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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180565
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】原水処理方法及び原水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20230101AFI20231214BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
C02F3/12 S
C02F3/12 D
C02F3/12 H
C02F3/12 M
C02F1/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093960
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水間 翔平
(72)【発明者】
【氏名】油井 啓徳
(72)【発明者】
【氏名】山本 太一
【テーマコード(参考)】
4D006
4D028
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA01
4D006HA93
4D006JA59Z
4D006KA03
4D006KA31
4D006KB22
4D006KB25
4D006KD08
4D006KE02Q
4D006KE13P
4D006MA01
4D006MC29
4D006PA01
4D006PB08
4D028AA08
4D028AC01
4D028AC03
4D028BB02
4D028BB06
4D028BC17
4D028BD02
4D028BD17
4D028CA00
4D028CC00
4D028CD00
(57)【要約】
【課題】担体を用いた生物処理と膜分離活性汚泥処理とを組み合わせた原水処理において、処理水への窒素やリンの流出を抑制する。
【解決手段】好気性微生物を保持した担体36を収容する生物処理槽10と、生物処理槽10で生物処理された第1処理水が流入すると共に、活性汚泥を収容する活性汚泥処理槽32及び活性汚泥処理槽32で生物処理された第2処理水を膜処理する膜分離装置34を備える膜分離活性汚泥処理ユニット12とを備える原水処理装置1を用いて原水を処理する工程と、生物処理槽10を介さずに前記原水の一部を活性汚泥処理槽32にバイパス流入させる流入工程と、を有し、前記流入工程では、膜分離装置34で処理された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、前記バイパス流入させる前記原水の流入量を制御することを特徴とする原水処理方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好気性微生物を保持した担体を収容する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された第1処理水が流入すると共に、活性汚泥を収容する活性汚泥処理槽及び前記活性汚泥処理槽で生物処理された第2処理水を膜処理する膜分離装置を備える膜分離活性汚泥処理ユニットとを備える原水処理装置を用いて原水を処理する原水処理工程と、
前記生物処理槽を介さずに前記原水の一部を前記活性汚泥処理槽にバイパス流入させる流入工程と、を有し、
前記流入工程では、前記膜分離装置で処理された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、前記バイパス流入させる前記原水の流入量を制御することを特徴とする原水処理方法。
【請求項2】
前記生物処理槽に窒素源及び/又はリン源を添加する窒素源・リン源添加工程を有し、
前記添加工程では、前記バイパス流入させる前記原水の流入量に基づいて、前記窒素源及び/又は前記リン源の添加量を制御することを特徴とする請求項1に記載の原水処理方法。
【請求項3】
前記膜分離装置で処理された前記第3処理水中の前記リン濃度が、所定値以上の場合には、前記活性汚泥処理槽に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の原水処理方法。
【請求項4】
原水を処理する原水処理装置であって、
好気性微生物を担持した担体を収容する生物処理槽と、
前記生物処理槽で生物処理された第1処理水が流入すると共に、活性汚泥を収容する活性汚泥処理槽、及び前記活性汚泥処理槽で生物処理された第2処理水を膜処理する膜分離装置を備える膜分離活性汚泥処理ユニットと、
前記生物処理槽を介さずに前記原水の一部を前記活性汚泥処理槽にバイパス流入させるバイパスラインと、
前記膜分離装置で処理された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、前記バイパスラインを流れる前記原水の流入量を制御する制御部と、を有することを特徴とする原水処理装置。
【請求項5】
前記生物処理槽に窒素源及び/又はリン源を添加する窒素源・リン源添加手段を有し、
前記窒素源・リン源添加手段は、前記バイパスラインを流れる前記原水の流入量に基づいて、前記窒素源及び/又は前記リン源の添加量を制御することを特徴とする請求項4に記載の原水処理装置。
【請求項6】
前記活性汚泥処理槽に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段を有し、
前記無機凝集剤添加手段は、前記膜分離装置で処理された前記第3処理水中の前記リン濃度が所定値以上の場合に、前記活性汚泥処理槽に前記無機凝集剤を添加することを特徴とする請求項4又は5に記載の原水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原水処理方法及び原水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性排水を処理する技術として、担体を用いた生物処理(以下、担体法と呼ぶ場合がある)と膜分離活性汚泥処理(以下、MBR処理と呼ぶ場合がある)とを組み合わせた技術が知られている。当該技術では、担体法による高速処理が可能であると共にMBR処理による清澄な処理水が得られるという2つの特長を持つことが可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、生物処理槽を2つ以上直列に配置して有機性排水を処理する技術が開示されているが、後段の生物処理槽において汚泥発生量を低減させる場合、BOD容積負荷の低下に伴って汚泥に含まれる窒素分が処理水へと溶出することや菌体合成に使用されなかった窒素分が残存するため、窒素を多く含む排水を処理した際に、窒素の排水基準を上回るという問題点があると言われている。このような場合、別途無酸素槽を設けることで脱窒処理を行い、窒素分を低減する方法が提案されているが、設置スペースを多く取る必要があり、処理システムとしてもより複雑となる。また、窒素と同様に処理水での残存が懸念されるリンについては低減することができない。
【0004】
また、例えば、特許文献2,3には、有機性排水の一部を、前段の生物処理槽をバイパスして後段のMBR処理槽に供給する技術が開示されている。特許文献2,3では、前段の生物処理槽の排水負荷を測定し、バイパス量を自動で制御する工程を有しているが、このような方法では、汚泥性状等の反応場の変化に伴った処理水の悪化に追従できず、窒素やリンの溶出を抑制できない可能性がある。また、有機性排水の除去対象物質をオンラインで測定するため、一般に有機性排水中に固形分が多い場合には、測定の安定性が低下し、精度としても十分に得られず、適切に運転制御することが困難となる場合がある。さらに、特許文献4の通り、比較的高濃度な排水を測定対象とする場合、センサーの維持管理や構成に手間が掛かり、運転管理作業の負担が大きくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4892917号公報
【特許文献2】特許第5575316号公報
【特許文献3】特許第5922406号公報
【特許文献4】特開2021-159845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、担体を用いた生物処理と膜分離活性汚泥処理とを組み合わせた原水処理において、処理水への窒素やリンの流出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の原水処理方法は、好気性微生物を保持した担体を収容する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された第1処理水が流入すると共に、活性汚泥を収容する活性汚泥処理槽及び前記活性汚泥処理槽で生物処理された第2処理水を膜処理する膜分離装置を備える膜分離活性汚泥処理ユニットとを備える原水処理装置を用いて原水を処理する原水処理工程と、前記生物処理槽を介さずに前記原水の一部を前記活性汚泥処理槽にバイパス流入させる流入工程と、を有し、前記流入工程では、前記膜分離装置で処理された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、前記バイパス流入させる前記原水の流入量を制御することを特徴とする。
【0008】
また、前記原水処理方法において、前記生物処理槽に窒素源及び/又はリン源を添加する窒素源・リン源添加工程を有し、前記添加工程では、前記バイパス流入させる前記原水の流入量に基づいて、前記窒素源及び/又は前記リン源の添加量を制御することが好ましい。
【0009】
また、前記原水処理方法において、前記膜分離装置で処理された前記第3処理水中の前記リン濃度が、所定値以上の場合には、前記活性汚泥処理槽に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程を有することが好ましい。
【0010】
また、本開示は、原水を処理する原水処理装置であって、好気性微生物を担持した担体を収容する生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された第1処理水が流入すると共に、活性汚泥を収容する活性汚泥処理槽、及び前記活性汚泥処理槽で生物処理された第2処理水を膜処理する膜分離装置を備える膜分離活性汚泥処理ユニットと、前記生物処理槽を介さずに前記原水の一部を前記活性汚泥処理槽にバイパス流入させるバイパスラインと、前記膜分離装置で処理された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、前記バイパスラインを流れる前記原水の流入量を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記原水処理装置において、前記生物処理槽に窒素源及び/又はリン源を添加する窒素源・リン源添加手段を有し、前記窒素源・リン源添加手段は、前記バイパスラインを流れる前記原水の流入量に基づいて、前記窒素源及び/又は前記リン源の添加量を制御することが好ましい。
【0012】
また、前記原水処理装置において、前記活性汚泥処理槽に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段を有し、前記無機凝集剤添加手段は、前記膜分離装置で処理された前記第3処理水中の前記リン濃度が所定値以上の場合に、前記活性汚泥処理槽に前記無機凝集剤を添加することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、担体を用いた生物処理と膜分離活性汚泥処理とを組み合わせた原水処理において、処理水への窒素やリンの流出を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る原水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】実施例の原水流量に対する活性汚泥処理槽への原水バイパス比率及び溶解性BOD汚泥負荷の経日変化を示すグラフである。
図3図3に、実施例の膜分離装置により処理された処理水の全窒素濃度(TN濃度)及びリン酸態リン濃度(PO-P濃度)の経日変化を示すグラフである。
図4】比較例、参考例1、2における活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷と処理水のTN濃度の関係を示すグラフである。
図5】比較例、参考例1、2における活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷と処理水のPO-P濃度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本開示を実施する一例であって、本開示は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る原水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す原水処理装置1は、生物処理槽10と、膜分離活性汚泥処理ユニット12と、制御装置14、ポンプ(16a,16b,16c)と、窒素濃度検出器18と、リン濃度検出器20と、流入ライン(22a,22b)と、バイパスライン24と、処理水排出ライン26と、汚泥排出ライン28と、流量調整弁(30a,30b)とを備える。膜分離活性汚泥処理ユニット12は、活性汚泥処理槽32と、膜分離装置34とを備える。膜分離装置34としては、例えば、分離膜を備える分離膜モジュール等である。図1の原水処理装置1では、膜分離装置34が活性汚泥処理槽32内に設置されている。
【0017】
流入ライン22aは生物処理槽10に接続されている。また、流入ライン22aにはポンプ16a及び流量調整弁30aが設置されている。流入ライン22bの一端は生物処理槽10に接続され、流入ライン22bの他端は活性汚泥処理槽32に接続されている。バイパスライン24の一端は流入ライン22aに接続され、バイパスライン24の他端は流入ライン22bに接続されている。また、バイパスライン24には流量調整弁30bが設置されている。処理水排出ライン26は膜分離装置34の処理水出口に接続されている。また、処理水排出ライン26にはポンプ16b、窒素濃度検出器18、リン濃度検出器20が設置されている。汚泥排出ライン28は活性汚泥処理槽32に接続されている。また、汚泥排出ライン28にはポンプ16cが設置されている。制御装置14と流量調整弁(30a,30b)、制御装置14と窒素濃度検出器18やリン濃度検出器20は、例えば、電気的に接続されている。
【0018】
生物処理槽10内には、好気性微生物を保持した担体36が充填されている。担体36に保持される好気性微生物は、生物処理槽10内に流入する原水中の有機物を好気条件で分解処理可能な微生物である。活性汚泥処理槽32内には活性汚泥が収容されている。活性汚泥は、活性汚泥処理槽32内に流入する処理水や原水中の有機物を好気条件で分解処理可能な微生物を含む汚泥である。
【0019】
生物処理槽10内及び活性汚泥処理槽32内の底部には、曝気装置38が設置されている。曝気装置38には、例えば、ブロア40が接続され、ブロア40から供給される空気が、曝気装置38から生物処理槽10内や活性汚泥処理槽32内に供給されるように構成されている。
【0020】
窒素濃度検出器18は、処理水中の窒素濃度を検出できる装置であればよく、例えば、全窒素濃度計(TN計)、アンモニア濃度計等が挙げられる。リン濃度検出器20は、処理水中のリン濃度を検出できる装置であればよく、例えば、全リン濃度計(TP計)、リン酸濃度計等が挙げられる。
【0021】
制御装置14は、例えば、プログラムを演算するCPU、プログラムや演算結果を記憶するROMおよびRAMから構成されるマイクロコンピュータと電子回路等で構成され、ROM等に記憶された所定のプログラムを読み出し、当該プログラムを実行して、原水処理装置1の動作を制御する。例えば、制御装置14は、処理水中の窒素濃度やリン濃度に基づいて、流量調整弁30a,30bの開閉度を制御して、バイパスライン24を流れる原水の流入量を制御する。また、制御装置14は、例えば、ポンプ16やブロア40の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0022】
その他、バイパスライン24を流れる原水の流入量を把握するために、流入ライン22aやバイパスライン24に流量測定器を設けてもよい。また、処理水の水質を確認するために、処理水排出ライン26に全有機体炭素計(TOC計)を設置してもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る原水処理装置1の動作の一例について説明する。
【0024】
制御装置14は、ポンプ16aを稼働させると共に、流量調整弁30aを所定の開度まで開放させて、原水を流入ライン22aから生物処理槽10に供給する。この際、制御装置14は、流量調整弁30bを所定の開度まで開放させて、流入ライン22aを通る原水の一部をバイパスライン24から活性汚泥処理槽32にバイパス流入させてもよい。
【0025】
制御装置14は、ブロア40を稼働させ、空気を曝気装置38から生物処理槽10内に供給する。そして、生物処理槽10内において、好気条件で、原水中の有機物を、担体36に保持された微生物により生物処理する。生物処理槽10で処理された処理水(第1処理水)は、流入ライン22bを通り、活性汚泥処理槽32に流入する。
【0026】
また、制御装置14は、ブロア40を稼働させ、空気を曝気装置38から活性汚泥処理槽32内に供給する。そして、活性汚泥処理槽32内において、好気条件下で、流入ライン22bから流入した第1処理水やバイパスライン24からバイパス流入した原水中の有機物を、活性汚泥により生物処理する。また、制御装置14は、ポンプ16bを稼働させて、活性汚泥処理槽32内で生物処理された処理水(第2処理水)を膜分離装置34に通水し、第2処理水中の汚泥を除去し、膜分離装置34の分離膜を透過した処理水(第3処理水:汚泥が除去されたろ過水)を、処理水排出ライン26から系外へ排出する。また、制御装置14は、ポンプ16cを稼働させて、活性汚泥処理槽32に堆積した汚泥を、汚泥排出ライン28から系外へ排出する。
【0027】
以下に、活性汚泥処理槽32にバイパス流入する原水の流量制御の例を説明する。まず、窒素濃度検出器18及びリン濃度検出器20により検出された第3処理水中の窒素濃度及びリン濃度が制御装置14に入力される。そして、制御装置14は、入力された窒素濃度及びリン濃度のうちの少なくともいずれか一方が、予め定めた所定値(所定値は、窒素濃度及びリン濃度のそれぞれに対して定められてもよいし共通でもよい)以上の場合、バイパスライン24を流れる原水の流入量が増加するように、流量調整弁30a,30bの開度を制御する。例えば、バイパスライン24に原水が流入していない場合には、所定の流入量の原水がバイパスライン24に流れるように流量調整弁30a,30bの開度を制御する。また、例えば、バイパスライン24に原水が流入している場合には、その時の原水の流入量に対して所定の割合に増やした流入量の原水がバイパスライン24に流れるように流量調整弁30a,30bの開度を制御する。バイパスライン24を流れる原水の流入量を増加した運転を継続した結果、窒素濃度検出器18及びリン濃度検出器20により検出された処理水中の窒素濃度及びリン濃度が、予め定めた所定値未満となった場合、制御装置14は、バイパスライン24を流れる原水の流入量が減少するように、流量調整弁30a,30bの開度を制御することが好ましい。例えば、バイパスライン24への原水の流入が停止するように、流量調整弁30a,30bの開度を制御する。また、例えば、現状のバイパスライン24を流れる原水の流入量に対して所定の割合に減らした流入量の原水が、バイパスライン24を流れるように、流量調整弁30a,30bの開度を制御する。予め定めた所定値は、安定した処理を行うために、処理目標値の0.6~1倍の範囲とすることが好ましい。また、生物処理反応槽での処理安定化のため、バイパスライン24を流れる原水の流入量の上限は原水流量の90%とすることが好ましい。
【0028】
通常、後段の活性汚泥処理槽32の方が前段の生物処理槽10より処理が進むため、後段の活性汚泥処理槽32のBOD容積負荷は低負荷にならざるを得ない。このような場合、活性汚泥等の菌体から窒素やリンが溶出したり、菌体合成に使用されなかった窒素やリンが残存したりして、処理水の水質を悪化させる場合がある。しかし、本実施形態では、前述したように、処理水の窒素濃度及びリン濃度に基づいて、活性汚泥処理槽32にバイパス流入する原水の流入量を制御しているため、活性汚泥処理槽32のBOD容積負荷が低負荷になることを抑制することができる。その結果、活性汚泥処理槽32内の活性汚泥の菌体から窒素やリンの過度の溶出を抑制し、処理水への窒素やリンの流出を抑制することが可能となる。
【0029】
以下に、本実施形態に係る原水処理装置1の各構成や処理条件等について詳述する。
【0030】
処理対象である原水は、例えば、下水処理、食品工場をはじめ、化学工場、半導体工場・液晶工場、紙パルプ工場、その他の分野から排出される有機性排水等であり、生物処理が適用可能であれば良い。
【0031】
生物処理槽10及び活性汚泥処理槽32それぞれのBOD容積負荷は、例えば、処理水への窒素やリンの流出をより抑制する点で、0.5kgBOD/(m・d)以上であることが好ましく、1.0kgBOD/(m・d)以上であることがより好ましく、1.5kgBOD/(m・d)以上であることがより好ましい。BOD容積負荷の上限は、処理水中の有機物の残存及び窒素やリンの流出等を考慮すると、6kgBOD/(m・d)以下が好ましい。
【0032】
活性汚泥処理槽32のBOD汚泥負荷は、例えば、処理水への窒素やリンの流出をより抑制する点で、0.005~0.15kgBOD/(kgMLSS・d)の範囲であることが好ましい。
【0033】
活性汚泥処理槽32の汚泥滞留時間(SRT)は、容積負荷にもよるが、例えば、5~50日の範囲であることが好ましく、20日~40日の範囲であることがより好ましい。SRTが長くなると、汚泥中の微生物の自己酸化が起き、分離膜を透過しないような高分子物質が活性汚泥処理槽32内に蓄積し、膜の目詰まりが起きる場合がある。また、SRTが短いと、汚泥が分散状になり、分離膜への目詰まりが起きる場合がある。
【0034】
生物処理槽10及び活性汚泥処理槽32の槽内水のpHは、一般的な生物処理に適応する範囲であれば特に制限されるものではないが、例えば6~9の範囲が好ましく、6.5~7.5の範囲がより好ましい。生物処理槽10や活性汚泥処理槽32の槽内水のpH調整は、各槽にpH調整剤を添加することにより行われる。pH調整剤としては、塩酸等の酸剤、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤等が挙げられる。
【0035】
生物処理槽10及び活性汚泥処理槽32の槽内水の溶存酸素(DO)は、一般的な生物処理に必要な酸素量であれば特に制限されるものではないが、例えば、0.5mg/L以上であることが好ましく、1mg/L以上であることがより好ましい。
【0036】
生物処理槽10及び活性汚泥処理槽32の槽内水の水温は、一般的な生物処理に適応する範囲であれば特に制限されるものではないが、例えば、15~35℃の範囲が好ましく、20~30℃の範囲がより好ましい。
【0037】
生物処理槽10には、栄養剤としての窒素源及び/又はリン源を添加することが好ましい。生物処理槽10に窒素源やリン源を添加する際には、バイパスライン24を流れる原水の流入量に基づいて、窒素源及び/又はリン源の添加量を制御することが好ましい。以下は、制御方法の一例である。第1ポンプを設置した窒素源供給ライン及び第2ポンプを設置したリン源供給ラインを生物処理槽10に設置する。また、バイパスライン24には原水の単位時間当たりの流入量を検出する流入量計を設置する。そして、制御装置14には、流入量計により検出された単位時間当たりの流入量が入力され、制御装置14は、当該流入量が所定値以下の場合には、第1ポンプ及び第2ポンプを稼働させ、窒素源供給ラインから窒素源を、リン源供給ラインからリン源を生物処理槽10に供給する。そして、制御装置14は、当該流入量が所定値を超えた場合には、第1ポンプ及び第2ポンプの稼働を停止して、窒素源及びリン源の供給を停止する。また、例えば、制御装置14は、単位時間当たりの流入量と窒素源の添加量とを予め規定しておいたマップ(或いは式やテーブル等)及び単位時間当たりの流入量とリン源の添加量とを予め規定しておいたマップ(或いは式やテーブル等)に、流入量計により検出された単位時間当たりの流入量を当てはめて、窒素源及びリン源の添加量を求め、求めた添加量の窒素源及びリン源が供給されるように第1ポンプ及び第2ポンプの出力を制御する。なお、上記マップは、流入量が増えると窒素源、リン源の添加量が減少し、流入量が減少すると窒素源、リン源の添加量が増加する関係を規定したものである。
【0038】
窒素源は、特に限定されないが、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、尿素等が挙げられる。リン源は、特に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。窒素源及びリン源の他に、鉄、マンガン、カルシウム等の無機塩類等を栄養剤として生物処理槽10に供給してもよい。なお、活性汚泥処理槽32には、窒素源及びリン源を添加しないことが好ましい。
【0039】
生物処理槽10内の担体36は、従来公知の担体でよく、例えば、プラスチック製担体、スポンジ状担体、ゲル状担体等が挙げられる。これらの中では、コストや耐久性の点で、スポンジ状担体が好ましく、例えば、ポリウレタン製のスポンジ状担体が好ましい。担体36は、生物処理槽10内を流動する流動式に限定されず、担体36を充填したカートリッジ等を生物処理槽10内に設置する固定式でもよい。担体36の形状は、特に限定されず、立方体状等の四角体状、粒状、球状、ペレット状、円筒状、繊維状、フィルム状等が挙げられる。生物処理槽10への担体36の投入量は、例えば、槽容積に対して10~70%の範囲が好ましい。なお、活性汚泥処理槽32内にも担体36を投入してよい。
【0040】
本実施形態の膜分離装置34は、活性汚泥処理槽32内に設置した浸漬型の膜分離装置34を例示しているが、これに制限されず、活性汚泥処理槽32外に設置した槽外型の膜分離装置34であってもよい。これらのうち、装置の設置面積や運転動力の観点から浸漬型の膜分離装置34を採用することが望ましい。
【0041】
膜分離装置34に設置される分離膜の形状としては、例えば、平膜型、中空糸型、チューブラ型、スパイラル型等が挙げられる。浸漬膜の材質は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、セルロースアセテート(CA)等の有機膜、セラミック製の無機膜等が挙げられる。分離膜の孔径は、例えば、1.0μm以下が好ましく、孔径0.1μm以下の精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜が好ましい。分離膜の透過流速は、例えば、0.1~0.8m/dayの範囲程度で運転することが好ましく、0.2~0.6m/dayの範囲で運転することがより好ましい。
【0042】
膜分離装置34で処理された処理水中のリン濃度が、予め定めた所定値以上の場合には、活性汚泥処理槽32に無機凝集剤を添加することが好ましい。例えば、ポンプを設置した無機凝集剤供給ラインを活性汚泥処理槽32に設置する。そして、制御装置14は、リン濃度検出器20から入力されたリン濃度が、予め定めた所定値以上の場合には、ポンプを稼働させ、無機凝集剤供給ラインから無機凝集剤を活性汚泥処理槽32に供給する。このような操作により、処理水中のリン濃度を速やかに低減できる。無機凝集剤としては、従来公知のものでよく、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄等が挙げられる。無機凝集剤の添加量は、理論必要量以上とすることが好ましい。理論必要量は、PAC(Al=10.5wt%と想定)の場合、リン濃度1mg/Lに対して15.7mg/Lであり、塩化第二鉄(FeCl=38wt%と想定)の場合、リン濃度1mg/Lに対して13.8mg/Lである。
【実施例0043】
以下、実施例および比較例を挙げ、本開示をより具体的に詳細に説明するが、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
<実施例>
図1に示す原水処理装置を用いて、模擬廃水(原水)の連続通水試験を実施した。但し、制御装置は使用せず、流量調整弁の開閉制御、ポンプの稼働制御は手動で行った。また、連続通水試験を実施する前には、馴養工程を設けた。具体的には、生物処理槽のみに原水を通水し、処理水BOD濃度を確認しながら、BOD容積負荷を増加させつつ、担体に十分に微生物を付着させた。この馴養工程後の生物処理槽と膜分離活性汚泥処理ユニットとを組み合わせて連続通水試験を開始した。なお、活性汚泥処理槽には本原水で馴養された活性汚泥を投入した。
【0045】
<連続通水試験の条件>
生物処理槽の容積:12L
生物処理槽の担体:疎水性ポリウレタン製のスポンジ担体
生物処理槽の担体充填率:嵩体積として20%充填
膜分離装置の分離膜:PVDF中空糸膜
膜分離装置のろ過Flux:0.4m/d
※ろ過Fluxとは分離膜の単位膜面積当たりの処理水量であり、以下のように算出される。ろ過Flux=原水流量÷分離膜の膜面積
活性汚泥処理槽の容積:24L
活性汚泥処理槽の汚泥濃度(MLSS):8000mg/L
活性汚泥処理槽の汚泥の引抜:MLSSが8000mg/Lとなるように一日に1回汚泥を引き抜く。
原水BOD濃度の代表値:500、1000、1500mg/L(後述する比較例、参考例1、2:1000mg/L)
原水中の基質:スクロース、酢酸ナトリウム、プロピオン酸、2-プロパノール
原水中の窒素及びリン:塩化アンモニウムとリン酸を用いてBOD:N:P=100:5:1となるように調整
その他必要な微量元素:微量元素溶液を原水に添加
原水SS:無し
原水流量:54L/d(活性汚泥処理槽に適宜バイパス)
全体BOD容積負荷:1.5kgBOD/(m・d)
※全体BOD容積負荷は以下のようにして算出される。全体BOD容積負荷=原水BOD濃度×流入水量÷生物処理槽と活性汚泥処理槽の合計槽容積
【0046】
なお、全ての実験期間で生物処理槽の溶解性BOD除去率は95%以上であり、アンモニア態窒素濃度、リン酸態リン濃度も95%以上除去できていた。生物処理槽の溶解性BOD除去率は以下のようにして算出される。
生物処理槽の溶解性BOD除去率=(原水BOD濃度-生物処理槽の溶解性BOD濃度)÷原水BOD濃度
なお、原水にはSSが無いことから原水BOD=溶解性BODである。生物処理槽の溶解性BOD濃度は0.45μmフィルターでろ過して、懸濁成分を除去した後のBOD濃度である。
【0047】
実施例(及び後述する比較例や参考例)で示した各項目は以下のように算出される。
(1)活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷=((生物処理槽の溶解性BOD濃度×生物処理槽への原水流量)+(活性汚泥処理槽への原水のバイパス流入量×原水溶解性BOD濃度))÷(槽内汚泥濃度×槽容積)
なお、原水にはSSが無いことから原水BOD=溶解性BODである。
(2)活性汚泥処理槽の汚泥滞留時間=(槽内汚泥濃度×槽容積)÷(引抜汚泥濃度×引抜水量)
(3)BOD汚泥転換率=活性汚泥処理槽の発生汚泥量÷全体BOD除去量
(4)活性汚泥処理槽の発生汚泥量=((所定期間経過後の活性汚泥処理槽の汚泥濃度-初期の活性汚泥処理槽の汚泥濃度)×活性汚泥処理槽の槽容積)+(引抜汚泥濃度×引抜水量)
(5)全体BOD除去量=(原水BOD濃度-活性汚泥処理槽の膜分離処理水のBOD濃度)×原水流量
(6)吸引圧力は、処理水排出ラインに設置した圧力計(長野計器社製、GC67型)により測定した値である。吸引圧力はロギングし、所定期間における1日当たりの吸引圧力上昇量として示した。
【0048】
図2に、実施例の原水流量に対する活性汚泥処理槽への原水バイパス比率及び溶解性BOD汚泥負荷の経日変化を示す。また、図3に、実施例の膜分離装置により処理された処理水の全窒素濃度(TN濃度)及びリン酸態リン濃度(PO-P濃度)の経日変化を示す。実施例では、最初の5日間、原水を活性汚泥処理槽にバイパス流入させずに通水試験を行った。そして、膜分離装置により処理された処理水中の窒素濃度及びリン濃度の上昇を確認した後、原水を活性汚泥処理槽にバイパス流入させた。なお通水開始から18日目までは原水BOD濃度を1000mg/Lにし、19日目~25日目までは原水BOD濃度を1500mg/Lにし、その後は原水BOD濃度 を500mg/Lにして運転した。本実験における目標値はTN濃度:10mg/L以下、PO-P:2mg/L以下とした。
【0049】
図3に示すように、原水を活性汚泥処理槽にバイパス流入させていない期間は、膜分離装置により処理された処理水(以下、処理水)のTN濃度、PO-P濃度が上昇し、目標値を超過した。処理水のTN濃度、PO-P濃度が目標値を超過したため、7~11日目の期間では、活性汚泥処理槽への原水バイパス比率を28~39%にして、原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させたところ、処理水のTN濃度、PO-P濃度を目標値にすることができた。また、活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷は0.08~0.1kgBOD/(kgMLSS・d)で推移した。14~18日目の期間では、活性汚泥処理槽への原水バイパス比率を17~22%に減らして運転を行ったところ、処理水のTN濃度とPO-P濃度は上昇したものの、依然として目標値を維持することができた。この間の活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷は、0.05~0.06kgBOD/(kgMLSS・d)で推移した。上記結果から、処理水のTN濃度、PO-P濃度に基づいて活性汚泥処理槽へバイパス流入させる原水の流入量を制御することで、処理水への窒素やリンの流出を抑制することが可能となり、良好な処理水水質を得るように運転管理することができた。また、原水バイパス比率を高めることで、より良好な処理水水質を得ることができた。
【0050】
19日目以降、原水BOD濃度を変動させて運転したが、原水濃度に変動が生じても、処理水のTN濃度、PO-P濃度に応じて、活性汚泥処理槽へバイパス流入させる原水の流入量(すなわち、活性汚泥処理槽への原水バイパス比率)を制御することで、処理水への窒素やリンの流出を抑制することが可能となり、良好な処理水水質を得るように運転管理することできた。なお、実験期間における活性汚泥処理槽への溶解性BOD汚泥負荷は0.03~0.11kgBOD/(kgMLSS・d)で推移した。
【0051】
<比較例及び参考例1,2>
比較例では、原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させないこと以外は実施例と同様に試験した。また、参考例1、2では、原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させたが、処理水のTN濃度及びPO-P濃度に応じて原水バイパス比率を制御せず、単純に原水バイパス比率を増やす制御を行った。それ以外は、実施例と同様に試験した。参考例1と2では、活性汚泥処理槽の汚泥滞留時間が異なること以外は同じ条件である。活性汚泥処理槽の汚泥滞留時間において、参考例1を30日とし、参考例2を40日とした。
【0052】
図4に、比較例、参考例1、2における活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷と処理水のTN濃度の関係を示す。図5に、比較例、参考例1、2における活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷と処理水のPO-P濃度の関係を示す。比較例では、活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷は0.02kgBOD/(kgMLSS・d)未満となり、処理水のTN濃度は20 mg/L以上、PO-P濃度は4 mg/L以上で推移した。比較例では、原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させていないため、上記の通り溶解性BOD汚泥負荷が低くなり、活性汚泥処理槽内の汚泥の解体が進行したため、処理水へ窒素・リンが溶出したと考えられる。参考例1、2では、原水バイパス比率を増加させ、活性汚泥処理槽の溶解性BOD汚泥負荷を高く運転することで、処理水のTN濃度、PO-P濃度ともに目標値を満たすことができた。一方で、TN濃度、PO-P濃度を目標値とするのに必要な溶解性BOD汚泥負荷は、参考例1が0.1kgBOD/(kgMLSS・d)以上、参考例2が0.05kgBOD/(kgMLSS・d)以上となり、それぞれ異なる数値範囲となった。よって、溶解性BOD汚泥負荷で管理するためには、目標水質が得られる数値範囲を事前にもしくは実運転中に把握する必要がある。ただし、運転状況によってその範囲が異なると考えられることから、実運転中に溶解性BOD汚泥負荷で管理するのは困難と想定される。
【0053】
表1に、実施例、比較例及び参考例1,2の運転期間における分離膜の1日当たりの吸引圧力上昇量、活性汚泥処理槽の汚泥滞留時間、BOD汚泥転換率を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させていない比較例は、バイパス流入させている実施例等に比べて、BOD汚泥転換率が低い。これは、原水のバイパス流入を実施しないことで、活性汚泥処理槽の有機物負荷が低くなり、汚泥の解体が進行したためである。その結果、比較例は、汚泥滞留時間が長くなり、バイオポリマー等の膜の閉塞を促進する物質が蓄積したため、1日当たりの吸引圧力上昇量が大きくなったとみられる。一方、原水のバイパス流入を実施した実施例等においては、顕著な吸引圧力の上昇は見られなかった。ただし、一般的には生物間での捕食や自己消化によって、汚泥滞留時間の増加により減容化が進むものと言われていることから最適な汚泥滞留時間についても考慮する必要があるものと考えられる。以上の結果から、原水を活性汚泥処理槽へバイパス流入させることで、処理水への窒素・リンの溶出及び分離膜の吸引圧力の上昇を抑えて運転することが可能であった。また、目標水質を維持することが可能な溶解性BOD汚泥負荷を把握することなく、処理水の窒素・リンの濃度に基づいて、活性汚泥処理槽へバイパス流入させる原水の流入量を調整することで、例えば原水変動があった場合でも、処理水への窒素・リンの溶出を抑制し、良好な処理水質を維持しながら運転することが可能となった。
【符号の説明】
【0056】
1 原水処理装置、10 生物処理槽、12 膜分離活性汚泥処理ユニット、14 制御装置、16a~16c ポンプ、18 窒素濃度検出器、20 リン濃度検出器、22a,22b 流入ライン、24 バイパスライン、26 処理水排出ライン、28 汚泥排出ライン、30a,30b 流量調整弁、32 活性汚泥処理槽、34 膜分離装置、36 担体、38 曝気装置、40 ブロア。
図1
図2
図3
図4
図5