(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180438
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 71/02 20060101AFI20231214BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231214BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20231214BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231214BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231214BHJP
【FI】
A01B71/02 Z
B60L58/12
B60L9/18 J
B60L50/60
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093762
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸本 章寛
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
【テーマコード(参考)】
2B041
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
2B041AA20
2B041AB05
2B041AC03
2B041HA01
2B041HA29
3D235AA14
3D235BB57
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD17
3D235HH31
5H125AA20
5H125AC12
5H125BA00
5H125BA09
5H125BB00
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】より正確に作業可能時間を算出する。
【解決手段】作業車両1は、車体と、車体に設けられ、作業装置が着脱可能な連結部と、作業装置を動作させる電動モータ12と、少なくとも電動モータ12に電力を供給するバッテリ20a(蓄電池)と、バッテリ20aの出力値を検出するBMU20a1(検出装置)と、作業装置による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値とを対応付けたデータを、予め記憶する記憶装置26と、BMU20a1にて検出された検出値が出力範囲値に含まれる場合に、作業装置が作業中であると判定する判定部25aと、作業装置が作業中であると判定された場合に、前記検出値が含まれると判定した前記出力範囲値の中央値と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する算出部25bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられ、作業装置が着脱可能な連結部と、
前記作業装置を動作させる電動モータと、
少なくとも前記電動モータに電力を供給する蓄電池と、
前記蓄電池の出力値を検出する検出装置と、
前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、予め記憶する記憶装置と、
前記検出装置にて検出された検出値が前記出力範囲値に含まれる場合に、前記作業装置が作業中であると判定する判定部と、
前記作業装置が作業中であると判定された場合に、前記検出値が含まれると判定した前記出力範囲値の中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて作業可能時間を算出する算出部と、を備える作業車両。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、
前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業の前記出力範囲値の何れかに含まれるか否かを判定し、前記検出値が含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記複数の作業のうちで前記蓄電池の出力範囲値が重複する2つ以上の作業について優先度を予め記憶しており、
前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業の前記出力範囲値の何れかに含まれるか否かを判定し、前記重複する2つ以上の作業の前記出力範囲値に前記検出値が含まれると判定した場合に、前記重複する2つ以上の作業のうちで前記優先度の高い方の作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業のうちの2つ以上の作業の前記出力範囲値に含まれると判定した場合に、前記2つ以上の作業のうちで前記検出値が最も近い中央値の前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記算出部は、前記判定部にて前記複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合に、前記検出装置にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて前記作業可能時間を算出する請求項2~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項6】
地域の指定を受け付ける入力部を備え、
前記記憶装置は、予め定められた使用地域と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、
前記判定部は、前記入力部にて指定された地域に対応する前記使用地域を特定し、特定した前記使用地域に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項2~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項7】
時期の指定を受け付ける入力部を備え、
前記記憶装置は、予め定められた使用時期と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、
前記判定部は、前記入力部にて指定された時期に対応する前記使用時期を特定し、特定した前記使用時期に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項2~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項8】
地域及び時期の指定を受け付ける入力部を備え、
前記記憶装置は、予め定められた使用地域と、前記使用地域についての使用時期と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、
前記判定部は、前記入力部にて指定された地域に対応する前記使用地域を特定し、特定した前記使用地域について前記入力部にて指定された時期に対応する前記使用時期を特定し、特定した前記使用地域及び前記使用時期に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定する請求項2~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記記憶装置は、前記蓄電池の出力範囲値として、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の平均出力の上限値から下限値までの範囲を示す値であって、前記上限値及び前記下限値の間の中央値を有する平均出力範囲値を予め記憶し、
前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値の移動平均値を算出し、この移動平均値が前記平均出力範囲値に含まれる場合に、前記作業装置が作業中であると判定し、
前記算出部は、前記作業装置が作業中であると判定された場合に、含まれると判定した前記平均出力範囲値の中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて前記作業可能時間を算出する請求項1~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項10】
前記算出部は、前記連結部によって前記作業装置が所定位置に位置された場合、前記作業装置への動力の出力が開始された場合、前記作業装置が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、前記作業装置が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、前記作業可能時間を算出する請求項1~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項11】
前記作業装置は、農作業を行う装置である請求項1~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項12】
前記車体に設けられ、かつ前記電動モータによって駆動される走行装置と、
前記電動モータを制御するインバータと、
前記電動モータが出力した動力を、前記連結部に装着された前記作業装置に出力する出力軸と、を備える請求項11に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリユニットと電気機器とを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された電気自動車では、過去の車両走行における平均消費電力量と、現時点の蓄電池残量とから、走行可能時間を算出している。また、近年では、農業機械などの作業車両についても、バッテリユニットと電気機器とを備えた電動式の作業車両の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農業機械などの作業車両では、複数種類の作業装置が着脱可能であり、取り付けられた作業装置の種類又は作業内容によって消費電力が大きく異なる。そのため、農業機械などの作業車両において、上記の特許文献1による電気自動車の走行可能時間の算出方法(つまり、過去の平均消費電力量と現時点の蓄電池残量とから走行可能時間を算出する方法)を適用したとしても、作業可能時間の推定誤差が大きく、作業車両の作業可能時間を正確に算出することができない。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、作業車両の作業可能時間を正確に算出することができる作業車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業車両は、車体と、前記車体に設けられ、作業装置が着脱可能な連結部と、前記作業装置を動作させる電動モータと、少なくとも前記電動モータに電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池の出力値を検出する検出装置と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、予め記憶する記憶装置と、前記検出装置にて検出された検出値が前記出力範囲値に含まれる場合に、前記作業装置が作業中であると判定する判定部と、前記作業装置が作業中であると判定された場合に、前記検出値が含まれると判定した前記出力範囲値の中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて作業可能時間を算出する算出部と、を備える。
【0007】
前記記憶装置は、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業の前記出力範囲値の何れかに含まれるか否かを判定し、前記検出値が含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
【0008】
前記記憶装置は、前記複数の作業のうちで前記蓄電池の出力範囲値が重複する2つ以上の作業について優先度を予め記憶しており、前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業の前記出力範囲値の何れかに含まれるか否かを判定し、前記重複する2つ以上の作業の前記出力範囲値に前記検出値が含まれると判定した場合に、前記重複する2つ以上の作業のうちで前記優先度の高い方の作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
【0009】
前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値が、前記複数の作業のうちの2つ以上の作業の前記出力範囲値に含まれると判定した場合に、前記2つ以上の作業のうちで前記検出値が最も近い中央値の前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
前記算出部は、前記判定部にて前記複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合に、前記検出装置にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて前記作業可能時間を算出してもよい。
【0010】
前記作業車両は、地域の指定を受け付ける入力部を備え、前記記憶装置は、予め定めら
れた使用地域と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、前記判定部は、前記入力部にて指定された地域に対応する前記使用地域を特定し、特定した前記使用地域に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
【0011】
前記作業車両は、時期の指定を受け付ける入力部を備え、前記記憶装置は、予め定められた使用時期と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、前記判定部は、前記入力部にて指定された時期に対応する前記使用時期を特定し、特定した前記使用時期に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
【0012】
前記作業車両は、地域及び時期の指定を受け付ける入力部を備え、前記記憶装置は、予め定められた使用地域と、前記使用地域についての使用時期と、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、前記判定部は、前記入力部にて指定された地域に対応する前記使用地域を特定し、特定した前記使用地域について前記入力部にて指定された時期に対応する前記使用時期を特定し、特定した前記使用地域及び前記使用時期に対応する、前記作業装置による作業と、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の出力範囲値とを選択し、前記検出装置にて検出された検出値が、選択した前記作業の前記出力範囲値に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした前記出力範囲値に対応する作業が前記作業装置にてされていると判定してもよい。
【0013】
前記記憶装置は、前記蓄電池の出力範囲値として、前記作業が行われる場合の前記蓄電池の平均出力の上限値から下限値までの範囲を示す値であって、前記上限値及び前記下限値の間の中央値を有する平均出力範囲値を予め記憶し、前記判定部は、前記検出装置にて検出された検出値の移動平均値を算出し、この移動平均値が前記平均出力範囲値に含まれる場合に、前記作業装置が作業中であると判定し、
前記算出部は、前記作業装置が作業中であると判定された場合に、含まれると判定した前記平均出力範囲値の中央値と、前記蓄電池の残容量とに基づいて前記作業可能時間を算出してもよい。
【0014】
前記算出部は、前記連結部によって前記作業装置が所定位置に位置された場合、前記作業装置への動力の出力が開始された場合、前記作業装置が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、前記作業装置が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、前記作業可能時間を算出してもよい。
前記作業装置は、農作業を行う装置としてもよい。
【0015】
前記作業車両は、前記車体に設けられ、かつ前記電動モータによって駆動される走行装置と、前記電動モータを制御するインバータと、前記電動モータが出力した動力を、前記連結部に装着された前記作業装置に出力する出力軸と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記作業車両によれば、作業車両の作業可能時間を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT1の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態の作業可能時間を算出するためのフローチャートである。
【
図4】第1実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT2の一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図7A】第2実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図7B】第4、第5の出力範囲値ORV4、ORV5が重複する一例を示す図である。
【
図8A】第3実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT21の一例を示す図である。
【
図8B】第3実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図8C】第3実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図9】第4実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT3の一例を示す図である。
【
図10】第4実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図11】第5実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT4の一例を示す図である。
【
図12】第5実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図13は、作業車両1の一実施形態を示す側面図である。本実施形態の場合、作業車両1はトラクタである。作業車両1は、車体2を備えている。車体2には、作業者が着座する運転席7が設けられている。
【0019】
本実施形態においては、以下、作業車両1の運転席7に着座した作業者が向く方向(
図13の矢印A1方向)を前方、その反対方向(
図13の矢印A2方向)を後方、作業者の左側(
図13の手前側)を左方、作業者の右側(
図13の奥側)を右方として説明する。また、作業車両1の前後方向に直交する方向である水平方向を幅方向として説明する。
図1は、作業車両のシステム全体を示す図である。
図1及び
図13に示すように、作業車両1は、走行装置4と、バッテリユニット20と、電気機器11と、変速装置10と、連結部8と、を備えている。走行装置4、バッテリユニット20、電気機器11、変速装置10、及び連結部8は、車体2に設けられている。
図13に示すように、走行装置4は、回転駆動する前輪4A及び後輪4Bを有する装置であり、車体2は、走行装置4によって走行可能である。なお、前輪4A及び後輪4Bは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。
【0020】
バッテリユニット20は、蓄電可能であり、蓄電した電力を出力する構造体である。バッテリユニット20は、ハウジング(筐体)の内部にバッテリ20a(蓄電池)を有している。バッテリ20aは、蓄電可能であり、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池等の二次電池である。バッテリ20aは、内部に複数のセルを有しており、複数のセルが電気的に直列及び並列に接続されている。バッテリユニット20は、作業車両1に設けられた充電器21と接続されている。充電器21は、バッテリユニット20に充電を行うケーブルが接続されるソケットである。バッテリユニット20は、充電器21を介して外部から供給される電力によって充電可能である。
【0021】
電気機器11は、バッテリユニット20から供給される電力によって駆動される電装品などの機器である。詳しくは、電気機器11は、バッテリユニット20と直接的又は間接的に接続され、バッテリユニット20が供給する電力を伝達する機器や、当該電力によって動作する機器等である。
図1に示すように、電気機器11は、バッテリユニット20の電力によって駆動する電動モータ12を含んでいる。また、電気機器11は、例えばインバータ13及びDC/DCコンバータ14を含んでいる。
【0022】
電動モータ12は、バッテリユニット20が出力する電力によって駆動する作業車両1の駆動源である。電動モータ12は、バッテリユニット20から供給された電力によって駆動軸を回転させる。電動モータ12は、永久磁石埋込式の三相交流同期モータである。電動モータ12は、回転可能なロータ(回転子)と、ロータを回転させるための力を発生
させるステータ(固定子)とを有する。
【0023】
インバータ13は、バッテリユニット20及び電動モータ12と接続されている。インバータ13は、電動モータ12を駆動させる装置であり、バッテリユニット20が供給する直流電力を三相交流電力に変換して電動モータ12に供給する。即ち、電動モータ12は、インバータ13を介してバッテリユニット20と接続されている。なお、インバータ13は、電動モータ12に供給する電力の電流や電圧を任意に変更可能である。
【0024】
DC/DCコンバータ14は、バッテリユニット20と接続されており、バッテリユニット20から供給された直流電力の電圧を異なる電圧に変換する。本実施形態において、DC/DCコンバータ14は、入力された電圧から低い電圧に変換を行う降圧コンバータである。DC/DCコンバータ14は、例えば作業車両1に設けられた電子機器に電源を供給する車載バッテリ15に電力の供給を行う。
【0025】
変速装置10は、電動モータ12の駆動軸と接続されており、電動モータ12が出力した動力が変速装置10に伝達され、変速装置10で変速された動力によって走行装置4が駆動する。変速装置10には、電動モータ12が出力した動力を外部に出力する出力軸(PTO軸)17が設けられている。PTO軸17は、車体2の後部から後方に突出して設けられている。
【0026】
連結部8は、車体2に揺動自在に設けられ、連結部8の後部には、作業装置9を着脱可能である。
作業装置9は、外部から入力された動力、例えばPTO軸17から入力された動力によって作動する。即ち、作業装置9は、電動モータ12から出力された動力がPTO軸17介して入力されることによって動作する。作業装置9は、例えば、農作業を行う装置である。作業装置9は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置(ロールベーラ)等である。
【0027】
なお、上述した実施形態では電動モータ12の駆動軸と変速装置10とが接続されており、電動モータ12が出力した動力が変速装置10に伝達され、走行装置4が変速装置10で変速された動力によって駆動するが、走行装置4の構成はこれに限るものではない。例えば、電動モータ12とは別に走行用電動モータを設け、バッテリユニット20から供給される電力によって走行用電動モータが駆動するようにしてもよい。また、走行用油圧モータを設け、電動モータ12の動力によって油圧ポンプ(図示せず)を駆動し、油圧ポンプから出力される作動油によって走行用油圧モータを駆動するようにしてもよい。
【0028】
図1に示すように、作業車両1は、制御装置25と、記憶装置26と、を備えている。制御装置25は、電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成された装置であり、作業車両1が有する様々な機器を制御する。例えば、制御装置25は、運転席7の周囲に設けられた操作可能な操作装置である回転数操作具(アクセルペダル)27の操作に基づいて、電動モータ12の回転数を制御する。記憶装置26は、不揮発性のメモリ等であり、制御装置25の制御に関する様々な情報等を記憶している。例えば、記憶装置26は、回転数操作具27の操作量に対する電動モータ12の回転数に関するテーブル等の情報を記憶している。
【0029】
作業車両1は、電気機器11を冷却する冷却システム30を備えている。冷却システム30は、冷媒(冷却水)を冷却するラジエータ31と、冷却水を送出する冷却用ポンプ40と、冷却水を循環させる冷却経路(図示省略)と、を有しており、電気機器11に冷却水を循環させることで、電気機器11の冷却を行う。
図13に示すように、ラジエータ31は、例えば車体2の前部に設けられている。ラジエータ31は、ラジエータファン31aが発生させた冷却風により、内部を通過する冷却水を冷却(除熱)する。ラジエータファン31aは、DC/DCコンバータ14で降圧された電力によって駆動する吸い込み式のファンであり、車体2の前方から空気を吸い込んでラジエータ31へと空気を流す。
【0030】
図1に示すように、制御装置25は、例えば、車載の電気機器11(電装品)を制御す
る電子制御ユニット(ECU(Electronic Control Unit))である。制御装置25は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークN1を介して、BMU20a1、表示装置5、記憶装置26、図示しない他のECUなどの他の装置に接続されている。
【0031】
ここで、バッテリ20aの充電について説明すると、バッテリ20aは、BMU(battery management unit)20a1を有している。BMU20a1は、バッテリユニット20を監視及び制御するバッテリ監視装置である。BMU20a1は、例えばバッテリ20aの電圧、温度、電流、内部のセルの端子電圧等を取得でき、バッテリユニット20を監視することができ、バッテリ20aの充電制御及び放電制御を行うことができる。このため、BMU20a1は、バッテリ20a(蓄電池)の出力電力、出力電圧及び出力電流の少なくとも1つを示す出力値を、検出値として検出する検出装置である。本実施形態では、検出値は、出力電力値としているが、出力電圧値又は出力電流値などであってもよい。BMU20a1は、バッテリ20aの電圧、電流に基づいて、バッテリ20aの残容量を算出して取得することができる。BMU20a1は、バッテリ20aの残容量を検出する残容量検出装置(図示省略)からの情報に基づいて、バッテリ20aの残容量を取得してもよい。また、バッテリ20aの温度は、例えば温度検出部20cによって検出される。
【0032】
BMU20a1は、バッテリ20aの電圧が所定の限界値に達すると充電器21に充電停止信号を出力し、バッテリ20aの電圧が限界値未満である場合、充電器21に充電許可信号を出力する。充電器21は、BMU20a1から充電停止信号を取得すると、充電器21内のリレーの開閉操作することでバッテリ20aへの充電電流を遮断する。一方、充電器21は、BMU20a1から充電許可信号を取得すると、充電器21内のリレーの開閉操作することでバッテリ20aへの充電電流を許容する。
【0033】
BMU20a1は、充電許可信号を出力している状態で、充電器21にケーブルが接続され、外部から充電器21に電力が供給されると、例えば短時間小電流でバッテリ20aを充電させる。BMU20a1は、バッテリ20aの電圧が所定以上上昇するか判断し(プリチャージ)、プリチャージでバッテリ20aの電圧が所定以上上昇した場合、充電器21に充電開始信号を出力し、充電器21はCVCC(Constant Current Constant Voltage)充電等の手段によってバッテリ20aの充電を行う。BMU20a1は、充電時間や通電電気量等の条件に基づいてバッテリ20aの充電を終了させるか判断し、充電時間が所定時間経過した場合や通電電気量が所定以上の場合に、充電停止信号を充電器21に出力して、充電器21に充電電流を遮断させてバッテリ20aの充電を終了させる。
【0034】
一方、プリチャージにおいてバッテリ20aの電圧が所定以上上昇しない場合、BMU20a1は、充電停止信号を充電器21に出力して、充電器21に充電電流を遮断させてバッテリ20aの充電を終了させる。
制御装置25は、外部からバッテリ20aに関する情報を取得して、バッテリ20aが充電中であるか否かを判断する。本実施形態において、制御装置25は、BMU20a1から信号(充電停止信号及び充電開始信号)を取得することでバッテリ20aが充電中であるか否かを判断する。
【0035】
記憶装置26は、
図2に示すように、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを含むデータテーブルDT1を、予め記憶している。
図2は、記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT1の一例を示す図である。
図2に示すデータテーブルDT1は、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶されたものである。本実施形態では、出力範囲値ORVは、出力電力範囲値としているが、出力電圧範囲値又は出力電流範囲値などであってもよい。データテーブルDT1は、第1~第nの作業装置W1~Wnと、第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVnとが、一対一に対応付けて記憶されている。第1~第nの作業装置W1~Wnは、例えば、耕耘装置、肥料散布装置、農薬散布装置、収穫装置、刈取装置、拡散装置、集草装置、成形装置などである。
【0036】
制御装置25は、判定部25a及び算出部25bを有している。判定部25a及び算出
部25bは、制御装置25に設けられた電気・電子回路、CPUや記憶装置26等に格納されたプログラム等から構成されている。判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値が出力範囲値ORVに含まれる場合に、作業装置9が作業中であると判定する。算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合に、前記検出値が含まれると判定した出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する。
【0037】
判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値が、複数の作業の出力範囲値ORV(例えば、第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVn)の何れかに含まれるか否かを判定し、前記検出値が含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。
また、算出部25bは、判定部25aにて複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合に、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する。即ち、現時点でのBMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、現時点でのバッテリ20aの残容量とに基づいて、現時点での作業可能時間を算出する。
【0038】
第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVnはそれぞれ、作業が行われる場合のバッテリ20aの平均出力の上限値LUから下限値LLまでの範囲を示す値であって、上限値LU及び下限値LLの間の中央値LMを有する平均出力範囲値である。例えば、第1の出力範囲値ORV1は、第1の作業装置W1にて作業が行われる場合のバッテリ20aの平均出力の第1の上限値LU1から第1の下限値LL1までの範囲を示す値であって、第1の上限値LU1と第1の下限値LL1との間の第1の中央値LM1を有する平均出力範囲値である。
【0039】
判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値の移動平均値MAを算出し、この移動平均値MAが、平均出力範囲値である第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVnの何れかに含まれる場合に、作業装置9が作業中であると判定する。また、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合に、含まれると判定した平均出力範囲値(つまり、出力範囲値ORV)の中央値LMと、BMU20a1の残容量とに基づいて作業可能時間を算出する。
【0040】
算出部25bは、連結部8によって作業装置9が所定位置に位置された場合、作業装置9への動力の出力が開始された場合、作業装置9が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、作業装置9が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、作業可能時間を算出する。
【0041】
ここで、制御装置25による作業装置9の作業可能時間の算出について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1実施形態の作業可能時間を算出するためのフローチャートである。
算出部25bは、所定タイミングであるか否かを判定する(S1)。具体的には、算出部25bは、連結部8によって作業装置9が所定位置(下降位置、作業開始位置など)に位置された場合、作業装置9への動力の出力が開始された場合、作業装置9が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、作業装置9が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、所定タイミングであると判定する(S1,Yes)。
【0042】
判定部25aは、算出部25bが所定タイミングであると判定すると(S1,Yes)、BMU20a1の出力値を検出する(S2)。具体的には、判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値(出力電力)を取得する。
判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値の移動平均値MAを算出する(S3)。算出部25bは、作業装置9の作業可能時間の算出処理を実行する(S4)。ここで、
図4を用いて、作業装置9の作業可能時間の算出処理について説明する。
図4は、第1実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【0043】
図4に示すように、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第1の出力範囲値ORV1に含まれるか否かを判定する(S41)。具体的には、判定部
25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第1の出力範囲値ORV1の第1の下限値LL1以上であり、且つ、第1の上限値LU1以下であるか否かを判定する。判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第1の出力範囲値ORV1に含まれる場合(S41,Yes)、第1の出力範囲値ORV1に対応する第1の作業装置W1の作業と特定する(S42)。例えば、第1の作業装置W1が耕耘装置であれば、第1の出力範囲値ORV1に対応する作業が耕耘作業であると特定される。
【0044】
算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第1の作業装置W1の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第1の出力範囲値ORV1の中央値LM1と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S43)。例えば、出力電力範囲値である第1の出力範囲値ORV1の中央値LM1が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM1で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第1の作業装置W1の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM1となる。
【0045】
一方、S41において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第1の出力範囲値ORV1に含まれない場合(S41,No)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第2の出力範囲値ORV2に含まれるか否かを判定する(S44)。具体的には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第2の出力範囲値ORV2の第2の下限値LL2以上であり、且つ、第2の上限値LU2以下であるか否かを判定する。判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第2の出力範囲値ORV2に含まれる場合(S44,Yes)、第2の出力範囲値ORV2に対応する第2の作業装置W2の作業と特定する(S45)。例えば、第2の作業装置W2が肥料散布装置であれば、第2の出力範囲値ORV2に対応する作業が肥料散布作業であると特定される。
【0046】
算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第2の作業装置W2の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第2の出力範囲値ORV2の中央値LM2と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S46)。例えば、出力電力範囲値である第2の出力範囲値ORV2の中央値LM2が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM2で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第2の作業装置W2の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM2となる。
【0047】
一方、S44において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第2の出力範囲値ORV2に含まれない場合(S44,No)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第nの出力範囲値ORVnに含まれるか否かを判定する(S47)。具体的には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第nの出力範囲値ORVnの第nの下限値LLn以上であり、且つ、第nの上限値LUn以下であるか否かを判定する。判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第nの出力範囲値ORVnに含まれる場合(S47,Yes)、第nの出力範囲値ORVnに対応する第nの作業装置Wnの作業と特定する(S48)。例えば、第nの作業装置Wnが成形装置であれば、第nの出力範囲値ORVnに対応する作業が成形作業であると特定される。
【0048】
算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第nの作業装置Wnの作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第nの出力範囲値ORVnの中央値LMnと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S49)。例えば、出力電力範囲値である第nの出力範囲値ORVnの中央値LM2が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LMnで割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第nの作業装置Wnの作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LMnとなる。
【0049】
一方、S47において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第nの出力範囲値ORVnに含まれない場合(S47,No)、該当作業なしと判定する(S50)。即ち、記憶装置26に予め記憶された複数の作業装置の何れの作業にも該当しないと判定する。算出部25bは、判定部25aにて複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合(S50)、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S51)。例えば、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMが、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値OMで割った値が、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値OMとなる。
【0050】
制御装置25は、S43のあと、S46のあと、S49のあと、又は、S51のあと、本処理を終了する。
図3に戻って、制御装置25は、S4のあと、終了の有無を判定する(S5)。例えば、イグニッションキーのオフが検出されると、終了と判定し(S5,Yes)、本処理を終了する。一方、制御装置25は、イグニッションキーのオフが検出されていない場合(S5,No)、S1に進み、所定のタイミングの有無を判定する(S1)。
【0051】
上述した第1実施形態の作業車両1は、車体2と、車体2に設けられ、作業装置9が着脱可能な連結部8と、作業装置9を動作させる電動モータ12と、少なくとも電動モータ12に電力を供給するバッテリ20a(蓄電池)と、バッテリ20aの出力値を検出するBMU20a1(検出装置)と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、予め記憶する記憶装置26と、BMU20a1にて検出された検出値が出力範囲値ORVに含まれる場合に、作業装置9が作業中であると判定する判定部25aと、作業装置9が作業中であると判定された場合に、前記検出値が含まれると判定した前記出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する算出部25bと、を備える。この構成によれば、作業装置9が作業中であることを判定することができ、作業装置9が作業中であるときのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LM(つまり、消費出力の中央値)と、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出するので、作業装置9での消費出力を考慮して、作業可能時間の算出することができる。このため、作業装置9での消費出力を考慮できない構成に比べて、より正確に作業可能時間の算出することができる。
【0052】
また、一般的には、作業装置の消費電力値は変動幅が大きいので、作業装置の瞬間的な測定値に基づいて作業可能時間を推定しても、作業装置9の作業可能時間を正確に算出することができない。これに対して、第1実施形態の算出部25bは、BMU20a1にて検出された検出値が含まれる出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する。即ち、作業装置9の瞬間的な測定値をそのまま用いるのではなく、この測定値を含む出力範囲値ORVの中央値LMを用いて作業可能時間を算出するので、作業装置9の作業可能時間を正確に算出することができる。また、算出部25bは、判定部25aにて複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合には、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出するので、該当作業がない場合でも、作業装置9の作業可能時間を正確に算出することができる。
【0053】
また、記憶装置26は、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値が、複数の作業の出力範囲値ORV(例えば第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVn)の何れかに含まれるか否かを判定し、前記検出値が含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。この構成によれば、作業装置9による複数の作業の何れの作業を行っているか否かを判定することができ、作業中と判定し
た作業に対応するバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出することができる。これにより、作業装置9による複数の作業の何れの作業を行っている場合であっても、正確に作業可能時間の算出することができる。
【0054】
また、算出部25bは、判定部25aにて複数の作業の何れにも含まれないと判定した場合に、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する。即ち、現時点でのBMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、現時点でのバッテリ20aの残容量とに基づいて、現時点での作業可能時間を算出する。この構成によれば、作業装置9による複数の作業の何れの作業であるかを判定部25aにて判定できない場合であっても、算出部25bは、作業装置9による複数の作業以外の作業についての作業可能時間を算出することができる。つまり、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間を算出することができる。
【0055】
また、記憶装置26は、バッテリ20aの出力範囲値ORVとして、作業が行われる場合のバッテリ20aの平均出力の上限値LUから下限値LLまでの範囲を示す値であって、上限値LU及び下限値LLの間の中央値LMを有する平均出力範囲値を予め記憶し、判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値の移動平均値を算出し、この移動平均値が平均出力範囲値に含まれる場合に、作業装置9が作業中であると判定し、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合に、含まれると判定した平均出力範囲値の中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出する。この構成によれば、判定部25aは、BMU20a1にて検出された検出値の移動平均値を算出し、この移動平均値が記憶装置26に予め記憶された平均出力範囲値に含まれる場合に、作業装置9が作業中であると判定するので、作業装置9が作業中であることをより正確に判定することができる。また、作業装置9が作業中であるときのバッテリ20aの平均出力範囲値の中央値LM(つまり、消費出力の中央値)と、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出するので、より正確に作業可能時間の算出することができる。
【0056】
また、算出部25bは、連結部8によって作業装置9が所定位置に位置された場合、作業装置9への動力の出力が開始された場合、作業装置9が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、作業装置9が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、作業可能時間を算出する。この構成によれば、作業装置9が所定位置に位置された場合、作業装置9への動力の出力が開始された場合、作業装置9が動作中で算出指示の入力がされた場合、及び、作業装置9が動作中の予め定められた期間の経過があった場合の少なくとも1つ以上があった場合に、作業可能時間が算出されるので、適切なタイミングで作業可能時間の算出することができる。
【0057】
また、作業装置9は、例えば、農作業を行う装置である。この構成によれば、農業用の作業車両において、作業装置9が作業中であることを判定することができ、作業装置9が作業中であるときのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LM(つまり、消費出力の中央値)と、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出するので、作業装置9での消費出力を考慮できない構成に比べて、より正確に作業可能時間の算出することができる。
【0058】
また、作業車両1は、車体2に設けられ、かつ電動モータ12によって駆動される走行装置4と、電動モータ12を制御するインバータ13と、電動モータ12が出力した動力を、連結部8に装着された作業装置9に出力するPTO軸17(出力軸)と、を備える。この構成によれば、農業用の作業車両1において、電動モータ12からの動力がPTO軸17を介して伝達されて駆動する作業装置9が作業中であることを判定することができ、作業装置9が作業中であるときのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LM(つまり、消費出力の中央値)と、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出するので、作業装置9での消費出力を考慮できない構成に比べて、より正確に作業可能時間の算出することができる。
【0059】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT2の一例を示す図である。第2実施形態のデータテーブルDT2は、優先度ptを示すデータが含まれている点が、第1実施形態のデータテーブルDT1とは異なっている。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0060】
第2実施形態の記憶装置26は、複数の作業のうちでバッテリ20a(蓄電池)の出力範囲値ORVが重複する2つ以上の作業について、優先度を予め記憶している。具体的には、第4の作業装置W4に対応する第4の出力範囲値ORV4と、第5の作業装置W5に対応する第5の出力範囲値ORV5とは、一部が重複している。つまり、第4の出力範囲値ORV4と第5の出力範囲値ORV5とで重複する部分がある。例えば、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、第4の出力範囲値ORV4又は第5の出力範囲値ORV5に含まれる場合には、第4の出力範囲値ORV4又は第5の出力範囲値ORV5のどちらに含まれるとするのかを判定する必要がある。このため、一部が重複する第4、第5の出力範囲値ORV4、ORV5については、優先度ptが予め記憶されている。例えば、第4の出力範囲値ORV4には、第1優先度pt1が対応付けて記憶されている。一方、第5の出力範囲値ORV5には、第2優先度pt2が対応付けて記憶されている。第1優先度pt1は、第2優先度pt2よりも優先度が高い。なお、第1の出力範囲値ORV1は、他の第2~第nの出力範囲値ORV2~ORVnに対して重複しないので、
図5に示すように優先度が記憶されていない。つまり、第1の出力範囲値ORV1に対応する優先度ptは、「-」となっている。
【0061】
判定部25aは、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、複数の作業の出力範囲値の何れかに含まれるか否かを判定し、重複する2つ以上の作業の出力範囲値ORV(ここでは第4、第5の出力範囲値ORV4、ORV5)に前記検出値が含まれると判定した場合に、前記重複する2つ以上の作業のうちで優先度ptの高い方の作業が作業装置9にてされていると判定する。
【0062】
ここで、第2実施形態の作業可能時間の算出処理について、
図6、
図7Aを用いて説明する。
図6は、第2実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
図7Aは、第2実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
図7Bは、第4、第5の出力範囲値ORV4、ORV5が重複する一例を示す図である。
図6のS41~S51については第1実施形態と同じであるので、第1実施形態とは異なる
図6のS60及び
図7AのS61~S67について説明する。
【0063】
図6に示すように、判定部25aは、記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT2について優先度データの有無を判定する(S60)。例えば、判定部25aは、データテーブルDT2に優先度ptが含まれている否かを判定する。ここでは、データテーブルDT2において第1優先度pt1、第2優先度pt2が含まれているため、判定部25aは、優先度データありと判定する(S60,Yes)。一方、判定部25aは、データテーブルDT2に優先度ptが含まれていない場合には、優先度データなしと判定し(S60,No)、S41に進む。
図6のS41~S51については、第1実施形態と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0064】
図7Aに示すように、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、優先度ptを含む出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S61)。具体的には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第1優先度pt1を有する第4の出力範囲値ORV4、第2優先度pt2を有する第5の出力範囲値ORV5の何れに含まれない場合(S61,No)、
図6に示すS41に進む。一方、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第1優先度pt1を有する第4の出力範囲値ORV4、第2優先度pt2を有する第5の出力範囲値ORV5の何れかに含まれると判定した場合(S61,Yes)、移動平均値MAが、第1優先度pt1の第4の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S62)。
図7Bに示すように、第4の出力範囲値ORV4と第5の出力範囲値ORV5とで重複する部分OVがある。そして、移動平均値MAが、移動平均値MA1又は移動平均値MA2であれば、第4の出力範囲値ORV4に含まれると判定する。移動平均値MA1は、第4の出力範囲値ORV4のうちで重複する部分OVに位置する。移動平均値MA2は、第4の出力範囲値ORV4のうちで重複する部分OV以外に位置する。
【0065】
判定部25aは、移動平均値MAが、第4の出力範囲値ORVに含まれると判定した場合(S62,Yes)、第4の出力範囲値ORV4に対応する第4の作業装置W4の作業と特定する(S63)。例えば、第4の作業装置W4が収穫装置であれば、第4の出力範囲値ORV4に対応する作業が収穫作業であると特定される。
算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第4の作業装置W4の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第4の出力範囲値ORV4の中央値LM4と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S64)。例えば、出力電力範囲値である第4の出力範囲値ORV4の中央値LM4が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM4で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第4の作業装置W4の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM4となる。
【0066】
一方、S62において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第4の出力範囲値ORV4に含まれない場合(S62,No)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが次の第2優先度pt2に対応付けられた第5の出力範囲値ORV5に含まれるか否かを判定する(S65)。
図7Bに示すように、移動平均値MAが、移動平均値MA3であれば、第5の出力範囲値ORV5に含まれると判定する。移動平均値MA3は、第5の出力範囲値ORV5のうちで重複する部分OV以外に位置する。判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第5の出力範囲値ORV5の何れかに含まれると判定した場合(S65,Yes)、第5の出力範囲値ORV5に対応する第5の作業装置W5の作業と特定する(S66)。例えば、第5の作業装置W5が刈取装置であれば、第5の出力範囲値ORV5に対応する作業が刈取作業であると特定される。
【0067】
算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第5の作業装置W5の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第5の出力範囲値ORV5の中央値LM5と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S67)。例えば、出力電力範囲値である第5の出力範囲値ORV5の中央値LM5が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM5で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第5の作業装置W5の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM5となる。制御装置25は、S64のあと、又は、S67のあと、本処理を終了する。
【0068】
一方、S65において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第5の出力範囲値ORV5に含まれない場合(S65,No)、
図6に示すS41に進む。
【0069】
上述した第2実施形態の作業車両1は、記憶装置26は、複数の作業のうちでバッテリ20aの出力範囲値ORVが重複する2つ以上の作業について優先度ptを予め記憶しており、判定部25aは、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、複数の作業の出力範囲値ORVの何れかに含まれるか否かを判定し、重複する2つ以上の作業の出力範囲値ORVに前記検出値が含まれると判定した場合に、重複する2つ以上の作業のうちで優先度ptの高い方の作業が作業装置9にてされていると判定する。この構成によれば、作業装置9による複数の作業の何れの作業を行っているか否かを判定するに際して、検出値が、2つ以上の作業の出力範囲値ORVに含まれる場合に、優先度ptの高い方の作業であると判定することができ、作業中と判定した優先度ptが高い方の作業に対応するバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出することができる。これにより、バッテリ20aの出力範囲値ORVが重複する2つ以上の作業についても、的確に作業可能時間の算出することができ
る。
【0070】
[第3実施形態]
前述の第2実施形態では、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、一部が重複する複数の出力範囲値ORVに含まれる場合に、該当する複数の出力範囲値ORVごとの優先度ptに基づいて出力範囲値ORVを特定している。これに対して、第3実施形態では、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、一部が重複する複数の出力範囲値ORVに含まれる場合に、該当する複数の出力範囲値ORVの各中央値のうちで検出値に最も近い中央値の出力範囲値ORVに対応する作業であると判定する点が、前述の第2実施形態とは異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
図8Aは、第3実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT21の一例を示す図である。
図8Aに示すように、第3実施形態の記憶装置26は、データテーブルDT21を予め記憶している。このデータテーブルDT21には、複数の作業のうちでバッテリ20a(蓄電池)の出力範囲値ORVが重複する2つ以上の作業について、重複データDDが予め記憶されている。例えば、第4の作業装置W4に対応する第4の出力範囲値ORV4と、第5の作業装置W5に対応する第5の出力範囲値ORV5とは、互いに重複する部分があるとする。このため、第4の出力範囲値ORV4には、第5の出力範囲値ORV5と重複することを示す重複データDD4(=ORV5)が記憶されている。また、第5の出力範囲値ORV5には、第4の出力範囲値ORV4と重複することを示す重複データDD5(=ORV4)が記憶されている。例えば、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、第4の出力範囲値ORV4又は第5の出力範囲値ORV5に含まれる場合には、第4の出力範囲値ORV4又は第5の出力範囲値ORV5のどちらに含まれるとするのかを判定する必要がある。なお、第1の出力範囲値ORV1は、他の第2~第nの出力範囲値ORV2~ORVnに対して重複しないので、
図8Aに示すように重複データDDが記憶されていない。よって、第1の出力範囲値ORV1に対応する重複データDDは、「-」となっている。
【0072】
判定部25aは、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、複数の作業のうちの2つ以上の作業の出力範囲値ORVに含まれると判定した場合に、2つ以上の作業のうちで検出値が最も近い中央値LMの出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。
ここで、第3実施形態の作業可能時間の算出処理について、
図8B、
図8Cを用いて説明する。
図8Bは、第3実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
図8Cは、第3実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
【0073】
図8Bに示すように、判定部25aは、記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT21について重複データDDの有無を判定する(S70)。例えば、判定部25aは、
図8Aに示すデータテーブルDT21を用いて、重複データDDの有無を判定する。ここでは、データテーブルDT21において、第4の作業装置W4に対応する第4の出力範囲値ORV4が重複データDD4を有し、第5の作業装置W5に対応する第5の出力範囲値ORV5が重複データDD5を有するので、判定部25aは、重複データありと判定する(S70,Yes)。一方、判定部25aは、データテーブルDT21に重複データDDが含まれていない場合には、優先度データなしと判定し(S70,No)、S41に進む。
図8BのS41~S51については、第1実施形態と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0074】
図8Cに示すように、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが複数の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S71)。具体的には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVnの2つ以上に含まれない場合(S71,No)、
図8Bに示すS41に進む。一方、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第1~第nの出力範囲値ORV1~ORVnの2つ以上に含まれると判定した場合(S71,Yes)、移動平均値MAに最も近い中央値LMを判定する(S72)。例えば、移動平均値
MAが、第4の出力範囲値ORV4と第5の出力範囲値ORV5とに含まれている場合には、判定部25aは、移動平均値MAが、第4の出力範囲値ORV4の中央値LM4と、第5の出力範囲値ORV5の中央値LM5とのどちらに近いかを判定する。判定部25aは、移動平均値MAと中央値LM4との差分値の絶対値と、移動平均値MAと中央値LM5との差分値の絶対値とを比較し、この2つの絶対値のうちで値の小さい方に最も近いと判定する。
【0075】
判定部25aは、移動平均値MAに最も近い中央値LMの出力範囲値ORVに対応する作業装置による作業を特定する(S73)。例えば、移動平均値MAに最も近い中央値LMが中央値LM4であった場合、中央値LM4の第4の出力範囲値ORV4に対応する第4の作業装置W4による作業であると特定する。第4の作業装置W4が収穫装置であれば、第4の出力範囲値ORV4に対応する作業が収穫作業であると特定される。
【0076】
算出部25bは、移動平均値MAに最も近い中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S74)。例えば、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第4の作業装置W4の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第4の出力範囲値ORV4の中央値LM4と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S74)。例えば、出力電力範囲値である第4の出力範囲値ORV4の中央値LM4が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM4で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第4の作業装置W4の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM4となる。S74のあと、
図8Bに示すように本処理を終了する。
【0077】
上述した第3実施形態の作業車両1は、判定部25aは、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、複数の作業のうちの2つ以上の作業の出力範囲値ORVに含まれると判定した場合に、2つ以上の作業のうちで検出値が最も近い中央値LMの出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。この構成によれば、作業装置9による複数の作業の何れの作業を行っているか否かを判定するに際して、検出値が、2つ以上の作業の出力範囲値ORVに含まれる場合に、検出値に最も近い中央値LMの出力範囲値ORVに対応する作業であると判定するので、複数の作業のうちで最も近い作業に絞り込むことができる。そして、検出値に最も近い、バッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出するので、実状に合った作業可能時間の算出することができる。
【0078】
[第4実施形態]
前述の第1~第3実施形態では、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、複数の出力範囲値ORVに含まれるかを判定し、含まれると判定された出力範囲値ORVに対応する作業が実行されていると判定し、かかる作業でのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMとバッテリ20aの残容量とから、作業可能時間を算出している。これに対して、第4実施形態では、入力された使用地域に基づいて作業を特定し、特定された作業でのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMとバッテリ20aの残容量とから、作業可能時間を算出する点が、前述の第1~第3実施形態とは異なっている。なお、第1~第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0079】
図1に示すように、表示装置5は、地域(例えば使用地域)の指定を受け付ける入力部5aを備えている。
図9は、第4実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT3の一例を示す図である。第4実施形態の記憶装置26は、
図9に示すように、予め定められた使用地域と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶している。具体的には、第4実施形態の記憶装置26は、データテーブルDT3を予め記憶している。このデータテーブルDT3には、使用地域が、各作業の種類に対応付けられて記憶されている。例えば、使用地域AR6が第6の作業装置W6に対応付けられ、使用地域AR7が第7の作業装置W7に対応付けられている。第6の作業装置W6には、第6の出力範囲値ORV6が対応付け
られ、第7の作業装置W7には、第7の出力範囲値ORV7が対応付けられている。なお、第6の出力範囲値ORV6は、第6の上限値LU6から第6の下限値LL6までの範囲を示す値であって、第6の上限値LU6及び第6の下限値LL6の間の第6中央値LM6を有する平均出力範囲値である。第7の出力範囲値ORV7は、第7の上限値LU7から第7の下限値LL7までの範囲を示す値であって、第7の上限値LU7及び第7の下限値LL7の間の第7中央値LM7を有する平均出力範囲値である。
【0080】
判定部25aは、入力部5aにて指定された地域に対応する使用地域を特定し、特定した使用地域に対応する、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを選択し、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、選択した作業の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。
【0081】
ここで、第4実施形態の作業可能時間の算出処理について、
図10を用いて説明する。
図10は、第4実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、判定部25aは、使用地域の入力の有無を判定する(S81)。例えば、表示装置5に表示された入力画面(図示省略)の入力部5aに、使用地域が入力されると、判定部25aは、使用地域の入力ありと判定する(S81,Yes)。一方、入力部5aに使用地域が入力されずに規定時間が経過した場合又は入力部5aにて使用地域を入力しないが選択された場合、判定部25aは、使用地域の入力なしと判定し(S81,No)、本処理を終了する。
【0082】
判定部25aは、使用地域の入力ありと判定すると(S81,Yes)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域に対応する出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S82)。例えば、使用地域AR6が入力された場合には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第6の出力範囲値ORV6に含まれるか否かを判定する。
【0083】
判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域に対応する出力範囲値ORVに含まれると判定した場合(S82,Yes)、入力された使用地域に対応する出力範囲値ORVに対応する作業と特定する(S83)。例えば、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域AR6に対応する第6の出力範囲値ORV6に含まれると判定すると、第6の出力範囲値ORV6に対応する第6の作業装置W6の作業と特定する。例えば、第6の作業装置W6が拡散装置であれば、第6の出力範囲値ORV6に対応する作業が拡散作業であると特定される。
【0084】
算出部25bは、出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S84)。例えば、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第6の作業装置W6の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第6の出力範囲値ORV6の中央値LM6と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S84)。例えば、出力電力範囲値である第6の出力範囲値ORV6の中央値LM6が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM6で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第6の作業装置W6の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM6となる。制御装置25は、S84のあと、本処理を終了する。
【0085】
一方、S82において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域に対応する出力範囲値ORVに含まれない場合(S82,No)、該当作業なしと判定する(S85)。即ち、記憶装置26に予め記憶された使用地域に対応する作業装置9の作業に該当しないと判定する。算出部25bは、判定部25aにて該当作業なしと判定した場合(S85)、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S86)。例えば、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMが、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値OMで割った値が、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値OMとなる。制御装置25は、S86のあと、本処理を終了する。
【0086】
上述した第4実施形態の作業車両1は、地域(例えば使用地域)の指定を受け付ける入力部5aを備え、記憶装置26は、予め定められた使用地域と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶し、判定部25aは、入力部5aにて指定された地域に対応する使用地域を特定し、特定した使用地域に対応する、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを選択し、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、選択した作業の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。
【0087】
この構成によれば、入力部5aに地域を指定することで、この地域に対応する使用地域に対応する作業装置9による作業とバッテリ20aの出力範囲値ORVとが選択されて、作業装置9による使用地域の作業を行っているか否かを判定することができ、作業中と判定したバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出することができる。これにより、使用地域にて行われる作業装置9の作業可能時間を簡単に算出することができる。
【0088】
[第5実施形態]
前述の第4実施形態では、入力された使用地域に基づいて作業を特定し、特定された作業でのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMとバッテリ20aの残容量とから、作業可能時間を算出している。これに対して、第5実施形態では、入力された使用地域及び使用時期に基づいて作業を特定し、特定された作業でのバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMとバッテリ20aの残容量とから、作業可能時間を算出する点が、前述の第4実施形態とは異なっている。なお、第1~第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0089】
第5実施形態の入力部5aは、地域(例えば使用地域)及び時期(例えば使用時期)の指定を受け付ける。
図11は、第5実施形態の記憶装置26に記憶されたデータテーブルDT4の一例を示す図である。第5実施形態の記憶装置26は、
図11に示すように、予め定められた使用地域と、当該使用地域についての使用時期と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶している。具体的には、第5実施形態の記憶装置26は、データテーブルDT4を予め記憶している。このデータテーブルDT4には、使用地域と、当該使用地域についての使用時期とが、各作業の種類に対応付けられて記憶されている。例えば、使用地域AR6での使用時期SA1が第6の作業装置W6に対応付けられ、同じ使用地域AR6での使用時期SA2が第8の作業装置W8に対応付けられている。使用時期SA1と使用時期SA2とは異なる時期であって互いに重複しない時期である。ここでは、使用時期SA2は、使用時期SA1の後の時期である。第6の作業装置W6には、第6の出力範囲値ORV6が対応付けられ、第8の作業装置W8には、第8の出力範囲値ORV8が対応付けられている。なお、第6の出力範囲値ORV6は、第6の上限値LU6から第6の下限値LL6までの範囲を示す値であって、第6の上限値LU6及び第6の下限値LL6の間の第6中央値LM6を有する平均出力範囲値である。第8の出力範囲値ORV8は、第8の上限値LU8から第8の下限値LL8までの範囲を示す値であって、第8の上限値LU8及び第8の下限値LL8の間の第7中央値LM8を有する平均出力範囲値である。
【0090】
判定部25aは、入力部5aにて指定された地域に対応する使用地域を特定し、特定した使用地域について入力部5aにて指定された時期に対応する使用時期を特定し、特定した使用地域及び使用時期に対応する、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバ
ッテリ20aの出力範囲値ORVとを選択し、BMU20a1(検出装置)にて検出された検出値が、選択した作業の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。
【0091】
ここで、第5実施形態の作業可能時間の算出処理について、
図12を用いて説明する。
図12は、第5実施形態の作業可能時間の算出処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、判定部25aは、使用地域及び使用時期の入力の有無を判定する(S81)。例えば、表示装置5に表示された入力画面(図示省略)の入力部5aに、使用地域及び使用時期が入力されると、判定部25aは、使用地域及び使用時期の入力ありと判定する(S81A,Yes)。一方、入力部5aに使用地域及び使用時期が入力されずに規定時間が経過した場合又は入力部5aにて使用地域及び使用時期を入力しないが選択された場合、判定部25aは、使用地域及び使用時期の入力なしと判定し(S81A,No)、本処理を終了する。
【0092】
判定部25aは、使用地域及び使用時期の入力ありと判定すると(S81A,Yes)、使用時期SA1であるか否かを判定する(S91)。判定部25aは、使用時期SA1であると判定すると(S91,Yes)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S82A)。例えば、使用地域AR6及び使用時期SA1が入力された場合には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第6の出力範囲値ORV6に含まれるか否かを判定する。
【0093】
判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに含まれると判定した場合(S82A,Yes)、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに対応する作業と特定する(S83A)。例えば、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域AR6及び使用時期SA1に対応する第6の出力範囲値ORV6に含まれると判定すると、第6の出力範囲値ORV6に対応する第6の作業装置W6の作業と特定する。例えば、第6の作業装置W6が拡散装置であれば、第6の出力範囲値ORV6に対応する作業が拡散作業であると特定される。
【0094】
算出部25bは、出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S84A)。例えば、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第6の作業装置W6の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第6の出力範囲値ORV6の中央値LM6と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S84A)。例えば、出力電力範囲値である第6の出力範囲値ORV6の中央値LM6が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM6で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第6の作業装置W6の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM6となる。制御装置25は、S84Aのあと、本処理を終了する。
【0095】
一方、S82Aにおいて、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域に対応する出力範囲値ORVに含まれない場合(S82A,No)、該当作業なしと判定する(S85A)。即ち、記憶装置26に予め記憶された使用地域に対応する作業装置9の作業に該当しないと判定する。算出部25bは、判定部25aにて該当作業なしと判定した場合(S85A)、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S86A)。例えば、BMU20a1にて検出された検出値を移動平均して算出した中央値OMが、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値OMで割った値が、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、種類が特定されていない作業装置の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値OMとなる。制御装置25は、S86Aのあと、本処理を終了する。
【0096】
一方、S91において、判定部25aは、使用時期SA1でないと判定すると(S91,No)、使用時期SA2であるか否かを判定する(S92)。判定部25aは、使用時期SA2であると判定すると(S92,Yes)、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定する(S93)。例えば、使用地域AR6及び使用時期SA2が入力された場合には、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、第8の出力範囲値ORV8に含まれるか否かを判定する。
【0097】
判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに含まれると判定した場合(S93,Yes)、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに対応する作業と特定する(S94)。例えば、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域AR6及び使用時期SA2に対応する第8の出力範囲値ORV8に含まれると判定すると、第8の出力範囲値ORV8に対応する第8の作業装置W8の作業と特定する。例えば、第8の作業装置W8が集草装置であれば、第8の出力範囲値ORV8に対応する作業が集草作業であると特定される。
【0098】
算出部25bは、出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S95)。例えば、算出部25bは、作業装置9が作業中であると判定された場合、ここでは第8の作業装置W8の作業中であると判定された場合に、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが含まれると判定した第8の出力範囲値ORV8の中央値LM8と、バッテリ20aの残容量とに基づいて作業可能時間を算出する(S95)。例えば、出力電力範囲値である第8の出力範囲値ORV8の中央値LM8が、単位時間(例えば1分)当たりの値であれば、バッテリ20aの残容量である残電力量RPを中央値LM8で割った値が、作業可能時間(分)として算出することができる。つまり、第8の作業装置W8の作業可能時間(分)=残電力量RP/中央値LM8となる。制御装置25は、S95のあと、本処理を終了する。
【0099】
一方、S92において、判定部25aは、使用時期SA2でないと判定すると(S92,No)、S85Aに進む。また、S93において、判定部25aは、バッテリ20aの出力電力値の移動平均値MAが、入力された使用地域及び使用時期に対応する出力範囲値ORVに含まれないと判定した場合(S93,No)、S85Aに進む。
【0100】
上述した第5実施形態の作業車両1は、地域及び時期の指定を受け付ける入力部5aを備え、記憶装置26は、予め定められた使用地域と、使用地域についての使用時期と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対応付けたデータを、複数の作業について予め記憶しており、判定部25aは、入力部5aにて指定された地域に対応する使用地域を特定し、特定した使用地域について入力部5aにて指定された時期に対応する使用時期を特定し、特定した使用地域及び使用時期に対応する、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを選択し、BMU20a1にて検出された検出値が、選択した作業の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。この構成によれば、入力部5aに地域及び時期を指定することで、この地域に対応する使用地域及び使用時期に対応する作業装置9による作業とバッテリ20aの出力範囲値ORVとが選択されて、作業装置9による使用地域の作業を行っているか否かを判定することができ、作業中と判定したバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出することができる。これにより、使用地域及び使用時期にて行われる作業装置9の作業可能時間を簡単に算出することができる。
【0101】
[第5実施形態の変形例]
なお、第4実施形態では、入力部5aに使用地域のみを入力し、第5実施形態では、入力部5aに使用地域及び使用時期を入力しているが、第5実施形態の変形例では、入力部5aに使用時期のみを入力してもよい。記憶装置26は、予め定められた使用時期と、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを対
応付けたデータを、複数の作業について予め記憶している。つまり、記憶装置26は、
図11に示すデータテーブルDT4での使用地域のデータを削除したデータテーブルを記憶すればよい。
【0102】
判定部25aは、入力部5aにて指定された時期に対応する使用時期を特定し、特定した使用時期に対応する、作業装置9による作業と、作業が行われる場合のバッテリ20aの出力範囲値ORVとを選択し、BMU20a1にて検出された検出値が、選択した作業の出力範囲値ORVに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、当該含まれるとした出力範囲値ORVに対応する作業が作業装置9にてされていると判定する。この構成によれば、入力部5aに時期を指定することで、使用時期に対応する作業装置9による作業とバッテリ20aの出力範囲値ORVとが選択されて、作業装置9による使用地域の作業を行っているか否かを判定することができ、作業中と判定したバッテリ20aの出力範囲値ORVの中央値LMと、バッテリ20aの残容量とに基づいて、作業可能時間を算出することができる。これにより、使用地域及び使用時期にて行われる作業装置9の作業可能時間を簡単に算出することができる。
【0103】
なお、上記の各実施形態などでは、BMU20a1は、バッテリ20aの出力値(出力電力、出力電圧及び出力電流など)を、検出値として検出しているが、これに限定されない。例えば、インバータ13の出力値(出力電力、出力電圧及び出力電流など)を、検出値としてもよい。
また、上記の各実施形態では、作業車両1がトラクタである例について説明したが、作業車両1はトラクタに限るものではなく、バッテリ20aに蓄電した電力で駆動されるものであればよい。例えば、作業車両1は、コンバイン、田植機、芝刈機等の農業機械であってもよく、バックホー、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の建設機械であってもよく、フォークリフト等の産業機械であってもよい。
【0104】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 作業車両
2 車体
4 走行装置
5a 入力部
11 電気機器
12 電動モータ
13 インバータ
20a バッテリ
20a1 BMU(検出装置)
25a 判定部
25b 算出部
26 記憶装置
ORV 出力範囲値
LM 中央値