(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180421
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】チャックユニットおよびこれを備えた自動締結装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B23P19/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093725
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大島 英司
(57)【要約】
【課題】本発明は、頭部を有さない締結部品も安定して保持可能なチャックユニットを提
供する。
【解決手段】
締結部品Sと嵌合可能な締結工具33が貫通する案内孔が形成されたチャック本体と、
前記チャック本体に開閉自在に保持される一対のチャック爪と、前記チャック爪の先端で
開閉する一対のガイド爪とを備え、前記チャック爪には、前記案内孔の延長線上に締結部
品を一旦停止させる保持孔が分轄形成され、前記ガイド爪には、前記締結部品を通過可能
にガイドするガイド孔が分轄形成されていることを特徴とするチャックユニット。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品と嵌合可能な締結工具が貫通する案内孔が形成されたチャック本体と、
前記チャック本体に開閉自在に保持される一対のチャック爪と、
前記チャック爪の先端で開閉する一対のガイド爪とを備えたチャックユニットにおいて
、
前記チャック爪には、前記案内孔の延長線上に締結部品を一旦停止させる保持孔が分轄
形成され、
前記ガイド爪には、前記締結部品を通過可能にガイドするガイド孔が分轄形成されてい
ることを特徴とするチャックユニット。
【請求項2】
前記ガイド孔は、前記締結部品より大きい通過孔と、締結部品とほぼ同径の支持孔とが
連続していることを特徴とする請求項1に記載のチャックユニット。
【請求項3】
前記通過孔は、前記締結工具の外径より大きく構成され、
前記支持孔は、その軸方向寸法が締結部品より短く構成されていることを特徴とする請
求項2に記載のチャックユニット。
【請求項4】
前記保持孔は、前記締結部品より大きい大径部と、締結部品とほぼ同径の中径部と、締
結部品より小さい小径部とが連続していることを特徴とする請求項1に記載のチャックユ
ニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載のチャックユニットと、
前記チャックユニットおよび前記締結工具を移動させる位置制御機構とを備え、
位置制御機構は、チャックユニットが所定のワークと当接する前に当該チャックユニッ
トの移動を停止させる一方、前記締結工具はチャックユニットに対して前進するように構
成されていることを特徴とする自動締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された締結部品を保持するチャックユニットおよびこれを備えた自動締
結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ締め機等において圧送されてきたスタッドボルト等の締結部品を一旦保持す
るチャックユニットとして、先行特許1に開示されたものが知られている。このチャック
ユニットは、スタッドボルトを締結する締結装置に設けられており、スタッドボルトを締
結するソケットの移動経路上に配置されており、前記ソケットが挿通可能なチャック本体
と、このチャック本体の一端に揺動自在に配された一対の通過爪および閉鎖爪を有してい
る。このチャックユニットの通過爪には、ソケットの軸線上にスタッドボルトの外径より
大径の保持穴が貫通形成されているとともに、この保持穴の前方は、前記閉鎖爪によって
閉鎖されている。このため、部品供給装置から圧送されてきたスタッドボルトは、閉鎖爪
に衝突して通過爪内に停止する。結果、頭部を有さないスタッドボルトであっても一般的
な頭付きねじと同様に圧送供給できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された締結装置は、スタッドボルトがチャックユニッ
トから出る前にスタッドボルトの上側ねじ部にソケットを螺合させる構造であり、ねじ締
め中チャックユニットスタッドボルトを支持するものではなかった。よって、圧入ピンや
、頭部および上側ねじ部を有さない止めねじ等、ソケットと螺合できない締結部品は、前
記閉鎖爪が開いた瞬間に落下し、転倒するため、使用できない等の問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、頭部を有さない締結部品も転倒す
ることなく保持可能なチャックユニットを提供する。その目的を達成するために本発明は
、締結部品と嵌合可能な締結工具が貫通する案内孔が形成されたチャック本体と、前記チ
ャック本体に開閉自在に保持される一対のチャック爪と、前記チャック爪の先端で開閉す
る一対のガイド爪とを備えたチャックユニットにおいて、前記チャック爪には、前記案内
孔の延長線上に締結部品を一旦停止させる保持孔が分轄形成され、前記ガイド爪には、前
記締結部品を通過可能にガイドするガイド孔が分轄形成されていることを特徴とする。な
お、前記ガイド孔は、前記締結部品より大きい通過孔と、締結部品とほぼ同径の支持孔と
が連続しているが好ましい。また、前記通過孔は、前記締結工具の外径より大きく構成さ
れ、前記支持孔は、その軸方向寸法が締結部品より短く構成されていることが好ましい。
さらに、前記保持孔は、前記締結部品より大きい大径部と、締結部品とほぼ同径の中径部
と、締結部品より小さい小径部とが連続していることが好ましい。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、上記チャックユニットを備えた自動締結装置の提供を目
的とし、この自動締結装置は、前記チャックユニットと、前記チャックユニットおよび前
記締結工具を移動させる位置制御機構とを備え、位置制御機構は、チャックユニットが所
定のワークと当接する前に当該チャックユニットの移動を停止させる一方、前記締結工具
はチャックユニットに対して前進するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチャックユニットは、チャック爪から落下した締結部品をガイドするガイド爪
を備えており、締結部品がガイド爪に形成されたガイド孔に保持されるため、転倒しない
等の利点がある。なお、前記ガイド孔が通過孔と支持孔とからなる段付き孔であるため、
締結部品が円滑に支持孔に達しやすいとともに、支持孔と締結部品とが面接触できガイド
孔内で傾斜し難くなる等の利点もある。また、前記通過孔が前記締結工具より大きく構成
されているとともに、前記支持孔が締結部品より短く構成されているため、締結部品と締
結工具とが嵌合する前にガイド爪が開くことを防止できる。これにより、嵌合前にねじが
倒れることを防止可能等の利点もある。前記保持孔の先端に締結部品より小さい小径部が
形成されており、締結部品を圧送するエアが小径部から抜けるため、当該エアでチャック
爪が開かれることを防止可能等の利点もある。
【0008】
また、上記チャックユニットを備えた自動締結装置の位置制御機構がチャック爪とワー
クとが当接しないように構成されていることで、ガイド爪の揺動が阻害されない等の利点
がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る締結装置の構造を示す概略側面図である。
【
図2】
図1の状態から次の状態へ以降する動作を示す概略側面図である。
【
図3】本発明に係るチャックユニットの構造を示す要部拡大側面図である。
【
図4】本発明に係るチャックユニットの構造を示す要部拡大正面図である。
【
図5】本発明に係るチャックユニットの構造を示す要部拡大断面図である。
【
図6】
図5の状態から次の状態へ以降する動作を示す要部拡大断面図である。
【
図7】
図6の状態から次の状態へ以降する動作を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1および
図2において10は、
ワークWに対してねじSを締結する自動締結装置である。この自動締結装置10は、水平
多関節ロボット(図示せず)の駆動を受けて水平移動する位置制御機構20と、この位置
制御機構20の駆動を受けて昇降するドライバユニット30と、このドライバユニット3
0の移動経路上に配置されるチャックユニット40と、水平多関節ロボットと位置制御機
構20とドライバユニット30の駆動を制御する制御部(図示せず)とを備えている。な
お、ねじSは、軸方向中央に形成された鍔部の上下にねじS部が形成されたスタッドボル
トであり、上側ねじ部の先端には、ヘックスローブ形状の嵌合部が形成されている。
【0011】
前記位置制御機構20は、前記多関節ロボットの先端が連結されるベース部材21を有
しており、このベース部材21は、鉛直方向に延びる鉛直部材211と、この鉛直部材2
11の上下端部に固定される上側水平部材212、下側水平部材213から構成されるコ
の字形状に構成されている。このベース部材21の上側水平部材212には、シリンダロ
ッドを下方に向かって伸長するように配された主シリンダ22が固定されており、この主
シリンダ22のシリンダロッドには、ドライバ台23が固定されている。このため、主シ
リンダ22がシリンダロッドを伸縮させると、ドライバ台23が上側水平部材212およ
び下側水平部材213の間で昇降する。
【0012】
前記上側水平部材212および下側水平部材213には、上下方向に延びる貫通ロッド
24が昇降自在に貫通している。この貫通ロッド24は、その下端部にチャック台25が
固定されている一方、その上端部には、引張りばね26の一端が連結されている。この引
張りばね26は、他端が前記ドライバ台23に連結されており、貫通ロッド24の上端部
を常時ドライバ台23に向けて付勢している。また、前記貫通ロッド24の所定の高さに
は、前記ドライバ台23の上面と当接可能な当接部材27が固定されており、この当接部
材27は、引張りばね26が常時一定量伸長した状態(張力を有した状態)に保たれるよ
う位置決めされている。この当接部材27および引張りばね26によって、貫通ロッド2
4は、ドライバ台23に対して所定の位置を維持して追動可能となる。さらに、前記鉛直
部材211には、シリンダロッドが当接部材27に当たるように副シリンダ28が固定さ
れている。この副シリンダ28は、チャックユニット40がワークWに当接する直前、シ
リンダロッドの先端に前記当接部材27が当たるように位置決めされている。さらに、前
記副シリンダ28は、主シリンダ22より速く短いストロークを行うよう構成されている
。
【0013】
前記ドライバユニット30は、前記ドライバ台23上に設けられるACサーボモータ3
1(以下、モータ31という)を備えており、このモータ31は、出力軸(図示せず)が
下方を向くように配設されている。このモータ31の出力軸には、ビット軸32が連結さ
れており、このビット軸32の下端には、ねじSの嵌合部に嵌合するボックスビット33
が連結されている。
【0014】
本発明の要部である前記チャックユニット40は、
図3に示すようにビット軸32およ
びボックスビット33の移動経路上に配置されるチャック本体41と、このチャック本体
41に揺動自在に支持されるチャック爪42およびガイド爪43とチャック爪42にねじ
Sを供給する供給パイプ44とから構成されている。
【0015】
前記チャック本体41には、
図5に示すように前記ボックスビット33の最大径より大
きい孔径の案内孔411が貫通形成されており、この案内孔411には、前記ボックスビ
ット33が回転自在かつ軸方向の摺動自在に内包されている。このチャック本体41の両
側面には、案内孔411を挟むように一対の前記チャック爪42が装着されている。この
チャック爪42は、
図4の二点鎖線にて示すように所定の支軸を中心に揺動可能に構成さ
れているとともに、チャック本体41との間に挟設された爪ばね(図示せず)により、常
時前側が閉じるよう付勢されている。このチャック爪42の対向面には、前記案内孔41
1の延長線上に保持孔421が分割形成されている。この保持孔421は、前記ねじSの
外径より大きい孔径を有する大径部422と、この大径部422の下端に連続しねじSの
外径とほぼ同径の中径部423と、この中径部423の下端に連続しねじSの外径より小
さい孔径を有する小径部424とからなる段付き孔であり、供給されたねじSが中径部4
23内に保持されるよう構成されている。
【0016】
また、前記チャック本体41には、前記案内孔411に対して傾斜し、それぞれの延長
線が交差するようにホース取付金具412が設置されている。このホース取付金具412
は、ねじSが通過可能に構成された円筒状部材であり、外部の供給装置(図示せず)から
伸びる供給ホース413が接続されている。さらに、ホース取付金具412と前記チャッ
ク爪42との間には、供給パイプ44が設置されている。この供給パイプ44も供給ホー
ス413と同様にねじSが通過可能に構成されており、チャック本体41の両側面に配さ
れた止めねじ414を支軸として前記チャック爪42の揺動面から離反する方向へ揺動可
能に装着されている。この供給パイプ44は、常時ホース取付金具412に連通し、なお
かつその先端部がチャック爪42の保持孔421の後端部に連続するようねじりコイルば
ね415により付勢されており、このねじりコイルばね415は、その端部が前記止めね
じ414に巻き付けられている。しかも、前記チャック本体41には、前記供給パイプ4
4から離反する位置に保持部45が装着されており、この保持部45には、一対の前記ガ
イド爪43が装着されている。
【0017】
前記ガイド爪43は、
図4の二点鎖線にて示すように前記チャック爪42と平行に揺動
するよう構成されており、前記保持部45との間に挟設された爪ばね(図示せず)により
、常時前側が閉じるよう付勢されている。また、ガイド爪43の対向面には、前記チャッ
ク爪42の保持孔421の延長線上にガイド孔431が分轄形成されている。このガイド
孔431は、前記ねじSの外径より大きい孔径の通過孔432と、この通過孔432の下
方に連続しねじSの外径とほぼ同径に構成される支持孔433とから構成されている。こ
のガイド孔431は、通過孔432は、前記ボックスビット33の外径より大径に構成さ
れている。さらに、支持孔433は、その軸方向寸法がねじSより短く、
図6に示すよう
にねじSの下端がワークWに当接した際、当該ねじSの嵌合部が前記通過孔432内に位
置するように構成されている。また、前記通過孔432も、その軸方向寸法がねじSより
短く、ねじSがチャック爪42から落下する際、当該ねじSの上端部がチャック爪42の
下端から抜け出るとほぼ同時にねじSの下端部が前記支持孔433に達する様に構成され
ている。
【0018】
前記制御部には、前記主シリンダ22および副シリンダ28と、前記モータ31と、前
記供給装置等の外部装置が接続されており、これらの駆動を制御可能に構成されている。
また、制御部には、前記ねじ浮き確認センサの一例である近接センサ51が接続されてい
る。この近接センサ51は、前記チャック台25に取付けられており、前記ビット軸32
の所定の高さに固定されたドグ52を検出可能に構成されている。このドグ52は、
図2
および
図7に示すようにねじSが着座した際に近接センサ51の検出域511に達するよ
うに配設されているため、後述するねじ締め過程において、所定の締結トルクが出力され
てねじ締め完了した際に当該ドグ52が近接センサ51の検出域511に存在するか否か
でねじ浮きの有無を確認可能となる。さらに、前記チャック台25には、下方に延びる吸
引ノズル53が設けられている。この吸引ノズル53は、その上端部に外部の負圧手段ま
で延びる吸気ホースが接続されており、下端部は、前記ガイド爪43周辺まで延びている
。このため、負圧手段が駆動すると、ガイド爪43周辺に飛散するねじSの表面から剥離
したメッキかす等を吸引可能となる。
【0019】
次に、上記のように構成された締結装置の作用を説明する。
駆動信号が入力されると、制御部は、外部の供給装置を駆動して、ねじSを圧送する。
この圧送されたねじSは、前記供給ホース413および供給パイプ44を通過して保持孔
421に到達し、小径部424と中径部423との境界部分に当接して停止する。この時
、保持孔421の小径部424がねじSの外径より小さく構成されているため、ねじSを
圧送するエアが小径部424を通過して外部に排出される。このため、保持孔421内の
気圧が上昇することがなく、当該気圧上昇によってチャック爪42が押し開けられること
が防止される。
【0020】
上述のようにねじSが供給されると、制御部は、前記主シリンダ22を駆動させてシリ
ンダロッドを伸張させるとともに、前記モータ31を回転駆動させてボックスビット33
を回転駆動させる。これにより、ドライバユニット30がワークWに向かい下降する。こ
の時、前記引張りばね26により、ドライバ台23と貫通ロッド24とが連結されている
ため、ドライバユニット30に追道して貫通ロッド24およびチャックユニット40も下
降する。このように下降する貫通ロッド24およびチャックユニット40は、当該チャッ
クユニット40の下端がワークWに当接する直前、前記当接部材27が前記副シリンダ2
8のシリンダロッドに当接することにより停止する。一方、ドライバ台23およびドライ
バユニット30は、引張りばね26を伸長させながら下降する。これにより、図_に示す
ようにボックスビット33は、前記供給パイプ44を揺動させながら下降して前記チャッ
ク爪42を押し開ける。これにより、ねじSは、チャック爪42から落下する。この落下
したねじSは、前記ガイド爪43の通過孔432に沿って支持孔433に達し、その下端
がワークWに当接する。この時、通過孔432がねじSより大径に構成されているため、
多少ねじSが傾斜しても問題なく支持孔433に案内することが可能となる。また、支持
孔433がねじSの外径とほぼ同径に構成されており、支持孔433とねじSとが面接触
可能であるため、落下してきたねじSは傾斜することなく支持孔433内に支持される。
その後、さらに下降してきたボックスビット33がねじSに嵌合する。この時、支持孔4
33の上方に形成された通過孔432がねじSの外径より大きく構成されているため、ボ
ックスビット33がねじSに嵌合した際にガイド爪43がボックスビット33によって押
し開けられることがない。これにより、ボックスビット33とねじSとが嵌合するより前
に支持孔433が開きねじSを開放することがなく、ねじSが倒れることを防止できる。
その後、ボックスビット33の回転に従いねじSがワークWに締結される。この時、ガイ
ド爪43が揺動可能に構成されているため、ガイド爪43とねじSあるいはボックスビッ
ト33とが過度に干渉することがなく、これらの間で発生する摩擦力が増大しない。結果
、当該摩擦による損失トルクが小さくなり、高精度なねじ締めが可能になる。また、この
ようにガイド爪43が揺動可能であるため、ボックスビット33等、ねじSの外径より大
きい締結工具であっても使用することが可能になる等の利点がある。
【0021】
上述のようにねじ締め時、前記モータ31が所定の締め付けトルクに到達すると、制御
部は、復帰動作を開始し、前記主シリンダ22のシリンダロッドを収縮させるとともに、
前記副シリンダ28のシリンダロッドを伸張させる。この時、副シリンダ28がシリンダ
ロッドを伸張させる速度は、主シリンダ22がシリンダロッドを収縮させる速度より速く
構成されているため、副シリンダ28のストローク分において、従動ユニットおよびチャ
ックユニット40はドライバ台23およびドライバユニット30より素早く後退する。こ
れにより、副シリンダ28のストローク相当、チャックユニット40のガイド爪43の下
端からボックスビット33が突出した状態となるため、万一、ねじ締め動作時にねじSが
ワークW螺合せずにガイド爪43に挟まれている状況となっても、当該ねじSを外部に排
出可能となる。このため、次のねじSが供給される際、チャックユニット40の内部に前
段のねじSが残留していることがなくなり、ねじSが保持孔421内に複数存在して締結
ミスが連続することを防止する。その後、制御部は、副シリンダ28のシリンダロッドを
収縮させ、副シリンダ28を当初状態に復帰させる。この副シリンダ28の復帰動作の途
中、前記当接部材27に上昇してきたドライバ台23が当接する。このため、貫通ロッド
24およびチャックユニット40は、ドライバ台23と共に上昇して図に示す当初位置ま
で復帰する。
【0022】
また、上述のように前記モータ31の出力が所定の締付けトルクに達した際、制御部は
、前記近接センサ51からの信号を受信して近接センサ51の検出域511内に前記ドグ
52が存在するか検出する。このように制御部は、前記ドグ52が適正な高さに位置する
か否かを検出でき、この結果ドグ52が固定されたビッド軸およびボックスビット33の
高さおよびねじSがワークWに着座しているか否かを判別できる。さらに、前記吸引ノズ
ル53がねじ締め時に発生するメッキかす等を吸引するため、ワークWの締付け箇所周辺
が洗浄される。
【0023】
なお、本発明に係るチャックユニット40は、前述したものに限定するものではなく、
発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、部品供給装置から圧送
されたねじSがチャック爪42を押し開くことのないよう、ねじSの圧送時、前記チャッ
ク爪42を開閉方向外側から規制する開閉規制手段が設けられていても良い。また保持孔
421および通過ガイド孔は、ねじSの太さや長さ等によって適宜変更されることが好ま
しい。
【0024】
もちろん前記チャックユニット40を備えた自動締結装置10も前述したものに限定す
るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、締結部品の
一例として、スタッドボルトであるねじSをワークWに締結したが、これに限定されずそ
の他、虫ねじやねじ込み継手用のプラグ、ストレートピン等、頭部を有さないあるいは頭
部と軸部の外径に寸法差が小さい棒状部材であっても何ら問題ない。もちろんドライバユ
ニット30も締結部品に適したものに都度、変更されることが好ましく、ボックスビット
33が十字ビット等、その他の締結工具に変更されても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0025】
10 … 自動締結装置
20 … 位置制御機構
22 … 主シリンダ
30 … ドライバユニット
31 … モータ
33 … ボックスビット
40 … チャックユニット
41 … チャック本体
411… 案内孔
42 … チャック爪
421… 保持孔
43 … ガイド爪
431… ガイド孔