(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180499
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】アウトフェージング増幅器およびアウトフェージング増幅器用信号処理器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20231214BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20231214BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20231214BHJP
H03F 1/42 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H03F1/02 194
H03F3/24
H03F3/68 220
H03F1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093857
(22)【出願日】2022-06-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】住吉 高志
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC36
5J500AC61
5J500AF10
5J500AF12
5J500AF15
5J500AF19
5J500AH09
5J500AH10
5J500AH12
5J500AH16
5J500AH24
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH35
5J500AK12
5J500AK16
5J500AK19
5J500AK29
5J500AK68
5J500AM20
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT05
5J500AT07
5J500CK03
5J500CK06
5J500CK07
5J500LV08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特性を向上させることが可能なアウトフェージング増幅器を提供する。
【解決手段】アウトフェージング増幅器100は、第1信号S1を増幅する第1アンプ10と、第2信号を増幅する第2アンプ11と、第1アンプが増幅した第1信号S1と第3信号S3とを結合する第1結合器と12、第1インピーダンス変換器14から出力される第1信号と第2インピーダンス変換器15から出力される第2信号とを合成し、合成した信号を出力信号Soutとして出力する合成器16と、第4位相及び第2振幅の少なくとも一方が設定された第4信号S4を第2結合器13に出力する信号処理器20と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号を増幅する第1アンプと、
第2信号を増幅する第2アンプと、
前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、
前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、
前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、
前記第1信号の第1位相を前記出力信号の電力に関係する第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を前記第1アンプに出力し、前記第2信号の第2位相を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を前記第2アンプに出力し、前記第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方が設定された前記第3信号を前記第1結合器に出力し、前記第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を前記第2結合器に出力する信号処理器と、
を備えるアウトフェージング増幅器。
【請求項2】
前記信号処理器は、前記第3位相および前記第1振幅を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅を前記第1情報に対応つけられた値に設定する請求項1に記載のアウトフェージング増幅器。
【請求項3】
前記信号処理器は、前記第1位相を前記第1情報および前記出力信号の周波数に関係する第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定する請求項1または請求項2に記載のアウトフェージング増幅器。
【請求項4】
前記第1信号、前記第2信号、前記第3信号および前記第4信号の周波数は互いに同じである請求項1または請求項2に記載のアウトフェージング増幅器。
【請求項5】
前記信号処理器は、前記第1情報と前記第1位相とを対応付けた第1テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第2位相とを対応付けた第2テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方とを対応付けた第3テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方とを対応付けた第4テーブルを記憶するメモリを備え、
前記信号処理器は、前記第1テーブルに基づき前記第1位相を設定し、前記第2テーブルに基づき前記第2位相を設定し、前記第3テーブルに基づき前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方を設定し、前記第4テーブルに基づき前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方を設定する請求項1または請求項2に記載のアウトフェージング増幅器。
【請求項6】
前記合成器はシレイ合成器である請求項1または請求項2に記載のアウトフェージング増幅器。
【請求項7】
第1信号を増幅する第1アンプと、
第2信号を増幅する第2アンプと、
前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、
前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、
前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、
を備え、
前記第1アンプに入力する第1信号の第1位相は前記出力信号の電力に関係する情報に対応付けられた値であり、
前記第2アンプに入力する第2信号の第2位相は前記情報に対応付けられた値であり、
前記第1結合器に入力する第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であり、
前記第2結合器に入力する第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であるアウトフェージング増幅器。
【請求項8】
出力信号の電力に関係する情報を取得し、第1信号の第1位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を、前記第1信号を増幅する第1アンプに出力する第1処理部と、
前記情報を取得し、第2信号の第2位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を、前記第2信号を増幅する第2アンプに出力する第2処理部と、
前記情報を取得し、第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方が設定された前記第3信号を、前記第1アンプが増幅した第1信号と前記第3信号とを結合する第1結合器に出力する第3処理部と、
前記情報を取得し、第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を、前記第2アンプが増幅した第2信号と前記第4信号とを結合する第2結合器に出力する第4処理部と、
を備え、
前記出力信号は、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器から出力される第2信号と、が合成される信号であるアウトフェージング増幅器用信号処理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトフェージング増幅器およびアウトフェージング増幅器用信号処理器に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波等の高周波信号を増幅する増幅器としてアウトフェージング増幅器が知られている。アウトフェージング増幅器は、入力された入力信号を、その入力信号の振幅に依存し、一定の振幅で2つの位相の異なる信号として、2つの信号を出力する信号処理器、信号処理器から出力された2つの信号をそれぞれ増幅する2つのアンプ、および2つのアンプが増幅した2つの出力信号を1つの出力信号として合成する合成器を備える。合成器としてシレイ(Chireix)合成器を用いることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シレイ合成器を用いることで、アンプから合成器をみたインピーダンスを特性が向上するように設定することができる。しかしながら、2つの信号の位相および周波数等の変化によりアンプから合成器をみたインピーダンスが最適な値からずれる場合がある。該当のインピーダンスが最適な値からずれることにより、アウトフェージング増幅器の例えばドレイン効率等の高周波特性が劣化する。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、アウトフェージング増幅器の高周波特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第2信号を増幅する第2アンプと、前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、前記第1信号の第1位相を前記出力信号の電力に関係する第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を前記第1アンプに出力し、前記第2信号の第2位相を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を前記第2アンプに出力し、前記第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方が設定された前記第3信号を前記第1結合器に出力し、前記第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を前記第2結合器に出力する信号処理器と、を備えるアウトフェージング増幅器である。
【0007】
本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第2信号を増幅する第2アンプと、前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、を備え、前記第1アンプに入力する第1信号の第1位相は前記出力信号の電力に関係する情報に対応付けられた値であり、前記第2アンプに入力する第2信号の第2位相は前記情報に対応付けられた値であり、前記第1結合器に入力する第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であり、前記第2結合器に入力する第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であるアウトフェージング増幅器である。
【0008】
本開示の一実施形態は、出力信号の電力に関係する情報を取得し、第1信号の第1位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を、前記第1信号を増幅する第1アンプに出力する第1処理部と、前記情報を取得し、第2信号の第2位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を、前記第2信号を増幅する第2アンプに出力する第2処理部と、前記情報を取得し、第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方に設定された前記第3信号を、前記第1アンプが増幅した第1信号と前記第3信号とを結合する第1結合器に出力する第3処理部と、前記情報を取得し、第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を、前記第2アンプが増幅した第2信号と前記第4信号とを結合する第2結合器に出力する第4処理部と、を備え、前記出力信号は、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器から出力される第2信号と、が合成される信号であるアウトフェージング増幅器用信号処理器である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、アウトフェージング増幅器の高周波特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
【
図3】
図3は、比較例1における合成器周辺のブロック図である。
【
図4】
図4は、比較例1におけるインピーダンスのスミスチャートである。
【
図5】
図5は、比較例2における合成器周辺のブロック図である。
【
図6】
図6は、比較例2におけるインピーダンスのスミスチャートである。
【
図7】
図7は、比較例2におけるインピーダンスのスミスチャートである。
【
図8】
図8は、実施例1におけるインピーダンスの調整方法を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1における信号処理器のブロック図である。
【
図10】
図10は、実施例1における結合器のブロック図である。
【
図11】
図11は、実施例1における結合器の別の例のブロック図である。
【
図12】
図12は、実施例1におけるテーブル24aを示す図である。
【
図13】
図13は、実施例1におけるテーブル24bを示す図である。
【
図14】
図14は、実施例1におけるテーブル24cを示す図である。
【
図15】
図15は、実施例1におけるテーブル24dを示す図である。
【
図16】
図16は、実施例1におけるテーブルの設定方法を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施例1におけるアウトフェージング増幅器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第2信号を増幅する第2アンプと、前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、前記第1信号の第1位相を前記出力信号の電力に関係する第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を前記第1アンプに出力し、前記第2信号の第2位相を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を前記第2アンプに出力し、前記第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方が設定された前記第3信号を前記第1結合器に出力し、前記第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を前記第2結合器に出力する信号処理器と、を備えるアウトフェージング増幅器である。これにより、第1アンプおよび第2アンプから第1インピーダンス変換器および第2インピーダンス変換器をみたインピーダンスを微調整できる。よって、特性を向上できる。
(2)上記(1)において、前記信号処理器は、前記第3位相および前記第1振幅を前記第1情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅を前記第1情報に対応つけられた値に設定することが好ましい。
(3)上記(1)または(2)において、前記信号処理器は、前記第1位相を前記第1情報および前記出力信号の周波数に関係する第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方を前記第1情報および前記第2情報に対応付けられた値に設定することが好ましい。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第1信号、前記第2信号、前記第3信号および前記第4信号の周波数は互いに同じであることが好ましい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記信号処理器は、前記第1情報と前記第1位相とを対応付けた第1テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第2位相とを対応付けた第2テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方とを対応付けた第3テーブルを記憶し、前記第1情報と前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方とを対応付けた第4テーブルを記憶するメモリを備え、前記信号処理器は、前記第1テーブルに基づき前記第1位相を設定し、前記第2テーブルに基づき前記第2位相を設定し、前記第3テーブルに基づき前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方を設定し、前記第4テーブルに基づき前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方を設定することが好ましい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記合成器はシレイ合成器であることが好ましい。
(7)本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第2信号を増幅する第2アンプと、前記第1アンプが増幅した第1信号と第3信号とを結合する第1結合器と、前記第2アンプが増幅した第2信号と第4信号とを結合する第2結合器と、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器と、前記第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と前記第2インピーダンス変換器から出力される第2信号とを合成し合成された信号を出力信号として出力する合成器と、を備え、前記第1アンプに入力する第1信号の第1位相は前記出力信号の電力に関係する情報に対応付けられた値であり、前記第2アンプに入力する第2信号の第2位相は前記情報に対応付けられた値であり、前記第1結合器に入力する第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であり、前記第2結合器に入力する第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方は前記情報に対応つけられた値であるアウトフェージング増幅器である。
(8)本開示の一実施形態は、出力信号の電力に関係する情報を取得し、第1信号の第1位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第1位相が設定された前記第1信号を、前記第1信号を増幅する第1アンプに出力する第1処理部と、前記情報を取得し、第2信号の第2位相を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第2位相が設定された前記第2信号を、前記第2信号を増幅する第2アンプに出力する第2処理部と、前記情報を取得し、第3信号の第3位相および第1振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第3位相および前記第1振幅の少なくとも一方に設定された前記第3信号を、前記第1アンプが増幅した第1信号と前記第3信号とを結合する第1結合器に出力する第3処理部と、前記情報を取得し、第4信号の第4位相および第2振幅の少なくとも一方を前記情報に対応付けられた値に設定し、前記第4位相および前記第2振幅の少なくとも一方が設定された前記第4信号を、前記第2アンプが増幅した第2信号と前記第4信号とを結合する第2結合器に出力する第4処理部と、を備え、前記出力信号は、前記第3信号が結合された第1信号が入力する第1インピーダンス変換器から出力される第1信号と、前記第4信号が結合された第2信号が入力する第2インピーダンス変換器から出力される第2信号と、が合成される信号であるアウトフェージング増幅器用信号処理器である。
【0012】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかるアウトフェージング増幅器およびアウトフェージング増幅器用信号処理器の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0013】
図1は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
図1に示すように、アウトフェージング増幅器では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にアンプ10(第1アンプ)とアンプ11(第2アンプ)とが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Sinとして高周波信号が入力する。アウトフェージング増幅器100が移動体通信の基地局に用いられる場合、高周波信号の周波数は例えば0.5GHz~10GHzである。信号処理器20は入力信号Sinを信号処理し、2つの信号S1(第1信号)および信号S2(第2信号)として出力する。
【0014】
信号S1は整合回路30を介しアンプ10に入力される。整合回路30は信号処理器20の出力インピーダンスとアンプ10の入力インピーダンスを整合させる。アンプ10は、整合回路30を介して入力された信号S1を増幅し、整合回路32を介して、増幅した信号S1aを出力する。整合回路32を通過した信号S1aは、結合器12において、信号S3と合成される。信号S1aと信号S3とが合成された信号S1bは合成器16に入力される。整合回路32は、アンプ10の出力インピーダンスと合成器16の入力インピーダンスを整合させる。信号S2は整合回路31を介しアンプ11に入力される。整合回路31は信号処理器20の出力インピーダンスとアンプ11の入力インピーダンスを整合させる。アンプ11は、整合回路31を介して入力された信号S2を増幅し、整合回路33を介して、増幅した信号S2aを出力する。整合回路33を通過した信号S2aは、結合器13において、信号S4と合成される。信号S2aと信号S4とが合成された信号S2bは合成器16に入力される。整合回路33は、アンプ11の出力インピーダンスと合成器16の入力インピーダンスを整合させる。合成器16は信号S1bと信号S2bとを合成する。合成された信号は出力信号Soutとして出力端子Toutから出力される。
【0015】
バイアス回路34は、バイアス電圧Vg1をアンプ10のゲートGに供給するとともに、信号S1がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路36は、バイアス電圧Vd1をアンプ10のドレインDに供給するとともに、アンプ10により増幅された信号がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路35は、バイアス電圧Vg2をアンプ11のゲートGに供給するとともに、信号S2がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路37は、バイアス電圧Vd2をアンプ11のドレインDに供給するとともに、アンプ11により増幅された信号がバイアス端子に漏れることを抑制する。
【0016】
アンプ10および11は、例えばFET(Field Effect Transistor)18および19をそれぞれ備える。FET18および19のソースSは接地され、ゲートGに信号S1および信号S2が、それぞれ整合回路30および整合回路31を介してそれぞれ入力され、ドレインDは増幅した信号が出力する。FET18および19は、例えばGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor)またはLDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)である。アンプ10および11にはそれぞれ多段のFETが設けられていてもよい。アンプ10および11のFET18および19の大きさ(例えばゲート幅)は互いにほぼ同じであり、ゲートバイアス電圧Vg1とVg2とはほぼ同じであり、ドレインバイアス電圧Vd1とVd2とはほぼ同じである。整合回路30~33は、例えばアンプ10および11が飽和電力を出力するときにドレイン効率等の高周波特性が最適になるように設計されている。これにより、アンプ10および11が信号S1およびS2を増幅するときのドレイン効率等の高周波特性が向上する。
【0017】
信号処理器20は、例えばSingnal Processing Unitであり、入力信号Sinをデジタル処理し信号S1およびS2を出力する。信号処理器20は、入力信号Sinの振幅に依存して信号S1とS2との位相差を設定する。例えば入力信号Sinの振幅が大きいとき、信号S1とS2との位相差を小さくする。入力信号Sinの振幅が小さいとき、信号S1とS2との位相差を大きくする。信号S1およびS2の振幅は入力信号Sinの振幅によらずほぼ一定であり、例えばアンプ10および11の飽和電力に相当する振幅とする。
【0018】
信号処理器20は、入力信号Sinの振幅が大きいとき、信号S1およびS2の位相差は0°(アウトフェージング角を90°)に近く、入力信号Sinの振幅が小さいとき、信号S1およびS2の位相差は180°(アウトフェージング角を0°)に近くする。信号S1およびS2の振幅は、アンプ10および11が最もドレイン効率等の高周波特性が向上する振幅(例えば飽和電力に相当する振幅)である。信号S1aとS2aの位相差は信号S1とS2の位相差にほぼ等しい。入力信号Sinの振幅が大きいとき信号S1aとS2aの位相差が0°に近いため、出力信号Soutの振幅は大きくなる。入力信号Sinの振幅が小さいとき信号S1aとS2aの位相差が180°に近いため、出力信号Soutの振幅は小さくなる。このように、信号S1aとS2aが合成された出力信号Soutの振幅は、入力信号Sinの振幅に対応した振幅となる。アンプ10および11は、最も効率の向上する振幅の信号S1およびS2を増幅する。このため、アウトフェージング増幅器100では、入力信号Sinの振幅によらず、ドレイン効率等の高周波特性を向上させることができる。
【0019】
図2は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
図2では、
図1に比べ、整合回路30、31およびバイアス回路34~37の図示を省略し、結合器12、13および合成器16内の構成を図示している。
図2に示すように、信号処理器20は、信号S1およびS2に加えインピーダンス調整用の信号S3およびS4を出力する。整合回路32と合成器16との間に結合器12が設けられている。結合器12は、信号S1aとS3とを結合し信号S1bとして出力する。整合回路33と合成器16との間に結合器13が設けられている。結合器13は、信号S2aとS4とを結合し信号S2bとして出力する。
【0020】
合成器16は、例えばシレイ合成器である。合成器16は、インダクタL1、キャパシタC1、インピーダンス変換器14および15を備えている。インダクタL1は信号S1bが通過するノードN1にシャント接続されている。キャパシタC1は信号S2bが通過するノードN2にシャント接続されている。インピーダンス変換器14および15の第1端はそれぞれノードN1およびN2に接続され、インピーダンス変換器14および15の第2端は共通にノードN3に接続されている。ノードN3において信号S1bとS2bとが結合される。インピーダンス変換器14および15は、それぞれ整合回路32および33の出力インピーダンスを標準インピーダンス(例えば50Ω)の2倍(100Ω)に変換する。これにより、出力端子ToutからノードN3をみたインピーダンスは標準インピーダンス(50Ω)となる。インピーダンス変換器14および15は、例えば電気長がλ/4である伝送線路である。λは、アウトフェージング増幅器100の動作周波数帯域の中心周波数における波長である。
【0021】
[合成器の説明]
比較例1および2を例に合成器16を説明する。
図3は、比較例1における合成器周辺のブロック図であり、比較例1に係るアウトフェージング増幅器の整合回路32および33と合成器16aとを図示している。
図3に示すように、比較例1では整合回路32および33と合成器16aの間に結合器12および13が設けられていない。合成器16aにインダクタL1およびキャパシタC1が設けられていない。このように、合成器16aはシレイ合成器ではない。結合器12および13が設けられていないため、信号S1aおよびS2aが合成器16aに入力する。その他の構成は実施例1と同じである。
【0022】
図4は、比較例1におけるインピーダンスのスミスチャートであり、整合回路32および33から合成器16aをみたインピーダンスZ1およびZ2のスミスチャートである。
図4に示すように、点50は、アウトフェージング角が0°(すなわち信号S1aおよびS2aの位相差が180°)のときを示す。点51は、アウトフェージング角が90°(すなわち信号S1aおよびS2aの位相差が0°)のときを示す。アウトフェージング角が0°から90°まで(すなわち信号S1aと信号S2aの位相差が180°から0°まで)変化すると、インピーダンスZ1は、矢印52のように点50から点51にインピーダンスのスミスチャート上において円弧の上半分の軌跡を移動するとともに、インピーダンスZ2は、矢印53のように点50から点51にインピーダンスのスミスチャート上において円弧の下半分の軌跡を移動する。整合回路32および33は、インピーダンスZ1およびZ2が実数(例えば標準インピーダンスの2倍)のとき、アンプ10および11の高周波特性が最大(例えばドレイン効率が最大)となるように、アンプ10および11の出力インピーダンスを変換する。これにより、
図4において、インピーダンスZ1およびZ2が実数のときアンプ10および11の特性が最大となる。点50および51では、インピーダンスZ1およびZ2は実数である。実際に用いるアウトフェージング角の範囲は例えば20°~70°である。この範囲では、インピーダンスZ1およびZ2のリアクタンス成分(虚数成分)が大きく、アンプ10および11の負荷インピーダンスは最適値からずれてしまう。
【0023】
図5は、比較例2における合成器周辺のブロック図であり、比較例2に係るアウトフェージング増幅器の整合回路32および33と合成器16とを図示している。
図5に示すように、比較例2では、合成器16はシレイ合成器であり、ノードN1にインダクタL1がシャント接続され、ノードN2にキャパシタC1がシャント接続されている。結合器12および13が設けられていないため、信号S1aおよびS2aが合成器16に入力する。その他の構成は比較例1と同じである。
【0024】
図6は、比較例2におけるインピーダンスのスミスチャートであり、整合回路32および33から合成器16をみたインピーダンスZ1およびZ2のスミスチャートである。
図6に示すように、インダクタL1を設けることで、インピーダンスZ1は、インピーダンスのスミスチャート上を、全体の円弧の形状を保った状態において、比較例1の
図4に比べて、リアクタンス成分が正の方向にシフトしかつ時計回りの方向に回転する。キャパシタC1を設けることで、インピーダンスZ2は、インピーダンスのスミスチャート上を、全体の円弧の形状を保った状態において、比較例1に比べて、リアクタンス成分が負の方向にシフトしかつ反時計回りの方向に回転する。
【0025】
アウトフェージング角が0°(位相差が180°)のときの点50aにおけるインピーダンスZ1のリアクタンス成分は負となり、およびアウトフェージング角が90°(位相差が0°)のときの51aにおけるインピーダンスZ1のリアクタンス成分は負となる。実際に用いるアウトフェージング角の範囲(例えば20°~70°)では、インピーダンスZ1が実軸に近づきリアクタンス成分が小さくなる。よって、アンプ10の負荷インピーダンスは最適値に近くなる。アウトフェージング角が0°(位相差が180°)のときの点50bにおけるインピーダンスZ2のリアクタンス成分は正となり、アウトフェージング角が0°(位相差が180°)のときの点51bのインピーダンスZ2のリアクタンス成分は正となる。実際に用いるアウトフェージング角の範囲(例えば20°~70°)では、インピーダンスZ2が実軸に近づきリアクタンス成分が小さくなる。よって、アンプ11の負荷インピーダンスは最適値に近くなる。
【0026】
このように、シレイ合成器を用いる比較例2では、信号S1aおよびS1bの位相差を実際用いる範囲としても、アンプ10および11の負荷インピーダンスの最適値からのずれを小さくできる。よって、比較例1に比べ、高周波特性等の特性の劣化を小さくできる。
【0027】
図7は、比較例2におけるインピーダンスのスミスチャートである。
図7において、実線で示すインピーダンスZ1およびZ2の軌跡は、
図6のインピーダンスZ1およびZ2と同じ軌跡である。比較例2のシレイ合成器において、信号S1およびS2の位相並びに周波数が変わると、スミスチャート上におけるインピーダンスZ1およびZ2が移動することがある。また、製品ごとにスミスチャート上のインピーダンスZ1およびZ2の軌跡が異なることがある。例えば、
図7に示すように、インピーダンスZ1およびZ2のスミスチャート上の軌跡が破線の円弧または点線の円弧のようになる。比較例2では、インピーダンスZ1およびZ2は固定のため、アンプ10および11の負荷インピーダンスを最適値に近づくような調整ができない。このように、シレイ合成器を用いる比較例2では、アンプ10および11の負荷インピーダンスの調整ができない。このため、信号S1およびS2の位相並びに周波数が変わった場合、または製品ごとに、ドレイン効率等の高周波特性を向上させることが難しい。実施例1では、比較例1および比較例2においても解決できない上記問題点を解決する。
【0028】
[実施例1におけるインピーダンスZ1およびZ2の調整]
図8は、実施例1におけるインピーダンスの調整方法を示す図である。
図8に示すように、アンプ10および11を信号源と考え、アンプ10および11が供給する信号をS1およびS2とする。出力端子Toutに負荷RL/2が接続されている。アンプ10と出力端子Toutとの間の結合器12において、信号S1と信号S3を結合し、アンプ11と出力端子Toutとの間の結合器13において、信号S2と信号S4を結合する。インピーダンスZ1およびZ2は数式1および数式2のように表すことができる。
Z1=RL/2×(S1+S2+S3+S4)/(S1+S3) 数式1
Z2=RL/2×(S1+S2+S3+S4)/(S2+S4) 数式2
信号S3およびS4の位相および振幅を調整すれば、インピーダンスZ1およびZ2を調整することができる。
【0029】
このように、実施例1では、インピーダンスZ1およびZ2を調整することができる。よって、信号S1およびS2の位相並びに周波数が変わった場合、または製品ごとに、ドレイン効率等の高周波特性を向上させることができる。以下、実施例1における具体例について説明する。
【0030】
[信号処理器]
図9は、実施例1における信号処理器のブロック図である。
図9に示すように、信号処理器20は、処理部22a~22d、メモリ26a~26dおよび制御部28を備えている。信号処理器20には、入力信号Sinが入力する。制御部28は入力信号Sinの振幅に基づき、出力信号Soutの出力電力Poに関する情報Sc1を出力する。例えば出力信号Soutの振幅は入力信号Sinの振幅に比例する。制御部28は、周波数に関する情報Sc2を出力する。処理部22a~22dには、高周波信号Soが入力する。高周波信号Soは例えば発振器により生成される。処理部22a~22dに入力する高周波信号Soの位相は互いに同じである。メモリ26a~26dにはそれぞれテーブル24a~24dが記憶されている。テーブル24a~24dでは、情報Sc1およびSc2に位相および振幅の情報が対応付けられている。テーブル24a~24d内のデータはピンインT1~T4からそれぞれ書き換え可能である。
【0031】
処理部22aは、高周波信号Soの位相および振幅を情報Sc1およびSc2に対応付けられた位相Φ1および振幅A1に設定し、設定した信号S1をアンプ10に出力する。処理部22bは、高周波信号Soの位相および振幅を情報Sc1およびSc2に対応付けられた位相Φ2および振幅A2に設定し、設定した信号S2をアンプ11に出力する。処理部22cは、高周波信号Soの位相および振幅を情報Sc1およびSc2に対応付けられた位相Φ3および振幅A3に設定し、設定した信号S3を結合器12に出力する。処理部22dは、高周波信号Soの位相および振幅を情報Sc1およびSc2に対応付けられた位相Φ4および振幅A4に設定し、設定した信号S4を結合器13に出力する。
【0032】
信号処理器20の処理部22a~22dおよび制御部28の少なくとも一部は、プロセッサ等のハードウエアがソフトウェアと協働し実現されてもよい。信号処理器20の処理部22a~22dおよび制御部28の少なくとも一部は専用の回路により実現されてもよい。メモリ26a~26dは、例えばRAM(RRandom Access Memory)等の揮発性メモリまたはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。メモリ26a~26dは、1つのメモリ内の異なるメモリ空間により形成されていてもよいし、複数のメモリにより形成されていてもよい。
【0033】
[結合器の説明]
図10は、実施例1における結合器のブロック図である。
図10に示すように、結合器12および13は、信号S1aおよびS2aが伝送線路40から離間する伝送線路41を備えている。伝送線路40と41とは略平行であり、互いに電磁界結合している。伝送線路40および41の特性インピーダンスは、信号S1aおよびS2aの周波数においてほぼ基準インピーダンス(例えば50Ω)である。伝送線路41の第1端には信号S3およびS4が入力する。伝送線路41の第2端は抵抗Roを介し接地されている。抵抗Roは終端抵抗であり、抵抗Roの抵抗値は特性インピーダンスの値(例えば50Ω)である。信号処理器20から出力された信号S3およびS4は、伝送線路40と41との電磁界結合により結合し伝送線路40を伝送する信号S1aおよびS2aと結合する。伝送線路41は伝送線路40から離間しているため、伝送線路41と40のアイソレーションを大きくできる。
【0034】
図11は、実施例1における結合器の別の例のブロック図である。
図11に示すように、結合器12および13は、アイソレータ42を備えている。信号処理器20から出力された信号S3およびS4はアイソレータ42を通過し、ノード38において信号S1aおよびS2aと結合する。アイソレータ42は伝送線路40を伝送する信号S1aおよびS2aが信号処理器20に漏れることを抑制する。結合器12および13は、信号S1aおよびS2aの信号処理器20への漏洩が少なく、信号S1aおよびS2aと信号S3およびS4とがそれぞれ結合できればよい。
【0035】
[信号処理器の動作の説明]
[テーブル24a~24d]
図12は、実施例1におけるテーブル24aを示す図である。項目「f(Sc2)」は周波数fに相当し、周波数fに相当する情報Sc2としてテーブル24aに格納されている。項目「Po(Sc1)」は出力信号Soutの出力電力Poに相当し、出力電力Poに関する情報Sc1としてテーブル24aに格納されている。
図12に示すように、テーブル24aには、f(Sc2)およびPo(Sc1)と、信号S1の位相Φ1および振幅A1が対応付けられている。例えば出力電力PoがPo1、周波数fがf1のとき、テーブル24aにおける位相Φ1および振幅A1はそれぞれΦ111およびA111である。同様に、Po2~Ponについて、位相Φ1はそれぞれΦ112~Φ11nであり、振幅A1はそれぞれA112~A11nである。同様に、周波数fがf2のとき、Po1~Ponについて、位相Φ1はそれぞれΦ121~Φ12nであり、振幅A1はそれぞれA121~A12nである。
【0036】
図13は、実施例1におけるテーブル24bを示す図である。
図13に示すように、テーブル24bには、f(Sc2)およびPo(Sc1)と、信号S2の位相Φ2および振幅A2が対応付けられている。例えば出力電力PoがPo1、周波数fがf1のとき、テーブル24bにおける位相Φ2および振幅A2はそれぞれΦ211およびA211である。同様に、Po2~Ponについて、位相Φ2はそれぞれΦ212~Φ21nであり、振幅A2はそれぞれA212~A21nである。同様に、周波数fがf2のとき、Po1~Ponについて、位相Φ2はそれぞれΦ221~Φ22nであり、振幅A2はそれぞれA221~A22nである。
【0037】
図14は、実施例1におけるテーブル24cを示す図である。
図14に示すように、テーブル24cには、f(Sc2)およびPo(Sc1)と、信号S3の位相Φ3および振幅A3が対応付けられている。例えば出力電力PoがPo1~Ponおよび周波数fがf1のとき、テーブル24cにおける位相Φ3はΦ311~Φ31nであり、振幅A3はA311~A31nである。同様に、出力電力PoがPo1~Ponおよび周波数fがf2のとき、テーブル24cにおける位相Φ3はΦ321~Φ32nであり、振幅A3はA321~A32nである。
【0038】
図15は、実施例1におけるテーブル24dを示す図である。
図15に示すように、テーブル24dには、f(Sc2)およびPo(Sc1)と、信号S4の位相Φ4および振幅A4が対応付けられている。例えば出力電力PoがPo1~Ponおよび周波数fがf1のとき、テーブル24dにおける位相Φ4はΦ411~Φ41nであり、振幅A4はA411~A41nである。同様に、出力電力PoがPo1~Ponおよび周波数fがf2のとき、テーブル24dにおける位相Φ4はΦ421~Φ42nであり、振幅A4はA421~A42nである。
【0039】
[テーブル24a~24dの設定方法]
図16は、実施例1におけるテーブルの設定方法を示すフローチャートである。テーブル24a~24dの設定は、例えば製品ごとに製品を出荷する前の検査のときに行う。テーブル24a~24dの設定は、製造ロットごとのように複数の製品についてまとめて行ってもよい。以下のフローの少なくとも一部は人間が行ってもよいし、コンピュータが自動的に行ってもよい。
【0040】
図16に示すように、設計時に設定した初期テーブル24aおよび24bをメモリ26aおよび26bにそれぞれ格納する(ステップS10)。初期テーブル24aおよび24bは、例えばシミュレーションによりドレイン効率等の高周波特性が最適になるように、位相Φ1および振幅A1を設定したテーブル24aおよび位相Φ2および振幅A2を設定したテーブル24bである。例えば、出力電力Poが小さいとき、信号S1とS2との位相差が小さくなるように信号S1およびS2の位相Φ1およびΦ2が設定され、出力電力Poが大きいとき、信号S1とS2との位相差が大きくなるように信号S1およびS2の位相Φ1およびΦ2が設定されている。信号S1およびS2の振幅A1およびA2はほぼ同じであり、アンプ10および11の飽和電力となるように設定されている。
【0041】
周波数fを設定する(ステップS12)。周波数fは、高周波信号Soの周波数であり、出力信号Soutの周波数である。例えば周波数fをf1と設定する。高周波信号Soの周波数をf1に設定する。目標とする出力電力Poを設定する(ステップS14)。例えば出力電力Poの目標をPo1とする。次に、テーブル24a内の信号S1の位相Φ1および振幅A1と、テーブル24b内の信号S2の位相Φ2および振幅A2と、を書き換える(ステップS16)。例えば、信号S3およびS4は出力せずに、周波数fがf1において出力電力PoがPo1となりかつドレイン効率等の高周波特性が最適になるように信号S1の位相Φ1および振幅A1と信号S2の位相Φ2と振幅A2を調整する。このとき、必要に応じ、アンプ10と11の両方のドレイン効率等の高周波特性を独立にモニターしドレイン効率等の高周波特性が最適になるように位相Φ1、Φ2、振幅A1およびA2を調整してもよい。また、位相Φ1、Φ2、振幅A1およびA2に加え、アンプ10および11のバイアス電圧を調整してもよい。テーブル24aにおけるΦ111およびA111を特性が最大になるように調整した信号S1の位相Φ1および振幅A1に書き換える。テーブル24bにおけるΦ211およびA211を調整した信号S2の振幅A2および位相Φ2に書き換える。
【0042】
テーブル24c内の信号S3の位相Φ3および振幅A3と、テーブル24d内の信号S4の位相Φ4および振幅A4と、を書き換える(ステップS18)。例えば、信号S1の位相Φ1および振幅A1と、信号S2の位相Φ2および振幅A2と、をステップS16において設定した値にする。周波数fがf1において出力電力PoがPo1となりかつドレイン効率等の高周波特性が最適になるように信号S3の位相Φ3および振幅A3と信号S4の位相Φ4と振幅A4を調整する。テーブル24cにおけるΦ311およびA311を特性が最大となるように調整した信号S3の位相Φ3および振幅A3に書き換える。テーブル24dにおけるφ411およびA411を調整した信号S4の位相Φ4および振幅A4に書き換える。
【0043】
出力電力Poが最後か判断する(ステップS20)。例えば出力電力PoがPo1のときは最後ではないためNoと判断する。Noの場合、出力電力PoをPo2に変更する(ステップS22)。その後、ステップS14に進む。ステップS16において、信号S3およびS4は出力せずに、周波数fがf1において出力電力PoがPo2となりかつドレイン効率等の高周波特性が最適になるように信号S1の位相Φ1および振幅A1と信号S2の位相Φ2と振幅A2を調整する。テーブル24aにおける位相Φ112および振幅A112を調整された位相Φ1および振幅A1に書き換える。テーブル24bにおける位相Φ212および振幅A212を調整された位相Φ2および振幅A2をテーブル24bに設定する。ステップS18において、信号S1の位相Φ1および振幅A1と、信号S2の位相Φ2および振幅A2と、をステップS16において設定した値にする。周波数fがf1において出力電力PoがPo2となりかつドレイン効率等の高周波特性が最適になるように信号S3の位相Φ3および振幅A3と信号S4の位相Φ4と振幅A4を調整する。テーブル24cにおけるΦ312およびA312を調整された位相Φ3および振幅A3に書き換える。テーブル24dにおけるΦ412およびA412を調整された信号S4の位相Φ4および振幅A4に書き換える。同様に、Po2~PonまでステップS16およびS18を行う。
【0044】
ステップS20において、出力電力PoがPonの場合、ステップS20においてYesと判断し、周波数fが最後か判断する(ステップS24)。例えば周波数fがf1のとき周波数fは最後ではないためNoと判断する。Noの場合、周波数fをf2に変更する(ステップS26)。その後、ステップS12に進む。ステップS14において、出力電力PoをPo1に設定する。ステップS16において、周波数fがf2および出力電力PoがPo1ときの信号S1における位相Φ1および振幅A1をテーブル24aに格納し、信号S2における位相Φ2および振幅A2をテーブル24bに格納する。ステップS18において、周波数fがf2および出力電力PoがPo1ときの信号S3における位相Φ3および振幅A3をテーブル24cに格納し、信号S4における位相Φ4および振幅A4をテーブル24dに格納する。その後、Po2~PonについてステップS16およびS18を行う。出力電力PoがPonのとき、ステップS20においてYesと判断する。ステップS24において周波数fがf2のとき、Yesと判断し、終了する。
【0045】
[動作時の信号処理器の処理]
図17は、実施例1におけるアウトフェージング増幅器の動作を示すフローチャートである。
図17に示すように、制御部28は、周波数fを設定する(ステップS30)。周波数fは、アウトフェージング増幅器100が設置される基地局によって1つに決まっていてもよい。この場合、テーブル24a~24dには複数の周波数fが設定されているが、用いる周波数fは1つである。制御部28は、周波数を用いる周波数fに設定し、その後周波数fを変更することはない。また、テーブル24a~24dには周波数fは設定されていなくてもよい。この場合、ステップS30を行わなくてもよい。基地局が複数の周波数帯域を用いる場合、制御部28は適宜複数の周波数から1つの周波数を選択し、周波数fを設定してもよい。制御部28は入力信号Sinの周波数に基づき周波数fを設定してもよい。例えば、制御部28は周波数fを入力信号Sinの周波数と同じ周波数としてもよい。制御部28は、高周波信号Soを出力する発振器に、設定した周波数fを有する高周波信号Soを出力させてもよい。
【0046】
次に、制御部28は、出力電力Poを設定する(ステップS32)。例えば制御部28は、入力信号Sinの振幅(電力)に基づき出力電力Poを設定する。例えば入力信号Sinの電力または振幅と出力電力Poとは比例する。制御部28は設定された出力電力Poに関する情報Sc1と周波数fに関する情報Sc2を処理部22a~22dに出力する(ステップS34)。処理部22a~22dは、制御部28から情報Sc1およびSc2を取得する。
【0047】
処理部22aは信号S1の位相Φ1および振幅A1を設定し信号S1を出力し、処理部22bは信号S2の位相Φ2および振幅A2を設定し信号S2を出力する(ステップS36)。例えば、処理部22aは、メモリ26a内のテーブル24aから情報Sc1(出力電力Poに関する情報)およびSc2(周波数fに関する情報)に基づき位相Φ1および振幅A1に関係する情報を取得する。処理部22aは、信号S1の位相Φ1および振幅A1を設定し信号S1をアンプ10に出力する。処理部22bは、メモリ26b内のテーブル24bから情報Sc1およびSc2に基づき位相Φ2および振幅A2に関係する情報を取得する。処理部22bは、信号S2の位相Φ2および振幅A2をそれぞれ設定し信号S2をアンプ11に出力する。
【0048】
処理部22cは信号S3の位相Φ3および振幅A3を設定し信号S3を出力し、処理部22dは信号S4の位相Φ4および振幅A4を設定し信号S4を出力する(ステップS38)。例えば、処理部22cは、メモリ26c内のテーブル24cから情報Sc1およびSc2に基づき位相Φ3および振幅A3に関係する情報を取得する。処理部22cは、信号S3の位相Φ3および振幅A3を設定し信号S3を結合器12に出力する。処理部22dは、メモリ26d内のテーブル24dから情報Sc1およびSc2に基づき位相Φ4および振幅A4に関係する情報を取得する。処理部22dは、信号S4の位相Φ4および振幅A4を設定し信号S4を結合器13に出力する。制御部28は、終了するか判定する(ステップS40)。Yesの場合終了し、Noの場合ステップS30に戻る。例えば、制御部28は外部装置から停止信号を受信した場合、ステップS40においてYesと判定する。
【0049】
図12~
図17では、信号処理器20は情報Sc1およびSc2に基づき信号S1における位相Φ1および振幅A1並びに信号S2における位相Φ2および振幅A2を設定しているが、信号処理器20は、情報Sc1およびSc2に基づき信号S1およびS2の位相Φ1およびΦ2を設定すればよい。製造誤差等によりアンプ10と11とがアンバランスな場合もある。このような場合、信号処理器20は情報Sc1およびSc2に基づき信号S1およびS2の振幅A1およびA2を設定することが好ましい。さらに、信号処理器20は、情報Sc1およびSc2に基づき、アンプ10および11のゲートバイアス電圧を変更してもよい。信号処理器20は情報Sc1およびSc2に基づき信号S3における位相Φ3および振幅A3並びに信号S4における位相Φ4および振幅A4を設定しているが、信号処理器20は、情報Sc1およびSc2に基づき信号S3における位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方を設定し、信号S4における位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方を設定すればよい。インピーダンスZ1およびZ2をより精度よく調整するためには、信号処理器20は、情報Sc1およびSc2に基づき信号S3における位相Φ3および振幅A3の両方を設定し、信号S4における位相Φ4および振幅A4の両方を設定することが好ましい。
【0050】
高周波信号の出力電力Poが0dBmであり、出力電力Poが30dBm~40dBmの場合、アンプ10および11が1段では信号S1およびS2を30dBm~40dBmまで増幅できない場合もある。このような場合、アンプ10および11は2段以上でもよい。信号S3およびS4の電力は小さくてよいため、信号S3およびS4は増幅しなくてもよい。信号S1およびS2の電力が0dBmでは不十分な場合、結合器12および13の前に1段または複数段のアンプを設けてもよい。
【0051】
実施例1によれば、
図2のように、結合器12(第1結合器)は、アンプ10(第1アンプ)が増幅した信号S1aと信号S3(第3信号)とを結合する。結合器13(第2結合器)は、アンプ11(第2アンプ)が増幅した信号S2aと信号S4(第4信号)とを結合する。インピーダンス変換器14(第1インピーダンス変換器)には、信号S1が結合された信号S1bが入力する。インピーダンス変換器15(第2インピーダンス変換器)には、信号S4が結合された信号S2bが入力する。合成器16は、インピーダンス変換器14から出力される信号とインピーダンス変換器15から出力される信号とを合成し、合成した信号を出力信号Soutとして出力する。
【0052】
信号処理器20(アウトフェージング増幅器用信号処理器)は、信号S1の位相Φ1(第1位相)を情報Sc1(第1情報)に対応付けられた値に設定し、位相Φ1が設定された信号S1をアンプ10に出力し、信号S2の位相Φ2(第2位相)を情報Sc1に対応付けられた値に設定し、位相Φ2が設定された信号S2をアンプ11に出力する。信号処理器20は、信号S3の位相Φ3(第3位相)および振幅A3(第1振幅)の少なくとも一方を情報Sc1に対応付けられた値に設定し、位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方が設定された信号S3を結合器12に出力する。信号処理器20は、信号S4の位相Φ4(第4位相)および振幅A4(第2振幅)の少なくとも一方を情報Sc1に対応付けられた値に設定し、位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方が設定された信号S4を結合器13に出力する。
【0053】
これにより、
図8のように、アンプ10および11からインピーダンス変換器14および15をみたインピーダンスを微調整できる。よって、出力電力Poを変えるときにインピーダンスZ1およびZ2を微調整できる。また、製品ごとのインピーダンスZ1およびZ2を微調整できる。よって、ドレイン効率等の高周波特性を向上できる。
【0054】
信号処理器20は、信号S3における位相Φ3および振幅A3の両方を情報Sc1に対応付けられた値に設定し、信号S4における位相Φ4および振幅A4の両方を情報Sc1に対応つけられた値に設定する。これにより、インピーダンスZ1およびZ2をより調整することができる。よって、ドレイン効率等の高周波特性をより向上できる。
【0055】
信号処理器20は、信号S1における位相Φ1を情報Sc1およびSc2(第2情報)に対応付けられた値に設定し、信号S2における位相Φ2を情報Sc1およびSc2に対応付けられた値に設定する。信号処理器20は、信号S3における位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方を情報Sc1およびSc2に対応付けられた値に設定し、信号S4における位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方を情報Sc1およびSc2に対応付けられた値に設定する。これにより、周波数が変わった場合にインピーダンスZ1およびZ2をより調整することができる。よって、ドレイン効率等の高周波特性をより向上できる。
図16では、周波数fの水準をf1とf2の2個としたが周波数の水準は3以上でもよい。
【0056】
信号S1~S4の周波数は互いに同じである。これにより、信号S1とS2とを合成することで出力信号Soutの電力を変調できる。信号S1とS3とを結合し、信号S2とS4とを結合することで、インピーダンスZ1およびZ2を微調整することができる。
【0057】
信号処理器20は、メモリ26a~26dを備える。メモリ26aは、情報Sc1と位相Φ1とを対応付けたテーブル24a(第1テーブル)を記憶する。メモリ26bは、情報Sc1と位相Φ2とを対応付けたテーブル24b(第2テーブル)を記憶する。メモリ26cは、情報Sc1と位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方とを対応付けたテーブル24c(第3テーブル)を記憶する。メモリ26dは、情報Sc1と位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方とを対応付けたテーブル24d(第4テーブル)を記憶する。信号処理器20内の処理部22a(第1処理部)は、テーブル24aに基づき位相Φ1を設定する。処理部22b(第2処理部)は、テーブル24bに基づき位相Φ2を設定する。処理部22c(第3処理部)は、テーブル24cに基づき位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方を設定する。処理部22d(第4処理部)は、テーブル24dに基づき位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方を設定する。これにより、信号処理器20は、情報Sc1に基づき、位相Φ1、Φ2、位相Φ3および振幅A3の少なくとも一方および位相Φ4および振幅A4の少なくとも一方を設定できる。信号処理器20は、テーブル24a~24dを用いず、情報Sc1およびSc2に基づき位相Φ1、Φ2、Φ3、Φ4、振幅A1、A2、A3およびA4を設定してもよい。
【0058】
合成器16は、シレイ合成器でなくてもよいがシレイ合成器であることが好ましい。これにより、
図6において説明したように、ドレイン効率等の高周波特性を向上できる。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
S1~S4 S1~S4 信号(第1信号~第4信号)
Sc1、Sc2 情報(第1情報、第2情報)
Sin 入力信号
Sout 出力信号
So 高周波信号
Tin 入力端子
Tout 出力端子
Φ1、Φ2 位相(第1位相、第2位相)
Φ3、Φ4 位相(第3位相、第4位相)
A1、A2 振幅
A3、A4 振幅(第1振幅、第2振幅)
10、11 アンプ(第1アンプ、第2アンプ)
12、13 結合器(第1結合器、第2結合器)
14、15 インピーダンス変換器(第1インピーダンス変換器、第2インピーダンス変換器)
16、16a 合成器
18、19 FET
20 信号処理器(アウトフェージング増幅器用信号処理器)
22a~22d 処理部(第1処理部~第4処理部)
24a~24d テーブル(第1テーブル~第4テーブル)
26a~26d メモリ
28 制御部
30~33 整合回路
34、36 バイアス回路
40、41 伝送線路
42 アイソレータ
50、51 点
52、53 矢印
100 アウトフェージング増幅器