(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180476
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231214BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231214BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01G4/30 541
H01L27/04 C
H01G4/30 544
H01G4/33 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093827
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 幸則
(72)【発明者】
【氏名】中島 剛志
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5F038
【Fターム(参考)】
5E001AB06
5E001AC04
5E001AC09
5E001AC10
5E001AH03
5E001AJ01
5E001AJ02
5E082AA20
5E082AB03
5E082BC12
5E082BC35
5E082DD11
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE37
5E082EE47
5E082FG03
5E082FG22
5E082FG27
5E082FG42
5F038AC05
5F038AC15
5F038AC18
5F038EZ01
5F038EZ02
(57)【要約】
【課題】下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1上面を有する基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第2上面を有する第1絶縁体層と、前記第1絶縁体層の上に設けられた下部電極と、前記下部電極の上に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた上部電極と、を有し、前記第1上面と前記第2上面との間の距離の最大値と最小値との差は、前記半導体層の厚さよりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1上面を有する基板と、
前記基板の上に設けられた半導体層と、
前記半導体層の上に設けられ、第2上面を有する第1絶縁体層と、
前記第1絶縁体層の上に設けられた下部電極と、
前記下部電極の上に設けられた誘電体層と、
前記誘電体層の上に設けられた上部電極と、
を有し、
前記第1上面と前記第2上面との間の距離の最大値と最小値との差は、前記半導体層の厚さよりも小さい半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁体層はポリイミド層である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁体層と前記下部電極との間に設けられ、シリコンを含有する第2絶縁体層を有する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層と前記第1絶縁体層との間に設けられ、シリコンを含有する第3絶縁体層を有する請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁体層と前記下部電極との間に設けられ、シリコンを含有する第2絶縁体層と、
前記基板と前記第1絶縁体層との間に設けられ、シリコンを含有する第3絶縁体層と、
を有し、
前記第2絶縁体層と前記第3絶縁体層とが直接接する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記最大値と前記最小値との差は、100nm以下である請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記最大値と前記最小値との差は、50nm以下である請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層は窒化物半導体層である請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばモノリシックマイクロ波集積回路(monolithic microwave integrated circuit:MMIC)のような半導体集積回路に、下部電極、絶縁膜および上部電極を積層したMIM(metal insulator metal)型キャパシタが形成されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-37497号公報
【特許文献2】特開2019-20794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のMIM型キャパシタでは、下部電極と上部電極との間に十分な耐圧が得られないことがある。
【0005】
本開示は、下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1上面を有する基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第2上面を有する第1絶縁体層と、前記第1絶縁体層の上に設けられた下部電極と、前記下部電極の上に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた上部電極と、を有し、前記第1上面と前記第2上面との間の距離の最大値と最小値との差は、前記半導体層の厚さよりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図9】
図9は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1上面を有する基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、前記半導体層の上に設けられ、第2上面を有する第1絶縁体層と、前記第1絶縁体層の上に設けられた下部電極と、前記下部電極の上に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の上に設けられた上部電極と、を有し、前記第1上面と前記第2上面との間の距離の最大値と最小値との差は、前記半導体層の厚さよりも小さい。
【0011】
半導体層の上に第1絶縁体層が設けられており、基板の第1上面と第1絶縁体層の第2上面との間の距離の最大値と最小値との差が半導体層の厚さよりも小さい。このため、半導体層にピット等の欠陥が存在していても、第1絶縁体層の上の下部電極および上部電極の平坦度を、第1絶縁体層が設けられていない場合よりも高くできる。従って、下部電極と上部電極との間の絶縁破壊を抑制し、下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1絶縁体層はポリイミド層であってもよい。この場合、第2上面に優れた平坦性を得やすい。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第1絶縁体層と前記下部電極との間に設けられ、シリコンを含有する第2絶縁体層を有してもよい。この場合、第1絶縁体層(ポリイミド層)と第2絶縁体層との間に良好な密着性が得やすく、第2絶縁体層と下部電極との間に良好な密着性が得やすい。従って、第1絶縁体層と下部電極とが直接接する場合よりも良好な密着性が得られる。
【0014】
〔4〕 〔2〕または〔3〕において、前記半導体層と前記第1絶縁体層との間に設けられ、シリコンを含有する第3絶縁体層を有してもよい。この場合、半導体層と第3絶縁体層との間に良好な密着性が得やすく、第3絶縁体層と第1絶縁体層(ポリイミド層)との間に良好な密着性が得やすい。従って、半導体層と第1絶縁体層とが直接接する場合よりも良好な密着性が得られる。
【0015】
〔5〕 〔2〕において、前記第1絶縁体層と前記下部電極との間に設けられ、シリコンを含有する第2絶縁体層と、前記基板と前記第1絶縁体層との間に設けられ、シリコンを含有する第3絶縁体層と、を有し、前記第2絶縁体層と前記第3絶縁体層とが直接接してもよい。この場合、第1絶縁体層(ポリイミド層)と下部電極とが直接接する場合よりも良好な密着性が得られ、基板と第1絶縁体層とが直接接する場合よりも良好な密着性が得られる。更に、第1絶縁体層からみて第2絶縁体層および第3絶縁体層に生じる応力の向きは同一であるため、第1絶縁体層を反りにくくできる。
【0016】
〔6〕 〔1〕~〔5〕のいずれかにおいて、前記最大値と前記最小値との差は、100nm以下であってもよい。この場合、下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性をより向上しやすい。
【0017】
〔7〕 〔1〕~〔5〕のいずれかにおいて、前記最大値と前記最小値との差は、50nm以下であってもよい。この場合、下部電極と上部電極との間の耐圧の安定性を更に向上しやすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕~〔7〕のいずれかにおいて、前記半導体層は窒化物半導体層であってもよい。この場合、窒化物半導体層を用いた高電子移動度トランジスタとMIM型キャパシタとをモノリシックに集積できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0020】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態はMIM型キャパシタを含む半導体装置に関する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0021】
第1実施形態に係る半導体装置1は、
図1に示すように、主として、基板10と、半導体層20と、第1絶縁体層40と、第2絶縁体層50と、第3絶縁体層30と、下部電極60と、誘電体層70と、上部電極80とを有する。
【0022】
基板10は、例えばポリタイプ4Hまたは6Hの炭化珪素(SiC)基板である。炭化珪素基板の上面がシリコン極性面または炭素極性面のいずれであってもよい。基板10がシリコン基板であってもよい。シリコン基板の上面は、例えば(111)面である。
【0023】
半導体層20は基板10の上に設けられている。半導体層20は、例えば窒化物半導体層である。窒化物半導体層は、電子走行層および電子供給層等の高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)の一部を構成する。HEMT(図示せず)はMIM型キャパシタから離れて設けられている。ピット等の欠陥21が半導体層20に存在していてもよい。詳細は後述するが、半導体層20は、基板10の上にエピタキシャル成長法により形成されている。基板10の上面11に欠陥が存在する場合、欠陥21が生じることがある。
【0024】
第3絶縁体層30は半導体層20の上に設けられている。第3絶縁体層30は、例えば酸化シリコン(SiO2)層である。第3絶縁体層30は半導体層20の上面にならって形成されており、第3絶縁体層30の上面には、欠陥21の形状を反映した凹部が存在してもよい。第3絶縁体層30は、例えばHEMTの一部を構成する。
【0025】
第1絶縁体層40は第3絶縁体層30の上に設けられている。第1絶縁体層40は第3絶縁体層30の一部分の上に設けられている。第1絶縁体層40は、例えばポリイミド層である。第1絶縁体層40が酸化シリコン層であってもよい。詳細は後述するが、第1絶縁体層40は、原料の塗布および硬化により形成されている。従って、第3絶縁体層30の上面に凹部が存在しても、第1絶縁体層40は第3絶縁体層30の上面の凹部を埋めると共に、第1絶縁体層40の上面41は平坦である。例えば、基板10の上面11と第1絶縁体層40の上面41との間の距離は一定であり、この距離の最大値Lmaxおよび最小値Lminは互いに等しい。従って、最大値Lmaxと最小値Lminとの差は、半導体層20の厚さT1よりも小さい。なお、ここでいう「平坦」とはナノメートルオーダーの凹凸も皆無であることを意図するものではなく、社会通念上「平坦」と認められる程度の状態になっていることを意図する。
【0026】
第2絶縁体層50は第1絶縁体層40および第3絶縁体層30の上に設けられている。第2絶縁体層50は第1絶縁体層40を覆う。第2絶縁体層50は、例えば窒化シリコン(SiN)層または酸化シリコン層である。第2絶縁体層50は第3絶縁体層30に直接接している。
【0027】
下部電極60は第2絶縁体層50の上に設けられている。下部電極60は、第1絶縁体層40の上方で第2絶縁体層50の上に設けられている。平面視で、すなわち上面11に垂直な方向からみたときに、下部電極60は第1絶縁体層40の輪郭の内側にある。下部電極60は、例えばチタン(Ti)膜と、その上の金(Au)膜とを有する。
【0028】
誘電体層70は下部電極60および第2絶縁体層50の上に設けられている。誘電体層70は下部電極60の上面および側面を覆う。誘電体層70は、例えばシリコン、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)またはジルコニウム(Zr)の窒化物または酸化物を含む。例えば、誘電体層70は、窒化シリコン層、酸化アルミニウム(AlO)層または酸化シリコン層である。誘電体層70が上記の金属種を複数含んでいてもよい。誘電体層70が上記の金属種の酸窒化物を含んでいてもよい。
【0029】
上部電極80は誘電体層70の上に設けられている。上部電極80は、下部電極60の上方で誘電体層70の上に設けられている。平面視で、上部電極80は下部電極60の輪郭の内側にある。上部電極80は、例えばチタン膜と、その上の金膜とを有する。
【0030】
次に、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。
図2~
図8は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0031】
まず、
図2に示すように、基板10の上にエピタキシャル成長法により半導体層20を形成する。半導体層20は、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により形成できる。基板10の上面11に欠陥が存在してもよく、半導体層20にピット等の欠陥21が形成されてもよい。
【0032】
次に、
図3に示すように、半導体層20の上に化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により第3絶縁体層30を形成する。
【0033】
次に、
図4に示すように、第3絶縁体層30の上に第1絶縁体層40を形成する。第1絶縁体層40は、例えばポリイミド層または酸化シリコン層である。第1絶縁体層40がポリイミド層である場合、感光性ポリイミドのスピンコート、露光、現像および焼成により第1絶縁体層40を形成できる。非感光性ポリイミドのスピンコート、焼成およびエッチングにより第1絶縁体層40を形成してもよい。第1絶縁体層40が酸化シリコン層である場合、スピンオングラスのスピンコート、焼成およびエッチングにより第1絶縁体層40を形成できる。
【0034】
次に、
図5に示すように、第1絶縁体層40および第3絶縁体層30の上にCVD法により第2絶縁体層50を形成する。第2絶縁体層50により第1絶縁体層40が覆われる。
【0035】
次に、
図6に示すように、第2絶縁体層50の上に下部電極60を形成する。下部電極60の形成では、例えば、チタン膜および金膜を全面に形成し、その後にチタン膜および金膜のエッチングを行う。エッチングはドライエッチングまたはウェットエッチングのいずれでもよい。チタン膜および金膜の蒸着およびリフトオフにより下部電極60を形成してもよい。いずれの方法であっても、第1絶縁体層40が第2絶縁体層50により覆われているため、第1絶縁体層40は下部電極60の形成時のプロセス環境にさらされない。
【0036】
次に、
図7に示すように、下部電極60および第2絶縁体層50の上にCVD法により誘電体層70を形成する。誘電体層70により下部電極60が覆われる。
【0037】
次に、
図8に示すように、誘電体層70の上に上部電極80を形成する。上部電極80は、例えばチタン膜および金膜の蒸着およびリフトオフにより形成できる。
【0038】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置1を製造することができる。
【0039】
ここで、第1実施形態の効果について、参考例を参照しながら説明する。
図9は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。なお、
図9は本開示の理解を促進する目的のために用いる図であり、従来技術を説明するものではない。
【0040】
参考例に係る半導体装置9は、主として、第1絶縁体層40および第2絶縁体層50を有しない点で、第1実施形態と相違する。下部電極60は第3絶縁体層30の上に設けられている。誘電体層70は下部電極60および第3絶縁体層30の上に設けられている。誘電体層70は下部電極60を覆う。上部電極80は誘電体層70の上に設けられている。下部電極60、誘電体層70および上部電極80は、欠陥21の形状を反映した形状を有する。
【0041】
参考例に係る半導体装置9では、下部電極60、誘電体層70および上部電極80が欠陥21の形状を反映した形状を有するため、局所的に誘電体層70が薄くなっていたり、下部電極60および上部電極80に電界が特に集中しやすい箇所が存在したりする。一方、第1実施形態に係る半導体装置1では、第1絶縁体層40が設けられているため、下部電極60、誘電体層70および上部電極80の形状には欠陥21の形状がほとんど反映されていない。このため、下部電極60と上部電極80との間で誘電体層70の厚さが一定であり、下部電極60および上部電極80での電界集中が抑制される。従って、第1実施形態によれば、下部電極60と上部電極80との間の耐圧の安定性を向上できる。
【0042】
第1絶縁体層40がポリイミド層であると、第1絶縁体層40の上面41に優れた平坦性を得やすい。従って、耐圧の安定性を向上しやすい。
【0043】
第1絶縁体層40と下部電極60との間にシリコンを含有する第2絶縁体層50が設けられていることで、第2絶縁体層50が設けられていない場合と比較して、第1絶縁体層40と下部電極60との間に良好な密着性を得やすい。これは、第1絶縁体層40と第2絶縁体層50との間に良好な密着性を得やすく、第2絶縁体層50と下部電極60との間に良好な密着性を得やすいためである。また、第1絶縁体層40を下部電極60の形成時のプロセス環境にさらされないようにできる。
【0044】
半導体層20と第1絶縁体層40との間にシリコンを含有する第3絶縁体層30が設けられていることで、第3絶縁体層30が設けられていない場合と比較して、半導体層20と第1絶縁体層40との間に良好な密着性を得やすい。これは、半導体層20と第3絶縁体層30との間に良好な密着性を得やすく、第3絶縁体層30と第1絶縁体層40との間に良好な密着性を得やすいためである。
【0045】
第1絶縁体層40からみて第2絶縁体層50および第3絶縁体層30に生じる応力の向きは同一であるため、第2絶縁体層50と第3絶縁体層30とが直接接していることで、第1絶縁体層40を反りにくくできる。
【0046】
基板10の上面11と第1絶縁体層40の上面41との間の距離の最大値Lmaxおよび最小値Lminは互いに等しい必要はない。
図10は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図10に示すように、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1Aでは、第1絶縁体層40の上面41に小さな凹部が形成されている。半導体装置1Aにおいても、最大値Lmaxと最小値Lminとの差が半導体層20の厚さT1よりも小さければ、下部電極60および上部電極80での電界集中が抑制され、下部電極60と上部電極80との間の耐圧の安定性を向上できる。
【0047】
なお、最大値Lmaxと最小値Lminとの差は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。最大値Lmaxと最小値Lminとの差が小さいほど、下部電極60および上部電極80の平坦度を高めやすく、下部電極60と上部電極80のとの間の耐圧の安定性を向上しやすい。
【0048】
半導体層20が窒化物半導体層であることで、窒化物半導体層を用いたHEMTとMIM型キャパシタとをモノリシックに集積できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、第2絶縁体層50が設けられていない点で第1実施形態と相違する。
図11は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0050】
第2実施形態に係る半導体装置2は、
図11に示すように、第2絶縁体層50を有さず、下部電極60が第1絶縁体層40に直接接している。下部電極60は第1絶縁体層40の上面41および側面を覆う。下部電極60は第3絶縁体層30にも直接接している。誘電体層70は下部電極60および第3絶縁体層30の上に設けられている。誘電体層70は下部電極60の上面および側面を覆う。
【0051】
他の構成は第1実施形態と同一である。
【0052】
第2実施形態によっても、第1実施形態と同じく、下部電極60と上部電極80との間の耐圧の安定性を向上できる。また、第2絶縁体層50が設けられていないため、下部電極60と第1絶縁体層40との間の密着性は第1実施形態よりも低いことがある。しかし、下部電極60が第3絶縁体層30に直接接しているため、下部電極60の剥離は生じにくい。
【0053】
なお、第1実施形態において、下部電極60が第2絶縁体層50の上から第1絶縁体層40の側面を覆っていてもよい。
【0054】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、2、9:半導体装置
10:基板
11、41:上面
20:半導体層
21:欠陥
30:第3絶縁体層
40:第1絶縁体層
50:第2絶縁体層
60:下部電極
70:誘電体層
80:上部電極