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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180444
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】クリーニング装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/10 20060101AFI20231214BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093777
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】永本 健留
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134GB05
2H134GB08
2H134HD01
2H134JA02
2H134KF03
2H134KF07
(57)【要約】
【課題】クリーニングブレードの先端に堆積した廃トナーを効果的に掻き落とす。
【解決手段】クリーニング装置(30)には、搬送方向に延びる回転軸(34)及び当該回転軸の外周面に形成された螺旋羽根(35)を有する搬送スクリュー(33)と、搬送方向に並んだ複数の掻取片(37)を有する掻取部材(36)と、が設けられている。複数の掻取片が螺旋羽根に当接すると、当該複数の掻取片の先端がクリーニングブレード(32)に近づく方向に揺動され、複数の掻取片が回転軸に当接すると、当該複数の掻取片の先端がクリーニングブレードから離れる方向に揺動される。搬送スクリューの中間部に当接する掻取片を第1の掻取片(37A)とし、搬送スクリューの両端部に当接する掻取片を第2の掻取片(37B)としたときに、搬送スクリューの撓みを考慮して当該第1の掻取片と当該第2の掻取片の位置が調整されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面から廃トナーをクリーニングブレードによって掻き落とすクリーニング装置であって、
搬送方向に延びる回転軸及び当該回転軸の外周面に形成された螺旋羽根を有し、前記螺旋羽根によって廃トナーを搬送する搬送スクリューと、
搬送方向に並んだ複数の掻取片を有し、前記搬送スクリューの回転位相に応じて前記複数の掻取片を前記回転軸又は前記螺旋羽根に当接させる掻取部材と、を備え、
前記複数の掻取片が前記螺旋羽根に当接すると、当該複数の掻取片の先端が前記クリーニングブレードに近づく方向に揺動され、
前記複数の掻取片が前記回転軸に当接すると、当該複数の掻取片の先端が前記クリーニングブレードから離れる方向に揺動され、
前記搬送スクリューの中間部に当接する掻取片を第1の掻取片とし、前記搬送スクリューの両端部に当接する掻取片を第2の掻取片としたときに、前記搬送スクリューの撓みを考慮して当該第1の掻取片と当該第2の掻取片の位置が調整されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記掻取部材が、前記第1の掻取片が形成された第1の掻取部材と前記第2の掻取片が形成された第2の掻取部材であり、
前記搬送スクリューの撓みを考慮して前記第1の掻取部材と前記第2の掻取部材の設置位置が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
搬送方向に長いシート材に切り込みを入れて各シート片を屈曲させることによって、前記第1の掻取片と前記第2の掻取片が一つの掻取部材に形成され、
前記第1の掻取片の基端となる屈曲位置が、前記第2の掻取片の基端となる屈曲位置よりも前記搬送スクリューに近づくように、前記第1の掻取片と前記第2の掻取片が屈曲されていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真式の画像形成装置では、像担持体の表面にトナー像が形成されて、像担持体から直に記録媒体にトナー像が転写、又は像担持体から中間転写体を介して記録媒体にトナー像が転写されている。転写後の像担持体の表面に廃トナーが残留しており、クリーニングブレードによって像担持体の表面から廃トナーが除去される。クリーニングブレードによって廃トナーがハウジングに落とされて、ハウジング内の搬送スクリューの回転によって廃トナーが廃トナーボックスに向けて搬送されている。
【0003】
従来、この種のクリーニング装置として、搬送スクリューへの廃トナーの付着を抑えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のクリーニング装置には、長尺の掻取シートが搬送スクリューに対して平行に設けられている。掻取シートには、切り込みによって複数の掻取片が搬送方向に並んで形成されている。複数の掻取片は搬送スクリューの回転位相に応じて当該搬送スクリューの回転軸の外周面又は螺旋羽根の外周面に当接して、複数の掻取片によって回転軸及び螺旋羽根の外周面から廃トナーが掻き落とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6551308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のクリーニング装置では、複数の掻取片の先端がクリーニングブレードの先端に近づけられている。クリーニングブレードの先端に廃トナーが堆積した場合には、搬送スクリューの回転に伴って掻取片が揺動されて、複数の掻取片の先端によってクリーニングブレードの先端から廃トナーが掻き落とされている。このとき、複数の掻取片の当接によって搬送スクリューが撓み、搬送スクリューの変位が大きな中間部に当接する掻取片の揺動量が小さくなって、クリーニングブレードに対する廃トナーの掻き落とし効果が十分に得られないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、クリーニングブレードの先端に堆積した廃トナーを効果的に掻き落とすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のクリーニング装置は、像担持体の表面から廃トナーをクリーニングブレードによって掻き落とすクリーニング装置であって、搬送方向に延びる回転軸及び当該回転軸の外周面に形成された螺旋羽根を有し、前記螺旋羽根によって廃トナーを搬送する搬送スクリューと、搬送方向に並んだ複数の掻取片を有し、前記搬送スクリューの回転位相に応じて前記複数の掻取片を前記回転軸又は前記螺旋羽根に当接させる掻取部材と、を備え、前記複数の掻取片が前記螺旋羽根に当接すると、当該複数の掻取片の先端が前記クリーニングブレードに近づく方向に揺動され、前記複数の掻取片が前記回転軸に当接すると、当該複数の掻取片の先端が前記クリーニングブレードから離れる方向に揺動され、前記搬送スクリューの中間部に当接する掻取片を第1の掻取片とし、前記搬送スクリューの両端部に当接する掻取片を第2の掻取片としたときに、前記搬送スクリューの撓みを考慮して当該第1の掻取片と当該第2の掻取片の位置が調整されている。
【0008】
前記クリーニング装置において、前記掻取部材が、前記第1の掻取片が形成された第1の掻取部材と前記第2の掻取片が形成された第2の掻取部材であり、前記搬送スクリューの撓みを考慮して前記第1の掻取部材と前記第2の掻取部材の設置位置が調整されている。
【0009】
前記クリーニング装置において、搬送方向に長いシート材に切り込みを入れて各シート片を屈曲させることによって、前記第1の掻取片と前記第2の掻取片が一つの掻取部材に形成され、前記第1の掻取片の基端となる屈曲位置が、前記第2の掻取片の基端となる屈曲位置よりも前記搬送スクリューに近づくように、前記第1の掻取片と前記第2の掻取片が屈曲されている。
【0010】
本発明の一態様の画像形成装置は、上記のクリーニング装置を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送スクリューの回転に伴って第1、第2の掻取片が揺動される。このとき、搬送スクリューの撓みを考慮して、第1、第2の掻取片の位置が調整されている。搬送スクリューが撓んで中間部が大きく変位して、搬送スクリューの中間部がクリーニングブレードから離れても、搬送スクリューの中間部に当接する第1の掻取片の先端がクリーニングブレードの先端まで揺動される。よって、搬送スクリューに撓みが生じていても、第1、第2の掻取片の先端によってクリーニングブレードの全域に亘って廃トナーが掻き落とされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の画像形成装置の模式図である。
図2】第1の実施形態のクリーニング装置の模式図である。
図3】比較例のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。
図4図2のクリーニング装置をA-A線に沿って切断した断面模式図である。
図5図2のクリーニング装置をB-B線に沿って切断した断面模式図である。
図6】第1の実施形態のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。
図7】第2の実施形態のクリーニング装置の断面模式図である。
図8】第2の実施形態のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。
図9】変形例のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しつつ、第1の実施形態のクリーニング装置を備えた画像形成装置について説明する。図1は、第1の実施形態の画像形成装置の模式図である。図2は、第1の実施形態のクリーニング装置の模式図である。なお、以下の説明では、画像形成装置としてプリンターを例示して説明する。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、画像形成装置を正面から見たときに左側、右側、上側、下側を示している。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置10は箱型形状のハウジング11を備えている。ハウジング11の右側面にはシート束がセットされる給紙カセット12が設置され、ハウジング11の左側面には画像形成済みのシートが積み重ねられる排紙トレイ13が設けられている。ハウジング11内には、複数のローラー等によって給紙カセット12から排紙トレイ13にシートを搬送する搬送経路が形成されている。給紙カセット12の先端付近には、給紙カセット12のシート束からシートを取り出して、搬送経路の上流端に送り出すピックアップローラー14が設置されている。
【0015】
ピックアップローラー14の下流側には画像形成ユニット15が設置されている。画像形成ユニット15にはシートに転接する感光体ドラム(像担持体)16が回転可能に設けられており、感光体ドラム16の周囲には帯電装置17と、現像装置18と、転写装置19と、クリーニング装置30とが転写のプロセス順に設置されている。現像装置18にはトナーコンテナ(不図示)が接続されており、クリーニング装置30には廃トナーボックス(不図示)が接続されている。画像形成ユニット15の上方には、感光体ドラム16に向けてレーザー光を照射する露光装置21が設置されている。
【0016】
画像形成ユニット15の下流には搬送ベルト22が設置されており、搬送ベルト22の下流には未定着のトナー像をシートに熱定着する定着装置23が設置されている。定着装置23には、搬送経路を挟んで対向する定着ベルト24と押圧ローラー25が設けられている。定着ベルト24にはヒーター(不図示)が内蔵されている。定着装置23の上方には、定着時に発生した排気ガスをハウジング11外に排出する排気装置26が設置されている。排気装置26のダクト27には、定着装置23付近で発生した排気ガスをダクト27内に引き込むファン28が設けられている。
【0017】
画像形成装置10の画像形成時には、帯電装置17によって感光体ドラム16の表面が帯電された後、露光装置21からのレーザー光によって感光体ドラム16の表面に静電潜像が形成される。現像装置18から感光体ドラム16の表面の静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成される。一方で、ピックアップローラー14によって給紙カセット12からシートが取り込まれ、画像形成動作に合わせて転写装置19に向けてシートが搬送されて、転写装置19によって感光体ドラム16の表面からシートの表面にトナー像が転写される。感光体ドラム16に残留した廃トナーはクリーニング装置30によって除去される。
【0018】
転写済みのシートは転写装置19から搬送ベルト22に受け渡され、搬送ベルト22によって定着装置23に向けて搬送される。定着装置23では、定着ベルト24の熱によって未定着のトナー像が溶融されて、定着ベルト24及び押圧ローラー25の圧力によってシートにトナー像が定着される。定着済みのシートは定着ベルト24及び押圧ローラー25によって排紙トレイ13に送り出される。シートの定着時には排気ガスが発生しており、排気装置26のファン28によって排気ガスがダクト27に引き込まれて、ダクト27を通じてハウジング11外に排気ガスが排出される。
【0019】
ところで、図2に示すように、クリーニング装置30では、感光体ドラム16の表面から廃トナーがクリーニングブレード32によってハウジング31に掻き落とされている。ハウジング31内の廃トナーは搬送スクリュー33によって廃トナーボックス(不図示)に向けて搬送される。搬送スクリュー33には温湿度環境等に応じて廃トナーが付着して、軸太りによって廃トナーの搬送力が低下する場合がある。このため、ハウジング31には掻取部材36が設けられており、掻取部材36の掻取片37が搬送スクリュー33に当接されて、搬送スクリュー33に付着した廃トナーが掻き取られている。
【0020】
また、クリーニングブレード32から廃トナーが落下せずに、クリーニングブレード32の先端に廃トナーが堆積する場合がある。この場合、クリーニングブレード32によって感光体ドラム16の表面から廃トナーが掻き落とされ難くなり、感光体ドラム16の表面に凝集した廃トナー等によって感光体ドラム16の帯電が阻害されて印刷不良が生じる。このため、クリーニングブレード32の廃トナーも掻取部材36に掻き取られる。掻取片37の先端がクリーニングブレード32の先端に近づけられて、掻取片37の先端によってクリーニングブレード32の先端に堆積した廃トナーが掻き落とされる。
【0021】
掻取部材36の掻取片37は搬送スクリュー33の回転によって揺動される。後述するように、搬送スクリュー33の回転に伴って掻取片37が搬送スクリュー33の回転軸34又は螺旋羽根35に当接し、回転軸34の外周面と螺旋羽根35の外周面の段差分だけ掻取片37が動かされる。掻取片37が搬送スクリュー33に当接しているため、搬送スクリュー33に生じた応力によって搬送スクリュー33に僅かに撓むことがある。搬送スクリュー33の両端部よりも中間部の変位が大きくなって、一般的な掻取片ではクリーニングブレード32から廃トナーを十分に掻き落とすことができない。
【0022】
より詳細には、図3の比較例のクリーニング装置60に示すように、搬送スクリュー63の両端部では搬送スクリュー63が殆ど変位していない。搬送スクリュー63の回転によって掻取片67が揺動すると、掻取片67の先端によってクリーニングブレード62の先端の廃トナーがハウジング61に掻き落とされる。一方で、搬送スクリュー63の中間部では搬送スクリュー63が矢印S方向に変位して、搬送スクリュー63とクリーニングブレード62の間隔が広くなっている。搬送スクリュー63の回転によって掻取片67が揺動しても、掻取片67の先端がクリーニングブレード62の先端の廃トナーまで届かない。
【0023】
掻取片67の先端をクリーニングブレード62の先端に近づけるために、掻取片67をクリーニングブレード62に向けて長くすることも考えられる。しかしながら、搬送スクリュー63の両端部では、掻取片67が感光体ドラム68やクリーニングブレード62に接触して、感光体ドラム68やクリーニングブレード62が摩耗し易くなる。そこで、本実施形態のクリーニング装置30では、クリーニングブレード32の全域に亘って廃トナーが掻き落とされるように、搬送スクリュー33の中間部に当接する掻取片37と搬送スクリュー33の両端部に当接する掻取片37の位置が調整されている。
【0024】
図4及び図5を参照して、クリーニング装置について説明する。図4は、図2のクリーニング装置をA-A線に沿って切断した断面模式図である。図5は、図2のクリーニング装置をB-B線に沿って切断した断面模式図である。なお、図1及び図2においては任意の掻取部材を特定していないため符号A、Bを省略しているが、以下の説明では掻取部材に符号A、Bを付して説明する。
【0025】
図4及び図5に示すように、クリーニング装置30のハウジング31には板状のクリーニングブレード32が設けられている。クリーニングブレード32は、例えばポリウレタンゴム等の弾性材料で板状に形成されている。クリーニングブレード32は感光体ドラム16と平行に延びており、感光体ドラム16の表面に対してクリーニングブレード32の先端が小さな当接角で当接している(図2参照)。クリーニングブレード32の先端によって廃トナーが感光体ドラム16の表面からハウジング31内に掻き落とされる。ハウジング31内に溜まった廃トナーは搬送スクリュー33によって廃トナーボックス(不図示)に向けて搬送される。
【0026】
搬送スクリュー33はハウジング31に回転可能に支持されている。搬送スクリュー33の回転軸34は搬送方向、すなわち感光体ドラム16と平行な方向に延びており、回転軸34の外周面には螺旋羽根35が形成されている。螺旋羽根35は搬送方向に沿って一定のピッチで螺旋状に形成されている。搬送スクリュー33の一端側には動力伝達機構を介して駆動モータ(不図示)が連結されている。ハウジング31内で搬送スクリュー33が回転すると、螺旋羽根35によって廃トナーが搬送される。搬送スクリュー33に付着した廃トナーは掻取部材36A、36Bによって掻き落とされる。
【0027】
掻取部材36A、36Bは、搬送方向に長い長方形状のシート材で形成されている。掻取部材36A、36Bの長辺に対して搬送スクリュー33の螺旋羽根35の1/2ピッチ間隔で切り込みが入れられて、切り込みによって分かれたシート片が屈曲されることで複数の掻取片37A、37Bが形成されている。掻取部材36A、36Bは搬送スクリュー33に沿ってハウジング31に固定され、複数の掻取片37A、37Bが搬送方向に並べられている。複数の掻取片37A、37Bが搬送スクリュー33に当接しており、搬送スクリュー33の回転位相に応じて回転軸34又は螺旋羽根35に対して当接される。
【0028】
掻取片37A、37Bは、搬送スクリュー33の回転に伴って、回転軸34から螺旋羽根35に乗り上げて螺旋羽根35から回転軸34に降りる動作を周期的に繰り返している。掻取片37A、37Bが回転軸34の外周面に当接すると、回転軸34の外周面からハウジング31に廃トナーが掻き落とされる。掻取片37A、37Bが回転軸34に当接したときの振動によっても回転軸34への廃トナーの付着が防止される。さらに、搬送スクリュー33の回転軸34と螺旋羽根35に対して掻取片37A、37Bが交互に当接することで、螺旋羽根35の間に堆積する廃トナーの塊を崩すこともできる。
【0029】
また、複数の掻取片37A、37Bが螺旋羽根35に当接すると、複数の掻取片37の先端がクリーニングブレード32に近づく方向に揺動される。複数の掻取片37A、37Bが回転軸34に当接すると、複数の掻取片37の先端がクリーニングブレード32から離れる方向に揺動される。クリーニングブレード32の先端付近で複数の掻取片37A、37Bが揺動して、複数の掻取片37A、37Bの先端によってクリーニングブレード32の先端に堆積した廃トナーがハウジング31に掻き落とされる。このとき、搬送スクリュー33の撓みを考慮してハウジング31に対して掻取部材36A、36Bが設置されている。
【0030】
より詳細には、掻取部材36A、36Bは、搬送スクリュー33と平行にハウジング31の側壁に設置されている。一対の掻取部材(第2の掻取部材)36Bの間に掻取部材(第1の掻取部材)36Aが設置されており、掻取部材36Aの掻取片(第1の掻取片)37Aは搬送スクリュー33の中間部に当接し、一対の掻取部材36Bの掻取片(第2の掻取片)37Bは搬送スクリュー33の両端部に当接している。ハウジング31の側壁に対して一対の掻取部材36Bよりも掻取部材36Aが低い位置に設置されている(図6参照)。掻取片37Aの基端が掻取片37Bの基端よりも搬送スクリュー33に近づけられて掻取片37Aの揺動量が僅かに大きくなる(図6参照)。
【0031】
このように、搬送方向の中間部の掻取片37Aと搬送方向の両端部の掻取片37Bを別々の掻取部材36A、36Bに形成して、掻取部材36A、36Bの設置箇所を上下にずらすことによって掻取片37Aの揺動量が大きくなっている。上記したように、搬送スクリュー33に撓みが生じていても、掻取片37Bの先端だけでなく掻取片37Aの先端もクリーニングブレード32の先端付近に届いて、掻取片37A、37Bによってクリーニングブレード32の全域から廃トナーを掻き落とすことができる。なお、掻取部材36A、36Bの材料としては、例えばPETシートが用いられてもよい。
【0032】
図6を参照して、クリーニング装置の掻取動作について説明する。図6は、第1の実施形態のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。
【0033】
図6の上側に示すように、クリーニング装置30の搬送方向の両端部では、搬送スクリュー33に掻取片37Bが当接することによって、搬送スクリュー33に応力が生じているが、搬送スクリュー33の両端部は殆ど変位していない。この状態で掻取片37Bの先端がクリーニングブレード32の先端付近に届くように掻取部材36Bの設置位置が調整されている。掻取部材36Bはハウジング31の側壁の上側に設置されており、掻取部材36Bの掻取片37Bがクリーニングブレード32に向かって斜め下方に延びている。掻取片37Bの中間部よりも先端側が搬送スクリュー33に上側から当接している。
【0034】
掻取片37Bが搬送スクリュー33の回転軸34に当接した状態では、掻取片37Bの先端がクリーニングブレード32の先端から離れている。2点鎖線に示すように、掻取片37Bが搬送スクリュー33の螺旋羽根35に当接した状態では、掻取片37Bの先端がクリーニングブレード32の先端に近づけられて、クリーニングブレード32の先端に堆積した廃トナーに掻取片37Bの先端が接触する。搬送スクリュー33の回転に伴って掻取片37Bが上下方向に揺動されることで、クリーニングブレード32の先端に堆積した廃トナーが掻取片37Bの先端によってハウジング31内に掻き落とされている。
【0035】
図6の下側に示すように、クリーニング装置30の搬送方向の中間部では、搬送スクリュー33に掻取片37Aが当接することによって、搬送スクリュー33に応力が生じて、搬送スクリュー33の中間部が矢印S方向に変位している。この状態で掻取片37Aの先端がクリーニングブレード32の先端付近に届くように掻取部材36Aの設置位置が調整されている。掻取部材36Aは掻取部材36Bよりもハウジング31の側壁の下側に設置されており、掻取部材36Aの掻取片37Aがクリーニングブレード32に向かって斜め下方に延びている。掻取片37Aの略中間部が搬送スクリュー33に上側から当接している。
【0036】
掻取片37Aが搬送スクリュー33の回転軸34に当接した状態では、掻取片37Aの先端がクリーニングブレード32の先端から大きく離れているが、掻取片37Aの基端が搬送スクリュー33に近づいた分だけ掻取片37Aの揺動量が大きくなっている。このため、2点鎖線に示すように、掻取片37Aが搬送スクリュー33の螺旋羽根35に当接した状態では、掻取片37Aの先端がクリーニングブレード32の先端に近づけられる。搬送スクリュー33の回転に伴って掻取片37Aが上下方向に揺動して、クリーニングブレード32の先端に堆積した廃トナーがハウジング31内に掻き落とされている。
【0037】
以上、第1の実施形態によれば、搬送スクリュー33の回転に伴って掻取片37A、37Bが揺動される。このとき、搬送スクリュー33の撓みを考慮して、掻取部材36Aと掻取部材36Bの設置位置、すなわち掻取片37Aと掻取片37Bの位置が調整されている。搬送スクリュー33が撓んで中間部が大きく変位して、搬送スクリュー33の中間部がクリーニングブレード32から離れても、搬送スクリュー33の中間部に当接する掻取片37Aの先端がクリーニングブレード32の先端まで揺動される。よって、搬送スクリュー33に撓みが生じていても、掻取片37A、37Bの先端によってクリーニングブレード32の全域に亘って廃トナーが掻き落とされる。
【0038】
また、画像形成装置10がクリーニング装置30を備えることによって、感光体ドラム16に廃トナーが残留し難くなって、シートに対して良好に画像形成することができる。
【0039】
<第2の実施形態>
続いて、図7及び図8を参照して、第2の実施形態のクリーニング装置について説明する。図7は、第2の実施形態のクリーニング装置の断面模式図である。図8は、第2の実施形態のクリーニング装置の掻取動作の説明図である。なお、第2の実施形態のクリーニング装置は、単一の掻取部材によって廃トナーを掻き取る点で第1の実施形態のクリーニング装置と相違している。したがって、第2実施形態については、第1実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0040】
図7に示すように、クリーニング装置40のハウジング41の側壁には、搬送スクリュー43に沿って掻取部材46が設置されている。掻取部材46は、搬送方向に長い長方形状のシート材で形成されている。掻取部材46の長辺には搬送スクリュー43の螺旋羽根45の1/2ピッチ間隔で切り込みが入れられている。搬送方向の中間部分の切り込みが、搬送方向の両端側の切り込みよりも長くなっている。切り込みによって分かれたシート片が屈曲されることで、搬送スクリュー43の中間部に当接する掻取片47Aと、搬送スクリュー43の両端部に当接する掻取片47Bと、が形成されている。
【0041】
このように、シート材に切り込みを入れて各シート片を屈曲させることによって、掻取片47A、47Bが一つの掻取部材46に形成されている。掻取部材46において掻取片47Bよりも掻取片47Aが低い位置で屈曲されている(図8参照)。掻取片47Aの基端となる屈曲位置が掻取片47Bの基端となる屈曲よりも搬送スクリュー43に近づけられて掻取片47Aの揺動量が僅かに大きくなる。このように、搬送スクリュー43の撓みを考慮して掻取片47A、47Bの位置が調整されて、搬送スクリュー43に撓みが生じていても、掻取片47A、47Bによってクリーニングブレード42の全域から廃トナーが掻き落とされる。
【0042】
図8の上側に示すように、クリーニング装置40の搬送方向の両端部では、搬送スクリュー43に掻取片47Bが当接することによって、搬送スクリュー43に応力が生じているが、搬送スクリュー43の両端部は殆ど変位していない。この状態で掻取片47Bの先端がクリーニングブレード42の先端付近に届くように掻取片47Bが屈曲されている。掻取片47Bの基端となる屈曲位置がハウジング41の側壁の上部に位置付けられ、掻取片47Bがクリーニングブレード42に向かって斜め下方に延びている。掻取片47Bの中間部よりも先端側が搬送スクリュー43に上側から当接している。
【0043】
掻取片47Bが搬送スクリュー43の回転軸44に当接した状態では、掻取片47Bの先端がクリーニングブレード42の先端から離れている。2点鎖線に示すように、掻取片47Bが搬送スクリュー43の螺旋羽根45に当接した状態では、掻取片47Bの先端がクリーニングブレード42の先端に近づけられて、クリーニングブレード42の先端に堆積した廃トナーに掻取片47Bの先端が接触する。搬送スクリュー43の回転に伴って掻取片47Bが上下方向に揺動されることで、クリーニングブレード42の先端に堆積した廃トナーが掻取片47Bの先端によってハウジング41内に掻き落とされている。
【0044】
図8の下側に示すように、クリーニング装置40の搬送方向の中間部では、搬送スクリュー43に掻取片47Aが当接することによって、搬送スクリュー43に応力が生じて、搬送スクリュー43の中間部が矢印S方向に変位している。この状態で掻取片47Aの先端がクリーニングブレード42の先端付近に届くように掻取片47Aが屈曲されている。掻取片47Aの基端となる屈曲位置が掻取片47Bの基端となる屈曲位置よりも下方に位置付けられ、掻取片47Aがクリーニングブレード42に向かって斜め下方に延びている。掻取片47Aの略中間部が搬送スクリュー43に上側から当接している。
【0045】
掻取片47Aが搬送スクリュー43の回転軸44に当接した状態では、掻取片47Aの先端がクリーニングブレード42の先端から大きく離れているが、掻取片47Aの基端が搬送スクリュー43に近づいた分だけ掻取片47Aの揺動量が大きくなっている。このため、2点鎖線に示すように、掻取片47Aが搬送スクリュー43の螺旋羽根45に当接した状態では、掻取片47Aの先端がクリーニングブレード42の先端に近づけられる。搬送スクリュー43の回転に伴って掻取片47Aが上下方向に揺動して、クリーニングブレード42の先端に堆積した廃トナーがハウジング41内に掻き落とされている。
【0046】
以上、第2の実施形態においても、搬送スクリュー43の撓みを考慮して、掻取片47Aと掻取片47Bの位置が調整されている。よって、搬送スクリュー43に撓みが生じていても、掻取片47A、47Bの先端によってクリーニングブレード42の全域に亘って廃トナーが掻き落とされる。
【0047】
なお、第1の実施形態のクリーニング装置30では、ハウジング31の側壁に掻取部材36A、36Bに設置されたが、図9の変形例で示すクリーニング装置50のように、ハウジング51の上壁に掻取部材56A、56Bが設置されていてもよい。搬送スクリュー53の撓みを考慮して、掻取部材56A、56Bの設置位置が調整されている。ハウジング51の上壁において掻取部材56Aが掻取部材56Bよりもクリーニングブレード52から離されている。搬送スクリュー53に撓みが生じていても、掻取片57A、57Bの先端によってクリーニングブレード52の全域に亘って廃トナーが掻き落とされる。
【0048】
なお、上記の各実施形態において、搬送スクリューの螺旋羽根が等ピッチに形成されているが、螺旋羽根は当ピッチに形成されていなくてもよい。
【0049】
また、第1の実施形態において、クリーニング装置に3つの掻取部材が設置されているが、クリーニング装置には3つ以上の掻取部材が設置されていてもよい。
【0050】
また、本実施形態において、記録メディアの種類は特に限定されず、例えば、普通紙、コート紙、トレーシングペーパー、OHP(Over Head Projector)シートでもよい。また、本実施形態の捕集装置は、インクが浸透しない非浸透系メディアに有効である。
【0051】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0052】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0053】
10 :画像形成装置
16 :感光体ドラム(像担持体)
30、40、50:クリーニング装置
32、42、52:クリーニングブレード
33、43、53:搬送スクリュー
34、44 :回転軸
35、45 :螺旋羽根
36A、56A :掻取部材(第1の掻取部材)
36B、56B :掻取部材(第2の掻取部材)
37A、57A :掻取片(第1の掻取片)
37B、57B :掻取片(第2の掻取片)
46 :単一の掻取部材
47A :掻取片(第1の掻取片)
47B :掻取片(第2の掻取片)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9