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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180454
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】安全運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/16 C
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093796
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】阿部 学
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA05
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF10
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
5H181LL20
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】 特に免許が不要であり、幅広い年齢層が常用している移動体において、適切に運転のアドバイスを行う。
【解決手段】 移動体の周囲の交通状況を検知する第一の検知手段と、前記移動体の走行状態を検知する第二の検知手段と、運転者に音声又は画像表示によりアドバイスを通知する通知手段と、前記通知手段で通知する通知内容と交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転を記憶する記憶手段とを備え、前記第一の検知手段と前記第二の検知手段とにより検知される、前記移動体の周囲の交通状況における前記移動体の走行状態である第一の状態において、前記記憶手段に記憶された交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転が前記通知手段から通知され、前記通知手段は、予め設定された条件に応じて通知の内容、通知手段、通知頻度のうち少なくとも一つを変更することを特徴とする安全運転支援装置。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周囲の交通状況を検知する第一の検知手段と、
前記移動体の走行状態を検知する第二の検知手段と、
運転者に音声又は画像表示によりアドバイスを通知する通知手段と、
前記通知手段で通知する通知内容と交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転を記憶する記憶手段とを備え、
前記第一の検知手段と前記第二の検知手段とにより検知される、前記移動体の周囲の交通状況における前記移動体の走行状態である第一の状態において、前記記憶手段に記憶された交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転が前記通知手段から通知され、
前記通知手段は、予め設定された条件に応じて通知の内容、通知手段、通知頻度のうち少なくとも一つを変更する
ことを特徴とする安全運転支援装置。
【請求項2】
前記条件とは、運転者の年齢であることを特徴とする、請求項1に記載の安全運転支援装置。
【請求項3】
前記運転者の年齢を、入力手段により入力された、ユーザーの年齢又は年齢モードによって判断する判断手段をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の安全運転支援装置。
【請求項4】
画像取得手段により取得された運転者の画像と、記憶手段に記憶された運転者に関する画像とを用いて運転者を特定し、前記運転者の年齢を判断する判断手段をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の安全運転支援装置。
【請求項5】
前記運転者に関する画像とは、顔画像であることを特徴とする、請求項4に記載の安全運転支援装置。
【請求項6】
前記運転者に関する画像とは、指紋であることを特徴とする、請求項4に記載の安全運転支援装置。
【請求項7】
前記条件とは、前記第一の状況において通知される運転行動と、運転者が運転する移動体の走行状態とに基づいて設定されることを特徴とする、請求項1に記載の安全運転支援装置。
【請求項8】
前記条件とは、前記移動体の走行モードであることを特徴とする、請求項1に記載の安全運転支援装置。
【請求項9】
移動体の周囲の交通状況を検知する第一の検知工程と、
前記移動体の走行状態を検知する第二の検知工程と、
運転者に音声又は画像表示によりアドバイスを通知する通知工程と、
前記通知工程では、前記第一の検知工程と前記第二の検知工程とにより検知される、前記移動体の周囲の交通状況における前記移動体の走行状態である第一の状態において、前記記憶工程に記憶された交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転が通知され、
前記通知工程では、予め設定された条件に応じて通知の内容、通知工程、通知頻度のうち少なくとも一つが変更される
ことを特徴とする安全運転支援装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1に記載の安全運転支援装置の各手段として機能させるための、コンピュータが読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の交通状況に合わせて運転者に適切なアドバイスを行う安全運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全運転についての技術が発展してきている。
【0003】
特許文献1には、トラクタなどの作業車両において、年齢に応じて作業速度や走行速度についての安全警告を報知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-36275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、免許が不要であり、幅広い年齢層が常用している移動体、例えば自転車の運転に関しても安全運転への意識向上が求められている。このような移動体には、他にもキックボードや三輪車等がある。また、このような移動体では、歩道を走行できるなど、走行場所に対する自由度も自動車に比べて高い。したがって、自転車等の安全運転では、自動車運転時の安全についての観点だけではなく、自転車運転時ならではの安全についての観点が必要である。
【0006】
しかしながら特許文献1では、自転車運転ならではの安全警告、例えば一般道路通行時の自転車の交通状況への影響については考慮されていない。
【0007】
そこで本発明では、特に免許が不要であり、幅広い年齢層が常用している移動体において、適切に運転のアドバイスを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の安全運転支援装置は、移動体の周囲の交通状況を検知する第一の検知手段と、前記移動体の走行状態を検知する第二の検知手段と、運転者に音声又は画像表示によりアドバイスを通知する通知手段と、前記通知手段で通知する通知内容と交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転を記憶する記憶手段とを備え、前記第一の検知手段と前記第二の検知手段とにより検知される、前記移動体の周囲の交通状況における前記移動体の走行状態である第一の状態において、前記記憶手段に記憶された交通ルールや安全に準じて取り得るべき運転が前記通知手段から通知され、前記通知手段は、予め設定された条件に応じて通知の内容、通知手段、通知頻度のうち少なくとも一つを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
特に免許が不要であり、幅広い年齢層が常用している移動体において、適切に運転のアドバイスを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における安全運転支援装置1を搭載した自転車の概略図である。
図2】本発明における安全運転支援装置1のブロック図である。
図3】本発明におけるフローチャートである。
図4】本発明における年齢モード別通知に関するフローチャートである。
図5】本発明における別の一例である。
図6】本発明における別の実施例によるブロック図である。
図7】本発明における運転者特定に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
図1は、本実施例で説明する安全運転支援装置を搭載した自転車を示した図である。移動体1000は運転者(ユーザー)が搭乗して移動可能な自転車であり、ハンドル部1000aは移動体1000の移動方向を変更するための操舵ハンドルである。安全運転支援装置1が固定されている。
【0012】
図2は安全運転支援装置1のブロック図を示している。安全運転支援装置1は、周囲画像取得手段10、自車両状態検知手段40、外部入力手段45、通知部100、制御部110を有する。周囲画像取得手段10は、いわゆるカメラ等の撮像装置を使用し移動体1000周囲の画像を取得する。自車両状態検知手段40は移動体1000の速度、加速度などの走行状態を検知する。外部入力手段45では、例えばいわゆるタッチパネル方式などを使用し、外部から情報を入力することが可能で、後述する運転年齢モードの各モード、即ち幼児モード、低年齢モード、成人モード、高齢者モードの選択を行う。
【0013】
通知部100は音声を発するスピーカー部80と、画像表示を行う表示部90を備えており、運転者に対して適宜通知(アドバイス)を行う。制御部110は図示しないCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Procefssing Unit)等を有する。制御部110は、CPUおよびGPU等により以下説明する各ブロック動作を行うことで、周囲画像取得手段10、自車両状態検知手段40、外部入力手段45で得られる情報や、通知部100で行う通知に関する情報を制御することになる。
【0014】
以下、制御部110での各ブロックにおける動作について説明する。周囲状況認識部20では、周囲画像取得手段10で取得された周囲画像から、周囲の交通状況を認識する。周囲の交通状況とは例えば前方の信号機を認識して表示色を識別したり、交差点や道路標識、自動車、人などを認識することであり、周囲状況認識部20はこれらを認識する。
【0015】
運転行動認識部50では、自車両状態検知手段40により、移動体1000の実際の運転行動を認識している。実際の運転行動とは例えば、前方に交差点が認識できている状況での移動体1000の速度であったり、加速しようとしているのか、減速中であるのか等である。
【0016】
遵守動作要否判断部25では、周囲状況認識部20と運転行動認識部50のそれぞれの認識結果から、交通ルールやマナー等、安全運転に基づいて遵守すべき運転行動の要否を判断する。この遵守すべき運転行動を、以後遵守動作として説明する。この遵守動作は例えば交差点では一時停止する、又は徐行するであったり、赤信号では停止するなどである。これらの遵守動作は記憶部33に予めデータベースとして備えている。本実施例ではこの遵守動作について、法律(道路交通法)に基づいた運転行動に加え、後述することになるが、マナー向上や安全運転する上で注意すべき運転行動を意識してさらに厳しく行う遵守動作も設定されている。
【0017】
これらは後述する運転年齢モードによって選択することになる。通知要否判断部35では後述する判断基準を元に、遵守動作を促す通知の要否を判断する。通知データ生成部37では、前述の遵守動作を促す通知データを、記憶部33のデータベースを元に生成する。本実施例では通知手段として音声と画像表示による2種類の通知手段を設けており、後述する判断基準に応じて2種類の通知手段を取捨選択することになる。このため、本実施例では通知データ生成部37において、音声データと画像表示データ、もしくはいずれか一方を生成する。通知部100では、これらの音声データ、画像表示データを、各々スピーカー部80で発生、表示部90により表示する。
【0018】
また、運転行動比較部60では遵守動作要否判断部25で必要と判断された遵守動作と運転行動認識部50による移動体1000の実際の運転行動とを比較し、実際の運転行動が遵守動作と一致しているかを判断する。その判断結果を行動遵守結果aとして記憶部33に記録する。ここで前述の通知要否判断部35における通知要否の判断基準を説明する。本実施例では、通知要否判断部35は、運転行動比較部60で判断された行動遵守結果aが、直前のN回分連続して守れた場合は通知は必要無しと判断し、直前のN回分、1回でも守れていない場合は通知が必要と判断している。ここでNは閾値である。すなわち、本実施例では周囲の交通状況における安全に基づいた遵守動作を繰り返し行うことにより、安全運転支援装置1から通知される頻度が減少することになる。このため、安全な運転行動を繰り返すことにより、安全運転支援装置1からの通知頻度を低減できることになる。この通知要否に関する判断基準(条件)を、以降通知判断基準とする。
【0019】
また本実施例では、前述のように運転年齢モードが設定可能となっており、安全運転支援装置1における運転年齢モードは運転年齢モード設定部70で設定されている。この運転年齢モード設定部70に関して、本実施例では外部入力手段45によって入力された情報により、運転年齢モード設定部70で設定されている運転年齢モードを切り替えることが可能となっている。
【0020】
本実施例では運転年齢モードを、幼児から未就学児を対象とする「幼児モード」、小学生から中学生を対象とする「低年齢モード」、高校生から70歳未満までを対象とする「成人モード」、70歳以上を対象とする「高齢者モード」として選択可能としている。なお、これらの各運転年齢モードの違いは後述することとする。遵守動作要否判断部25で判断される遵守動作、通知要否判断部35で通知の要否を判断される閾値N、通知データ生成部37で生成される通知データや通知手段(本実施例では音声と画像表示の少なくともいずれか一方)は、運転年齢モードに応じて選択される。以上で制御部110の各ブロックの説明を終了する。
【0021】
続いて、本実施例における安全運転支援装置1の周囲の状況認識から通知までの動作について図2図3を用いて説明する。図3は、安全運転支援装置1における周囲の認識から通知を行うまでのフローチャートである。以下の処理は制御部110が安全運転支援装置1の各部を制御することによって実現される。
【0022】
ステップS501において、安全運転支援装置1の制御部110は、周囲画像取得手段10により移動体1000周囲の画像を取得し、自車両状態検知手段40により移動体1000の走行状態を検知する。制御部110は、それぞれの情報を周囲状況認識部20と運転行動認識部50に伝達する。
【0023】
ステップS502では周囲状況認識部20と運転行動認識部50において、ステップS501で得られた情報を元にそれぞれ周囲の交通状況と移動体1000の走行状態を認識する。続いてステップS503では遵守動作要否判断部25において、周囲状況認識部20と運転行動認識部50のそれぞれの認識結果と記憶部33に記憶されている遵守動作のデータベースを元に、認識結果における遵守動作の必要可否を判断する。必要でなければステップS501に進む。必要と判断されればステップS504に進む。
【0024】
ステップS504では通知要否判断部35において、記憶部33に記憶されている直近閾値N回分の行動遵守結果aが、全て守られた運転となっていればステップS505に進み、N回のうち、1回でも守られていなければステップS506に進む。ステップS506では通知データ生成部37において音声データと画像表示データ、もしくはいずれか一方を生成し、ステップS507で通知部100において通知を実施する。このステップS506での通知データ作成に関しては、運転年齢モード毎に詳細を後述する。
【0025】
ステップS505では運転行動比較部60において、ステップS503で必要と判断された遵守動作と運転行動認識部50による移動体1000の実際の運転行動とを比較し、実際の運転行動が遵守動作と一致しているかを判断する。その結果、実際の運転行動と遵守動作が一致していればステップS508に進み、一致していなければステップS509に進む。
【0026】
ステップS508では、運転行動比較部60において、最新の行動遵守結果aを守られた運転とカウントし、過去N回目までの行動遵守結果aを更新する。ステップS509では、運転行動比較部60において、最新の行動遵守結果aを守られない運転とカウントし、過去N回目までの行動遵守結果aを更新する。なお、ステップS504において過去の行動遵守結果aの遵守結果が多ければ多いほどステップS506へ進む確率を低減させるなど、通知を行うか否かの選択はほかにあってもよい。
【0027】
続いて、本実施例における特徴である運転年齢モード毎に通知データ、通知手段の生成を変更する流れについて具体的に説明する。一例として、左右の見通しのきかない交差点における通知に関して説明する。図4は信号の無い、左右の見通しのきかない交差点において、交差点を認識後通知データ生成部37で生成される通知データと通知部100で通知を行うまでを示すフローチャートである。説明のため、交差点には一時停止の道路標識のみがある状況と、道路標識が全くない状況とを仮定してのフローチャートとしている。
【0028】
ここで交差点の交通ルールに関して説明する。道路交通法第42条によると、自転車は左右の見通しがきかない交差点を通行しようとする場合、その他道路標識がない場合は徐行して通行する必要がある。他に道路標識等がある場合、例えば一時停止の道路標識がある場合においては一時停止を行う必要がある。
【0029】
以下、それぞれの効果も示しながら説明する。
【0030】
図3におけるステップS506までの動作として、前述のように、すでに周囲状況認識部20により交差点と標識の有無を認識済みであり、遵守動作要否判断部25では遵守動作を必要と判断、通知要否判断部35で通知要と判断されている。以下、図4を用いて説明する。ステップS601では通知データ生成部37において、運転年齢モード設定部70での運転年齢モードを判断し、幼児モードであればステップS602に進み、幼児モードでなければステップS603に進む。
【0031】
ステップS602では、通知データ生成部37において「交差点では必ず止まってね」「右、左を確認してね」の音声データを記憶部33から読み出し、スピーカー部80から音声通知を行う。表示部90では表示せず、終了する。
【0032】
ここで幼児モードについて説明する。本実施例において、道路交通法上は徐行することが定められているが、幼児モードでは安全を高めるため必ず停止することを通知している。このため、親が歩行、幼児が自転車に乗って一緒に行動している場合においても、幼児が先に進んで一人で交差点に進入してしまう危険を回避することが可能となる。更に左右を確認することで、事故の回避確率を高め、交通ルールを身につけることが可能となっている。更に幼児モードでの通知手段として、スピーカー部80からの音声で通知しているため、読み書きをまだ習っていない未就学児でも対応が可能となっている。更に本実施例では、音声通知の際の口調も、幼児がわかりやすい幼児用の口調としている。
【0033】
続いてステップS603以降の説明を行う。
【0034】
ステップS603では運転年齢モード設定部70での運転年齢モードを判断し、低年齢モードであればステップS604に進み、低年齢モードでなければステップS607に進む。ステップS604では周囲状況認識部20での結果から一時停止の表示があるかどうかを判断し、一時停止の表示があればステップS605に進み、一時停止の表示が無ければステップS606に進む。
【0035】
ステップS605では通知データ生成部37において、「一時停止してね」「左右の確認をしてね」の音声データを記憶部33から読み出し、スピーカー部80から音声通知を行う。表示部90では表示せず、終了する。ステップS606では通知データ生成部37において、「徐行して渡ろうね」「左右の確認してね」の音声データを記憶部33から読み出し、スピーカー部80から音声通知を行う。表示部90では表示せず終了する。ここで低年齢モードについて説明する。
【0036】
低年齢モードでは、一時停止の道路標識がある場合は道路交通法に基づき一時停止の通知を行い、一時停止の道路標識がない場合は道路交通法に基づき徐行の通知を行っている。更に左右の確認の通知を行うことで事故の回避確率を高め、交通ルールを身につけることが可能となっている。低年齢モードでは通知手段として、スピーカー部80からの音声通知のみを行い、画像表示による通知は行っていない。このため、低年齢の子供たちが表示部90に集中して前方がおろそかになってしまうことの回避が可能となっている。また、音声通知による口調も、低年齢用の口調としている。続いてステップS607以降の成人モードの説明を行う。
【0037】
ステップS607では、運転年齢モード設定部70での運転年齢モードを判断し、成人モードであればステップS608に進み、成人モードでなければステップS611に進む。ステップS608では、周囲状況認識部20での結果から一時停止の表示があるかどうかを判断し、一時停止の表示があればステップS609に進み、一時停止の表示が無ければステップS610に進む。
【0038】
ステップS609では、通知データ生成部37において音声データは読み出さず、「一時停止の表示があります」の画像表示データを記憶部33から読み出す。スピーカー部80からは通知音のみを発生するとともに表示部90で前述の画像表示データを表示し通知を行う。ステップS610では通知データ生成部37において音声データは読み出さず、「交差点が近づいているので徐行の必要があります」の画像表示データを記憶部33から読み出す。スピーカー部80からは通知音のみを発生するとともに表示部90で前述の画像表示データを表示し通知を行う。ここで成人モードについて説明する。
【0039】
成人モードでは、一時停止の道路標識がある場合は道路交通法に基づき一時停止の通知を行い、一時停止の道路標識がない場合は道路交通法に基づき徐行の通知を行っている。成人モードでは、道路交通法上で守るべき内容のみを通知し、それ以上の通知は行っていない。このため、年齢が高くなるにつれて感じることの多い、通知の煩わしさをできるだけ軽減することが可能となっている。また通知手段に関して、スピーカー部80による音声通知は行わず、通知音とともに表示部90による画像表示での通知を行っている。このため、音声通知による周囲の反応をあまり気にすることなく、画像表示で通知を受けることが可能となっている。また画像表示での通知に関しても、命令口調ではなく控えめな口調での表示としていることで、気分を害することなく通知を受けることが可能となっている。続いてステップS611以降の高齢者モードの説明を行う。
【0040】
ステップS611では周囲状況認識部20での結果から一時停止の表示があるかどうかを判断し、一時停止の表示があればステップS612に進み、一時停止の表示が無ければステップS613に進む。ステップS612では通知データ生成部37において音声データは読み出さず、「一時停止してください」「左右を確認してください」の画像表示データを記憶部33から読み出す。スピーカー部80からは通知音のみを発生するとともに画像表示データを表示し通知を行う。
【0041】
ステップS613では通知データ生成部37において音声データは作成せず、左右を確認してください」の画像表示データを記憶部33から読み出す。スピーカー部80からは通知音のみを発生するとともに画像表示データを表示し通知を行う。ここで高齢者モードについて説明を行う。
【0042】
高齢者モードでは、一時停止の道路標識がある場合は道路交通法に基づき一時停止の通知を行い、一時停止の道路標識がない場合は道路交通法に基づき徐行の通知を行っている。更に左右の確認の通知を行うことで事故の回避確率を高めている。これは、成人モード対応の方々よりも年齢が高くなるにつれ、通知に対する対応が柔軟になってくることを想定して追加している。また通知手段に関して、スピーカー部80による音声通知は行わず、通知音とともに表示部90による画像表示での通知を行っている。これは成人モード同様に音声通知による周囲の反応をあまり気にする必要がなくなる他、高齢者の方々にとっては音声が聞き取りにくいということを配慮してのことである。
【0043】
以上本実施例において、運転年齢モードによって周囲の交通状況に対する通知内容(本実施例における遵守動作)、通知手段、通知頻度の変更を、交差点の一例を用いて説明してきた。図5には別の例も含めた一覧を示している。図5において、通知内容(遵守動作)として例えば幼児モードでは車を認識したら停止の通知を行うとしてもよいし、交通量の多い道路は通らないような通知を行ってもよい。また、速度規制を通知する場合、法定速度を考慮したうえで各運転年齢モードに合わせて速度規制の速度閾値を設定してもよい。通知手段に関して、幼児モードでは行動遵守結果aが守れた場合に別途褒めるような通知を行ってもよい。もちろん必要であれば幼児モード以外でもよい。
【0044】
<実施例2>
また別の実施例について説明する。なお、前述の実施例1と目的、作用が同じものは同じ符号を用いており、また説明も省略する。
【0045】
図6は、本実施例における安全運転支援装置のブロック図を示している。安全運転支援装置200は、周囲画像取得手段10、自車両状態検知手段40、運転者画像取得手段210、外部入力手段240、通知部100、制御部250を有する。外部入力手段240では安全運転支援装置200の電源ON/OFF切り替えを行う。運転者画像取得手段210は、いわゆるカメラ等の撮像装置を使用し、運転者の顔画像を取得する。制御部250は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Procefssing Unit)等を有している。制御部250は、CPUおよびGPU等により後述の動作を行うことで、周囲画像取得手段10、自車両状態検知手段40、運転者画像取得手段210、外部入力手段240で得られる情報や、通知部100で行う通知に関する情報を制御することになる。以下、制御部250での各ブロックの動作について説明する。
【0046】
運転者判断部220では、運転者画像取得手段210から送られてきた運転者の顔画像データと、記憶部33にあらかじめ登録されている顔画像データとを比較、判断する。この記憶部33に登録されている顔画像データには、年齢も登録されている。運転者特定部230では運転者判断部220において一致する顔画像データが存在した場合、運転者を一致した顔画像とともに登録されている人物として特定する。同時に年齢も特定する。運転年齢モード設定部70では、特定された運転者の年齢を元に運転年齢モードを設定する。
【0047】
また、運転行動比較部260では遵守動作要否判断部25で必要と判断された遵守動作と運転行動認識部50による移動体1000の実際の運転行動とを比較し、実際の運転行動が遵守動作と一致しているかを判断する。その判断結果を、運転者特定部230で特定した運転者別に行動遵守結果aとして記憶部33に記録する。通知要否判断部270では、記憶部33に記憶されている、運転者特定部230で特定された運転手の行動遵守結果aを元に判断を行う。
【0048】
続いて本実施例における安全運転支援装置200の運転者特定に関する流れについて説明する。図7は、安全運転支援装置200の運転者を特定し、運転年齢モードを設定するまでのフローチャートを示している。
【0049】
図7において、外部入力手段240により電源ON状態になると、安全運転支援装置200は動作状態になり、ステップS701では運転者画像取得手段210により、運転者の顔画像を取得する。続いてステップS702では運転者判断部220において、得られた運転者の顔画像データと記憶部33に記憶されている人物の顔画像データを比較する。運転者の顔画像と記憶部33に記憶されている顔画像が一致すればステップS703に進み、一致しなければ終了する。
【0050】
ステップS703では、運転者特定部230において、運転者を一致した顔画像とともに登録されている人物として特定、同時に年齢も特定し、ステップS704に進む。ステップS704では運転年齢モード設定部70において、特定された運転者の年齢に応じた運転年齢モードを設定し、終了する。なお、これ以降の動作は図3で説明したステップS501以降の動作や図4で説明した動作が行われる。
【0051】
以上説明したように本実施例では、運転年齢モードについてあらかじめ運転者の顔画像と年齢を登録しておくことにより、運転者が代わったとしても運転年齢モードをその都度変更する必要がなくなる。このため利便性が向上する。また前述の通知頻度に関しても、運転者を特定することができるので、通知判断基準を運転者別に記憶、設定することも可能となる。
【0052】
なお本実施例では、運転者画像取得手段210を新たに設けているが、周囲画像取得手段10を用いることも可能である。また本実施例では顔画像で認識判断を行っているが、指紋等、別の要素でもよい。更には本実施例では顔画像をあらかじめ登録されたデータにより特定しているが、顔画像により年齢を推測し、その結果を元に運転年齢モードを設定してもよい。
【0053】
以上述べたように、本実施例においては運転年齢モードによって、周囲の交通状況に対する通知内容(本実施例における遵守動作)、通知手段、通知頻度を変更している。このため通知に対して通常感じられる、年齢に応じた受け止め方の違いに合わせて通知を行うことが可能となっており、運転者による通知に対しての反応を良好にすることが可能となっている。
【0054】
また、以上の説明は自転車を例にして説明してきたが、本発明の意図するところは自転車に限らず、幅広い乗り物に適用される。例えば、いわゆるキックボードや電動キックボードなども含まれる。これらの乗り物の法的な扱いに関してはその時々の解釈による必要があり、その解釈に基づいた通知内容にすることは言うまでもない。更には、道路交通法における軽車両には属さない乗り物に関しても、円滑な交通を妨げないような通知を行ってもよい。また乗り物によっては、同一の乗り物で走行モードを切り替えることで、走行手段を切り替えられるものもある。この場合は、走行モードの切り替えに応じて通知内容を切り替えてもよい。
【0055】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0056】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7