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特開2023-180441塗布状態検査方法および塗布状態検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180441
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】塗布状態検査方法および塗布状態検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20231214BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G01N25/72 E
A61F13/15 355A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093770
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 猛史
【テーマコード(参考)】
2G040
3B200
【Fターム(参考)】
2G040AA07
2G040AB08
2G040BA14
2G040BA21
2G040BA26
2G040CA02
2G040CA03
2G040DA02
2G040DA15
2G040GA05
2G040GA07
2G040HA01
2G040HA10
2G040HA16
2G040ZA08
3B200EA23
(57)【要約】
【課題】本発明は、資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査する塗布状態検査方法であって、ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で資材の表面温度を測定する測定ステップと、測定した表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する判定ステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査する塗布状態検査方法であって、
ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で前記資材の表面温度を測定する測定ステップと、
測定した前記表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する判定ステップと、
を含む、塗布状態検査方法。
【請求項2】
前記判定ステップにおいて、測定した前記表面温度が所定値以下である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する、
請求項1に記載の塗布状態検査方法。
【請求項3】
前記判定ステップにおいて前記資材の搬送開始後から、
測定した前記表面温度が前記所定値より高い温度になるまでホットメルト接着剤の塗布不良が発生していると判定し、
測定した前記表面温度が前記所定値より高い温度になった後にホットメルト接着剤の塗布状態が良好であると判定し、次いで、測定した前記表面温度が前記所定値以下になったことを一定期間確認した場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する、
請求項2に記載の塗布状態検査方法。
【請求項4】
前記判定ステップにおいて、測定した前記表面温度が所定値以上である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する、
請求項1に記載の塗布状態検査方法。
【請求項5】
前記判定ステップにおいて前記塗布不良が発生したと判定された場合に、前記資材の搬送を停止させる停止ステップを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の塗布状態検査方法。
【請求項6】
前記所定値は、温度測定位置の雰囲気温度よりも高い、
請求項2から4のいずれか一項に記載の塗布状態検査方法。
【請求項7】
一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査する塗布状態検査装置であって、
ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で前記資材の表面温度を測定する温度センサと、
測定した前記表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する判定部と、
を備える、塗布状態検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布状態検査方法および塗布状態検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一定方向に搬送される資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査する技術が知られている。特許文献1には、パッケージ成形ラインにおいて、ホットメルト接着剤が接着されたダンボールに対して、ホットメルト接着剤の接着状態の良否判定を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-34778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送される資材にホットメルト接着剤を用いて別の資材を接着することで、製品を製造する製造ラインも知られている。接着剤を用いて資材同士を接着する場合において、所望の接着強度を得るためにはホットメルト接着剤が設計通りに資材に塗布される必要がある。しかしながら、搬送されている資材におけるホットメルト接着剤の塗布状態を作業員が肉眼で検査するのは困難である。
【0005】
本発明は、資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る塗布状態検査方法は、一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査する塗布状態検査方法であって、ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で前記資材の表面温度を測定する測定ステップと、測定した前記表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る塗布状態検査方法の概要を示したフローチャートである。
図2図2は、実施形態1に係る塗布状態検査方法が用いられる吸収性物品の製造工程の概要を示す概略図である。
図3図3は、実施形態1に係る塗布状態検査装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態1の変形例に係る塗布状態検査方法が用いられる吸収性物品の製造工程の概要を示す概略図である。
図5図5は、実施形態2に係る塗布状態検査方法の概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0010】
<実施形態1>
本実施形態では、吸収性物品の製造工程におけるホットメルト接着剤の塗布状態検査方法について説明する。吸収性物品の製造工程では、一定方向に搬送されるシート状の資材にホットメルト接着剤が塗布される。そして、シート状の別の資材、パルプ製の吸収体、糸ゴム、高吸収性重合体(Super Absorbent Polymer:SAP)などがホットメルト接着剤によって当該資材と接着される。この際に、ホットメルト接着剤が設計通りに資材に塗布されていなければ、完成した吸収性物品が不良品となる虞がある。吸収性物品の製造工程では、資材がプレスされた後、完成品の吸収性物品が折り畳んでパッケージに袋詰めされるため、吸収性物品の完成後にホットメルト接着剤の塗布不良を発見することは困難である。
【0011】
本実施形態では、一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査する塗布状態検査方法および塗布状態検査装置について説明する。本実施形態に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置によれば、一定方向に搬送されるシート状の資材に塗布されたホットメルト接着剤の塗布状態を検査することができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る塗布状態検査方法の概要を示したフローチャートである。本実施形態に係る塗布状態検査方法では、まず、ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で資材の表面温度の測定を開始する(ステップS101)。資材の表面温度は連続的に測定される。測定開始以降の資材の表面温度測定が本願でいう「測定ステップ」の一例である。次に、測定した資材の表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する(ステップS102、本願でいう「判定ステップ」の一例)。具体的には、測定した資材の表面温度が所定値(例えば、40℃)以下である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する。例えば、塗布不良とは、ホットメルト接着剤が塗布予定の部位に塗布されていない場合などである。資材Sの表面温度が40℃以下である場合に当該表面にホットメルト接着剤が塗布されていないと判定することができる。次に、ステップS102において塗布不良が発生したと判定された場合に(ステップS102のYES)、資材の搬送を停止させる(ステップS103、本願でいう「停止ステップ」の一例)。なお、資材の搬送を停止させる停止ステップに代えて、または、停止ステップに加えて、塗布不良が発生したことを音声や発光等により報知する報知ステップを設けてもよい。一方、ステップS102において塗布不良が発生していないと判定された場合に(ステップS102のNO)、ステップS102の判定ステップが繰り返される。
【0013】
次に、図2に基づいて、本実施形態に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る塗布状態検査方法が用いられる吸収性物品の製造工程の概要を示す概略図である。図2では、搬送装置100によってシート状の資材Sが搬送されている状態を横から示している。搬送装置100は、ローラ100A、100B、100C、100Dを備える。搬送装置100は、ローラ100A~100Dが回転することによって図中左側から右側に向かって資材Sを搬送する。資材Sは、吸収性物品に用いられるシートである。資材Sは、例えば、バックシートに用いられる液体不透過性のフィルムであってもよいし、トップシートに用いられる液体透過性の不織布であってもよいし、吸収体であってもよいし、その他のシートであってもよい。
【0014】
図2に示す例では、ローラ100Bの後段側(下流側)に配置された塗布装置101によって資材Sにホットメルト接着剤が塗布される。塗布装置101は、ホットメルト接着剤を吐出するノズル101Aを備える。ホットメルト接着剤は、塗布装置101によって
150℃程度に加熱され、流動性の高い状態でノズル101Aから資材Sに向かって吐出される。なお、塗布装置101は、ノズル101Aを複数備えていてもよい。例えば、MD方向(Machine Direction)と直交するCD方向(Cross machine Direction)に複数のノズルが並んで配置されていてもよい。これによって、資材Sにホットメルト接着剤が複数列で塗布される。
【0015】
本実施形態に係る塗布状態検査装置1は、温度センサ10、制御装置20を備える。温度センサ10は、例えば非接触型のデジタル放射温度センサであり、塗布装置101の後段に配置されている。温度センサ10は、資材Sや資材Sに塗布されたホットメルト接着剤と接触することなく、資材Sの表面温度を測定する。ホットメルト接着剤は、ノズル101Aから吐出した直後では150℃程度であるが、その後、急速に温度が低下する。搬送装置100の設置場所の雰囲気温度は概ね25℃程度であり、温度センサ10の測定範囲を通過する時点の資材Sにおいて、ホットメルト接着剤が塗布された領域は少なくとも40℃よりも高いことが想定される。本実施形態に係る塗布状態検査方法は、測定した資材Sの表面温度が40℃以下である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する。なお、判定不良の閾値となる所定値は雰囲気温度やホットメルト接着剤の温度、ノズル101Aと温度センサの距離、搬送装置100の搬送速度を考慮して適宜設定される。本実施形態では、所定値は、温度測定位置の雰囲気温度(概ね25℃)よりも高い温度に設定されている。なお、本実施形態では、ノズル101Aから温度センサ10の距離は10cm程度であり、搬送装置100の搬送速度は、1分間で吸収性物品を150枚製造する速度である。
【0016】
次に、図3に基づいて、本実施形態に係る塗布状態検査装置1の制御装置20について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る塗布状態検査装置1の構成を示すブロック図である。
【0017】
制御装置20は、所謂コンピュータを含む装置であって、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24、通信部25とを有している。制御部21は、Central Processing Unit(CPU)を含み、制御装置20の各部および温度センサ10を制御する。
記憶部22は、フラッシュメモリやElectrically Erasable Programmable Read-Only Memory(EEPROM)などの不揮発性メモリとRandom Access Memory(RAM)を含む。
記憶部22は、制御装置20における制御プログラムや設定値などを記憶する。制御部21では、記憶部22に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより、判定部21Aおよび停止部21Bの各機能部が実現される。判定部21Aは、温度センサ10が測定した資材Sの表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する。停止部21Bは、判定部21Aがホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定した場合に、搬送装置100を停止させる制御を行う。
【0018】
表示部23は、液晶ディスプレイなどで構成されており、ホットメルト接着剤の塗布状態の発生状態の有無や、塗布不良判定の閾値となる所定値などを表示する。
【0019】
入力部24は、ボタンやキーボードなどの入力インタフェースなどで構成されており、塗布不良判定の閾値となる所定値のなどを作業員が入力可能となっている。
【0020】
通信部25は、温度センサ10との通信を行う。また、通信部25は、図示しない搬送装置100の制御装置と通信を行い、ホットメルト接着剤の塗布不良が発生している場合に搬送装置100の制御装置に搬送装置100を停止させる制御信号を送信する。なお、制御装置20は搬送装置100の制御装置を兼ねていてもよく、この場合、制御部21は、搬送装置100を含む製造ラインの稼働状態全体を制御してもよい。
【0021】
例えば、資材Sが吸収性物品に用いられ、1分間に150枚の吸収性物品を製造する場合には、この資材の搬送速度は、126m/min程度である。このような速度で資材が搬送されている場合、資材Sへのホットメルト接着剤の塗布状態を作業員が肉眼で検査するのは困難である。そこで、本実施形態では、温度センサ10を用い、搬送される資材Sの表面温度を測定する。例えば、測定した資材Sの表面温度が40℃以下である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する。この場合の塗布不良は、例えば、設計上の塗布領域にホットメルト接着剤が塗布されていない場合である。本実施形態に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置1によれば、資材Sへのホットメルト接着剤の塗布状態を検査できる。なお、資材SにMD方向に沿って間欠的にホットメルト接着剤を塗布する場合には、ホットメルト接着剤の塗布に合わせて間欠的に資材Sの温度を測定する。これにより、ホットメルト接着剤を間欠的に塗布する場合であっても、塗布状態を検査することができる。
【0022】
なお、ホットメルト接着剤に紫外光吸収剤を含有させ、資材に対して紫外光を照射し、その反射光の波長成分を測定することによってホットメルト接着剤の塗布状態を検査する技術が知られている。当該技術では、資材に対して紫外光するため、資材や資材の下層に積層配置されているパルプで形成された吸収体を痛める虞がある。これに対し、本実施形態では、非接触型の温度センサ10を用いるため、資材の温度測定において紫外光を照射することはないので、資材やパルプ製の吸収体を痛めることがない。
【0023】
<変形例1>
次に、本実施形態の変形例1に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置について説明する。本変形例では、測定した資材の表面温度が所定値(例えば、40℃)以上である場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する。例えば、ホットメルト接着剤塗布工程の後段で、設計上ホットメルト接着剤を塗布しない領域における資材の表面温度が所定値以上の場合に、当該領域に誤ってホットメルト接着剤が塗布されたとして、ホットメルトの塗布不良が発生したと判定してもよい。ホットメルト接着剤が塗布されない領域における資材の表面温度は、雰囲気温度(例えば、25℃)程度である。したがって、図3に示す判定部21Aは、当該領域の表面温度が所定値以上である場合に、設計上ホットメルト接着剤を塗布しない領域に誤ってホットメルト接着剤が塗布された塗布不良が発生したと判定してもよい。本変形例に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置によれば、資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査できる。
【0024】
<変形例2>
次に、本実施形態の変形例2に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置について説明する。本変形例では、塗布装置のノズルがCD方向に複数並んで配置されている場合の形態について説明する。図4は、本変形例に係る塗布状態検査方法が用いられる吸収性物品の製造工程の概要を示す概略図である。図4では、搬送装置によってシート状の資材Sが搬送されている状態を斜めから示している。
【0025】
本変形例では、塗布装置の2本のノズル101AがCD方向に並んで配置されている。これにより、ホットメルト接着剤がCD方向に2列で塗布される。なお、図4ではノズル101A以外の塗布装置の図示は省略する。
【0026】
また、温度センサ10は、2本のノズル101Aに対応してCD方向に2列並んで配置されている。なお、図4では温度センサ以外の塗布状態検査装置の図示は省略する。このように、複数のノズル101Aと同じ数の温度センサ10が配置されている。これにより、本変形例に係る塗布状態検査装置は、複数列でホットメルト接着剤が塗布された場合であっても、塗布状態を検査することができる。なお、ノズル101Aおよび温度センサ10は、3つ以上設けられていてもよい。また、複数の温度センサ10を1台の制御装置2
0が制御してもよい。
【0027】
<実施形態2>
図5は、実施形態2に係る塗布状態検査方法の概要を示したフローチャートである。なお、本実施形態に係る塗布状態検査方法に用いられる塗布状態検査装置の構成は、図3に示す上記実施形態1に係る塗布状態検査装置1と同様であるため、その説明は省略する。そのため、塗布状態検査装置については図3を参照しつつ説明する。なお、本実施形態における塗布不良は、上記実施形態1と同様に、例えば、設計上の塗布領域にホットメルト接着剤が塗布されていない場合である。
【0028】
本実施形態に係る塗布状態検査方法では、まず、ホットメルト接着剤の塗布工程の後段で資材の表面温度の測定を開始する(ステップS201)。資材の表面温度は連続的に測定される。測定開始以降の資材の表面温度測定が本願でいう「測定ステップ」の一例である。次に、測定した資材の表面温度が所定値(例えば、40℃)以下である場合に(ステップS202のNO)、塗布不良が発生していると判定部21Aが判定する(ステップS203)。一方、測定した表面温度が所定値より高い温度になった場合に(ステップS202のYES)、ホットメルト接着剤の塗布状態が良好であると判定部21Aが判定する(ステップS204)。本実施形態では、資材の搬送開始後から、測定した資材の表面温度が所定値より高い温度になるまでホットメルト接着剤の塗布不良が発生していると判定し(ステップS203)、測定した資材の表面温度が所定値より高い温度になった後にホットメルト接着剤の塗布状態が良好であると判定する(ステップS205)。
【0029】
1分間に150枚の吸収性物品を製造する場合には、搬送装置の搬送速度は、126m/min程度である。この搬送速度は、搬送装置の定常運転時の設定速度である。搬送装置が停止状態から設定速度の運転状態になるまでに、搬送中の資材Sには伸縮が発生する。例えば、ホットメルト接着剤を幅4mmで塗布する場合に、ホットメルト接着剤を塗布している部分が資材Sの伸縮によって温度センサの測定範囲から外れてしまい、塗布不良として判定されることが想定される。なお、ステップS202のYESの判定は、資材Sの伸縮が収まったことを意味していると言える。本実施形態では、搬送装置が設定速度の運転状態になるまでの間では不良判定(ステップS203)を行いつつも、この不良判定に基づいて搬送装置を停止する制御を行わない。これによって、搬送装置が停止状態から設定速度の運転状態になるまでの間に資材Sの伸縮が影響して生じる不良判定に基づく搬送装置の停止を防ぐことができる。
【0030】
次に、測定した資材の表面温度に基づいてホットメルト接着剤の塗布不良の有無を判定する(ステップS205)。具体的には、判定部21Aは、測定した資材の表面温度が所定値以下になったことを一定期間確認した場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判定する。次に、ステップS205において塗布不良が発生したと判定された場合に(ステップS205のYES)、資材の搬送を停止させる(ステップS206、本願でいう「停止ステップ」の一例)。なお、資材の搬送を停止させる停止ステップに代えて、または、停止ステップに加えて、塗布不良が発生したことを音声や発光等により報知する報知ステップを設けてもよい。一方、ステップS102において塗布不良が発生していないと判定された場合に(ステップS205のNO)、ステップS205の判定ステップが繰り返される。
【0031】
本実施形態では、資材の搬送開始後から、測定した資材の表面温度が所定値より高い温度になるまでホットメルト接着剤の塗布不良が発生していると判定し(ステップS203)、測定した資材の表面温度が所定値より高い温度になった後にホットメルト接着剤の塗布状態が良好であると判定し(ステップS205)、測定した資材の表面温度が所定値以下になったことを一定期間確認した場合にホットメルト接着剤の塗布不良が発生したと判
定する(ステップS205YES)。本実施形態では、ステップS202~ステップS205が本願でいう「判定ステップ」の一例である。ステップS202の判定は、搬送装置の搬送速度が設定速度になる前段階での判定であり、ステップS205の判定は、搬送装置の搬送速度が設定速度になった後の実際の塗布不良判定段階の判定である。
【0032】
吸収性物品である使い捨ておむつは、1分間に数百枚(例えば、150~300枚)製造されることが一般的であり、この製造速度における資材の搬送速度(例えば、126m/min以上)においては、温度測定工程におけるホットメルト接着剤が塗布された資材の表面温度は一定とはならず、温度測定結果も必ずしも正確とは言えない。そこで、本実施形態では、所定値以下の温度が一定期間検出された場合に塗布不良が発生したと判定する(ステップS205のYES)。なお、この一定期間は、1分間に150枚の使い捨ておむつが製造される場合の搬送速度において、2秒程度に設定される。なお、搬送装置による資材の搬送速度は、搬送開始から1分程度で設定速度に到達する。本実施形態に係る塗布状態検査方法および塗布状態検査装置によれば、資材へのホットメルト接着剤の塗布状態を検査できる。
【0033】
また、測定した資材の表面温度が所定値以下になったことを一定期間確認した場合には、資材が蛇行して搬送されている可能性もある。本実施形態によれば、資材が蛇行していることを発見することができる。
【0034】
以上で開示した実施形態やその変形例は、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0035】
1・・塗布状態検査装置
10・・温度センサ
20・・制御装置
21・・制御部
21A・・判定部
21B・・停止部
22・・記憶部
23・・表示部
24・・入力部
25・・通信部
100・・搬送装置
101A,101B,101C,101D・・ローラ
S・・資材
図1
図2
図3
図4
図5