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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180479
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】励磁制御装置及び励磁制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/30 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H02P9/30 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093830
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池澤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】金澤 千恵美
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA01
5H590CC01
5H590CC29
5H590CE01
5H590DD24
5H590DD64
5H590EA07
5H590EB22
5H590FA06
5H590GA02
5H590GA06
5H590HA02
5H590HA04
5H590HA07
5H590HB02
5H590HB03
5H590KK06
(57)【要約】
【課題】励磁制御装置における自動電圧調整装置の異常を適切に診断できるようにする。
【解決手段】主系と従系との2系統の励磁制御部を有し、同期機を制御する励磁制御装置において、前記2系統の前記励磁制御部は、それぞれ、無効電力設定器(23A,23B)と、無効電力調整装置(24A,24B)と、入力された増減指令に基づいて、電圧を出力する電圧設定器(27A,27B)と、電圧設定器(27A,27B)から出力された電圧に基づいて出力する電圧を調整する自動電圧調整装置(22A,22B)とを備え、前記励磁制御装置は、無効電力の制御時において、従系の電圧設定器(27A又は27B)と、主系の電圧設定器(27B又は27A)とに、同一の信号を出力させるための信号を入力する入力回路(25A,25B,26A,26B,28A,28B,29A,29B)を有するように構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主系と従系との2系統の励磁制御部を有し、同期機を制御する励磁制御装置であって、
前記2系統の前記励磁制御部は、それぞれ、
無効電力の設定値を出力する無効電力設定器と、
同期機の無効電力と前記設定値との差分を入力し、前記同期機の無効電力が設定値となるように電力の増減指令を出力する無効電力調整装置と、
入力された増減指令に基づいて、電圧を出力する電圧設定器と、
電圧設定器から出力された電圧に基づいて出力する電圧を調整する自動電圧調整装置とを備え、
前記励磁制御装置は、無効電力の制御時において、従系の電圧設定器と、主系の電圧設定器とに、同一の信号を出力させるための信号を入力する入力回路を有する
励磁制御装置。
【請求項2】
前記入力回路は、
主系の前記励磁制御部の前記無効電力調整装置からの出力された前記増減指令を主系の前記電圧設定器に入力し、従系の前記電圧設定器の出力を主系の前記電圧設定器の出力に追従させる指令を従系の電圧設定器に入力する指令選択回路を有する
請求項1に記載の励磁制御装置。
【請求項3】
前記指令選択回路は、
前記主系の前記励磁制御部の無効電力調整装置の出力を前記電圧設定器に入力する選択回路と、
主系の電圧設定器の出力と従系の電圧設定器の出力との偏差を計算する偏差計算回路と、
前記従系の前記励磁制御部の前記偏差計算回路の出力を前記従系の前記電圧設定器に入力する選択回路と、を含む
請求項2に記載の励磁制御装置。
【請求項4】
前記入力回路は、
前記同期機の無効電力と、主系の前記無効電力設定器の設定値との差分を前記主系及び前記従系の前記無効電力調整装置に入力する共通入力回路を有する
請求項1に記載の励磁制御装置。
【請求項5】
前記共通入力回路は、
前記同期機の無効電力と、一方の無効電力設定器の設定値との差分と、前記同期信号と、他方の無効電力設定器の設定値との差分とが入力され、前記同期機の無効電力と主系となる前記無効電力設定器の設定値との差分を選択して、前記主系及び前記従系の前記無効電力調整装置に入力する選択回路を有する
請求項4に記載の励磁制御装置。
【請求項6】
前記電圧設定器は、入力された電圧に追従する追従機能をさらに有し、
前記入力回路は、
前記従系の前記電圧設定器の出力する電圧が前記主系の前記電圧設定器が出力する電圧に追従するように、前記従系の前記電圧設定器に前記主系の前記電圧設定器の出力する電圧を入力させる追従入力回路を備える
請求項1に記載の励磁制御装置。
【請求項7】
前記追従入力回路は、
前記主系の前記電圧設定器が出力する電圧を、前記従系の前記電圧設定器の追従機能に対して入力させるように選択する選択回路を有する
請求項6に記載の励磁制御装置。
【請求項8】
前記入力回路は、
前記同期機の無効電力と、主系の前記無効電力設定器の設定値との差分を前記主系及び前記従系の前記無効電力調整装置に入力する共通入力回路を有する
請求項2に記載の励磁制御装置。
【請求項9】
前記電圧設定器は、入力された電圧に追従する機能をさらに有し、
前記入力回路は、
前記従系の前記電圧設定器の出力する電圧が前記主系の前記電圧設定器が出力する電圧に追従するように、前記従系の前記電圧設定器に前記主系の前記電圧設定器の出力する電圧を入力させる追従入力回路を備える
請求項4に記載の励磁制御装置。
【請求項10】
主系と従系との2系統の励磁制御部を有し、同期機を制御する励磁制御装置における励磁制御方法であって、
前記2系統の前記励磁制御部は、それぞれ、
無効電力の設定値を出力する無効電力設定器と、
同期機の無効電力と前記設定値との差分を入力し、前記同期機の無効電力が設定値となるように電力の増減指令を出力する無効電力調整装置と、
入力された増減指令に基づいて、電圧を出力する電圧設定器と、
電圧設定器から出力された電圧に基づいて出力する電圧を調整する自動電圧調整装置とを備え、
無効電力の制御時において、従系の電圧設定器と、主系の電圧設定器とに、同一の信号を出力させるための信号を入力する
励磁制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期機の端子電圧を制御する励磁制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、同期発電機等の同期機の端子電圧を制御する励磁制御装置として、常用系と待機系との2系統の励磁制御部を有する励磁制御装置が知られている。このような励磁制御装置としては、図1に示す励磁制御装置100が知られている。励磁制御装置100では、2系統の励磁制御部11A,11Bの両方において、追従制御による増減指令に加えて自動無効電力調整装置(AQR)24A,24Bからの増減指令により電圧設定器(90R)21A,21Bを調整している。
【0003】
このような2系統の同期機用の励磁制御装置に関する技術としては、常に常用系の励磁制限制御装置を待機系の励磁制限制御装置より先に動作させて、出力偏差発生による誤診断をなくした同期機用励磁制御装置及び制御方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-107795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した励磁制御装置100では、P・Q変換機により検出される同期機無効電力Qの誤差によって、電圧設定器(90R)21A,21Bに偏差が生じ、結果としてA系、B系の自動電圧調整装置(AVR)22A,22Bの出力信号に大きな偏差が生じる場合がある。この励磁制御装置では、A系とB系との両系の励磁制御部が常に稼働しており、上記のような状態では電圧設定器(90R)21A,21Bの偏差が拡大し、電圧制御系に影響を与え、同期発電機1の運転上好ましくない状態となる。この場合、自動電圧調整装置(AVR)22A,22B自体には異常がないのに、出力信号の偏差が大きいことにより、異常であるとの診断がされてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、励磁制御装置における自動電圧調整装置の異常を適切に診断することができるようにする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、一観点に係る励磁制御装置は、主系と従系との2系統の励磁制御部を有し、同期機を制御する励磁制御装置であって、前記2系統の前記励磁制御部は、それぞれ、無効電力の設定値を出力する無効電力設定器と、同期機の無効電力と前記設定値との差分を入力し、前記同期機の無効電力が設定値となるように電力の増減指令を出力する無効電力調整装置と、入力された増減指令に基づいて、電圧を出力する電圧設定器と、
電圧設定器から出力された電圧に基づいて出力する電圧を調整する自動電圧調整装置とを備え、前記励磁制御装置は、無効電力の制御時において、従系の電圧設定器と、主系の電圧設定器とに、同一の信号を出力させるための信号を入力する入力回路を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、励磁制御装置における自動電圧調整装置の異常を適切に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、従来例に係る同期機端子電圧制御システムの全体構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。
図3図3は、第2実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。
図4図4は、第3実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、従来例に係る同期機端子電圧制御システムの全体構成図である。
【0012】
同期機端子電圧制御システム1000は、サイリスタを用いた、2重系の励磁制御装置100を備える。同期機端子電圧制御システム1000は、同期機の一例としての同期発電機(GEN)1と、励磁用電圧変成器(EX-TR)2と、計器用電圧変成器(PT)3A,3Bと、計器用電流変成器(CT)4A,4Bと、界磁遮断器(FS)5と、励磁制御装置100と、サイリスタ整流装置(THY)10と、同期機界磁巻線13とを含む。
【0013】
励磁制御装置100は、A系、B系の2系統の励磁制御部11A,11Bを含む。ここで、A系と、B系は、一方が主系(常用系)として動作し、他方が従系(待機系)として動作する。
【0014】
励磁制御部11A(11B)は、同期機信号検出及び制御回路6A(6B)と、ゲートパルス発生器(GPG)8A(8B)と、切換スイッチ9A(9B)とを含む。
【0015】
同期機信号検出及び制御回路6A(6B)は、P・Q変換器14A(14B)と、減算器16A(16B),17A(17B)と、電圧設定器(90R)21A(21B)と、自動電圧調整装置(AVR)22A(22B)と、無効電力設定器(a+bP)23A(23B)と、自動無効電力調整装置(AQR)24A(24B)とを含む。
【0016】
A系(ここでは、A系が主系として説明する)の励磁制御部11Aの同期機信号検出及び制御回路6Aにおいて、減算器17Aが電圧設定器(90R)21Aから出力される電圧設定値から計器用電圧変成器3Aで検出された同期機端子電圧Vgを減算して偏差信号値を求め、自動電圧調整装置22Aが偏差信号値に応じた出力信号をゲートパルス発生器(GPG)8Aに供給し、ゲートパルス発生器8Aから出力されるパルスが切換スイッチ9Aを介してサイリスタ整流装置10に入力される。サイリスタ整流装置10が入力されるパルスに基づいて、サイリスタ点弧角を制御して出力を行い、出力が界磁遮断器5を介して同期機界磁巻線13に供給される。これにより、同期発電機1の端子電圧が一定に制御されることとなる。
【0017】
また、同期機信号検出及び制御回路6Aにおいて、計器用電圧変成器3Aで検出された同期機端子電圧Vgと、同期機負荷電流IgとがP・Q変換器14Aに入力され、P・Q変換器14Aは、同期機無効電力Qを減算器16Aに入力する。減算器16Aは、無効電力設定器(a+bP)23Aから出力される無効電力設定値から同期機無効電力Qを減算して偏差信号を求め、この偏差信号を自動無効電力調整装置24Aに入力する。自動無効電力調整装置24Aは、偏差信号に基づいて調整指令(増減指令)を出力し、電圧設定器21Aに入力する。電圧設定器21Aは、調整指令に基づいて電圧設定値を調整して出力する。励磁制御装置100においては、B系(従系)の励磁制御部11Bでも同様な処理が並行して行われており、A系とB系とのいずれを主系とするのかを即時に切り替えることができ、励磁制御装置100の一方の系の故障に対してシステムに影響を出さずに、同期発電機1の運転を継続することができる。
【0018】
次に、第1実施形態に係る励磁制御装置110について説明する。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。なお、図1に示す励磁制御装置100と同様な構成については、同一の符号を付すこととする。
【0020】
励磁制御装置110は、励磁制御装置100において、同期機信号検出及び制御回路6A,6Bに代えて、同期信号検出及び制御回路30A,30Bを備えるとともに、配線29A,29Bをさらに備えている。
【0021】
同期信号検出及び制御回路30A(30B)は、P・Q変換器14A(14B)と、無効電力設定器23A(23B)と、減算器16A(16B)と、自動無効電力調整装置(AQR)24A(24B)と、選択回路25A(25B)と、選択回路26A(26B)と、電圧設定器(90R)27A(27B)と、自動追従回路(PTN)28A(28B)と、減算器17A(17B)と、自動電圧調整装置(AVR)22A(22B)とを含む。
【0022】
配線29Aは、電圧設定器27Aの出力が自動追従回路28A及び28Bに入力されるように接続されている。配線29Bは、電圧設定器27Bの出力が自動追従回路28A及び28Bに入力されるように接続されている。
【0023】
ここで、入力回路及び指令選択回路は、選択回路25A,25B、選択回路26A,26B、自動追従回路28A,28B、及び配線29A,29Bにより構成される。
【0024】
自動無効電力調整装置24A(24B)は、入力される偏差信号ΔQに基づいて、電圧設定器27A(27B)により出力される電圧の調整指令(増減指令)を出力する。本実施形態では、自動無効電力調整装置24A(24B)は、電圧を増加させる調整指令と電圧を減少させる調整指令とが別の配線により、電圧設定器27A(27B)の対応する入力端子(増加用端子、減少用端子)に入力されるように配線されている。
【0025】
電圧設定器27A(27B)は、入力される指令に従って出力する電圧を設定する。本実施形態では、電圧設定器27A(27B)は、入力端子(増加用端子、減少用端子)からの入力に従って電圧の増減を行う。
【0026】
選択回路26A(26B)は、自動無効電力調整装置24A(24B)と電圧設定器27A(27B)との間に配置され、これらの間の開閉を制御する。選択回路26A(26B)は、A系(26Bの場合は、B系)が主系である場合に、閉状態、すなわち、自動無効電力調整装置24A(24B)から電圧設定器27A(27B)へ調整指令が入力されるようにする。
【0027】
自動追従回路28A(28B)は、偏差計算回路の一例であり、電圧設定器27A(27B)の出力電圧(配線29A(配線29B)からの電圧)が、他系の電圧設定器27B(27A)の出力電圧(配線29B(配線29A)からの電圧)に追従するように、電圧設定器27A(27B)への電圧の調整指令を出力する。本実施形態では、自動追従回路28A(28B)は、電圧を増加させる調整指令と、電圧を減少させる調整指令とが別の配線により、電圧設定器27A(27B)の対応する入力端子(増加用端子、減少用端子)に入力されるように配線されている。
【0028】
選択回路25A(25B)は、自動追従回路28A(28B)と電圧設定器27A(27B)との間に配置され、これらの間の開閉を制御する。選択回路25A(25B)は、A系(25Bの場合は、B系)が従系である場合に、閉状態、すなわち、自動追従回路28A(28B)から電圧設定器27A(27B)へ調整指令が入力されるようにする。この構成によると、電圧設定器27A及び27Bから出力される電圧設定値は、P・Q変換器14A,14Bの一方から出力される同期機無効電力Qの影響を受けることとなる。
【0029】
次に、励磁制御装置110の動作について説明する。なお、この説明において、A系が主系として制御され、B系が従系として制御されているものとする。
【0030】
自動追従回路28A、28Bは、電圧設定器27Aと27Bとの出力偏差を求め、この出力偏差があれば出力偏差が零となるように、偏差に応じた調整指令(例えば、上げ下げパルス)を出力する。ここで、B系が従系であるので、選択回路25Bが、自動追従回路28Bと電圧設定器27Bとの間を閉状態とするので、自動追従回路28Bの出力が電圧設定器27Bに入力されることとなり、電圧設定器27Bは、電圧設定器27Aの電圧設定値に追従する電圧設定値を出力することとなる。
【0031】
また、A系が主系であるので、選択回路26Aが、自動無効電力調整装置24Aと電圧設定器27Aとの間を閉状態としており、励磁制御装置110が無効電力制御を行うように制御されている場合には、自動無効電力調整装置24Aからの調整指令が選択回路26Aを介して電圧設定器27Aに入力されて電圧設定値が調整される。
【0032】
このような動作により、従系の電圧設定器27Bは、自動追従回路28Bからの調整指令に従って、主系の電圧設定器27Aに追従する電圧設定値を出力することとなり、従系において、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響を受けずに、電圧設定器27A及び27Bの電圧設定値を一致させるようにすることができる。これにより、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響によって自動電圧調整装置22A,22Bの出力信号の偏差が拡大することにより異常とされてしまう誤診断を防止することができる。
【0033】
次に、第2実施形態に係る励磁制御装置120について説明する。
【0034】
図3は、第2実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。なお、図1及び図2に示す励磁制御装置と同様な構成については、同一の符号を付すこととする。
【0035】
励磁制御装置120は、励磁制御装置110において、同期機信号検出及び制御回路30A,30Bに代えて、同期信号検出及び制御回路40A,40Bを備えるとともに、配線32A,32Bと、をさらに備えている。同期信号検出及び制御回路40A,40Bは、同期機信号検出及び制御回路30A,30Bにおいて、選択回路31A,31Bをさらに備える。
【0036】
配線32A(32B)は、減算器16B(16A)の出力である偏差信号ΔQが選択回路31A(31B)に入力されるように接続されている。
【0037】
ここで、共通入力回路は、選択回路31A,31B及び配線32A,32Bにより構成される。
【0038】
選択回路31A(31B)は、減算器16A(16B)及び配線32A(32B)と、自動無効電力調整装置24A(24B)との間に配置され、これらの間の開閉を制御する。選択回路31A(31B)は、A系(31Bの場合は、B系)が主系である場合に、減算器16A(16B)と自動無効電力調整装置24A(24B)との間を接続状態とし、配線32A(32B)と自動無効電力調整装置24A(24B)との間を切断状態とし、A系(31Bの場合は、B系)が従系である場合に、減算器16A(16B)と自動無効電力調整装置24A(24B)との間を切断状態とし、配線32A(32B)と自動無効電力調整装置24A(24B)との間を接続状態とする。
【0039】
次に、励磁制御装置120の動作について説明する。なお、この説明において、A系が主系として制御され、B系が従系として制御されているものとする。
【0040】
A系が主系であるので、選択回路31Aは、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQを自動無効電力調整装置24Aに入力し、選択回路31Bは、配線32Bの信号、すなわち、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQを自動無効電力調整装置24Bに入力する状態となる。
【0041】
この結果、励磁制御装置110が無効電力制御を行うように制御されている場合には、A系においては、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQに基づいて自動無効電力調整装置24Aから調整指令が出力され、調整指令が選択回路26Aを介して電圧設定器27Aに入力されて電圧設定値が調整される。
【0042】
一方、B系が従系であるので、選択回路25Bが、自動追従回路28Bと電圧設定器27Bとの間を閉状態とするので、自動追従回路28Bの出力が電圧設定器27Bに入力されることとなり、電圧設定器27Bは、電圧設定器27Aの電圧設定値に追従する電圧設定値を出力することとなる。
【0043】
このような動作により、従系の電圧設定器27Bは、自動追従回路28Bからの調整指令に従って、主系の電圧設定器27Aに追従する電圧設定値を出力することとなり、従系において、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響を受けずに、電圧設定器27A及び27Bの電圧設定値を一致させるようにすることができる。これにより、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響によって自動電圧調整装置22A,22Bの出力信号の偏差が拡大することにより異常とされてしまう誤診断を防止することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、選択回路25A,25B、選択回路26A,26B、自動追従回路28A,28B、及び配線29A,29Bを備えないようにしてもよい。この場合には、従系であるB系においては、配線32Bの信号、すなわち、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQに基づいて自動無効電力調整装置24Bが調整指令を出力し、この調整指令が電圧設定器27Bに入力されて電圧設定値が調整される。したがって、電圧設定器27A及び27Bは、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQに基づいて電圧設定値を調整することとなり、電圧設定器27A及び27Bの電圧設定値を一致させるようにすることができる。
【0045】
次に、第3実施形態に係る励磁制御装置130について説明する。
【0046】
図4は、第3実施形態に係る励磁制御装置の同期機信号検出及び制御回路を含む一部の構成図である。なお、図1及び図3に示す励磁制御装置と同様な構成については、同一の符号を付すこととする。
【0047】
励磁制御装置130は、励磁制御装置120において、同期機信号検出及び制御回路40A,40Bに代えて、同期信号検出及び制御回路50A,50Bを備え、配線34A,34B、をさらに備えている。同期信号検出及び制御回路50A,50Bは、同期機信号検出及び制御回路40A,40Bにおいて、選択回路25A,25Bと、自動追従回路28A,28Bと、を備えず、電圧設定器27A,27Bに代えて、電圧設定器33A,33Bを備え、選択回路35A,35Bをさらに備える。
【0048】
電圧設定器33A(33B)は、電圧設定器27A(27B)の機能に加えて、入力された電圧に追従する電圧を出力する追従機能をさらに有する。本実施形態では、電圧設定器33A(33B)は、追従用入力端子を有し、追従用入力端子に入力された電圧をそのまま出力する。
【0049】
配線34A(34B)は、電圧設定器33A(33B)から出力された電圧を、他系の電圧設定器33B(33A)の追従用入力端子に入力するように接続されている。
【0050】
選択回路35A(35B)は、配線34A(34B)と、電圧設定器33A(33B)との間に配置され、これらの間の開閉を制御する。選択回路35A(35B)は、A系(35Bの場合は、B系)が従系である場合に、配線34A(34B)と電圧設定器33A(33B)との間を接続状態とし、A系(35Bの場合は、B系)が主系である場合に、配線34A(34B)と電圧設定器33A(33B)との間を切断状態とする。
【0051】
ここで、追従入力回路は、配線34A,34B及び選択回路35A,35Bにより構成される。
【0052】
次に、励磁制御装置130の動作について説明する。なお、この説明において、A系が主系として制御され、B系が従系として制御されているものとする。
【0053】
励磁制御装置130が無効電力制御を行うように制御されている場合には、A系においては、減算器16Aが出力する偏差信号ΔQに基づいて自動無効電力調整装置24Aから調整指令が出力され、調整指令が選択回路26Aを介して電圧設定器27Aに入力されて電圧設定値が調整される。
【0054】
一方、B系が従系であるので、選択回路35Bが、配線34Aと電圧設定器33Bとの間を閉状態とするので、配線34Aの信号、すなわち、電圧設定器33Aの出力が電圧設定器33Bに入力され、電圧設定器33Bは、電圧設定器33Aの出力に追従する(例えば、同じ)電圧設定値を出力することとなる。
【0055】
このような動作により、従系の電圧設定器は、主系の電圧設定器に追従する電圧設定値を出力することとなり、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響や、自動無効電力調整装置24A及び24Bの出力偏差の影響を受けずに、電圧設定器33A及び33Bの電圧設定値を一致させるようにすることができる。これにより、P/Q変換器14A及び14Bとの間の無効電力の検出誤差の影響によって自動電圧調整装置22A,22Bの出力信号の偏差が拡大することにより異常とされてしまう誤診断を防止することができる。
【0056】
なお、本実施形態において、選択回路31A,31B及び配線32A,32Bを備えないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100,110,120,130…励磁制御装置、6A,6B,30A,30B,40A,40B,50A,50B…同期機信号検出及び制御回路、11A,11B…励磁制御部、21A,21B,27A,27B,33A,33B…電圧設定器、22A,22B…自動電圧調整装置、23A,23B…無効電力設定器、24A,24B…自動無効電力調整装置、25A,25B…選択回路、26A,26B…選択回路、28A,28B…自動追従回路、29A,29B…配線、31A,31B…選択回路、32A,32B…配線、34A,34B…配線、35A,35B…選択回路、1000…同期機端子電圧制御システム




図1
図2
図3
図4