IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本アビオニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ワーク保持装置 図1
  • 特開-ワーク保持装置 図2
  • 特開-ワーク保持装置 図3
  • 特開-ワーク保持装置 図4
  • 特開-ワーク保持装置 図5
  • 特開-ワーク保持装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180493
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ワーク保持装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/04 20060101AFI20231214BHJP
   B23Q 3/15 20060101ALI20231214BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20231214BHJP
   B25B 11/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B23K37/04 H
B23Q3/15 A
B23K26/10
B25B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093849
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000227836
【氏名又は名称】日本アビオニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】木田 英孝
【テーマコード(参考)】
3C016
3C020
4E168
【Fターム(参考)】
3C016GA01
3C020WW02
4E168BA30
4E168BA83
4E168HA01
(57)【要約】
【課題】ワークを高い保持力で保持する。
【解決手段】ワーク保持装置10は、複数のワークWを保持するワーク保持装置であって、複数のワークWを保持するための磁力を生じさせる複数の磁石11と、複数の磁石11を、複数のワークWの下方の位置で左右方向に沿って間隔を開けて保持する磁石保持部材12と、を備える。複数の磁石11のそれぞれは、S極及びN極が左右方向に沿って並ぶ向きで配置されており、複数の磁石11のうち隣り合う2つの磁石は、同極同士が対向している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のワークを保持するワーク保持装置であって、
前記1又は複数のワークを保持するための磁力を生じさせる複数の第1磁石と、
前記複数の第1磁石を、前記1又は複数のワークの下方の位置で左右方向に沿って間隔を開けて保持する磁石保持部材と、を備え、
前記複数の第1磁石のそれぞれは、S極及びN極が前記左右方向に沿って並ぶ向きで配置されており、
前記複数の磁石のうち隣り合う2つの磁石は、同極同士が対向している、
ワーク保持装置。
【請求項2】
前記磁石保持部材は、複数の第2磁石を備え、
前記複数の第2磁石は、前記複数の第1磁石のそれぞれと前後方向に沿って間隔を開けて並んでおり、
前記複数の第2磁石のそれぞれは、S極及びN極が前記左右方向に沿って並ぶ向きで配置されており、
前記複数の第2磁石と前記複数の第1磁石との前記前後方向に隣り合う第1磁石と第2磁石との各組み合わせは、同極同士が前記前後方向に対向している、
請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項3】
前記複数の第1磁石は、平面視において非真円形状であり、
前記磁石保持部材は、前記複数の第1磁石をそれぞれ収容する複数の凹部を備え、
前記複数の凹部のそれぞれは、収容する前記複数の第1磁石のそれぞれの回転を規制する形状に形成されている、
請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項4】
前記複数の第1磁石及び前記複数の凹部は、平面視において長方形に形成されている、
請求項3に記載のワーク保持装置。
【請求項5】
前記磁石保持部材は、前記複数の第1磁石の下方に配置された磁性板を備え、
前記複数の第1磁石は、前記磁性板を吸着することで前記磁石保持部材に保持されている、
請求項1に記載のワーク保持装置。
【請求項6】
前記複数の第1磁石のそれぞれは、上部と下部とでS極とN極とが反対側に配置されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のワーク保持装置。
【請求項7】
前記複数の第1磁石のそれぞれは、上部と下部とでS極とN極とが同じ側に配置されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のワーク保持装置。
【請求項8】
前記1又は複数のワークは、複数のワークであり、
前記磁石保持部材上に配置され、前記複数のワークがそれぞれ配置される複数の凹部を有するトレイをさらに備え、
前記複数の凹部は、前記トレイが前記磁石保持部材上に配置されたときに、前記複数の第1磁石の直上にそれぞれ位置するように配置されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のワーク保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数のワークを磁力により保持するワーク保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ溶接、シーム溶接などが行われるワークは、溶接などの加工時に磁力により保持される場合がある。特許文献1には、複数のワークを複数の磁石によりそれぞれ保持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-313543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、複数の磁石が、異極同士が対向するように配置されているが、本願発明者は、このような配置よりもワークの保持力の高い磁石の配置を見出した。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、ワークを高い保持力で保持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るワーク保持装置は、1又は複数のワークを保持するワーク保持装置であって、前記1又は複数のワークを保持するための磁力を生じさせる複数の第1磁石と、前記複数の第1磁石を、前記1又は複数のワークの下方の位置で左右方向に沿って間隔を開けて保持する磁石保持部材と、を備え、前記複数の第1磁石のそれぞれは、S極及びN極が前記左右方向に沿って並ぶ向きで配置されており、前記複数の磁石のうち隣り合う2つの磁石は、同極同士が対向している。
【0007】
一例として、前記磁石保持部材は、複数の第2磁石を備え、前記複数の第2磁石は、前記複数の第1磁石のそれぞれと前後方向に沿って間隔を開けて並んでおり、前記複数の第2磁石のそれぞれは、S極及びN極が前記左右方向に沿って並ぶ向きで配置されており、前記複数の第2磁石と前記複数の第1磁石との前記前後方向に隣り合う第1磁石と第2磁石との各組み合わせは、同極同士が前記前後方向に対向している。
【0008】
一例として、前記複数の第1磁石は、平面視において非真円形状であり、前記磁石保持部材は、前記複数の第1磁石をそれぞれ収容する複数の凹部を備え、前記複数の凹部のそれぞれは、収容する前記複数の第1磁石のそれぞれの回転を規制する形状に形成されている。
【0009】
一例として、前記複数の第1磁石及び前記複数の凹部は、平面視において長方形に形成されている。
【0010】
一例として、前記磁石保持部材は、前記複数の第1磁石の下方に配置された磁性板を備え、前記複数の第1磁石は、前記磁性板を吸着することで前記磁石保持部材に保持されている。
【0011】
一例として、前記複数の第1磁石のそれぞれは、上部と下部とでS極とN極とが反対側に配置されている。
【0012】
一例として、前記複数の第1磁石のそれぞれは、上部と下部とでS極とN極とが同じ側に配置されている。
【0013】
一例として、前記1又は複数のワークは、複数のワークであり、前記ワーク保持装置は、前記磁石保持部材上に配置され、前記複数のワークがそれぞれ配置される複数の凹部を有するトレイをさらに備え、前記複数の凹部は、前記トレイが前記磁石保持部材上に配置されたときに、前記複数の第1磁石の直上にそれぞれ位置するように配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワークが高い保持力で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係るワーク保持装置の平面図であってトレイを一部切り欠いた平面図である。
図2図2は、図1のA-A分解断面図である。
図3図3は、図1のA-A断面の一部を示す拡大断面図である。
図4図4は、比較例における磁石の磁力線の一部を示す図である。
図5図5は、図1のワーク保持装置における磁石の磁力線の一部を示す図である。
図6図6は、変形例におけるワーク保持装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図面では、複数の要素の一部にのみ符号を付している。図面の上下方法及び前後左右方向は、実際の天地方向及び水平方向と一致しなくてもよいが、この実施の形態では、両者一致している。つまり、下は地面側、上は天側である。左右方向及び前後方向は、上下方向に直交し、かつ、互いに直交する任意の方向でよい。断面図である図2及び図3では、後述のワークWと磁石11とが立面図として描かれている。下記の説明において、平面視は、上方から見た場合をいう。
【0017】
図1図3に示す本実施形態に係るワーク保持装置10は、シーム溶接装置1のステージとして構成され、シーム溶接装置1によりパラレルシーム溶接される複数のワークWを磁力により保持するように構成されている。
【0018】
ワークWは、水晶子等の電子部品(不図示)を収容したパッケージW1と、パッケージW1の開口を塞ぐリッドW2と、から構成されている。シーム溶接装置1は、一対のローラ電極E1及びE2により、ワークWの上面つまりリッドW2の上面の4辺を、対向する2辺ずつ、パラレルシーム溶接する。パラレルシーム溶接前のリッドW2は、パッケージW1に仮固定されていてもよい。ワークWは、強磁性体を含む。例えば、パッケージW1及び又はリッドW2が強磁性体である。強磁性体としては、純鉄、フェライト系の鋼(SUS430など)などが挙げられる(以下、強磁性体について同じ)。
【0019】
ワーク保持装置10は、複数の磁石11と、複数の磁石11を保持する磁石保持部材12と、磁石保持部材12を支持するベース13と、複数のワークWを載せた状態で磁石保持部材12の上に配置されるトレイ14と、を備える。
【0020】
各磁石11は、後述のようにその直上に配置された、トレイ14上のワークWを引き付ける磁力つまりワークWを保持するための磁力を生じさせる。各磁石11は、直方体形状に形成されており、平面視において長方形の形状に形成されている。各磁石11は、上部と下部とでN極とS極とが反対となるように着磁されている。磁石11の向きなどについては後述する。
【0021】
磁石保持部材12は、非磁性体の格子板12Aと、強磁性体の磁性板12Bと、を備える。非磁性体としては、アルミ板又はオーステナイト系の鋼板(SUS304など)などが挙げられる(以下、非磁性体について同じ)。
【0022】
格子板12Aは、平面視においてマトリクス状に配置された複数の貫通孔12AAを備えることで、格子形状となっている。
【0023】
磁性板12Bは、格子板12Aの下面に、複数のボルトB1により固定されている。磁性板12Bは、格子板12Aに熱圧着などにより固定されてもよい。格子板12Aに固定された磁性板12Bは、複数の貫通孔12AAのそれぞれの下側開口を塞いでいる。これにより、磁石保持部材12には、平面視においてマトリクス状に配置された複数の凹部12Rが形成されている。
【0024】
複数の凹部12Rには、複数の磁石11がそれぞれ収容されている。つまり、1つの凹部12Rに1つの磁石11が収容されている。これにより、磁石11は、平面視においてマトリクス状に間隔をあけて配置されている。各磁石11は、各凹部12Rの底を構成する磁性板12Bに磁力により吸着する(つまり、くっつく)。これにより、各磁石11は、収容されている凹部12R内に位置決めされて保持され、当該凹部12Rから飛び出すことが抑制される。
【0025】
格子板12Aは、上述のように非磁性体である。これにより、磁石11を凹部12Rに挿入するときに当該磁石11が格子板12Aに引き寄せられることが抑制される。これにより、例えば、凹部12Rへの磁石11の挿入が格子板12Aに邪魔されず容易となる。
【0026】
ベース13は、磁石保持部材12を補強かつ支持している。ベース13は、ボルトB2により磁石保持部材12に固定されている。ベース13は、シーム溶接装置1のステージ支持機構(不図示)により支持される。
【0027】
トレイ14は、平面視においてマトリクス状に間隔をあけて配置された複数の凹部14Rを備える。複数の凹部14R内には、複数のワークWがそれぞれ入る。換言すると、1つの凹部14Rに1つのワークWが載せられる。これにより各ワークWは、トレイ14に位置決めされた状態で載せられる。トレイ14は、複数の凹部14Rをそれぞれ構成する複数の貫通孔14AAを備える格子板14Aと、格子板14Aの下面に熱圧着などにより固定され、複数の貫通孔14AAを下方から塞ぐ板状のベース部材14Bと、を備える。トレイ14は、トレイ14からのワークWの取り出しが容易となるよう非磁性体である。
【0028】
ワークWのシーム溶接装置1への搬送又は溶接後のシーム溶接装置1からの搬送は、トレイ14ごと行われる。このため、トレイ14は、磁石保持部材12に対して着脱自在に設けられる。トレイ14は、不図示の凹凸構造又はレール部材などにより磁石保持部材12上の所定位置に位置決めされる。
【0029】
磁石保持部材12上に配置されたトレイ14の各凹部14Rは、磁石保持部材12の各凹部12Rの各直上にそれぞれ配置される。これにより、各凹部R1にそれぞれ収容された各磁石11の各直上に、各凹部R2にそれぞれ収容された各ワークWがそれぞれ位置することになる。換言すると、1の磁石11の直上に1のワークWが位置する。
【0030】
各ワークWは、当該ワークWの直下に位置する磁石11の磁力により下方に引き付けられ、これにより、ワークWの位置ずれ、特にトレイ14の凹部14Rからの飛び出しが抑制される。このようにして、ワークWは、磁石11が生じさせる磁力により保持される。
【0031】
この実施の形態では、磁石保持部材12により各ワークWの下方の位置で左右方向に沿って間隔を開けて保持されている各磁石11は、N極及びS極が左右方向に沿って並ぶ向きで配置されている。そして、左右方向に隣り合う各2つの磁石11は、同極同士が対向するように配置されている。本願発明者は、左右方向に隣り合う各2つの磁石11を、異極同士が対向するように配置するよりも(例えば上記特許文献1)、本実施の形態のように同極同士が対向するように配置した方が、各磁石11による各ワークWの保持力(ワークWを位置ずれさせるのに必要な最小の力などにより表される)が向上することを見出した。具体的に、後者の保持力は、前者の保持力の1.2倍程度となった。この原理は定かではないが以下のように推測される。すなわち、異極同士が対向した場合には、一方の磁石11のN極からの磁力線のうちの一部が、他方の磁石11のS極に向かう(図4参照)。しかし、同極同士が対向した場合には、前記一部の磁力線のうちの一部がワークW側に向かい、結果的にワークW側に向かう磁力線が多くなる(図5参照)。これにより、ワークWに作用する磁力線の密度が高くなり、その分強い力でワークWが磁石11に引き付けられる。以上のように、この実施の形態では、左右方向に隣り合う各2つの磁石11を、同極同士が対向するように配置したので、各ワークWが高い保持力により保持されることになる。
【0032】
図1に示すように、この実施の形態では、左右方向に沿って並んだ磁石11の組が、前後方向に並んでおり、これにより複数の磁石11がマトリクス状に配置されている。つまり、複数の磁石11は、左右方向に沿って間隔を開けて並んだ複数の磁石11(第1磁石)のほか、前後方向に沿って間隔を開けて並んだ複数の磁石11(第2磁石)を含む。そして、前後方向に隣り合う各2つの磁石11は、同極同士が前後方向に対向している。このような構成によっても、上記推測と同様の原理で、異極同士が前後方向に対向している場合よりも、ワークWに作用する磁力線の密度を高くすることができ、その結果、各ワークWが高い保持力により保持されることになる。
【0033】
上述のように隣り合う各2つの磁石11は、同極同士が対向するので反発する。この反発により、各磁石11は回転しようとする。しかし、この実施の形態では、図1に示すように、平面視において磁石11及び凹部12Rが同形状の四角形に形成されている。従って、回転しようとする磁石11は、凹部12Rの内側壁、つまり、貫通孔12AAの内壁に当たり、これにより、磁石11の回転が防止される。これにより、磁石11が回転することで、隣り合う2つの磁石11の異極同士が対向することつまりワークWの保持力が低下することが抑制される。
【0034】
各磁石11及び各凹部12Rの形状は任意であるが、上記のような回転を防止できる形状が好ましい。従って、各磁石11は、平面視において非真円形状であるとよい。そして、各凹部12Rは、収容する磁石11の回転を規制する形状に形成されているとよい。例えば、磁石11及び凹部12Rは、楕円形状などであってもよい。凹部12Rは、回転しようとする磁石11をその内側壁で防止する形状であればよい。このような回転規制の構成は、上記実施形態のように磁石11が磁性板12Bに磁力により保持されているときに有効である。磁石11が磁性板12Bに磁力により吸着されている場合、磁石11は他の磁石11との反発により回転しやすいからである。
【0035】
本実施の形態のように、複数の磁石11が磁性板12Bに吸着することで磁石保持部材12に保持されることにより、磁石11を保持するために格子板12Aの両面に貼られたテープ(粘着フィルム)などを省略することができる。前記のテープは、貫通孔12AAから磁石11が飛び出してしまうことを防止するためのものであるが、磁性板12Bを設けて前記テープを省略することで、前記格子板12Aの上面に貼られたテープ分、磁石11をワークWに近づけることができる。
【0036】
さらに、この実施の形態では、複数のワークWが載せられるトレイ14を設けたことにより、各ワークWを、各ワークWを磁力により保持するのに好適な位置(ここでは、各磁石11の直上)に用意に配置することができる。
【0037】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記実施形態に対する様々な変更が含まれる。特に、ワーク保持装置を構成する各要素(部材、部品など)の形状は任意であり、適宜変更可能である。以下、その他の変形例を例示するが、各変形例を組み合わせてもよい。
【0038】
トレイ14は、ワーク保持装置10とは別部材として用意されてもよい。つまり、ワーク保持装置10は、トレイ14を備えなくてもよい。
【0039】
1つの磁石11が、複数のワークWを引き付けるように構成されてもよい。つまり、磁石11は、平面視においてワークWよりも大きくてもよい。この場合、例えば、磁石11のS極及びN極の端部に複数のワークWが配置されるようにすることで、大きな磁力部分にワークWが配置される。1つのワークWに対して、複数の磁石11が用いられてもよい。また、上記の実施の形態では、ワークWと磁石11とは平面視において同形状であるが、異なる形状であってもよい。特に、ワークWは、磁石11よりも平面形状において大きくてもよい。複数の磁石11は、マトリクス状ではなく、左右方向に一列に配置されてもよい。
【0040】
磁石11の代わりに、図6に示すような、上部と下部とでS極とN極とが同じ側に配置された磁石111が採用されてもよい。このような磁石111は、磁石11よりも容易に形成されるため、製造コストが抑えられる。また、上記実施形態のような、上部と下部とでS極とN極とが反対側に配置されている構造の場合、上部のN極から下部のS極に向かう磁力線が生じるが、図6のような構造の場合、その磁力線をワークW又は磁性板12Bの方向に向けることができ、ワークW又は磁石11の保持力を上記実施の形態よりも大きくすることができると考えられる。
【0041】
磁石11は、磁性板12Bの代わりに両面テープなどによりベース13などに固着されてもよいが、両面テープなども磁石11の回転には弱いので、これらの構成であっても、回転規制の構成が採用されるとよい。磁性板12Bの代わり又は加えて、格子板12Aの上面及び又は下面にテープを貼って、貫通孔12AAからの磁石11の飛び出しを物理的に抑制してもよい。
【0042】
本発明は、シーム溶接以外の装置にも適用可能であり、磁石ないしワーク保持装置により保持されるワークは、レーザ溶接などを含む各種パッケージ封止されるワークであってもよいし、他の方法により加工されるワークであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…シーム溶接装置、10…ワーク保持装置、11…磁石、12…磁石保持部材、12A…格子板、12AA…貫通孔、12B…磁性板、12R…凹部、13…ベース、14…トレイ、14A…格子板、14AA…貫通孔、14B…ベース部材、14R…凹部、111…磁石。
図1
図2
図3
図4
図5
図6