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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180500
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20231214BHJP
   B60R 7/08 20060101ALI20231214BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20231214BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60J3/02 N
B60J3/02 A
B60R7/08 Z
B60R7/04 Z
B60N3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093861
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】河西 純
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇希
(72)【発明者】
【氏名】落合 清史
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088AA06
3D022CA22
3D022CC04
3D022CD02
3D022CD05
(57)【要約】
【課題】テーブルとして使用していない時の収納スペースを確保することが不要となり、その収納スペース分の車室内のユーティリティの低下を抑制する。
【解決手段】車両用サンバイザ(1、6、7)は、ステアリングホイール2に嵌め合うことが可能な穴部40を有する本体部20と、本体部20に支持され、車室内上部に着脱可能に取り付けられる組付部21と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに嵌め合うことが可能な穴部を有する本体部と、
前記本体部に支持され、車室内上部に着脱可能に取り付けられる組付部と、を有する車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記ステアリングホイールの下方から前記穴部を嵌め合わせた状態において、前記穴部の周縁部が前記ステアリングホイールに当接することにより、前記ステアリングホイールによって保持可能となる請求項1に記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記本体部に連結され、且つ前記本体部に対して平行となるように展開可能な展開部を有する請求項1又は2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記本体部は、前記穴部の周囲に配置され、前記ステアリングホイールの下方から前記穴部を嵌め合わせた状態において前記ステアリングホイールに当接する支持ステーを有する請求項1又は2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
前記本体部は、前記穴部の周縁部の形状の一部を成し、且つ、前記穴部の長手方向に移動可能に連結される分割部を有する請求項1又は2に記載の車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、平板状のテーブル主体の前部に形成したスリットを自動車の丸ハンドルの下部に嵌合させ、該スリットの前部壁をなす係合片と、テーブル主体の左右方向中心部の下面に設けたストッパーとによりテーブルを水平状に保持する運転者用テーブルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-47033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のテーブルを使用していない時には、テーブルを収納するスペースを確保する必要があり、その収納スペース分の車室内のユーティリティが低下する恐れがある。
【0005】
本開示の目的は、テーブルとして使用していない時の収納スペースを確保することが不要となり、その収納スペース分の車室内のユーティリティの低下を抑制する車両用サンバイザの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る車両用サンバイザは、ステアリングホイールに嵌め合うことが可能な穴部を有する板部材からなる本体部と、車両用サンバイザを車室内上部に着脱可能に取り付ける組付部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、テーブルとして使用していない時の収納スペースを確保することが不要となり、その収納スペース分の車室内のユーティリティの低下を抑制する車両用サンバイザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車室内のダッシュボード5、ステアリングホイール2、フロントガラス4、及び天井3の一部、及び車室内上部に取り付けられている実施形態に係る車両用サンバイザ1を車両の後方側から見た時の正面図である。
図2図2は、図1の車両用サンバイザ1の展開部30を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した車両用サンバイザ1の展開部30を展開した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図2及び図3に示した車両用サンバイザ1を図1のステアリングホイール2の下部に取り付けてテーブルとして利用可能な状態を示す斜視図である。
図5図5は、図4のA-A切断面に沿った車両用サンバイザ1及びステアリングホイール2の断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る車両用サンバイザ6の展開部30を展開した状態を示す正面図である。
図7図7は、第3実施形態に係る車両用サンバイザ7の展開部30を展開した状態を示す正面図である。
図8図8は、図7に示した車両用サンバイザ7をステアリングホイール2の下部に取り付けてテーブルとして利用可能な状態を示す斜視図である。
図9図9は、図8のB-B切断面に沿った車両用サンバイザ7及びステアリングホイール2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両用サンバイザ(以後、単に「サンバイザ」と呼ぶ場合がある。)、当該サンバイザのテーブルとしての利用に連携した車両制御方法について説明する。図1は、車室内のダッシュボード5、ステアリングホイール2、フロントガラス4、及び天井3の一部、及び車室内上部に取り付けられている実施形態に係る車両用サンバイザ1を車両の後方側から見た時の正面図である。なお、各図中の「前」及び「後」は車両の前後方向の前方及び後方を、「右」及び「左」は車両の左右方向の右方及び左方を、「上」及び「下」は車両の上下方向の上方及び下方をそれぞれ示す。なお、以下の説明では、車両の前後方向の前方、後方、車両の左右方向の左方、右方、車両の上下方向の上方、下方を、それぞれ「車両前方」、「車両後方」、「車両左方」、「車両右方」、「車両上方」、「車両下方」と称することとする。また、同一の機能を有する異なる部位に関しては同一の符号を付し、重複する場合はその説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態に係るサンバイザ1は、特に限定はされないが、自動車等の車外から車室内へ進入する光の全部又は一部を遮蔽するサンバイザを搭載する車両に用いられる。図1に示すように、車室内には、ダッシュボード5、ステアリングホイール2、フロントガラス4、及び天井3が配置されている。サンバイザ1は、車室内上部に取り付けることができる。例えば、フロントガラス4側の天井3の端部付近に取り付けることができる。ステアリングホイール2は、天井3の端部付近に固定されている取付部材8(ホルダー)に対して着脱可能に取り付けることができる。さらに、サンバイザ1は、扁平な板部材であって、取付部材8を回転中心として回転可能に取り付けることができる。図1に示すように、サンバイザ1の使用時には、フロントガラス4側に回転させることで、フロントガラス4の上部から入射する光を遮断する。一方、サンバイザ1を使用しない時には、サンバイザ1を天井3側に回転さて天井3に沿ってサンバイザ1を配置させることで、フロントガラス4の上部から光を車室内に入射させることができる。本実施形態のサンバイザ1は、前席の天井3に格納する際に運転者の視界を確保するため、扁平な形状を有している。よって、天井3を沿わせてサンバイザ1を配置することにより、サンバイザ1による車室内のユーティリティの低下を抑制することができる。
【0011】
図2は、図1の車両用サンバイザ1の展開部30を折り畳んだ状態を示す斜視図である。図3は、図2に示した車両用サンバイザ1の展開部30を展開した状態を示す斜視図である。本実施形態に係るサンバイザ1は、図2及び図3に示すように、板部材である本体部20であって、ステアリングホイール2に嵌め合うことが可能な穴部40を有する本体部と、本体部20に支持され、サンバイザ1を車室内上部に着脱可能に取り付ける組付部21とを有する。ステアリングホイール2に穴部40を嵌め合わせることで、サンバイザ1の本体部20をテーブルとして利用することができる。一方、テーブルとして使用しない時には、組付部21を用いてサンバイザ1を車室内上部に取り付けることにより、サンバイザ1による車室内のユーティリティの低下を抑制することができる。本体部20は、テーブルとして機能するために必要な扁平な表面形状及び十分な強度を有する材質からなる板状の部材である。本体部20の平面形状は、サンバイザ及びテーブルとして機能する形状であれば、特に問わない。例えば、長方形又は台形である。組付部21は、本体部20の短手方向、図2及び図3の例では、上方の端部に設けられた1対の部材である。組付部21は、図1の取付部材8(ホルダー)と嵌め合うことができる形状、例えば円柱状の形状を有している。サンバイザ1の組付部21が車室内の取付部材8と嵌め合うことにより、図1に示したように、サンバイザ1を天井3の端部付近に取り付けることができる。本体部20が備える穴部40は、本体部20の長辺に沿った長辺と、本体部20の短辺に沿った短辺とを有する凡そ長方形の形状を有する、本体部20を板厚方向に貫通する穴である。穴部40の形状及び大きさの具体例については、図3図5を参照して後述する。
【0012】
サンバイザ1は、本体部20に連結され、且つ本体部20に対して水平になるように展開可能な展開部30を更に備えていても構わない。展開部30は、板部材である。具体的には、展開部30は、テーブルとして機能するために必要な扁平な表面形状及び十分な強度を有する材質からなる板状の部材である。展開部30の平面形状は、サンバイザ及びテーブルとして機能する形状であれば、特に問わない。例えば、長方形又は台形である。なお、サンバイザ1は、本体部20と展開部30との間を回転可能に支持する1以上のヒンジ31を更に備える。ヒンジ31は、組付部21が配置された短辺方向の端部に対向する本体部20の他端に固定され、更に展開部30の短手方向の端部にも固定されている。図2及び図3に示すように、例えば、1対のヒンジ31を長手方向に並べて配置し、ヒンジ31を境にして本体部20に対して展開部30を折り畳んだ状態(図2)と、本体部20に対して展開部30を展開した状態(図3)との間を回転自在に変化させることができる。なお、本明細書では、共に板部材からなる本体部20と展開部30とが成す角度(展開角度)を、図2に示す折り畳んだ状態を0度と表記し、図3に示す展開した状態を180度と表記する。また、「平行」にはテーブルとして機能する角度範囲を含むものとする。
【0013】
折り畳んだ状態(図2)では、本体部20の主表面と展開部30の主表面とが対向して重ね合わされるので、サンバイザ1全体の大きさを小さくすることができる。一方、展開した状態(図3)では、展開部30が本体部20に対して水平に展開するので、本体部20の主表面及び展開部30の主表面は同一平面上に位置して、1つの平坦面を形成する。また、後述するように、サンバイザ1は、展開角度を180度までとして180度以上回転しない構造を有しているので、サンバイザ1をテーブルとして利用する時には、本体部20のみならず展開部30を含めた、より広い1つの平坦面を有するテーブルとして利用することができる。
【0014】
組付部21は、例えば、本体部20を車室内上部に回転可能に取り付けることができる支軸である。支軸21の中央部分は、本体部20の短辺方向の端部20bの中を本体部20の長辺方向に沿って貫通している。支軸21の両端部は、本体部20の短辺方向の端部20cの中に挿通され、端部20cにより保持されている。支軸21のうち、図1に示した取付部材8と嵌り合う部分が、本体部20の端部20bと本体部20の端部20cとの間から露出している。本実施形態では、車両左右方向に1個所ずつ取付部材8と嵌め合い可能な部位として、支軸21の一部が本体部20から所定の長さだけ露出している。支軸21の断面形状は特に限定されず、適宜の形状にすることができる。本実施形態では、取付部材8内を円滑に摺動できるように円形状とされている。
【0015】
本実施形態においては、組付部の一例としての支軸21と天井3の取付部材8とが嵌め合うことでサンバイザ1を天井3に取り付ける例を示すが、組付部は脱着可能に組み付けられる構成であれば、支軸21に限定されない。例えば、面ファスナにより運転席上部に取り付ける構成にしてもよい。
【0016】
図3に示すように、本体部20には本体部20の長手方向に沿って延びる穴部40が形成されている。穴部40の平面形状(41、42、43)は、本体部20がステアリングホイール2の下部に係合するため、ステアリングホイール2の下部の水平断面形状に沿った形状である。具体的には、穴部40の長手方向の長さ(40a)は、ステアリングホイール2の外径よりもやや短い。一方、本体部20の短手方向の穴部40の長さ(40b)は、ステアリングホイールの下部の回転軸方向の長さよりもやや長い。ステアリングホイール2の裏面側の形状に穴部40の形状を合わせるため、穴部40の支軸21側の平面形状(41、42)のうち、穴部40の中央部41が両端部42よりも支軸21へ向かって突出している。換言すれば、穴部40の支軸21側の中央部には、切欠き部41が形成されている。このようにすることで、ステアリングホイール2の下部にサンバイザ1を係合する際、ステアリングホイール2のより高い位置でサンバイザ1を固定することが可能となる。
【0017】
図4及び図5を参照して、ステアリングホイール2の下方から穴部40を嵌め合わせた状態において、穴部40の周縁部がステアリングホイール2に当接することにより、サンバイザ1がステアリングホイール2によって保持可能となることを説明する。図4は、図2及び図3に示した車両用サンバイザ1を図1のステアリングホイール2の下部に取り付けてテーブルとして利用可能な状態を示す斜視図である。図5は、図4のA-A切断面に沿ったサンバイザ1及びステアリングホイール2の断面図である。なお、サンバイザ1が展開部30を備える場合には、予め図3に示すように展開部30を本体部20に対して水平に展開する。図4に示すように、ステアリングホイール2の下方から穴部40をステアリングホイール2の下部に嵌め合わせる。この状態において、図5に示すように、穴部40の周縁部(42、43)がステアリングホイール2の表面及び裏面にそれぞれ当接する。具体的には、穴部40の車両前方側の側面42がステアリングホイール2の車両前方側の裏面に当接する。一方、穴部40の車両後方側の側面43がステアリングホイール2の車両後方側の表面に当接する。この時、本体部20及び展開部30の自重により、サンバイザ1には、穴部40付近を中心とし、且つ車両の左右方向を軸とする力のモーメント(回転力)が働く。これに対して、ステアリングホイール2の当接する部分には、穴部40の側面(42、43)に対して応力が作用する。さらに、ステアリングホイール2の表面は車両上方に向けて傾斜している。このため、サンバイザ1の本体部20は、ステアリングホイール2によって略水平に保持される。サンバイザ1の本体部20をテーブルとして利用することができる。なお、ステアリングホイール2によって本体部20を水平に保持させるためには、穴部40に当接する部分のステアリングホイール2の断面形状に対して、穴部40の形状、具体的には、穴部40の長手方向の長さ(40a)及び短手方向の長さ(40b)を適正な値に設定すればよい。「水平」とはテーブルとして機能する角度範囲を含むものとする。
【0018】
サンバイザ1は、次に示すように、展開角度を180度までとして180度以上回転しない構造を有している。例えば、図5に示すように、展開部30が180度展開した状態で、本体部20の展開部30側の端部20aと展開部30の本体部20側の端部30aとが当接する。これにより、サンバイザ1は、展開角度を180度までとして180度以上回転しない構造を実現している。これ以外にも、ヒンジ31自体が、180度以上展開しないようなストッパー機能を備えていてもよい。展開角度を180度までに制限する構造によって、サンバイザ1をテーブルとして利用する時には、本体部20のみならず展開部30を含めた、より広い1つの平坦面を有するテーブルとして利用することができる。なお、展開角度の最大値としての180度は、本体部20のみならず展開部30をもテーブルとして同時に使用するための指標であって、テーブルとして利用可能である限りにおいて、展開角度の最大値としての180度には、180度から一定の角度範囲が含まれる。
【0019】
また、穴部40の支軸21側の側面42及びヒンジ31側の側面43には、ステアリングホールに係合する際の傷の防止の観点から、保護テープを貼付し、又は保護材を塗布してもよい。又は、ステアリングホイール2との摩擦力を向上させる観点から、滑り止めテープを貼付し、又は滑り止め材を塗布してもよい。或いは、保護及び摩擦力向上を同時に実現するテープ又は塗布材を利用してもよい。ステアリングホイール2への傷防止による美的外観を維持し、摩擦力の向上によりテーブルの安定性を向上させることができる。
【0020】
サンバイザ1は、本体部20に対して展開部30が折り畳まれる構造となっている。このような構造とすることで、展開部30を折り畳んだ状態でのサンバイザ1の面積を抑えつつ、テーブル使用時には展開部30を展開させることで、必要なテーブルの面積を確保することができる。
【0021】
また、ヒンジ31を用いて展開部30を展開させる構造を示したが、展開部30を展開させる構造は、これに限定されない。具体的な構造は図示しないが、展開部30は、本体部20に内蔵、或いは付帯させる構造をとり、本体部20の表面に沿って展開部30をスライドして展開するような機構としてもよい。具体的には、スライド展開していない状態では、図2に示したように、展開部30は本体部20に重ね合わされている。図2の状態から、図3に示した状態まで、展開部30を、本体部20の表面に沿って平行に移動、つまりスライドさせる構造を採用してもよい。なお、スライド展開させる機構であっても、展開角度を180度までに制限してもよい。この場合には、サンバイザ1の面積を抑えつつ、テーブル使用時には展開部30を展開させることで、必要なテーブル面積を確保することができる。さらに、展開部30のスライド量を調整することにより、テーブルの面積を調整することも可能である。
【0022】
上記構成を備えるサンバイザ1は、運転時には前席上方のホルダー(図1の取付部材8)に支軸21を介して組み付けることが可能であり、日よけが必要な時にはサンバイザ1を格納位置から所望の位置に回動させ、サンバイザとして機能する。なお、格納位置とは、図1の天井3を沿って配置されたサンバイザ1の位置である。また、停車時の休憩の際には、サンバイザ1を前席上部のホルダー(図1の取付部材8)から取り外し、本体部20から展開部30を展開した後に、穴部40をステアリングホイール2の下部に嵌め合わせ、作業用のテーブルとして機能させることができる。このような構成とすることで、作業用のテーブルを専用部品として車室内に設ける必要がなくなり、部品点数の増加を抑制し、且つ車室内の省スペース化に寄与することができる。
【0023】
(第2実施形態)
穴部40の長手方向の長さ(40a)とステアリングホイール2の外径との関係により、ステアリングホイール2に保持可能なサンバイザ1の高さが変化する。サンバイザ1の高さは、サンバイザ1のテーブルとしての利便性に影響を与える。ステアリングホイール2の外径は車両毎に異なる。また、ユーザの体格の違いにより、使いやすいテーブルの高さが異なる。第2実施形態では、サンバイザのテーブルとしての利便性及び汎用性を高めるために、穴部40の長手方向の長さ(40a)の調整機能を備えるサンバイザ6を説明する。
【0024】
図6は、第2実施形態に係る車両用サンバイザ6の展開部30を展開した状態を示す正面図である。図6に示すように、サンバイザ6は、第1実施形態のサンバイザ1と同様に、本体部50と、組付部としての支軸21とを備える。さらに、サンバイザ6は、展開部30を備えていてもよい。展開部30を展開する機構として、サンバイザ6は、ヒンジ31又は展開部30をスライドして展開する機構を備えていても構わない。
【0025】
サンバイザ6の本体部50は、ベース部54と分割部(51、52)とを有する。分割部(51、52)は、穴部40の周縁部の形状の一部を成し、且つ、穴部40の長手方向に移動可能にベース部54に連結されている。分割部(51、52)を穴部40の長手方向に移動させることにより、穴部40の長手方向の長さ(40a)の調整することができ、サンバイザのテーブルとしての利便性及び汎用性が高まる。本体部50は、支軸21と並んで配置されたサポート軸53であって、且つ、支軸21との間に穴部40が配置されたサポート軸53を更に備える。1対の分割部(51、52)は、支軸21とサポート軸53との間に配置され、支軸21及びサポート軸53の軸方向に移動可能にサポート軸53を介してベース部54に連結されている。ベース部54は、ヒンジ31を介して展開部30に連結された部分であって、図3の本体部20と同様に扁平な板部材からなる。ベース部54と展開部30は、図5に示したような、展開角度を180度までとして180度以上回転しない構造を有している。
【0026】
サポート軸53は、支軸21に対して平行を成している。サポート軸53の中央部分は、ベース部54の短辺方向の端部54aの中をベース部54の長辺方向に沿って貫通している。サポート軸53の両端部は分割部(51、52)の中にそれぞれ挿通されている。分割部(51、52)には、支軸21の両端部もそれぞれ挿通されている。支軸21の両端部が挿通された分割部(51、52)の一部には切欠きが形成され、分割部(51、52)の切欠きから、支軸21が露出している。切欠きから露出した支軸21は、図1の取付部材8と嵌め合うことにより、サンバイザ6を、図1に示したサンバイザ1と同様にして、天井3の端部付近に取り付けることができる。
【0027】
分割部(51、52)は、サポート軸53及び支軸21が挿通された方向に、サポート軸53及び支軸21に対してそれぞれ摺動可能である。サポート軸53及び支軸21の間に配置された分割部(51、52)が穴部40の平面形状の一部を形成している。穴部40の長手方向の長さは、分割部(51、52)のサポート軸53及び支軸21に対する位置に応じて変化する。以上説明したサンバイザ6の本体部50の構成により、穴部40の長手方向の長さを調整して、サンバイザ6が保持されるステアリングホイール2に対する相対的な高さを自由に設定することができる。また、外径が異なる複数のステアリングホイール2に対してサンバイザ6を利用することができる。サンバイザ6のテーブルとしての利便性及び汎用性を高めることができる。
【0028】
(第3実施形態)
図5に示したように、傾斜したステアリングホイール2に対してテーブル(サンバイザ1)が水平に保持される。このため、穴部40の側面(42、43)とステアリングホイール2とが当接する部分の面積は狭く、ステアリングホイール2とテーブル(サンバイザ1)との間に十分な摩擦力が発生せず、テーブル(サンバイザ1)が安定しない場合がある。また、ステアリングホイール2に当接する穴部40の側面(42、43)に加わる力の成分には、本体部20の表裏面に平行な成分のみならず、本体部20の板厚方向の成分も含まれる。板部材の厚さ方向の剛性は、板部材の主表面に平行な方向の剛性に比べて低いのが一般的である。このため、穴部40の周辺の本体部20が変形してテーブル(サンバイザ1)が安定しない場合がある。第3実施形態では、テーブルとしての安定性を高めたサンバイザ7について説明する。
【0029】
図7は、第3実施形態に係る車両用サンバイザ7の展開部30を展開した状態を示す正面図である。図7に示すように、サンバイザ7は、第1実施形態のサンバイザ1と同様に、本体部20と、組付部としての支軸21とを備える。さらに、サンバイザ7は、展開部30を備えていてもよい。展開部30を展開する機構として、サンバイザ7は、ヒンジ31又は展開部30をスライドして展開する機構を備えていても構わない。さらに、図示は省略するが、第2実施形態のサンバイザ6(図6)のように、サンバイザ7は、サポート軸53及び支軸21に対して摺動可能な分割部(51、52)による、穴部40の長さの調整機構を備えていてもよい。
【0030】
図8は、図7に示した車両用サンバイザ7をステアリングホイール2の下部に取り付けてテーブルとして利用可能な状態を示す斜視図である。図9は、図8のB-B切断面に沿った車両用サンバイザ7及びステアリングホイール2の断面図である。図7図9に示すように、サンバイザ7の本体部20は、穴部40の周囲に配置され、ステアリングホイール2の下方から穴部40を嵌め合わせた状態においてステアリングホイール2に当接する支持ステー60を有する。支持ステー60は、本体部20の長手方向の中央部に配置された板部材であって、支持ステー60の一辺が本体部20に対して回転可能に取付けられている。支持ステー60を折り畳むと、支持ステー60は本体部20に重ね合わされ、格納される。この格納状態から、支持ステー60を約90度回転させて、本体部20の表面に対して支持ステー60を垂直に起立させる。そして、図8図9に示すように、この起立した状態のまま、ステアリングホイール2の下部から穴部40を嵌め合わせる。この時に、起立した支持ステー60の一端62がステアリングホイール2の表面に当接する。起立した支持ステー60の一端62がステアリングホイール2からの応力を受ける。これにより、穴部40周囲の本体部20の変形が抑制される。また、サンバイザ7とステアリングホイール2とが当接する部分の面積が増えるので、サンバイザ7(テーブル)の安定性が向上する。
【0031】
また、折り畳み式の支持ステー60の形状は、ステアリングホイール2の形状に沿って適宜設定することができる。本実施形態では、ステアリングホイール2の形状に沿わせて切り欠き62を形成している。切り欠き62を形成することで、サンバイザ7とステアリングホイール2とが当接する部分の面積が更に増えるので、サンバイザ7の安定性をより一層向上させることができる。
【0032】
支持ステー60の周囲に、支持ステー60の外形に沿うように本体部20の表面を窪ませた凹部を形成してもよい。このような構成にすることで支持ステー60を凹部の内部に格納することができ、この格納状態において、本体部20の表面を滑らかにし、美的外観を向上させることができる。
【0033】
また、凹部の一部に連続して円弧状の凹形状61を設けてもよい。この場合には、支持ステー60を展開させる際に、凹形状61を介してユーザの指が支持ステー60に引っ掛かりやすくなり、支持ステー60の操作性が向上する。
【符号の説明】
【0034】
1、6、7 サンバイザ(車両用サンバイザ)
2 ステアリングホイール
4 フロントガラス
20、50 本体部
21 組付部(支軸)
30 展開部
40 穴部
42、43 側面(穴部の周縁部)
51、52 1対の分割部
53 サポート軸
54 ベース部
60 支持ステー
図1
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図9