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特開2023-180485高電圧補機システムおよび電子制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180485
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】高電圧補機システムおよび電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 1/00 20060101AFI20231214BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20231214BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231214BHJP
   B60L 58/25 20190101ALI20231214BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231214BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60L1/00 L
H01M10/615
H01M10/6571
H01M10/633
H01M10/625
H01M10/6568
B60L50/60
B60L58/25
H02M7/48 M
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093840
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 剛志
(72)【発明者】
【氏名】三善 利忠
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB11
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB06
5H031CC09
5H031KK03
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA09
5H125BC19
5H125BC25
5H125CD04
5H125CD09
5H125EE70
5H770AA05
5H770BA05
5H770CA06
5H770DA03
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA06Z
5H770HA09Z
5H770HA14W
5H770JA17W
5H770LA02Z
(57)【要約】
【課題】高電圧補機の部品故障および寿命低下を防ぐことの可能な高電圧補機システムを提供する。
【解決手段】車両に搭載される高電圧補機システムは、高電圧バッテリ10と昇温装置21と高電圧補機30と電子制御装置35を備える。昇温装置21は、高電圧バッテリ10と電気回路40を経由して接続され、高電圧バッテリ10を電圧と電流の変動を利用して昇温する。高電圧補機30は、電気回路40に電気的に接続され、高電圧バッテリ10からの電力供給により駆動する。電子制御装置35は、昇温装置21の作動および高電圧補機30の作動による電圧と電流の変動が高電圧補機30の許容値未満となるように、高電圧補機30の作動状態の抑制、および、高電圧補機30と電気回路40との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される高電圧補機システムにおいて、
高電圧バッテリ(10)と、
前記高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、前記高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、
前記電気回路に電気的に接続され、前記高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)と、
前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する電子制御装置(35)と、を備える高電圧補機システム。
【請求項2】
前記高電圧補機の作動により駆動して前記高電圧バッテリの温度調整を行う電池温調装置(50)をさらに備え、
前記昇温装置の作動による昇温、および、前記電池温調装置による温度調整の両方により、前記高電圧バッテリの昇温を行うように構成されている、請求項1に記載の高電圧補機システム。
【請求項3】
前記電子制御装置は、前記昇温装置に要求される昇温能力としての要求昇温能力を取得し、前記要求昇温能力が所定値以上、且つ、前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値以上となり得る条件下でそれを防ぐように前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
【請求項4】
前記電子制御装置が実行する前記高電圧補機の作動状態の抑制は、前記高電圧補機の作動を停止することを含んでいる、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
【請求項5】
複数の前記高電圧補機を備え、
前記電子制御装置が実行する前記高電圧補機の作動状態の抑制は、1以上の前記高電圧補機の作動を抑制することである、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
【請求項6】
前記高電圧バッテリと前記高電圧バッテリとを接続する電気回路(40)に対して並列接続された別の電気回路(41)の途中に設けられた接続機構(36)をさらに備え、
前記電子制御装置は、前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記接続機構を開くことで前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続を遮断する、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
【請求項7】
複数の前記高電圧補機を備え、
前記電子制御装置は、1以上の前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続を遮断する、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
【請求項8】
高電圧バッテリ(10)と、前記高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、前記高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、前記電気回路に電気的に接続され、前記高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)とを備える高電圧補機システムに用いられる電子制御装置において、
前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行するように構成されている、電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される高電圧補機システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド車またはプラグインハイブリッド車等の車両に搭載される高電圧補機システムが知られている。高電圧補機システムは、高電圧補機および高電圧バッテリ等を含んで構成される。
【0003】
特許文献1に記載のシステムは、高電圧バッテリに接続された昇温装置により、低外気温時に高電圧バッテリを昇温する構成である。具体的には、昇温装置は、高電圧バッテリに対し、インダクタとキャパシタと交流電源とが直列に接続された共振回路である。昇温装置は、交流電源により共振回路の共振周波数の交流電圧を発生させ、それにより生じるリプル電流を高電圧バッテリ内のセルに流して高電圧バッテリを昇温する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4081855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムにおいて、昇温装置でリプルを発生させると、その昇温装置と高電圧バッテリとを接続する電気回路に電気的に接続された他の高電圧補機に対してもリプルが干渉する。このリプルの干渉は、高電圧補機の部品故障や寿命低下を引き起こす恐れがある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、高電圧補機の部品故障および寿命低下を防ぐことの可能な高電圧補機システムおよび電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
車両に搭載される高電圧補機システムにおいて、
高電圧バッテリ(10)と、
高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、
電気回路に電気的に接続され、高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)と、
昇温装置の作動および高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が高電圧補機の許容値未満となるように、高電圧補機の作動状態の抑制、および、高電圧補機と電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する電子制御装置(35)と、を備える。
【0008】
これによれば、昇温装置が高電圧バッテリを昇温する際、電圧と電流の変動(以下、「リプル」ということがある)が電気回路に電気的に接続された高電圧補機に入ることがある。また、高電圧補機の作動によってもリプルが生じる。その際、電子制御装置は、昇温装置の作動および高電圧補機の作動によるリプルが高電圧補機の許容値未満となるように、高電圧補機の作動状態の抑制、および、高電圧補機と電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する。これにより、高電圧補機に入るリプルが許容値未満となるので、高電圧補機の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。
【0009】
請求項8に記載の発明は、高電圧補機システムに用いられる電子制御装置に関する。高電圧補機システムは、高電圧バッテリ(10)と、その高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、その電気回路に電気的に接続され、高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)とを備える。
そして、電子制御装置は、昇温装置の作動および高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が高電圧補機の許容値未満となるように、高電圧補機の作動状態の抑制、および、高電圧補機と電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行するように構成されている。
【0010】
これによれば、請求項8に記載の発明も、上記請求項1に係る発明と同様の作用効果を奏する。なお、以下の説明では、電子制御装置をECUという。ECUはElectronic Control Unitの略である。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る高電圧補機システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る高電圧補機システムが備える複数のECUの通信の一例を示す概念図である。
図3】比較例の高電圧補機システムにおいて、補機側平滑コンデンサに発生するリプルの一例を示すグラフである。
図4】第1実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機側平滑コンデンサに発生するリプルの一例を示すグラフである。
図5】第1実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECUが実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る高電圧補機システムの概略構成図である。
図7】第2実施形態に係る高電圧補機システムが備える複数のECUの通信の一例を示す概念図である。
図8】第2実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECUが実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る高電圧補機システムの概略構成図である。
図10】第3実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECUが実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第4実施形態に係る高電圧補機システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の高電圧補機システムは、電気自動車、ハイブリッド車またはプラグインハイブリッド車等に搭載されるものである。
【0015】
図1に示すように、高電圧補機システムは、高電圧バッテリ10、主機20および高電圧補機30等を備えている。なお、図1では、1個の高電圧補機30を記載しているが、それに限らず、高電圧補機システムは、複数の高電圧補機30を備えていてもよい。
【0016】
高電圧バッテリ10は、充放電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池により構成される。なお、一般に、高電圧バッテリ10は、低温では性能低下および劣化の課題があり、昇温して使うことで改善する。
高電圧バッテリ10と主機20と高電圧補機30とは、電気回路40、41により接続されている。電気回路40、41は、高電圧ケーブルにより構成される。高電圧バッテリ10は、電気回路40を経由して主機20に電力を供給すると共に、その電気回路40に並列に接続された別の電気回路41を経由して高電圧補機30にも電力を供給する。以下の説明では、高電圧バッテリ10と主機INV21とを接続する電気回路40を「主機側電気回路40」という。また、その主機側電気回路40と高電圧補機30とを接続する電気回路41を「補機側電気回路41」という。
【0017】
高電圧バッテリ10は、バッテリECU11を備えている。バッテリECU11は、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有している。バッテリECU11は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで、高電圧バッテリ10の充放電の制御、および、高電圧バッテリ10の温度検知等を実行する。
【0018】
主機20は、主機インバータ21、主機側平滑コンデンサ22、不図示の走行用モータ等を有している。以下、インバータを「INV」と表記する。主機INV21は、高電圧バッテリ10から供給される直流電流を交流電流(具体的には、三相交流電流)に変換し、走行用モータに電力を供給し、走行用モータを駆動する。また、主機INV21は、走行用モータが発電機として機能する際、その走行用モータ(即ち、発電機)から供給される交流電流を直流電流に変換し、高電圧バッテリ10に充電する。主機側平滑コンデンサ22は、高電圧バッテリ10から主機INV21に供給される電圧を平滑するものである。
【0019】
さらに、本実施形態の主機INV21は、高電圧バッテリ10を電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温機能を有している。本実施形態の主機INV21は、特許請求の範囲に記載の「昇温装置」の一例である。主機側平滑コンデンサ22と高電圧バッテリ10とを接続する主機側電気回路40には所定のインダクタンスが存在する。そのため、主機側平滑コンデンサ22と高電圧バッテリ10とそれらを接続する主機側電気回路40は、共振回路を構成している。したがって、主機INV21を所定の共振周波数で作動させると共振回路に共振が生じ、それにより発生するリプル電流により高電圧バッテリ10を自己発熱により昇温することが可能である。なお、本実施形態では昇温装置を主機INV21で構成したが、それに限らず、昇温装置は、例えば、主機INV21とは別のINVまたは別の共振回路で構成してもよい。
【0020】
主機INV21は、主機ECU23を備えている。主機ECU23は、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有している。主機ECU23は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで、主機INV21の作動を制御する。
【0021】
高電圧補機30は、高電圧バッテリ10からの電力供給により駆動する車載電動機器である。本実施形態の高電圧補機30は、例えば、補機INV31、補機モータ32、圧縮部33、補機側平滑コンデンサ34等を有する電動圧縮機である。補機INV31は、主機側電気回路40に並列に接続された補機側電気回路41に接続されている。補機INV31は、高電圧バッテリ10から供給される直流電流を交流電流(具体的には、三相交流電流)に変換して補機モータ32に電力を供給し、補機モータ32を駆動する。補機モータ32は、電動圧縮機が有する圧縮部33を駆動する。補機側平滑コンデンサ34は、高電圧バッテリ10から補機INV31に供給される電圧を平滑するものである。
【0022】
補機INV31は、補機ECU35を備えている。補機ECU35は、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有している。補機ECU35は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで、補機INV31の作動を制御する。なお、本実施形態の補機ECU35は、特許請求の範囲に記載の「電子制御装置」の一例である。
【0023】
図2に示すように、上述したバッテリECU11と主機ECU23と補機ECU35は、例えばCAN(Controller Area Networkの略)通信などによる車内LAN(Local Area Networkの略)、またはワイヤーハーネス等を通じて接続されている。図2は、バッテリECU11と主機ECU23と補機ECU35における通信の一例を模式的に示したものである。
【0024】
バッテリECU11は、高電圧バッテリ10の温度を検知し、その情報を主機ECU23に通知する。主機ECU23は、バッテリECU11から取得した高電圧バッテリ10の温度に基づき、要求される昇温能力(以下、「要求昇温能力」という)を演算する。そして、主機ECU23は、その要求昇温能力に基づき主機INV21による昇温作動を実行すると共に、その要求昇温能力に関する情報を補機ECU35に通知する。上述したように、主機INV21による昇温作動は、主機INV21を所定の共振周波数で作動し、それにより主機側平滑コンデンサ22と高電圧バッテリ10との間で電圧変動および電流変動を起こし、高電圧バッテリ10を自己発熱により昇温するものである。
【0025】
その際、主機側電気回路40に並列接続された補機側電気回路41に接続された高電圧補機30の補機側平滑コンデンサ34に対しても、主機INV21の昇温作動による電圧変動および電流変動が入力される。また、それと共に、高電圧補機30が作動しているときには、補機側平滑コンデンサ34に対し、補機INV31の作動による電圧変動および電流変動が入力される。補機側平滑コンデンサ34に入力される電圧変動および電流変動(即ち、リプル)が、補機側平滑コンデンサ34の許容値を超えると、高電圧補機30の部品故障や寿命低下が生じる恐れがある。
【0026】
そこで、補機ECU35は、主機ECU23から取得した要求昇温能力に基づき、高電圧補機30の作動状態を決定する。第1実施形態において、補機ECU35は、主機INV21の作動および補機INV31の作動による電圧と電流の変動が補機側平滑コンデンサ34の許容値未満となるように、高電圧補機30の作動状態を抑制する。補機側平滑コンデンサ34の許容値は、高電圧補機30の部品仕様によって変化する値であり、予め実験等で設定され、補機ECU35のメモリーに記憶されているものである。なお、高電圧補機30の作動状態の抑制は、高電圧補機30の作動を停止させることを含んでいる。これにより、補機INV31から補機側平滑コンデンサ34に入力されるリプルが減少し、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルが補機側平滑コンデンサ34の許容値未満となる。したがって、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。
【0027】
ここで、第1実施形態高電圧補機システムと比較するため、比較例の高電圧補機システムについて説明する。
【0028】
比較例の高電圧補機システムは、高電圧補機30の有する補機ECU35が主機INV21の作動および補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルに応じて高電圧補機30の作動状態の制御を行わないものであり、それ以外は上述した第1実施形態の高電圧補機システムと同一の構成である。
【0029】
図3のグラフは、比較例の高電圧補機システムにおいて、主機INV21が高電圧バッテリ10の昇温作動を実行する際に、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルの一例を示すグラフである。図3のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は電圧または電流を示している。実線Crは、補機側平滑コンデンサ34の許容値を示している。
【0030】
比較例では、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルは、主機INV21の昇温作動によるリプルと、補機INV31の作動によるリプルとが重畳されたものである。比較例では、補機ECU35は、高電圧補機30の作動状態を抑制していない。そのため、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルは、許容値より大きいものとなっている。比較例では、絶対値として大きいことを示しているが、許容値との比較ができる手段であれば計算値などを用いても良い。
【0031】
それに対し、図4のグラフは、第1実施形態の高電圧補機システムにおいて、主機INV21が高電圧バッテリ10の昇温作動を実行する際に、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルの一例を示すグラフである。図4のグラフでも、横軸は時間を示し、縦軸は電圧または電流を示している。また、実線Crは、補機側平滑コンデンサ34の許容値を示している。
【0032】
第1実施形態においても、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルは、主機INV21の昇温作動によるリプルと、補機INV31の作動によるリプルとが重畳されたものである。ただし、第1実施形態では、補機ECU35は、高電圧補機30の作動状態を抑制することで、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルを下げることができ、補機側平滑コンデンサ34に発生するリプルを許容値未満にできていることが分かる。
【0033】
続いて、第1実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECU35が実行する制御処理の一例を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
図5に示した制御処理は、周期的に繰り返し実行される大きな制御フローの一部である。したがって、図5に示した制御処理は、その大きな制御フローと共に周期的に繰り返し実行される。
【0035】
まずステップS10で補機ECU35は、主機ECU23から昇温状態フラグを受信する。昇温状態フラグは、主機INV21が高電圧バッテリ10の昇温作動を実行している最中(即ち、「昇温中」)であるか否かを示すものである。
【0036】
次にステップS20で補機ECU35は、作動状態変更フラグを受信する。作動状態変更フラグは、高電圧補機30の作動状態が抑制された状態(即ち、「変更中」)であるか、または、通常の作動状態であるかを示すものである。
【0037】
続いてステップS30で補機ECU35は、ステップS10で受信した昇温状態フラグが「昇温中」であるか否かを判定する。このステップS30で昇温状態フラグが「昇温中」ではないと判定された場合、処理はステップS100に進む。ステップS100で補機ECU35は、作動状態変更フラグの設定をクリア(即ち、作動状態変更フラグが「変更中」であればそのフラグを解除)し、処理をステップS70に進める。ステップS70で補機ECU35は、高電圧補機30を通常の作動状態で作動する。
【0038】
それに対し、上記ステップS30で昇温状態フラグが「昇温中」と判定された場合、処理はステップS40に進む。ステップS40で補機ECU35は、ステップS20で受信した作動状態変更フラグが「変更中」であるか否かを判定する。このステップS40で作動状態変更フラグが「変更中」である(即ち、高電圧補機30の作動が抑制された状態)と判定された場合、処理はステップS110に進む。ステップS110で補機ECU35は、作動状態変更フラグを「変更中」のまま維持し、高電圧補機30の作動状態を抑制した状態で維持する。
【0039】
それに対し、上記ステップS30で昇温状態フラグが「昇温中」と判定され、次のステップS40で作動状態変更フラグが「変更中」でない(即ち、高電圧補機30が通常の作動状態)と判定された場合、処理はステップS50に進む。
【0040】
ステップS50で補機ECU35は、補機側平滑コンデンサ34に発生する電圧変動または電流変動を、例えば補機INV31の有する電圧検出回路または電流検出回路等から取得する。そして、ステップS60で補機ECU35は、ステップS50で取得した電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であるか否かを判定する。電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であると判定された場合、処理はステップS70に進む。ステップS70で補機ECU35は、高電圧補機30を通常の作動状態で作動する。
【0041】
一方、上記ステップS60で、電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満ではない(即ち、許容値以上である)と判定された場合、処理はステップS80に進む。ステップS80で補機ECU35は、高電圧補機30の作動状態を抑制した状態に変更する。なお、高電圧補機30の作動状態の抑制は、高電圧補機30の作動条件を出力が下がる方向に変更することに加え、高電圧補機30の作動を停止させることも含んでいる。これにより、補機側平滑コンデンサ34に発生する電圧変動または電流変動が低下する。次に処理はステップS90に進み、補機ECU35は、作動状態変更フラグを「変更中」に設定する。
【0042】
その後、補機ECU35は処理を一旦終了し、大きな制御フローと共に上記で説明した制御処理を周期的に繰り返し実行する。
【0043】
以上説明した第1実施形態の高電圧補機システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態の高電圧補機システムでは、昇温装置として機能する主機INV21が電圧と電流の変動により高電圧バッテリ10を昇温する際、補機ECU35は、主機INV21のおよび補機INV31の作動によるリプルが補機側平滑コンデンサ34の許容値未満となるように、高電圧補機30の作動状態を抑制する。これにより、高電圧補機30の作動により発生するリプルが低減し、補機側平滑コンデンサ34に入るリプルが許容値未満となる。そのため、高電圧補機30を、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満で使用することが可能となる。したがって、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。
【0044】
(2)第1実施形態では、補機ECU35が実行する高電圧補機30の作動状態の抑制は、高電圧補機30の作動を停止することを含んでいる。
これによれば、高電圧補機30の作動を停止することで、補機側平滑コンデンサ34に入力されるリプルを低減し、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。また、主機20による高電圧バッテリ10の昇温作動を優先させて、高電圧バッテリ10を短時間で昇温することが可能となる。
【0045】
(3)第1実施形態の高電圧補機システムは、複数の高電圧補機30を備えていてもよい。その場合、補機ECU35が実行する高電圧補機30の作動状態の抑制は、1以上の高電圧補機30の作動を抑制することである。
これによれば、複数の高電圧補機30のうち、平滑コンデンサに入るリプルが許容値以上となる1以上の高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことが可能である。また、主機20による高電圧バッテリ10の昇温を優先させて、高電圧バッテリ10を短時間で昇温することが可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して高電圧補機システムの構成の一部と、補機ECU35の制御処理の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
図6に示すように、第2実施形態の高電圧補機システムは、高電圧バッテリ10、主機20、高電圧補機30に加えて、高電圧バッテリ10の温度調整を行う電池温調装置50を備えている。すなわち、第2実施形態の高電圧補機システムは、主機INV21の昇温作動による高電圧バッテリ10の昇温と、電池温調装置50による電池温調といった2つの手段を組み合わせて高電圧バッテリ10を昇温することの可能な構成である。
【0048】
図6に例示した電池温調装置50は、電動圧縮機を含む冷凍サイクル装置51と、冷却水が循環する冷却水回路52により構成されている。
【0049】
冷凍サイクル装置51は、高電圧補機30の一例としての電動圧縮機の圧縮部33、水-冷媒熱交換器53、膨張弁54、および空気-冷媒熱交換器55等が冷媒配管56により接続された蒸気圧縮式冷凍サイクルである。冷凍サイクル装置51を循環する冷媒として、例えばHFC系冷媒(例えば、R134a)またはHFO系冷媒(例えば、R1234yf)等が用いられる。なお、冷媒として、自然冷媒(例えば、二酸化炭素)等を用いてもよい。
【0050】
電動圧縮機の圧縮部33として種々の様式のものを使用できる。圧縮部33は、冷媒を吸入および吐出するための第1開口部331と第2開口部332を有している。圧縮部33は、第1開口部331から吸入した気相冷媒を圧縮して第2開口部332から吐出することが可能である。
【0051】
圧縮部33の第2開口部332から吐出した高温高圧の気相冷媒は、水-冷媒熱交換器53に流入する。水-冷媒熱交換器53は、冷凍サイクル装置51を循環する冷媒と冷却水回路52を流れる冷却水との熱交換を行うものである。水-冷媒熱交換器53を流れる冷媒は、冷却水に放熱して凝縮する。一方、水-冷媒熱交換器53を流れる冷却水は、冷媒から吸熱して加熱される。
【0052】
膨張弁54は、固定絞りまたは可変絞りである。水-冷媒熱交換器53から流出した液相冷媒は、膨張弁54を通過する際に減圧膨張し、気液二相状態となって空気-冷媒熱交換器55に流入する。
【0053】
空気-冷媒熱交換器55は、空気と冷媒との熱交換により、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。即ち、空気-冷媒熱交換器55を流れる冷媒は、空気-冷媒熱交換器55を通過する空気から吸熱して蒸発し、気相冷媒となって圧縮部33の第1開口部331に吸い込まれる。
【0054】
なお、冷凍サイクル装置51は、上記の構成の他に、例えば、冷媒と外気との熱交換を行う凝縮器および液貯め等、種々の構成を備えていてもよい。
【0055】
一方、冷却水回路52は、冷却水ポンプ57と、水-冷媒熱交換器53と、電池熱交換器58とが冷却水配管59により接続されたものである。冷却水回路52を循環する冷却水として、例えばLLC(long life coolantの略)が用いられる。
【0056】
冷却水ポンプ57は、冷却水回路52に冷却水を循環させる電動ポンプである。冷却水回路52を循環する冷却水は、上述したように水-冷媒熱交換器53で冷媒から吸熱して加熱される。その加熱された冷却水は、高電圧バッテリ10に設けられた電池熱交換器58を通過する際に高電圧バッテリ10に放熱し、高電圧バッテリ10を昇温することが可能である。
【0057】
電池温調装置50は、温調ECU60を備えている。温調ECU60は、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有している。温調ECU60は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで、冷凍サイクル装置51および冷却水回路52の作動の制御、および、冷却水回路52を循環する冷却水の水温の検知等を実行する。
【0058】
図7に示すように、上述したバッテリECU11と主機ECU23と補機ECU35と温調ECU60は、例えばCAN通信などによる車内LAN、またはワイヤーハーネス等を通じて接続されている。図7は、バッテリECU11と主機ECU23と補機ECU35と温調ECU60における通信の一例を模式的に示したものである。
【0059】
バッテリECU11は、高電圧バッテリ10の温度を検知し、その情報を主機ECU23に通知する。主機ECU23は、バッテリECU11から取得した高電圧バッテリ10の温度に基づき、要求昇温能力を演算する。そして、主機ECU23は、その要求昇温能力に基づき主機INV21による昇温作動を実行すると共に、その要求昇温能力に関する情報を補機ECU35に通知する。それと並行して、温調ECU60は、冷却水回路52を循環する冷却水の水温を検知し、その情報を補機ECU35に通知する。
【0060】
補機ECU35は、主機ECU23から取得した要求昇温能力に関する情報と、温調ECU60から取得した冷却水回路52を循環する冷却水の水温に関する情報に基づき、高電圧補機30が作動するモードを調停し決定する。したがって、第2実施形態では、補機ECU35は、主機ECU23から取得した要求昇温能力が同じであっても、冷却水の水温によって高電圧補機30の作動モードを変化させる制御処理を実行するものである。以下、この補機ECU35が実行する制御処理について詳細に説明する。
【0061】
第2実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECU35が実行する制御処理の一例を、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0062】
図8に示した制御処理は、周期的に繰り返し実行される大きな制御フローの一部である。したがって、図8に示した制御処理は、その大きな制御フローと共に周期的に繰り返し実行される。
【0063】
まずステップS110で補機ECU35は、主機ECU23から昇温状態フラグを受信する。昇温状態フラグは、主機INV21が高電圧バッテリ10を「昇温中」であるか否かを示すものである。
【0064】
次にステップS120で補機ECU35は、作動C状態フラグを受信する。作動C状態フラグは、高電圧補機30が作動Cモードにあるか否かを示すものである。作動Cモードとは、補機側平滑コンデンサ34に入力される電圧変動および電流変動(即ち、リプル)が補機側平滑コンデンサ34の許容値未満となるように、高電圧補機30の作動条件を出力が下がる方向に変更(即ち、抑制)した作動モードである。なお、後述するように、作動Cモードは、主機INV21の要求昇温能力が所定値以上、且つ、補機側平滑コンデンサ34に入力される電圧変動および電流変動(即ち、リプル)が補機側平滑コンデンサ34の許容値以上となり得る条件下で、それを防ぐために実施されるものである。
【0065】
続いてステップS130で補機ECU35は、ステップS110で受信した昇温状態フラグが「昇温中」であるか否かを判定する。昇温状態フラグが「昇温中」ではないと判定された場合、処理はステップS220に進む。ステップS220で補機ECU35は、作動C状態フラグをクリア(即ち、作動C状態フラグがONであればそのフラグをOFF)し、処理をステップS230に進める。ステップS230で補機ECU35は、高電圧補機30を作動Dモードとする。作動Dモードは、高電圧補機30の作動制限がないモードである。
【0066】
一方、上記ステップS130で昇温状態フラグが「昇温中」であると判定された場合、処理はステップS140に進む。ステップS140で補機ECU35は、主機ECU23から要求昇温能力を取得する。そしてステップS150で補機ECU35は、その要求昇温能力が所定値未満か否かを判定する。その所定値は、要求昇温能力に基づいて主機INV21が昇温作動をした際にも高電圧補機30が出力範囲を狭めて作動可能となる値であり、予め実験などで設定されて補機ECU35に記憶されている。ステップS150で要求昇温能力が所定値未満であると判定された場合、処理はステップS240に進む。ステップS240で補機ECU35は、高電圧補機30を作動Aモードとする。作動Aモードは、要求昇温能力が所定値未満の条件で高電圧補機30が作動できる出力範囲での作動モードである。高電圧補機30の作動制限がない作動Dモードよりも、作動Aモードの方が出力範囲が狭いことを意味する。
【0067】
一方、上記ステップS150で要求昇温能力が所定値以上であると判定された場合、処理はステップS160に進む。ステップS160で補機ECU35は、ステップS120で受信した作動C状態フラグがONであるか否かを判定する。作動C状態フラグがONと判定された場合、処理はステップS250に進む。ステップS250で補機ECU35は、作動Cモードを維持する。
【0068】
一方、上記ステップS160で作動C状態フラグがONではない(即ち、OFF)と判定された場合、処理はステップS170に進む。ステップS170で補機ECU35は、補機側平滑コンデンサ34に発生する電圧変動または電流変動を、例えば補機INV31の有する電圧検出回路または電流検出回路等から取得する。
【0069】
続いてステップS180で補機ECU35は、ステップS170で取得した電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であるか否かを判定する。電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であると判定された場合、処理はステップS190に進む。ステップS190で補機ECU35は、高電圧補機30を作動Bモードとする。作動Bモードは、要求昇温能力は所定値以上であるが、補機側平滑コンデンサ34に発生する電圧変動または電流変動が許容値を超過していないため、作動状態を変更することなく高電圧補機30の動作を維持する作動モードである。
【0070】
一方、上記ステップS180で、電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満ではない(即ち、許容値以上である)と判定された場合、処理はステップS200に進む。ステップS200で補機ECU35は、高電圧補機30を作動Cモードとする。その後、処理はステップS210に進み、補機ECU35は、作動C状態フラグをONに設定する。
【0071】
その後、補機ECU35は処理を一旦終了し、大きな制御フローと共に上記で説明した制御処理を周期的に繰り返し実行する。
【0072】
以上説明した第2実施形態の高電圧補機システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)第2実施形態の高電圧補機システムは、高電圧補機30の作動により駆動して高電圧バッテリ10の温度調整を行う電池温調装置50を備えている。そして、昇温装置としての主機INV21の作動による昇温、および、電池温調装置50による温度調整の両方により、高電圧バッテリ10の昇温を行うように構成されている。
これにより、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぎつつ、その高電圧補機30の作動により駆動する電池温調装置50と主機INV21の両方を使用して高電圧バッテリ10を昇温することで、低外気温時においても高電圧バッテリ10を短時間で効率的に昇温できる。
【0073】
詳細には、上記図6図8を参照して説明したように、高電圧補機30が作動している場合、電池温調装置50も作動していることになるため、高電圧補機30の作動モードを変更することは、電池温調を実行していることになる。すなわち、第2実施形態の高電圧補機システムは、主機INV21による高電圧バッテリ10の加熱と、電池温調装置50による電池温調の2つの高電圧バッテリ10加熱機能を有しており、これらの機能を調停して利用することにより、効率的な作動を実現するものである。
【0074】
(2)補機ECU35は、主機ECU23から取得した要求昇温能力が所定値以上、且つ、主機INV21の昇温作動および高電圧補機30の作動による電圧と電流の変動が高電圧補機30の許容値以上となり得る条件下でそれを防ぐように高電圧補機30の作動状態の抑制を実行する。
これによれば、要求昇温能力が大きいときは、低外気温により高電圧バッテリ10の性能が低下している状態である。その際、補機ECU35は、補機側平滑コンデンサ34に生じるリプルが許容値以上となり得る条件下でそれを防ぐように高電圧補機30の作動状態の抑制を実行する。これにより、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぎつつ、昇温装置による高電圧バッテリ10の昇温を優先させて、高電圧バッテリ10を短時間で昇温し、高電圧補機システム全体の性能を短時間で向上させることができる。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対して高電圧補機システムの構成の一部と、補機ECU35の制御処理の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
図9に示すように、第3実施形態の高電圧補機システムは、第2実施形態で説明したシステムに対し、補機側電気回路41の途中に設けられた接続機構36を備えている。接続機構36は、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を変更することの可能な構成であり、例えば、半導体スイッチまたはリレーにより構成される。具体的には、接続機構36を開くことで、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続が遮断状態(即ち、電気的接続が切り離された状態)となる。一方、接続機構36を閉じることで、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続が接続状態(即ち、電気的接続が繋がった状態)となる。
【0077】
第3実施形態の高電圧補機システムにおいて、補機ECU35が実行する制御処理の一例を、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図10に示した制御処理は、周期的に繰り返し実行される大きな制御フローの一部である。したがって、図10に示した制御処理は、その大きな制御フローと共に周期的に繰り返し実行される。
【0079】
まずステップS310で補機ECU35は、主機ECU23から昇温状態フラグを受信する。昇温状態フラグは、主機INV21が高電圧バッテリ10を「昇温中」であるか否かを示すものである。
【0080】
次にステップS320で補機ECU35は、接続状態フラグを受信する。接続状態フラグは、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続が接続機構36により「遮断」または「接続」のいずれの状態にあるのかを示すものである。本実施形態において、接続状態フラグのONは、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続が接続機構36により「遮断」された状態(即ち、接続機構36が開いた状態)を示す。接続状態フラグのOFFは、その電気的接続が接続機構36により「接続」された状態(即ち、接続機構36が閉じた状態)を示す。
【0081】
続いてステップS330で補機ECU35は、ステップS310で受信した昇温状態フラグが「昇温中」であるか否かを判定する。昇温状態フラグが「昇温中」ではないと判定された場合、処理はステップS420に進む。ステップS420で補機ECU35は、接続状態フラグの設定をクリア(即ち、接続状態フラグがONであればそのフラグをOFF)し、処理をステップS390に進める。ステップS390で補機ECU35は、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を接続状態とし(即ち、接続機構36を閉じ)、高電圧補機30を通常の作動状態で作動する。
【0082】
それに対し、上記ステップS330において、昇温状態フラグが「昇温中」と判定された場合、処理はステップS340に進む。
【0083】
ステップS340で補機ECU35は、主機ECU23から要求昇温能力を取得する。そしてステップS350で補機ECU35は、その要求昇温能力が所定値未満か否かを判定する。ステップS350で要求昇温能力が所定値未満であると判定された場合、処理はステップS390に進み、補機ECU35は、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を接続状態とし(即ち、接続機構36を閉じ)、高電圧補機30を通常の作動状態で作動する。
【0084】
一方、上記ステップS350で要求昇温能力が所定値以上であると判定された場合、処理はステップS360に進む。ステップS360で補機ECU35は、ステップS320で受信した接続状態フラグがONであるか否かを判定する。接続状態フラグがONと判定された場合、処理はステップS430に進む。ステップS430で補機ECU35は、接続状態フラグがONである状態(即ち、電気的接続が遮断された状態)を維持する。
【0085】
それに対し、上記ステップS360において、接続状態フラグがONではない(即ち、接続状態フラグがOFF)と判定された場合、処理はステップS370に進む。ステップS370で補機ECU35は、補機側平滑コンデンサ34に発生する電圧変動または電流変動を、例えば補機INV31の有する電圧検出回路または電流検出回路等から取得する。
【0086】
続いてステップS380で補機ECU35は、ステップS370で取得した電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であるか否かを判定する。電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満であると判定された場合、処理はステップS390に進む。ステップS390で補機ECU35は、高電圧補機30を通常の作動状態で作動する。
【0087】
一方、上記ステップS380で、電圧変動または電流変動が、補機側平滑コンデンサ34の許容値未満ではない(即ち、許容値以上である)と判定された場合、処理はステップS400に進む。ステップS400で補機ECU35は、接続機構36を開き、主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を遮断状態とする。その後、処理はステップS410に進み、補機ECU35は、接続状態フラグをONに設定する。
【0088】
その後、補機ECU35は処理を一旦終了し、大きな制御フローと共に上記で説明した制御処理を周期的に繰り返し実行する。
【0089】
以上説明した第3実施形態の高電圧補機システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)第3実施形態の高電圧補機システムは、補機側電気回路41の途中に設けられた接続機構36を備える。そして、補機ECU35は、主機INV21の昇温作動および高電圧補機の作動によるリプルが補機側平滑コンデンサ34の許容値未満となるように、接続機構36を開くことで主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を遮断する制御を実行する。
これによれば、主機側電気回路40から補機側平滑コンデンサ34にリプルが入らなくなる。したがって、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。
【0090】
(2)第3実施形態の高電圧補機システムでは、補機ECU35は、主機INV21の昇温作動による電圧と電流の変動が補機側平滑コンデンサ34の許容値以上となり得る条件下でそれを防ぐように主機側電気回路40と高電圧補機30との電気的接続を遮断する制御を実行する。
これによれば、主機側電気回路40から補機側平滑コンデンサ34にリプルが入らなくなる。したがって、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぐことができる。
【0091】
(3)第3実施形態の高電圧補機システムも、複数の高電圧補機30を備えていてもよい。その場合、補機ECU35は、1以上の高電圧補機30と主機側電気回路40との電気的接続を遮断する。
これによれば、昇温装置と高電圧バッテリ10とを接続する主機側電気回路40から電気的接続を遮断された高電圧補機30にリプルが入ることが完全に遮断される。したがって、高電圧補機30の部品故障および寿命低下を防ぎつつ、主機INV21による高電圧バッテリ10の昇温を優先させて、高電圧バッテリ10を短時間で昇温することが可能となる。
【0092】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態等に対して高電圧補機30と電池温調装置50の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
図11に示すように、第4実施形態の高電圧補機システムが備える高電圧補機30は、駆動回路37、水加熱用高電圧ヒータ38、補機側平滑コンデンサ34等を有している。駆動回路37は、主機側電気回路40に並列接続された補機側電気回路41から電力が供給される。駆動回路37は、高電圧バッテリ10から供給される電力を制御して水加熱用高電圧ヒータ38に供給し、水加熱用高電圧ヒータ38を駆動する。その水加熱用高電圧ヒータ38は、ヒータ側熱交換器39を流れる冷却水を加熱する。補機側平滑コンデンサ34は、高電圧バッテリ10から駆動回路37に供給される電圧を平滑するものである。
【0094】
駆動回路37は、補機ECU35を備えている。第4実施形態の補機ECU35も、特許請求の範囲に記載の「電子制御装置」の一例である。
【0095】
第4実施形態の高電圧補機システムが備える電池温調装置50は、冷却水回路52により構成されている。冷却水回路52は、冷却水ポンプ57と、ヒータ側熱交換器39と、電池熱交換器58とが冷却水配管59により接続されたものである。
【0096】
冷却水ポンプ57は、冷却水回路52に冷却水を循環させる電動ポンプである。冷却水回路52を循環する冷却水は、ヒータ側熱交換器39を流れる際に水加熱用高電圧ヒータ38により加熱される。その加熱された冷却水は、高電圧バッテリ10に設けられた電池熱交換器58を通過する際に高電圧バッテリ10に放熱し、高電圧バッテリ10を昇温することが可能である。
【0097】
電池温調装置50は、温調ECU60を備えている。そして、バッテリECU11と主機ECU23と補機ECU35と温調ECU60は、例えばCAN通信などによる車内LAN、またはワイヤーハーネス等を通じて接続されている。第4実施形態の補機ECU35が実行する制御処理は、上記第1~第3実施形態で説明した制御処理と実質的に同一である。
【0098】
以上説明した第4実施形態の高電圧補機システムも、主機INV21の昇温作動による高電圧バッテリ10の昇温と、電池温調装置50による電池温調といった2つの手段を組み合わせて高電圧バッテリ10を昇温することの可能な構成である。そして、第4実施形態の高電圧補機システムも、上記第1~第3実施形態と同一の作用効果を奏することが可能である。
【0099】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、昇温装置として主機INV21を例示したが、それに限らず、昇温装置は、例えば、主機INV21とは別のINV、または、別の共振回路等で構成してもよい。
【0100】
(2)上記各実施形態では、高電圧補機30として電動圧縮機および水加熱用高電圧ヒータ38としたが、それに限らず、高電圧補機30は、例えば、空気加熱用高電圧ヒータ等、種々の車載電動機器としてもよい。
【0101】
(3)上記各実施形態では、電池温調装置50として冷凍サイクル装置51と冷却水回路52により構成されるもの、および、水加熱用高電圧ヒータ38を含む冷却水回路52により構成されるものを例示したが、それに限らない。電池温調装置50は、冷凍サイクル装置51や水加熱用高電圧ヒータ38を利用して電池温調する仕組みであれば、どのような形態であってもよい。
【0102】
(4)上記各実施形態では、電子制御装置として補機ECU35を例示したが、それに限らず、電子制御装置は、補機ECU35とは別のECUで構成してもよい。
【0103】
(5)上記第2実施形態では、電池温調装置50は、高電圧バッテリ10の低温時に、高電圧バッテリ10の昇温を行うことの可能な構成を説明したが、これに限らず、例えば、電池温調装置50は、高電圧バッテリ10の高温時に、高電圧バッテリ10の冷却を行うことを可能な構成としてもよい。例えば、第2実施形態で説明した冷凍サイクル装置51の冷媒配管56を流れる冷媒の流れ方向を逆向きにすることで、高電圧バッテリ10の冷却を行うことが可能である。具体的には、電動圧縮機として例えばロータリベーン型、ローリングピストン型などの両方向回転式のものを使用した場合、第2開口部332から吸入した冷媒を圧縮して第1開口部331から吐出することが可能である。その場合、第1開口部331から吐出した高温高圧の気相冷媒は、空気-冷媒熱交換器55を流れる際に、空気-冷媒熱交換器55を通過する空気に放熱して凝縮する。空気-冷媒熱交換器55から流出した液相冷媒は、膨張弁54を通過する際に減圧膨張し、気液二相状態となって水-冷媒熱交換器53に流入する。水-冷媒熱交換器53を流れる冷媒は、冷却水から吸熱して蒸発し、気相冷媒となって圧縮部33の第2開口部332に吸い込まれる。一方、冷却水回路52を循環する冷却水は、水-冷媒熱交換器53を流れる際に冷媒に放熱して冷却される。その冷却された冷却水は、高電圧バッテリ10に設けられた熱交換器を通過する際に高電圧バッテリ10から吸熱し、高電圧バッテリ10を冷却することが可能である。
【0104】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態およびその一部は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0105】
本発明に記載の電子制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本発明に記載の電子制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本発明に記載の電子制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0106】
本発明の特徴は次のとおりである。
[請求項1]
車両に搭載される高電圧補機システムにおいて、
高電圧バッテリ(10)と、
前記高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、前記高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、
前記電気回路に電気的に接続され、前記高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)と、
前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する電子制御装置(35)と、を備える高電圧補機システム。
[請求項2]
前記高電圧補機の作動により駆動して前記高電圧バッテリの温度調整を行う電池温調装置(50)をさらに備え、
前記昇温装置の作動による昇温、および、前記電池温調装置による温度調整の両方により、前記高電圧バッテリの昇温を行うように構成されている、請求項1に記載の高電圧補機システム。
[請求項3]
前記電子制御装置は、前記昇温装置に要求される昇温能力としての要求昇温能力を取得し、前記要求昇温能力が所定値以上、且つ、前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値以上となり得る条件下でそれを防ぐように前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行する、請求項1または2に記載の高電圧補機システム。
[請求項4]
前記電子制御装置が実行する前記高電圧補機の作動状態の抑制は、前記高電圧補機の作動を停止することを含んでいる、請求項1~3のいずれか1つに記載の高電圧補機システム。
[請求項5]
複数の前記高電圧補機を備え、
前記電子制御装置が実行する前記高電圧補機の作動状態の抑制は、1以上の前記高電圧補機の作動を抑制することである、請求項1~4のいずれか1つに記載の高電圧補機システム。
[請求項6]
前記高電圧バッテリと前記高電圧バッテリとを接続する電気回路(40)に対して並列接続された別の電気回路(41)の途中に設けられた接続機構(36)をさらに備え、
前記電子制御装置は、前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記接続機構を開くことで前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続を遮断する、請求項1~4のいずれか1つに記載の高電圧補機システム。
[請求項7]
複数の前記高電圧補機を備え、
前記電子制御装置は、1以上の前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続を遮断する、請求項1~4、6のいずれか1つに記載の高電圧補機システム。
[請求項8]
高電圧バッテリ(10)と、前記高電圧バッテリと電気回路(40)を経由して接続され、前記高電圧バッテリを電圧と電流の変動を利用して昇温する昇温装置(21)と、前記電気回路に電気的に接続され、前記高電圧バッテリからの電力供給により駆動する高電圧補機(30)とを備える高電圧補機システムに用いられる電子制御装置において、
前記昇温装置の作動および前記高電圧補機の作動による電圧と電流の変動が前記高電圧補機の許容値未満となるように、前記高電圧補機の作動状態の抑制、および、前記高電圧補機と前記電気回路との電気的接続の遮断の少なくとも一方を実行するように構成されている、電子制御装置。
【符号の説明】
【0107】
10 高電圧バッテリ
21 主機INV(昇温装置の一例)
30 高電圧補機
35 補機ECU(電子制御装置の一例)
40 電気回路(主機側電気回路)
図1
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