもよい。ただし、実施形態2に係る複数のスイッチ回路の動作は、実施形態1に係る複数のスイッチ回路の動作と異なる動作部分がある。
【0058】
具体的には、実施形態2に係る機能回路モジュールがActive modeの場合には、第1のスイッチ回路及び第2のスイッチ回路の両方がON状態となる。すなわち、機能回路モジュールがActive modeの場合には、第1のレギュレータ100’及び第2のレギュレータ200’の両方から電源電圧を供給できる構成になる。したがって、機能回路モジュールに供給される電力を第1のレギュレータ100’及び第2のレギュレータ200’の両方によって補うことができる。実施形態1に係る第2のレギュレータ200は、STBY modeからActive modeに遷移させるための専用のレギュレータとして機能していた。そのために、第2のレギュレータ200のための実装面積が増加し、面積オーバーヘッドが発生していた。しかし、実施形態2に係る第2のレギュレータ200’は第1のレギュレータ100’の供給電力を補うように構成されることが可能である。したがって、実施形態2に係る第1のレギュレータ100’と第2のレギュレータ200’をあわせた実装面積は、実施形態1に係る第1のレギュレータ100の実装面積と等しくなる。すなわち、実施例2のレギュレータの実装面積は、実施例1のレギュレータ実装面積に比べて、実施例1のレギュレータ200の分だけ低減可能になり、面積オーバーヘッドを低減することが可能になる。
【0059】
第1のレギュレータ100’は、制御回路300’から供給される電圧をレギュレートして、機能回路モジュールの規定電圧として供給されるべき電圧VDDを生成する。ただし、第1のレギュレータ100’から機能回路モジュールに供給されるべき電力は、第2のレギュレータ200’から供給される電力を差し引いた電力を供給するだけの電力供給能力で十分である。したがって、実施形態2に係る第1のレギュレータ100’の実装面積も、実施形態1に係る第1のレギュレータ100の実装面積よりも低減可能になる。
【0060】
第2のレギュレータ200’は、制御回路300’から供給される電圧をレギュレートして、機能回路モジュールの規定電圧として供給されるべき電圧VDD_PGを生成する。電圧VDDと電圧VDD_PGは同一である。ただし、第2のレギュレータ200’から機能回路モジュールに供給されるべき電力は、第1のレギュレータ100’から供給される電力を差し引いた電力を供給するだけの電力供給能力で十分である。
【0061】
制御回路300’は、外部から供給されるVCC電圧で動作して、上述した第1のレギュレータ100’及び第2のレギュレータ200’を制御する。また、制御回路300’はスイッチ制御部310’を含む。
【0062】
スイッチ制御部310’は、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))をON/OFF制御するための制御線を有する。機能回路モジュールがActive modeである場合には、制御線(C1、C2、C3、C4、C5、C6・・・Cx-1、Cx)は、第1のスイッチ回路及び第2のスイッチ回路の両方がON状態となるように制御する。
【0063】
設定レジスタ400には、ONされるべきスイッチ回路及びOFFされるべきスイッチ回路の識別情報が書き込まれる。したがって、スイッチ制御部310’は、設定レジスタ400の識別情報を読み出し、ONされるべきスイッチ回路及びOFFされるべきスイッチ回路を識別し、制御線の論理レベルを決定する。
【0064】
スイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))は、バイポーラトランジスタ又は電界効果トランジスタ等の半導体スイッチであり得る。スイッチ回路520_1、520_2、520_3・・・520_nは、総称して第1のスイッチ回路と称する場合がある。スイッチ回路510_1、510_2、510_3・・・510_nは、総称して第2のスイッチ回路と称する場合がある。第1のスイッチ回路は、第1のレギュレータの第1の電源ラインと機能回路モジュールとの電気的接続をON/OFFする機能を有する。また、第2のスイッチ回路は、第2のレギュレータの第2の電源ラインと機能回路モジュールとの電気的接続をON/OFFする機能を有する。Active modeの場合にはすべての第1のスイッチ回路及びすべての第2のスイッチ回路がON状態となる。
【0065】
機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数))は、第1の実施形態と同様にIP(Intellectual Property)であり得る。
【0066】
図13においては、機能回路モジュール500_1、500_2、500_3及び500_nのすべての機能回路モジュールがスイッチ回路を介して第1のレギュレータ100’及び第2のレギュレータ200’の出力に電気的に接続されている。したがって、すべての機能回路モジュールがActive modeであり、動作可能である。
【0067】
<半導体装置1000’のSTBY modeの説明>
図14は、実施形態2に係る半導体装置1000’のSTBY modeにおける構成及び動作状態の一例を示したブロック図である。実施形態2に係る半導体装置1000’は、上述したように第1のレギュレータ100’、第2のレギュレータ200’、制御回路300’及び設定レジスタ400を含む。さらに、実施形態2に係る半導体装置1000’は、実施形態1と同様に、複数の機能回路モジュール(500_1、500_2、500_3・・・500_n(nは4以上の自然数))、及び、複数のスイッチ回路(510_1、510_2、510_3・・・510_n、520_1、520_2、520_3・・・520_n(nは4以上の自然数))を含む。
【0068】
また、
図14に示すように、STBY modeの実施形態2に係る半導体装置1000’においては、電源遮断状態になる一つ以上の機能回路モジュールを含む。例えば、
図14において、機能回路モジュール500_1及び500_3は第1のレギュレータ100’及び第2のレギュレータ200’から電圧が供給されないので、機能回路モジュール500_1及び500_3は電源遮断状態になる。STBY mode時においては、第2のレギュレータ200’の出力ラインである第2の電源ラインは、0ボルト又はハイインピーダンス状態となる。
【0069】
さらに、
図14に示すように、STBY modeの実施形態2に係る半導体装置1000’においても、STBY modeにある機能回路モジュール500_1及び500_3の第2のスイッチ回路はON状態となる。これは、電源遮断状態にある機能回路モジュール500_1及び500_3を速やかにActive modeに復帰させるためである。また、電源導通状態にある機能回路モジュール500_2及び500_nの第2のスイッチ回路はOFF状態となる。しかし、機能回路モジュール500_2及び500_nの第1のスイッチ回路はON状態なので、機能回路モジュール500_2及び500_nは第1のレギュレータ100’から電圧VDDが供給され、電源導通状態を維持する。
【0070】
<半導体装置1000’のActive modeからSTBY modeへの遷移>
図15(A)から
図15(C)は、第2の実施形態に係る半導体装置1000’がActive modeからSTBY modeへ遷移する過程を経過時間に対応して説明したブロック図である。
図15(A)は、半導体装置1000’がActive modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図15(B)は、半導体装置1000’がActive modeからSTBY modeに遷移する途中過程の動作を簡易的に示したブロック図である。
図15(C)は、半導体装置1000がSTBY modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図15(A)は、
図13の一部を示しているために詳細な説明を省略する。また、
図15(C)は、
図14の一部を示しているために詳細な説明を省略する。
【0071】
半導体装置1000’がActive modeにある場合には、
図15(A)に示したように、半導体装置1000’に含まれる機能回路モジュールは、第1のレギュレータ100’から第1の電源ラインを介して電圧VDDが供給される。また、半導体装置1000’に含まれる機能回路モジュールは、第2のレギュレータ200’からも第2の電源ラインを介した電圧VDD_PGの供給を受ける。すなわち、第1のスイッチ回路及び第2のスイッチ回路は両方ともにON状態となる。
【0072】
半導体装置1000’がActive modeからSTBY modeに遷移する遷移過程において、半導体装置1000’は
図15(B)に示したように動作する。すなわち、電源導通状態から電源遮断状態に遷移する機能回路モジュールの第2のスイッチ回路がON状態を維持し、第1のスイッチ回路はON状態からOFF状態に変化する。この状態では、電源導通状態から電源遮断状態に遷移する機能回路モジュールも電源導通状態を維持している。また、この時、電源導通状態を維持するモジュールの第1のスイッチ回路がON状態を維持し、第2のスイッチ回路はON状態からOFF状態に変化する。
【0073】
図15(C)に示すように、半導体装置1000’が
図15(B)に示す遷移過程からSTBY modeに遷移すると、第2のレギュレータ200’の出力電圧が0ボルト、又は、第2のレギュレータ200’の出力がハイインピーダンスになる。したがって、ON状態の第2のスイッチ回路に電気的に接続されている機能回路モジュールは電源遮断状態に遷移する。
図15(C)の場合には、機能回路モジュール500_1及び500_3が電源遮断状態に遷移する。
【0074】
<半導体装置1000’のSTBY modeからActive modeへの遷移>
図16(A)から
図16(C)は、半導体装置1000’がSTBY modeからActive modeへ遷移する過程を経過時間に対応して説明したブロック図である。
図16(A)は、半導体装置1000’がSTBY modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図16(B)は、半導体装置1000’がSTBY modeからActive modeに遷移する途中過程の動作を簡易的に示したブロック図である。
図16(C)は、半導体装置1000’がActive modeにある場合を簡易的に示したブロック図である。
図16(A)は、
図15(C)の半導体装置1000’がSTBY modeにある状態と同じ状態を示している。
図16(B)は、
図15(B)の半導体装置1000’の状態と同じ状態を示している。
図16(C)は、
図16(A)の半導体装置1000’がActive modeにある状態と同じ状態を示している。
【0075】
図16(A)の電源遮断状態にある機能回路モジュールは、第2のスイッチ回路がON状態にある。
図16(B)において、第2のレギュレータ200’が電圧を出力し始めると、ON状態にある第2のスイッチ回路に電気的に接続されている機能回路モジュールは電源遮断状態(0ボルト)から電圧VDD_PGにチャージアップされる。この場合、第2のレギュレータ200’の出力電圧は、初期電圧から電圧VDD_PGに変化する。この時、
図1(B)において説明した電圧降下は、500_2、500_n等のSTBY mode時であっても動作を休止しない機能回路モジュールにおいて発生しない。なぜなら、500_2、500_nは、電圧VDD_PGと電気的に絶縁された状態にあるからである。また、第2のレギュレータ200’の出力電圧が、初期電圧から電圧VDD_PGに変化する立上り時間の間に、ON状態にある第2のスイッチ回路に電気的に接続されているすべての機能回路モジュールはSTBY mode(0ボルト)から電圧VDD_PGにチャージアップされる。
【0076】
図16(C)において、電圧VDD_PGにチャージアップされた機能回路モジュールは、第2のスイッチ回路をON状態に維持するとともに、第1のスイッチ回路をON状態にする。また、この時、電圧VDDによる電源導通状態を維持していたモジュール(500_2、500_n)の第2の電源スイッチ回路(510_2、510_n)がON状態に変化する。したがって、全ての機能回路モジュールは、第1のレギュレータ100’から供給される電圧VDD、及び、第2のレギュレータ200’から供給される電圧VDD_PGを電源電圧とする。なお、
図16(B)から
図16(C)に至るスイッチ回路の切り替え時には、全ての機能モジュールがチャージアップされているので、機能回路モジュールに供給される電源電圧の降下は発生しない。
【0077】
上述した実施形態2に係る半導体装置1000’の構成及び動作によれば、実施形態1に係る半導体装置1000による効果に加えて、実施形態2に係る第1のレギュレータ100’と第2のレギュレータ200’をあわせた実装面積は、実施形態1に係る第1のレギュレータ100の実装面積と等しくなる。すなわち、実施例2のレギュレータの実装面積は、実施例1のレギュレータ実装面積に比べて、実施例1レギュレータ200の分だけ低減可能になり、面積オーバーヘッドを低減することが可能になる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
100、100’ 第1のレギュレータ
200、200’ 第2のレギュレータ
300、300’ 制御回路
310、310’ スイッチ制御部
400 設定レジスタ
500_1、500_2、500_3、500_n 機能回路モジュール
510_1、510_2、510_3、510_n 第2のスイッチ回路
520_1、520_2、520_3、520_n 第1のスイッチ回路
1000、1000’ 半導体装置