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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180562
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】フローティングベスト
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/012 20060101AFI20231214BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20231214BHJP
【FI】
A41D13/012
A44B99/00 611N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093957
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】森越 康倫
(72)【発明者】
【氏名】増 周司
(72)【発明者】
【氏名】神谷 泰三
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB12
3B011AC10
3B211AA01
3B211AB12
3B211AC10
(57)【要約】
【課題】連結部の換気性を向上することができるフローティングベストが、提供される。
【解決手段】フローティングベスト1は、ベスト本体3と、第1調節機構5Aと、を備える。ベスト本体3は、後身頃7と、左前身頃20と、左連結部22と、を有する。第1調節機構5Aは、後身頃7及び左前身頃20の間隔を調節する。第1調節機構5Aは、紐体25と、操作部27と、を有する。紐体25の少なくとも一部は、左連結部22に内包される。操作部27は、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さを調節操作する。左連結部22は、左貫通孔22aを有する。左貫通孔22aは、紐体25が通過する部分を避けて設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後身頃と、前身頃と、前記前身頃および前記後身頃を連結する連結部と、を有するベスト本体と、
前記後身頃及び前記前身頃の間隔を調節する調節機構と、
を備え、
前記調節機構は、少なくとも一部が前記連結部に内包される紐体と、前記連結部内を通過する前記紐体の部分の長さを調節操作する操作部と、を有し、
前記連結部は、前記紐体が通過する部分を避けて設けられる貫通孔、を有する、
フローティングベスト。
【請求項2】
前記操作部は、前記紐体を巻き取ることで、前記連結部内を通過する前記紐体の部分の長さを調節操作する、
請求項1に記載のフローティングベスト。
【請求項3】
前記操作部は、前記連結部外への前記紐体の排出、または、前記連結部内への前記紐体の侵入を許可することによって、前記連結部内を通過する前記紐体の部分の長さを調節操作する、
請求項1に記載のフローティングベスト。
【請求項4】
前記操作部は、前記前身頃または前記連結部の前身頃側に、配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のフローティングベスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローティングベストに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フローティングベストが開示されている。このフローティングベストは、ベスト本体と、調節機構と、を有する。ベスト本体は、後身頃と、前身頃と、前身頃および後身頃を連結する連結部と、を有する。調節機構は、後身頃及び前身頃の間隔を調節する。
【0003】
具体的には、連結部は複数の布部材を重ねることによって形成される。調節機構は、ループ部と、調整紐と、を有する。ループ部は、連結部に設けられる。調整紐は、連結部に内包される。調整紐は、前身頃及び後身頃に交互に架け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5931532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフローティングベストでは、ループ部を引くことによって、前身頃及び後身頃が互いに接近し、連結部が収縮する。連結部は複数の布部材を重ねることによって形成されているので、連結部の収縮時には連結部は収縮方向に多層に重なり合う。このため、従来のフローティングベストでは、連結部の換気性を確保することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、連結部の換気性を向上することができるフローティングベストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に関して、フローティングベストは、ベスト本体と、調節機構と、を備える。ベスト本体は、後身頃と、前身頃と、前身頃および後身頃を連結する連結部と、を有する。調節機構は、後身頃及び前身頃の間隔を調節する。調節機構は、紐体と、操作部と、を有する。紐体の少なくとも一部は、連結部に内包される。操作部は、連結部内を通過する紐体の部分の長さを調節操作する。連結部は、貫通孔を有する。貫通孔は、紐体が通過する部分を避けて設けられる。
【0008】
本発明の第1の側面に係るフローティングベストでは、連結部が貫通孔を有しているので、従来技術と比較して、連結部の換気性を向上することができる。また、紐体が通過する部分を避けて貫通孔を設けることによって、連結部を調節機構によって容易に調整することができる。すなわち、後身頃及び前身頃の間隔を容易に調節することができる。
【0009】
本発明の第2の側面に関して、第1の側面に係るフローティングベストでは、操作部は、紐体を巻き取ることで、連結部内を通過する紐体の部分の長さを調節操作する。
【0010】
本発明の第3の側面に関して、第1の側面に係るフローティングベストでは、操作部は、連結部外への紐体の排出、または、連結部内への紐体の侵入を許可することによって、連結部内を通過する紐体の部分の長さを調節操作する。
【0011】
本発明の第4の側面に関して、第1から第3の側面のいずれか1つに係るフローティングベストでは、操作部は、前身頃または連結部の前身頃側に、配置される、
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フローティングベストにおいて、連結部の換気性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のフローティングベストの正面図。
図2】フローティングベストの背面図。
図3】フローティングベストの正面展開図。
図4】調節機構を説明するための図(フローティングベストの背面視)。
図5】変形例1の調節機構を説明するための図。
図6】変形例2の調節機構を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るフローティングベストの実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明で用いる図面、例えば、図1図2、および、図3には、左右方向の矢印が示される。矢印が示す左右方向は、フローティングベスト1の左前身頃側を左矢印、フローティングベスト1の右前身頃側を右矢印にて示している。図1図2、および、図3に示すように、フローティングベスト1は、ベスト本体3と、調節機構5と、を備える。ベスト本体3は、後身頃7と、前身頃9と、連結部11と、を有する。後身頃7は、ユーザの胴部背面、および、ユーザの肩部を覆う。後身頃7の少なくとも一部は、通気性を有する生地、例えば、メッシュ状の生地によって、形成されることが好ましい。
【0015】
前身頃9は、ユーザの胴部前面を覆う。前身頃9の少なくとも一部は、通気性を有する生地、例えば、メッシュ状の生地によって、形成されることが好ましい。例えば、前身頃9は、1対の前身頃19,20を含む。
【0016】
以下では、1対の前身頃19,20が、右前身頃19、および、左前身頃20と記される。図1に示すように、右前身頃19は右側の前身頃であり、左前身頃20は左側の前身頃である。
【0017】
連結部11は、ユーザの胴部側面を覆う。図2、および、図3に示すように、連結部11は、前身頃9および後身頃7を連結する。例えば、連結部11は、1対の連結部21,22を含む。以下では、1対の連結部21,22が、右連結部21、および、左連結部22と記される。
【0018】
右連結部21は、右前身頃19、および、後身頃7を連結する。例えば、右連結部21は、縫製又は圧着等のような接続手段によって、右前身頃19、および、後身頃7の右部に接続される。
【0019】
図2、および、図3に示すように、右連結部21は、右貫通孔21aを有する。右貫通孔21aは、調節機構5の紐体25(後述する)が通過する部分を避けて設けられる。右貫通孔21aは、後述する操作部27及び後身頃7の間に設けられる。
【0020】
左連結部22は、左前身頃20、および、後身頃7を連結する。例えば、左連結部22は、縫製又は圧着等のような接続手段によって、左前身頃20、および、後身頃7の左部に接続される。
【0021】
左連結部22は、左貫通孔22aを有する。左貫通孔22aは、調節機構5の紐体25(後述する)が通過する部分を避けて設けられる。左貫通孔22aは、後述する操作部27及び後身頃7の間に設けられる。
【0022】
調節機構5は、後身頃7及び前身頃9の間隔を調節する。例えば、図2、および、図3に示すように、調節機構5は、第1調節機構5Aと、第2調節機構5Bと、を含む。第1調節機構5Aは、後身頃7及び左前身頃20の間隔を調整する。第2調節機構5Bは、後身頃7及び右前身頃19の間隔を調整する。
【0023】
第1調節機構5A、および、第2調節機構5Bは、左右に鏡像関係になるように配置される。第1調節機構5Aの構成、および、第2調節機構5Bの構成は同じである。以下では、第1調節機構5Aを用いて調節機構5の説明が行われる。以下の第1調節機構5Aの構成及び符号は、第2調節機構5Bの構成及び符号に対しても適用される。以下に示す図4は、フローティングベスト1を外側から見た場合の第1調節機構5Aの正面図である。
【0024】
図4に示すように、第1調節機構5Aは、ガイド部23と、紐体25と、操作部27と、を有する。図4は、フローティングベストの背面における第1調節機構5Aである。ガイド部23は、第1ガイド体31と、第2ガイド体32と、第3ガイド体33と、を有する。
【0025】
第1ガイド体31は、後身頃7に内包される。第1ガイド体31は、後身頃7の内部に固定される。例えば、第1ガイド体31は、紐体25が左貫通孔22aの上方を通過するように、後身頃7に固定される。
【0026】
第1ガイド体31は、後身頃7の表生地、および、後身頃7の裏生地の間において、後身頃7の表生地、および、後身頃7の裏生地の少なくともいずれか一方に固定される。第1ガイド体31は、操作部27から左貫通孔22aの上方に向けて延びる紐体25を、受ける。第1ガイド体31は、紐体25を第3ガイド体33に案内する。
【0027】
図4に示すように、第2ガイド体32は、後身頃7に内包される。第2ガイド体32は、後身頃7の内部に固定される。例えば、第2ガイド体32は、紐体25が左貫通孔22aの下方を通過するように、後身頃7に固定される。
【0028】
第2ガイド体32は、後身頃7の表生地、および、後身頃7の裏生地の間において、後身頃7の表生地、および、後身頃7の裏生地の少なくともいずれか一方に固定される。第2ガイド体32は、操作部27から左貫通孔22aの下方に向けて延びる紐体25を受ける。第2ガイド体32は、紐体25を第3ガイド体33に案内する。
【0029】
図4に示すように、第3ガイド体33は、左連結部22に内包される。第3ガイド体33は、左前身頃20、および、左貫通孔22aの間に配置される。第3ガイド体33は、左前身頃20、および、操作部27の間に配置される。
【0030】
第3ガイド体33は、左連結部22の内部に固定される。第3ガイド体33は、左連結部22の表生地、および、左連結部22の裏生地の間において、左連結部22の表生地、および、左連結部22の裏生地の少なくともいずれか一方に固定される。第3ガイド体33は、第1ガイド体31、および、第2ガイド体32によって案内された紐体25を、受ける。
【0031】
第3ガイド体33の上部は、第1ガイド体31の下部より上方に配置されることが好ましい。第3ガイド体33の下部は、第2ガイド体32の上部より下方に配置されることが好ましい。
【0032】
図4に示すように、紐体25の少なくとも一部は、左連結部22に内包される。本実施形態では、紐体25の全体が左連結部22に内包される。紐体25の一部は、左連結部22から露出してもよい。
【0033】
紐体25は、第1ガイド体31、第2ガイド体32、および、第3ガイド体33に架け渡される。例えば、紐体25は、左貫通孔22aの上方を通過し、第1ガイド体31の下部に到達する。紐体25は、第1ガイド体31において下部から上部に案内される。
【0034】
紐体25は、第1ガイド体31の上部から第3ガイド体33の上部に向けて延び、第3ガイド体33において上部から下部に案内される。紐体25は、第3ガイド体33の下部から第2ガイド体32の下部に向けて延びる。紐体25は、第2ガイド体32において下部から上部に案内される。紐体25は、左貫通孔22aの下方を通過し、操作部27に到達する。
【0035】
図4に示すように、操作部27は、左前身頃20、または、左連結部22の左前身頃20側に、配置される。本実施形態では、操作部27が左連結部22の左前身頃20側に配置される場合の例が、示される。
【0036】
操作部27は、左前身頃20、および、後身頃7の間に配置される。例えば、操作部27は、左前身頃20、および、左貫通孔22aの間に配置される。操作部27は、左連結部22の左前身頃20側において左連結部22に取り付けられる。
【0037】
操作部27は、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さを調節操作する。例えば、操作部27は、紐体25の巻き取り、または、紐体25の繰り出しによって、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さを調節操作する。
【0038】
左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さは、操作部27から外側に繰り出された部分の長さと解釈してもよい。左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さは、左連結部22内、及び、後身頃7内を通過する紐体25の部分の長さと解釈してもよい。
【0039】
詳細には、操作部27を第1回転方向R1に回転することによって、紐体25が操作部27に巻き取られる。この場合、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さが短くなる。例えば、第3ガイド体33と、第1ガイド体31、および、第2ガイド体32との間隔が短くなる。これにより、フローティングベスト1のウエストが絞られる。
【0040】
操作部27を第2回転方向R2に回転することによって、紐体25が操作部27から繰り出される。この場合、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さが長くなる。例えば、第3ガイド体33と、第1ガイド体31、および、第2ガイド体32との間隔が長くなる。これにより、フローティングベスト1のウエストの絞りが緩和される。なお、第2回転方向R1は、第1回転方向R1とは反対の回転方向である。
【0041】
以上、本実施形態に係るフローティングベスト1では、連結部21,22が貫通孔21a,22aを各別に有しているので、連結部21,22の換気性を向上することができる。また、連結部21,22において紐体25が通過する部分を避けて貫通孔21a,22aを設けることによって、連結部21,22を調節機構5A,5Bによって容易に調整することができる。すなわち、後身頃7及び前身頃19,20の間隔を容易に調節することができる。
【0042】
(変形例1)
前記実施形態では、紐体25が操作部27によって巻き取られる場合の例が、示されたが、図5に示すように、紐体25は左連結部22外に排出されてもよい。図5は、フローティングベスト1を外側から見た場合の第1調節機構5Aの正面図である。この場合、操作部127は、左連結部22外への紐体25の排出、または、左連結部22内への紐体25の侵入を許可することによって、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さを調節操作する。
【0043】
例えば、操作部127は、紐体25を挟持することによって、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さを保持する。紐体25の挟持が解除された状態で、操作部127の外側の紐体25が引っ張られると、左連結部22内の紐体25が左連結部22外に排出される。これにより、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さが短くなり、フローティングベスト1のウエストが絞られる。
【0044】
紐体25の挟持が解除された状態で、後身頃7が操作部127から離れるように引っ張られることによって、左連結部22外の紐体25が左連結部22内に侵入する。これにより、左連結部22内を通過する紐体25の部分の長さが長くなり、フローティングベスト1のウエストの絞りが緩和される。
【0045】
(変形例2)
前記実施形態、および、前記変形例1では、操作部27,127が左連結部22の前身頃側に配置される場合の例が、示されたが、図6に示すように、操作部27,127は左前身頃20に配置されてもよい。図6は、フローティングベスト1を外側から見た場合の第1調節機構5Aの正面図である。この場合、操作部27,127、および、第3ガイド体33は、左前身頃20に配置される。操作部27,127は、第3ガイド体33、および、左貫通孔22aの間に配置される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、フローティングベストに利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 フローティングベスト
3 ベスト本体
5 調節機構
5A 第1調節機構
5B 第2調節機構
7 後身頃
9 前身頃
19 右前身頃
20 左前身頃
11 連結部
21 右連結部
21a 右貫通孔
22 左右連結部
22a 左貫通孔
25 紐体
27,127 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6