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特開2023-180412改造発注仕様書作成システムおよび改造発注仕様書作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180412
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】改造発注仕様書作成システムおよび改造発注仕様書作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20231214BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093709
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】半谷 信勝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】、監視制御システムに対する操作員の運用ニーズに応じた適切な改造発注仕様書を作成することができる改造発注仕様書作成システムを得ること。
【解決手段】改造発注仕様書作成システム1が、第1の人工知能によって、収集した会話情報10から操作員の運用ニーズ24を抽出するスマートスピーカ20と、第2の人工知能によって、運用ニーズに基づいた監視制御システムの改造内容を検討して改造発注仕様書34を生成する改造検討装置30と、操作員から不適切情報42を受け付けると不適切情報を改造検討装置にフィードバックし、操作員から適切情報を受け付けると、改造発注仕様書を外部装置に送信する確認装置60と、を備え、改造検討装置は、不適切情報を受け付けると、第2の人工知能が、運用ニーズに基づいて改造発注仕様書を生成する処理を、不適切情報を用いて学習する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人工知能によって、制御対象を監視する監視制御システムの操作員の会話の内容を示す会話情報を収集するとともに前記会話情報に基づいて前記操作員による前記監視制御システムの運用ニーズを抽出するスマートスピーカと、
第2の人工知能によって、前記運用ニーズに基づいた前記監視制御システムの改造内容を検討することで前記監視制御システムへの改造を発注する仕様書である改造発注仕様書を生成する改造検討装置と、
前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が不適切であることを示す不適切情報を受け付けると、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックし、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が適切であることを示す適切情報を受け付けると、前記改造発注仕様書を外部装置に送信する確認装置と、
を備え、
前記改造検討装置は、前記不適切情報を受け付けると、前記第2の人工知能が、前記運用ニーズに基づいて前記改造発注仕様書を生成する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする改造発注仕様書作成システム。
【請求項2】
前記改造発注仕様書には、複数の改造対象が含まれ、
前記不適切情報には、前記改造対象毎の改造内容が含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の改造発注仕様書作成システム。
【請求項3】
前記確認装置は、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックしても前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記不適切情報を受け付ける場合、前記不適切情報を前記スマートスピーカにフィードバックし、
前記スマートスピーカは、前記不適切情報を受け付けると、前記第1の人工知能が、前記会話情報に基づいて前記運用ニーズを抽出する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする請求項1に記載の改造発注仕様書作成システム。
【請求項4】
前記確認装置は、前記不適切情報を複数回に渡って前記改造検討装置にフィードバックしても前記不適切情報を受け付ける場合に、前記不適切情報を前記スマートスピーカにフィードバックする、
ことを特徴とする請求項3に記載の改造発注仕様書作成システム。
【請求項5】
前記改造検討装置は、前記監視制御システムの内容を示す情報である監視制御システム情報を用いて前記改造発注仕様書を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の改造発注仕様書作成システム。
【請求項6】
前記監視制御システムとは異なる別の監視制御システムに対し第3の人工知能によって前記改造発注仕様書とは異なる別の改造発注仕様書を生成するための改造検討プログラムを記憶しておくプログラム記憶部をさらに備え、
前記改造検討装置は、前記第2の人工知能によって前記改造発注仕様書を生成できない場合には、前記改造検討プログラムを適用し、前記第3の人工知能によって前記改造発注仕様書を生成する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載の改造発注仕様書作成システム。
【請求項7】
スマートスピーカが、第1の人工知能によって、制御対象を監視する監視制御システムの操作員の会話の内容を示す会話情報を収集するとともに前記会話情報に基づいて前記操作員による前記監視制御システムの運用ニーズを抽出する抽出ステップと、
改造検討装置が、第2の人工知能によって、前記運用ニーズに基づいた前記監視制御システムの改造内容を検討することで前記監視制御システムへの改造を発注する仕様書である改造発注仕様書を生成する生成ステップと、
確認装置が、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が不適切であることを示す不適切情報を受け付けると、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックし、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が適切であることを示す適切情報を受け付けると、前記改造発注仕様書を外部装置に送信する受け付けステップと、
を含み、
前記生成ステップでは、前記改造検討装置が、前記不適切情報を受け付けると、前記第2の人工知能が、前記運用ニーズに基づいて前記改造発注仕様書を生成する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする改造発注仕様書作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改造の発注仕様書を作成する改造発注仕様書作成システムおよび改造発注仕様書作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道、電力、高速道路などの種々の制御対象が、監視制御システムによって監視されている。監視制御システムでは、監視制御システムに対して改造が要求される要求対象に対して、システム担当者が改造に関する改造発注仕様書を作成していた。
【0003】
システム担当者といった人間によって発注仕様書といった文書データを作成するには手間がかかる。このため、文書データを容易に作成することが求められている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の評価システムは、原子力発電プラントの操作員といった要員の会話を音声認識してテキストデータに変換し、テキストデータから抽出した業務に関係する会話データと、操作員の行動を示すデータと、業務の状態を示すデータとの相関を分析することで、分析データを自動生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-36205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、操作員が抱える運用ニーズを考慮していないので、監視制御システムに対する操作員の運用ニーズに応じた適切な改造発注仕様書を作成することはできないという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、監視制御システムに対する操作員の運用ニーズに応じた適切な改造発注仕様書を作成することができる改造発注仕様書作成システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の改造発注仕様書作成システムは、第1の人工知能によって、制御対象を監視する監視制御システムの操作員の会話の内容を示す会話情報を収集するとともに会話情報に基づいて操作員による監視制御システムの運用ニーズを抽出するスマートスピーカを備える。また、本開示の改造発注仕様書作成システムは、第2の人工知能によって、運用ニーズに基づいた監視制御システムの改造内容を検討することで監視制御システムへの改造を発注する仕様書である改造発注仕様書を生成する改造検討装置を備える。また、本開示の改造発注仕様書作成システムは、改造発注仕様書を確認した操作員から改造発注仕様書が不適切であることを示す不適切情報を受け付けると、不適切情報を改造検討装置にフィードバックし、改造発注仕様書を確認した操作員から改造発注仕様書が適切であることを示す適切情報を受け付けると、改造発注仕様書を外部装置に送信する確認装置を備える。改造検討装置は、不適切情報を受け付けると、第2の人工知能が、運用ニーズに基づいて改造発注仕様書を生成する処理を、不適切情報を用いて学習する。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる改造発注仕様書作成システムは、監視制御システムに対する操作員の運用ニーズに応じた適切な改造発注仕様書を作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる改造発注仕様書作成システムの構成を示す図
図2】実施の形態1にかかる改造発注仕様書作成システムにおける改造発注の処理手順を示すフローチャート
図3】実施の形態2にかかる改造発注仕様書作成システムの構成を示す図
図4】実施の形態2にかかる改造発注仕様書作成システムの改造検討装置における改造検討の処理手順を示すフローチャート
図5】実施の形態1,2にかかる改造検討装置が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図
図6】実施の形態1,2にかかる改造検討装置が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかる改造発注仕様書作成システムおよび改造発注仕様書作成方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる改造発注仕様書作成システムの構成を示す図である。改造発注仕様書作成システム1は、例えば、浄水場、配水運用などを監視する監視制御システムに適用される。改造発注仕様書作成システム1は、例えば水道向けの監視制御システムに限らず、電力向けの監視制御システム、道路向けの監視制御システムなどに適用されてもよい。
【0013】
改造発注仕様書作成システム1は、監視制御システムの改造を発注する際に用いられる仕様書である改造発注仕様書34を生成して出力する。改造発注仕様書作成システム1は、監視制御システムの操作員の会話に基づいて、改造発注仕様書34を生成する。改造発注仕様書34における改造内容は、例えば、監視制御画面のシンボル表示方法、シンボル形状の変更、画面レイアウトの配置、画面レイアウトの変更などである。
【0014】
改造発注仕様書作成システム1は、スマートスピーカ20と、会話情報蓄積DB(DataBase、データベース)22と、改造検討装置30と、表示装置40と、入力装置50と、確認装置60とを備えている。
【0015】
AI(Artificial Intelligence、人工知能)スピーカであるスマートスピーカ20は、監視制御システムを操作する操作員の会話を会話情報10として収集する。スマートスピーカ20は、AIアシスタントが搭載された対話型の音声操作が可能なスピーカである。スマートスピーカ20は、操作員の会話を音声認識によって抽出し、自然言語処理によって会話を理解し、会話情報10として収集する。スマートスピーカ20は、収集した会話情報10を、会話情報蓄積DB22に蓄積する。会話情報10には、後述する識別情報が付されている。会話情報蓄積DB22は、スマートスピーカ20が収集した操作員の会話情報10を音声データとして蓄積する。
【0016】
スマートスピーカ20は、AIで操作員の会話情報10を分析して監視制御システムに対する運用ニーズ24を抽出する。運用ニーズ24は、例えば、監視制御システムに配置されているポンプの監視制御画面におけるシンボルの表示方法の改造などである。スマートスピーカ20は、改造が要求される改造対象を識別する識別情報を運用ニーズ24および会話情報10に付しておく。スマートスピーカ20は、運用ニーズ24と、この運用ニーズ24が抽出された会話情報10とに同じ識別情報を付しておく。スマートスピーカ20は、運用ニーズ24を改造検討装置30に送る。
【0017】
改造検討AIである改造検討装置30は、運用ニーズ24に基づいて、現状の監視制御システム情報32から監視制御システムの改造内容を検討するコンピュータである。改造検討装置30は、AIを用いて、監視制御システムの改造内容を検討する。改造発注仕様書作成システム1では、スマートスピーカ20のAIが第1の人工知能であり、改造検討装置30のAIが第2の人工知能である。
【0018】
監視制御システム情報32は、監視制御システムの内容を示す情報である。監視制御システム情報32には、例えば、監視制御画面におけるシンボルの表示方法、画面レイアウトの配置位置などの情報が含まれている。監視制御システム情報32は、データベース(図示せず)などに格納されている。
【0019】
改造検討装置30は、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいて、改造発注仕様書34を生成する。改造発注仕様書34では、現状の監視制御システムを無理なく改造できるように、改造検討装置30が監視制御システムを分析および検討した結果が示されている。改造検討装置30は、現状の監視制御システム情報32に運用ニーズ24を適用することで、監視制御システムを改造するための改造発注仕様書34を生成する。改造発注仕様書34には、改造が要求される改造対象を識別する識別情報が含まれている。改造発注仕様書34に含まれている識別情報と、運用ニーズ24に含まれている識別情報は同じである。
【0020】
改造発注仕様書34にて改造が要求される改造対象は、監視制御システム情報32に含まれている。すなわち、改造発注仕様書34では、監視制御システム情報32にて規定されている対象に対する改造要求である。改造検討装置30は、生成した改造発注仕様書34を、確認装置60に出力する。確認装置60は、改造発注仕様書34を表示装置40に表示させる。
【0021】
表示装置40は、改造発注仕様書34を表示する。これにより、操作員は、改造発注仕様書34の内容を確認することが可能となる。すなわち、操作員は、スマートスピーカ20および改造検討装置30の2つのAIによって分析および検討され、自動生成された改造発注仕様書34を確認することが可能となる。
【0022】
操作員は、表示装置40が表示している改造発注仕様書34に対し、改造発注仕様書34の内容が適切であるか不適切であるかを判定する。操作員は、改造発注仕様書34の内容が適切な場合は、適切であることを示す適切情報を入力装置50に入力する。また、操作員は、改造発注仕様書34の内容が不適切な場合は、不適切であることを示す不適切情報42を入力装置50に入力する。不適切情報42は、操作員による改造発注仕様書34の確認プロセスで不適切と判断された内容を改造検討装置30またはスマートスピーカ20にフィードバックするための情報である。不適切情報42には、改造が要求される改造対象を識別する識別情報が含まれている。不適切情報42に含まれている識別情報と、改造発注仕様書34および運用ニーズ24に含まれている識別情報は同じである。
【0023】
不適切情報42では、改造発注仕様書34に含まれる情報のうち、不適切な情報が正しい情報に修正されている。不適切情報42では、改造が要求される改造対象に対する適切な改造内容の情報が含まれている。例えば、監視制御システム情報32では、監視制御画面のポンプのシンボルが赤色であること、このシンボルは青色、黄色、または紫色に変更可能なことが規定されている。改造発注仕様書34において、例えば、監視制御画面のポンプのシンボルを赤色から青色に改造することが示されていた場合に、不適切情報42では、監視制御画面のポンプのシンボルを赤色から黄色に改造することが示されている。
【0024】
入力装置50は、マウス、キーボードなどである。表示装置40は、例えば、適切情報を選択するためのボタンと、不適切情報42を入力するためのエリアとを表示しておく。操作員によって不適切情報42が入力されると、入力装置50は、不適切情報42を確認装置60に送信する。
【0025】
なお、改造発注仕様書34に複数の改造内容が含まれている場合、操作員は、改造内容毎に改造内容の内容が適切であるか不適切であるかを判定する。この場合、入力装置50は、改造内容毎に適切情報または不適切情報42を確認装置60に送信する。
【0026】
確認装置60は、ある改造対象に対して入力装置50から不適切情報42が送られてくると、この不適切情報42を改造検討装置30またはスマートスピーカ20に送る。
【0027】
確認装置60は、操作員が改造発注仕様書34を確認する確認プロセスにおいて、不適切情報42を改造検討装置30へ2回連続でフィードバックしても3回連続で不適切となった改造対象については、スマートスピーカ20にフィードバックする。すなわち、確認装置60は、ある改造対象に対して2回までは改造検討装置30へ不適切情報42をフィードバックし、2回フィードバックしても不適切となった改造対象については、不適切情報42をスマートスピーカ20にフィードバックする。
【0028】
また、操作員によって適切情報を選択するためのボタンがクリックされると、入力装置50は、適切情報が選択されたことを示す適切情報を確認装置60に送信する。この場合、確認装置60は、改造発注を実行する。具体的には、確認装置60は、改造発注仕様書34を外部装置に送信する。確認装置60は、例えば、改造発注仕様書34を、インターネットなどの通信ネットワークを介して改造の発注先に送信する。
【0029】
このように、改造発注仕様書作成システム1では、AIによって自動生成された改造発注仕様書34の確認プロセスにおいて、改造発注仕様書34が操作員によって問題ないと判断された後に、改造が発注されるプロセスである改造発注プロセスが実行される。
【0030】
確認装置60は、改造発注仕様書34を外部装置に送信した後に、監視制御システム情報32を更新する。具体的には、確認装置60は、監視制御システム情報32のうち、改造発注仕様書34に対応する箇所を改造発注仕様書34の内容に修正する。
【0031】
つぎに、改造発注仕様書作成システム1における改造発注の処理手順について説明する。図2は、実施の形態1にかかる改造発注仕様書作成システムにおける改造発注の処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
操作員が会話をすると、スマートスピーカ20は、会話の内容を示す会話情報10を収集し会話情報蓄積DB22に蓄積する(ステップS10)。スマートスピーカ20は、会話情報10から操作員が欲している運用ニーズ24を抽出する(ステップS20)。運用ニーズ24は、例えば、「第1ポンプのシンボルのフリッカ見難いな」、「第2配水池のレイアウトはもう少し右側が良いな」などである。このように、スマートスピーカ20は、現状の監視制御システムを改造(改善)するための会話、不満の会話を運用ニーズ24として抽出する。
【0033】
スマートスピーカ20は、監視制御システムに係る運用ニーズ24を生成し、改造検討装置30に送る。スマートスピーカ20は、運用ニーズ24に、改造対象の識別情報を付しておく。また、スマートスピーカ20は、会話情報蓄積DB22に蓄積する会話情報10に改造対象の識別情報を付しておく。スマートスピーカ20は、会話情報10に含まれる改造対象と、運用ニーズ24に含まれる改造対象とが同じである場合には、会話情報10および運用ニーズ24に同じ識別情報を付しておく。スマートスピーカ20は、識別情報を付した運用ニーズ24をメモリなどに格納しておく。
【0034】
改造検討装置30は、運用ニーズ24に基づいて、現状の監視制御システム情報32から改造内容を検討する。すなわち、改造検討装置30は、運用ニーズ24および監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討する(ステップS30)。
【0035】
監視制御システム情報32には、運用されている監視制御画面のレイアウト、シンボルの情報、および変更可能な情報を含んでいる。改造検討装置30は、例えば、シンボルのフリッカが見難いという運用ニーズ24に対して、監視操作画面のシンボルのフリッカスピード、シンボル色などの変更可能な情報に基づいて、改造内容を検討する。例えば、監視制御システム情報32において、フリッカスピードは変更不可でシンボル色のみ変更可能なことが規定されている場合、改造検討装置30は、操作員に見易いシンボル色への改造を検討する。また、監視制御システム情報32において、シンボル色およびフリッカスピードを変更可能なことが規定されている場合、改造検討装置30は、フリッカスピードの変更とシンボル色の変更とを組合せて改造内容を検討する。
【0036】
改造検討装置30は、運用ニーズ24に対応する情報を監視制御システム情報32から抽出する。なお、監視制御システム情報32を格納しておくデータベースが、改造検討装置30から送られてくる運用ニーズ24に基づいて、監視制御システム情報32から運用ニーズ24に対応する情報を抽出して改造検討装置30に提供してもよい。改造検討装置30のAIは、監視制御システム情報32から抽出した情報を用いて改造発注仕様書34を自動生成する(ステップS40)。
【0037】
改造検討装置30は、改造発注仕様書34を確認装置60に送る。確認装置60は、改造発注仕様書34を表示装置40に表示させる。これにより、改造発注仕様書34の内容が、操作員によって確認される。
【0038】
改造発注仕様書34に示されている改造内容が適切であったか否かを示す適切情報または不適切情報42が、操作員によって入力装置50に入力されると、適切情報または不適切情報42が、確認装置60に送られる。これにより、確認装置60は、改造発注仕様書34に示されている改造内容が適切であったか否かを判定する(ステップS50)。
【0039】
確認装置60は、改造内容が不適切であった場合(ステップS50、No)、同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となったか否かを判定する(ステップS60)。
【0040】
同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となっていない場合(ステップS60、No)、確認装置60は、不適切情報42を改造検討装置30にフィードバックする(ステップS70)。すなわち、改造発注仕様書34の確認プロセスにおいて、改造発注仕様書34に含まれている改造内容が、操作員が望んでいない改造内容であった場合、3回連続でフィードバックしていなければ、確認装置60は、操作員によって入力された不適切情報42を改造検討装置30に送る。
【0041】
この場合、改造検討装置30のAIは、自己学習が不十分であるとして、不適切情報42を用いてフィードバックする。具体的には、改造検討装置30は、不適切情報42を用いて、運用ニーズ24および監視制御システム情報32から改造発注仕様書34を生成する処理を再学習する。
【0042】
この場合において、改造検討装置30は、不適切情報42を受け付けると、不適切情報42に対応する運用ニーズ24を用いて再学習を実行する。すなわち、改造検討装置30は、不適切情報42に含まれている識別情報と同じ識別情報を含んでいる運用ニーズ24を用いて再学習を実行する。
【0043】
この後、改造発注仕様書作成システム1では、ステップS30~S50の処理が実行される。すなわち、改造検討装置30は、再学習後に、運用ニーズ24および監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討し(ステップS30)、改造発注仕様書34を生成する(ステップS40)。改造検討装置30は、改造発注仕様書34を確認装置60に送る。確認装置60は、改造発注仕様書34を表示装置40に表示させる。これにより、改造発注仕様書34の内容が、操作員によって確認される。
【0044】
確認装置60は、改造発注仕様書34に示されている改造内容が適切であったか否かを判定する(ステップS50)。確認装置60は、改造内容が不適切であった場合(ステップS50、No)、同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となったか否かを判定する(ステップS60)。すなわち、確認装置60は、同一の改造対象に対して改造検討装置30に連続してフィードバックした回数が2回となっているか否かを判定する。
【0045】
同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となっている場合(ステップS60、Yes)、確認装置60は、同一の改造対象が、スマートスピーカ20へのフィードバックで3回連続不適切となったか否かを判定する(ステップS80)。すなわち、確認装置60は、同一の改造対象に対してスマートスピーカ20に連続してフィードバックした回数が2回となっているか否かを判定する。
【0046】
同一の改造対象が、スマートスピーカ20へのフィードバックで3回連続不適切となっていない場合(ステップS80、No)、確認装置60は、不適切情報42をスマートスピーカ20にフィードバックする(ステップS90)。
【0047】
このように、確認装置60は、同一の改造対象に対して、改造検討装置30に2回連続でフィードバックしたにも関わらず3回連続で不適切となっている場合、不適切情報42をスマートスピーカ20に送る。不適切情報42によるフィードバックが2回繰り返し実行されても、操作員が改造発注仕様書34は不適切であると判断した場合は、改造検討装置30の問題ではなく、スマートスピーカ20の自己学習が不十分である可能性が高い。したがって、この場合は、確認装置60が、不適切情報42をスマートスピーカ20にフィードバックすることでスマートスピーカ20に自己学習を実行させ、スマートスピーカ20に運用ニーズ24の生成精度を向上させていく。
【0048】
スマートスピーカ20のAIは、不適切情報42を受け付けると、自己学習が不十分であるとして、不適切情報42をフィードバックする。具体的には、スマートスピーカ20は、不適切情報42を用いて、会話情報10から運用ニーズ24を生成する処理を再学習する。
【0049】
スマートスピーカ20は、不適切情報42を用いて再学習する際には、監視制御システムの分析に操作員の会話情報10が必要となる。このため、スマートスピーカ20は、不適切情報42を受け付けると、不適切情報42に対応する会話情報10を、会話情報蓄積DB22に要求する。すなわち、スマートスピーカ20は、不適切情報42に含まれている識別情報と同じ識別情報を含んでいる会話情報10を会話情報蓄積DB22に要求する。会話情報蓄積DB22は、スマートスピーカ20からの要求に対応する会話情報10を、スマートスピーカ20に提供する。これにより、スマートスピーカ20は、不適切情報42に対応する会話情報10を、会話情報蓄積DB22から取得する。
【0050】
この後、改造発注仕様書作成システム1では、ステップS20~S50の処理が実行される。すなわち、スマートスピーカ20は、再学習後に、会話情報10に基づいて、運用ニーズ24を抽出する(ステップS20)。スマートスピーカ20は、運用ニーズ24を改造検討装置30に送る。改造検討装置30は、運用ニーズ24および監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討し(ステップS30)、改造発注仕様書34を生成する(ステップS40)。改造検討装置30は、改造発注仕様書34を確認装置60に送る。確認装置60は、改造発注仕様書34を表示装置40に表示させる。これにより、改造発注仕様書34の内容が、操作員によって確認される。
【0051】
確認装置60は、改造発注仕様書34に示されている改造内容が適切であったか否かを判定する(ステップS50)。確認装置60は、改造内容が不適切であった場合(ステップS50、No)、同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となったか否かを判定する(ステップS60)。
【0052】
同一の改造対象が、改造検討装置30へのフィードバックで3回連続不適切となっている場合(ステップS60、Yes)、確認装置60は、同一の改造対象が、スマートスピーカ20へのフィードバックで3回連続不適切となったか否かを判定する(ステップS80)。
【0053】
同一の改造対象が、スマートスピーカ20へのフィードバックで3回連続不適切となっている場合(ステップS80、Yes)、改造発注仕様書作成システム1は、改造発注仕様書34の自動生成処理を中断し終了する。この場合、改造発注仕様書34が操作員によって手直しされて発注されるか、発注が取りやめられる。
【0054】
このように、確認装置60は、同一の改造対象に対して、スマートスピーカ20に2回連続でフィードバックしたにも関わらず3回連続で不適切となっている場合、改造発注仕様書34の自動生成処理は中断される。これは、2つのAI(スマートスピーカ20のAIおよび改造検討装置30のAI)の更なる自己学習が必要な場合か、現状の監視制御システムでは実現不可能な運用ニーズ24が想定されるためである。
【0055】
一方、確認装置60は、改造内容が適切である場合(ステップS50、Yes)、改造発注仕様書34を改造先に送信することで改造を発注する(ステップS100)。
【0056】
なお、改造発注仕様書作成システム1は、改造検討装置30へのフィードバックで、同一の改造対象が4回以上連続で不適切となった場合、または2回連続で不適切となった場合に不適切情報42をスマートスピーカ20にフィードバックしてもよい。
【0057】
また、改造発注仕様書作成システム1は、スマートスピーカ20へのフィードバックで、同一の改造対象が4回以上連続で不適切となった場合、または2回連続で不適切となった場合に改造発注仕様書34の自動生成処理を中断してもよい。
【0058】
なお、スマートスピーカ20、会話情報蓄積DB22、改造検討装置30、表示装置40、入力装置50、および確認装置60は、それぞれ別々の場所に配置され、インターネットなどを介して接続されてもよい。また、スマートスピーカ20、会話情報蓄積DB22、改造検討装置30、表示装置40、入力装置50、および確認装置60の少なくとも1つは、サーバまたはクラウド上に実装されてもよい。
【0059】
このように、改造発注仕様書作成システム1は、2段階のAIを活用して改造発注仕様書34を自動生成している。1つ目のAIは、スマートスピーカ20によって操作員の会話から運用ニーズ24を分析して抽出している。2つ目のAIは、改造検討装置30によって運用ニーズ24に則した改造内容を検討し、改造発注仕様書34を自動生成している。さらに、改造発注仕様書作成システム1は、AIの自己学習機能を向上させるために、自動生成された改造発注仕様書34の改造内容が操作員の意図していない改造内容の場合に2つのAIに対して適切な改造内容をフィードバックしている。
【0060】
これにより、各AIの自己学習能力が向上し、最終的な改造発注仕様書34の作成精度が高まる。また、改造発注仕様書作成システム1が改造発注仕様書34を生成するので、人手による改造発注仕様書34の生成は不要になる。また、改造の発注部門が監視制御システムのニーズをヒアリングする必要がなくなる。また、改造内容の実現性を、監視制御システムのシステム構築メーカに確認する必要がなくなる。したがって、改造発注仕様書34を生成する手間と時間が少なくなり、改造発注仕様書34の生成の省力化、効率化、および正確化を実現することが可能となる。
【0061】
改造発注仕様書作成システム1が、水道、電力、ガス、道路などの種々の制御対象を監視する監視制御システムに対して改造発注仕様書作成システム1が適用されることにより、種々の社会インフラの監視制御システムの改造発注が容易になる。
【0062】
このように実施の形態1では、スマートスピーカ20のAIが、監視制御システムの操作員の会話情報10を収集するとともに会話情報10に基づいて操作員の運用ニーズ24を抽出している。また、改造検討装置30のAIが、運用ニーズ24に基づいて改造内容を検討することで改造発注仕様書34を生成している。また、確認装置60が、操作員から改造発注仕様書34が不適切であることを示す不適切情報42を受け付けると、不適切情報42を改造検討装置30にフィードバックし、適切情報を受け付けると、改造発注仕様書34を外部装置に送信している。そして、改造検討装置30のAIは、不適切情報42を受け付けると、運用ニーズ24に基づいて改造発注仕様書34を生成する処理を、不適切情報42を用いて学習している。これにより、改造発注仕様書作成システム1は、監視制御システムに対する操作員の運用ニーズ24に応じた適切な改造発注仕様書34を作成することが可能となる。
【0063】
実施の形態2.
つぎに、図3および図4を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で用いたスマートスピーカ20のAIと、実施の形態1の監視制御システムとは別の監視制御システムで活用しているAIとが組み合わせられる。
【0064】
図3は、実施の形態2にかかる改造発注仕様書作成システムの構成を示す図である。図3の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1の改造発注仕様書作成システム1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0065】
実施の形態2の改造発注仕様書作成システム2は、実施の形態1の改造発注仕様書作成システム1と同様に、操作員の会話に基づいて改造発注仕様書34を自動生成するシステムである。
【0066】
改造発注仕様書作成システム2は、改造発注仕様書作成システム1が備える構成要素に加えてプログラム記憶装置70を備えている。また、改造発注仕様書作成システム2は、改造発注仕様書作成システム1と比較して、改造検討装置30の代わりに改造検討装置31を備えている。
【0067】
プログラム記憶装置70は、実施の形態1の監視制御システムとは別の監視制御システムに適用されているAIのプログラムである改造検討プログラムP1~P3を記憶しておく。
【0068】
改造検討プログラムP1~P3は、改造検討装置30,31と同様の改造検討装置などで用いられていたプログラムである。改造検討プログラムP1~P3は、運用ニーズ24および監視制御システム情報32に基づいて、改造発注仕様書34を自動生成するプログラムである。改造検討プログラムP1~P3は、AIによって改造発注仕様書34を自動生成する。改造検討プログラムP1~P3には、学習済のモデル(改造発注仕様書34を推論するためのモデル)が含まれている。
【0069】
改造発注仕様書作成システム2の改造検討装置31は、運用ニーズ24および監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討する。この場合において、改造検討装置31は、運用ニーズ24が、現状の監視制御システムの改造範囲外の運用ニーズであると判断した場合は、別の改造検討AIを選択する。すなわち、改造検討装置31は、実施の形態1の改造検討装置30が用いたAIで改造発注仕様書34の作成を試みるとともに、実施の形態1の改造検討装置30が用いたAIでは改造発注仕様書34を作成できない場合に、別の改造検討AIを選択する。具体的には、改造検討装置31は、改造検討プログラムP1~P3の何れかを選択する。
【0070】
なお、改造検討装置31は、不適切情報42に含まれている改造内容が、改造発注仕様書34に含まれている改造内容と大きく異なる場合に改造検討プログラムP1~P3の何れかを選択してもよい。
【0071】
改造検討プログラムP1は、例えば、水道向け監視制御システムに対して改造発注仕様書34を作成するプログラムである。また、改造検討プログラムP2は、例えば、電力向け監視制御システムに対して改造発注仕様書34を作成するプログラムである。改造検討プログラムP3は、例えば、高速道路向け監視制御システムに対して改造発注仕様書34を作成するプログラムである。改造発注仕様書作成システム2は、実施の形態1で適用された監視制御システムとは異なる別の各監視制御システムから改造検討プログラムP1~P3を取得してプログラム記憶装置70に格納しておく。すなわち、改造発注仕様書作成システム2は、改造発注仕様書作成システム2とは異なる別の改造発注仕様書作成システムから改造検討プログラムP1~P3を取得してプログラム記憶装置70に格納しておく。
【0072】
つぎに、改造発注仕様書作成システム2における改造発注の処理手順について説明する。改造発注仕様書作成システム2における改造発注の処理手順と改造発注仕様書作成システム2における改造発注の処理手順とは、改造検討装置31が実行する処理のみが異なる。すなわち、実施の形態2と実施の形態1とでは、改造検討装置31が実行する処理と改造検討装置30が実行する処理とが異なる。したがって、ここでは改造発注仕様書作成システム2の改造検討装置31における改造検討の処理手順について説明する。
【0073】
図4は、実施の形態2にかかる改造発注仕様書作成システムの改造検討装置における改造検討の処理手順を示すフローチャートである。改造検討AIである改造検討装置31は、第1の改造検討プログラムで改造発注仕様書34を生成する(ステップS110)。すなわち、改造検討装置31は、第1の改造検討プログラムに運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32を適用し、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討し、検討結果に対応する改造発注仕様書34を生成する。
【0074】
第1の改造検討プログラムは、改造検討装置30で用いられていたAIを実行するプログラムである。したがって、改造検討装置31は、実施の形態1で説明した改造発注仕様書34を生成する。改造発注仕様書作成システム2における改造発注仕様書34の生成処理は、改造発注仕様書作成システム1における改造発注仕様書34の生成処理と同様である。
【0075】
改造検討装置31は、第1の改造検討プログラムを用いることで、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいた改造を実現できるか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、改造検討装置31は、第1の改造検討プログラムが、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいて、改造発注仕様書34を生成することができたか否かを判定する。
【0076】
改造検討装置31は、第1の改造検討プログラムでは、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいた改造を実現できないと判定した場合(ステップS120、No)、プログラム記憶装置70に格納されている全ての改造検討プログラムを実行したか否かを判定する(ステップS130)。
【0077】
改造検討装置31は、全ての改造検討プログラムを実行していない場合(ステップS130、No)、実行可能な次の改造検討プログラムで改造発注仕様書34を生成する(ステップS140)。次の改造検討プログラムは、改造検討プログラムP1~P3の何れかである。例えば、次の改造検討プログラムが改造検討プログラムP1である場合、改造検討装置31は、改造検討プログラムP1に運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32を適用し、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいて、改造内容を検討し、検討結果に対応する改造発注仕様書34を生成する。この場合も、改造発注仕様書作成システム2における改造発注仕様書34の生成処理は、改造発注仕様書作成システム1における改造発注仕様書34の生成処理と同様である。
【0078】
そして、改造検討装置31は、次の改造検討プログラムを用いることで、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいた改造を実現できるか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、改造検討装置31は、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいて、改造発注仕様書34を生成することができたか否かを判定する。
【0079】
改造発注仕様書作成システム2でも、改造発注仕様書作成システム1と同様に、操作員が改造発注仕様書34を確認しながら、不適切情報42の内容が改造検討装置31またはスマートスピーカ20にフィードバックされる。すなわち、改造発注仕様書作成システム2では、次の改造検討プログラムを用いて改造発注仕様書34を生成する際にも、不適切情報42の内容が改造検討装置31またはスマートスピーカ20にフィードバックされる。
【0080】
なお、次の改造検討プログラムが用いられる場合も、確認装置60は、改造検討装置31へ2回連続で不適切情報42をフィードバックしても3回連続で不適切となった改造対象については、スマートスピーカ20に不適切情報42をフィードバックする。
【0081】
また、確認装置60が、スマートスピーカ20へ2回連続で不適切情報42をフィードバックしても3回連続で不適切となったと判定した改造対象については、改造検討装置31が改造発注仕様書34を生成することができなかったと判定する。
【0082】
例えば、改造検討装置31が1つの改造検討プログラムを備え、プログラム記憶装置70に3つの改造検討プログラムが格納されている場合、改造検討装置31およびスマートスピーカ20へのフィードバック回数は、最大で2×4=8回ずつとなる。
【0083】
改造検討装置31は、次の改造検討プログラム(改造検討プログラムP1~P3の何れか)では、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいた改造を実現できない判定した場合(ステップS120、No)、全ての改造検討プログラムを実行したか否かを判定する(ステップS130)。
【0084】
改造検討装置31は、改造を実現できるまで、プログラム記憶装置70内に格納されている改造検討プログラムに対して、ステップS140の処理と、ステップS120の処理とを実行する。
【0085】
改造検討装置31が全ての改造検討プログラムを実行した場合(ステップS130、Yes)、改造発注仕様書作成システム2は、改造発注仕様書34の自動生成処理を中断し終了する。すなわち、改造検討装置31がプログラム記憶装置70内に格納されている全ての改造検討プログラムを用いても改造発注仕様書34を生成できない場合には、自動生成処理は中断される。この場合、改造発注仕様書34が操作員によって手直しして発注されるか、発注が取りやめられる。
【0086】
改造検討装置31は、ステップS120の処理において、何れかの改造検討プログラムで、運用ニーズ24および現状の監視制御システム情報32に基づいた改造を実現できた場合(ステップS120、Yes)、改造発注仕様書34の生成処理を終了する。
【0087】
このように、改造発注仕様書作成システム2では、現状の監視制御システムでは改造を実現できない運用ニーズ24であった場合、別の改造検討AIによって改造発注仕様書34を生成する。この別の改造検討AIは、別の監視制御システムに適用されるAIであっても、現状の監視制御システムに流用できる場合があるからである。
【0088】
実施の形態2では、改造発注仕様書作成システム2が、プログラム記憶装置70内に格納されている何れかの改造検討プログラムを用いて改造発注仕様書34を生成している。これにより、改造発注仕様書作成システム2は、例えば、水道向け監視制御システム、電力向け監視制御システム、高速道路向け監視制御システム、自治体の道路向け道路監視制御システムなどの種々の監視制御システムに適用される改造検討AIを用いて、改造発注仕様書34を生成できる。また、改造発注仕様書作成システム2は、種々の監視制御システムに適した改造発注仕様書34を作成できる。なお、プログラム記憶装置70に格納される改造検討プログラムは、4つ以上であってもよいし、2つ以下であってもよい。
【0089】
また、スマートスピーカ20、会話情報蓄積DB22、改造検討装置30、表示装置40、入力装置50、確認装置60、およびプログラム記憶装置70は、それぞれ別々の場所に配置され、インターネットなどを介して接続されてもよい。また、スマートスピーカ20、会話情報蓄積DB22、改造検討装置30、表示装置40、入力装置50、確認装置60、およびプログラム記憶装置70の少なくとも1つは、サーバまたはクラウド上に実装されてもよい。
【0090】
改造発注仕様書作成システム2といった改造発注仕様書作成システムは、2段階のAIを活用することで、各AIで自己学習できる。したがって、改造発注仕様書作成システム間で成長したAI同士を組み合わせることで副次的な効果を発揮することが期待できる。例えば、災害向けの監視制御システムで活用されているスマートスピーカのAIが、水道向け監視制御システムで活用されている改造検討装置のAIと組み合わせられてもよい。この組み合わせにより、改造発注仕様書作成システムは、水道向け監視制御システムで災害時に求められる運用ニーズに基づいて、改造発注仕様書34を生成することができる。
【0091】
このように実施の形態2によれば、改造発注仕様書作成システム2は、他の改造発注仕様書作成システムで用いられているAIを用いるので、種々の運用ニーズ24に対して改造発注仕様書34を生成することが可能となる。
【0092】
ここで、スマートスピーカ20、改造検討装置30,31、および確認装置60のハードウェア構成について説明する。なお、スマートスピーカ20、改造検討装置30,31、および確認装置60は、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは改造検討装置30のハードウェア構成について説明する。改造検討装置30は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0093】
図5は、実施の形態1,2にかかる改造検討装置が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図である。図5に示す処理回路90は、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは改造検討プログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶された改造検討プログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、改造検討装置30の処理が結果的に実行されることになる改造検討プログラムを格納するためのメモリ92を備える。この改造検討プログラムは、処理回路90により実現される各機能を改造検討装置30に実行させるためのプログラムであるともいえる。この改造検討プログラムは、改造検討プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。上記改造検討プログラムは、処理回路90により実現される各機能を改造検討装置30に実行させるためのプログラムであるともいえる。
【0094】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0095】
図6は、実施の形態1,2にかかる改造検討装置が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の例を示す図である。図6に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0096】
なお、スマートスピーカ20、改造検討装置30、および確認装置60のうちの少なくとも2つを組み合わせた装置が図5または図6に示したハードウェア構成を有していてもよい。また、スマートスピーカ20、改造検討装置31、および確認装置60のうちの少なくとも2つを組み合わせた装置が図5または図6に示したハードウェア構成を有していてもよい。
【0097】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0098】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0099】
(付記1)
第1の人工知能によって、制御対象を監視する監視制御システムの操作員の会話の内容を示す会話情報を収集するとともに前記会話情報に基づいて前記操作員による前記監視制御システムの運用ニーズを抽出するスマートスピーカと、
第2の人工知能によって、前記運用ニーズに基づいた前記監視制御システムの改造内容を検討することで前記監視制御システムへの改造を発注する仕様書である改造発注仕様書を生成する改造検討装置と、
前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が不適切であることを示す不適切情報を受け付けると、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックし、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が適切であることを示す適切情報を受け付けると、前記改造発注仕様書を外部装置に送信する確認装置と、
を備え、
前記改造検討装置は、前記不適切情報を受け付けると、前記第2の人工知能が、前記運用ニーズに基づいて前記改造発注仕様書を生成する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする改造発注仕様書作成システム。
(付記2)
前記改造発注仕様書には、複数の改造対象が含まれ、
前記不適切情報には、前記改造対象毎の改造内容が含まれている、
ことを特徴とする付記1に記載の改造発注仕様書作成システム。
(付記3)
前記確認装置は、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックしても前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記不適切情報を受け付ける場合、前記不適切情報を前記スマートスピーカにフィードバックし、
前記スマートスピーカは、前記不適切情報を受け付けると、前記第1の人工知能が、前記会話情報に基づいて前記運用ニーズを抽出する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の改造発注仕様書作成システム。
(付記4)
前記確認装置は、前記不適切情報を複数回に渡って前記改造検討装置にフィードバックしても前記不適切情報を受け付ける場合に、前記不適切情報を前記スマートスピーカにフィードバックする、
ことを特徴とする付記3に記載の改造発注仕様書作成システム。
(付記5)
前記改造検討装置は、前記監視制御システムの内容を示す情報である監視制御システム情報を用いて前記改造発注仕様書を生成する、
ことを特徴とする付記1から4の何れか1つに記載の改造発注仕様書作成システム。
(付記6)
前記監視制御システムとは異なる別の監視制御システムに対し第3の人工知能によって前記改造発注仕様書とは異なる別の改造発注仕様書を生成するための改造検討プログラムを記憶しておくプログラム記憶部をさらに備え、
前記改造検討装置は、前記第2の人工知能によって前記改造発注仕様書を生成できない場合には、前記改造検討プログラムを適用し、前記第3の人工知能によって前記改造発注仕様書を生成する、
ことを特徴とする付記1から5の何れか1つに記載の改造発注仕様書作成システム。
(付記7)
スマートスピーカが、第1の人工知能によって、制御対象を監視する監視制御システムの操作員の会話の内容を示す会話情報を収集するとともに前記会話情報に基づいて前記操作員による前記監視制御システムの運用ニーズを抽出する抽出ステップと、
改造検討装置が、第2の人工知能によって、前記運用ニーズに基づいた前記監視制御システムの改造内容を検討することで前記監視制御システムへの改造を発注する仕様書である改造発注仕様書を生成する生成ステップと、
確認装置が、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が不適切であることを示す不適切情報を受け付けると、前記不適切情報を前記改造検討装置にフィードバックし、前記改造発注仕様書を確認した操作員から前記改造発注仕様書が適切であることを示す適切情報を受け付けると、前記改造発注仕様書を外部装置に送信する受け付けステップと、
を含み、
前記生成ステップでは、前記改造検討装置が、前記不適切情報を受け付けると、前記第2の人工知能が、前記運用ニーズに基づいて前記改造発注仕様書を生成する処理を、前記不適切情報を用いて学習する、
ことを特徴とする改造発注仕様書作成方法。
【符号の説明】
【0100】
1,2 改造発注仕様書作成システム、10 会話情報、20 スマートスピーカ、22 会話情報蓄積DB、24 運用ニーズ、30,31 改造検討装置、32 監視制御システム情報、34 改造発注仕様書、40 表示装置、42 不適切情報、50 入力装置、60 確認装置、70 プログラム記憶装置、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ、P1~P3 改造検討プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6