(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180475
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動運転車の操舵抑制装置および自動運転車
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20231214BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231214BHJP
B60N 2/879 20180101ALI20231214BHJP
【FI】
B60N2/90
B60W60/00
B60N2/879
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093826
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 元気
【テーマコード(参考)】
3B087
3D241
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087DC05
3B087DE10
3D241BA26
3D241CD07
3D241CD12
3D241CD28
3D241DA51
(57)【要約】
【課題】自動運転時における同乗者によるステアリング部材への接触を抑制する。
【解決手段】自動運転車の操舵抑制装置は、ステアリング部材の操作を運転者が行う通常運転時の第1シート位置と、第1シート位置よりも背もたれ部がステアリング部材に近付く第2シート位置と、に切替可能に構成された運転席を備える自動運転車の操舵抑制装置であって、ステアリング部材カバーを備え、ステアリング部材カバーは、第2シート位置にある運転席の背もたれ部に取り付けられ、ステアリング部材カバーを背もたれ部に対して支持する支持部と、支持部が背もたれ部に取り付けられた状態で、ステアリング部材を非接触に収容する収容部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング部材の操作を運転者が行う通常運転時の第1シート位置と、前記第1シート位置よりも背もたれ部が前記ステアリング部材に近付く第2シート位置と、に切替可能に構成された運転席を備える自動運転車の操舵抑制装置であって、
ステアリング部材カバーを備え、
前記ステアリング部材カバーは、
前記第2シート位置にある前記運転席の背もたれ部に取り付けられ、当該ステアリング部材カバーを前記背もたれ部に対して支持する支持部と、
前記支持部が前記背もたれ部に取り付けられた状態で、前記ステアリング部材を非接触に収容する収容部と、
を備える、自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記背もたれ部に備わるヘッドレスト取付部に対し、着脱式に取付可能に構成された、請求項1に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項3】
前記収容部は、
全体として箱状をなす第1カバー部材であって、前記ステアリング部材を非接触に包囲可能な空間を形成する収容室と、前記収容室の空間から下方に続き、前記ステアリング部材を前記収容室に出し入れする際に前記ステアリング部材が通過可能な開口を形成する開口部と、を有する第1カバー部材と、
前記支持部が前記ヘッドレスト取付部に取り付けられた状態で、前記第1カバー部材と前記背もたれ部との間に挟持され、前記開口部を下方から塞ぐように構成された第2カバー部材と、
を備える、請求項2に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記ヘッドレスト取付部に設けられたヘッドレストの差込穴に挿入することにより、前記ヘッドレスト取付部に取り付けられる、
請求項2に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項5】
前記ヘッドレスト取付部に設けられ、前記支持部が前記ヘッドレストの差込穴に挿入された状態で、前記ステアリング部材カバーの前記ヘッドレスト取付部からの取り外しを抑制する一方、搭乗者が操作することにより前記ステアリング部材カバーの前記ヘッドレスト取付部からの取り外しを許容するように構成されたロック機構をさらに備える、
請求項4に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項6】
前記ロック機構が操作されていることを検知する操作検知部と、
前記操作検知部により、前記ロック機構が操作されていることが所定時間以上に亘って検知された場合に、自動運転モードによる走行を禁止する運転モード選択部と、
をさらに備える、請求項5に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項7】
前記運転モード選択部は、前記自動運転モードによる走行を禁止するとともに、操舵輪に走行スケジュールにない転舵を生じさせて、当該自動運転車を停車させる退避モードを選択する、
請求項6に記載の自動運転車の操舵抑制装置。
【請求項8】
操舵輪の向きを運転者によるステアリング部材の操作により変更する通常運転モードによる走行と、前記操舵輪の向きを前記運転者による前記ステアリング部材の操作によらず、自動的に変更する自動運転モードによる走行と、を切替可能に構成された自動運転車であって、
前記ステアリング部材と前記操舵輪との機械的な接続が前記自動運転モードによる走行時においても維持されるものにおいて、
運転席は、前記通常運転モードでの第1シート位置と、前記第1シート位置よりも背もたれ部が前記ステアリング部材に近付く、前記自動運転モードでの第2シート位置と、に切替可能に構成され、
ステアリング部材カバーを備え、
前記ステアリング部材カバーは、
前記第2シート位置にある前記運転席の背もたれ部に取り付けられ、当該ステアリング部材カバーを前記背もたれ部に対して支持する支持部と、
前記支持部が前記背もたれ部に取り付けられた状態で、前記ステアリング部材を非接触に収容する収容部と、
を備える、自動運転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車の操舵抑制装置および自動運転車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車において、操舵を含む車両の走行状態の制御および監視責任を主に制御システムが担う自動運転モードによる走行時(以下「自動運転時」という場合がある)に、ステアリングホイール等の運転者が操作するステアリング部材と、ラック・ピニオン等のステアリングギア機構と、の機械的な接続が維持されたままであると、搭乗者によるステアリング部材への接触により操舵輪に走行スケジュールにはない転舵が生じ、走行に影響が及ぶことが懸念される。
【0003】
ここで、ステアバイワイヤ方式を採用する車両では、自動運転時にステアリング部材とステアリングギア機構との接続を遮断することで、ステアリング部材への接触による転舵を回避することが可能である。
【0004】
他方で、ステアバイワイヤ方式を採用せず、ステアリング部材とステアリングギア機構との機械的な接続が常時維持される車両では、自動運転時においても操舵輪がステアリング部材の動きに連動するため、ステアリング部材への接触が走行に及ぼす影響が依然として懸念される。
【0005】
特許文献1には、運転外の目的で運転席を使用する場合に、ステアリングホイールおよびステアリングシャフトを運転席前方のダッシュボードに収納することで、運転外での使用に際してステアリングホイール等が邪魔になることを回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されている技術の採用には、ダッシュボードだけでなく、ステアリングシャフトを中心としてステアリング機構の構造にも大幅な変更を加えることが必要となるため、開発工数に増大を来すうえ、設計上の制約から採用自体が困難であるなどの弊害が伴う。
【0008】
そこで、本発明は、操舵輪と連動するステアリング部材の動き自体は許容しながら、自動運転時における搭乗者によるステアリング部材への接触を抑制することのできる自動運転車の操舵抑制装置および自動運転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため、本発明に係る自動運転車の操舵抑制装置は、ステアリング部材の操作を運転者が行う通常運転時の第1シート位置と、前記第1シート位置よりも背もたれ部が前記ステアリング部材に近付く第2シート位置と、に切替可能に構成された運転席を備える自動運転車の操舵抑制装置であって、ステアリング部材カバーを備え、前記ステアリング部材カバーは、前記第2シート位置にある前記運転席の背もたれ部に取り付けられ、当該ステアリング部材カバーを前記背もたれ部に対して支持する支持部と、前記支持部が前記背もたれ部に取り付けられた状態で、前記ステアリング部材を非接触に収容する収容部と、を備える。
【0010】
さらに、本発明に係る自動運転車は、操舵輪の向きを運転者によるステアリング部材の操作により変更する通常運転モードによる走行と、前記操舵輪の向きを前記運転者による前記ステアリング部材の操作によらず、自動的に変更する自動運転モードによる走行と、を切替可能に構成された自動運転車であって、前記ステアリング部材と前記操舵輪との機械的な接続が前記自動運転モードにおいても維持されるものにおいて、運転席は、前記通常運転モードでの第1シート位置と、前記第1シート位置よりも背もたれ部が前記ステアリング部材に近付く、前記自動運転モードでの第2シート位置と、に切替可能に構成され、ステアリング部材カバーを備え、前記ステアリング部材カバーは、前記第2シート位置にある前記運転席の背もたれ部に取り付けられ、当該ステアリング部材カバーを前記背もたれ部に対して支持する支持部と、前記支持部が前記背もたれ部に取り付けられた状態で、前記ステアリング部材を非接触に収容する収容部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ステアリング部材をステアリング部材カバーに収容することで、搭乗者によるステアリング部材への接触を抑制し、自動運転時に走行スケジュールにない転舵が生じる事態を回避することが可能である。ここで、ステアリング部材カバーによる収容がステアリング部材に対して非接触であることで、ステアリング部材の動きがステアリング部材カバーにより妨げられる事態を回避し、ステアリング部材カバーの設置により自動運転時の走行性に影響が及ぶのを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るステアリング部材カバーの装着時における運転席の状態を示す模式図である。
【
図2】運転席に装着されたステアリング部材カバーを、運転席の後方から見た状態で示す模式図である。
【
図3】運転席に装着されたステアリング部材カバーを、運転席の前方から見た状態で示す模式図である。
【
図4】運転席に装着されたステアリング部材カバーを、運転席の上方から見た状態で示す模式図である。
【
図5】自動運転モード解除判定ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るステアリング部材カバーの支持部およびその周辺の構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の更に別の実施形態に係るステアリング部材カバーの支持部およびその周辺の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング部材カバー1の装着時における運転席Sの状態を模式的に示す。
図1は、ステアリング部材カバー1装着時の状態にある運転席Sを実線により、ステアリング部材カバー1未装着の状態にある運転席S’を二点鎖線により示す。
【0015】
図2から
図4は、運転席Sに装着されたステアリング部材カバー1を夫々示し、
図2は、ステアリング部材カバー1を運転席Sの後方、つまり、
図1の矢印Aにより示す方向から見た状態で示し、
図3は、ステアリング部材カバー1を運転席Sの前方、つまり、
図1の矢印Bにより示す方向から見た状態で示し、
図4は、ステアリング部材カバー1を運転席Sの上方、つまり、
図1の矢印Cにより示す方向から見た状態で示す。
【0016】
図4(a)は、ステアリング部材カバー1のうち、収容部3の第1カバー部材31を取り外し、第2カバー部材32のみを取り付けた状態を示し、
図4(b)は、第1カバー部材31および第2カバー部材32の双方を取り付けた状態を示す。
【0017】
図2から
図4を適宜に参照しながら、主に
図1に基づき、本実施形態に係るステアリング部材カバー1の構成について説明する。
【0018】
ステアリング部材カバー1は、自動運転車において、自動運転モードによる走行を行う際に使用する。本実施形態において、「自動運転モード」とは、操舵を含む車両の走行状態の制御および監視責任を主に制御システムが担う運転モードをいい、例えば、国土交通省自動車局、「自動運転車の安全技術ガイドライン」に記載の自動運転レベルがレベル4以上の運転モードが該当する。車両の走行操作を運転者が行い、走行状態の監視責任を運転者が負う運転モードを通常運転モードと呼ぶことで、自動運転モードによる走行と通常運転モードによる走行とを区別する。自動運転車とは、運転モードとして自動運転モードが設定され、自動運転モードにより走行可能な車両をいい、自動運転モードによる走行だけでなく、自動運転モードと通常運転モードとで運転モードを切り替えて走行可能な車両を含む。ステアリング部材カバー1は、自動運転モード以外の運転モード、具体的には、通常運転モードによる走行を行う際には、運転席Sから取り外されて、車両のトランクまたはラゲッジスペースに保管される。
【0019】
後に改めて説明するが、本実施形態において、自動運転車は、いわゆるステアバイワイヤ機構を備えておらず、ステアリングホイールWHと操舵輪(図示せず)との機械的な接続が常時維持され、つまり、通常運転モードによる走行時に限らず、自動運転モードによる走行時においても維持される。ステアリングホイールWHは、本実施形態に係る「ステアリング部材」に相当する。
【0020】
運転席Sは、通常運転モードによる走行時と自動運転モードによる走行時とで、その位置Pが切り替えられる。
【0021】
具体的には、運転席Sは、通常運転モードによる走行時には第1シート位置P1に設定され、自動運転モードによる走行時には第2シート位置P2に設定される。第1シート位置P1では、運転席Sの背もたれ部S1にヘッドレストHRが取り付けられ、背もたれ部S1およびヘッドレストHRがステアリングホイールWHから比較的遠い位置にある。これに対し、第2シート位置P2では、運転席Sの背もたれ部S1が第1シート位置P1よりもステアリングホイールWHに近い位置にあり、背もたれ部S1のヘッドレスト取付部S1aからヘッドレストHRが取り外され、ステアリング部材カバー(以下「ホイールカバー」という場合がある)1が取り付けられる。本実施形態において、ヘッドレストHRは、背もたれ部S1の一部を構成する要素として位置付けられる。
【0022】
第1シート位置P1と第2シート位置P2との切り替えは、運転席Sの背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αを変化させることにより実現することが可能である。
【0023】
具体的には、自動運転モードによる走行時には、背もたれ部S1を前方に倒して、背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αを狭めることで、運転席Sを第2シート位置P2とする。これに対し、通常運転モードによる走行時には、背もたれ部S1の前傾を解除し、背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αを広げることで、運転席Sを第1シート位置P1とする。運転席Sのこのような位置P1、P2の切り替えは、車両の運転席に一般的に備わる前傾機能によるものであってもよい。
【0024】
ホイールカバー1は、自動運転モードによる走行時に、ステアリングホイールWHをその全体に亘って包囲することにより、自動運転車に乗っている搭乗者の、自動運転時におけるステアリングホイールWHへの接触を抑制ないし回避するためのものである。本実施形態において、ホイールカバー1は、ステアリングホイールWHを車両の進行方向に対して前方、後方、左右の側方、上方および下方の全ての方向から包囲する。
【0025】
ホイールカバー1は、大別すると、支持部2と収容部3とを備える。
【0026】
支持部2は、第2シート位置P2にある運転席S、特にその背もたれ部S1に取り付けられ、ホイールカバー1を背もたれ部S1に対して支持する。本実施形態において、運転席Sに対する支持部2の取り付けは、ヘッドレストHRを運転席Sに着脱する際に通常用いられるヘッドレスト取付部S1aを利用して行う。つまり、支持部2は、ヘッドレスト取付部S1aに通常備わるヘッドレストHRの差込穴h1に挿入可能な軸状部21を有し、この軸状部21をヘッドレストHRの差込穴h1に挿入することにより行う。軸状部21の数は、ヘッドレストHRの差込穴h1の数に応じて適宜に設定することが可能である。例えば、ヘッドレストHRの差込穴h1が左右に1つずつ、合計で2つ備わる場合は、支持部2に2つの軸状部21、21を設け、2つの差込穴h1、h1のそれぞれに挿入する。
【0027】
ヘッドレスト取付部S1aは、ヘッドレストHRの背もたれ部S1からの意図しない脱落を防止するためのロック機構4を備えていてもよく、このロック機構4を、ホイールカバー1の脱落防止に併用することが可能である。ロック機構4は、支持部2の軸状部21がヘッドレストHRの差込穴h1に挿入された状態で、ホイールカバー1のヘッドレスト取付部S1aからの取り外しを抑制する一方、搭乗者による操作に基づき、ホイールカバー1のヘッドレスト取付部S1aからの取り外しを許容する。
【0028】
例えば、ロック機構4は、軸状部21の外周に形成された凹部ないし窪みを含み、ヘッドレスト取付部S1aの操作片41を軸状部21に対してその径方向に進退させ、操作片41に通常備わる凸部ないし突起をこの凹部ないし窪みに係合させることで、軸状部21の移動を規制し、ホイールカバー1の脱落を防止する。
【0029】
収容部3は、支持部2と連結した状態にあり、支持部2が運転席Sの背もたれ部S1に取り付けられた状態で、背もたれ部S1の前面よりも前方にせり出し、ステアリングホイールWHを収容する。本実施形態において、支持部2と収容部3とは、取外可能な状態になく、常に結合された状態を維持する。
【0030】
収容部3は、第1カバー部材31と第2カバー部材32とに分けて形成され、第1カバー部材31は、ステアリングホイールWHを収容する機能を主に担い、第2カバー部材32は、ステアリングホイールWHを第1カバー部材31に収容する際にステアリングホイールWHが通過する開口を塞ぐ機能を主に担う。本実施形態において、第2カバー部材32は、第1カバー部材31の開口を塞ぐとともに、第1カバー部材31の支持強度を補う機能を担う。
【0031】
具体的には、第1カバー部材31は、全体が樹脂等により形成された箱状をなすとともに、ステアリングホイールWHの全体を包囲可能な空間を形成する収容室31aと、収容室31aの空間から下方に続き、ステアリングホイールWHを収容室31aに出し入れする際にステアリングホイールWHが通過可能な開口を形成する開口部31bと、を有する。収容室31aは、ステアリングホイールWHを、前方、後方、左右の側方および上方、換言すれば、下方を除く全ての方向から包囲する。つまり、収容室31aは、実質的に下方に続く開口部31bの開口を通じてのみ、外部と連通した状態にある。ここで、「実質的に」としたのは、収容室31aには、内部の空間から続き、ステアリングホイールWHを出し入れする際にステアリングシャフトSHが通過し、ステアリングホイールWHを収めた後にステアリングシャフトSHが存在する長孔sが備わることによる。第2カバー部材32は、実際の使用に際して開口部31bの開口を塞ぐものである。
【0032】
第2カバー部材32は、ホイールカバー1が運転席Sの背もたれ部S1に取り付けられた状態で、第1カバー部材31と背もたれ部S1との間に挟持されて、上下から圧迫され、背もたれ部S1に対して上下方向に固定されるとともに、第1カバー部材31の開口部31bに対して下方から当接し、開口を閉塞させる。第2カバー部材32の上下以外の方向、つまり、前後および左右方向の位置は、第2カバー部材32とヘッドレスト取付部S1aとの協働のもとに固定される。
【0033】
具体的には、
図4に示すように、第2カバー部材32は、ヘッドレスト取付部S1aを配置可能な凹所c1を有し、この凹所c1が平面視で概略コ字状をなす壁面を有して、側方に開口した状態にあることで、ヘッドレスト取付部S1aによる拘束を前後の壁面により前後方向に受けるとともに、側方の壁面により左右方向に受ける。そして、同様の凹所c1が左右に1つずつ形成され、第2カバー部材32をヘッドレスト取付部S1aにより左右の両側から挟むことで、第2カバー部材32が左右方向に固定される。
【0034】
先に述べたように、第1カバー部材31ないし収容部31aに収容されたステアリングホイールWHは、収容部31aに対して非接触な状態にある。換言すれば、ステアリングホイールWHは、操舵輪と連動した回転方向の動きが収容部31aとの接触により阻害されない状態で収容される。
【0035】
ここで、ステアリングホイールWHの収容に関して「非接触」とは、操舵輪と連動したステアリングホイールWHの回転方向の動きが実質的に阻害されない状態にあればよく、ステアリングホイールWHに対して回転以外の方向に力が作用する接触までもが排除される趣旨ではない。例えば、ホイールカバー1、特に収容部31のより安定した支持のため、ステアリングホイールWHの回転中心の位置に接触点を形成し、ステアリングホイールWHに対し、ホイールカバー1をこの接触点で支持することが可能である。
【0036】
以上に加え、本実施形態では、ヘッドレスト取付部S1aのロック機構4が操作されていることを検知する操作検知部(ロック解除スイッチ202)と、操作検知部から出力される信号に基づき、自動運転車の運転モードを選択する運転モード選択部(コントローラ101)と、が設けられる。
【0037】
運転モード選択部は、運転モードとして自動運転モードが選択されている場合に、操作検知部からの出力信号に基づき、自動運転モードによる走行を継続可能であるか否かを判断し、継続不可と判断した場合に、自動運転モードによる走行を禁止し、退避モードによる走行に切り替える。
【0038】
運転モード選択部は、電子制御ユニットとして構成されるコントローラ101により具現可能である。
【0039】
本実施形態では、ホイールカバー1がヘッドレスト取付部S1aに取り付けられていることを検知するホイールカバーセンサ201が設けられ、ホイールカバーセンサ201の出力信号は、コントローラ101に入力される。
【0040】
さらに、ヘッドレスト取付部S1aにロック解除スイッチ202が組み込まれ、ヘッドレスト取付部S1aの操作片41が操作されていることをロック解除スイッチ202により検知し、電気信号として出力する。ロック解除スイッチ202は、例えば、モーメンタリースイッチとして構成され、操作片41に対する操作の継続時間Δtを検出可能である。ホイールカバーセンサ201と同様に、ロック解除スイッチ202の出力信号も、コントローラ101に入力される。ロック解除スイッチ202は、本実施形態に係る操作検知部を構成する。ロック解除スイッチ202は、ホイールカバーセンサ201を兼ねることが可能である。換言すれば、ロック解除スイッチ202に、ホイールカバー1がヘッドレスト取付部S1aに取り付けられていることを検知するセンサ機能を併せ持たせるのである。この場合は、専用のホイールカバーセンサ201を廃止することが可能である。
【0041】
シート位置センサ203は、運転席Sが前方に倒され、所定の前傾状態にあることを検出する。本実施形態において、シート位置センサ203は、運転席Sが前方に最も深く倒された場合、換言すれば、運転席Sの背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αが設定上、最も小さい角度である場合に、運転席Sが前傾状態にあることを示す信号を出力する。
【0042】
図5は、自動運転モード解除判定ルーチンの内容を示すフローチャートである。自動運転モード解除判定ルーチンは、コントローラ101により、自動運転モードによる走行中に繰り返し実行される。
【0043】
S101では、運転モードとして自動運転モードが選択され、自動運転モードによる走行中であるか否かを判定する。自動運転モードによる走行中である場合は、S102へ進み、自動運転モードによる走行中でない場合は、今回のルーチンによる制御を終了する。本実施形態において、自動運転モードによる走行中でない場合とは、運転モードとして通常運転モードが選択され、通常運転モードによる走行中である場合が該当する。運転モードの選択、つまり、通常運転モードと自動運転モードとの切り替えは、例えば、遠隔地の運行管理者が行う。
図1に示すように、コントローラ101は、運行管理者により操作される遠隔制御部から無線通信により送信されるモード指示信号を受け、自動運転モードの選択ないし自動運転モードによる走行が指示されている場合に、自動運転モードによる走行を実行する。コントローラ101は、モード指示信号を受信可能な無線受信器を備える。自動運転モードによる走行が指示されていることに加え、運転席Sが前方に倒れた前傾状態にあること、ヘッドレスト取付部S1aからヘッドレストHRが外され、ホイールカバー1が取り付けられていること、の全ての条件が満たされている場合に、自動運転モードによる走行を実行することとしてもよい。
【0044】
S102では、ロック解除スイッチ202の出力信号を読み込む。
【0045】
S103では、ロック解除スイッチ202の出力信号に基づき、ヘッドレスト取付部S1aの操作片41に対する操作の継続時間(以下「判定時間」という)Δtの計測を開始する。
【0046】
S104では、判定時間Δtが所定時間Δtslであるかまたはそれよりも長いか否かを判定する。所定時間Δtslであるかまたはそれよりも長い場合は、ロック解除スイッチ202がオン状態にあると判定して、S107へ進み、所定時間Δtslよりも短い場合は、ロック解除スイッチ202がオン状態になく、オフ状態にあると判定して、S109へ進む。所定時間Δtslは、例えば、1秒である。所定時間Δtslは、ヘッドレストHRの取り外しに要する時間を考慮して、適宜に設定することが可能である。
【0047】
S105では、自動運転モードを解除する。
【0048】
S106では、運転モードとして退避モードを選択する。
【0049】
S107では、運転モードとして引き続き自動運転モードを選択する。
【0050】
つまり、S103からS107では、ロック解除スイッチ202に対する操作の継続時間である判定時間Δtを計測し(S103)、判定時間Δtが所定時間Δtslであるかまたはこれよりも長く、ロック解除スイッチ202に対する操作が所定時間Δtslに亘って継続した場合は(S104の肯定判定)、ロック解除スイッチ202がオン状態にあると判定する。他方で、判定時間Δtが所定時間Δtslよりも短く、ロック解除スイッチ202が操作されていないか、操作されたとしてもその操作が所定時間Δtslに達する前に中断した場合は(S104の否定判定)、ロック解除スイッチ202がオフ状態にあると判定する。そして、ロック解除スイッチ202がオン状態にあると判定した場合は、自動運転モードを解除し(S105)、自動運転モードによる走行を停止したうえで、運転モードとして退避モードを選択する一方(S106)、オフ状態にあると判定した場合は、運転モードとして引き続き自動運転モードを選択して、自動運転モードによる走行を継続する(S107)。
【0051】
本実施形態において、「退避モード」とは、操舵輪に対し、目的地までのルートに応じた走行スケジュールにない転舵を生じさせて、自動運転車を安全な場所、例えば、路肩に停車させる運転モードをいう。退避モードによる走行では、走行中の道路の制限速度等の交通条件や先行車との車間距離等によらず、車両の駆動力を自動運転モードにおける目標駆動力よりも低減させる制御を実施することが可能であり、例えば、路肩等の停車位置に向け、車両を制限速度等に応じた目標車速よりも低い車速で定速走行させる。
【0052】
本実施形態に係るステアリン部材カバー(ホイールカバー)1は、以上の構成を有し、以下に、本実施形態により得られる効果について説明する。
【0053】
第1に、ステアリングホイールWHを収容部3に収容することで、搭乗者によるステアリングホイールWHへの接触を抑制することが可能である。これにより、車両の走行状態の制御および監視責任を主に制御システムが担う自動運転モードによる走行時に、ステアリングホイールWHへの意図しない接触により操舵輪に走行スケジュールにない転舵が生じ、走行に影響が及ぶのを抑制することができる。
【0054】
ここで、収容部3によりステアリングホイールWHを非接触に収容することで、操舵輪と連動するステアリングホイールWHの動き自体が許容されるため、ステアリングホイールWHおよびステアリングシャフトSHと、ラック・ピニオン等のステアリングギア機構と、の機械的な接続が自動運転時においても維持される自動運転車において、ホイールカバー1によりステアリングホイールWHの動きが妨げられ、自動運転モードによる走行に支障が生じるのを回避することが可能である。
【0055】
さらに、ホイールカバー1の取り付けに、第2シート位置P2にある運転席Sの背もたれ部S1を使用することで、ホイールカバー1を安定して支持するとともに、使用中のホイールカバー1を搭乗者から遠ざけ、後部座席の空間を確保して、ホイールカバー1の存在により車室内の居住性が過度に損なわれるのを回避するとともに、ホイールカバー1への接触をより確実に抑制することが可能である。
【0056】
そして、第1シート位置P1から第2シート位置P2への切り替えを、運転席Sの背もたれ部S1を前方に倒し、前傾状態とすることにより行うことで、運転席Sに特別な機構を装備することを必要とせず、自動運転車に通常備わる運転席Sにより第1シート位置P1および第2シート位置P2の切り替えを達成することが可能である。
【0057】
さらに、背もたれ部S1を前傾状態として、ステアリングホイールWHに近付けることで、自動運転モードによる走行中に搭乗者が悪戯で運転席Sに座る事態を回避し、ステアリングホイールWHへの接触をより確実に防止することが可能である。
【0058】
ここで、第2シート位置P2において、背もたれ部S1がステアリングホイールWHに近付くことで、収容部3を背もたれ部S1の前面から大きくせり出させることが不要となり、ホイールカバー1の小型化が促進されるという効果も併せて得られる。
【0059】
第2に、ホイールカバー1の取り付けに車両に一般的に備わるヘッドレスト取付部S1aを使用することで、既存の構造からの大きな変更を必要とせずにホイールカバー1を取り付けることが可能である。このことは、ホイールカバー1の設置に要するコストの抑制に寄与し、比較的低コストな自動運転車の実現に有利である。
【0060】
第3に、ホイールカバー1の収容部3を第1カバー部材31および第2カバー部材32により構成し、第1カバー部材31の収容室31aにステアリングホイールWHを収容するとともに、第1カバー部材31の開口部31bを第2カバー部材32により塞ぎ、さらに、第2カバー部材32を第1カバー部材31と運転席Sの背もたれ部S1との間に挟持する構成としたことで、第1カバー部材31によりステアリングホイールWH全体の包囲を実現しながら、第2カバー部材32の取り付けに専用で用いられる部品を不要とし、ホイールカバー1の設置に伴う部品点数の増加を抑制し、コストのより一層の低減を図ることが可能である。
【0061】
第4に、ヘッドレストHRの差込穴h1を使用し、ホイールカバー1の支持部2をこの差込穴h1に挿入することによりホイールカバー1を取り付けるようにしたことで、既存の設備の利用により、コストのより一層の低減を図ることが可能である。
【0062】
第5に、ロック機構4により、本来の意図、例えば、ロック機構4を操作する搭乗者の意図によらないホイールカバー1の取り外しまたは脱落を抑制することが可能であり、ホイールカバー1がヘッドレスト取付部S1aに取り付けられた状態を維持し、ステアリングホイールWHへの意図しない接触をより確実に回避することができる。
【0063】
第6に、操作検知部(ロック解除スイッチ202)によりロック機構4が操作されていることを検知し、ロック機構4の操作が所定時間Δtsl以上に亘って継続された場合に、自動運転モードによる走行を禁止することで、実際にホイールカバー1が取り外された後に切り替える場合と比較して、より早期に自動運転モードによる走行の禁止および退避モードによる走行への移行を達成し(好ましくは、ホイールカバー1が取り外された時点では既に他の運転モード、つまり、退避モードによる走行への移行を完了し)、ステアリングホイールWHへの意図しない接触による影響が実際の走行に及ぶ事態を回避することが可能である。
【0064】
ここで、自動運転モードによる走行の禁止を、所定時間Δtslの経過を待って実施すること、本実施形態では、ヘッドレスト取付部S1aの操作片41に対する操作が所定時間Δtsl以上に亘って継続された場合に、ロック解除スイッチ202がオン状態にあると判定し、自動運転モードによる走行を禁止することで、ロック機構4の操作が一時的なものであり、単に誤ってロック機構4に触れただけに過ぎないような場合の早急な判断を防止することができる。
【0065】
第7に、ロック機構4の操作が所定時間Δtsl以上に亘って継続された場合に、自動運転モードによる走行を禁止するとともに、運転モードとして退避モードを選択して、車両を退避させることで、ステアリングホイールWHへの意図しない接触が生じ得る状況での自動運転モードの継続を回避し、安全の確保を図ることが可能である。
【0066】
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0067】
図6は、本発明の他の実施形態に係るホイールカバー(ステアリング部材カバー)1の支持部2およびその周辺の構成を示す模式図である。
図6(a)は、ホイールカバー1を側方から見た断面で示し、
図6(b)は、ホイールカバー1のうち、収容部3の第1カバー部材31を取り外した状態を示す。
【0068】
本実施形態において、収容部3の第1カバー部材31は、
図6(a)に示すように、その底面から下方に突出して形成された突出部pを有し、第2カバー部材32は、第1カバー部材31の突出部pに対応する位置に、第2カバー部材32をその厚さ方向に貫通して形成された貫通孔h2を有する。
【0069】
ホイールカバー1の取り付けにおいて、第2カバー部材32を第1カバー部材31と運転席Sの背もたれ部S1との間に挟み込む際に、第1カバー部材31の突起部pが第2カバー部材32の貫通孔h2に挿入し、両者が互いに係合することで、ホイールカバー1を取り付けた状態での第1カバー部材31と第2カバー部材32とのずれを抑制し、ホイールカバー1を確実に設置することが可能である。
【0070】
図7は、本発明の更に別の実施形態に係るホイールカバー(ステアリング部材カバー)1の支持部2およびその周辺の構成を示す模式図であり、
図6(b)と同様に、ホイールカバー1のうち、収容部3の第1カバー部材31を取り外した状態を示す。
【0071】
図4に示す例では、収容部3の第2カバー部材32は、ヘッドレスト取付部S1aを配置可能な凹所c1を有し、この凹所c1が平面視で断面コ字状をなし、側方に開口した状態にあるとともに、同様の凹所c1が左右に1つずつ形成され、第2カバー部材32をヘッドレスト取付部S1aにより左右の両側から挟むことで、第2カバー部材32を前後および左右方向に固定した。
【0072】
これに対し、本実施形態では、第2カバー部材32にヘッドレスト取付部S1aを前後および左右の四方から包囲可能な凹所c2を形成し、ヘッドレスト取付部S1aをこの凹所c2に配置する。第2カバー部材32は、ヘッドレスト取付部S1aによる拘束を前後の壁面により前後方向に受けるとともに、側方の壁面により左右方向に受ける。
【0073】
これにより、ホイールカバー1を取り付けた状態での第1カバー部材31と第2カバー部材とのずれを抑制し、ホイールカバー1を確実に設置することが可能である。
【0074】
さらに、ヘッドレスト取付部S1aが第2カバー部材32により左右を含む四方から包囲された状態にあることで、ロック機構4ないし操作片41への意図しない接触による誤操作をより確実に防止することが可能である。
【0075】
以上の説明では、第1シート位置P1と第2シート位置P2との切り替えを、運転席Sの背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αを変化させることにより実現した。運転席Sの位置P1、P2の切り替えは、これに限定されるものではなく、運転席S自体の向きを変化させることにより実現することも可能である。具体的には、背もたれ部S1が座部S2に対してなす角度αを維持したまま、運転席S全体を鉛直方向の軸を中心として回転させるのである。この場合に、運転席Sは、第1シート位置P1にあるときにはステアリングホイールWHと正面に向かい合う状態にあり、第2シート位置P2にあるときにはステアリングホイールWHに対して背を向ける状態にある。
【0076】
さらに、ホイールカバー1は、収容部3が支持部2に対して回転可能な構成であってもよい。例えば、支持部2と収容部3とを連結する連結部22(
図1)に関節構造を持たせ、支持部2に対し、収容部3が水平方向の軸を中心として回動可能とする。これにより、ホイールカバー1ないし収容部3の姿勢をステアリングホイールWHの高さまたは向きに合わせ、ステアリングホイールWHをより良好に収容することが可能となる。
【0077】
運転モードの切り替え、つまり、通常運転モードまたは自動運転モードの選択を行う者は、遠隔地の運行管理者に限らず、自動運転車に乗っている運転者であってもよい。この場合は、運転者により手動操作可能なモード選択スイッチを設置し、運転者がモード選択スイッチにより通常運転モードか自動運転モードかの選択を実施する。ここで、「運転者」とは、運転モードの選択について責任を負う者または当該自動運転車に関する運転資格を有する者をいい、通常は、通常運転モードによる走行に際して自動運転車の運転を行う者が該当し、他の同乗者とは区別する。コントローラ101は、モード指令信号(
図1)に代えてモード選択スイッチの出力信号を受け、選択されている運転モードが通常運転モードであるか、自動運転モードであるかを判定することが可能である。自動運転モードによる走行中、運転者は、運転席Sには座らず、補助席または後部座席に座る。
【符号の説明】
【0078】
1…ホイールカバー(ステアリング部材カバー)、2…支持部、21…軸状部、22…連結部、3…収容部、31…第1カバー部材、31a…収容室、31b…開口部、32…第2カバー部材、4…ロック機構、41…操作片、S…運転席、S1…背もたれ部、S1a…ヘッドレスト取付部、S2…座部、WH…ステアリングホイール(ステアリング部材)、SH…ステアリングシャフト、HR…ヘッドレスト、P1…第1シート位置、P2…第2シート位置、101…コントローラ、201…モード選択スイッチ、202…ロック解除スイッチ、203…シート位置センサ。