(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180549
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】廃液貯留容器及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231214BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093936
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】花丸 健志朗
(72)【発明者】
【氏名】久保 智幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥爾
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 好輝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC26
2C056FA10
2C056JC10
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】廃液を収容する廃液貯留容器の複数個所から漏れた廃液を検出することを目的とする。
【解決手段】底壁部(66)と、側壁部(67A~67D、68A、68B)と、第1開口(63)が形成された天面部(62)と、内部に詰められて廃液を吸収する廃液吸収体(65)と、天面部(62)の周縁の第1位置(62A)から底壁部(66)まで下方に向かって延びて、廃液を下方へ案内可能なメインガイド(93)と、メインガイド(93)の下端部から外方へ突出して、廃液を受ける廃液受け部(95)と、側壁部(67A~67D、68A、68B)において、外方へ所定の第1幅で突出するように形成され、一端側がメインガイド(93)に達するサイドガイド(97~99)と、を備え、サイドガイド(97~99)の上面部(97A~99A)は、メインガイド側が低くなるように傾斜し、天面部(62)は、第1位置(62A)が最も低くなるように傾斜する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、
前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部と、
前記底壁部に対向して設けられて、廃液が上方から進入可能な第1開口が形成された天面部と、
内部に詰められて前記第1開口から進入した廃液を吸収する廃液吸収体と、
前記天面部の周縁の第1位置から前記底壁部まで下方に向かって延びて、前記第1位置から流れた廃液を下方へ案内可能なメインガイドと、
前記メインガイドの下端部から外方へ突出して、前記メインガイドを下方へ流れた廃液を受ける廃液受け部と、
前記側壁部において、外方へ所定の第1幅で突出するように形成され、前記メインガイドに対して交差する方向に沿って延伸して、一端側が前記メインガイドに達するサイドガイドと、
を備え、
前記サイドガイドの上面部は、前記メインガイド側が低くなるように傾斜し、
前記天面部は、鉛直方向において、前記天面部の周縁の前記第1位置が最も低くなり、且つ、前記第1位置に対して前記第1開口を挟んで相対向する前記天面部の周縁の第2位置が最も高くなるように傾斜している、
廃液貯留容器。
【請求項2】
前記メインガイドは、前記サイドガイドの前記メインガイド側の端縁部から前記メインガイドの側縁部に沿って下方に向かって延びると共に、前記メインガイドの側縁部から外方へ前記第1幅で突出する補助ガイドを有する、
請求項1に記載の廃液貯留容器。
【請求項3】
前記サイドガイドは、前記側壁部の上下方向において、複数配置されている、
請求項1に記載の廃液貯留容器。
【請求項4】
前記側壁部は、前記第1開口よりも下方側の位置に前記廃液吸収体によって吸収できなくなった廃液が漏れる液漏れ用孔を有し、
前記サイドガイドは、前記液漏れ用孔よりも下方側の位置に配置されている、
請求項1に記載の廃液貯留容器。
【請求項5】
複数の前記サイドガイドのうちの1つは、
前記側壁部の下端部を含む位置に配置され、
前記底壁部の周縁において、前記廃液受け部に相対向する位置である第3位置から前記底壁部の周縁に沿って前記廃液受け部まで両側に延伸され、
鉛直方向において、上面部が、前記第3位置で最も高くなり、且つ、前記廃液受け部側の端縁で最も低くなるように傾斜している、
請求項3に記載の廃液貯留容器。
【請求項6】
前記サイドガイドは、外側端縁部から全長に亘って上方へ所定高さ突出するガイド壁を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の廃液貯留容器。
【請求項7】
前記天面部は、前記天面部に対して垂直な方向において、周縁部から全周に亘って第1開口に向かって徐々に下がるように窪んでいる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の廃液貯留容器。
【請求項8】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
本体筐体に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドから排出される廃液を溜める請求項1から5のいずれか1項に記載の廃液貯留容器と、
前記廃液受け部に流れた廃液を検知する検知部と、
前記廃液貯留容器から廃液が漏れた旨を報知する報知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検知部によって廃液を検知した場合は、前記報知部を介して廃液が漏れた旨を報知する、
液体吐出装置。
【請求項9】
前記廃液貯留容器の前記サイドガイドは、外側端縁部から全長に亘って上方へ所定高さ突出するガイド壁を有する、
請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記廃液貯留容器の前記天面部は、前記天面部に対して垂直な方向において、周縁部から全周に亘って第1開口に向かって徐々に下がるように窪んでいる、
請求項8に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃液貯留容器及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インクを貯留するインク容器と、インク容器の外部に結合されて廃インクを貯留する廃インク容器とから構成されるインクタンクが記載されている。廃インク容器のインク容器に対向する上面には、大気連通孔が形成されている。また、廃インク容器の上面には、大気連通孔から漏れ出た廃インクを、一対の電極に案内するインク誘導溝が形成されている。そして、大気連通孔から漏れ出た廃インクが一対の電極に接触し、電極間の抵抗値の変化に基づいてインク漏れを検出する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなインクタンクでは、廃インク容器の大気連通孔の一ケ所からの廃インク漏れを検出できるが、大気連通孔以外の個所から漏れた廃インクを検出できないおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の問題点を鑑みたものであり、廃液を収容する廃液貯留容器の複数個所から漏れた廃液を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る廃液貯留容器では、底壁部と、前記底壁部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部と、前記底壁部に対向して設けられて、廃液が上方から進入可能な第1開口が形成された天面部と、内部に詰められて前記第1開口から進入した廃液を吸収する廃液吸収体と、前記天面部の周縁の第1位置から前記底壁部まで下方に向かって延びて、前記第1位置から流れた廃液を下方へ案内可能なメインガイドと、前記メインガイドの下端部から外方へ突出して、前記メインガイドを下方へ流れた廃液を受ける廃液受け部と、前記側壁部において、外方へ所定の第1幅で突出するように形成され、前記メインガイドに対して交差する方向に沿って延伸して、一端側が前記メインガイドに達するサイドガイドと、を備え、前記サイドガイドの上面部は、前記メインガイド側が低くなるように傾斜し、前記天面部は、鉛直方向において、前記天面部の周縁の前記第1位置が最も低くなり、且つ、前記第1位置に対して前記第1開口を挟んで相対向する前記天面部の周縁の第2位置が最も高くなるように傾斜している、構成である。
【0007】
上記の構成によれば、廃液吸収体によって吸収できなくなって天面部の第1開口の周縁から漏れた廃液は、傾斜した天面部上を周縁の第1位置まで流れて、メインガイドへ導かれる。また、廃液吸収体によって吸収できなくなって側壁部の上方側から漏れた廃液は、サイドガイドで受け止められる。続いて、サイドガイドに受け止められた廃液は、サイドガイドの上面部を流れて、メインガイドへ導かれる。そして、メインガイドを下方へ流れた廃液は、メインガイドの下端部から外方へ突出した廃液受け部に受けられて、廃液受け部上に広がる。従って、廃液受け部上に広がった廃液の有無を検出することによって、廃液貯留容器の天面部に形成された第1開口と、側壁部との複数個所から漏れた廃液を検出することが可能となる。
【0008】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、前記メインガイドは、前記サイドガイドの前記メインガイド側の端縁部から前記メインガイドの側縁部に沿って下方に向かって延びると共に、前記メインガイドの側縁部から外方へ前記第1幅で突出する補助ガイドを有する、構成としてもよい。上記の構成によれば、サイドガイド上を流れる廃液を補助ガイドを介してメインガイドに案内することが可能となる。
【0009】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、前記サイドガイドは、前記側壁部の上下方向において、複数配置されている、構成としてもよい。上記の構成によれば、側壁部の形状に合わせて複数のサイドガイドを設けることが可能となり、側壁部において漏れた廃液をメインガイドへ案内することが可能となる。
【0010】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、前記側壁部は、前記第1開口よりも下方側の位置に前記廃液吸収体によって吸収できなくなった廃液が漏れる液漏れ用孔を有し、前記サイドガイドは、前記液漏れ用孔よりも下方側の位置に配置されている、構成としてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、側壁部において、廃液吸収体によって吸収できなくなった廃液が液漏れ用孔から漏れても、サイドガイドで受け止められて、メインガイドへ案内することが可能となる。また、例えば、第1開口から廃液が漏れる場合は、相当な量の廃液が廃液貯留容器の内部に貯留されており、大量の廃液が漏れ出す可能性がある。よって、第1開口よりも下方側に液漏れ用孔を有することにより、廃液が第1開口から大量に漏れ出すことを抑制することができる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、複数の前記サイドガイドのうちの1つは、前記側壁部の下端部を含む位置に配置され、前記底壁部の周縁において、前記廃液受け部に相対向する位置である第3位置から前記底壁部の周縁に沿って前記廃液受け部まで両側に延伸され、鉛直方向において、上面部が、前記第3位置で最も高くなり、且つ、前記廃液受け部側の端縁で最も低くなるように傾斜している、構成としてもよい。上記構成によれば、底壁部周縁にサイドガイドを設けることによって、側壁部から漏れた廃液を確実に廃液受け部に案内することが可能となり、廃液貯留容器の側壁部からの廃液の漏れを早期に検出することが可能となる。
【0013】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、前記サイドガイドは、外側端縁部から全長に亘って上方へ所定高さ突出するガイド壁を有する、構成としてもよい。上記構成によれば、サイドガイドは、ガイド壁と側壁部によって溝状のガイド溝を形成するため、サイドガイド上に流れた廃液を確実にメインガイドへ案内することができる。
【0014】
また、本開示の一態様に係る液体貯留容器では、前記天面部は、前記天面部に対して垂直な方向において、周縁部から全周に亘って第1開口に向かって徐々に下がるように窪んでいる、構成としてもよい。上記構成によれば、第1開口の周縁から漏れた廃液を天面部の周縁の第1位置に向かってスムーズに集めることが可能となり、早期にメインガイドへ導くことが可能となる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る液体吐出装置では、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、本体筐体に挿抜可能に設けられ、前記液体吐出ヘッドから排出される廃液を溜める上記の構成を有する本開示の一態様に係る廃液貯留容器と、前記廃液受け部に流れた廃液を検知する検知部と、前記廃液貯留容器から廃液が漏れた旨を報知する報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部によって廃液を検知した場合は、前記報知部を介して廃液が漏れた旨を報知する、構成である。
【0016】
上記構成によれば、液体吐出ヘッドから排出された廃液が廃液貯留容器に溜められる。そして、廃液貯留容器の天面部、側壁部の上端部等から漏れた廃液は、廃液貯留容器のメインガイドへ流れて廃液受け部上に広がる。廃液受け部上に広がった廃液が検知部により検知された場合は、報知部を介して廃液が漏れた旨が報知される。これにより、液体吐出装置のユーザは廃液貯留容器からの廃液漏れを早期に知る事ができ、廃液貯留容器を交換することが可能となる。
【0017】
また、本開示の一態様に係る液体吐出装置では、前記廃液貯留容器の前記サイドガイドは、外側端縁部から全長に亘って上方へ所定高さ突出するガイド壁を有する、構成としてもよい。上記構成によれば、サイドガイドは、ガイド壁と側壁部によって溝状のガイド溝を形成するため、サイドガイド上に流れた廃液を確実にメインガイドへ案内することができる。
【0018】
また、本開示の一態様に係る液体吐出装置では、前記廃液貯留容器の前記天面部は、前記天面部に対して垂直な方向において、周縁部から全周に亘って第1開口に向かって徐々に下がるように窪んでいる、構成としてもよい。上記構成によれば、第1開口の周縁から漏れた廃液を天面部の周縁の第1位置に向かってスムーズに集めることが可能となり、早期にメインガイドへ導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、廃液を収容する廃液貯留容器の複数個所から漏れた廃液を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係るインクジェットプリンタの外観斜視図の一例である。
【
図2】インクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
【
図3】インクジェットプリンタの上面視における断面図である。
【
図5】廃液貯留容器のメインガイド側から見た外観斜視図の一例である。
【
図6】廃液貯留容器のメインガイドに対して反対側から見た外観斜視図の一例である。
【
図7】廃液貯留容器の廃インクが漏れた一例を示す外観斜視図である。
【
図8】インクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】制御装置が実行する廃液漏れ検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態2に係る廃液貯留容器のメインガイドの一例を示す部分拡大した外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態1〕
[インクジェットプリンタ1の概略構成]
以下、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の構成概要について、
図1~
図3を用いて説明する。
図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。
図2は、インクジェットプリンタ1の内部構成の概略を示す断面図である。
図3は、インクジェットプリンタ1の上面視における断面図である。
【0022】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、液体吐出装置の一例である。以下の説明では、
図1に示すようにインクジェットプリンタ1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義する。また、開口20が設けられている側を前として前後方向を定義し、前方からインクジェットプリンタ1を視て左側を左として左右方向を定義する。なお、左右方向は後述するキャリッジ40(
図2参照)の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0023】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、本体筐体11とインクジェットプリンタ1の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として略直方体形状を形成している。
【0024】
本体筐体11の前面には、操作パネル13と、カートリッジカバー14と、貯留容器交換部15と、が設けられている。操作パネル13は、各種操作ボタンおよびディスプレイ13Aを有する。カートリッジカバー14は、本体筐体11に対して、回動可能に設けられている。カートリッジカバー14の内部には、
図3に示すように、カートリッジケース140に装着されたインクカートリッジ141が配置されている。
【0025】
図1に戻り、本体筐体11の前面には、開口20が形成されており、シート収容部の一例である給送トレイ21および排出トレイ22は、本体筐体11の前面に形成された開口20を通じてインクジェットプリンタ1に対して着脱可能に設けられている。スキャナ筐体12は、対象物として、例えばシートPに記録された画像を読み取る不図示のスキャナを有している。
【0026】
貯留容器交換部15は、本体筐体11の左右方向における側面に設けられている。本実施形態においては左側面に設けられている。貯留容器交換部15は、本体筐体11に対して、回動可能な蓋部材151と、蓋部材151を開くと露出する廃液貯留容器60が収容可能な収容部152(
図3参照)と、により構成されている。つまり、貯留容器交換部15は、蓋部材151を開閉することにより、本体筐体11に対して廃液貯留容器60の挿抜が可能となるように構成されている。
【0027】
収容部152は、廃液貯留容器60の形状にあわせて構成されており、挿抜方向における本体筐体11の内部側には、廃液貯留容器60の側面が当接する壁を備えている。この壁により、廃液貯留容器60の内側方向への移動を規制する。
【0028】
なお、貯留容器交換部15は、蓋部材151を開閉する構成に限定するものではない。例えば、廃液貯留容器60と、蓋部材151を有する廃液貯留容器60のタンク保持部と、により本体筐体11に対して着脱可能な廃液貯留容器ユニットを挿抜する構成であってもよい。この場合、廃液貯留容器ユニットを本体筐体11から抜き取ると、貯留容器交換部15には廃液貯留容器ユニットの形状に対応する開口が露出する。
【0029】
また、露出した開口に対して廃液貯留容器ユニットを挿入すると、廃液貯留容器ユニットが有する蓋部材151により、露出した開口は塞がれる。なお、貯留容器交換部15が設けられる位置は、本体筐体11の左右方向における側面に限られるものではない。例えば、本体筐体11の前後方向における面に設けられていてもよいし、本体筐体11の上下方向における面に設けられていてもよい。また、以下の説明では、廃液貯留容器60を挿抜する方向を挿抜方向と称する場合がある。
【0030】
[インクジェットプリンタ1の内部構成]
次に、インクジェットプリンタ1の内部構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、給送部3と、記録部4と、搬送機構5と、を備えている。
【0031】
給送部3は、軸30と、給送アーム31と、給送ローラ32と、を有している。給送部3は、給送ローラ32の正回転によって、給送トレイ21に収容されたシートPを用紙搬送路の一例である搬送路R1へ給送する。給送ローラ32は、給送アーム31の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム31は、インクジェットプリンタ1のフレームに支持された軸30に回動可能に支持されている。給送アーム31は、自重又はバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0032】
搬送路R1は、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材33で区画される領域にて湾曲し、記録部4の位置を経由して、排出トレイ22に至る経路である。給送ローラ32は、制御装置100(
図8参照)により給送モータ107(
図8参照)が駆動されると正回転し、給送トレイ21からシートPを1枚ずつ取り出す。給送トレイ21から取り出されたシートPは、搬送路R1に沿って送り出され、記録部4へと供給される。
【0033】
記録部4は、給送部3の上方に配置されている。記録部4は、キャリッジ40と、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド41と、複数のノズル42と、プラテン43とを有している。キャリッジ40は、左右方向に延びたガイドレール9Aと、ガイドレール9Bとに支持されている。キャリッジ40は、キャリッジモータ112(
図8参照)の駆動力が伝達されて、左右への移動方向である走査方向、すなわち、搬送されるシートPの幅方向に往復移動する。
【0034】
シートPへの画像記録において、インクジェットプリンタ1の制御装置100は、1行分の画像をシートPに記録させる記録処理と、搬送ローラ50および排出ローラ52を駆動させてシートPを所定の改行量だけ搬送する搬送処理とを繰り返す。記録処理においては、制御装置100は、シートPが停止している状態でキャリッジ40をシートPの幅方向に移動させながら記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させ、1行分の画像をシートPに記録させる。
【0035】
キャリッジ40には、記録ヘッド41が搭載されている。記録ヘッド41の下面には、複数のノズル42が設けられている。
図3に示すように、複数のノズル42は、前後方向に配列されることにより、ノズル列を形成しており、ノズル面421には、左右方向に並んだ4つのノズル列が形成されている。複数のノズル42からは、右側に位置するノズル列を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、ノズル列の配置順はこれに限られるものではなく、製品ごとに適宜変更されてもよい。記録ヘッド41は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル42からインク滴を吐出する。
【0036】
図2および
図3に示すように、プラテン43は、記録ヘッド41の下方に位置しており、左右方向におけるシートPの全長にわたって延びている。プラテン43は、記録処理時に、シートPを下側から支持する。プラテン43に支持されたシートPに対して、キャリッジ40が移動する過程において、記録ヘッド41がインク滴を選択的に吐出することによって、シートPに画像が記録される。
【0037】
搬送機構5は、前後方向において、キャリッジ40およびプラテン43を挟むように前後に配置された搬送ローラ50と、排出ローラ52と、を有する。搬送ローラ50の下方には、搬送ローラ50と対向する位置にピンチローラ51が設けられている。搬送ローラ50は、搬送モータ108(
図8参照)によって駆動される。ピンチローラ51は、搬送ローラ50の回転に伴って回転する。搬送ローラ50およびピンチローラ51が正回転することにより、シートPは、搬送ローラ50およびピンチローラ51に挟持されて、搬送路R1に沿って記録部4へと搬送される。
【0038】
排出ローラ52は、キャリッジ40およびプラテン43を挟んで搬送ローラ50よりも下流側に位置するように設けられている。排出ローラ52の上方には、排出ローラ52と対向する位置に拍車ローラ53が設けられている。排出ローラ52は、搬送モータ108(
図8参照)によって駆動される。拍車ローラ53は、排出ローラ52の回転に伴って回転する。排出ローラ52および拍車ローラ53が正回転することにより、シートPは、排出ローラ52および拍車ローラ53に挟持されて、排出トレイ22へ排出される。
【0039】
以上の構成において、インクジェットプリンタ1は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40とともに記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を印刷する。
【0040】
[カートリッジケース140]
次に、カートリッジケース140について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、カートリッジケース140は、左右方向に並ぶ4つのインクカートリッジ141を備えている。各インクカートリッジ141は、カートリッジケース140に対して取り外し可能に設けられている。インクカートリッジ141には、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。各インクカートリッジ141に貯留されたインクは、供給チューブ142を介して、記録ヘッド41に供給される。
【0041】
[メンテナンスユニット8]
次に、メンテナンスユニット8について、
図3を用いて説明する。
図3に示すように、インクジェットプリンタ1は、メンテナンスユニット8を備える。メンテナンスユニット8は、キャップ80と、ポンプ81と、チューブ82と、を備えている。メンテナンスユニット8は、キャリッジ40の走査経路よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。本実施形態においては、左右方向における右側に配置されている。なお、メンテナンスユニット8が配置される位置は右側に限定するものではなく、左側に配置されてもよい。この場合、廃液貯留容器60とフラッシングユニット70とが配置される位置が右側となる。
【0042】
キャップ80は、ゴム素材により構成されている。キャップ80は、記録ヘッド41よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。キャリッジ40をプラテン43よりも外側のメンテナンス位置に移動させると、キャップ80とノズル面421とが対向する。
【0043】
キャップ80は、例えば、昇降機構(不図示)により上下方向に移動可能に構成されている。キャップ80は、メンテナンス位置において上方向に移動することで、ノズル面421と密着する。ポンプ81は、例えば、ロータリ式のチューブポンプなどである。ポンプ81は、モータ(不図示)に駆動されることによって、ノズル42内のインク等をキャップ80およびチューブ82を通じて吸引し、チューブ82を通じて廃液ボックス83に排出する。廃液ボックス83は、ポンプ81よりも左右方向における外側に配置されている。
【0044】
チューブ82は、メンテナンスユニット8から排出されたインクを移送する流路であって、キャップ80と廃液ボックス83とを接続する。チューブ82は、可撓性を有する素材で構成されており、キャップ80からポンプ81を経由して廃液ボックス83へとインクを移送する。
【0045】
メンテナンスユニット8は、以上の構成により、記録ヘッド41のメンテナンスを行うものである。より詳細には、メンテナンスユニット8は、ノズル42内のインクや空気、およびノズル42の下面に形成されている開口に付着した異物を吸引するパージ動作を実行する。なお、ノズル42内のインクや空気、およびノズル42の開口に付着した異物のことを、以下では「インク等」と称する。メンテナンスユニット8によって吸引除去されたインク等は、廃液ボックス83に貯留される。
【0046】
[廃液貯留容器60とフラッシングユニット70]
次に、実施形態1に係る廃液貯留容器60とフラッシングユニット70について、
図3および
図4を用いて説明する。
図4は、
図3のIV-IV矢視断面図であり、廃液貯留容器60とフラッシングユニット70との断面を示す概略図である。
図3および
図4に示すように、廃液貯留容器60およびフラッシングユニット70は、記録ヘッド41よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。
【0047】
より詳細には、廃液貯留容器60およびフラッシングユニット70は、
図3に示すように、ノズル面421と平行する水平方向において、搬送路R1を挟んでメンテナンスユニット8の反対に配置されている。廃液貯留容器60およびフラッシングユニット70は、搬送路R1を挟んでメンテナンスユニット8が左右方向における右側に配置され、その反対側である左側に廃液貯留容器60およびフラッシングユニット70が配置されている。また、廃液貯留容器60は、
図4に示すように、上下方向において、フラッシングユニット70よりも下方に位置するように配置されている。
【0048】
[フラッシングユニット70]
フラッシングユニット70は、
図4に示すように、廃液ガイド71と、廃液ガイド71を固定するためのガイド固定枠72と、を備えている。フラッシングユニット70は、フラッシング処理時にノズル42から吐出されるインクのミスト飛散を防止するとともに、廃液貯留容器60へ印刷に用いられずに廃インクとして吐出された廃液を案内するように構成されている。
【0049】
フラッシング処理とは、キャリッジ40をフラッシングユニット70と対向する位置に移動させた状態で、記録ヘッド41を駆動させることにより、複数のノズル42から廃液ガイド71に向けてインクを吐出させる動作である。廃液ガイド71は、フラッシング処理により吐出されるインクのミスト飛散を防止するために、インクの吐出方向である上下方向に対して交差するように傾斜面710を有している。傾斜面710は、例えば、
図4に示すように、上方に向けて左側から右側へ登り勾配となるように構成されている。
【0050】
フラッシング処理により吐出された廃インクは、廃液ガイド71が有する傾斜面710に当たると、傾斜面710に沿って廃液貯留容器60の天面部62に設けられた平面視において略矩形状の第1開口63(
図5参照)へ案内される。ガイド固定枠72は、廃液ガイド71を固定する枠体であり、上面視において略矩形の形状により構成されている。ガイド固定枠72は、例えば、本体筐体11にネジ締結されることにより、本体筐体11に固定される。
【0051】
[廃液貯留容器60]
次に、廃液貯留容器60について、
図3~
図7を用いて説明する。
図5は、廃液貯留容器60をインクジェットプリンタ1の収容部152に装着した際に、左斜め前側から見た外観斜視図である。
図6は、廃液貯留容器60をインクジェットプリンタ1の収容部152に装着した際に、右斜め後ろ側から見た外観斜視図である。
図7は、廃液貯留容器60の廃液(廃インク)が漏れた一例を示す外観斜視図である。
【0052】
図3および
図4に示すように、樹脂製の廃液貯留容器60は、平面視において略矩形状をなしており、その内側には廃液を貯留可能な廃液貯留室61を有している。廃液貯留室61の内部には、天面部62に形成された略矩形状の第1開口63から進入した廃液を吸収する廃液吸収体65が詰められている。廃液吸収体65は、例えば、廃液を吸収することができる不織布、スポンジ、若しくは綿などで構成されている。
【0053】
図5および
図6に示すように、廃液貯留容器60は、上下方向において上方に位置する第1貯留部60Aと、第1貯留部60Aよりも下方側に位置して第1貯留部60Aと内部の廃液貯留室61が連通する第2貯留部60Bとを有している。また、廃液貯留容器60は、その右側および後ろ側で且つ第2貯留部60Bよりも上方側の部分が、平面視で略L字状をなす段差部64とされている。この段差部64の存在により、第2貯留部60Bは、平面視において、第1貯留部60Aよりも大きく形成されている。
【0054】
具体的には、廃液貯留容器60は、
図4~
図6に示すように、本体ケース部91と、本体ケース部91を上方側から塞ぐ蓋部92と、から構成されている。本体ケース部91は、第2貯留部60Bの底面となる平面視において略矩形状の底壁部66を有する。また、本体ケース部91は、底壁部66の前後左右の側辺部から上方に所定高さ(例えば、高さ約30mm)延びる各側壁部67A~67Dを有している。従って、各側壁部67A~67Dは、箱体状の第2貯留部60Bの周囲の側壁を構成する。
【0055】
また、本体ケース部91は、前側の側壁部67Aにおいて、側壁部67Aと側壁部67Cとが交差する角部から右側の略2/3の部分までの上端縁から、上方に所定高さ(例えば、高さ約50mm)延びる側壁部68Aを有している。従って、側壁部68Aは、第2貯留部60Bから上方へ突出する第1貯留部60Aの前側の側壁を構成する。
【0056】
また、本体ケース部91は、左側の側壁部67Cにおいて、側壁部67Aと側壁部67Cとが交差する角部から後ろ側の略3/5の部分までの上端縁から、上方に所定高さ(例えば、高さ約50mm)延びる側壁部68Bを有している。側壁部68Bの上端部は、側壁部68Aの上端部と同じ高さに形成されている。従って、側壁部68Bは、第2貯留部60Bから上方へ突出する第1貯留部60Aの左側の側壁を構成する。
【0057】
また、
図5に示すように、本体ケース部91の前側の各側壁部67A、68Aと、左側の各側壁部67C、68Bとが交差する角部は、所定幅(例えば、幅約3mm~5mm)の平面で繋がれた細縦長で平面状のメインガイド93が形成されている。メインガイド93は、前側の各側壁部67A、68Aと、左側の各側壁部67C、68Bとが交差する角部の上端部から底壁部66まで下方に向かって延びている。
【0058】
メインガイド93の下端部には、平面視で略四角形の廃液受け部95が形成されている。廃液受け部95は、底壁部66とほぼ同じ厚さで、前方向および左方向へ所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で、メインガイド93の下端部から略直角に外方へ延びて形成されている。そして、
図3および
図5に示すように、インクジェットプリンタ1の本体筐体11には、廃液受け部95上に流れた廃液を検知するメディアセンサ94が配置されている。メディアセンサ94は、検知部の一例として機能する。
【0059】
また、
図4~
図6に示すように、蓋部92は、底壁部66に対向して設けられて、第1貯留部60Aの平面視において略矩形状の天面部62を有している。また、蓋部92は、天面部62の右側の側辺部から左側の側壁部68Bに対向して下方に所定高さ(例えば、高さ約50mm)延びる側壁部68Cを有している。また、蓋部92は、天面部62の後ろ側の側辺部から前側の側壁部68Aに対向して下方に所定高さ(例えば、高さ約50mm)延びる側壁部68Dを有している。
【0060】
また、蓋部92は、各側壁部68C、68Dの下端縁から外方へ延出されたフランジ部69を有している。フランジ部69は、各側壁部68C、68Dの下端縁から右側方向および後ろ側方向へ各側壁部68C、68Dに対して略直角に延びて本体ケース部91の上端部を塞いでいる。フランジ部69は、平面視で略L字状により形成されている。従って、各側壁部68A、68Bの下端縁部とフランジ部69とにより段差部64が形成されている。フランジ部69の左側、後ろ側、および、右側の周辺部には、外側に所定高さ(例えば、高さ約2mm~3mm)突出する複数の係止爪69Aが設けられている。
【0061】
また、本体ケース部91の各側壁部67C、67B、67Dの上端縁側には、各係止爪69Aに対向する位置に、各係止爪69Aが係合する複数の係止孔96が形成されている。蓋部92は、天面部62の前側と左側の側辺部を本体ケース部91の各側壁部68A、68Bの上端縁に押し当てられる。そして、蓋部92は、天面部62が押し当てられた状態で、フランジ部69の周縁に形成された各係止爪69Aを、各係止爪に69Aに対向する各係止孔96に係合させることによって、本体ケース部91に取り付けられる。
【0062】
また、天面部62は、鉛直方向において、メインガイド93の上端に当接する第1角部62Aが最も低くなり、且つ、第1角部62Aに対して第1開口63を挟んで相対向する第2角部62Bが最も高くなるように傾斜している。第1角部62Aは、所定幅(例えば、幅約3mm~5mm)の平面で繋がれて、メインガイド93の上端と連続する平面を構成している。第1角部62Aは、第1位置の一例として機能する。第2角部62Bは、第2位置の一例として機能する。
【0063】
また、
図4および
図5に示すように、天面部62は、天面部62に対して垂直な軸62Cの軸線方向において、天面部62の周縁部から全周に亘って第1開口63に向かって徐々に下がるように窪んでいる。これにより、第1開口63の周縁から漏れた廃液を天面部62の第1角部62Aに向かってスムーズに集めることが可能となり、早期にメインガイド93へ導くことが可能となる。
【0064】
その結果、
図7に示すように、天面部62に形成された第1開口63の周縁から漏れた廃液は、黒色太線で示すように、第1角部62Aからメインガイド93に流れる。続いて、メインガイド93に流れた廃液は、下方に流れて、廃液受け部95に達する。そして、廃液受け部95に流れた廃液は、廃液受け部95上に広がって、メディアセンサ94によって検出可能となる。
【0065】
また、
図4~
図6に示すように、本体ケース部91は、底壁部66の周縁に沿って、所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で外方へ突出するように形成された断面略矩形状の第1サイドガイド97を有している。
図6に示すように、第1サイドガイド97は、底壁部66の周縁において、廃液受け部95に相対向する、右側の側壁部67Dと後ろ側の側壁部67Bとが交差する第3角部66Aから底壁部66の周縁に沿って廃液受け部95まで両側に延伸されている。
【0066】
つまり、第1サイドガイド97は、底壁部66の全周に亘って形成されており、メインガイド93の下端部の両側縁にて、廃液受け部95に接続されている。従って、第1サイドガイド97は、各側壁部67A~67Dの下端部を含む位置に配置されている。第3角部66Aは、第3位置の一例として機能する。
【0067】
また、第1サイドガイド97の上面部97Aは、鉛直方向において、廃液受け部95に相対向する第3角部66Aから外方へ突出する角部が最も高くなり、且つ、廃液受け部95側の端縁で最も低くなるように傾斜している。傾斜角度は、例えば、約5度~15度の傾斜角度である。これにより、本体ケース部91の各側壁部67A~67Dに形成された各係止孔96等から漏れた廃液を第1サイドガイド97の上面部97Aで受けて、廃液受け部95に確実に案内することができる。
【0068】
従って、
図7に示すように、本体ケース部91の各側壁部67A~67Dに形成された各係止孔96等から漏れた廃液は、黒太線で示すように、第1サイドガイド97の上面部97A上に流れる。続いて、第1サイドガイド97の上面部97A上に流れた廃液は、上面部97Aの傾斜に沿って流れて、廃液受け部95に達する。そして、廃液受け部95に流れた廃液は、廃液受け部95上に広がって、メディアセンサ94によって検出可能となる。
【0069】
なお、
図5において、第1サイドガイド97の廃液受け部95側の各端部と、廃液受け部95との間には、段差が設けられているが、段差を設けないようにしてもよい。つまり、第1サイドガイド97の廃液受け部95側の各端部と廃液受け部95の側辺部とが同じ厚さで連続するように形成してもよい。
【0070】
また、
図5及び
図6に示すように、側壁部68Aの上端側で、第1開口63よりも下方側の位置には、所定径(例えば、直径約1mm~2mm)の複数(例えば、3個)の廃液漏れ用孔75が貫通している。複数の廃液漏れ用孔75は、側壁部68Aの左右方向の略中央位置に集まるように設けられ、廃液吸収体65によって吸収できなくなった廃液が、第1開口63から漏れるよりも早く漏れるように設けられている。
【0071】
また、廃液漏れ用孔75よりも下方側の位置には、側壁部68Aから所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で外方へ略直角に突出するように形成されたリブ状の第2サイドガイド98が配置されている。第2サイドガイド98は、メインガイド93に対して交差する方向、つまり、左右方向に沿って延伸して、左端の一端側がメインガイド93に達し、右端の他端側が側壁部68Aの右側の側縁に達している。第2サイドガイド98の上面部98Aは、メインガイド93側が低くなるように、つまり、右端の他端側から左端の一端側に向かって傾斜している。傾斜角度は、例えば、約5度~15度の傾斜角度である。
【0072】
また、第2サイドガイド98は、外側端縁部から突出するガイド壁98Bが形成されている。ガイド壁98Bは、第2サイドガイド98の外側端縁部から全長に亘って略直角に上方へ所定高さ(例えば、高さ約3mm~5mm)突出して形成されている。また、第2サイドガイド98のメインガイド93側の端縁部から、メインガイド93の右側の側縁部に沿って下方に向かって延びるリブ状の補助ガイド76が形成されている。
【0073】
補助ガイド76は、メインガイド93の右側の側縁部から所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で外方へ突出している。また、補助ガイド76の下端と第1サイドガイド97のメインガイド93側の端部との間には、所定高さ(例えば、高さ約3mm~5mm)の隙間が形成されている。
【0074】
これにより、第2サイドガイド98は、ガイド壁98Bと側壁部68Aとによって溝状のガイド溝を形成する。よって、複数の廃液漏れ用孔75等から漏れて第2サイドガイド98の上面部98A上に流れた廃液を確実にメインガイド93側へ案内することができる。また、第2サイドガイド98の上面部98A上を流れる廃液を、補助ガイド76を介してメインガイド93に案内することができる。
【0075】
従って、
図7に示すように、側壁部68Aの上方に形成された複数の廃液漏れ用孔75等から漏れた廃液は、黒太線で示すように、第2サイドガイド98の上面部98A上に流れる。続いて、第2サイドガイド98の上面部98A上に流れた廃液は、上面部98Aの傾斜に沿って流れてメインガイド93の右側側縁部と補助ガイド76の上端部に達する。そして、廃液は、メインガイド93の右側側縁部と補助ガイド76の上端部から下方に流れて、廃液受け部95に達する。そして、廃液受け部95に流れた廃液は、廃液受け部95上に広がって、メディアセンサ94によって検出可能となる。
【0076】
また、第1サイドガイド97と第2サイドガイド98は、上下方向において、本体ケース部91の各側壁部67A、68Aに配置される。これにより、本体ケース部91の各側壁部67A、68Aにおいて、廃液漏れ用孔75等から漏れた廃液をメインガイド93へ案内することが可能となる。
【0077】
また、
図4~
図6に示すように、側壁部68Bの上端から少し下側の位置、例えば、約5mm~10mm程度下側の位置には、リブ状の第3サイドガイド99が配置されている。第3サイドガイド99は、側壁部68Bから所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で外方へ略直角に突出するように形成されている。
【0078】
第3サイドガイド99は、メインガイド93に対して交差する方向、つまり、前後方向に沿って延伸して、前端の一端側がメインガイド93に達し、後端の他端側が側壁部68Bの後ろ側の側縁に達している。第3サイドガイド99の上面部99Aは、メインガイド93側が低くなるように、つまり、後端の他端側から前端の一端側に向かって傾斜している。傾斜角度は、例えば、約5度~15度の傾斜角度である。
【0079】
また、第3サイドガイド99は、外側端縁部から突出するガイド壁99Bが形成されている。ガイド壁99Bは、第3サイドガイド99の外側端縁部から全長に亘って略直角に上方へ所定高さ(例えば、高さ約3mm~5mm)突出して形成されている。また、第3サイドガイド99のメインガイド93側の端縁部から、メインガイド93の左側の側縁部に沿って下方に向かって延びるリブ状の補助ガイド77が形成されている。
【0080】
補助ガイド77は、メインガイド93の左側の側縁部から所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で外方へ突出している。また、補助ガイド77の下端と第1サイドガイド97のメインガイド93側の端部との間には、所定高さ(例えば、高さ約3mm~5mm)の隙間が形成されている。
【0081】
これにより、第3サイドガイド99は、ガイド壁99Bと側壁部68Bとによって溝状のガイド溝を形成する。よって、側壁部68Bの上端縁などから漏れて第3サイドガイド99の上面部99A上に流れた廃液を確実にメインガイド93側へ案内することができる。また、第3サイドガイド99の上面部99A上を流れる廃液を、補助ガイド77を介してメインガイド93に案内することができる。
【0082】
従って、
図7に示すように、側壁部68Bの上端縁などから漏れ廃液は、黒太線で示すように、第3サイドガイド99の上面部99A上に流れる。続いて、第3サイドガイド99の上面部99A上に流れた廃液は、上面部99Aの傾斜に沿って流れてメインガイド93の左側側縁部と補助ガイド77の上端部に達する。そして、廃液は、メインガイド93の左側側縁部と補助ガイド77の上端部から下方に流れて、廃液受け部95に達する。そして、廃液受け部95に流れた廃液は、廃液受け部95上に広がって、メディアセンサ94によって検出可能となる。
【0083】
また、第1サイドガイド97と第3サイドガイド99は、上下方向において、本体ケース部91の各側壁部67C、68Bに配置される。これにより、本体ケース部91の各側壁部67C、68Bにおいて、側壁部68Bの上端、係止孔96等から漏れた廃液をメインガイド93へ案内することが可能となる。
【0084】
[インクジェットプリンタ1の電気的構成]
図8は、インクジェットプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図8に示すように、インクジェットプリンタ1は、上述した各部に加え、制御装置100と、給送モータ107と、搬送モータ108と、キャリッジモータ112と、通信インターフェース(I/F)130とを備えている。
【0085】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM(登録商標)104、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)105を有し、これらが内部バス106によって接続されている。
【0086】
ROM102には、CPU101が各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。制御装置100は、ROM102から読み出した制御プログラムに基づいて、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ112、記録ヘッド41等を制御する。
【0087】
ASIC105には、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ112、記録ヘッド41、操作パネル13、メディアセンサ94、ディスプレイ13A及び通信I/F130等が接続されている。
【0088】
ASIC105は、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ112に駆動電流を供給する。制御装置100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ112の回転を制御する。また、制御装置100は、記録ヘッド41の振動素子に駆動電圧を印加することによって、ノズル42からインク滴を吐出させる。通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、インクジェットプリンタ1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。インクジェットプリンタ1は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。
【0089】
シートPへの記録時において、制御装置100は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40と共に記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を記録する。また、制御装置100は、ディスプレイ13Aに各種情報を表示して、ユーザに報知する。また、制御装置100は、後述のように、メディアセンサ94を介して、廃液貯留容器60の廃液受け部95に流れた廃液を検出して、ディスプレイ13Aを介してユーザに警告報知する。制御装置100は、制御部の一例として機能する。ディスプレイ13Aは、報知部の一例として機能する。メディアセンサ94は、検知部の一例として機能する。
【0090】
メディアセンサ94は、反射型の光センサである。反射型の光センサは、発光素子および受光素子を備えており、その焦点距離(検出対象までの距離)や発光素子の出射角度は、発光素子から出射した光が検出対象(例えば、廃液受け部94)から反射した場合に受光素子に入射するように設定されている。これにより、メディアセンサ94は、検出対象としての廃液受け部94上の色濃度を検出することが可能である。従って、本体ケース部91は、白色の樹脂で形成されるのが好ましい。これにより、廃液受け部95が白色からインク色となったときの色濃度の変化をメディアセンサ94によって効果的に検出することができる。
【0091】
[廃液漏れ検出処理の一例]
次に、上記のように構成されたインクジェットプリンタ1の制御装置100が実行する廃液漏れ検出処理の一例について
図9に基づいて説明する。
図9は、制御装置100が実行する廃液漏れ検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図9に示す処理は、不図時の電源スイッチがオンに設定された後、制御装置100が所定時間毎に実行する。所定時間とは、例えば、1時間~数時間の間隔である。
【0092】
図9に示すよう、制御装置100は、先ず、メディアセンサ94の発光素子から光を出射させて、検出対象である廃液貯留容器60の廃液受け部95に照射し、廃液受け部95から反射した反射光をメディアセンサ94の受光素子で受光する(S11)。続いて、制御装置100は、メディアセンサ94から出力された電気信号の出力値(以下、「センサ出力値」という。)をRAM103に記憶する(S12)。
【0093】
次に、制御装置100は、RAM103に記憶されたセンサ出力値と、予め定められた閾値とを比較して、センサ出力値が閾値以上であるかを判定する(S13)。この閾値は、廃液受け部95の色濃度が、例えば、白色からインク色となったことを識別するための濃度値情報であり、予めROM102に記憶されている。ここで、センサ出力値が閾値以上となる場合は、廃液受け部95がインク色に変化したこと、つまり、廃液の漏れが発生したことを意味する。また、センサ出力値が閾値未満となる場合は、廃液受け部95が未だ閾値の濃度に達していないこと、つまり、廃液の漏れが発生していないことを意味する。
【0094】
ステップS13で制御装置100は、センサ出力値が閾値未満であると判定する場合は(S13:NO)、廃液の漏れが発生していないと判定して、廃液漏れ検出処理を終了する。一方、ステップS13で制御装置100は、センサ出力値が閾値以上であると判定する場合は(S13:YES)、廃液の漏れが発生したと判定して、ディスプレイ13Aに廃液貯留容器60から廃インクが漏れた旨の警告を表示させる(S14)。例えば、制御装置100は、「廃液貯留容器からインクが漏れています。交換してください。」等、廃液貯留容器60の交換を促すメッセージをディスプレイ13Aに表示させる。その後、制御装置100は、廃液漏れ検出処理を終了する。
【0095】
なお、制御装置100は、記録ヘッド41によるシートPへの印刷が開始される前に、廃液貯留容器60の交換を促すメッセージをディスプレイ13Aに表示してもよい。また、制御装置100は、廃液貯留容器60の交換を促すメッセージをディスプレイ13Aに表示した場合は、記録ヘッド41によるシートPへの印刷を中止するようにしてもよい。
【0096】
[実施形態1の作用効果]
以上説明した実施形態1のインクジェットプリンタ1の廃液貯留容器60では、廃液吸収体65によって吸収できなくなって天面部62の第1開口63の周縁から漏れた廃液は、傾斜した天面部62上を第1角部62Aまで流れて、メインガイド93へ導かれる。また、廃液吸収体65によって吸収できなくなって側壁部68Bの上方側から漏れた廃液は、第3サイドガイド99で受け止められる。また、複数の廃液漏れ用孔75から漏れた廃液は、第2サイドガイド98で受け止められる。
【0097】
続いて、各サイドガイド98、99に受け止められた廃液は、各サイドガイド98、99の上面部98A、99Aを流れて、メインガイド93へ導かれる。そして、メインガイド93を下方へ流れた廃液は、メインガイド93の下端部から外方へ突出した廃液受け部95に受けられて、廃液受け部95上に広がる。従って、廃液受け部95上に広がった廃液の有無を検出することによって、廃液貯留容器60の天面部62に形成された第1開口63と、各側壁部68A、68Bとの複数個所から漏れた廃液を検出することが可能となる。
【0098】
また、メインガイド93は、各サイドガイド98、99のメインガイド93側の端縁部からメインガイド93の左右の側縁部に沿って下方に向かって延びると共に、メインガイド93の側縁部から外方へ第1幅W1で突出する各補助ガイド76、77を有する。これにより、各サイドガイド98、99上を流れる廃液を各補助ガイド76、77を介してメインガイド93に案内することが可能となる。
【0099】
また、側壁部68Aにおいて、廃液吸収体65によって吸収できなくなった廃液が複数の液漏れ用孔75から漏れても、第2サイドガイド98で受け止められて、メインガイド93へ案内することが可能となる。また、例えば、第1開口63から廃液が漏れる場合は、相当な量の廃液が廃液貯留容器60の内部に貯留されており、大量の廃液が漏れ出す可能性がある。よって、第1開口63よりも下方側に各液漏れ用孔75を有することにより、廃液が第1開口63から大量に漏れ出すことを抑制することができる。
【0100】
また、底壁部66の周縁に第1サイドガイド97を設けることによって、各側壁部67B~67Dに設けられた各係止孔96等から漏れた廃液を確実に廃液受け部95に案内することが可能となる。これにより、廃液貯留容器60の各側壁部67A~67Dからの廃液の漏れを早期に検出することが可能となる。
【0101】
また、第2サイドガイド98と第3サイドガイド99とは、各ガイド壁98B、99Bと各側壁部68A、68Bによって溝状のガイド溝を形成するため、各サイドガイド98、99上に流れた廃液を確実にメインガイド93へ案内することができる。
【0102】
また、天面部62は、天面部62に対して垂直な方向において、周縁部から全周に亘って第1開口63に向かって徐々に下がるように窪んでいる。これにより、第1開口63の周縁から漏れた廃液を天面部62の周縁の第1角部62Aに向かってスムーズに集めることが可能となり、早期にメインガイド93へ導くことが可能となる。
【0103】
また、フラッシング処理によって、記録ヘッド41から排出された廃液が廃液貯留容器60に溜められる。そして、廃液貯留容器60の天面部62、側壁部68Aの複数の液漏れ用孔75、側壁部68Bの上端部、各係止孔96等から漏れた廃液は、廃液貯留容器60のメインガイド93へ流れて廃液受け部95上に広がる。廃液受け部95上に広がった廃液がメディアセンサ94により検知された場合は、ディスプレイ13Aを介して廃液が漏れた旨が報知される。これにより、インクジェットプリンタ1のユーザは廃液貯留容器60からの廃液漏れを早期に知る事ができ、廃液貯留容器60を交換することが可能となる。
【0104】
[実施形態2]
[廃液貯留容器160]
次に、実施形態2に係る廃液貯留容器160について
図10に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図10は、実施形態2に係る廃液貯留容器160のメインガイド162の一例を示す部分拡大した外観斜視図である。
【0105】
実施形態2に係る廃液貯留容器160は、
図10に示すように、各側壁部67A、68Aと、各側壁部67C、68Bとが交差する角部に、実施形態1に係るメインガイド93に替えて、メインガイド162が形成されている点で異なっている。
【0106】
図10に示すように、メインガイド162は、メインガイド93と同じ所定幅(例えば、幅約3mm~5mm)で、略半円状または円弧状に内側へ窪む細縦長の溝状に形成されている。メインガイド162は、各側壁部67A、68Aと、左側の各側壁部67C、68Bとが交差する角部の上端部から底壁部66まで下方に向かって延びている。メインガイド162の下端部には、平面視で略四角形の廃液受け部95が形成されている。廃液受け部95は、底壁部66とほぼ同じ厚さで、前方向および左方向へ所定の第1幅W1(例えば、W1=5mm~10mm)で、メインガイド162の下端部から略直角に外方へ延びて形成されている。
【0107】
蓋部92の天面部62は、鉛直方向において最も低くなる第1角部62Aが、メインガイド162と同じ所定幅(例えば、幅約3mm~5mm)で、略半円状または円弧状に内側へ窪むように形成され、メインガイド162の上端と連続する溝を構成している。
【0108】
以上説明した実施形態2に係る廃液貯留容器160は、実施形態1に係る廃液貯留容器60が奏する効果と同様に効果を奏することができる。更に、天面部62の第1角部62Aとメインガイド162とは、略半円状または円弧状に内側へ窪むように形成される。これにより、第1開口63の周縁から漏れて天面部62の第1角部62Aに集められた廃液は、略半円状または円弧状に内側へ窪んだ第1角部62Aとメインガイド162の奥側の底面部へ集められつつ、下方へ流れるように案内される。従って、メインガイド162を下方へ流れる廃液の速度を速くすることが可能となり、より早期に廃液の漏れを検出することが可能となる。
【0109】
なお、天面部62の第1角部62Aとメインガイド162とは、略V字状、または、略U字状に内側へ窪むように形成してもよい。これにより、第1開口63の周縁から漏れて天面部62の第1角部62Aに集められた廃液は、略V字状、または、略U字状に内側へ窪んだ第1角部62Aとメインガイド162の奥側の底面部へ集められつつ、下方へ流れるように案内される。従って、メインガイド162を下方へ流れる廃液の速度を速くすることが可能となり、より早期に廃液の漏れを検出することが可能となる。
【0110】
[変形例1]
上記した実施形態1、2では、液体吐出装置がインクジェットプリンタ1であるものとしたが、これに限らず、他にも、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファックス機能等の複数の機能を備えたMFP(Multi-Function Peripheral)であってもよい。
【0111】
[変形例2]
例えば、メンテナンスユニット8のチューブ82は、キャップ80からポンプ81を経由して廃液貯留容器60へと廃液を移送するように配置されてもよい。そして、チューブ82の排出側の端部は、例えば、廃液貯留容器60の前側の側壁部68Aの上端側で、第1開口63よりも下方側の位置で、且つ、第2サイドガイド98よりも上方側の位置に、着脱可能となる構成により接続されてもよい。また、チューブ82の排出側の端部は、廃液を廃液貯留容器60内に排出可能となる構成により接続されてもよい。
【0112】
これにより、メンテナンスユニット8のパージ動作によって吸引除去されたインク等の廃液は、廃液貯留容器60に貯留可能となる。その結果、廃液ボックス83を削減することが可能となり、部品点数の削減化を図ることができる。また、廃液貯留容器60の前側の側壁部68Aとチューブ82との接続箇所から廃液が漏れても、下方に位置する第2サイドガイド98により受けて、廃液受け部95へ案内することができる。その結果、前側の側壁部68Aとチューブ82との接続箇所からの廃液漏れを早期に検出することが可能となる。
【0113】
[変形例3]
例えば、メンテナンスユニット8のチューブ82は、キャップ80からポンプ81を経由してフラッシングユニット70へと廃液を移送するように配置されてもよい。そして、チューブ82の排出側の端部は、例えば、ガイド固定枠72に対して着脱可能となる構成により接続されてもよい。また、チューブ82の排出側の端部は、廃液ガイド71のうち、ノズル面421と対向する傾斜面710の反対側の面に当たった状態で、廃液を排出可能となる構成により接続されてもよい。
【0114】
これにより、メンテナンスユニット8のパージ動作によって吸引除去されたインク等の廃液は、廃液ガイド71のノズル面421と対向する面の反対側の面、すなわち廃液ガイド71の裏面により廃液貯留容器60の第1開口63へ案内される。従って、メンテナンスユニット8のパージ動作によって吸引除去されたインク等の廃液は、廃液貯留容器60に貯留可能となる。その結果、廃液ボックス83を削減することが可能となり、部品点数の削減化を図ることができる。
【0115】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 インクジェットプリンタ、60、160 廃液貯留容器、62 天面部、62A 第1角部、62B 第2角部、63 第1開口、65 廃液吸収体、66 底壁部、66A 第3角部、67A~67D、68A、68B 側壁部、75 廃液漏れ用孔、76、77 補助ガイド、93、162 メインガイド、94 メディアセンサ、95 廃液受け部、97 第1サイドガイド、97A、98A、99A 上面部、98 第2サイドガイド、98B、99B ガイド壁、99 第3サイドガイド、