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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180456
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20231214BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20231214BHJP
   F01N 1/06 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F01N13/00 B
F01N1/06 A
F01N1/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093799
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】都築 裕介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 琢也
(72)【発明者】
【氏名】戸市 進之介
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA01
3G004BA06
3G004BA07
3G004CA12
3G004DA01
3G004DA24
3G004EA01
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、定在波を抑制できる機能及び排水孔を開閉できる機能を実現できるようにする。
【解決手段】排ガスを排出するための排気装置である。排気装置は、排気管と、シャッタ部と、排水孔と、開閉部と、を備える。排気管は、排ガスが流通する管である。シャッタ部は、排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能な機能を有する。排水孔は、排気管に設けられる孔である。開閉部は、排水孔を開閉する機能を有する。シャッタ部及び開閉部は、連動して開閉される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを排出するための排気装置であって、
排ガスが流通する排気管と、
前記排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能なシャッタ部と、
前記排気管に設けられた排水孔と、
前記排水孔を開閉するための開閉部と、
を備え、
前記シャッタ部及び前記開閉部は、連動して開閉される
ように構成された排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部が閉状態から開状態に遷移する際に、前記開閉部が前記排水孔を閉状態から開状態に遷移させる
ように構成された排気装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記排水孔は、前記排気管内にて発生する音圧における定在波の腹となる位置に設けられる
ように構成された排気装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部と前記開閉部とは一体で稼働する部材で構成される。
ように構成された排気装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部が閉状態になるように付勢する付勢部材、
をさらに備え、
前記排気管の内圧が高くなるにつれて、前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッタ部及び前記開閉部が開状態に遷移する
ように構成された排気装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部を、開状態及び閉状態の間で遷移させるように構成されたアクチュエータ、
をさらに備える排気装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部は、前記排気管の中心軸と垂直な共通の回転軸を中心に一体になって回動することで、前記シャッタ部は、前記排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉し、前記開閉部は、前記排水孔を開閉する
ように構成された排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガスを排出するための排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、排気管内にバルブを備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-10421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のバルブは音圧の定在波を抑制する機能を有する。一方で、排気管には、凝縮水を排出する排水孔であって、開閉可能な排水孔を備えることが好ましい。
しかしながら、上記特許文献1の構成では、バルブとは別に排水孔を開閉する機構を配置する必要があるという課題が見出された。本開示の1つの局面は、簡素な構成で、定在波を抑制できる機能及び排水孔を開閉できる機能を実現できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、排ガスを排出するための排気装置である。排気装置は、排気管と、シャッタ部と、排水孔と、開閉部と、を備える。排気管は、排ガスが流通する管である。シャッタ部は、排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能な機能を有する。排水孔は、排気管に設けられる孔である。開閉部は、排水孔を開閉する機能を有する。シャッタ部及び開閉部は、連動して開閉される。
【0006】
このような構成によれば、シャッタ部は定在波を抑制するために機能し、開閉部は排水孔を開閉するために機能する。そして、シャッタ部及び開閉部の作動が連動するので、同時にシャッタ部及び開閉部を作動させることができる。よって、シャッタ部及び開閉部を1つの機構を用いて駆動することができるので、簡素な構成で、定在波を抑制できる機能及び排水孔を開閉できる機能を実現できる。
【0007】
本開示の一態様では、シャッタ部が閉状態から開状態に遷移する際に、開閉部が排水孔を閉状態から開状態に遷移させてもよい。
このような構成によれば、例えば、内燃機関の負荷が大きく、排ガスの流通量が増加する際に、シャッタ部を開いて排ガスの排出を促進することができる。また、この際、本構成では排水孔を開くので、排水を促進することができる。
【0008】
本開示の一態様では、シャッタ部は、排気管内にて発生する音圧における定在波の腹となる位置に設けられてもよい。
このような構成によれば、定在波の腹の位置にシャッタ部を備えるので、定在波の音圧を低減できる。よって、騒音を抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、シャッタ部と開閉部とは一体で稼働する部材で構成されてもよい。
このような構成によれば、シャッタ部と開閉部とが一体で稼働する部材で構成されるので、簡素な構成でこれらを連動させることができる。
【0010】
本開示の一態様は、シャッタ部及び開閉部が閉状態になるように付勢する付勢部材、をさらに備え、排気管の内圧が高くなるにつれて、付勢部材の付勢力に抗してシャッタ部及び開閉部が開状態に遷移するように構成されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、排気管の内圧が高くなるにつれて、付勢部材の付勢力に抗してシャッタ部及び開閉部が開状態に遷移するよう構成することができる。また、排気管の内圧が低くなるにつれて、付勢部材の付勢力によってシャッタ部及び開閉部が閉状態に遷移するよう構成することができる。
【0012】
本開示の一態様は、アクチュエータをさらに備えてもよい。アクチュエータは、シャッタ部及び開閉部を、開状態及び閉状態の間で遷移させるように構成されてもよい。
このような構成によれば、アクチュエータを用いてシャッタ部及び開閉部を電気的に制御することができる。
【0013】
本開示の一態様では、シャッタ部及び開閉部は、排気管の中心軸と垂直な共通の回転軸を中心に一体になって回動することで、シャッタ部は、排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉し、開閉部は、排水孔を開閉してもよい。
このような構成によれば、シャッタ部及び開閉部を、いわゆるバタフライバルブとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の排気システムを示す平面図である。
図2図2Aは閉状態における第1実施形態の排気装置の中央断面図、図2Bは同斜視図である。
図3図3Aは開状態における第1実施形態の排気装置の中央断面図、図3Bは同斜視図である。
図4】排気装置の制御系統を示すブロック図である。
図5】制御部のCPUが実行する制御処理を示すフローチャートである。
図6図6Aは閉状態における第2実施形態の排気装置の中央断面図、図6Bは同斜視図である。
図7図7Aは開状態における第2実施形態の排気装置の中央断面図、図7Bは同斜視図である。
図8図8Aは閉状態における第3実施形態の排気装置の中央断面図、図8Bは同斜視図である。
図9図9Aは開状態における第3実施形態の排気装置の中央断面図、図9Bは同斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.排気システム1の構成]
図1に示す一例として排気システム1は、エンジン5Aと、エキゾーストマニホールド5Bと、触媒コンバータ3と、メインマフラ7と、排気管9A,9Cとを備える。排気システム1は、これらの部材が直列に接続されて構成されている。
【0016】
触媒コンバータ3は、排ガスを浄化する装置であり、内部に触媒を備えている。触媒コンバータ3には、エンジン5Aから排出される排ガスがエキゾーストマニホールド5Bを介して導入される。
【0017】
メインマフラ7は、排気騒音を低減する装置である。排気管9Aは、排ガスが流通する管である。排気管9Aは、触媒コンバータ3とメインマフラ7とを直線的に接続する直管として構成される。排気管9Aは、例えば、中心軸に直交する断面の形状が円形に構成される。なお、排気管9Aの一部として、周知のサブマフラを備えてもよい。
【0018】
排気管9Cは、メインマフラ7に接続され、排ガスを大気に放出するために用いられる。
このような排気システム1では、気柱共鳴の発生範囲を考慮して、排気装置50Aが備えられる。
【0019】
例えば、排気システム1の場合、エンジン5Aとエキゾーストマニホールド5Bとの接続箇所P1から排気管9Aの端部P2に至る長さLの排ガス流路において、気柱共鳴に起因する共鳴音が発生する。なお、図1には、気柱共鳴の際に上記排ガス流路において発生する定在波の音圧を表す波形を併記している。排気システム1の場合、排ガス流路内で発生する定在波の音圧の腹に対応する位置に排気装置50Aが配置されている。
【0020】
具体的には、本実施形態の場合、図1に示すように、前述の排ガス流路内で発生する定在波の音圧の腹の位置は、エンジン5Aとエキゾーストマニホールド5Bとの接続箇所P1から長さ2/3Lだけ離れた箇所P3にある。そこで、この箇所P3に排気装置50Aが配置されている。特に、後述するシャッタ部51A及び排水孔19の位置が箇所P3と一致するように設定される。これにより、排気システム1における気柱共鳴を抑制できるようにしている。
【0021】
排気装置50Aは、排ガスを排出するための機能の一部を備える装置である。排気装置50Aは、排気管9Aと、シャッタ部51Aと、排水孔19と、開閉部56Aと、アクチュエータ65と、を備える。
【0022】
シャッタ部51Aは、排気管9A内において、排ガスの流れ方向(例えば図2では矢印の方向)に直交する仮想平面と平行に配置される板状の部材である。シャッタ部51Aは、排気管9Aの内径に沿った外形を有し、排気管9Aにおける排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能な機能を有する。
【0023】
図2A及び図2Bは、シャッタ部51Aが排気管9Aにおける排ガス流路を閉塞した状態、つまり閉状態を示す。なお、図2以下では、車両前方側、換言すれば排ガスの流れ方向の上流側をFr、鉛直方向上側をUPと図示する。また、車両の左側をL、車両の右側をRと図示する。
【0024】
シャッタ部51Aは、閉状態であっても、排気管9Aを完全に閉塞することはなく、排ガスの流量が少ないときの排ガスの流れを阻害することがないように、排気管9Aの一部を開放した状態とする。このために、シャッタ部51Aの中央には、通気孔52Aが形成されている。また、シャッタ部51Aの周囲は、閉状態において排気管9Aと密着することがないように隙間部53Aが設けられる。
【0025】
排水孔19は、排気管9Aの鉛直方向下側に設けられるスリット状の孔である。排水孔19は、シャッタ部51Aが排気管9Aを介して下方に移動できるように、シャッタ部51Aの径よりも大きく設定される。排水孔19は、排気管9A内にて発生する音圧における定在波の腹となる位置に設けられる。なお、本実施形態では、排水孔19は、排水の機能を有するため、排気管9Aの下側に配置されるが、排水の機能が不要である場合、排気管9Aの上側等、任意の位置に配置されてもよい。この場合の排水孔19は、排気の機能を有するため、音圧を低減し、騒音を抑制するために寄与する。
【0026】
開閉部56Aは、排水孔19を開閉する機能を有する。本実施形態では、開閉部56Aは、排水孔19の全体を排気管9Aの外側から覆うように構成される。開閉部56Aは、シャッタ部51Aの下方にて接続される。このような構成により、シャッタ部51Aと開閉部56Aとは一体で連動して稼働するように構成される。なお、シャッタ部51Aと開閉部56Aとは、一体に構成されていてもよく、また、別部材で構成されていてもよい。
【0027】
アクチュエータ65は、シャッタ部51A及び開閉部56Aを、開状態及び閉状態の間で遷移させるように構成される。開状態は、シャッタ部51Aが排ガス流路を開放する状態である。開状態は、開閉部56Aが排水孔19を開いた状態でもある。また本開示の構成では、1つのアクチュエータ65がシャッタ部51A及び開閉部56Aを同時に駆動させる。アクチュエータ65は、接続部57を介して開閉部56Aと接続されている。アクチュエータ65は、接続部57を伸縮させることで、開状態及び閉状態の間で遷移させる。
【0028】
シャッタ部51A及び開閉部56Aが開状態に遷移すると、図3A及び図3Bに示すように、シャッタ部51Aの大部分が排水孔19から排気管9Aの外部に移動するとともに、排水孔19が開放される。この際、排水孔19からの排水が促進され、また、排水孔19が開くことで、排気管9Aの音圧上昇が抑制される。
【0029】
アクチュエータ65は、例えば図4に示すように、制御部60によって作動制御される。制御部60は、CPU61と、メモリ62とを有するマイクロコンピュータを備える。制御部60では、メモリ62に格納されたプログラムに従って、CPU61がアクチュエータ65を駆動させる。また、制御部60には、センサ部63が接続される。センサ部63は、例えば、エンジン5Aの負荷を検知するセンサである。
【0030】
センサ部63がエンジン5Aの負荷を検知するために、センサ部63としては、例えば、エンジン5Aの回転数を検知する回転数センサ、排ガスの流量を検知する流量センサ等を採用できる。なお、センサ部63から得られる信号に換えて、エンジン5Aに対する要求トルク等、通信線を介して得られる情報を用いてエンジン5Aの負荷を検知してもよい。
【0031】
制御部60は、図5に示すような、シャッタ部51A及び開閉部56Aを開状態及び閉状態の間で遷移させるための制御処理を実施する。制御処理では、制御部60は、まずS10で、エンジン5Aの負荷が予め設定された第1閾値以上であるか否かを判定する。負荷が第1閾値以上であれば、S20に移行し、シャッタ部51A及び開閉部56Aを開状態に遷移させ、S30に移行する。
【0032】
一方、負荷が第1閾値未満であれば、S30に移行する。続いて、制御部60は、S30で、エンジン5Aの負荷が予め設定された第2閾値未満であるか否かを判定する。第2閾値は第1閾値よりも小さな値に設定される。このように設定されていれば、エンジン5Aの負荷が変動する場合、変動の範囲が第1閾値から第2閾値までの範囲内であれば、シャッタ51部A及び開閉部56Aの開閉状態が変更されない。よって、シャッタ部51A及び開閉部56Aが頻繁に開閉されることを抑制できる。
【0033】
制御部60は、負荷が第2閾値未満であれば、S40に移行し、シャッタ部51A及び開閉部56Aを閉状態に遷移させ、本処理を終了させる。
一方、制御部60は、負荷が第2閾値以上であれば、本処理を終了させる。
【0034】
[1-2.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示の一態様は、排ガスを排出するための排気装置50Aである。排気装置50Aは、排気管9Aと、シャッタ部51Aと、排水孔19と、開閉部56Aと、を備える。排気管9Aは、排ガスが流通する管である。シャッタ部51Aは、排気管9Aにおける排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能な機能を有する。
【0035】
排水孔19は、排気管9Aに設けられる孔である。開閉部56Aは、排水孔19を開閉する機能を有する。シャッタ部51A及び開閉部56Aは、連動して開閉される。
このような構成によれば、シャッタ部51Aは定在波を抑制するために機能し、開閉部56Aは排水孔19を開閉するために機能する。そして、シャッタ部51A及び開閉部56Aの作動が連動するので、同時にシャッタ部51A及び開閉部56Aを作動させることができる。よって、シャッタ部51A及び開閉部56Aを1つの機構を用いて駆動することができるので、簡素な構成で、定在波を抑制できる機能及び排水孔19を開閉できる機能を実現できる。
【0036】
(1b)本開示の一態様では、シャッタ部51Aが閉状態から開状態に遷移する際に、開閉部56Aが排水孔19を閉状態から開状態に遷移させる。
このような構成によれば、例えば、内燃機関の負荷が大きく、排ガスの流通量が増加する際に、シャッタ部51Aを開いて排ガスの排出を促進することができる。また、この際、本構成では排水孔19を開くので、排水を促進することができる。
【0037】
(1c)本開示の一態様では、シャッタ部51A及び排水孔19は、排気管9A内にて発生する音圧における定在波の腹となる位置に設けられる。
このような構成によれば、定在波の腹の位置にシャッタ部51A及び排水孔19を備えるので、定在波の音圧を低減できる。よって、騒音を抑制することができる。
【0038】
(1d)本開示の一態様では、シャッタ部51Aと開閉部56Aとは一体で稼働する部材で構成されている。
このような構成によれば、シャッタ部51Aと開閉部56Aとが一体で稼働する部材で構成されるので、簡素な構成で、これらを連動させることができる。
【0039】
(1e)本開示の一態様は、アクチュエータ65をさらに備える。アクチュエータ65は、シャッタ部51A及び開閉部56Aを、開状態及び閉状態の間で遷移させるように構成される。
【0040】
このような構成によれば、アクチュエータ65を用いてシャッタ部51A及び開閉部56Aを電気的に制御することができる。
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0041】
前述した第1実施形態では、アクチュエータ65を用いてシャッタ部51A及び開閉部56Aを電気的に制御した。これに対し、第2実施形態では、アクチュエータ65を用いることなく、排気管9A内外の圧力差を用いてシャッタ部51B及び開閉部56Bを開閉する点で、第1実施形態と相違する。
【0042】
[2-2.構成]
図6及び図7に示すように、第2実施形態の排気装置50Bは、アクチュエータ65及び接続部57に換えて、付勢部材71を備える。付勢部材71は、例えば、コイルバネとして構成される。付勢部材71は、例えば、板バネ、ゴム部材等として構成されてもよい。
【0043】
シャッタ部51Bは、第1板部材52Bと、第2板部材54Bとを備える。第1板部材52Bは、排ガスの流れに直交する仮想平面に沿って配置され、排ガスの流れを阻害する機能を有する。第2板部材54Bは、排ガスの流れ方向の上流側及び下流側(例えば図6Aでは左右方向)に延びるように第1板部材52Bに接続されている。
【0044】
第2板部材54Bの上方には、隙間部53Bが形成される。そして、第2板部材54Bの下側には、付勢部材71の第1端が接続される。付勢部材71の第2端は、排気管9Aの内側下方に接続される。シャッタ部51Bは、作動軸55Bに沿って上下に移動可能に構成される。
【0045】
排気管9A内の圧力が低いときには、図6A及び図6Bに示すように、シャッタ部51B及び開閉部56Bは、付勢部材71によって、シャッタ部51B及び開閉部56Bが閉状態になるように付勢される。一方で、排気管9A内の圧力が高まると、図7A及び図7Bに示すように、排気管9Aの圧力と、大気圧との圧力差によって、シャッタ部51B及び開閉部56Bが付勢部材71の付勢力に抗して押し下げられる。つまり、シャッタ部51B及び開閉部56Bが開状態になるように遷移する。なお、図7A及び図7Bには、シャッタ部51B及び開閉部56Bが全開になった状態を図示するが、全開になる必要はない。シャッタ部51B及び開閉部56Bが閉状態から僅かでも移動し、排ガス流路、及び排水孔19少なくとも一部が開かれた状態に遷移した状態が開状態である。
【0046】
[2-3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0047】
(2a)本開示の一態様は、シャッタ部51B及び開閉部56Bが閉状態になるように付勢する付勢部材71、をさらに備える。この構成では、排気管9Aの内圧が高くなるにつれて、付勢部材71の付勢力に抗してシャッタ部51B及び開閉部56Bが開状態に遷移するように構成される。
このような構成によれば、排気管9Aの内圧が高くなるにつれて、付勢部材71の付勢力に抗してシャッタ部51B及び開閉部56Bが開状態に遷移するよう構成することができる。また、排気管9Aの内圧が低くなるにつれて、付勢部材71の付勢力によってシャッタ部51B及び開閉部56Bが閉状態に遷移するよう構成することができる。
【0048】
[3.第3実施形態]
[3-1.第1実施形態及び第2実施形態との相違点]
前述した第1実施形態及び第2実施形態では、シャッタ部51A,51B及び開閉部56A,56Bが上下に移動するように構成した。これに対し、第3実施形態では、シャッタ部51C及び開閉部56Cが回転するように構成される点で、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。
【0049】
[2-3.構成]
第3実施形態の排気装置50Cは、シャッタ部51Cが回転軸55Cに取り付けられている。シャッタ部51Cには、複数の通気孔52Cが形成されている。排気管9Aには円形の排水孔19が形成されており、この排水孔19は開閉部56Cによって排ガス流路を開閉可能に構成される。開閉部56Cは、排水孔19の開口面積よりもやや大きな面積を有する板状の部材である。開閉部56Cは、排気管9Aの外側から排水孔19を覆うように構成される。なお、開閉部56Cは、排気管9Aの内側から排水孔19を覆うように構成されてもよい。
【0050】
開閉部56Cは、回転軸55Cに接続されており、回転軸55Cが回転すると、開閉部56Cが移動し、排水孔19が開閉されるように構成される。
図8A及び図8Bに示すように、シャッタ部51C及び開閉部56Cが閉状態のとき、シャッタ部51Cにおける板状の面が排ガスの流れに対して垂直な状態となり、シャッタ部51Cは排ガスの流路の大部分を塞ぐ。この際、開閉部56Cは排水孔19を閉塞した状態となる。
【0051】
図9A及び図9Bに示すように、シャッタ部51C及び開閉部56Cが開状態のとき、シャッタ部51Cにおける板状の面が排ガスの流れに対して平行な状態となり、シャッタ部51Cは排ガスの流路の大部分を開放する。この際、開閉部56Cは排水孔19を開放した状態となる。
【0052】
なお、排水孔19は、シャッタ部51Cに近接して配置される。ここでの近接とは、開閉部56が回転軸55Cの回転によって良好に排水孔19を開閉可能な範囲内である。具体的には例えば、回転軸55Cから排気管9Aの半径の範囲内である。
【0053】
[3-3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0054】
(3a)本開示の一態様では、シャッタ部51C及び開閉部56Cは、排気管9Aの中心軸9Xと垂直な共通の回転軸55Cを中心に、一体になって回動する。この際、シャッタ部51Cは、排気管9Aにおける排ガス流路の少なくとも一部を開閉し、開閉部56Cは、排水孔19を開閉するように構成される。
このような構成によれば、シャッタ部51C及び開閉部56Cを、いわゆるバタフライバルブとして構成することができる。
【0055】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(4a)上記実施形態では、シャッタ部51A,51B,51C及び開閉部56A,56B,56Cは一体になって駆動されるように構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、シャッタ部及び開閉部が別々の部材で構成され、これらの別々の部材が、やや離れた位置に配置されていてもよい。この場合、駆動伝達機構を用いて、シャッタ部51A,51B,51C及び開閉部56A,56B,56Cが連動するように構成してもよい。駆動伝達機構には、例えば、ギヤ、ベルト、チェーン、リンク機構等を採用できる。
【0057】
(4b)上記実施形態では、排ガスの流れ方向が車両の前方から後方に向かう方向である場合について例示したが、これに限定されるものではない。例えば、排ガスの流れ方向は、車両の前後方向、左右方向等、車両の向きに対して任意の方向に設定されてもよい。また、排気管9Aは、途中で屈曲するように構成されてもよい。
【0058】
(4c)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
(4d)前述した排気装置50A~50Cの他、当該排気装置50A~50Cを構成要素とする排気システム1、当該排気装置50A~50Cとしてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、排気制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0060】
[5.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
排ガスを排出するための排気装置であって、
排ガスが流通する排気管と、
前記排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉可能なシャッタ部と、
前記排気管に設けられた排水孔と、
前記排水孔を開閉するための開閉部と、
を備え、
前記シャッタ部及び前記開閉部は、連動して開閉される
ように構成された排気装置。
【0061】
[項目2]
項目1に記載の排気装置であって、
前記シャッタ部が閉状態から開状態に遷移する際に、前記開閉部が前記排水孔を閉状態から開状態に遷移させる
ように構成された排気装置。
【0062】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の排気装置であって、
前記排水孔は、前記排気管内にて発生する音圧における定在波の腹となる位置に設けられる
ように構成された排気装置。
【0063】
[項目4]
項目1から項目3の何れか1つに記載の排気装置であって、
前記シャッタ部と前記開閉部とは一体で稼働する部材で構成される。
ように構成された排気装置。
【0064】
[項目5]
項目1から項目4の何れか1つに記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部が閉状態になるように付勢する付勢部材、
をさらに備え、
前記排気管の内圧が高くなるにつれて、前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッタ部及び前記開閉部が開状態に遷移する
ように構成された排気装置。
【0065】
[項目6]
項目1から項目5の何れか1つに記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部を、開状態及び閉状態の間で遷移させるように構成されたアクチュエータ、
をさらに備える排気装置。
【0066】
[項目7]
項目1から項目6の何れか1つに記載の排気装置であって、
前記シャッタ部及び前記開閉部は、前記排気管の中心軸と垂直な共通の回転軸を中心に一体になって回動することで、前記シャッタ部は、前記排気管における排ガス流路の少なくとも一部を開閉し、前記開閉部は、前記排水孔を開閉する
ように構成された排気装置。
【符号の説明】
【0067】
1…排気システム、3…触媒コンバータ、5A…エンジン、5B…エキゾーストマニホールド、7…メインマフラ、9A,9C…排気管、9X…中心軸、19…排水孔、50A,50B,50C…排気装置、51…シャッタ部、51A…シャッタ部、51B…シャッタ部、51C…シャッタ部、52A…通気孔、52B…第1板部材、52C…通気孔、53A…隙間部、53B…隙間部、54B…第2板部材、55B…作動軸、55C…回転軸、56A…開閉部、56B…開閉部、56C…開閉部、57…接続部、60…制御部、61…CPU、62…メモリ、63…センサ部、65…アクチュエータ、71…付勢部材、P1…接続箇所、P2…端部、P3…箇所。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9