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特開2023-180406硬化性組成物、硬化物、光学部材、及び硬化物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180406
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物、光学部材、及び硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 75/045 20160101AFI20231214BHJP
【FI】
C08G75/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093696
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 知紘
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
(72)【発明者】
【氏名】山内 一浩
【テーマコード(参考)】
4J030
【Fターム(参考)】
4J030BA04
4J030BA48
4J030BB07
4J030BC08
4J030BC33
4J030BC43
4J030BF19
4J030BG25
(57)【要約】
【課題】400nm~760nmの光に対する良好な透明性を有し、高屈折率であり、さらに耐溶剤性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する、硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する、硬化性組成物。
【請求項2】
前記化合物(A)が、分子中に3つ以上のチオール基を有する芳香族チオールである、
請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物(B)が、
ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子からなる群より選択される1種以上の原子に対して、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基及びノルボルニル基からなる群より選択される1種以上の基が直接結合している構造を有する化合物である、
請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記化合物(B)が、
テトラビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ヘキサビニルジシラン、テトラビニルゲルマン、フェニルトリビニルゲルマン、メチルトリビニルゲルマン、及びヘキサビニルジゲルマンからなる群より選択される1種以上を含む、
請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記光ラジカル発生剤(C)が、
波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ波長365nmにおけるグラム吸光係数の値が0.2L/(g・cm)以下の化合物である、
請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物であり、
波長426nmの光に対する吸光度をb(Abs.)、前記吸光度の測定光路長をa(mm)、としたときの、b/aの値が0.3以下である、
硬化物。
【請求項7】
25℃の温度条件下で、波長532nmの光に対する屈折率が1.75以上である、
請求項6に記載の硬化物。
【請求項8】
請求項6に記載の硬化物を含む光学部材。
【請求項9】
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する硬化性組成物に対して、310nm以上390nm以下の波長域の光を、積算光量が70J/cm以下となるように照射することにより硬化させる工程を含む、
硬化物の製造方法。
【請求項10】
発光ピーク波長を350~380nmに有する発光ダイオード光源を用い、前記硬化性組成物を硬化させる工程を含む、
請求項9に記載の硬化物の製造方法。
【請求項11】
前記光ラジカル発生剤(C)が、
波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ波長365nmにおけるグラム吸光係数の値が0.2L/(g・cm)以下である化合物である、
請求項10に記載の硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化物、光学部材、及び硬化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやカメラ付携帯電話等の急速な発展に伴って、固体撮像素子の小型化、高画素化が要求されており、無機ガラスと比較して、成形性や軽量性、耐衝撃性などに優れている透明な樹脂材料が種々の用途で使用されている。例えば、画像表示素子や光学素子における平坦化膜やマイクロレンズの材料として透明な樹脂材料が使用されている。これらの用途に使用される透明な樹脂材料は、良好な透明性、耐溶剤性、及び高屈折率等の特性が求められる。
【0003】
樹脂材料としては、ジチオール化合物とテトラビニルシランのような多官能アルケニル化合物とをバルク重合させて得られる含硫黄ポリマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、高屈折率で、かつ耐溶剤性の改善が期待される樹脂材料としては、架橋点が多いトリチオール化合物とテトラビニルシランのような多官能アルケニル化合物と、熱ラジカル発生剤とにより形成される樹脂材料及び硬化物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8975356号公報
【特許文献2】特開2015-25092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来提案されている樹脂材料は、以下の点で課題を有している。
特許文献1に開示されている樹脂材料は耐溶剤性が低いという問題点を有している。また、特許文献2に開示されている樹脂材料は、低い硬化温度により架橋反応が十分に進行しないために屈折率が低いという問題点を有している。すなわち、従来提案されている樹脂材料は、屈折率、及び耐溶剤性の観点から、改善の余地がある。
【0007】
そこで本発明においては、400nm~760nmの光に対する良好な透明性を有し、高屈折率であり、さらに耐溶剤性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、これから得られる硬化物、光学部材、及び硬化物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下の解決手段により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0009】
〔1〕
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する、硬化性組成物。
〔2〕
前記化合物(A)が、分子中に3つ以上のチオール基を有する芳香族チオールである、前記〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔3〕
前記化合物(B)が、
ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子からなる群より選択される1種以上の原子に対して、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基及びノルボルニル基からなる群より選択される1種以上の基が直接結合している構造を有する化合物である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性組成物。
〔4〕
前記化合物(B)が、
テトラビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ヘキサビニルジシラン、テトラビニルゲルマン、フェニルトリビニルゲルマン、メチルトリビニルゲルマン、及びヘキサビニルジゲルマンからなる群より選択される1種以上を含む、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の硬化性組成物。
〔5〕
前記光ラジカル発生剤(C)が、
波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ波長365nmにおけるグラム吸光係数の値が0.2L/(g・cm)以下の化合物である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の硬化性組成物。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の硬化性組成物の硬化物であり、
波長426nmの光に対する吸光度をb(Abs.)、前記吸光度の測定光路長をa(mm)、としたときの、b/aの値が0.3以下である、硬化物。
〔7〕
25℃の温度条件下で、波長532nmの光に対する屈折率が1.75以上である、前記〔6〕に記載の硬化物。
〔8〕
前記〔6〕又は〔7〕に記載の硬化物を含む光学部材。
〔9〕
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する硬化性組成物に対して、310nm以上390nm以下の波長域の光を、積算光量が70J/cm以下となるように照射することにより硬化させる工程を含む、
硬化物の製造方法。
〔10〕
発光ピーク波長を350~380nmに有する発光ダイオード光源を用い、前記硬化性組成物を硬化させる工程を含む、前記〔9〕に記載の硬化物の製造方法。
〔11〕
前記光ラジカル発生剤(C)が、
波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ、波長365nmにおけるグラム吸光係数の値が0.2L/(g・cm)以下の化合物である、
前記〔9〕又は〔10〕に記載の硬化物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、400nm~760nmの光に対する良好な透明性を有し、高屈折率であり、さらに耐溶剤性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、これから得られる硬化物、光学部材、及び硬化物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではなく、本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
〔硬化性組成物〕
本実施形態の硬化性組成物は、
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を、含有する。
【0013】
上記構成により、400nm~760nmの光に対する良好な透明性を有し、高屈折率であり、さらに耐溶剤性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物を提供できる。
【0014】
(化合物(A))
本実施形態の硬化性組成物は、(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物(以下、化合物(A)と記載する場合がある。)を含有する。
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物が有するチオール基とは、無置換チオール基(すなわち-SH基)及び置換チオール基(例えば以下に列挙するもの)を包含する。
【0015】
置換チオール基とは、無置換チオール基の水素が、置換又は無置換のアルキル基等の他の基に置換されている基である。
置換チオール基としては、置換又は無置換のアルキルチオ基としてメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、iso-ヘキシルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、3,5,5-トリメチルヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基等の総炭素数1以上10以下の直鎖又は分岐のアルキルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等の総炭素数5以上10以下のシクロアルキルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、n-プロポキシエチルチオ基、iso-プロポキシエチルチオ基、n-ブトキシエチルチオ基、iso-ブトキシエチルチオ基、tert-ブトキシエチルチオ基、n-ペンチルオキシエチルチオ基、iso-ペンチルオキシエチルチオ基、n-ヘキシルオキシエチルチオ基、iso-ヘキシルオキシエチルチオ基、n-ヘプチルオキシエチルチオ基等の総炭素数2以上10以下のアルコキシアルキルチオ基、ベンジルチオ基等のアラルキルチオ基、メチルチオエチルチオ基、エチルチオエチルチオ基、n-プロピルチオエチルチオ基、iso-プロピルチオエチルチオ基、n-ブチルチオエチルチオ基、iso-ブチルチオエチルチオ基、tert-ブチルチオエチルチオ基、n-ペンチルチオエチルチオ基、iso-ペンチルチオエチルチオ基、n-ヘキシルチオエチルチオ基、iso-ヘキシルチオエチルチオ基、n-ヘプチルチオエチルチオ基等の総炭素数2以上10以下のアルキルチオアルキルチオ基、置換又は無置換のアリールチオ基としてフェニルチオ基、ナフチルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、3-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-エチルフェニルチオ基、プロピルフェニルチオ基、ブチルフェニルチオ基、ヘキシルフェニルチオ基、シクロヘキシルフェニルチオ基、2,4-ジメチルフェニルチオ基、2,5-ジメチルフェニルチオ基、2,6-ジメチルフェニルチオ基、3,4-ジメチルフェニルチオ基、3,5-ジメチルフェニルチオ基、3,6-ジメチルフェニルチオ基、2,3,4-トリメチルフェニルチオ基、2,3,5-トリメチルフェニルチオ基、2,3,6-トリメチルフェニルチオ基、2,4,5-トリメチルフェニルチオ基、2,4,6-トリメチルフェニルチオ基、3,4,5-トリメチルフェニルチオ基等の総炭素数12以下の無置換又はアルキル置換アリールチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、3-メトキシフェニルチオ基、4-メトキシフェニルチオ基、2-エトキシフェニルチオ基、プロポキシフェニルチオ基、ブトキシフェニルチオ基、ヘキシルオキシフェニルチオ基、シクロヘキシルオキシフェニルチオ基等の炭素数6以下の置換又は無置換のアルキルオキシ基が置換した総炭素数12以下のモノアルコキシアリールチオ基、2,3-ジメトキシフェニルチオ基、2,4-ジメトキシフェニルチオ基、2,5-ジメトキシフェニルチオ基、2,6-ジメトキシフェニルチオ基、3,4-ジメトキシフェニルチオ基、3,5-ジメトキシフェニルチオ基、3,6-ジメトキシフェニルチオ基、4,5-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、4,7-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、4,8-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、5,8-ジメトキシ-1-ナフチルチオ基、5,8-ジメトキシ-2-ナフチルチオ基等の炭素数6以下の置換又は無置換のアルキルオキシ基が置換した総炭素数12以下のジアルコキシアリールチオ基、クロロフェニルチオ基、ジクロロフェニルチオ基、トリクロロフェニルチオ基、ブロモフェニルチオ基、ジブロモフェニルチオ基、ヨードフェニルチオ基、フルオロフェニルチオ基、クロロナフチルチオ基、ブロモナフチルチオ基、ジフルオロフェニルチオ基、トリフルオロフェニルチオ基、テトラフルオロフェニルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等のハロゲン原子で置換された総炭素数12以下のアリールチオ基等が挙げられる。
耐熱性の観点から、置換又は無置換のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、iso-ヘキシルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、3,5,5-トリメチルヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基等の総炭素数1~10以下の直鎖又は分岐のアルキルチオ基が好ましく、さらに屈折率の観点からメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基がより好ましい。
【0016】
化合物(A)は、高い架橋密度による硬化物の屈折率特性向上の観点から、芳香族チオールであることが好ましい。
なお、芳香族チオールとは、少なくとも1つのチオール基が芳香環と直接結合した構造を有する化合物である。
化合物(A)は、1つの芳香環と直接結合したチオール基を2つ以上有していてもよく、1分子中に存在する2つ以上の芳香環のそれぞれと直接結合したチオール基を1つ以上有していてもよく、芳香環にヘテロ原子を含んでもよい。
芳香族チオールとしては、以下に限定されないが、例えば、1,3,5-ベンゼントリチオール、1,2,3-ベンゼントリチオール、1,2,4-ベンゼントリチオール、トリチオシアヌル酸、1,2,3,4-ベンゼンテトラチオール、1,2,4,5-ベンゼンテトラチオール、1,2,3,5-ベンゼンテトラチオール、1,2,3,4,5,6-ベンゼンヘキサチオール等のベンゼンポリチオール、1,3,6-ナフタレントリチオール、1,2,4,5-ナフタレンテトラチオール、1,4,5,8-ナフタレンテトラチオール、2,3,6,7-ナフタレンテトラチオール、1,2,3,4,6,7-ナフタレンヘキサチオール、1,2,3,5,6,7-ナフタレンヘキサチオール等のナフタレンポリチオール、1,4,5-アントラセントリチオール、1,4,5,8-アントラセンテトラチオール、1,2,6,7-ピレンテトラチオール等の多環芳香族ポリチオールが挙げられる。
化合物(A)は、上記の化合物を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
(化合物(B))
本実施形態の硬化性組成物は、(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物(以下、化合物(B)と記載する場合がある。)を含有する。
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物が有する炭素-炭素不飽和結合とは、反応性を有する炭素-炭素二重結合及び炭素-炭素三重結合のいずれも含まれる。なお、炭素-炭素不飽和結合には、芳香環におけるような非局在化結合は含まない。
化合物(B)は、炭素-炭素不飽和結合含有基を有することによって、化合物中に上記炭素-炭素不飽和結合を有することができる。
炭素-炭素不飽和結合含有基としては、以下に限定されないが、例えば、ノルボルニル基、ビニルシリル基、ビニルゲルミル基、ビニルスタンニル基、ビニルプルンビル基、アリルエーテル基、アリル基、ビニルエーテル基、フマレート基、プロペニル基、マレイミド基、メタクリル基、アクリル基、クロトナート基、スチリル基、ブタジエン基等が挙げられる。特に、上述した化合物(A)が有するチオール基との良好な反応性の観点から、ノルボルニル基、ビニルシリル基、ビニルゲルミル基、ビニルスタンニル基、アリルエーテル基、アリル基、ビニルエーテル基、フマレート基、プロペニル基、マレイミド基が好ましく、さらに、本実施形態の硬化性組成物及び硬化物の耐熱性の観点から、ビニルシリル基、ビニルゲルミル基、ビニルスタンニル基、アリルエーテル基、アリル基、ノルボルニル基、及びビニルエーテル基がより好ましい。
【0018】
本実施形態の硬化性組成物において、化合物(B)中にC=N結合を含まないことが好ましい。
これにより、反応後に生成されるヘテロ原子間結合量が少なくなるため、高い耐熱性が得られる。
【0019】
化合物(B)は、ケイ素原子、ゲルマニウム原子及びスズ原子からなる群より選択される1種以上の原子に対して、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基、及びノルボルニル基からなる群より選択される1種以上の基が直接結合している構造を有する化合物であることが好ましい。
これにより、硬化物の密度が高くなり、硬化物の屈折率向上の効果が得られる。
【0020】
化合物(B)としては、以下に限定されないが、例えば、テトラビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン等のビニルシラン化合物類、テトラビニルゲルマン、フェニルトリビニルゲルマン、メチルトリビニルゲルマン、ジメチルジビニルゲルマン等のビニルゲルマン化合物類、テトラビニルスタンナン等のビニルスタンナン化合物類、ヘキサビニルジシラン等のビニルポリシラン化合物類、ヘキサビニルジゲルマン等のビニルポリゲルマン化合物類、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン類、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等の置換イソシアヌレート類が挙げられる。
化合物(B)としては、上記の化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(化合物(A)と化合物(B)との混合比)
本実施形態の硬化性組成物においては、上述した化合物(A)と化合物(B)との組合せにより、高い屈折率及び無色透明性、耐溶剤性の実現が可能になる。
化合物(A)と、化合物(B)との硬化性組成物内の混合比としては、化合物(A)が有するチオール基と、化合物(B)が有する炭素-炭素不飽和結合とのモル比として、[化合物(A)中のチオール基(mol)]/[化合物(B)中の炭素-炭素不飽和結合(mol)]が、硬化物の高い反応率及び高い屈折率を得る観点から、0.5以上2.0以下であることが好ましい。さらに、優れた耐候性を得る観点から、前記モル比は1.1以上がより好ましく、硬化物の硬度をさらに優れたものとする観点から前記モル比は1.8以下がより好ましい。
硬化性組成物中の化合物(A)及び化合物(B)の混合比は上記モル比が実現されるように調整することが好ましい。
【0022】
(光ラジカル発生剤(C))
本実施形態の硬化性組成物は光ラジカル発生剤(C)を含有する。
上述した化合物(B)の炭素-炭素不飽和結合部位と、上述した化合物(A)のチオール基とはラジカル成長-連鎖移動反応する。すなわち、系中に存在するラジカルが、チオール基から水素を引き抜き、水素を引き抜かれたチオール基がラジカルとなって炭素-炭素不飽和結合部位と反応することで、ラジカル移動と分子鎖の成長が生じ、重合が継続する。一般に、ラジカル成長-連鎖移動反応は、無触媒下であっても、熱、紫外線に対して自発的に進行するが、本実施形態の硬化性組成物が(C)光ラジカル発生剤を含有することにより硬化反応における反応制御が容易になり、かつ架橋密度が向上し、硬化物の屈折率及び機械特性、耐熱性が向上するため、光ラジカル発生剤(C)を用いる。
【0023】
光ラジカル発生剤(C)は、光によってラジカルを発生するものであれば特に制限されないが、365nmの波長の光に対する吸収を持つ光ラジカル発生剤が好ましく、より具体的には365nmの波長の光に対する吸収を持つ以下の(1)~(12)の化合物群が好ましいものとして挙げられる。
【0024】
(1):ベンゾフェノン誘導体;例えば、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等が挙げられる。
【0025】
(2):アセトフェノン誘導体;例えば、トリクロロアセトフェノン、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、フェニルグリオキシル酸メチル、(2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン)(BASF株式会社製Irgacure(登録商標)127)等が挙げられる。
【0026】
(3):チオキサントン誘導体;例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0027】
(4):ベンジル誘導体;例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等が挙げられる。
【0028】
(5)ベンゾイン誘導体;例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。
【0029】
(6):オキシム系化合物;例えば、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)](BASF株式会社製Irgacure(登録商標)OXE-01)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(BASF株式会社製Irgacure(登録商標)OXE02)等が挙げられる。
【0030】
(7):α-ヒドロキシケトン系化合物;例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン等が挙げられる。
【0031】
(8):α-アミノアルキルフェノン系化合物;例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(BASF株式会社製Irgacure(登録商標)369)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン等が挙げられる。
【0032】
(9):フォスフィンオキサイド系化合物;例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF株式会社製Darocure(登録商標)TPO)等が挙げられる。
【0033】
(10):チタノセン化合物;例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0034】
(11):ベンゾエイト誘導体;例えば、エチル-p-(N,N-ジメチルアミノベンゾエイト)等が挙げられる。
【0035】
(12):アクリジン誘導体;例えば、9-フェニルアクリジン等が挙げられる。
【0036】
上述した光ラジカル発生剤(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
光ラジカル発生剤(C)は、波長400nm~420nmの光線の透過率を高め、着色を抑制する観点から、波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ、365nmの波長の光に対する吸収のグラム吸光係数の値が1.0L/(g・cm)以下の化合物が好ましく、0.2L/(g・cm)以下の化合物より好ましく、0.1L/(g・cm)以下の化合物がさらに好ましい。
365nmの波長の光に対する吸収のグラム吸光係数の値は、光ラジカル発生剤(C)のアセトニトリル溶液を調製し、透過率測定装置(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製 分光光度計U-4100)により測定できる。
前記条件を満たす光ラジカル発生剤(C)としては、例えば、α-ヒドロキシアセトフェノン類が好ましく、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンがより好ましい。
【0038】
光ラジカル発生剤(C)の波長300nm以上400nm以下の範囲における吸収極大波長は、波長400nm~420nmの光線の透過率をより高め、着色を更に抑制する観点から、好ましくは360nm以下であり、より好ましくは350nm以下であり、さらに好ましくは340nm以下である。
【0039】
本実施形態の硬化性組成物における光ラジカル発生剤(C)の含有量は、上述した化合物(A)及び化合物(B)の合計質量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。0.1質量部以上であると硬化が良好に進行するため好ましく、10質量部以下であると、光又は熱による硬化後の硬化物に着色が少ないため好ましい。
【0040】
(熱ラジカル発生剤)
本実施形態の硬化性組成物は、熱ラジカル発生剤を含有してもよい。
熱ラジカル発生剤は、熱によってラジカルを発生するものであれば特に制限されない。
熱ラジカル発生剤としては、以下に限定されないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイドのような有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物が挙げられる。
【0041】
熱ラジカル発生剤は、具体的には、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70、和光純薬製)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65、和光純薬製)2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(V-60、和光純薬製)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(V-59、和光純薬製)等のアゾニトリル化合物;オクタノイルパーオキシド(パーロイル(登録商標)O、日油製)、ラウロイルパーオキシド(パーロイル(登録商標)L、日油製)、ステアロイルパーオキシド(パーロイル(登録商標)S、日油製)、スクシニックアシッドパーオキシド(パーロイル(登録商標)SA、日油製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパー(登録商標)BW、日油製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイル(登録商標)IB、日油製)、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド(ナイパー(登録商標)CS、日油製)、及び3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド(パーロイル(登録商標)355、日油製)等のジアシルパーオキサイド類;ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)NPP-50M、日油製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)IPP-50、日油製)、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)TCP、日油製)、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)EEP、日油製)、ジ-2-エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)OPP、日油製)、ジ-2-メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)MBP、日油製)、及びジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイル(登録商標)SOP、日油製)等のパーオキシジカーボネート類;t-ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチル(登録商標)H-69、日油製)、及び1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタ(登録商標)H、日油製)、等のヒドロパーオキサイド類;ジ-t-ブチルパーオキサイド(パーブチル(登録商標)D、日油製)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ(登録商標)25B、日油製)等のジアルキルパーオキサイド類;α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ダイパー(登録商標)ND、日油製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミル(登録商標)ND、日油製)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタ(登録商標)ND、日油製)、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロ(登録商標)ND、日油製)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシル(登録商標)ND、日油製)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチル(登録商標)ND、日油製)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシル(登録商標)PV、日油製)、t-ブチルパーオキシピバレート(パーブチル(登録商標)PV、日油製)、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーオクタ(登録商標)O、日油製)2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ(登録商標)250、日油製)、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーシクロ(登録商標)O、日油製)、t-ヘキシルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(パーヘキシル(登録商標)O、日油製)、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(パーブチル(登録商標)O、日油製)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチル(登録商標)IB、日油製)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシル(登録商標)I、日油製)、及びt-ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチル(登録商標)MA、日油製)、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(トリゴノックス(登録商標)121、化薬アクゾ製)、t-アミルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート(カヤエステル(登録商標)AN、化薬アクゾ製)等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物等が挙げられる。
これらの熱ラジカル発生剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本実施形態の硬化性組成物における熱ラジカル発生剤の含有量は、着色を抑制する観点から、上述した化合物(A)及び化合物(B)の合計質量100質量部に対して、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下が好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましい。
【0043】
(その他の成分)
本実施形態の硬化性組成物には、上述した成分に加えて、重合抑制剤、溶剤、無機フィラー等、必要に応じて、その他の成分を配合することができる。
【0044】
<重合抑制剤>
本実施形態の硬化性組成物の安定性をより向上させる観点から、ラジカル反応を抑制する化合物を重合抑制剤として配合することが好ましい。このような化合物としては、以下に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等のリン系化合物;p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert-ブチルカテコール、塩化第一銅、2、6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2、2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等のラジカル重合禁止剤;ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアミノメチル)フェノール、ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチルへキシルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダール等のイミダゾール類が挙げられる。
【0045】
前記リン系化合物のうち、亜リン酸トリフェニルは、ラジカル反応の抑制効果が高く、かつ室温で液状であり取り扱いが容易であるため好ましい。リン系化合物(特に亜リン酸トリフェニル)を本実施形態の硬化性組成物に配合する場合には、リン系化合物(特に亜リン酸トリフェニル)の配合量は、上述した化合物(A)及び化合物(B)の合計質量100質量部に対して、ラジカル反応を抑制する効果の観点から0.1質量部以上が好ましく、硬化性の観点から10質量部以下が好ましい。
【0046】
重合抑制剤のうち、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩は、少量でもラジカル反応の抑制効果が高く、かつ得られる硬化物の色調に優れるため好ましい。ラジカル重合禁止剤(特にN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)を、本実施形態の硬化性組成物に配合する場合には、ラジカル重合禁止剤(特にN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)の配合量は、上述した化合物(A)及び化合物(B)の合計質量100質量部に対して、ラジカル重合抑制効果の観点から0.0001質量部以上が好ましく、硬化性の観点から0.1質量部以下が好ましい。
【0047】
三級アミン類のうち、ベンジルジメチルアミンは少量でもラジカル反応の抑制効果が高く、かつ室温で液状であり取り扱いが容易であるため好ましい。三級アミン類(特にベンジルジメチルアミン)を、本実施形態の硬化性組成物に配合する場合には、三級アミン類(特にベンジルジメチルアミン)の配合量は、上述した化合物(A)及び化合物(B)の合計質量100質量部に対して、ラジカル重合抑制性の観点から0.001質量部以上が好ましく、耐熱性の観点から5質量部以下が好ましい。
【0048】
<溶剤>
また、本実施形態の硬化性組成物には必要に応じて溶剤を配合することができる。
溶剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。硬化、成形時の発泡、及び硬化物中の溶剤の残存を防止するため、溶剤の含有量は硬化性組成物全量に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0049】
<無機フィラー>
本実施形態の硬化性組成物には、無機フィラーを配合してもよい。
無機フィラーは、光透過性への悪影響を避けるため、目的の用途において使用する波長以下の平均粒子径を有するものが好ましく、平均粒子径は、より好ましくは100nm以下である。
無機フィラーは、本実施形態の硬化性組成物において、機械的物性の改善や、熱伝導性、屈折率の向上を図ることができる。
無機フィラーの平均粒子径の下限は特に限定はないが、本実施形態の硬化性組成物の粘度を低くし、良好な成形性を担保するため、0.1nm以上であることが好ましい。なお上記平均粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値である。
本実施形態の硬化性組成物における無機フィラーの配合量は、目的に応じて選択できるが、硬化性組成物の無機フィラー以外の成分の合計100質量部に対して、1~60質量部が好ましく、より好ましくは5~60質量部、さらに好ましくは5~40質量部である。
【0050】
<添加剤>
本実施形態の硬化性組成物には、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、可塑剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は公知の方法、例えば遠心分離等を用いて硬化性組成物の他の成分と混合することができ、得られた混合物を公知の方法、例えば真空脱泡等で泡抜きすることが好ましい。
【0051】
〔硬化物〕
本実施形態の硬化物は、上述した本実施形態の硬化性組成物の硬化物であり、硬化物の波長426nmの光に対する吸光度をb(Abs.)、前記吸光度の測定光路長をa(mm)としたときの、b/aの値は0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。
b/aの値が0.3以下であることにより、波長400nm~420nmの光線の透過率を高め、硬化物の着色が抑制される。
b/aの値は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
b/aの値は、硬化物作製の際に光ラジカル発生剤(C)を用いた光硬化工程を実施することにより、上述した数値範囲に制御することができる。
【0052】
本実施形態の硬化物は、25℃の温度条件下で、波長532nmの光に対する屈折率が、1.75以上であることが好ましく、1.77以上であることがより好ましく、1.78以上であることがさらに好ましい。
屈折率が1.75以上であることにより、光学部材の用途において、優れた特性を発揮できる。
屈折率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
屈折率は、硬化物作製の際に光ラジカル発生剤(C)を用いた光硬化工程を実施する事により、上述した数値範囲に制御することができる。
【0053】
(硬化物の製造方法)
本実施形態の硬化物の製造方法は、
(A)分子中に3つ以上のチオール基を有する化合物と、
(B)分子中に2つ以上の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物と、
(C)光ラジカル発生剤と、
を含有する硬化性組成物に対して、310nm以上390nm以下の波長域の光を、積算光量が70J/cm以下となるように照射することにより硬化する工程を含む。
なお、上述の硬化性組成物は、本実施形態に係る硬化性組成物である。
光照射による硬化反応を効率よく行う観点から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、光を照射する前に硬化性組成物を加熱してもよい。
本実施形態の硬化物の製造方法においては、光硬化反応を促進するために、加熱条件下で光照射を実施してもよく、架橋密度向上の観点から光を照射した後に加熱を行うことにより硬化してもよい。
【0054】
本実施形態の硬化物の製造方法では、光照射工程においては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)光源、低圧若しくは高圧の水銀ランプ、蛍光灯、自然光、太陽光、重水素ランプ、又はアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、又はXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF若しくはArCl等のエキシマレーザー等を使用することができる。
本実施形態の硬化物の製造方法は、光源由来の発熱の抑制に優れており、照度と波長調節によるラジカル発生量を制御することができるため、発光ダイオード光源を使用することが好ましい。発光ダイオード光源は、単一発光波長で発光するものが好ましい。単一発光波長の発光ダイオード光源は、発光波長における半値幅が狭く、波長調節によるラジカル発生量を制御することができる。また硬化物の波長400nm~420nmの光線の透過率を高め、黄変を抑制する観点から発光ピーク波長を350~380nmに有する発光ダイオード光源がより好ましく、発光ピーク波長を360~380nmに有する発光ダイオード光源がさらに好ましい。
【0055】
上述の発光ピーク波長を350~380nmに有する発光ダイオード光源で硬化させる際に、硬化性組成物に含まれる光ラジカル発生剤(C)が、上述の波長300nm以上400nm以下の範囲に吸収極大を有し、かつ、波長365nmにおけるグラム吸光係数の値が0.2L/(g・cm)以下の化合物であることが好ましい。このような光源と、光ラジカル発生剤(C)の種類の組み合わせによって、波長400nm~420nmの光線の透過率をさらに高めることができ、黄変もさらに抑制される。
【0056】
本実施形態の硬化物の製造方法では、光照射工程の露光に際して、310nm以上390nm以下の波長域の光の照度を1mW/cm2~200mW/cmとすることが好ましい。照度を1mW/cm2以上とすることにより、露光時間を短縮することができるため生産性が向上し、200mW/cm以下とすることにより、副反応を抑止できる傾向にあり好ましい。
310nm以上390nm以下の波長域の光の照射における、積算光量は70J/cm以下が好ましく、50J/cm以下がより好ましく、20J/cmとすることがさらに好ましい。特に20J/cm以下とすることにより、副反応による着色成分の発生を効果的に抑制でき、硬化物の透明性が優れたものとなる。ただし、透明性低下のメカニズムは上記に限定されることはない。
【0057】
本実施形態の硬化物の製造方法において、硬化性組成物及び硬化物を加熱する際の条件に特に制限はなく、公知の条件を採用することができる。硬化温度は種々設定できるが、硬化速度と成形加工性との観点から30℃~300℃が好ましく、60℃~200℃がさらに好ましい。
【0058】
(硬化物の用途)
本実施形態の硬化性組成物及び硬化物は、優れた屈折率と無色透明性、耐溶剤性とが求められる種々の用途に好適に使用できる。例えば、後述する種々の光学部材が挙げられる。すなわち本実施形態の光学部材は、上述した本実施形態の硬化物を含む。
【0059】
<コーティング剤>
本実施形態の硬化性組成物を所望の基材にコーティングし、硬化させることでコーティング層を光学部材として得ることができる。
基材としては、例えば、ガラス、鉄、アルミ、銅、ITO等の無機基材、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PSt)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)等の有機基材等、各種公知のものを適宜に選択使用できる。
硬化性組成物をコーティングし、紫外線硬化させることで、導光板、偏光板、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、OHPフィルム、光ファイバー、カラーフィルター、光ディスク基板、レンズ、液晶セル用プラスチック基板、プリズム等にコーティング層を形成させることができる。また、硬化性組成物から得られる硬化物の屈折率が基材より高い場合には、反射防止効果を付与することができる。
【0060】
<接着剤>
所定の基材間に本実施形態の硬化性組成物を介在させ、ついで硬化性組成物を硬化させることにより、接着層有する光学部材を得ることができる。基材としては、コーティング層形成について前述したものと同様のものを使用できる。上述のような硬化性組成物で接着することで、透明な接着層が得られるため、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、カラーフィルター、光ディスク基板等を好適に作製できる。
【0061】
<封止材・マイクロレンズ>
本実施形態の硬化性組成物を所定の部位に塗布し、又は所定の型枠に流し込んだ後、硬化させることで、透明な硬化物で封止された成形材料を光学部材として得ることができる。このような成形材料は、発光素子、受光素子、記録素子、半導体回路素子、光-電気回路素子、導波路、光学素子、ディスプレイ、バイオセンサー等に特に好適である。
【0062】
<ナノインプリント>
本実施形態の硬化性組成物を所定の部位に塗布し、ナノインプリントモールドを硬化性組成物上に配し、硬化させ、モールドを離形することで透明な成形材料を光学部材として得ることができる。
ナノインプリントによる転写パターンは、L/S、格子、ピラー、ホール等を得ることができる。このような成形材料は、発光素子、受光素子、光伝送関連部品等の光学部品用途に、特に好適である。
【0063】
<透明基板>
本実施形態の硬化性組成物をガラスクロス(基材)に含浸させ、硬化させることで透明基板を光学部材として得ることができる。
ガラスクロスとしては各種公知のものを適宜に選択使用できる。
ガラスクロスとしては、各種公知のガラス繊維(Eガラス、Cガラス、ECRガラス、Tガラス等から構成されるストランド、ヤーン、ロービング等)から得られる各種の布帛が使用できるが、Eガラスから作られるガラスクロスが安価であり、入手性に優れるため好ましい。
硬化性組成物をガラスクロスに含浸させる方法については、特に限定されず、各種公知の方法を採用でき、またコーティング法を採用してもよい。
また、得られる透明基板を無色透明とするためには、硬化性組成物から得られる硬化物とガラスクロスとの屈折率の差を0.02以下にすることが好ましく、0.01以下にすることがより好ましく、同一にすることがさらに好ましい。
また、硬化性組成物を溶剤希釈することで、ガラスクロスへの含浸性をより向上させることができる。なお、ガラスクロスに対する硬化性組成物の使用割合は、得られる透明基板の用途に応じて適宜に決定でき、通常はガラスクロス100質量部に対して、20~500質量部である。また得られる透明基板の厚みも、用途に応じて適宜に決定でき、通常は20μm~1mmである。
上述のような硬化性組成物をガラスクロスに含浸させ、硬化させることで得られる透明基板は、透明性、耐熱性に優れるため、導光板、偏光板、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、カラーフィルター、光ディスク基板、液晶セル用プラスチック基板等にコーティング層を作製するのに好適である。
【実施例0064】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性の測定方法、評価方法は以下のとおりである。
【0065】
〔b/aの測定〕
後述する実施例及び比較例で作製した硬化性組成物の硬化物について、透過率測定装置(日立ハイテクノロジーズ社製、分光光度計U-4100)を用いて350~800nmの光の透過率を測定し、波長426nmの光の吸光度をb(Abs.)として抽出した。また、作製した硬化物を定圧厚さ測定器((株)テクロック社製、型式:PF-01J)を用いて透過率測定範囲の任意の4点の厚さを測定し、算出した平均厚さを測定光路長a(mm)としてb/aを算出した。
【0066】
〔透明性(波長400nm~760nmの光線の平均内部透過率及び波長400nm~420nmの光線の平均内部透過率)〕
実施例及び比較例で作製した硬化性組成物の硬化物について、透過率測定装置(日立ハイテクノロジーズ社製、分光光度計U-4100)を用いて350~800nmの光の透過率を測定し、波長400nm~760nmの光の内部透過率の平均値(%)を抽出し、更に波長400nm~420nmの光の内部透過率の平均値(%)を抽出した。
上記波長400nm~760nmの光の透過率が、90%以上のものを○、90%未満のものを×と評価した。
上記波長400nm~420nmの光の透過率が、90%以上のものを○、85%以上90%未満のものを△、85%未満のものを×と評価した。
【0067】
〔屈折率測定〕
実施例及び比較例で作製した硬化性組成物の硬化物について、25℃の恒温室に設置したプリズムカプラー(メトリコン社製、モデル2010)を用いて、532nmの波長の光における屈折率を測定した。
【0068】
〔耐溶剤性〕
実施例及び比較例で作製した硬化性組成物の硬化物について、N-メチルピロリドン(NMP)へ25℃30分浸漬し、硬化物を引き上げ軽く水洗、ふき取りして耐溶剤性試験を行った。なお、試験サンプルの形状は2cmの長辺及び1cmの短辺を備える長方形のサンプルを用いた。
耐溶剤性試験前後の硬化物の質量を測定し、質量減少率を算出して耐溶剤性を評価した。
下記により算出した質量減少率が0に近いほど耐溶剤性に優れると判断した。
質量減少率=耐溶剤性試験後の硬化物の質量/耐溶剤性試験前の硬化物の質量
○:質量減少率が3%未満。
×:質量減少率が3%以上。
【0069】
〔実施例1〕
化合物(A)としての1,3,5-ベンゼントリチオール(東京化成製)64質量部に、化合物(B)としてのテトラビニルシラン33質量部(アルドリッチ製)、ラジカル発生剤(C)としての2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(東京化成製、アセトニトリル溶液中の波長365nmにおけるグラム吸光度係数:0.064L/(g・cm)、300nmから400nmの範囲における吸収極大波長:330nm)3質量部を配合し、60℃で10分混合し硬化性組成物を得た。
無アルカリガラスの基板上に、前記硬化性組成物を塗布し、UV-LEDランプ(Kessil社製PR160L-370)を用いて365nmの波長を有する光を積算光量が16J/cm2となるように照射し、硬化物を得た。積算光量は、紫外線積算光量計(ウシオ電機社製UVD-C365)によって測定された310nmから390nmの波長の光照度と累積照射時間から算出した。
得られた硬化性組成物を、オーブンを用いて120℃3時間加熱し、架橋密度を向上させて、その後、基板から剥がすことにより膜厚0.5mmの硬化物を作製した。
【0070】
〔実施例2〕
ラジカル発生剤(C)として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(東京化成製、アセトニトリル溶液中の波長365nmにおけるグラム吸光度係数:0.082L/(g・cm)、300nmから400nmの範囲における吸収極大波長:331nm)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
【0071】
〔実施例3〕
化合物(B)としてテトラビニルゲルマンを用いた。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
テトラビニルゲルマンは、文献「J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1974,2537-2542」に開示されている合成方法を引用して合成した。
【0072】
〔実施例4〕
化合物(B)としてヘキサビニルジゲルマンを用いた。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
ヘキサビニルジゲルマンは、文献「J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1974,2537-2542」に開示されている合成方法を引用して合成した。
【0073】
〔実施例5〕
ラジカル発生剤(C)として、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(東京化成製、アセトニトリル溶液中の波長365nmにおけるグラム吸光度係数:19L/(g・cm)、300nmから400nmの範囲における吸収極大波長:385nm)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
【0074】
〔実施例6〕
UV-LEDランプによる照射を積算光量が33J/cm2となるようにして行った。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
【0075】
〔実施例7〕
UV-LEDランプによる照射を積算光量が65J/cm2となるようにして行った。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
【0076】
(比較例1)
化合物(A)として、1,3-ベンゼンジチオール(東京化成製)を用いた。その他の条件は、実施例1と同様の手順により、硬化性組成物、及び硬化物を得た。
【0077】
(比較例2)
化合物(A)としての1,3,5-ベンゼントリチオール(東京化成製)71質量部に、化合物(B)としてのテトラビニルシラン29質量部(アルドリッチ製)、ラジカル発生剤としての熱ラジカル発生剤であるt-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(火薬アクゾ(株)製: 商品名「トリゴノックス(登録商標)121-50E」)2質量部を配合し、硬化性組成物を得た。
無アルカリガラスの基板上に硬化性組成物を塗布し、オーブンを用いて120℃3時間加熱硬化させて、基板から剥がすことにより、膜厚0.5mmの硬化物を得た。
【0078】
【表1】