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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180543
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20231214BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20231214BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G47/52 E
H02K41/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093926
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】太田 正人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕亮
【テーマコード(参考)】
3F021
3F044
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA02
3F021DA02
3F044CC02
3F044CC14
5H641BB06
5H641BB19
5H641GG02
5H641HH03
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】物品搬送装置の設置スペースを減少させる。
【解決手段】物品搬送装置7は、リニア駆動装置によって移動される複数のキャリア2によって容器3を搬送するようになっている。
物品搬送装置7は、上方側となる直線状の第1搬送レール11と、下方側に配置された直線状の第2搬送レール12と、複数のキャリア2を保持して反転されることで第1搬送レール11の下流端11Aから第2搬送レール12の上流端12Aにキャリア2を受け渡す第1受け渡し手段14と、複数のキャリア2を保持して反転されることで第2搬送レール12の下流端12Bから上記第1搬送レール11の上流端11Bにキャリア2を受け渡す第2受け渡し手段14を備えている。
第1搬送レール11(往路)と第2搬送レール12(復路)の間隔が従来と比較して減少するので、装置全体の設置スペースを減少させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石が設けられるとともに所要位置で物品を保持して移動する複数のキャリアと、上記複数のキャリアを循環搬送経路に沿って移動させる搬送レールと、循環搬送経路に沿って配置された複数の電磁コイルと、上記電磁コイルを励磁させて上記キャリアを循環搬送経路に沿って移動させる制御装置とを備えて、上記キャリアが保持した物品を搬送するように構成された物品搬送装置において、
上記搬送レールは、上記キャリアが循環搬送経路に沿って移動される際の往路となる直線状の第1搬送レールと、上記第1搬送レールから離隔させて並列に配置されて上記キャリアが循環搬送経路に沿って移動される際の復路となる直線状の第2搬送レールとを備え、
上記第1搬送レールの下流端から複数のキャリアを受け入れてから回転して、上記第2搬送レールの上流端へキャリアを受け渡す第1受け渡し手段と、上記第2搬送レールの下流端から複数のキャリアを受け入れてから回転して、上記第1搬送レールの上流端へキャリアを受け渡す第2受け渡し手段とを設け、
上記第1搬送レール、上記第1受け渡し手段、上記第2搬送レール及び上記第2受け渡し手段によって上記循環搬送経路が構成されており、
上記第1受け渡し手段及び上記第2受け渡し手段は、長手方向にわたって複数の電磁コイルが設けられるとともに複数のキャリアを受け入れるリニアレールと、該リニアレールを回転させる回転手段とを備えることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
上記第1搬送レールは所定高さに水平に配置されており、上記第2搬送レールは上記第1搬送レールの下方側に該第1搬送レールと所要間隔を維持して水平に配置されており、
上記第1受け渡し手段は、上記回転手段によって上記リニアレールを上記第1搬送レールと接続される上昇位置と上記リニアレールを上記第2搬送レールと接続される下降位置とに移動させるようになっており、
上記第2受け渡し手段は、上記回転手段によって上記リニアレールを上記第2搬送レールと接続される下降位置と、上記リニアレールを上記第1搬送レールと接続される上昇位置とに移動させることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
上記第1搬送レールは所定高さに水平に配置されており、上記第2搬送レールは上記第1搬送レールの下方位置で、かつ一側にずれた位置に水平に配置されており、
上記第1受け渡し手段は、上記回転手段によって上記リニアレールを第1搬送レールと接続される上昇位置と上記リニアレールを上記第2搬送レールと接続される下降位置とに移動させるとともに、上記リニアレールを上記第1搬送レールの延長線上の位置と上記第2搬送レールの延長線上の位置とに移動させるスライド機構を備えており、
上記第2受け渡し手段は、上記回転手段によって上記リニアレールを上記第2搬送レールと接続される下降位置と、上記リニアレールを上記第1搬送レールと接続される上昇位置とに移動させるとともに、リニアレールを上記第2搬送レールの延長線上の位置と第1搬送レールの延長線上の位置とに移動させるスライド機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送装置に関し、より詳しくは、物品を保持する複数のキャリアをリニア駆動装置によって移動させることで物品を搬送するようにした物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を保持する複数のキャリアをリニア駆動装置によって移動させることで、物品を搬送するようにした物品搬送装置は知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の物品搬送装置においては、キャリアの往路が上方側で復路が下方側となる循環搬送経路が採用されており、各キャリアは、リニア駆動装置によって搬送レールに沿って独立して移動されることで、キャリアに保持された物品を搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-531058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたようなリニア駆動装置を用いた物品搬送装置においては次のような問題があった。すなわち、リニア駆動装置の構成部品は各メーカーで寸法が決まっているために、上述したようなキャリアの往路と復路が上下の関係となるような循環搬送経路を採用すると、往路と復路とを接続する円弧状の搬送経路を確保する必要があるためにリニア駆動装置が大型化し、ひいては物品搬送装置の設置スペースが大きくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、永久磁石が設けられるとともに所要位置で物品を保持して移動する複数のキャリアと、上記複数のキャリアを循環搬送経路に沿って移動させる搬送レールと、循環搬送経路に沿って配置された複数の電磁コイルと、上記電磁コイルを励磁させて上記キャリアを循環搬送経路に沿って移動させる制御装置とを備えて、上記キャリアが保持した物品を搬送するように構成された物品搬送装置において、
上記搬送レールは、上記キャリアが循環搬送経路に沿って移動される際の往路となる直線状の第1搬送レールと、上記第1搬送レールから離隔させて並列に配置されて上記キャリアが循環搬送経路に沿って移動される際の復路となる直線状の第2搬送レールとを備え、
上記第1搬送レールの下流端から複数のキャリアを受け入れてから回転して、上記第2搬送レールの上流端へキャリアを受け渡す第1受け渡し手段と、上記第2搬送レールの下流端から複数のキャリアを受け入れてから回転して、上記第1搬送レールの上流端へキャリアを受け渡す第2受け渡し手段とを設け、
上記第1搬送レール、上記第1受け渡し手段、上記第2搬送レール及び上記第2受け渡し手段によって上記循環搬送経路が構成されており、
上記第1受け渡し手段及び上記第2受け渡し手段は、長手方向にわたって複数の電磁コイルが設けられるとともに複数のキャリアを受け入れるリニアレールと、該リニアレールを回転させる回転手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、上記両受け渡し手段を備えることで、従来必要であった円弧状の搬送経路を省略することができる。そのため、第1搬送レールと第2搬送レールの間隔を従来装置よりも短縮することができる。したがって、従来と比較して物品搬送装置の設置スペースを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す正面図。
図2図1とは異なる状態を示す正面図。
図3図1の要部の右側面図。
図4】本発明の第2実施例を示す正面図。
図5図4の要部の右側面図。
図6】本発明の第3実施例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図3において1は物品処理システムであり、この物品処理システム1は、多数のキャリア2によって空の容器3を矢印方向に搬送しながら充填装置4によって各容器3に充填液を充填するようになっており、その後、キャッパ5によって各容器3の上端口部に図示しないキャップを取り付けるようになっている。
この物品処理システム1は、多数のキャリア2によって物品としての容器3を矢印方向に搬送する物品搬送装置7と、この物品搬送装置7による容器3の搬送経路の上方側に配置されて容器3内に充填液を充填する充填装置4と、その下流側に配置されて容器3の口部にキャップを取り付けるキャッパ5と、これらの構成要素の作動を制御する制御装置8とを備えている。
充填装置4の隣接上流側となる供給位置Aには図示しない供給ロボットが配置されており、この供給位置Aにて停止中の各キャリア2に供給ロボットから空の容器3が供給されて保持されるようになっている。また、キャッパ5の隣接下流側となる排出位置Bに図示しない排出ロボットが配置されており、キャップの取り付けが完了した容器3を保持したキャリア2が排出位置Bで停止中に排出ロボットによってキャリア2から容器3が取り出されて、図示しない排出コンベヤ上に排出されるようになっている。
【0009】
物品搬送装置7は、リニアモータを用いたリニア駆動装置によって各キャリア2を鉛直面に沿った循環搬送経路Rにおいて循環移動させる構成となっている。本実施例の物品搬送装置7は、上方側に水平に配置されて容器3の搬送方向に沿って伸びる第1搬送レール11と、第1搬送レール11の下方側に水平に配置されて搬送方向に沿って伸びる第2搬送レール12と、第1搬送レール11の下流端11Aから第2搬送レール12の上流端12Aへ複数のキャリア2を受け渡す第1受け渡し手段14と、第2搬送レール12の下流端12Bから第1搬送レール11の上流端11Bに複数のキャリア2を受け渡す第2受け渡し手段15と、上記第1搬送レール11、第2搬送レール12及び両受け渡し手段14,15にわたって循環して移動される多数のキャリア2を備えている。
本実施例においては、第1搬送レール11、第2搬送レール12、第1受け渡し手段14及び第2受け渡し手段15によって多数のキャリア2を鉛直面において循環移動させる循環搬送経路Rが形成されている。そして、第1搬送レール11を設けた領域がキャリア2を移動させる際の往路となって、この往路が、キャリア2が容器3を保持して搬送する搬送経路となっている。この往路となる搬送経路の上方側に上記供給位置A、充填装置4、キャッパ5及び排出位置Bが順次、設けられている。また、第2搬送レール12を設けた領域がキャリア2を移動させる際の復路となっている。
【0010】
図3に示すように、第1搬送レール11には搬送方向(長手方向)に沿って多数の電磁コイル17が一列で埋設されており、これらの電磁コイル17は制御装置8によって所要のタイミングで励磁されるようになっている。
第1搬送レール11の近接上方位置に多数のシャトル18が搬送方向に沿って一列で配置されており、各シャトル18には永久磁石23が埋設されている。
各シャトル18の一側に連結軸19が水平に連結されるとともに、各シャトル18の他側に支持軸20が水平に連結されている。連結軸19及び支持軸20には、ローラ21が回転自在に取り付けられており、これらのローラ21は第1搬送レール11における両側の載置面上を転動するようになっている。
連結軸19には、支持部材を介して容器3を保持するグリッパ22が取り付けられている。本実施例においては、シャトル18、連結軸19、グリッパ22、支持軸20及びローラ21によって、キャリア2が構成されている。そして、各キャリア2が上記供給位置Aで停止中において上記供給ロボットによって容器3がキャリア2に供給されるとグリッパ22によって保持されるようになっている。そして、キャリア2は、グリッパ22によって容器3を保持して供給位置Aから排出位置Bまで搬送するようになっている。なお、本実施例では、キャリア2がグリッパ22を備えて、このグリッパ22によって容器3を保持する構成となっているが、グリッパ22は省略して単に支持部材上に容器3を保持する構成にしても良い。
第1搬送レール11の搬送方向に埋設された多数の電磁コイル17と各キャリア2の永久磁石23とからリニア駆動装置が構成されており、制御装置8によって所要位置の電磁コイル17が励磁されることで、各キャリア2を第1搬送レール11の上流端11Bから下流端11Aまで移動させるとともに、所要位置で停止させることができるようになっている。つまり、リニア駆動装置によって、キャリア2に保持した容器3を供給位置Aから排出位置Bまで搬送するとともに、その途中の充填装置4の下方側及びキャッパ5の下方側及び上記供給位置A、排出位置Bで停止させることができる。そして、充填装置4の下方側で停止したキャリア2の空の容器3内に充填装置4によって充填液が充填されるとともに、キャッパ5の下方側で停止したキャリア2の容器3にキャッパ5によってキャップが取り付けられるようになっている。なお、リニアモータを用いたリニア駆動装置の構成は上記特許文献1等により従来公知である。
上述したように第1搬送レール11には多数の電磁コイル17が埋設されており、本実施例では、これら各電磁コイル17及びその電線や附属品、さらに第1搬送レール11を所定高さに支持するための支持部材等は、第1搬送レール11の隣接下方側の領域に嵩張らないように配置されている。
以上は第1搬送レール11と複数のキャリア2についての説明であるが、本実施例の第2搬送レール12は上記第1搬送レール11と同じ構成となっており、それが上下逆さまにして配置されている。平面視すると、第1搬送レール11の設置領域(往路)と第2搬送レール12の設置領域(復路)は同一であり、第2搬送レール12に第1搬送レール11が重合する配置関係となっている。
第2搬送レール12にも搬送方向(長手方向)に沿って多数の電磁コイル17が埋設されており(図3参照)、これらの電磁コイル17は、第1搬送レール11の場合と同様に制御装置8によって所要のタイミングで励磁されるようになっている。
第1搬送レール11の排出位置Bにおいて容器3が取り出されて空になったキャリア2は、後に詳述する第1受け渡し手段14を介して第1搬送レール11の下流端11Aから第2搬送レール12の上流端12Aに180°反転されてから逆さまの状態で受け渡されるようになっている。そして、第2搬送レール12に受け渡されて逆さまとなったキャリア2は、制御装置8によって第2搬送レール12の所要位置の電磁コイル17が励磁されることにより、上流端12Aから下流端12Bの位置まで移動されるようになっている。その後、逆さまとなったキャリア2は、後に詳述する第2受け渡し手段15を介して第2搬送レール12の下流端12Bから第1搬送レール11の上流端11Bに180°反転されて受け渡されるようになっている(図1図2参照)。このようにして、容器3を保持する前の空のキャリア2が第1搬送レール11上に戻されるようになっている。このように、本実施例では第1搬送レール11、第1受け渡し手段14、第2搬送レール12及び第2受け渡し手段15によって循環搬送経路Rが形成されている。
【0011】
しかして、本実施例は、従来の楕円状の連続した循環搬送経路における円弧状の搬送経路を省略したものであり、その代わりに180°正逆に回転する第1受け渡し手段14と第2受け渡し手段15を設けたことが特徴となっている。
図1ないし図3に示すように、第1受け渡し手段14は、複数のキャリア2が搬入されるとともにその移動を案内する直線状のリニアレール25と、リニアレール25が上昇位置から下方側の下降位置へ反転された際にリニアレール25上のキャリア2が落下するのを防止する落下防止ガイド26と、リニアレール25及び落下防止ガイド26を一体となって180°交互に回転させる回転手段27とを備えている。
リニアレール25は支持部材28の直線状の上面に連結されており、落下防止ガイド26も図示しないブラケットを介して支持部材28に連結されている。リニアレール25の載置面と落下防止ガイド26との間隔は、キャリア2側のローラ21が隙間なく入り込むことができる寸法となっている。
支持部材28の下面の長手方向の中央部に、長手方向と直交方向に突出する突出部28Aが形成されている。この突出部28Aの貫通孔に、搬送方向と直交する回転軸29が嵌着されており、この回転軸29にモータM1の駆動軸が連結されている。
このモータM1は制御装置8によって作動を制御されて正逆に回転されるようになっている。制御装置8がモータM1を正逆に回転させることで、リニアレール25が上方側に水平に支持される上昇位置と(図1に実線で示す状態)と、そこから180°反転されてリニアレール25が下方側で水平に支持される下降位置とに交互に移動されるようになっている。
図1に示す上昇位置となると、リニアレール25は第1搬送レール11と同じ高さで、その延長線上に水平に支持されるとともに、リニアレール25の一端(上流端)は、第1搬送レール11の下流端11Aに接続されるようになっている。リニアレール25にも、その長手方向に複数の電磁コイル17が埋設されており、これらの電磁コイル17は制御装置8によって励磁されるようになっている。
このようにリニアレール25が上昇位置となると、制御装置8は第1搬送レール11及びリニアレール25の電磁コイル17を励磁させることで、第1搬送レール11側の排出位置Bで容器3が取り出されたキャリア2を第1搬送レール11上から下流端11Aを経由して第1受け渡し手段14のリニアレール25上に移動させて停止させるようになっている。本実施例では、リニアレール25上に5個のシャトル18(キャリア2)を受け入れて停止させるようになっている。このようにリニアレール25上に搬入された5個のキャリア2のローラ21は、落下防止ガイド26とリニアレール25とで挟みこまれた状態となる。
そして、この状態から制御装置8によりリニアレール25の電磁コイル17を励磁させてキャリア2をリニアレール25に磁着させた状態において、モータM1を図1、2の時計周りに回転させるので、回転軸29を回転中心としてリニアレール25と落下防止ガイド26及びそれらの間に挟持された状態の5個のキャリア2が180°反転されて、下降位置に位置するようになっている(図3の下方側に示す状態)。
この下降位置となると、リニアレール25の載置面の高さは、第2搬送レール12の載置面と同じ高さとなり、リニアレール25の他端(下流端)が第2搬送レール12の上流端12Aに接続される。なお、制御装置8によりリニアレール25の電磁コイル17を励磁させた状態で回転させるとともに、落下防止ガイド26を設けたことにより、リニアレール25が反転される際に5個のシャトル18がリニアレール25から脱落することはない(図3参照)。
そして、下降位置となったリニアレール25が第2搬送レール12に接続されると、制御装置8はリニアレール25及び第2搬送レール12の電磁コイル17を励磁させるので、リニアレール25側の5個のキャリア2が移動されて上流端12Aを経由して第2搬送レール12に受け渡されるようになっている。
こうして下降位置となったリニアレール25から第2搬送レール12へ5個のキャリア2が受け渡されると、制御装置8は、モータM1を逆転させるのでリニアレール25、落下防止ガイド26が180°逆転されることで、図1に示した上昇位置に復帰する。
このように、第1受け渡し手段14は、5個のキャリア2がリニアレール25上に搬入されると該リニアレール25を回転手段27によって上昇位置から下降位置に反転させることで、5個のシャトル18(キャリア2)を第1搬送レール11から第2搬送レール12へ受け渡すようになっており、その後、リニアレール25は回転手段27によって反転されて下降位置から上昇位置に復帰するようになっている。本実施例の回転手段27は、支持部材28、回転軸29、モータM1によって構成されている。
次に、第2受け渡し手段15の構成は上述した第1受け渡し手段14と同じ構成となっており、第1受け渡し手段14の構成要素と対応する各部材には同じ部材番号を付している。すなわち、第2受け渡し手段14は、リニアレール25、落下防止ガイド26、回転手段27及び支持部材28を備えている。これらの構成は、上述した第1受け渡し手段14のものと同じである。支持部材28の突出部28Aには回転軸29が嵌着されており、この回転軸29はモータM2によって180°交互に正逆に回転されるようになっている。モータM2が制御装置8によって正逆に回転されることにより、第1受け渡し手段14の場合と同様に、リニアレール25、落下防止ガイド26が交互に180°反転されて上昇位置と下降位置とに移動されるようになっている。
図1の左端に実線で示すように、下降位置となるとリニアレール25の載置面の高さは、第2搬送レール12の載置面と同じ高さとなり、リニアレール25の一端(上流端)が第2搬送レール12の下流端12Bと接続されるようになっている。
このように下降位置となったリニアレール25が第2搬送レール12に接続された状態において、制御装置8はリニアレール25及び第2搬送レール12の電磁コイル17を励磁させるので、第2搬送レール12側に位置する5個のキャリア2が第2搬送レール12の下流端12Bを経由してリニアレール25へ搬入されて停止されるようになっている。これらリニアレール25へ搬入された5個のキャリア2は、落下防止ガイド26とリニアレール25との間に挟みこまれた状態となる(図1参照)。
この状態から制御装置8によりリニアレール25の電磁コイル17を励磁させてキャリア2をリニアレール25に磁石させた状態において、モータM2を図1、2の時計周りに回転させるので、回転軸29を回転中心としてリニアレール25と落下防止ガイド26及びそれらの間の5個のキャリア2が180°反転されて上昇位置に位置する(図1図2参照)。このリニアレール25が反転されても、制御装置8によりリニアレール25の電磁コイル17を励磁させた状態で回転させるとともに、落下防止ガイド26が設けられているので、5個のキャリア2が遠心力によってリニアレール25から脱落することはない。
この上昇位置となると、リニアレール25の載置面の高さは、第1搬送レール11の載置面と同じ高さとなり、リニアレール25の他端(下流端)が第1搬送レール11の上流端11Bと接続される。すると、制御装置8は、リニアレール25及び第1搬送レール11の電磁コイル17を励磁させるので、リニアレール25上の5個のキャリア2が移動されて下流端11Bを経由して第1搬送レール11上に受け渡されるようになっている。
このように上昇位置のリニアレール25から第1搬送レール11へ5個のキャリア2が受け渡されると、その直後に制御装置8は、モータM2を逆転させるのでリニアレール25、落下防止ガイド26が180°逆転されることで、図1に示した下降位置に復帰する。
このように、5個のキャリア2が第2受け渡し手段15のリニアレール25上に搬入されると該リニアレール25が下降位置から上昇位置に反転されることで、5個のキャリア2が第2搬送レール12から第1搬送レール11へ受け渡されるようになっており、その後、リニアレール25は上昇位置から下降位置に復帰するようになっている。
なお、下方側に配置された第2搬送レール12の載置面は下方を向けた状態となっているが、第2搬送レール12によるキャリア2の搬送経路(復路)では、キャリア2に遠心力は作用しないので、第2搬送レール12の載置面下方側には両受け渡し手段14、15のような落下防止ガイド26は設けていない。
本実施例の物品処理システム1とその物品搬送装置7は以上のように構成されている。
【0012】
以上の構成において、図1に示すように物品搬送装置7の第1受け渡し手段14のリニアレール25が上昇位置にあり、第2受け渡し手段15のリニアレール25が下降位置にある状態から物品処理システム1の作動が開始される。
すなわち、制御装置8が第1搬送レール11の電磁コイル17を励磁させることで供給位置Aに容器3を保持していない空のキャリア2が矢印方向に移動されて停止されると、この供給位置Aに停止中の各キャリア2に供給ロボットによって空の容器3が供給されてグリッパ22によって保持される(図3参照)。
この後、第1搬送レール11に沿ってキャリア2が矢印方向に移動されるにともなって相前後する5個のキャリア2は、先ず充填装置4の下方で停止されるので、それら5個のキャリア2に保持された空の容器3内に充填装置4によって充填液が充填される。
次に充填液が充填された容器3を保持した5個のキャリア2が矢印方向に移動されてキャッパ5の下方側に停止すると、キャッパ5によって各容器3の上端口部にキャップが取り付けられる。この後、5個のキャリア2が下流側の排出位置Bまで移動されて停止されると、排出ロボットによって各キャリア2から容器3が取り出されて図示しない排出コンベヤ上に排出される。
この後、排出位置Bで空となった5個のキャリア2は下流側へ移動されることで、第1搬送レール11の下流端11Aを経由して第1受け渡し手段14のリニアレール25上へ搬入されて停止される。すると、第1受け渡し手段14のリニアレール25が回転手段27によって180°回転されて下降位置に位置して、リニアレール25が第2搬送レール12の上流端12Aと接続される(図1図2参照)。これに伴い、5個のキャリア2が反転されて逆さまとなるが、励磁された電磁コイル17の磁力、及び落下防止ガイド26によってリニアレール25からの脱落は防止される。
この後、第1受け渡し手段14のリニアレール25の逆さまとなった5個のキャリア2はリニアレール25から上流端12Aを経由して第2搬送レール12へ移動されるようになっている。第1受け渡し手段14のリニアレール25からキャリア2が全て移動されると、リニアレール25は回転手段27によって180°逆転されて元の上昇位置に復帰して第1搬送レール11と接続される。
一方、第2搬送レール12へ受け渡された5個のキャリア2は、第2搬送レール12の電磁コイル17が励磁されることによって第2搬送レール12に沿って移動されて、下流端12Bを経由して第2受け渡し手段15のリニアレール25へと搬入される(図1参照)。この後、第2受け渡し手段15のリニアレール25が回転手段27によって180°回転されて上昇位置に位置することで、該リニアレール25は第1搬送レール11に接続されるとともに、リニアレール25に保持された5個のキャリア2が正立状態となる。この後、リニアレール25の電磁コイル17が励磁されることで5個のキャリア2が上流端11Bを経由して第1搬送レール11の供給位置Aへ移動される(戻される)ようになっている。
この後、第2受け渡し手段15のリニアレール25が回転手段27によって180°反転されるので、該リニアレール25は下降位置に復帰して第2搬送レール12に接続されるようになっている。
【0013】
以上のように、本実施例の物品搬送装置7は、離隔して配置された第1搬送レール11と第2搬送レール12を備えるとともに、それらの間に第1受け渡し手段14と第2受け渡し手段15を設けてキャリア2を循環搬送経路Rに沿って循環移動させるようになっている。
楕円状に連続した循環搬送経路としていた従来の物品搬送装置においては、往路と復路を接続するために2箇所の円弧状の搬送経路を設置する必要があるために、物品搬送装置7の設置スペースが大きくなるという問題があった。
これに対して本実施例においては、従来必要であった2箇所の円弧状の搬送経路を省略して、その代わりに上記両受け渡し手段14、15を設けたことにより、第1搬送レール11と第2搬送レール12とが隔てた間隔を上述した従来の物品搬送装置の往路と復路が隔てた間隔よりも減少させることができる。
これにより、物品搬送装置7の設置スペースを減少させることが可能となり、ひいては物品処理システム1全体の設置スペースを減少させることができる。また、物品搬送装置7を上述した構成としたことにより、物品搬送装置7を設置するための設計の自由度を拡大させることができる。
【0014】
次に図4ないし図5は本発明の物品搬送装置7の第2実施例を示したものである。上述した第1の実施例においては、第1搬送レール11の真下に第2搬送レール12を配置した構成となっていたが、この第2実施例においては、第2搬送レール12を第1搬送レール11の下方側から一側へ平行移動させて配置した構成となっている。
つまり、往路となる第1搬送レール11に対して、復路となる第搬送レール12は、平面視で第1搬送レール11と重合しない下方側の一側に配置されている。
これにより、第1搬送レール11の電磁コイル17や電線等と、第2搬送レール12の電磁コイル17や電線等とが、上下方向(高さ方向)でオーバーラップした状態で配置されている。つまり、この第2実施例においては、上記第1の実施例と比較して高さ方向の設置スペースを減少させることができる。
そして、この第2実施例においては、第2搬送レール12を第1搬送レール11の真下の位置から側方へ位置をずらしたことに伴って、第1受け渡し手段14及び第2受け渡し手段15に、それら全体を第1搬送レール11、第2搬送レール12の搬送方向の延長線に対して直交方向に進退動するスライド機構31を追加して設けている。この第2実施例における第1受け渡し手段14、第2受け渡し手段15の構成はスライド機構31以外について上記第1の実施例における両受け渡し手段14、15の構成要素と同じであり、それらと対応する部材には同じ部材番号を付している。
スライド機構31は支持部材28に連結されており、スライド機構31の作動は制御装置8によって制御されるようになっている。リニアレール25が上昇位置となる時には、該リニアレール25はスライド機構31によって第1搬送レール11の延長線上に水平移動されるようになっている。他方、リニアレール25が反転されて下降位置となる時には、該リニアレール25がスライド機構31によって第2搬送レール12の延長線上へ水平移動されるようになっている(図5参照)。
このように構成された第2実施例においても、上述した第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0015】
次に、図6は本発明の第3実施例となる物品搬送装置7を示したものであり、この第3実施例は上記第1の実施例における第1受け渡し手段14及び第2受け渡し手段15の支持部材28等を改良したものである。すなわち、この第3実施例の第1受け渡し手段14は、支持部材28の突出部28Aを長手方向の中央部ではなく一端側(リニアレール25の上流端側)へ位置をずらして設けている。そして、その突出部28Aの貫通孔に回転軸29を嵌着させている。他方、第2受け渡し手段14の支持部材28の突出部28Aは、長手方向の中央部から一端側(リニアレール25の上流端側)へ位置をずらして設けている。両受け渡し手段14、15に関する他の構成は、上記第1実施例のものと同じである。
また、上記両受け渡し手段14、15の支持部材28を上述のように構成したことに対応して、突出部28Aを長手方向中央から位置をずらした寸法に合わせて第2搬送レール12を第1搬送レール11に対してその上流側に位置をずらして配置している。その他の構成は、上記第1の実施例と同じであり、上記第1の実施例と対応する各部材に同じ部材番号を付している。
この図6に示した第3の実施例においても、上記各実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0016】
なお、上記各実施例は、循環搬送経路Rが鉛直面に沿って設けられる物品搬送装置7に本発明を適用した場合について説明しているが、循環搬送経路Rが水平面に沿って設けられる実施例(つまり、平面視で両搬送レール11、12が平行に配置され、それらの間に両受け渡し手段14、15が配置される構成)の物品搬送装置にも本発明を適用することができる。
また、上記実施例においては、第1受け渡し手段14、第2受け渡し手段15のリニアレール25を回転させる際には電磁コイル17を励磁させてキャリア2をリニアレール25に磁着させているが、電磁コイル17は励磁させないでリニアレール25を回転させるようにしても良い。この場合にも落下防止ガイド26が配置されていることで、キャリア2の脱落を防止することができる。
【符号の説明】
【0017】
2…キャリア 3…容器(物品)
7…物品搬送装置 8…制御装置
11…第1搬送レール 11A…下流端
11B…上流端 12…第2搬送レール
12A…上流端 12B…下流端
14…第1受け渡し手段 15…第2受け渡し手段
17…電磁コイル 23…永久磁石
R…循環搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6