(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180470
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231214BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231214BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 322
G06F3/12 332
G06F3/12 387
H04N1/00 127A
H04N1/00 912
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093820
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 智也
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CL08
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HP06
2C061HQ01
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC38
5C062AE15
5C062AF12
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】ゲストユーザがクラウドプリントサービスを利用して印刷を行う場合、印刷装置でゲストユーザは他のゲストユーザの印刷ジョブを実行できる。
【解決手段】印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録し、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存し、情報処理装置は、印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを印刷サービスシステムに送信し、印刷装置は、印刷サービスシステムのユーザを印刷装置のユーザと紐づけて登録し、印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行し、印刷サービスシステムのゲストユーザは印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、パスワードが設定されていないゲストユーザの印刷ジョブについては印刷が実行されない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、前記印刷装置に接続された印刷サービスシステムと、前記印刷サービスシステムに接続された情報処理装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録する登録手段と、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存する保存手段とを有し、
前記情報処理装置は、前記印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信する送信手段を有し、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムのユーザを前記印刷装置のユーザと紐づけて保存する保存手段と、前記印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、前記印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行する印刷手段を有し、
前記印刷サービスシステムのゲストユーザは前記印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、
パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブについては、前記印刷装置による印刷が実行されない
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記登録手段では、前記印刷装置の能力情報が登録され、前記能力情報には、パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有する印刷装置については当該能力を示す情報が含まれ、
前記印刷装置の前記能力情報が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を示す情報が含まれる場合に、前記印刷ジョブにパスワードが設定できる
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムから、前記情報処理装置からの前記印刷ジョブの送信があったことの通知に応じて前記印刷ジョブを取得し、前記パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、ログインユーザによる操作に応じて前記ログインユーザの前記印刷ジョブを取得し、前記ログインユーザが前記ゲストユーザであり、かつ前記パスワードが設定されていない印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記印刷ジョブを取り消した際にはさらに、前記ログインユーザに対してエラーを出力する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合には、前記印刷ジョブにパスワードを設定させるためのユーザインターフェイスを表示し、前記パスワードが設定された前記印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、選択された前記印刷装置の能力情報を前記印刷サービスシステムから取得して前記印刷装置が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有し、かつ前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合に前記印刷ジョブにパスワードを設定させるための前記ユーザインターフェイスを表示する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、選択された前記印刷装置の能力情報を前記印刷サービスシステムから取得して、前記印刷装置が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有さず、前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合には、エラーを示すメッセージを出力する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項1または2に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記情報処理装置から受信した前記印刷ジョブがゲストユーザの印刷ジョブである場合には、前記印刷ジョブにパスワードを設定し、設定した前記パスワードを前記ゲストユーザに通知する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷ジョブについて選択された前記印刷装置の能力情報が、前記印刷装置が前記パスワードの設定された印刷ジョブを実行する能力を有することを示し、かつ前記印刷ジョブが前記ゲストユーザの印刷ジョブである場合に、前記印刷ジョブにパスワードを設定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷ジョブについて選択された前記印刷装置の能力情報が、前記印刷装置が前記パスワードの設定された印刷ジョブを実行する能力を有することを示さない場合には、前記印刷ジョブを破棄する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項13】
印刷装置と、前記印刷装置に接続された印刷サービスシステムと、前記印刷サービスシステムに接続された情報処理装置とを含む印刷システムによる印刷制御方法であって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録し、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存し、
前記情報処理装置は、前記印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信し、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムのユーザを前記印刷装置のユーザと紐づけて登録し、前記印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、前記印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行し、
前記印刷サービスシステムのゲストユーザは前記印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、
パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブについては、前記印刷装置による印刷が実行されない
ことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織や会社などに設置され、複数のユーザが使用することが想定される印刷装置では、ユーザ管理機能を有効にする場合がある。この場合、組織や会社等に所属するユーザは、印刷装置にログインして、印刷装置が有する各機能を使用する仕組みがある。また、組織や会社等に所属しないユーザはゲストアカウントとしてログインが可能であり、設定されている制約を満たす範囲内での印刷装置へのジョブの投入を許可する仕組みがある(特許文献2)。
【0003】
また、近年、クラウド経由で印刷ジョブを投入し、印刷装置に印刷ジョブを送信するクラウドプリントの仕組みが普及し始めている(特許文献1)。このような印刷システムでは、まず管理者が印刷装置を、管理者が所属するクラウドプリントサービス(以降、CPSとも呼ぶ)へ登録する。その後、CPSの使用を許可されているユーザは、それぞれのクライアント端末を使用して、CPSに登録されたプリンタを出力プリンタとして選択し、所望の印刷設定を行い、CPSに対して印刷ジョブを送信する。印刷ジョブを受信したCPSは選択されている印刷装置に対して当該印刷ジョブを転送する。印刷装置は当該転送された印刷ジョブに基づき印刷を実行する。特にIPP(Internet Printer Procotol)を使用したクラウドプリントの仕組みは、PWG5100.18やRFC3995およびRFC3996などで規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-133489号公報
【特許文献2】特開2015-1787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クラウドサービスには、クラウドサービスに登録されていないユーザに一時的にクラウドサービスの利用を許可する仕組みを提供するものも存在する。例えば、CPSの管理者は、ユーザ登録されていない特定のゲストユーザに対してCPSの使用を許可することが可能となっている。ゲストユーザはCPSによりたとえばクラウドプリントの利用が許可され得る。一方、印刷装置にもゲストユーザとしてログインして使用できるものがある。
【0006】
このようなCPSのゲストユーザが印刷装置を選択してCPSに対して印刷を実行し、印刷装置がその印刷ジョブをCPSから取得して保存する場合、その印刷ジョブを投入したユーザ(即ちオーナー)を印刷装置の登録済みユーザと紐づけることはできない。その場合印刷装置は取得した印刷ジョブをゲストユーザの印刷ジョブとして扱う。CPSの複数のゲストユーザがCPSに対して印刷を実行した場合、それらの印刷ジョブはすべて印刷装置のゲストユーザがゲストユーザの印刷ジョブとして参照でき、かつ、印刷実行も出来てしまうという課題が発生する。
【0007】
本発明は上述の問題点の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明の1つの側面としては、ゲストユーザの印刷ジョブについてもセキュリティを担保する仕組みを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の少なくとも1つの目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。本発明の一側面によれば、印刷装置と、前記印刷装置に接続された印刷サービスシステムと、前記印刷サービスシステムに接続された情報処理装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録する登録手段と、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存する保存手段とを有し、
前記情報処理装置は、前記印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信する送信手段を有し、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムのユーザを前記印刷装置のユーザと紐づけて保存する保存手段と、前記印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、前記印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行する印刷手段を有し、
前記印刷サービスシステムのゲストユーザは前記印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、
パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブについては、前記印刷装置による印刷が実行されない
ことを特徴とする印刷システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲストユーザの印刷ジョブについてもセキュリティを担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】印刷装置のハードウェア構成の一例を示す図である
【
図5】第1の実施形態における印刷ジョブ取得時のフローチャートの一例である。
【
図6】第1の実施形態における印刷ジョブ受信時のパケットの一例である。
【
図7】第2の実施形態における印刷ジョブ取得時のフローチャートの一例である。
【
図8】第3の実施形態におけるプリンタ能力情報登録のフローチャートの一例である。
【
図9】第3の実施形態におけるプリンタ能力情報登録のパケットの一例である。
【
図10】クライアント端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図11】第4の実施形態におけるユーザ判別するフローチャートの一例である。
【
図12】第4の実施形態における印刷設定画面の一例である。
【
図13A】IPPを使用したクラウドプリントのシーケンス(印刷装置の登録)の一例である。
【
図13B】IPPを使用したクラウドプリントのシーケンス(印刷)の一例である。
【
図14】第5の実施形態におけるユーザ判別するフローチャートの一例である。
【
図15A】第1の実施形態に印刷ジョブ取得のシーケンスの一例である。
【
図15B】第2の実施形態に印刷ジョブ取得のシーケンスの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、本発明に係る印刷システムの構成を説明する。本実施形態に係る印刷システムは、印刷装置101、クライアント端末103~104、クラウドプリントサービス(以下、CPSとも呼ぶ)102、クラウドIDサービスプロバイダー105、クラウドIDサービスプロバイダー107を含む。ここで、CPS102とクラウドIDサービス105は同じ企業が提供するクラウドサービス106であり、クラウドIDサービスプロバイダー105で管理するアカウントでCPS102を使用することができる。なおCPS102のことを印刷サービスシステムとも呼ぶ。
【0013】
一方、クラウドIDサービスプロバイダー107は、クラウドサービス106とは異なる企業が提供するサービスである。クラウドIDサービスプロバイダー107のアカウントを有するユーザは、そのアカウントで、OAUTHなどのアカウント連携サービスを利用することでゲストユーザとしてCPS102を利用することが可能となっている。印刷装置101は、ネットワーク100を経由してインターネット上のCPS102と通信する。ネットワーク100は例えばLAN、WANなどの通信ネットワーク、セルラネットワーク(例えば、LTEや5Gなど)、IEEE802.11に準拠する無線ネットワークなどを組み合わせて構成されてもよい。すなわち、ネットワーク100はデータの送受信が可能であればよく、物理レイヤの通信方式はいずれの方式を採用してもよい。
【0014】
印刷装置101は、スキャナを用いて読み取って得られた画像に基づくデータを外部に送信するスキャン機能や、外部装置から受信した印刷ジョブに基づき紙などのシートに画像を印刷する印刷機能、コピー機能を有する。また、印刷装置101はCPS102を経由して印刷ジョブを受信し、印刷を行うこともできる。本実施形態では、印刷装置の一例として複数の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)を例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、印刷機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Peripheral)などであってもよい。また、本実施形態では、一例として紙などのシートへの印刷を例示しているがこれに限定されるものではなく、3次元形状データに基づき立体物を成型する3Dプリントなどにおける印刷制御にも適用することができる。なお印刷装置のことを画像形成装置と呼ぶこともある。
【0015】
また、本実施形態の印刷装置101は、ユーザ管理機能を有している。印刷装置101に予めユーザ情報を登録しておき、ユーザによって使用する機能を制限する機能制限や、ユーザは印刷装置にログインして使用したりするログイン機能を提供する。
【0016】
CPS102はクライアント端末103~104等のクライアント端末から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを保存する。続けて、CPS102に登録された印刷装置101に対して印刷ジョブが入稿されたことを通知する。当該通知を受け取った印刷装置101は印刷ジョブを取得し、印刷処理を実行する。CPS102は1または複数の情報処理装置により構成されてよい。複数の情報処理装置により構成される場合、ユーザ認証と印刷データ提供など機能が分散されていてもよいし、一つの機能の負荷が分散されていてもよいし、それらの組み合わせであってよい。
【0017】
<印刷装置101のハードウェア構成>
本実施形態における印刷装置101のハードウェア構成について
図4を用いて説明する。
図4は、印刷装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。印刷装置101はシート上の画像を読み取る読取機能、当該読み取った画像を外部の通信装置に送信可能なファイル送信機能などを有している。また、シートに画像を印刷する印刷機能も有する。また、CPS102から印刷ジョブを受信して印刷する機能や、前述したユーザ管理機能、留め置き印刷機能も有しているものとする。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)401は、印刷装置101全体の動作を制御する。CPU401は、ROM(Read Only Memory)402又はストレージ404に記憶された制御プログラムを読み出して実行し、印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。ROM402は、CPU401で実行可能な制御プログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)403は、CPU401がアクセスする主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ404は、印刷ジョブ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。CPS102からダウンロードした印刷ジョブやその他の情報もストレージ404に保存される。このように、CPU401、ROM402、RAM403、ストレージ404等のハードウェアは、いわゆるコンピュータを構成している。
【0019】
なお、本実施形態の印刷装置101では、1つのCPU401が1つのメモリ(RAM403)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のプロセッサ、メモリ、及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行することもできる。また、ハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0020】
プリンタ410は、入力された印刷画像や印刷制御コマンドに基づいて、不図示の給紙カセットから給紙されたシートに画像を印刷する。印刷の方式はトナーを紙に転写して定着させる電子写真方式であってもよいし、紙にインクを吐出して印刷するインクジェット方式であってもよい。
【0021】
スキャナ408は、図示省略の原稿台に載置された原稿を読み取り、そして画像データを生成する。スキャナ408が生成した画像データは、プリンタ410で印刷されたり、ストレージ404に記憶されたり、ネットワークインターフェイス(I/F)411を介して外部装置に送信されたりする。
【0022】
操作部406は、タッチパネル機能を有する液晶表示部や各種ハードキーなどが備えられている。操作部406は、ユーザに情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。すなわち操作部406はユーザインターフェイスを提供する。CPU401は、操作部406と協働して情報の表示制御やユーザ操作の受け付け制御を行う。
【0023】
ネットワークI/F411は、ネットワークケーブルが接続され、ネットワーク100上やインターネット上の外部装置と通信を実行することができる。本実施形態では、イーサネット(登録商標)に準拠する有線通信を行う通信インタフェースである場合を想定しているがこれに限定されるものではない。例えば、IEEE802.11シリーズに準拠する無線通信インタフェースであってもよい。また、両方が無線通信インタフェースであってもよい。また、CDMA等の3G回線、LTEなどの4G回線、5G NRなどの移動体通信を行う通信インタフェースであってもよい。
【0024】
本実施形態では、印刷装置101がユーザアカウントを管理するデータベースを管理する場合を例示しているがこれに限定されるものではない。印刷装置101を使用するユーザのユーザアカウントの管理は外部の認証サーバと連携して実現することもできる。例えば、Microsoft(登録商標)が提供するActiveDirectoryサービスやAzure(登録商標) ActiveDirectoryサービスと連携して、ユーザアカウントを管理するようにしてもよい。
【0025】
<クラウドプリントサービス102のハードウェア構成>
本実施形態におけるクラウドプリントサービス102のハードウェア構成について
図10を用いて説明する。
図10のCPU1001~操作部1006は
図2のCPU201~操作部206に、ネットワークインターフェイス1007はネットワークインターフェイス411にそれぞれ対応する。
図10のそれぞれの構成要素は対応する
図4の印刷装置の構成要素とほぼ変わらない為、詳細な説明は省略する。なおクライアント端末も
図10と同様の構成を有する。またCPS102は複数のCPUおよびメモリを有していてもよい。その場合には複数のメモリに少なくとも1つのプログラムが格納されていてよい。
【0026】
<印刷ジョブの登録>
本実施形態における、上記構成の印刷システムにより印刷が可能となるまでの手順を説明する。
図13AはIPPを使用したクラウドプリントの仕組み、特に印刷装置を登録し、クライアント端末から登録された印刷装置を利用可能とするまでの手順を示したシーケンス図の一例である。
【0027】
まず印刷装置101の操作によりCPS102にプリンタ登録要求を送信する(S1601)。操作は印刷装置101の操作部206で行ってよいが、コンピュータ等に印刷装置101が提供するリモートUIで行ってもよい。その後、印刷装置101はサポートする属性情報と属性値をCPS102にUpdate-Output-Device-Attributesオペレーションを使用して通知する(S1602)。これによりCPS102に印刷装置101の属性値が登録される。印刷装置101の属性値には、たとえばパ氏ワード付きの印刷ジョブであるPIN印刷のサポートの有無なども含まれる。
【0028】
その後、印刷装置はCPS102に対してイベントの通知登録をCreate-Printer-Subscriptionオペレーションを使用して行う(S1603)。印刷装置101は通知登録後、イベントが発生したかどうかをGet-Notificationオペレーションを使用して確認する(S1604)。これによりCPS102は、例えば印刷装置101により実行される印刷ジョブの登録など、新たなイベントが発生すると、印刷装置101に対してイベントを通知する。以上の手順で行われるCPS102への印刷装置の追加は印刷装置101を用いたクラウドプリントに先立って行われていればよい。
【0029】
また印刷装置の登録の際には、CPS102のユーザが印刷装置101のユーザに紐づけて当該ユーザのユーザ情報が保存される。たとえば、印刷装置101のユーザ情報に紐づけて、CPS102のユーザ情報が印刷装置101に保存されてよい。ユーザ情報にはユーザIDのほか必要であればパスワードなどの認証情報を含めてもよい。このユーザの紐づけは、印刷装置101の操作部から行ってもよいが、そのリモートUIなどを用いてクライアント端末から行ってもよい。どのように行うにしても管理者権限を持つ管理者ユーザに限ってその紐づけ操作を許すことが望ましい。またこのユーザの紐づけは、印刷装置101の登録後に行ってもよい。
【0030】
一方、クライアント端末103はCPS102に登録されている印刷装置を検索して、検索したうちから選択した印刷装置をクライアント端末103が使用する印刷装置として追加する(S1605)。そして、追加した印刷装置の属性情報と属性値をGet-Printer-Attributesオペレーションを使用してCPS102から取得する(S1606)。取得した印刷装置の属性情報と属性値は登録した印刷装置と関連付けて保存しておいてよい。なおパスワード付きの印刷ジョブすなわちPIN印刷をサポートすることを示すパスワード属性(PIN属性)も、印刷装置の属性情報に含まれている。
【0031】
この後、クライアント端末103は、印刷を実行する際に、S1605,S1606で追加した印刷装置を選択することで、選択した印刷装置を使用して印刷を行える。印刷の際、クライアント端末103で選択した印刷装置がCPS102に登録された印刷装置101である場合には、取得した属性情報に従って印刷設定画面を表示し、設定された印刷属性とともに印刷ジョブをCPS102に送信する。なお印刷装置の属性情報のことを印刷設定と呼ぶこともある。
【0032】
<クラウドプリントサービスのゲストジョブ>
続けて、クラウドプリントサービスの従来のゲストジョブについて、説明する。
図2(A)はクラウドサービス106に登録されているユーザアカウント一覧の一例である。ユーザA(UserA)およびユーザB(UserB)はクラウドIDサービスプロバイダーに登録されている正規ユーザである。各ユーザに対して、クラウドサービスの管理者がCPS102の使用の許可、使用不可の設定をすることができる。また、ゲストユーザAおよびゲストユーザBはクラウドサービス106に登録されていないユーザであり、別のクラウドIDサービスプロバイダー107のユーザである。通常であれば、ゲストユーザAおよびゲストユーザBはCPS102の使用権限は有していないが、クラウドサービス106の管理者によって、CPS102の使用を許可に設定されているとする。これより、ゲストユーザAおよびゲストユーザBはクラウドIDサービスプロバイダー107のアカウントを利用して、CPS102を使用することができる。このような連携はOAUTHなどのサービス連携の技術を使用して実現する。
【0033】
一方、印刷装置101には、
図2(B)のようにユーザAおよびユーザBの情報が登録されており、登録されていないユーザはゲストユーザとして扱われる。印刷装置101の登録ユーザは、印刷装置101をCPS102に登録する際などに、CPS102の登録ユーザと紐づけられる。たとえば、印刷装置101の登録ユーザに紐づけられたCPS102の登録ユーザのユーザ情報が印刷装置101に保存される。これにより、印刷装置101のユーザは、印刷装置101にログインしておけば、印刷装置が当該ユーザに紐づけられたCPS102のユーザ情報を用いることでCPS102にアクセスできる。CPS102に登録されていないユーザは印刷装置のユーザに紐づけられない。したがって、ゲストユーザAやゲストユーザBがCPS102を利用して印刷ジョブを送信した場合、印刷装置101ではこれらのゲストユーザの印刷ジョブはゲストユーザとして扱われる。クラウドプリントサービスのゲストジョブが抱える課題について説明するため、正規ユーザからの印刷、ゲストユーザの印刷についてそれぞれ説明する。まずクラウドプリンタの手順について説明する。
【0034】
●クラウドプリント手順の例
図13Bは
図13Aにより印刷装置を登録した後、クラウドプリントを実行する手順の例を示す。この手順もIPPに準拠して遂行される。クライアント端末103は取得した属性情報と属性値に従って印刷設定画面を表示し、ユーザに指定された印刷属性に従って印刷ジョブをCPS102に送信する(S1607)。印刷ジョブの送信はSend-DocumentオペレーションやPrint-Jobオペレーション、Create-Jobオペレーションなど印刷ジョブを送信するいずれかのオペレーションを使用するものとする。
【0035】
CPSはジョブ投入されたことを示すイベント通知を印刷装置101に送信する(S1608)。それを受信した印刷装置101は、Get-Jobsオペレーションを使用してジョブ一覧情報をCPS102に要求し(S1609)、ジョブ一覧情報をCPS102から取得する(S1609-2)。さらに、取得したジョブ一覧の中から選択したジョブデータと属性値をFetch-Jobオペレーションを使用してCPS102に要求して(S1610)、その応答によりジョブを取得する(S1610-2)。
【0036】
印刷装置101は、取得したジョブデータと属性値に従って印刷処理を実行する(S1611)。そしてジョブの処理状況に応じて、Update-Output-Device-Attributesオペレーションを使用してプリンタ情報通知を印刷装置101からCPS102に送信する(S1612、S1614)。またUpdate-Job-Statusオペレーションを使用してジョブ情報通知を印刷装置101からCPS102に送信する(S1613)。印刷処理が完了したら、クライアント端末にも印刷完了通知がCPS102から通知される(S1615)。
【0037】
なお、本明細書のCPS(クラウドプリントサービス)とは、インターネットを利用してクライアント端末、プリンタと通信可能であり、IPPを利用して印刷要求を受信し、印刷ジョブを提供するサービスを指す。 この手順で正規ユーザが、PIN印刷機能を用いずに印刷する場合について説明する。PIN印刷では、CPS102に送信する印刷ジョブにPIN(Personal ID Numberすなわちパスワード)を設定しておく。印刷装置101においてその印刷ジョブを実行する際には、ユーザに対してパスワード入力を求め、入力されたパスワードを設定されたパスワードと照合して一致すれば印刷が実行される。
【0038】
図6(A)に示すジョブ情報取得要求パケットではジョブID=1の印刷ジョブが要求されている。この印刷ジョブが正規ユーザの印刷ジョブであれば、
図6(B)のようなパケット例となる。
図6(B)は、
図13BのステップS1610-2で印刷装置101が受信したジョブ取得応答パケットの例である。これはUserAが印刷ジョブを投入した例であり、「Job-originating-user-uri」にはクラウドIDサービスプロバイダー105のアカウントであることがわかるテナント情報が格納されている。これより印刷装置101はこの印刷ジョブは正規ユーザからの印刷ジョブであると判断することができる。よって、UserAが印刷装置101にログインした場合、
図3(B)のようにUserAが投入したジョブのみが表示されるように制御することができる。なお説明の便宜から、互いに紐づけられたCPSのユーザと印刷装置のユーザを同一のユーザとして説明する。しかしながらこれらのユーザのユーザIDは、紐づけされていれば異なるIDであってもよい。
【0039】
次に、ゲストユーザが印刷する場合について説明する。ゲストユーザの印刷ジョブは
図6(C)のようなパケット例となる。この例ではguestAというユーザ名で、guestA@google.comというクラウドIDサービスプロバイダー107のアカウントを使用する例で説明する。印刷装置101は、印刷装置101に未登録のアカウントからの印刷であると判断して、取得した印刷ジョブをゲストユーザジョブとして印刷装置101に保存する。
【0040】
一方印刷装置101にゲストユーザとしてログインするために、たとえば操作部406に表示されるログイン用の画面に、ゲストユーザとしてログインするためのボタンなどを配置しておく。そしてゲストユーザとしてログインしたいユーザはそのボタンをタッチすることでゲストユーザとしてログインする。よって、guestAのユーザ名を持つユーザがゲストユーザとして印刷装置101にログインした場合、
図3(C)のようにguestAだけではなく、guestBなどすべてのゲストユーザの印刷ジョブが表示される。ゲストユーザはここで自分のジョブではないguestBの印刷ジョブを選択して印刷を実行することもできてしまう。
【0041】
このように、複数のゲストユーザがCPSに対して印刷を実行した場合、ゲストユーザが印刷装置101にログインするとすべてのゲストユーザの印刷ジョブも参照でき、かつ、印刷実行も出来てしまう。
【0042】
<第1の実施形態における印刷ジョブの送受信シーケンス>
続けて、
図5および
図15Aを用いて本実施形態における印刷ジョブの取得シーケンスについて説明する。本実施形態では、印刷装置101はPINが設定されているゲストユーザの印刷ジョブに限って取得し、実行することでゲストユーザによる印刷の実行を制限する。
図15Aは、
図13Aのシーケンスで印刷装置101がCPS102に登録された状態で開始される。この手順もまたIPPに準拠して遂行される。本実施形態では、
図15AのS1501~S1503において、クライアント端末が印刷ジョブをCPS102に送信しCPS102から印刷装置101にジョブイベント通知を送信した後の、「即時にジョブ取得する場合」について説明する。
【0043】
まずクライアント端末103で、ゲストユーザが印刷装置101を選択して印刷ジョブをCPS102に送信する(S1501)。この際、印刷ジョブにはPINを設定してもよいし設定しなくともよい。ただし後述のように、印刷装置101はPINが設定されていない印刷ジョブを実行できない。CPS102は受信した印刷ジョブを保存し(S1502)、そのイベント通知を印刷装置101に送信する(S1503)。
【0044】
印刷装置101のCPUは、CPS102から印刷ジョブがCPS102に投入されたイベント通知を受信する(S1503、S501)。続いて、
図6(A)のように取得したいジョブIDを指定したジョブ取得要求である「Fetch-job」リクエストオペレーションをCPS012に送信する(S1504,S502)。そして、印刷装置101のCPUはCPS102から
図6(B)~(D)のようにジョブデータを含むジョブ取得応答を受信する(S1505、S503)。そしてS503において受信した応答からジョブオーナー名を確認する(S1506、S504)。ジョブオーナー名の判別は、例えば、予めMFPに登録されているユーザ情報一覧のユーザ名を参照して、合致するユーザ名があればジョブオーナーは正規ユーザ、なければゲストユーザと判断する。
【0045】
ゲストユーザであるならば、S503において受信した応答から、受信した印刷ジョブにPINが設定されているか判定する(S508)。PIN設定がされているかの判別は、例えば、
図6Dのように、受信したジョブデータにおけるjob-password属性の有無で判断する。PIN設定がされていなければ、印刷ジョブデータの取得をキャンセルする(S1507、S509)。例えば印刷ジョブデータを受信済みであればその印刷ジョブデータを廃棄する。そして、CPS102に
図6(F)のようにジョブ状態のエラーを通知する「Update-job-status」を送信する(S1508、S510)。
【0046】
S504において正規ユーザであると判定されたか、もしくはS508においてPIN設定がされているならば、印刷装置101のCPUはCPS102から該当の印刷ジョブデータを取得する(S505)。そして、取得した印刷ジョブデータを印刷装置101自身のストレージに保存する(S1509、S506)。そして、印刷装置101のCPUはCPS102に
図6(E)のようにジョブ状態の成功を通知する「Update-job-status」を送信する(S1510、S507)。
【0047】
この結果、印刷装置101には、印刷装置101に登録済みの正規ユーザの印刷ジョブデータまたはゲストユーザのPIN設定済みの印刷ジョブデータが保存され、それ以外の印刷ジョブデータが保存されることがない。この後、印刷装置101のユーザインターフェイスに表示される画面例を参照しつつ印刷に至る手順を説明する。
【0048】
ユーザが
図3(A)に示すログイン画面からユーザ名(ユーザID)とユーザ名に関連付けたユーザ情報として登録されたパスワードとを入力するか、ゲストログインボタンをタッチしてゲストユーザとしてログインする(S1511)。これに応じて、ログインユーザが正規ユーザであれば
図3(B)のジョブ一覧画面が、ゲストユーザであれば
図3(C)のジョブ一覧画面が表示される。本実施形態では、CPS102に投入された印刷装置101で実行される印刷ジョブは取得済みであるので、ジョブ一覧はCPS102から取得済みの印刷ジョブのうち、ログインユーザの印刷ジョブが一覧として表示される。ゲストユーザとしてログインしている場合には、CPS102のゲストユーザの印刷ジョブが一覧として表示される。
【0049】
表示されたジョブ一覧画面からジョブが選択されると(S1512)、印刷装置101は、選択対象が、PINが設定された印刷ジョブであれば
図3(F)に示すPIN入力画面を表示する(S1513)。なお
図3では、
図3(C)のゲストユーザの印刷ジョブ一覧からのみ
図3(F)に遷移しているが、PINが設定されたジョブであれば、一覧画面である
図3(B)から
図3(F)に遷移してよい。ユーザはその画面でPINを入力すると(S1514)、その印刷ジョブに設定されたPINと入力されたPINとが照合されて検証が行われる(S1515)。
【0050】
検証が成功すれば印刷され(S1516)、失敗すればPIN検証に失敗したことを示す
図3(G)の画面が表示されて印刷がキャンセルされる(S1517)。印刷のキャンセルといってもこの段階ではまだ印刷は開始されていないので、PIN照合が失敗したことを示すメッセージを出力し、S1513に戻って新ためてPIN入力を待機する。あるいは、S1512に戻ってジョブ一覧画面を再表示し、印刷ジョブの選択から処理を再開してもよい。一方、PIN検証に成功した場合、および印刷指示を受けた印刷ジョブにPIN設定がされていない場合には、印刷を実行してよい。印刷中は
図3(D)の印刷中画面が表示され、印刷が完了すると
図3(E)の印刷完了画面が表示される。なお本実施形態では、PIN設定されていないゲストユーザの印刷ジョブをCPS102から印刷装置101が実行することはないので、
図3(C)から直接
図3(D)へと遷移することはない。これは他の実施形態でも同様である。
【0051】
このように本実施形態では、オーナーがゲストユーザで、かつPIN指定されてない印刷ジョブをエラーにする。こうすることで、ゲストユーザの印刷ジョブについてもセキュリティを担保することができる。
【0052】
なおステップS505で印刷ジョブデータを取得しているが、S503で受信した印刷ジョブ取得応答に印刷ジョブデータが含まれていればS505で再取得する必要はない。その場合にはS505においては、印刷装置101に保存されたS503で受信済みの印刷ジョブデータが取得される。
【0053】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、
図15のS1501~S1503において、クライアント端末が印刷ジョブをCPS102に送信しCPS102から印刷装置101にジョブイベント通知を送信した後、ログイン時にジョブ取得する場合について説明する。なお、第2の実施形態における各装置のハードウェア構成は第1の実施形態と同様である。以下第1の実施形態との差分について説明する。
【0054】
印刷装置101でユーザがログイン操作を行うと(S1518)、印刷装置101はジョブ一覧取得要求を送信し(S1519)、それに応じて、ログインユーザのジョブ一覧情報をCPS102から受信して取得する(S1520)。印刷装置101は取得したジョブ一覧情報に基づいてジョブ一覧を表示し(S1521)、ユーザはそこから対象の印刷ジョブを選択する(S1522)。
【0055】
図7に示した本実施形態の印刷装置101による処理手順は、ユーザによるログインすなわちS1522までの処理が完了した後の手順を示している。
【0056】
まず、印刷装置101のCPUは、ジョブの印刷が選択されたことを検知する(S701)。S702からS704において、第1の実施形態における、S502からS504のフローと同じである。
【0057】
S704では、印刷装置101は、ログインユーザが、登録された正規ユーザかゲストユーザかを判定する。ログインユーザが正規ユーザであれば、印刷装置101は対象の印刷ジョブについてPIN設定の有無を判定する(S704-2)。PINが設定されていなければ、S705にて取得した印刷ジョブを取得してその印刷を行う(S1532、S706)。そして、印刷装置101のCPUはCPS102にジョブ状態の成功通知を送信する(S707)。PINが設定されていると判定した場合には、S709に分岐してPINの検証を行う。
【0058】
ログインユーザがゲストユーザであれば、S508と同様にS703において受信した応答からPINが設定されているか判定する(S1525、S708)。PIN設定がされていない場合、S509と同様に印刷ジョブデータの取得をキャンセルする(S1526、S711)。そしてS510と同様にCPS102にジョブ状態のエラーを通知する(S1527、S712)。
【0059】
PIN設定がされている場合、PINの入力画面を表示する(S709)。そして、入力されたPINを検証する(S710)。PINが一致した場合、S706へ続く。一致しなかった場合、S711のフローへ続く。
【0060】
このように本実施形態では、オーバーがゲストユーザで、かつPIN指定されてないジョブをエラーにすることで、他のゲストユーザが印刷することを不可能にし、セキュリティを担保することができる。
【0061】
このように本実施形態では、オーナーがゲストユーザで、かつPIN指定されてない印刷ジョブをエラーにする。こうすることで、ゲストユーザの印刷ジョブについてもセキュリティを担保することができる。さらに本実施形態ではオーナーがゲストユーザで、かつPIN指定されてない印刷ジョブをエラーにする処理は、ゲストユーザがログインした後で行われるので、その処理の結果をゲストユーザに通知することができる。このためゲストユーザは、PIN設定しなかったために印刷ジョブを取得し損ねたことをしることができ、あらためてPIN設定した印刷ジョブをCPS102にアップロードすることができる。
【0062】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、印刷装置101がゲストユーザとPIN設定をPresetとして能力登録する場合について説明する。
図8に印刷装置101をCPS102に登録する際の処理手順の一例を示す。
図8の処理は、
図13Aのプリンタ情報通知(S1602)の前に実行されればよい。
【0063】
印刷装置101は自身の能力情報を生成する(S801)。能力情報の例を
図9に示す。
図9(A)はゲストユーザによる印刷ができない印刷装置が生成した能力情報の例を、
図9(B)はゲストユーザによる印刷ができる印刷装置が生成した能力情報の例を示す。S801では、ゲストユーザによる印刷の可否に関わらず、
図9(A)に示す能力情報をまず作成する。それには、copies/sides/number-up等の基本的な印刷能力に関する情報が含まれる。
【0064】
次にゲスト印刷が可能であるか判定する(S802)。ゲスト印刷可能であるかの判断は、印刷装置に「ゲスト印刷可能設定」を設けてその設定値に従ってもよいし、クラウドなど外部端末から設定ポリシーを取得してそれに従っても良い。なお本実施形態の場合には、印刷装置101がPIN印刷をサポートする必要もあるので、ゲスト印刷が可能か否かの判定には、印刷装置の「ゲスト印刷可能設定」が可能に設定され、かつPIN印刷をサポートしている場合にゲスト印刷が可能と判定してよい。もちろん、「ゲスト印刷可能設定」の設定時にPIN印刷のサポートの有無が判定されていればここでそれを判定しなくともよい。
【0065】
ゲスト印刷が可能でない場合、印刷装置101のCPUはCPS102に生成した能力情報(
図9(A)に例示した情報)を送信する(S803)。ゲスト印刷が可能である場合、S801で生成した能力情報に
図9(B)のようにゲストユーザの印刷Preset情報を追加する(S804)。Preset情報とは
図9(B)のようにjob-presets-supportedのことである。プリセットは予め設定した項目とその値の集まりであり、この例では、プリセット名、パスサード暗号化方法、アカウントタイプがプリセット情報(Preset情報)に含まれる。
図9(B)は、アカウントタイプがゲストなら、sha2-256のハッシュで暗号化したPINを使用する、というpreset1という名称のpreset情報を示す。
【0066】
そして印刷装置101のCPUはCPS102に追加された能力情報を送信する(S803)。
【0067】
この能力情報を含むプリンタ情報はCPS102を介してクライアント103に提供される。この能力情報を受信したクライアント103では、印刷装置101について能力情報と共に受信した、Preset1というPresetを選択すると、
図9(B)に示したように、アカウントタイプがゲスト、所定のPIN設定、という設定が適用される。これにより、ゲストユーザがクライアント103で印刷装置101を選択し、Preset1を選択したなら対象の印刷ジョブに対してPIN入力が要求される。そしてPINが入力されると印刷ジョブがCPS102に送信される。
【0068】
このように予めPIN設定をしたプリセットを用意しておくことで、ゲストユーザの印刷ジョブに対してはPIN設定が適用される可能性が高くなり、他のゲストユーザに印刷されるリスクを軽減し、セキュリティを担保できる。
【0069】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、クライアント端末103~104において、クライアント端末を操作しているユーザが正規ユーザかゲストユーザかを判別して、ゲストユーザであればPIN設定を必須として制御する場合について説明する。
【0070】
図10はクライアント端末のハードウェア構成の一例の図である。各構成要素は第1の実施形態で説明したため省略する。また
図12はクライアント端末103で印刷を行う際のユーザインターフェイスの一例を示す。
【0071】
本実施形態では
図11のクライアント端末のCPUにおける制御フローに沿って説明する。まず、クライアント端末のCPU1001はS1101において、
図12(B)のようにユーザが任意の文書を開いている状態で「印刷」を選択し、印刷設定表示の選択をしたことを検知する。次にCPU1001はS1102において、印刷設定表の選択をしたユーザがクラウドプリントサービスの正規ユーザかゲストユーザかを判別する。正規ユーザかゲストユーザかの判別方法には、例えば
図12(A)のように予めクライアント端末において、CPS102に対してユーザ名とパスワードを入力してログインしておき、ユーザID(ユーザ識別情報)が正規ユーザか判別する方法などがある。正規ユーザでないユーザはゲストユーザとしてログインしているので、この方法で判別可能である。他の方法として、
図12(A)のように他のクラウドIDサービスプロバイダーのアカウントを使ってCPS102の使用権限を取得しておき、ゲストユーザと判別する方法などがあげられる。あるいは、ユーザ情報をCPS102に送付して、CPS102から正規ユーザかゲストユーザかの応答を受信して判別する方法などもある。
【0072】
S1102において、ログインユーザが正規ユーザだと判別した場合、CPU1001は、S1103において、
図12(C)のような印刷設定画面を表示する。この印刷設定画面は、PIN設定は設定してもしなくてもどちらでもよい印刷設定画面となっている。正規ユーザは任意の印刷設定を行い、「印刷」ボタンを押下する。S1104において、CPU1001は「印刷」押下を検知すると、設定された印刷設定から印刷属性情報を生成する。そしてS1105において、CPU1001は生成した印刷属性情報と印刷データをCPS102に対して送信する。PIN設定がされた場合は、「Job-password」「Job-password-encryption」属性が印刷属性情報に含まれる。PIN設定がされてない場合は、これらの属性は含まれない。
【0073】
また、S1102において、ゲストユーザだと判別した場合、CPU1001はS1106において、
図12(D)のような印刷設定画面を表示する。この印刷設定ではPIN設定は必須入力項目となっている。すなわちPIN設定は予め「使う」に設定され、「使わない」は設定できない。そして例えば、ゲストユーザはPINコードの入力をしないと「印刷」ボタンを押下できない。あるいは、PINコードを未入力で「印刷」ボタンを選択した場合に入力エラーを表示するかのように画面制御される。ゲストユーザはPINコードを入力して「印刷」ボタンを押下する。
【0074】
S1104においてCPUは印刷ボタン押下を検知したら、PINコードの情報を「Job-password」「Job-password-encryption」属性に格納して、印刷属性情報を生成する。そしてS1105において、CPU1001は生成した印刷属性情報と印刷データをCPS102に対して送信する。ゲストユーザの場合は必ず「Job-password」「Job-password-encryption」属性が含まれることになる。
【0075】
また、本実施形態では印刷装置101がPIN設定の能力を有することを前提とする。つまりクライアント端末はプリンタ作成時に、印刷装置101の能力情報を取得するが、その中に「Job-password-supported」などPIN設定の能力属性が含まれているとする。このため例えばS1106で印刷設定画面を表示する前に、選択されている印刷装置の能力情報にPIN属性が含まれていない場合には、当該印刷装置による印刷はできない旨のエラーを出力してもよい。なお
図12(E)に印刷中画面が表示される例を示したが、たとえば印刷ジョブのアップロードが完了するまでアップロード中であることを
図12(E)に代えて表示してもよい。またアップロードが完了したなら完了したことを表示してもよい。
【0076】
このようにクライアント端末はゲストユーザの場合には必ずPIN設定をするように印刷設定画面を制御することで、ゲストユーザの印刷ジョブは必ずPIN設定がされることになる。これより、印刷装置において、他のゲストユーザが印刷しようとしてもPINコードがわからない為、他のゲストユーザが印刷することを不可能にすることで、セキュリティを担保することができる。
【0077】
<第5の実施形態>
第5の実施形態では、CPS102において、クライアント端末から印刷ジョブを受信した場合に、ゲストユーザからの印刷ジョブかどうかを判別して、ゲストユーザでPIN設定がされていなければ、PIN設定を付加する制御を行う場合について説明する。CPS102のハードウェア構成の一例は
図10に示したクライアントと同様である。
【0078】
本実施形態では
図14のCPS102のCPU1301における制御フローに沿って説明する。まず、S1401においてCPU1301はクライアント端末からの印刷ジョブ投入を検知する。印刷ジョブ投入を検知したら、S1402においてCPU1301はその印刷ジョブのジョブオーナーがCPS102の正規ユーザなのかゲストユーザなのかを判別する。判別方法は、例えば印刷属性情報に含まれる「Job-originating-user-uri」の値がCPS102で管理しているアカウント一覧に含まれるかどうかなどが挙げられる。また、「Job-originating-user-uri」属性でなくても、「Requesting-user-uri」や「Job-originating-user-name」など判別が可能であれば他の属性情報で判別してもよい。あるいは印刷属性情報でなくても、クライアント端末からの印刷ジョブ投入時にHTTP認証を行ったり、OAUTH認証を行ったりして正規ユーザかゲストユーザかを判別してもよい。
【0079】
S1402においてCPS102の正規ユーザだと判別した場合、CPU1301はS1403において受信した印刷データと印刷属性情報をCPS102の記憶部に保存する。そして、S1404においてジョブ受信したことを印刷装置101に通知する。印刷装置101への通知は例えば、IPPのGet-Notificationsオペレーションなどを使用してもよい。
【0080】
また、S1402においてCPS102のゲストユーザだと判別した場合、CPU1301はS1405において受信した印刷属性情報にPIN設定が含まれるかどうかを判別する。PIN設定が含まれるかどうかの判別は「Job-password」「Job-password-encryption」などPIN設定に関する属性情報の有無で判別を行う。PIN設定が含まれると判別した場合、CPU1301は問題ないと判断してS1403に進む。
【0081】
一方、S1405においてゲストユーザのジョブかつPIN設定がされてないと判別した場合、S1406においてCPU1301はPIN設定を付加する。例えばCPU1301がPINコードをランダムに生成し、そこから「Job-password」「Job-password-encryption」などPIN設定に関する属性情報を生成して、受信した印刷属性情報に付加する。S1407においてCPUは、生成したPINコードをクライアント端末に通知する。通知方法はEメールなどクライアント端末を通じてゲストユーザが認識できる手段であれば何でもよい。
【0082】
なおPIN設定がされていない印刷ジョブについては、その印刷ジョブが実行される印刷装置がPIN設定に対応しているとは限らない。そこで、S1406で印刷ジョブにPIN設定を付加する前に、その印刷ジョブが実行される印刷装置101がPIN印刷の能力を有するか判定し、有する場合にS1406を実行してよい。印刷ジョブが実行される印刷装置101がPIN印刷の能力を有していないと判定されれば、そのことを示すエラーを、印刷ジョブの送信元であるクライアント端末へ送信し、その印刷ジョブを破棄してよい。
【0083】
このようにクライアント端末からゲストユーザの場合にPIN設定がされていない印刷ジョブを受信しても、CPS102で、必ずPIN設定を付加することで、ゲストユーザの印刷ジョブは必ずPIN設定がされることになる。これより、印刷装置において、他のゲストユーザが印刷しようとしてもPINコードがわからない為、他のゲストユーザが印刷することを不可能にすることで、セキュリティを担保することができる。
【0084】
以上説明した実施形態では、印刷装置101は、PINすなわちパスワードが設定されていないゲストユーザの印刷ジョブを実行することはない。それは、印刷装置101がPIN設定されていないゲストユーザの印刷ジョブをキャンセルすなわち破棄するか、またはクライアント端末013あるいはCPS012によってゲストユーザの印刷ジョブについてはPIN設定するためである。これにより、印刷装置101が実行するゲストユーザの印刷ジョブについてはPIN設定がされ、PINを設定したユーザ以外のユーザによる印刷ジョブの実行を防止あるいは抑制することができる。
【0085】
●実施形態のまとめ
上記実施形態を以下のようにまとめることができる。
[項目1]
印刷装置と、前記印刷装置に接続された印刷サービスシステムと、前記印刷サービスシステムに接続された情報処理装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録する登録手段と、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存する保存手段とを有し、
前記情報処理装置は、前記印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信する送信手段を有し、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムのユーザを前記印刷装置のユーザと紐づけて保存する保存手段と、前記印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、前記印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行する印刷手段を有し、
前記印刷サービスシステムのゲストユーザは前記印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、
パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブについては、前記印刷装置による印刷が実行されない
ことを特徴とする印刷システム。
【0086】
[項目2]
項目1に記載の印刷システムであって、
前記登録手段では、前記印刷装置の能力情報が登録され、前記能力情報には、パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有する印刷装置については当該能力を示す情報が含まれ、
前記印刷装置の前記能力情報が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を示す情報が含まれる場合に、前記印刷ジョブにパスワードが設定できる
ことを特徴とする印刷システム。
【0087】
[項目3]
項目1または2に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【0088】
[項目4]
項目3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムから、前記情報処理装置からの前記印刷ジョブの送信があったことの通知に応じて前記印刷ジョブを取得し、前記パスワードが設定されていない前記ゲストユーザの印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【0089】
[項目5]
項目3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、ログインユーザによる操作に応じて前記ログインユーザの前記印刷ジョブを取得し、前記ログインユーザが前記ゲストユーザであり、かつ前記パスワードが設定されていない印刷ジョブを取り消して印刷を実行しない
ことを特徴とする印刷システム。
【0090】
[項目6]
項目4または5に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記印刷ジョブを取り消した際にはさらに、前記ログインユーザに対してエラーを出力する
ことを特徴とする印刷システム。
【0091】
[項目7]
項目1乃至6のいずれか一項に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合には、前記印刷ジョブにパスワードを設定させるためのユーザインターフェイスを表示し、前記パスワードが設定された前記印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信する
ことを特徴とする印刷システム。
【0092】
[項目8]
項目7に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、選択された前記印刷装置の能力情報を前記印刷サービスシステムから取得して前記印刷装置が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有し、かつ前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合に前記印刷ジョブにパスワードを設定させるための前記ユーザインターフェイスを表示する
ことを特徴とする印刷システム。
【0093】
[項目9]
項目8に記載の印刷システムであって、
前記情報処理装置は、選択された前記印刷装置の能力情報を前記印刷サービスシステムから取得して、前記印刷装置が、前記パスワードが設定された印刷ジョブを実行する能力を有さず、前記ログインユーザが前記ゲストユーザである場合には、エラーを示すメッセージを出力する
ことを特徴とする印刷システム。
【0094】
[項目10]
項目1乃至6のいずれか一項に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記情報処理装置から受信した前記印刷ジョブがゲストユーザの印刷ジョブである場合には、前記印刷ジョブにパスワードを設定し、設定した前記パスワードを前記ゲストユーザに通知する
ことを特徴とする印刷システム。
【0095】
[項目11]
項目10に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷ジョブについて選択された前記印刷装置の能力情報が、前記印刷装置が前記パスワードの設定された印刷ジョブを実行する能力を有することを示し、かつ前記印刷ジョブが前記ゲストユーザの印刷ジョブである場合に、前記印刷ジョブにパスワードを設定する
ことを特徴とする印刷システム。
【0096】
[項目12]
項目11に記載の印刷システムであって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷ジョブについて選択された前記印刷装置の能力情報が、前記印刷装置が前記パスワードの設定された印刷ジョブを実行する能力を有することを示さない場合には、前記印刷ジョブを破棄する
ことを特徴とする印刷システム。
【0097】
[項目13]
印刷装置と、前記印刷装置に接続された印刷サービスシステムと、前記印刷サービスシステムに接続された情報処理装置とを含む印刷システムによる印刷制御方法であって、
前記印刷サービスシステムは、前記印刷装置を登録し、前記情報処理装置から受信した印刷ジョブを保存し、
前記情報処理装置は、前記印刷サービスシステムに登録された印刷装置のうちから選択された印刷装置を指定したログインユーザの印刷ジョブを前記印刷サービスシステムに送信し、
前記印刷装置は、前記印刷サービスシステムのユーザを前記印刷装置のユーザと紐づけて登録し、前記印刷サービスシステムに保存された印刷ジョブのうちから、前記印刷装置のログインユーザに紐づけられたユーザの印刷ジョブを取得して印刷を実行し、
前記印刷サービスシステムのゲストユーザは前記印刷装置のゲストユーザに紐づけられ、
前記ゲストユーザの印刷ジョブについては、パスワードが設定されていない場合、またはパスワードを設定できない場合には、印刷を実行させない
ことを特徴とする印刷制御方法。
【0098】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0099】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0100】
101 印刷装置、102 クラウドプリントサービス、103 クライアント端末、104 クライアント端末