(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180585
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/08 20060101AFI20231214BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20231214BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20231214BHJP
B60R 25/01 20130101ALI20231214BHJP
【FI】
B60N2/08
B60N2/22
B60N2/90
B60R25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093989
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 悠馬
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087BC05
3B087BD01
3B087BD04
3B087DA05
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】ワンアクションで盗難防止機能を作動可能で、かつ盗難のリスクをより低減させることができる車両用シート装置を得る。
【解決手段】車両用シート装置10は、リクライニング機構20と、スライド機構30と、リクライニング機構20をリクライニングアンロック状態に動作させると共に、スライド機構30をスライドアンロック状態に動作させる同時ロック解除機構40と、同時ロック解除機構40が動作した状態で、シートバック14を所定の角度でロックすると共にシートクッション12及びシートバック14をシート前後方向の所定の位置でロックするセキュリティロック機構50と、セキュリティロック機構50によるロックを解除するセキュリティ解除機構60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションに対してシートバックを傾倒可能であり、前記シートバックを任意の角度に維持するリクライニングロック状態と、該リクライニングロック状態が解除されて前記シートバックを傾倒可能なリクライニングアンロック状態とに動作させるリクライニング機構と、
前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向に移動可能に構成され、前記シートクッション及び前記シートバックを、シート前後方向の移動を規制するスライドロック状態と、シート前後方向の移動を許容するスライドアンロック状態とに動作させるスライド機構と、
前記リクライニング機構を前記リクライニングアンロック状態に動作させると共に、前記スライド機構を前記スライドアンロック状態に動作させる同時ロック解除機構と、
該同時ロック解除機構が動作した状態で、前記シートバックを所定の角度でロックすると共に前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするセキュリティロック機構と、
前記セキュリティロック機構による前記ロックを解除するセキュリティ解除機構と、
を備える車両用シート装置。
【請求項2】
前記セキュリティロック機構は、前記シートバックを所定の角度でロックするリクライニングセキュリティロック機構と、前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするスライドセキュリティロック機構とを備えている請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記シートクッションには、車両床面に固定されたレール上を移動可能にされた移動部材が設けられており、
前記スライドセキュリティロック機構は、シート前方側において前記レールに設けられたレール側係合部と、前記移動部材に設けられ、前記レール側係合部と係合可能な移動部材側係合部とを有し、前記シートクッション及び前記シートバックを、前記スライドアンロック状態においてシート前方側に移動させることにより前記レール側係合部と前記移動部材側係合部とを係合させてロックする請求項2に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記シートクッションは、該シートクッションに固定されたブラケット部を備え、前記シートバックは、該シートバックの傾倒と共に回転するサイドフレームを備え、
前記リクライニングセキュリティロック機構は、前記ブラケット部に設けられたブラケット側係合部と、前記サイドフレームに設けられ、前記ブラケット側係合部と係合可能なフレーム側係合部とを有し、前記シートバックを前記リクライニングアンロック状態において前方に傾倒させることにより、前記ブラケット側係合部と前記フレーム側係合部とを係合させてロックする請求項2に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記リクライニングセキュリティロック機構と前記スライドセキュリティロック機構とは、各々引っ張られることによりロック状態を解除可能なケーブルを有し、
前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張ることが可能に構成されている請求項2に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張るための巻き取り機構を備えている請求項5に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記同時ロック解除機構は、前記シートバックの肩口に設けられたレバーを引くことにより作動する請求項1に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止機能を搭載した車両用シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の運転席シートのシートクッションの前部にヒンジを設け、このヒンジを支点としてシートクッションを前方に起立させて、この状態でロック可能にした車両用盗難防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、ロック機構がフックで構成されている場合には、シートクッションを起立させてからステアリングホイールにフックを掛けるため、シートクッションの起立とフックを掛けるという2つの動作が必要となり、ユーザが煩わしさを感じてしまう虞がある。一方、車両においては、より盗難のリスクを低減させることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、ワンアクションで盗難防止機能を作動可能で、かつ盗難のリスクをより低減させることができる車両用シート装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の車両用シート装置は、シートクッションに対してシートバックを傾倒可能であり、前記シートバックを任意の角度に維持するリクライニングロック状態と、該リクライニングロック状態が解除されて前記シートバックを傾倒可能なリクライニングアンロック状態とに動作させるリクライニング機構と、前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向に移動可能に構成され、前記シートクッション及び前記シートバックを、シート前後方向の移動を規制するスライドロック状態と、シート前後方向の移動を許容するスライドアンロック状態とに動作させるスライド機構と、前記リクライニング機構を前記リクライニングアンロック状態に動作させると共に、前記スライド機構を前記スライドアンロック状態に動作させる同時ロック解除機構と、該同時ロック解除機構が動作した状態で、前記シートバックを所定の角度でロックすると共に前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするセキュリティロック機構と、前記セキュリティロック機構による前記ロックを解除するセキュリティ解除機構と、を備える。
【0007】
本発明の第1の態様の車両用シート装置は、同時ロック解除機構がリクライニング機構をリクライニングアンロック状態に動作させると共に、スライド機構をスライドアンロック状態に動作させると、セキュリティロック機構が、同時ロック解除機構が動作した状態で、シートバックを所定の角度でロックすると共にシートクッション及びシートバックをシート前後方向の所定の位置でロックする。そのため、同時ロック解除機構によるリクライニング機構及びスライド機構の同時ロック解除から、セキュリティロック機構によるシートクッション及びシートバックのロックまでを一連の動作で行なうことができるので、ユーザはワンアクションで盗難防止機能を作動させることができる。ここで、「ワンアクション」とは厳密に1つの動作だけを行うことに限らず、2つの動作を一連の流れで連続的に行うことも含むこととする。また、セキュリティロック機構は、シートバックとシートクッションとをそれぞれ所定の角度又は所定の位置でロックするので、シートバックのみ、又はシートクッションのみをロックする場合と比較して盗難のリスクをより低減させることができる。
【0008】
本発明の第1の態様の車両用シート装置は、さらにセキュリティロック機構によるロックを解除するセキュリティ解除機構を備えているので、セキュリティ解除機構によってセキュリティロック機構によるロックを解除することにより、シートバック及びシートクッションを通常位置に復帰させることができる。
【0009】
本発明の第2の態様の車両用シート装置は、第1の態様において、前記セキュリティロック機構は、前記シートバックを所定の角度でロックするリクライニングセキュリティロック機構と、前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするスライドセキュリティロック機構とを備えている。
【0010】
本発明の第2の態様の車両用シート装置は、セキュリティロック機構が、リクライニングセキュリティロック機構とスライドセキュリティロック機構とを備えているので、リクライニングセキュリティロック機構によりシートバックがロックされ、スライドセキュリティロック機構によりシートクッション及びシートバックがロックされる。そのため、シートクッション及びシートバックのロックを解除するためには、リクライニングセキュリティロック機構とスライドセキュリティロック機構の両方を解除しなければならないので、セキュリティ性を高めることができる。
【0011】
本発明の第3の態様の車両用シート装置は、第2の態様において、前記シートクッションには、車両床面に固定されたレール上を移動可能にされた移動部材が設けられており、前記スライドセキュリティロック機構は、シート前方側において前記レールに設けられたレール側係合部と、前記移動部材に設けられ、前記レール側係合部と係合可能な移動部材側係合部とを有し、前記シートクッション及び前記シートバックを、前記スライドアンロック状態においてシート前方側に移動させることにより前記レール側係合部と前記移動部材側係合部とを係合させてロックする。
【0012】
本発明の第3の態様の車両用シート装置は、シートクッション及びシートバックを、スライドアンロック状態においてシート前方側に移動させることにより、レール側係合部と移動部材側係合部とが係合してロックされる。そのため、ユーザはシートクッション及びシートバックをシート前方側に移動させるだけで、シートクッション及びシートバックをロックすることができるので操作性がよい。
【0013】
本発明の第4の態様の車両用シート装置は、第2の態様において、前記シートクッションは、該シートクッションに固定されたブラケット部を備え、前記シートバックは、該シートバックの傾倒と共に回転するサイドフレームを備え、前記リクライニングセキュリティロック機構は、前記ブラケット部に設けられたブラケット側係合部と、前記サイドフレームに設けられ、前記ブラケット側係合部と係合可能なフレーム側係合部とを有し、前記シートバックを前記リクライニングアンロック状態において前方に傾倒させることにより、前記ブラケット側係合部と前記フレーム側係合部とを係合させてロックする。
【0014】
本発明の第4の態様の車両用シート装置は、シートバックをリクライニングアンロック状態において前方に傾倒させることにより、ブラケット側係合部とフレーム側係合部とが係合してロックされる。そのため、ユーザはシートバックを前方に傾倒させるだけでシートバックをロックすることができるので操作性がよい。
【0015】
本発明の第5の態様の車両用シート装置は、第2の態様において、前記リクライニングセキュリティロック機構と前記スライドセキュリティロック機構とは、各々引っ張られることによりロック状態を解除可能なケーブルを有し、前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張ることが可能に構成されている。
【0016】
本発明の第5の態様の車両用シート装置は、セキュリティ解除機構が、リクライニングセキュリティロック機構とスライドセキュリティロック機構の各々引っ張られることによりロック状態を解除可能なケーブルを共に引っ張ることが可能に構成されている。そのため、セキュリティ解除機構によりセキュリティロック機構とスライドセキュリティロック機構のケーブルを共に引っ張ることにより、リクライニングセキュリティロック機構のロックとスライドセキュリティロック機構のロックを共に解除することができる。
【0017】
また、従来のように鍵の回転動作により直接ロック解除を行うのではなく、ケーブルを介してロック解除を行うことにより、セキュリティ解除機構の設定位置をより外から見づらく安全性の高い場所とすることができるので、安全性がより向上する。
【0018】
本発明の第6の態様の車両用シート装置は、第5の態様において、前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張るための巻き取り機構を備えている。
【0019】
本発明の第6の態様の車両用シート装置は、セキュリティ解除機構が、リクライニングセキュリティロック機構のケーブルとスライドセキュリティロック機構のケーブルとを共に引っ張るための巻き取り機構を備えているので、巻き取り機構によりリクライニングセキュリティロック機構のケーブルとスライドセキュリティロック機構のケーブルとを共に引っ張ることでリクライニングセキュリティロック機構のロックとスライドセキュリティロック機構のロックを共に解除することができる。
【0020】
本発明の第7の態様の車両用シート装置は、第1の態様において、前記同時ロック解除機構は、前記シートバックの肩口に設けられたレバーを引くことにより作動する。
【0021】
本発明の第7の態様の車両用シート装置は、シートバックの肩口に設けられたレバーを引くことにより同時ロック解除機構を作動させることができるので、ユーザは、簡単な動作で同時ロック解除機構によるリクライニング機構及びスライド機構の同時ロック解除から、セキュリティ解除機構によるシートクッション及びシートバックのロックまでを作動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る車両用シート装置では、ワンアクションで盗難防止機能を作動可能で、かつ盗難のリスクをより低減させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のロック状態を模式的に示す車両右斜め後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のロック解除状態を模式的に示す車両右斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のリクライニング機構を示す一部分解斜視図である。
【
図4】
図3のリクライニングロックユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のスライド機構を示す一部分解斜視図である。
【
図6】
図5のスライドロックユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のセキュリティ解除機構を示す一部分解斜視図である。
【
図8】
図7のセキュリティ解除機構のロック状態を示す斜視図である。
【
図9】
図7のセキュリティ解除機構のロック解除状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置の通常位置からロック解除位置への動作を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図3のリクライニング機構のリクライニングアンロック状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図12】
図11の爪部と孔部との非係合状態を示す拡大斜視図である。
【
図13】
図3のリクライニング機構のリクライニングロック状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図14】
図13の爪部と孔部との係合状態を示す拡大斜視図である。
【
図15】
図5のスライド機構のスライドアンロック状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図16】
図5のスライド機構のスライドアンロック状態からスライドロック状態に動作する途中の状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図17】
図5のスライド機構のスライドロック状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図18】
図3のリクライニング機構においてセキュリティロック機構によるロックが解除された状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図19】
図5のスライド機構においてセキュリティロック機構によるロックが解除された状態の主要部を示す拡大側面図である。
【
図20】本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置のロック解除位置から通常位置への動作を模式的に示す側面図である。
【
図21】本発明の第2実施形態に係る車両用シート装置のケーブルの引っ張り方を示す模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る車両用シート装置10について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、各図において適宜示す矢印UP、矢印FR、矢印LH及び矢印RHは、車両に搭載された車両用シート装置10の上方向、前方向、左右方向(車幅方向)の左側方向及び右側方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両に搭載された車両用シート装置10の前後方向の前後、車両左右方向(車幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0025】
<車両用シート装置の構成>
本実施形態の車両用シート装置10は、車両(例えば、自動車、又は電車等)に設置される装置であり、運転席に設置される。
図1及び
図2に示されるように、車両用シート装置10は、着座した乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備えている。
【0026】
また、車両用シート装置10は、シートクッション12に対してシートバック14を傾倒可能なリクライニング機構20、シートクッション12及びシートバック14をシート前後方向に移動可能にするスライド機構30を備えている。
【0027】
リクライニング機構20は、シートクッション12に対してシートバック14を傾倒可能とし、具体的には、シートバック14を回転中心であるC軸周りに傾動させる。本実施形態においては、リクライニング機構20は、シートバック14を任意の角度に維持するリクライニングロック状態と、リクライニングロック状態が解除されてシートバック14を傾倒可能なリクライニングアンロック状態とに動作させる。
【0028】
ここで、シートクッション12は、シートクッション12の骨格を形成するシートクッションフレーム(図示省略)を備えており、シートクッションフレームは、シートクッション12の左右の側部においてシートクッション12の前後方向に延びる左右一対のクッションサイドフレーム(図示省略)を備えている。また、シートバック14は、シートバック14の骨格を構成するシートバックフレーム(図示省略)を備えており、シートバックフレームは、シートバック14の左右の側部においてシートバック14の高さ方向に延びる左右一対のサイドフレーム(
図3の左サイドフレーム14L参照)を備えている。この左右一対のサイドフレームの下端部は、上記左右一対のクッションサイドフレームの後端部において、リクライニング機構20を介して回転可能に連結されている。なお、リクライニング機構20は、従来周知の機構を使用することができ、ここでの詳細な説明は省略する。
【0029】
また、リクライニング機構20は、シートクッション12の車両幅方向外側の側部などに設けられた図示しないロック解除レバーを備えている。このロック解除レバーが操作されることにより、リクライニング機構20のロックが解除され、シートクッション12に対するシートバック14の角度を変更可能なリクライニングアンロック状態となる。なお、この角度の変更には、シートバック14のリクライニング角度の変更(調節)の他、シートバック14の前倒しが含まれている。
【0030】
また、本実施形態において、リクライニング機構20は、シートバック14を前傾方向へ付勢する後述するリターンスプリング29を備えている。このため、リクライニング機構20がリクライニングアンロック状態でシートバック14に負荷を掛けない場合には、シートバック14がシートクッション12の上面に前倒しされるようになっている。
【0031】
一方、リクライニング機構20のリクライニングアンロック状態においてシートバック14に所定値以上の後向き荷重を作用させると、シートバック14がシートクッション12に対して後傾するようになっている。そして、任意の傾斜角でロック解除レバーの操作力を解除すると、リクライニング機構20がリクライニングロック状態に復帰し、シートバック14がシートクッション12に対して角度を変更不能に拘束される。
【0032】
スライド機構30は、車両床面に固定されたレールとしての一対のロアレール32と、一対のロアレール32上を前後方向に移動可能な移動部材としての一対のアッパレール34とを有する。ロアレール32及びアッパレール34は、例えば板金によって構成されており、シート前後方向を長手とする長尺状に形成されている。一対のロアレール32は、車両床面において左右方向に間隔を空けて配設されており、前端部及び後端部がブラケット(図示省略)を介して車両床面に固定されている。
【0033】
アッパレール34には、シートバック14が立設されたシートクッション12が固定されており、アッパレール34がロアレール32上を移動することにより、シートクッション12及びシートバック14がシート前後方向に移動される。
【0034】
また、スライド機構30は、シートクッション12及びシートバック14を、シート前後方向の移動を規制するスライドロック状態と、シート前後方向の移動を許容するスライドアンロック状態とに動作させ、アッパレール34をロアレール32に対して、多段階でスライドロックできるように構成されている。なお、スライド機構30は、従来周知の機構を使用することができ、ここでの詳細な説明は省略する。
【0035】
スライド機構30は、一例として、
図1及び
図2に示されるように、シートクッション12の前方部の下側、すなわちシートクッション12に着座している乗員が操作可能な位置に設けられたハンドル状の操作レバー36を備えている。この操作レバー36が引き上げることにより、スライド機構30のロックが解除され、シートクッション12及びシートバック14のシート前後方向の移動が許容されるスライドアンロック状態となる。
【0036】
また、本実施形態においては、スライド機構30は、アッパレール34をシート前方に向けて移動付勢する図示しないスライド用ばね部材を備えている。このため、スライド機構30のスライドアンロック状態で、シートクッション12及びシートバック14に負荷を掛けない場合には、アッパレール34がロアレール32の前端に向けて移動することにより、シートクッション12及びシートバック14がシート前方に移動される。
【0037】
一方、スライド機構30がスライドアンロック状態においてシートクッション12又はシートバック14に所定値以上のシート前方又はシート後方向きの荷重を作用させると、シートクッション12及びシートバック14はシート前方又はシート後方に移動される。そして、シート前後方向の任意の位置で操作レバー36の操作力を解除すると、スライド機構30がスライドロック状態に復帰し、シートクッション12及びシートバック14の前後方向の移動を変更不能に規制する。
【0038】
また、本実施形態の車両用シート装置10は、リクライニング機構20をリクライニングアンロック状態に動作させると共に、スライド機構30をスライドアンロック状態に動作させる同時ロック解除機構40を備えている。
【0039】
図1及び
図2に示されるように、同時ロック解除機構40は、一例としてシートバック14の右側の肩口に設けられており、レバー42と、このレバー42の前端においてレバー42を回動可能に支持する支持部材42Aとを備えている。また、同時ロック解除機構40は、レバー42と上述したリクライニング機構20のロック解除レバー(図示省略)とを連結する第1ケーブル44と、レバー42と上述したスライド機構30の操作レバー36とを連結する第2ケーブル46とを備えている。
【0040】
レバー42をシート前方側に引き上げることにより、第1ケーブル44及び第2ケーブル46が共に引っ張られて、ロック解除レバー及び操作レバー36が作動する。この作動により、リクライニング機構20がリクライニングアンロック状態にされて、シートバック14がシートクッション12の上面に前倒しされると共に、スライド機構30がスライドアンロック状態にされて、シートクッション12及びシートバック14がシート前方に移動される。
【0041】
ここで、本実施形態の車両用シート装置10は、同時ロック解除機構40が動作した状態で、シートバック14を所定の角度でロックすると共にシートクッション12及びシートバック14をシート前後方向の所定の位置でロックするセキュリティロック機構50を備えている。
【0042】
セキュリティロック機構50は、
図1及び
図2に示されるように、リクライニング機構20と略同じ箇所に設けられ、シートバック14を所定の角度でロックするリクライニングセキュリティロック機構60と、スライド機構30の右側のロアレール32及びアッパレール34に設けられ、シートクッション12及びシートバック14をシート前後方向の所定の位置でロックするスライドセキュリティロック機構70とを備えている。
【0043】
ここで、リクライニングセキュリティロック機構60について説明する。
図3に示されるように、シートバック14の左サイドフレーム14Lの下端部には、リクライニング機構20によりシートバック14が傾倒される際に、左サイドフレーム14Lと共に回転するサイドブラケット部22が固定されている。サイドブラケット部22は、略L字形状に形成されており、左サイドフレーム14Lに固定される矩形状の固定部22Aと、
図1及び
図2のC軸を中心とした円弧の形状を有して形成された回動部22Bとを備えている。回動部22Bには、前端から延在する矩形状の延在部23が形成されており、延在部23の略中央には、矩形状の孔部23Aが設けられている。この孔部23Aは、フレーム側係合部として機能する。また、回動部22Bの後端の左側には、後述するリターンスプリング29の外側端部29Bを支持する切欠き部22Cが形成されている。
【0044】
また、シートクッション12の左側のクッションサイドフレーム(図示省略)の後端部には、ブラケット部24が固定されている。ブラケット部24は、左側が開放された箱状に形成されており、底面が左側のクッションサイドフレームにボルトにより固定される。ブラケット部24には、後述するリターンスプリング29の内側端部29Aを支持するスプリングブラケット25が固定されている。
【0045】
スプリングブラケット25は、略円形状であってブラケット部24に固定される円形固定部25Aと、
図1及び
図2のC軸を中心とした円弧の形状を有して形成され、円形固定部25Aから左方向に延在する円弧部25Bとを備えている。円弧部25Bには、円弧部25Bの前端から延在する矩形状の延在部26が形成されており、延在部26の略中央には、矩形状の孔部26Aが設けられている。この孔部26Aに後述するレバー67の一端部67Aが挿通される。また、円弧部25Bの前端であって、延在部26の左側には、リターンスプリング29の内側端部29Aを支持する切欠き部25Cが形成されている。
【0046】
また、ブラケット部24には、下方の壁部24Aに後述する第1解除ケーブル92を支持する第1支持ブラケット27が固定されている。第1支持ブラケット27は、略L字状の板材で構成されており、ブラケット部24に固定される固定部27Aと、固定部27Aから略直角に延在する延在部27Bとを有している。延在部27Bには、右端から左方に向かって切り欠かれた切欠き部27Cが形成されており、この切欠き部27Cにおいて後述する第1解除ケーブル92が支持される。
【0047】
また、ブラケット部24には、前方の壁部24Aに後述する第1解除ケーブル92を支持する第2支持ブラケット28が固定されている。第2支持ブラケット28は、第1支持ブラケット27と略同様の形状とされている。
【0048】
リクライニングセキュリティロック機構60は、
図3に示されるように、リクライニングロックユニット60Aを備えており、このリクライニングロックユニット60Aは、スプリングブラケット25の延在部26に固定される。
【0049】
図4に示されるように、リクライニングロックユニット60Aは、ケース61、ガイド部62、ロックピン部63、ピンばね64、レバーヒンジ65、レバーばね66、レバー67、及びカバー68を備えている。
【0050】
ケース61は、右方が開放された略箱状に形成されており、底壁61Aにはレバーヒンジ65が挿通する挿通孔61Bが形成されている。また、底壁61Aから右方に立設された側壁61Cであって、上方後方側の側壁61Cには、ガイド部62が装着される装着部61Dが形成されている。また、下方前方側の側壁61Cには、右端から左方に向かってレバー67の一端部67Aが挿通する矩形状の切欠き部61Eが形成されている。
【0051】
ガイド部62は、上方及び左方が開放された直方体で形成されており、下壁62Aの略中央にはロックピン部63のピン63Aが挿通する孔62Bが形成されている。
【0052】
ロックピン部63は、円柱状のピン63Aと、ピン63Aの上端に脱着可能にされ、上方後方側に斜面63Bを有して、サイドブラケット部22の孔部23Aに係合可能に抜き差しされるブラケット側係合部としての爪部63Cを備えている。また、ロックピン部63は、ピン63Aの下端に円形状の円板部63Dを備えている。
【0053】
ピンばね64は円筒状のばね部材であり、内部にピン63Aが挿通される。すなわち、ロックピン部63は、爪部63Cを外した状態で、ピン63Aの上端側から孔62Bに挿入され、孔62Bを挿通したピン63Aの上端側からピンばね64が装着された状態で爪部63Cが取り付けられる。
【0054】
ロックピン部63及びピンばね64が取り付けられた状態のガイド部62は、ケース61の装着部61Dに装着される。
【0055】
レバーヒンジ65は、円柱状の棒材で構成されている。レバーばね66は、両端部に直線部66Aを有する円筒状のばね部材で構成されている。
【0056】
レバー67は、略L字状に形成されており、一端部67Aと、一端部67Aから略直角に延在する他端部67Bを有している。また、レバー67は、一端部67Aと他端部67Bの境界の外側には後方側に向かって円板状に突出された一対の円形部67Cを有しており、円形部67Cの略中央にはレバーヒンジ65が挿通する挿通孔67Dが各々形成されている。他端部67Bには、前端から後方にむかって矩形状に切り欠かれた矩形切欠き部67Eが形成されている。また、一端部67Aには、後述する第1解除ケーブル92のピン92Cが挿通する挿通孔67Fが形成されている。
【0057】
カバー68は、ケース61の底壁61Aと同様の形状の板材で構成されており、底壁61Aに形成された挿通孔61Bに対応する位置に、レバーヒンジ65が挿通する挿通孔68Aが形成されている。
【0058】
ロックピン部63及びピンばね64が取り付けられた状態のガイド部62が装着されたケース61において、一対の円形部67Cの間にレバーばね66が介在された状態で、レバーヒンジ65が挿通孔67Dに挿通される。この状態で、レバー67の一端部67Aを切欠き部61Eに装着させて、レバーヒンジ65の右端が挿通孔61Bに挿通される。また、レバー67の他端部67Bの矩形切欠き部67Eにピン63Aを挿通させる。そして、カバー68をケース61の左方から取り付けて、レバーヒンジ65の左端を挿通孔68Aに挿通させる。リクライニングロックユニット60Aはこのように構成されている。
【0059】
図3に戻り、リターンスプリング29は、帯状のばね部材を渦巻き状に巻いて構成されており、両端に各々折り返された内側端部29A及び外側端部29Bを有している。リターンスプリング29は、スプリングブラケット25の円弧部25Bの外面に装着され、内側端部29Aが切欠き部25Cに支持されると共に、外側端部29Bはサイドブラケット部22の切欠き部22Cに支持される。このリターンスプリング29により、サイドブラケット部22が、左方から見た際に左回転方向に付勢されるので、リクライニング機構20のリクライニングアンロック状態でシートバック14に負荷を掛けない場合には、シートバック14がシートクッション12の上面に前倒しされる。
【0060】
本実施形態においては、リクライニングロックユニット60Aとフレーム側係合部としての孔部23Aにより、リクライニングセキュリティロック機構60が構成される。
【0061】
次に、スライドセキュリティロック機構70について説明する。
図1、
図2及び
図5に示されるように、スライドセキュリティロック機構70は右側のロアレール32及びアッパレール34に設けられており、
図5に示されるようにスライドロックユニット70Aを備えている。
【0062】
図5に示されるように、アッパレール34の左側面には、スライドロックユニット70Aを固定するための固定ブラケット38が固定されている。固定ブラケット38は、板材により構成されており、左方に略直角に折り曲げられて延在する第1延在部38Aと第2延在部38Bとを備えている。第1延在部38Aと第2延在部38Bには後述するケース72の第1突部72C及び第2突部72Dが嵌合する矩形状の第1嵌合孔38C及び第2嵌合孔38Dが形成されている。
【0063】
また、固定ブラケット38は、後端から左方に略直角に折り曲げられて延在する第3延在部38Eを有している。第3延在部38Eには、左端から右方に向かって先端円形状に切り欠かれ、後述する第2解除ケーブル94を支持する切欠き部38Fが形成されている。
【0064】
また、ロアレール32の下面には、スライドロックユニット70Aの後述する爪部74Bが入り込む矩形状の爪孔39Dが形成されたブラケット部39が固定されている。ここで、爪孔39Dはレール側係合部として機能する。ブラケット部39は、板材で構成されており、ロアレール32の下面に取り付けられる固定部39Aと、固定部39Aの左端から立設された垂直部39Bと、垂直部39Bの上端から左方に向かって略直角に折り曲げられて延在する延在部39Cを備えている。延在部39Cには、上記爪孔39Dが形成されている。また、固定部39Aには、2つの孔39Eが形成されており、この孔39Eにそれぞれ差し込まれたリベット39Fによってロアレール32に固定される。
【0065】
図6に示されるように、スライドロックユニット70Aは、ケース72、リテーナ73、ロック爪部74、爪部用ばね75、ケーブル吊り部76、リテーナ用ばね77、及びカバー71を備えている。
【0066】
ケース72は、左方が開放された略箱状に形成されており、上面72Aに上方に向かって突設された段部72Bを有している。段部72Bの前後の上面72Aには、前側に上方に向かって矩形状に突設された第1突部72Cが、後側に上方に向かって矩形状に突設された第2突部72Dがそれぞれ形成されている。また、ケース72は、下壁72Eにスライドロックユニット70Aの後述する爪部74Bが入り込む矩形状の爪孔72Fを有している。また、ケース72は、右壁72Jに、爪部用ばね75の後述する右端部75Bを支持する支持孔(図示省略)と、ロック爪部74の後述する固定用ピン74Eを支持する支持孔(図示省略)とが形成されている。また、ケース72の後壁72Gには、左端から右方に向かって切り欠かれ、ケーブル吊り部76の後述するピン76Aが挿通する切欠き部72Hが形成されている。
【0067】
リテーナ73は、上方が開放された略箱状に形成されており、側壁73Bの一部を含む後壁73Aが、その他の側壁73Bよりも上方に延在して形成されている。後壁73Aの略中央にはケーブル吊り部76の後述するピン76Aが挿通する挿通孔73Cが形成されている。また、左右の側壁73Bの前方側には、上端から下方に向かって矩形状に切り欠かれ、ロック爪部74の後述する突き当てピン74Fが移動可能な切欠き部73Dが形成されている。また、下壁73Eには、スライドロックユニット70Aの後述する爪部74Bが入り込む矩形状の爪孔73Fが形成されている。
【0068】
ロック爪部74は、上端後側及び下端前側に斜辺74Aを有し、下端後側に頂点を有する三角形状に形成された爪部74Bが設けられた本体部74Cを備えている。ここで爪部74Bは移動部材側係合部として機能する。本体部74Cの下端前側の斜辺74Aには段部74Dが形成されている。また、本体部74Cには、前側上部に固定用ピン74Eが本体部74Cに対して回転可能に挿通されて支持されている。また、本体部74Cには段部74Dの上部であって、固定用ピン74Eよりも下方に、切欠き部73Dを移動する突き当てピン74Fが挿通されている。また、本体部74Cには、上端後側の斜辺74Aの下方に爪部用ばね75の後述する左端部75Aを支持する支持孔74Gが形成されている。
【0069】
爪部用ばね75は、1本のばね部材が渦巻き状に巻かれて構成されており、左右両端が左右方向に向かって各々折り曲げられた左端部75Aと右端部75Bとを有している。
【0070】
ケーブル吊り部76は、棒状のピン76Aと、ピン76Aの後端において、ピン76Aの軸に対して直交するように軸が配置され、ピン76Aよりも径の大きい円筒状の円筒部76Bを備えている。円筒部76Bの上端には、左端から右方に向かって切り込まれ、後述する第2解除ケーブル94を支持する切欠き部76Cが形成されている。
【0071】
リテーナ用ばね77は、円筒状のばね部材であり、内部にピン76Aが挿通される。カバー71は、板材により構成されており、ケース72の右壁72Jと同形状に形成されている。また、ケース72のロック爪部74の固定用ピン74Eを支持する支持孔(図示省略)に対応する箇所に同じく固定用ピン74Eを支持する支持孔71Aが形成されている。
【0072】
そして、スライドロックユニット70Aは、ケース72にリテーナ73が、爪孔73Fと爪孔72Fとが重なるようにして装着される。この際にリテーナ73の前面がケース72の内面に当接され、かつリテーナ73の後壁73Aの前面がケース72の段部72Bの後方の内面と同一面上に位置される(
図15参照)。
【0073】
また、ケース72の右壁72Jに形成された支持孔(図示省略)に、爪部用ばね75の右端部75Bが挿通され、爪部用ばね75の左端部75Aがロック爪部74の支持孔74Gに挿通される。また、ロック爪部74の固定用ピン74Eの右端は、ケース72の右壁72Jに形成された支持孔(図示省略)に挿通される。これにより、ロック爪部74、爪部用ばね75、及びリテーナ73がケース72に装着される。
【0074】
さらに、ケーブル吊り部76がピン76Aにリテーナ用ばね77を装着した状態で、リテーナ用ばね77の後方側のピン76Aを切欠き部72Hに挿通させる。そして、ピン76Aの前端がリテーナ73の挿通孔73Cに挿通して固定される。この状態で、ケース72の左側からカバー71が取り付けられて、支持孔71Aに固定用ピン74Eが挿通される。スライドロックユニット70Aはこのように構成されている。
【0075】
図5に戻り、スライドロックユニット70Aは、ケース72の第1突部72C及び第2突部72Dが各々固定ブラケット38の第1嵌合孔38C及び第2嵌合孔38Dに嵌合されることにより、固定ブラケット38に固定される。
【0076】
本実施形態においては、スライドロックユニット70Aとレール側係合部としての爪孔39Dにより、スライドセキュリティロック機構70が構成される。
【0077】
また、
図1及び
図2に示されるように、車両用シート装置10は、セキュリティ解除機構80を備えている。本実施形態においては、一例としてセキュリティ解除機構80は、車両床面に設置されるボックス80A上に固定される。
【0078】
図7~
図9に示されるように、セキュリティ解除機構80は、ブラケットホルダ81、ロールケーブル82、回転留め盤83、鍵シャフト84、シャフトばね85、鍵ホルダ86、鍵87、マシンキー88、及びロールばね89を備えている。
【0079】
ブラケットホルダ81は、ボックス80Aに固定される矩形状の固定部81Aと、固定部81Aの左右両端から上方に向かって各々延在される延在部81Bを有しており、固定部81Aには取付孔81A1が形成されている。この取付孔81A1にボルト(図示省略)を使用することによりブラケットホルダ81はボックス80Aに固定される。また、左右の延在部81Bには各々略中央にロールケーブル82が挿通する挿通孔82Cが形成されている。また、左の延在部81Bには、上端から下方に向かって切り欠かれ、ロールばね89の外側端部89Aを支持する切欠き部81B1が形成されている。
【0080】
また、
図7において図示は省略されているが、固定部81Aの前端側には後述するケーブル90を支持するためのブラケット81Cが延在されている。ブラケット81Cは、固定部81Aと略直交し、ケーブル90を支持する支持部81Dを有しており、この支持部81Dの上端から下方に向けてケーブル90を支持する切欠き部81Eが形成されている。なお、
図8及び
図9において、ブラケット81Cは、説明の便宜上、固定部81Aの後端側に設けられているが、実際には、シートクッション12及びシートバック14が位置する前端側に設けられる。
【0081】
ロールケーブル82は、円筒状に形成されており、ケーブル90の先端に延在され、ケーブル90よりも径の小さい先端ケーブル90Aが巻き付けられる。ロールケーブル82は、ロールばね89が装着された状態で延在部81Bの挿通孔82Cに挿通されて左右外側からスナップピン82Dによって抜け止めされる。ここで、ロールばね89の外側端部89Aは切欠き部81B1に支持される。また、ロールケーブル82の右の延在部81Bから突出した右端の上面にはマシンキー88が挿入される切欠き82Aが形成されている。
【0082】
回転留め盤83は、円板状に形成されており、ロールケーブル82が挿通可能な挿通孔83Aと、切欠き82Aにマシンキー88が挿入されたロールケーブル82が挿入可能で、かつ所定の範囲のみ回転可能にする大径孔83Bを有している。
【0083】
鍵シャフト84は、円柱部84Aと、円柱部84Aの左端から左方に延在し円柱部84Aよりも径の小さい小径円柱部84Bを有している。小径円柱部84Bのロールケーブル82の切欠き82Aに対応する位置には、マシンキー88が装着される溝部(図示省略)が形成されている。小径円柱部84Bには、シャフトばね85が装着される。円柱部84Aには、前後方向を貫通し、左右方向に等間隔で形成された5つの貫通孔84A1が形成されている。また、円柱部84Aの右端面には鍵87の後述する先端部87Bが差し込まれるキー溝84Cが形成されている。
【0084】
鍵ホルダ86は、直方体の箱状に形成されており、左壁には鍵シャフト84の小径円柱部84Bが挿通する挿通孔(図示省略)が、右壁には鍵シャフト84の円柱部84Aが挿通する挿通孔(図示省略)が各々形成されている。鍵ホルダ86には、
図7に示されるように、鍵シャフト84がキー溝84Cを露出された状態で、かつ小径円柱部84Bにシャフトばね85が装着された状態で収容される。
【0085】
鍵87は、
図7に示されるように、円形状の頭部87Aと、頭部87Aから左方向に延在する平板で長尺状に形成された先端部87Bとを有している。この先端部87Bの断面がキー溝84Cの形状と一致するように、すなわち先端部87Bがキー溝84Cに差し込めるように構成されている。
【0086】
マシンキー88は、直方体で構成されており、鍵シャフト84の小径円柱部84Bがロールケーブル82に装着された状態で、ロールケーブル82の切欠き82A及び小径円柱部84Bの溝部(図示省略)に装着される。
【0087】
また、ケーブル90は、一端側がリクライニングセキュリティロック機構60に延在する第1解除ケーブル92と、スライドセキュリティロック機構に延在する第2解除ケーブル94とに分岐され、他端側がセキュリティ解除機構80に接続される。セキュリティ解除機構80側の他端部は、
図8及び
図9に示されるように、ケーブル90の先端から延在され、ケーブル90よりも径の小さい先端ケーブル90Aが設けられている。ケーブル90と先端ケーブル90Aとの間には、切欠き部81Eに支持される略三角錐状の接続部90Bが設けられており、この接続部90Bが支持部81Dに引っかかることにより切欠き部81Eから抜け出さないように構成されている。
【0088】
一方、第1解除ケーブル92は、
図3に示されるように、リクライニングセキュリティロック機構60側の先端に、略U字状に形成された固定部92Aを有している。固定部92Aは、先端に球体92B、及び球体92Bから延在するピン92Cが設けられている。固定部92Aは、ピン92C側の先端部に、固定部92Aの外周に沿って溝92Dが形成されている。また、固定部92Aは、後端部にも同様に溝92Eが形成されており、後端部はボルト92Fによってケーブル本体92Gに固定されている。
【0089】
上記固定部92Aは、ピン92Cが
図4に示されるレバー67の挿通孔67Fに支持され、球体92Bによって挿通孔67Fから抜け出さないようにされている。また、溝92Dが第1支持ブラケット27の切欠き部27Cに支持され、溝92Eが第2支持ブラケット28の切欠き部(図示省略)に支持される。
【0090】
他方、第2解除ケーブル94は、
図5に示されるように、ケーブル本体94Aの先端に円柱体94B、及び円柱体94Bから延在するピン94Cが設けられている。ケーブル本体94Aのピン94C側には、外周に沿って溝94Dが形成されている。円柱体94Bは、ケーブル吊り部76の円筒部76Bに装着され、ピン94Cは切欠き部76Cに支持される。また、溝94Dは、固定ブラケット38の切欠き部38Fに支持される。
【0091】
<車両用シート装置の動作>
(ロック時)
図10に示されるように、同時ロック解除機構40のレバー42がシート前方側(矢印M1方向)に引っ張られると、リクライニング機構20のロックとスライド機構30のロックが共に解除される。リクライニング機構20のロックが解除されてリクライニングアンロック状態になると、リターンスプリング29によりシートバック14がシートクッション12の上面側(矢印M2方向)に前倒しされる。また、スライド機構30のロックが解除されてスライドアンロック状態になると、図示しないスライド用ばね部材によってアッパレール34がロアレール32の前端に向けて移動することにより、シートクッション12及びシートバック14がシート前方に移動される。なお、この際に、レバー42はシート前方側(矢印M1方向)に引っ張られた状態が維持される。
【0092】
シートバック14が前倒しされると、
図11に示されるように、左サイドフレーム14Lが矢印A1方向に回転するので、左サイドフレーム14Lに固定されたサイドブラケット部22及び
図12に示されるサイドブラケット部22の延在部23に形成された孔部23Aも矢印A1方向に回転する。すると
図12及び
図13に示されるように、延在部23がロックピン部63の爪部63Cの斜面63Bに当接し、ロックピン部63を回転中心側に押し込みながら斜面63Bに沿って移動する。
【0093】
爪部63Cが延在部23の孔部23Aに到達すると、ピンばね64の反力によりロックピン部63は元の位置に復帰する。すなわち、
図14に示されるように、爪部63Cが孔部23Aから突出することにより、孔部23Aに係合されて、リクライニング機構20がロックされる。つまりリクライニング機構20がリクライニングロック状態にされる。
【0094】
他方、
図15に示されるように、シートクッション12及びシートバック14がシート前方に移動されると、
図16に示されるように、ロック爪部74がブラケット部39に当接して、ロック爪部74が固定用ピン74Eの軸を中心に矢印B1方向(反時計回り)に回転する。この際に、爪部用ばね75が、固定用ピン74Eの軸を通る水平な線であるバランスラインR1を超えないように設定されている。
【0095】
そして、ロック爪部74の爪部74Bがブラケット部39の爪孔39Dに到達すると、爪部用ばね75の反力によりロック爪部74が元の位置に復帰する。すなわち、
図17に示されるように、ロック爪部74の爪部74Bが爪孔39Dに入り込むことにより、爪孔39Dに係合されてスライド機構30がロックされる。つまりスライド機構30がスライドロック状態にされる。
【0096】
(ロック解除時)
リクライニング機構20及びスライド機構30がロックされた状態において、
図8に示されるように、鍵87を鍵シャフト84のキー溝84Cに差し込んで、鍵87の頭部87Aを矢印N1方向に回転させる。すると、
図9に示されるように、この回転に伴って、マシンキー88も矢印N2方向に回転し、ケーブル90の先端ケーブル90Aがロールケーブル82に巻き取られる。
【0097】
先端ケーブル90Aが巻き取られると、ケーブル90が引っ張られるので、ケーブル90から分岐された第1解除ケーブル92及び第2解除ケーブル94も引っ張られる。
図18に示されるように、第1解除ケーブル92が矢印D1方向に引っ張られると、球体92Bによってレバー67の一端部67Aが引っ張られて、レバー67は、一対の円形部67Cの軸を中心として矢印D2方向(時計回り)に回転される。そのため、他端部67Bは矢印D3方向に移動するので、この移動に伴ってロックピン部63が矢印D3方向に引っ張られる。
【0098】
ロックピン部63が引っ張られると、爪部63Cが矢印D3方向に移動されるので、孔部23Aとの係合が解除されることにより、リクライニング機構20のロックが解除されてリクライニングアンロック状態にされる。すなわち、リクライニング機構20によるシートバック14の傾動が可能となる。
【0099】
他方、
図19に示されるように、第2解除ケーブル94が矢印F1方向に引っ張られると、円柱体94Bによって円筒部76Bが引っ張られ、ケーブル吊り部76が矢印F1に移動する。すると、ケーブル吊り部76に固定されたリテーナ73も矢印F2方向に移動し、リテーナ73がロック爪部74の突き当てピン74Fに当接する。これにより、ロック爪部74が固定用ピン74Eの軸を中心にして矢印B3方向に回転し、爪部74Bが爪孔39Dから外れるので、スライド機構30のロックが解除されてスライドアンロック状態とされる。すなわち、スライド機構30によるシートクッション12及びシートバック14のシート前後方向の移動が可能となる。
【0100】
図20の左図に示されるように、リクライニング機構20によるシートバック14の矢印W1方向への傾動可能であって、スライド機構30によるシートクッション12及びシートバック14のシート前後方向(矢印W2方向)への移動が可能である状態において、レバー42はまだシート前方側に引っ張られた状態が維持されている。
【0101】
そして、
図20の右図に示されるように、リクライニング機構20によりシートバック14を矢印W3方向へ傾動させて、かつスライド機構30によりシートクッション12及びシートバック14をシート後方向(矢印W4方向)に移動させることにより、シートクッション12及びシートバック14を所望する運転位置すなわち元の運転位置に戻す。元の位置に戻した状態において、レバー42をシート後方側(矢印W5方向)に押し込むことにより、シート位置が固定される。
【0102】
<第1実施形態の車両用シート装置による作用効果>
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0103】
第1実施形態に係る車両用シート装置10は、同時ロック解除機構40がリクライニング機構20をリクライニングアンロック状態に動作させると共に、スライド機構30をスライドアンロック状態に動作させると、セキュリティロック機構50すなわちリクライニングセキュリティロック機構60及びスライドセキュリティロック機構70が、同時ロック解除機構が動作した状態で、シートバック14を所定の角度でロックすると共にシートクッション12及びシートバック14をシート前後方向の所定の位置でロックする。そのため、同時ロック解除機構40によるリクライニング機構20及びスライド機構30の同時ロック解除から、セキュリティロック機構50によるシートクッション12及びシートバック14のロックまでを一連の動作で行なうことができるので、ユーザはワンアクションで盗難防止機能を作動させることができる。また、セキュリティロック機構50は、シートバック14とシートクッション12とをそれぞれ所定の角度又は所定の位置でロックするので、シートバック14のみ、又はシートクッション12のみをロックする場合と比較して盗難のリスクをより低減させることができる。
【0104】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、さらにセキュリティロック機構50によるロックを解除するセキュリティ解除機構80を備えているので、セキュリティ解除機構80によってセキュリティロック機構50によるロックを解除することにより、シートバック14及びシートクッション12を通常位置に復帰させることができる。
【0105】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、セキュリティロック機構50が、リクライニングセキュリティロック機構60とスライドセキュリティロック機構70とを備えているので、リクライニングセキュリティロック機構60によりシートバック14がロックされ、スライドセキュリティロック機構70によりシートクッション12及びシートバック14がロックされる。そのため、シートクッション12及びシートバック14のロックを解除するためには、リクライニングセキュリティロック機構60とスライドセキュリティロック機構70の両方を解除しなければならないので、セキュリティ性を高めることができる。
【0106】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、シートクッション12及びシートバック14を、スライドアンロック状態においてシート前方側に移動させることにより、レール側係合部としての爪孔39Dと移動部材側係合部としての爪部74Bとが係合してロックされる。そのため、ユーザはシートクッション12及びシートバック14をシート前方側に移動させるだけで、シートクッション12及びシートバック14をロックすることができるので操作性がよい。
【0107】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、シートバック14をリクライニングアンロック状態において前方に傾倒させることにより、ブラケット側係合部としての爪部63Cとフレーム側係合部としての孔部23Aとが係合してロックされる。そのため、ユーザはシートバック14を前方に傾倒させるだけでシートバック14をロックすることができるので操作性がよい。
【0108】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、セキュリティ解除機構80が、リクライニングセキュリティロック機構60とスライドセキュリティロック機構70の各々において引っ張られることによりロック状態を解除可能なケーブル(第1解除ケーブル92と第2解除ケーブル94)を共に引っ張ることが可能に構成されている。そのため、セキュリティ解除機構80によりリクライニングセキュリティロック機構60の第1解除ケーブル92とスライドセキュリティロック機構70の第2解除ケーブル94を共に引っ張ることにより、リクライニングセキュリティロック機構60のロックとスライドセキュリティロック機構70のロックを共に解除することができる。
【0109】
また、従来のように鍵の回転動作により直接ロック解除を行うのではなく、ケーブル90を介してロック解除を行うことにより、セキュリティ解除機構80の設定位置をより外から見づらく安全性の高い場所とすることができるので、安全性がより向上する。
【0110】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、セキュリティ解除機構80が、リクライニングセキュリティロック機構60の第1解除ケーブル92とスライドセキュリティロック機構70のケーブル94とを共に引っ張るための巻き取り機構を備えているので、巻き取り機構によりリクライニングセキュリティロック機構60の第1解除ケーブル92とスライドセキュリティロック機構70の第2解除ケーブル94とを共に引っ張ることでリクライニングセキュリティロック機構60のロックとスライドセキュリティロック機構70のロックを共に解除することができる。
【0111】
また、第1実施形態に係る車両用シート装置10は、シートバック14の肩口に設けられたレバー42を引くことにより同時ロック解除機構40を作動させることができるので、ユーザは、簡単な動作で同時ロック解除機構40によるリクライニング機構20及びスライド機構30の同時ロック解除から、セキュリティロック機構50によるシートクッション12及びシートバック14のロックまでを作動させることができる。
【0112】
(第2実施形態)
次に添付図面を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る車両用シート装置10Aについて説明する。なお、第2実施形態の車両用シート装置10Aにおいて、上述した第1実施形態の車両用シート装置10と同様の構成については同符号で示して説明は省略し、異なる箇所についてのみ説明する。
【0113】
上記第1実施形態の車両用シート装置10が鍵87を回す動作によりケーブル90を巻き取る構成としたが本発明はこれに限られない。第2実施形態に係る車両用シート装置10Aのセキュリティ解除機構100は、
図21に示されるように、鍵87の先端部87Bが差し込まれるキー溝(図示省略)を有するキーシリンダー110と、キーシリンダー110の回転に伴って回転するレバー120とを備えている。
【0114】
レバー120は一端部120Aにキーシリンダー110が固定されており、鍵87が左回りに回転されると、キーシリンダー110も左回りに回転するので、レバー120の他端部120Bはキーシリンダー110の軸を中心として矢印G1方向に回動する。この他端部120Bに第1解除ケーブル92及び第2解除ケーブル94を接続しておくことにより、第1解除ケーブル92及び第2解除ケーブル94を引っ張ることができる。
【0115】
<第2実施形態の作用、効果>
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0116】
第2実施形態に係る車両用シート装置10Aでは、巻き取り機構を備えていなくても、第1解除ケーブル92及び第2解除ケーブル94を引っ張ることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
なお、上述した実施形態においては、一例としてセキュリティ解除機構80が車両床面に設置されるボックス80A上に固定されているが本発明はこれに限られない。例えば、シートバック14の骨格を構成するバックフレームにブラケットを介して取り付けてもよいし、固定場所は車室内であれば何れの場所であってもよい。好ましくは、外から見えづらい場所がよい。
【0118】
また、上述した実施形態においては、リクライニング機構20のロックは、ブラケット側係合部としての爪部63Cとフレーム側係合部としての孔部23Aとを係合させたが、本発明はこれに限られない。係合可能な形状であれば何れの形状であってもよい。
【0119】
また、上述した実施形態においては、スライド機構30のロックは、レール側係合部としての爪孔39Dと移動部材側係合部としての爪部74Bとを係合させたが、本発明はこれに限られない。係合可能な形状であれば何れの形状であってもよい。
【0120】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態と各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0121】
<付記>
(第1の態様)
シートクッションに対してシートバックを傾倒可能であり、前記シートバックを任意の角度に維持するリクライニングロック状態と、該リクライニングロック状態が解除されて前記シートバックを傾倒可能なリクライニングアンロック状態とに動作させるリクライニング機構と、
前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向に移動可能に構成され、前記シートクッション及び前記シートバックを、シート前後方向の移動を規制するスライドロック状態と、シート前後方向の移動を許容するスライドアンロック状態とに動作させるスライド機構と、
前記リクライニング機構を前記リクライニングアンロック状態に動作させると共に、前記スライド機構を前記スライドアンロック状態に動作させる同時ロック解除機構と、
該同時ロック解除機構が動作した状態で、前記シートバックを所定の角度でロックすると共に前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするセキュリティロック機構と、
前記セキュリティロック機構による前記ロックを解除するセキュリティ解除機構と、
を備える車両用シート装置。
(第2の態様)
前記セキュリティロック機構は、前記シートバックを所定の角度でロックするリクライニングセキュリティロック機構と、前記シートクッション及び前記シートバックをシート前後方向の所定の位置でロックするスライドセキュリティロック機構とを備えている第1の態様に記載の車両用シート装置。
(第3の態様)
前記シートクッションには、車両床面に固定されたレール上を移動可能にされた移動部材が設けられており、
前記スライドセキュリティロック機構は、シート前方側において前記レールに設けられたレール側係合部と、前記移動部材に設けられ、前記レール側係合部と係合可能な移動部材側係合部とを有し、前記シートクッション及び前記シートバックを、前記スライドアンロック状態においてシート前方側に移動させることにより前記レール側係合部と前記移動部材側係合部とを係合させてロックする第2の態様に記載の車両用シート装置。
(第4の態様)
前記シートクッションは、該シートクッションに固定されたブラケット部を備え、前記シートバックは、該シートバックの傾倒と共に回転するサイドフレームを備え、
前記リクライニングセキュリティロック機構は、前記ブラケット部に設けられたブラケット側係合部と、前記サイドフレームに設けられ、前記ブラケット側係合部と係合可能なフレーム側係合部とを有し、前記シートバックを前記リクライニングアンロック状態において前方に傾倒させることにより、前記ブラケット側係合部と前記フレーム側係合部とを係合させてロックする第2の態様又は第3の態様に記載の車両用シート装置。
(第5の態様)
前記リクライニングセキュリティロック機構と前記スライドセキュリティロック機構とは、各々引っ張られることによりロック状態を解除可能なケーブルを有し、
前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張ることが可能に構成されている第2の態様~第4の態様の何れか1つの態様に記載の車両用シート装置。
(第6の態様)
前記セキュリティ解除機構は、前記リクライニングセキュリティロック機構の前記ケーブルと前記スライドセキュリティロック機構の前記ケーブルとを共に引っ張るための巻き取り機構を備えている第5の態様に記載の車両用シート装置。
(第7の態様)
前記同時ロック解除機構は、前記シートバックの肩口に設けられたレバーを引くことにより作動する第1の態様~第6の態様の何れか1つの態様に記載の車両用シート装置。
【符号の説明】
【0122】
10 車両用シート
10A 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
14L 左サイドフレーム(サイドフレーム)
20 リクライニング機構
23A 孔部(フレーム側係合部)
25 スプリングブラケット(ブラケット部)
30 スライド機構
32 ロアレール(レール)
34 アッパレール(移動部材)
39D 爪孔(レール側係合部)
40 同時ロック解除機構
42 レバー
50 セキュリティロック機構
60 リクライニングセキュリティロック機構
63C 爪部(ブラケット側係合部)
70 スライドセキュリティロック機構
74B 爪部(移動部材側係合部)
80 セキュリティ解除機構
90 ケーブル
92 第1解除ケーブル(ケーブル)
94 第2解除ケーブル(ケーブル)