(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180607
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20231214BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20231214BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20231214BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20231214BHJP
C09B 57/00 20060101ALN20231214BHJP
C09B 47/00 20060101ALN20231214BHJP
C07F 7/18 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
C08L101/00
C09K3/00 105
C08K5/5415
G02B5/22
C09B57/00 X
C09B47/00
C09B57/00 Z
C07F7/18 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094041
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2H148
4H049
4J002
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA17
2H148CA19
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ21
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4H049VR21
4H049VR43
4J002AA001
4J002AA071
4J002AA072
4J002BC031
4J002BC071
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4J002EX037
4J002EX077
4J002EX087
4J002FD096
4J002FD098
4J002FD142
4J002GP00
(57)【要約】
【課題】本発明は、保存安定性に優れ、平面平滑性、及び低温加工でも高い溶剤耐性を有する膜を形成できる樹脂組成物の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題は、近赤外線吸収色素(A)、樹脂(B)、及びトリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を含む樹脂組成物によって解決できる。なお、前記トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)の分子量は、300~1,000が好ましい。また、前記トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)は、ジスルフィド結合、トリスルフィド結合、及びテトラスルフィド結合から選ばれる結合を有することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線吸収色素(A)、樹脂(B)、及びトリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を含む樹脂組成物。
【請求項2】
前記トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)の分子量が、300~1,000である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)が、ジスルフィド結合、トリスルフィド結合、及びテトラスルフィド結合から選ばれる結合を有する請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を少なくとも2種含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂(B)が、ブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2)を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
着色剤(D)を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の樹脂組成物を含む膜。
【請求項8】
請求項7に記載の膜を有する光学フィルタ。
【請求項9】
請求項7に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項10】
請求項7に記載の膜を有する画像表示装置。
【請求項11】
請求項7に記載の膜を有する赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ等の光学用途に使用する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ、及びスマートフォン等には、光学センサである固体撮像素子が用いられている。固体撮像素子としては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)が挙げられる。これら固体撮像素子の受光部には、赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要であり、赤外線を遮断するための光学フィルタが配置される。このような光学フィルタは、例えば、近赤外線吸収色素を含む組成物を用いて作製される場合が多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、近赤外線吸収色素と、アミノ基及びアルコキシシリル基を1個有するシランカップリング剤と、ポリ(アミド)イミド樹脂とを含有する樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、透明樹脂100質量部に対して近赤外線吸収色素を0.2~10質量部、アルコキシシリル基を1個有するシランカップリング剤を0.1~30質量部の割合で含有する近赤外線吸収組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-118772号公報
【特許文献2】特開2014-63144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学フィルタは、厚みや表面状態が均一な膜が求められる。更に、多重塗布による膜形成、当該膜上に保護膜等の他のフィルタを更に形成することがあり、膜の耐溶剤性が求められる。また、近赤外線吸収色素は、耐熱性が低いため低温での加工が求められる。そして、光学フィルタを形成するための組成物は、通常製造後、数週間から数ヵ月保管した後に使用される場合があるため、保管後の品質低下を可能な限り抑制することが求められる。
【0006】
本発明は、保存安定性に優れ、平面平滑性、及び低温加工でも高い溶剤耐性を有する膜を形成できる樹脂組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、近赤外線吸収色素(A)、樹脂(B)、及びトリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を含む樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
上記の本発明によれば、保存安定性に優れ、平面平滑性、及び低温加工でも高い溶剤耐性を有する膜を形成できる樹脂組成物を提供できる。また、本発明は、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の膜を備えた赤外線センサの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の樹脂組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0011】
本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
また、本発明における化合物の分子量は、分子量が特定できる低分子化合物については、計算により算出した値、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物については、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に樹脂を形成している状態である。
【0012】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収色素(A)、樹脂(B)、及びトリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を含む樹脂組成物を含むことを特徴とする。
【0013】
上記構成の樹脂組成物で、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0014】
トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)は、加水分解をするトリエトキシシリル基を2つ以上有するため、化合物(C)同士、及び樹脂組成物に含まれる他の成分等と反応し架橋密度が高い膜が得られる。そのため、溶剤耐性が高くなる。そして、例えば、膜に対する加熱工程時に内部と表面の収縮の差が減り、表面のシワ等の発生が抑制され優れた平滑性が得られると推測する。また、トリエトキシシリル基は、トリメトキシシリル基と比較して、加水分解速度が穏やかで、保管中に反応し難く、安定性に優れた樹脂組成物が得られると推測する。
【0015】
以下、一実施形態の樹脂組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0016】
[近赤外線吸収色素(A)]
近赤外線吸収色素(A)は、波長700~2,000nmの範囲に極大吸収を有する化合物であり、顔料(近赤外線吸収顔料ともいう)であってもよく、染料(近赤外線吸収染料ともいう)であってもよい。また、近赤外線吸収顔料と近赤外線吸収染料を併用してもよい。耐熱性の観点から、近赤外線吸収顔料が好ましい。
本発明において、近赤外線吸収顔料は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、2g未満であることが好ましく、1g未満であることがより好ましく、0.5g以下であることが特に好ましい。
【0017】
近赤外線吸収色素(A)は、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ化合物、インモニウム化合物、アントラキノン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、近赤外線吸収性、耐熱性の観点から、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物が好ましく、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物がより好ましい。
【0018】
シアニン化合物は、国際公開第2006/006573号、国際公開第2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報等;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第2014/208514号等;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第2018/186490号等;インジゴ化合物は、特開2013-230412号公報等;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報等;アントラキノン化合物は、特開昭62-903号公報、特開平1-172458号公報等;ピロロピロール化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第2017/135359号、国際公開第2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第2020/054718号等;クロコニウム化合物は、国際公開第2019/021767号等に記載の化合物が挙げられる。
【0019】
(スクアリリウム化合物)
スクアリリウム化合物は、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0020】
【0021】
一般式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR14R15、-NHCOR16、-CONR17R18、-NHCONR19R20、-NHCOOR21、-SR22、-SO2R23、-SO2OR24、-NHSO2R25、-SO2NR26R27、-B(OR28)2、および-NHBR29R30を表す。R10~R30は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基を表す。なお、-COOR12のR12が水素の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SO2OR24のR24が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。また、R1とR2、R3とR4はお互いに結合して環を形成しても良い。
【0022】
「置換基」としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、
-OR100、-COR101、-COOR102、-OCOR103、-NR104R105、-NHCOR106、-CONR107R108、-NHCONR109R110、-NHCOOR111、-SR112、-SO2R113、-SO2OR114、-NHSO2R115または-SO2NR116R117が挙げられる。
R100~R117は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアラルキル基を表す。なお、-COOR102のR102が水素の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SO2OR114のR114が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
【0023】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましく、1~8が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が特に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アルキニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が特に好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでも良い。
アリール基の炭素数は、6~25が好ましく、6~15がさらに好ましく、6~10が特に好ましい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7~40が好ましく、7~30がさらに好ましく、7~25が特に好ましい。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~8の縮合環がさらに好ましく、単環または縮合数が2~4の縮合環が特に好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がさらに好ましく、3~12が特に好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基は置換基を有していても良く、無置換であっても良い。置換基としては上述した「置換基」が挙げられる。
【0024】
スクアリリウム化合物は、耐光性、及び耐熱性の観点から、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0025】
【0026】
一般式(2)中、R5~R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、-OR50、-COR51、-COOR52、-OCOR53、-NR54R55、-NHCOR56、-CONR57R58、-NHCONR59R60、-NHCOOR61、-SR62、-SO2R63、-SO2OR64、-NHSO2R65または-SO2NR66R67、-B(OR68)2、および-NHBR69R70を表す。R50~R70は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、およびアラルキル基を表す。なお、-COOR52のR52が水素の場合(すなわち、カルボキシル基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SO2OR64のR64が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。また、R5とR6、R7とR8はお互いに結合して環を形成しても良い。
【0027】
「置換基」は、上述の「置換基」と同様の意義である。
【0028】
以下、一般式(2)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
【0030】
【0031】
(ピロロピロール化合物)
ピロロピロール化合物は、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【0033】
一般式(3)中、R1x及びR1yは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2及びR3は、互いに結合して環を形成してもよく、R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-BR4xR4y又は金属原子を表し、R4は、R1x、R1y及びR3からなる群から選ばれる少なくとも1つと共有結合又は配位結合してもよく、R4x、R4yは各々独立に、置換基を表す。一般式(3)の詳細は、特開2009-263614号公報、特開2011-68731号公報、国際公開第2015/166873号に記載されている。
【0034】
R1x及びR1yは、それぞれ独立に、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1x及びR1yが表すアルキル基、アリール基が及びヘテロアリール基は、置換基を有してもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-OCOR11、-SOR12、-SO2R13等が挙げられる。R11~R13は、各々独立に、炭化水素基又はヘテロアリール基を表す。また、置換基としては、特開2009-263614号公報の段落0020~0022に記載の置換基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-OCOR11、-SOR12、-SO2R13が好ましい。R1x及びR1yで表される基としては、分岐アルキル基を有するアルコキシ基、又は-OCOR11で表される基を置換基として有するアリール基であることが好ましい。分岐アルキル基の炭素数は、3~30が好ましく、3~20がより好ましい。
【0035】
R2及びR3の少なくとも一方は電子吸引性基が好ましく、R2は電子吸引性基を表し、R3はヘテロアリール基を表すことがより好ましい。ヘテロアリール基は、5員環又は6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。一般式(3)における2個のR2同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、一般式(3)における2個のR3同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は-BR4xR4yで表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、又は-BR4xR4yで表される基であることがより好ましく、-BR4xR4yで表される基であることが特に好ましい。R4x、R4yが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基は、更に置換基を有してもよい。一般式(3)における2個のR4同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0037】
以下、一般式(3)で表される化合物の具体例を示す。以下の構造式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。また、ピロロピロール化合物としては、特開2009-263614号公報の段落0016~0058、特開2011-68731号公報の段落0037~0052、特開2014-130343号公報の段落0014~0027、国際公開第2015/166873号の段落0010~0033に記載の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0038】
【0039】
(ナフタロシアニン化合物)
ナフタロシアニン化合物は、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0040】
【0041】
一般式(4)中、X1~X8、Yl~Y8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X1~X8は、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、X1とX2、X3とX4、X5とX6、X7とX8のいずれか1つ以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
Zは、下記一般式(5)で示す単量体単位を含む重合体部位、または下記一般式(6)で表すリン化合物部位であり、*は、Alとの結合手である。
【0042】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0043】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0044】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられる。「置換基を有する複素環基」としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
【0046】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0047】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0048】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0049】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよい芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボキシル基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。
【0051】
【0052】
一般式(5)中、Xは、-CONH-R25-、-COO-R26-、-CONH-R27-O-、-COO-R28-O-である。R25~R28は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。R31は水素または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。
【0053】
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基が挙げられる。
【0054】
一般式(5)で示す単量体単位は、例えば、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)アシッドホスフェート等の単量体を重合することで得られる。また、これら単量体以外の単量体(以下、その他単量体ともいう)を併用し共重合することもできる。
【0055】
その他単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、酸基含有モノマー、熱架橋性基含有モノマー等が挙げられる。
【0056】
重合体部位の重量平均分子量は、5,000~20,000が好ましく、8,000~15,000が好ましい。適度な分子量を有することで光学特性と耐熱性が向上する。
【0057】
重合体部位のガラス転移温度(Tg)は、-50~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。適度なTgにより光学特性が向上する。
【0058】
【0059】
一般式(6)中、R29及びR30は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R29とR30は、互いに結合して環を形成しても良い。*は、Alとの結合手である。
【0060】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」、置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」、置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」、置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、上記一般式(4)の説明で例示したものと同じものがあげられる。
【0061】
一般式(6)は、分散性や色特性の観点から、R29とR30のうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基が好ましく、R29とR30がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基がより好ましく、R29とR30がいずれもフェニル基またはフェノキシ基がさらに好ましい。
【0062】
以下、一般式(4)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
一般式(4)で表される化合物は、耐光性、及び耐熱性の観点から、X1とX2、X3とX4、X5とX6、X7とX8のいずれか2つ以上が互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する化合物を含むことが好ましく、3つ以上が互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する化合物を含むことがより好ましい。
【0067】
(インジゴ化合物)
インジゴ化合物は、下記一般式(7)、又は/及び一般式(8)で表される化合物が好ましい。
【0068】
【0069】
一般式(7)及び一般式(8)中、X1~X40は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、-SO3H;-COOH;およびこれら酸性基の1価~3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩を表す。Mは、金属原子を表す。
【0070】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0071】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0072】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0073】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0074】
「置換基を有してもよいアリールアルキル基」は、例えば、ベンジル基、2-フェニルプロパン-イル基、スチリル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0075】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0076】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0077】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0078】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基の「アルキルアミノ基」は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられる。
【0079】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基の「アリールアミノ基」は、例えば、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられる
【0080】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0081】
酸性基としては、-SO3H、-COOHが挙げられる。これら酸性基の1価~3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0082】
上記の置換基の内、X1~X40として好ましい置換基としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-SO3Hが挙げられる。
【0083】
Mは、金属原子を表す。金属原子としてはZn、Co、Ni、Ru、Pt、Mn、Sn、Ti、Ba等が挙げられる。中でも2価金属原子が好ましく、Zn、Co、Niがより好ましい。
【0084】
以下、一般式(7)で表される化合物、又は一般式(8)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
近赤外線吸収色素(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。2種類以上併用して用いる場合、極大吸収波長の異なる少なくとも2種の化合物を用いることが好ましい。これにより、1種類の近赤外線吸収色素(A)を使用した場合に比べて、吸収スペクトルの波形が広がり、幅広い波長範囲の赤外線を吸収できる。
【0090】
近赤外線吸収色素(A)の含有量は、近赤外線吸収の観点から、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.5~70質量%が好ましく、3~50質量%がより好ましい。
【0091】
[その他近赤外線吸収化合物]
本発明の樹脂組成物は、近赤外線吸収色素(A)以外の近赤外線吸収能を有する化合物(以下、その他近赤外線吸収化合物ともいう)を含有できる。その他近赤外線吸収化合物は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、セシウム酸化タングステン、銅、ニッケル、銀、金等の金属酸化物粒子又は金属粒子が挙げられる。
【0092】
[樹脂(B)]
樹脂(B)は、例えば、近赤外線吸収色素(A)などの粒子を分散させる目的や、膜の耐性を付与させるための目的で用いる。なお、主に近赤外線吸収色素(A)などの粒子を分散させるために用いる樹脂(B)を分散樹脂、膜の耐性を付与させるために用いる樹脂(B)をバインダ樹脂ともいう。ただし、樹脂(B)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。
【0093】
樹脂(B)は、特に制限がなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0094】
樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、3,000~200,000が好ましく、4,000~150,000がより好ましい。
【0095】
樹脂(B)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~95質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましい。
【0096】
(樹脂(B1))
樹脂(B)は、保存安定性の観点から、分散樹脂として塩基性基を有する樹脂(B1)(以下、単に樹脂(B1)ともいう)を含むことが好ましい。塩基性基を有する樹脂(B1)は、特に制限がなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、塩基性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。
また、塩基性基を有する樹脂(B1)は、酸性基を有してもよい。この場合、樹脂中の塩基性基の含有量が、酸性基の含有量より多い樹脂が好ましい。
【0097】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、及び含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0098】
塩基性基を有する樹脂(B1)は、塩基性基として、下記一般式(9)~(11)で表される単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体単位を有することが好ましい。
【0099】
【0100】
一般式(9)中、R1~R3は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を表し、R1~R3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4は、水素原子、またはメチル基を示し、Xは2価の連結基を表し、Y-は対アニオンを表す。
【0101】
【0102】
一般式(10)中、R5及びR6は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を表し、R5とR6が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4は水素原子、またはメチル基を表し、Xは2価の連結基を表す。
【0103】
【0104】
一般式(11)中、R7は、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR12を表し、R12は、水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R8、R9、R10、R11は、それぞれ独立してメチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R4は、水素原子、またはメチル基を表し、Xは2価の連結基を表す。
【0105】
一般式(9)におけるR1~R3は、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数7~16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
【0106】
一般式(10)におけるR5及びR6は、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
【0107】
一般式(11)のR7において、炭素原子数1~18のアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
炭素原子数6~20のアリール基は、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数7~12のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6~10のアリール基に炭素原子数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等が挙げられる。
また、アシル基は、例えば、炭素原子数2~8のアルカノイル基およびアロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
この中でも、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0108】
一般式(9)~(11)において、2価の連結基Xは、例えば、メチレン基、炭素原子数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R13-、-COO-R14-(但し、R13およびR14は、単結合、メチレン基、炭素原子数2~10のアルキレン基、又は炭素原子数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられ、好ましくは-COO-R14-である。また、一般式(16)において、対アニオンのY-は、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、BF4、CH3COO-、PF6
-等が挙げられる。
【0109】
一般式(9)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0110】
一般式(10)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0111】
一般式(11)で表される単量体単位を形成する単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下の構造式中、R4は水素またはメチル基を表す。
【0112】
【0113】
上記化合物の中でも、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートがより好ましい。
【0114】
一般式(9)~(11)で表される単量体単位は、単独または2種類以上を含有できる。
【0115】
一般式(9)~(11)で表される単量体単位の含有量は、樹脂(B1)の全構成単位中、5~90モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0116】
樹脂(B1)は、塩基性基を有する単量体単位以外の単量体単位(その他単量体単位ともいう)を含有できる。その他単量体単位を形成する単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類が挙げられる。これらの単量体は、単独または2種以上併用して使用できる。
【0117】
更に、樹脂(B1)は、塩基性基の一部に下記一般式(12)または一般式(13)で表される化合物が結合して塩を形成した樹脂も好ましい。
【0118】
【0119】
一般式(12)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、または-O-R4を表し、R4は、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、または炭素原子数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
【0120】
【0121】
一般式(13)中、R3は、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、または-O-R4を表し、R4は、炭素原子数1~20の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基またはベンジル基、または炭素原子数1~4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。
【0122】
一般式(12)で表される化合物は、例えば、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0123】
一般式(13)で表される化合物は、例えば、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫酸、モノn-プロピル硫酸等が挙げられる。なお、p-トルエンスルホン酸一水和物のような水和物を用いても良い。
【0124】
樹脂(B1)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、および星型構造等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、ブロック構造が好ましい。
【0125】
樹脂(B1)のアミン価は、保存安定性の観点から、20~250mgKOH/gが好ましく、30~200mgKOH/gがより好ましい。
【0126】
樹脂(B1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0127】
樹脂(B1)の含有量は、保存安定性の観点から、近赤外線吸収色素(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~150質量部がより好ましい。
【0128】
(樹脂(B2))
樹脂(B)は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、バインダ樹脂としてブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2)(以下、単に樹脂(B2)ともいう)を含むことが好ましい。これにより、例えば、加熱処理工程が低温でも反応が進み、膜の耐性が向上する。
【0129】
樹脂(B2)は、ブロックイソシアネート基を有する樹脂であれば特に制限がなく、公知の樹脂が使用できる。例えば、ブロックイソシアネート基含有単量体、及びこれと任意に共重合可能な単量体を共重合した樹脂が挙げられる。
【0130】
〔ブロックイソシアネート基含有単量体〕
ブロックイソシアネート基含有単量体は、イソシアネート基含有単量体中のイソシアネート基を、熱で脱離する化合物(以下、ブロック剤ともいう)で保護した化合物である。ブロック剤の脱離温度は、70~150℃が好ましく、80~135℃がより好ましい。
【0131】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。また、2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との等モル反応生成物も使用できる。こられの中でも、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0132】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、イミド化合物、尿素化合物、イミン化合物、及び重亜硫酸塩化合物等が挙げられる。
【0133】
オキシム化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
ラクタム化合物としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、エチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ナフトール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。これらの中でも、3,5-キシレノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチルが好ましい。
アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコールが挙げられる。
アミン化合物としては、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。
活性メチレン化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、マロン酸ジエチルが好ましい。
ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられ、3,5-ジメチルピラゾールが好ましい。
メルカプタン化合物としては、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
イミド化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、マレイミド、フタルイミド等が挙げられる。
尿素化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
イミン化合物としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
重亜硫酸塩化合物としては、重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0134】
ブロック剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0135】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、保護反応、脱保護反応の観点から、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0136】
ブロックイソシアネート基含有単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0137】
【0138】
ブロックイソシアネート基含有単量体の市販品としては、昭和電工社製のカレンズMOI-DEM(ブロック剤の脱離温度:85~95℃),MOI-BP(ブロック剤の脱離温度:105~115℃),MOI-BM(ブロック剤の脱離温度:125~135℃)等が挙げられる。
【0139】
ブロックイソシアネート基含有単量体単位の含有量は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、樹脂(B2)の全構成単位中、1~50モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましい。
【0140】
共重合可能な単量体は、特に制限がなく、公知の単量体が使用できる。例えば、水酸基含有単量体、酸性基含有単量体、エポキシ基含有単量体、脂環式炭化水素含有単量体、芳香環含有単量体、及びその他単量体が挙げられる。
【0141】
〔水酸基含有単量体〕
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4-ビニルフェノール、4-イソプロペニルフェノール等が挙げられる。
【0142】
〔酸性基含有単量体〕
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0143】
〔エポキシ基含有単量体〕
エポキシ基含有単量体は、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0144】
〔脂環式炭化水素含有単量体〕
脂環式炭化水素含有単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
〔芳香環含有単量体〕
芳香環含有単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、フェノールEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO又はPO変性(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等が挙げられる。
【0146】
〔その他単量体〕
その他単量体は、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。
【0147】
更に、樹脂(B2)は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、水酸基を有することが好ましい。トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)と水酸基が反応することで、耐溶剤性、及び表面平滑性が向上する。
【0148】
また、樹脂(B2)は、重合性不飽和基を有することもできる。重合性不飽和基を導入する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法等がある。
【0149】
<方法(i)>
樹脂(前駆体)に含まれるエポキシ基に、上述の酸性基含有単量体(変性化合物)の酸性基を付加させる方法(i)がある。
【0150】
<方法(ii)>
樹脂(前駆体)に含まれる酸性基に、上述のエポキシ基含有単量体(変性化合物)のエポキシ基を付加させる方法(ii)がある。
【0151】
また、方法(i)、(ii)の反応によって生じた水酸基に、更に、酸無水物(変性化合物)を反応させ、酸性基を含有させることもできる。
【0152】
酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0153】
<方法(iii)>
樹脂(前駆体)に含まれる水酸基に、上述のイソシアネート基含有単量体(変性化合物)のイソシアネート基を反応させる方法(iii)がある。
【0154】
樹脂(B2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0155】
樹脂(B2)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~95質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましい。
【0156】
[トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)]
本発明の樹脂組成物は、トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)を含む。
【0157】
トリエトキシシリル基を2つ以上有する化合物(C)(以下、単に化合物(C)ともいう)は、特に制限がなく、公知の化合物を用いることができる。
【0158】
化合物(C)は、低分子化合物、高分子化合物のいずれの形態であってもよいが、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、分子量(Mw)300~1,000が好ましく、400~800がより好ましい。これにより、膜を形成する際の乾燥、加熱等の工程で、化合物(C)の揮発や分解が抑制され、耐溶剤性、及び表面平滑性が向上する。また、膜中に均一に存在しやすく、耐溶剤性、及び表面平滑性が向上する。
【0159】
化合物(C)は、例えば、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(Mw643)、1,6-ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン(Mw354.5)、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(Mw474.8)、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]トリスルフィド(Mw506.8)、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(Mw538.9)、ビス[m-(2-トリエトキシシリルエチル)トリル]ジスルフィド(Mw627)、ビス[m-(2-トリエトキシシリルエチル)トリル]トリスルフィド(Mw659)、ビス[m-(2-トリエトキシシリルエチル)トリル]テトラスルフィド(Mw691)、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]チオ-ウレア、ビス(トリシリルプロピル)アミン(Mw425.7)、4,4’-ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(Mw478.7)、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン(Mw354.6)、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エチレン(Mw352.6)、1,3-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラメチルシロキサン(Mw515)、ビス(トリエトキシシリル)メタン(Mw340.6)、1,8-ビス(トリエトキシシリル)オクタン(Mw438.8)、ビス[3-(トリエトキシシリルプロポキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]ポリエチレンオキサイド(Mw800~900)、2,2-ビス(3-トリエトキシシリルプロポキシメチル)ブタノール(Mw542.9)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)カーボネート(Mw470.7)、ビス(トリエトキシシリルエチル)ビニルエチルシラン(Mw452.8)等が挙げられる。
また、市販品は、信越シリコーン社製のX-12-981S(Mw870)、X-12-984S(Mw1,540)、X-12-972F(Mw1,650)等が挙げられる。
【0160】
化合物(C)は、耐溶剤性、及び表面平滑性がより向上する観点から、ジスルフィド結合、トリスルフィド結合、及びテトラスルフィド結合から選ばれる結合を有することが好ましい。これにより、化合物(C)の(-S-)n(nは、2~4の整数)で表されるポリスルフィド結合の一部が開裂し、樹脂(B)や後述する重合性化合物(E)の重合性不飽和基と反応することで、より架橋度が高い硬化膜が得られる。そのため、加熱工程での膜の内部と表面の熱硬化収縮の差が減り、平面平滑性がより向上すると推測する。また、ポリスルフィド結合は柔軟性に優れているため、応力を緩和し平面平滑性がより向上すると推測する。
【0161】
化合物(C)は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、少なくとも2種併用することが好ましい。
【0162】
化合物(C)は、保存安定性、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.5~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0163】
[着色剤(D)]
本発明の樹脂組成物は、着色剤(D)を含有できる。これにより、光学フィルタの可視光領域の透過率を制御することができる。
【0164】
着色剤(D)は、特に限定されるものではなく、顔料及び染料のいずれでもよく、併用できる。顔料は、有機顔料、無機顔料が挙げられる。カラーフィルタ用途では耐光性、耐熱性、及び耐溶剤性が求められることから顔料が好ましい。
【0165】
(顔料)
顔料としては、特に限定されず、例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が挙げることができる。
【0166】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。
【0167】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等が挙げられる。
【0168】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料が挙げられる。
【0169】
また、黄色顔料として、下記一般式(14)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnから選ばれる少なくとも2種の金属イオンと、下記一般式(15)で表される化合物を含む金属アゾ顔料が挙げられる。
一般式(14)
【化25】
【0170】
一般式(14)中、2つのR1は、それぞれ独立して、-OH、-NH2、-NH-CN、アシルアミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、2つのR2は、それぞれ独立して、-OHまたは-NH2を表す。
【0171】
【0172】
一般式(15)中、3つのR3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基を表す。
【0173】
前記金属アゾ顔料は、例えば、特開2014-12838号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報、特開2022-61494号公報等に記載された金属アゾ顔料が挙げられる。
【0174】
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等が挙げられる。
【0175】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。
【0176】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等が挙げられる。
【0177】
黒色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。
【0178】
また、例えば、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等の無機顔料が挙げられる。
【0179】
本発明の樹脂組成物は、例えば、赤外線透過フィルタ用途に用いる場合、着色剤(D)として、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の顔料を含み、黒色を呈することが好ましい。
【0180】
2種以上の顔料を含み、黒色を呈する組み合わせは、例えば、以下の態様が挙げられる。
(1)黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(2)赤色顔料、黄色顔料及び紫色顔料を含有する。
(3)赤色顔料、黄色顔料及び青色顔料を含有する。
(4)赤色顔料、黄色顔料及び緑色顔料を含有する。
(5)黄色顔料、青色顔料及び紫色顔料を含有する。
(6)赤色顔料、黄色顔料、青色顔料及び紫色顔料を含有する。
(7)黄色顔料、青色顔料、緑色顔料及び紫色顔料を含有する。
【0181】
上記(1)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(2)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(3)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種とを含有する態様が挙げられる。
上記(4)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる少なくとも1種とを含有する態様が挙げられる。
上記(5)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(6)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(7)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる少なくとも1種と紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
【0182】
上記(1)~(7)の態様に、更に、黒色顔料を含んでもよい。
【0183】
表1に、各態様の各顔料の好ましい質量比(質量%)を示す。
【0184】
【0185】
顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0186】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。樹脂を添加することにより、顔料が樹脂で被覆され、安定性、耐光性等が向上する。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0187】
(染料)
染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料は、これらの誘導体、または染料をレーキ化したレーキ顔料も使用できる。
【0188】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。直接染料は、酸性染料の無機塩、または酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物を形成することが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性着色組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0189】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と造塩化する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0190】
染料は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、およびローダミン系染料、ならびにこれらの金属錯体系染料等が挙げられる。これらの中でも、色相、色分離のし難さ、色むらなどの色特性の観点で、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料がより好ましい。
【0191】
着色剤(D)は、単独または2種類以上を併用して使用することができる。
【0192】
着色剤(D)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~70質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0193】
[重合性化合物(E)]
本発明の樹脂組成物は、重合性化合物(E)を含有できる。
【0194】
重合性化合物(E)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーが挙げられる。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。重合性化合物(E)は、例えば、水酸基を有する重合性化合物、ラクトン変性された重合性化合物、酸性基を有する重合性化合物、ウレタン結合を有する重合性化合物、3級アミン構造を有する重合性化合物、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物、その他重合性化合物等が挙げられる。
【0195】
(水酸基を有する重合性化合物)
水酸基を有する重合性化合物は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0196】
水酸基を有する重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、日油製のブレンマーGLM,GLM-R,GMR-M,GMR-R,GAM,GAM-R,G-FA80、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0197】
(ラクトン変性された重合性化合物)
ラクトン変性された重合性化合物は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンもしくはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0198】
ラクトン変性された重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60等が挙げられる。
【0199】
(酸性基を有する重合性化合物)
酸性基を有する重合性化合物は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。なお、酸性基を有する重合性化合物は、ウレタン結合を有しない化合物である。
【0200】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0201】
上記ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0202】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0203】
上記モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0204】
酸性基を有する重合性化合物の市販品は、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521、ダイセル・オルネクス社製のβ-CEA等が挙げられる。
【0205】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
ウレタン結合を有する重合性化合物は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0206】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0207】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0208】
ウレタン結合を有する重合性化合物は、更に、酸性基を有することもできる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0209】
ウレタン結合を有する重合性化合物に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0210】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0211】
ウレタン結合を有する重合性化合物の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H、U-6LPA、UA-33H、U-10HA、U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290、KRM8452等が挙げられる。
【0212】
(3級アミン構造を有する重合性化合物)
3級アミン構造を有する重合性化合物は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0213】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0214】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0215】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0216】
アミン化合物(Y)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0217】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0218】
3級アミン構造を有する重合性化合物は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0219】
3級アミン構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042等が挙げられる。
【0220】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物)
デンドリマー構造を有する重合性化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0221】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miramer SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9)、CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6)、CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8)、Etercure6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12)、Etercure6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、EtercureDR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0222】
(その他重合性化合物)
その他重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0223】
その他重合性化合物の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460,M-930、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0224】
重合性化合物(E)は、耐溶剤性、及び平面平滑性の観点から、水酸基を有する重合性化合物、ウレタン結合を有する重合性化合物のいずれか1つ以上を含むことが好ましく、ウレタン結合を有する重合性化合物を含むことがより好ましい。
【0225】
重合性化合物(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0226】
重合性化合物(E)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~70質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0227】
[重合開始剤(F)]
本発明の樹脂組成物は、重合開始剤(F)を含有できる。
【0228】
重合開始剤(F)は、特に制限がなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、光又は熱の作用によってラジカルを発生させて、ラジカル重合反応を開始または促進させる化合物が挙げられる。
光によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に光重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。
熱によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0229】
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0230】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04,05、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-730,831E,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316,サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306,EOX-01等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開第2021/175855号等に記載の化合物も挙げられる。
【0231】
重合開始剤(F)は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、オキシム系化合物を含むことが好ましい。
【0232】
以下、オキシム系化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0233】
【0234】
また、重合開始剤(F)は、耐溶剤性、及び表面平滑性の観点から、下記一般式(16)で表される化合物を含むことも好ましい。
【0235】
【0236】
一般式(16)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R3は、水素原子、または1価の置換基を表す。
【0237】
一般式(16)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
炭素原子数1~8のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、炭素原子数3~8の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数4~6の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0238】
一般式(16)中、R3は、水素原子、または任意の1価の置換基を表す。
1価の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素原子数1~20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1~20のアルコキシ基;F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアシル基;炭素原子数1~20のアルキルエステル基;炭素原子数1~20のアルコキシカルボニル基;炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数4~20の芳香族環基;アミノ基;炭素原子数1~20のアミノアルキル基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;置換基を有してよいベンゾイル基;置換基を有してよいテノイル基等が挙げられる。ベンゾイル基、またはテノイル基が有してよい置換基としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、ラジカル生成効率の観点から、水素原子、ニトロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0239】
一般式(16)で表される化合物の製造方法は、例えば、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0240】
以下、一般式(16)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0241】
【0242】
熱重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
2,2’-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ系化合物;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、ピナコール系化合物が好ましい。
【0243】
重合開始剤(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0244】
重合開始剤(F)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0245】
[色素誘導体(G)]
本発明の樹脂組成物は、色素誘導体(G)を含有できる。
【0246】
色素誘導体(G)は、例えば、色素の一部を、酸性基、塩基性基、中性基、塩構造を有する基等で置換した構造を有する化合物が挙げられる。色素誘導体(G)は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
色素は、例えば、ピロロピロール系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、ペリノン系化合物、ペリレン系化合物、チアジンインジゴ系化合物、トリアジン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ベンゾイソインドール等のインドール系化合物、イソインドリン系化合物、イソインドリノン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトール系化合物、スレン系化合物、金属錯体化合物、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系化合物、スクアリリウム系化合物等が挙げられる。
【0247】
酸性基は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基及びそれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスフォニウムイオン等が挙げられる。
【0248】
塩基性基は、アミノ基、ピリジル基及びそれらの塩、アンモニウム基の塩が挙げられる。アミノ基は、-NH2、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基等が挙げられる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基は、更に置換基を有してもよい。置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、複素環基等が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団は、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオン等が挙げられる。
【0249】
具体的には、ピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、国際公開2017/146092号、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、スクアリリウム系色素誘導体としては、国際公開2018/230387号等に記載の化合物が挙げられる。
【0250】
色素誘導体(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0251】
色素誘導体(G)の含有量は、近赤外線吸収色素(A)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0252】
[増感剤(H)]
本発明の樹脂組成物は、増感剤(H)を含有できる。
【0253】
増感剤(H)は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0254】
増感剤(H)の中で、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。具体的な化合物は、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が好ましい。
【0255】
増感剤(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0256】
増感剤(H)の含有量は、重合開始剤(F)100質量部に対して、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。
【0257】
[レベリング剤(I)]
本発明の樹脂組成物は、レベリング剤(I)を含有できる。
【0258】
レベリング剤(I)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0259】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0260】
シリコーン系界面活性剤の市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコーニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0261】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する化合物が挙げられる。
【0262】
フッ素系界面活性剤の市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0263】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0264】
ノニオン性界面活性剤の市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0265】
カチオン性界面活性剤は、例えば、アルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0266】
カチオン性界面活性剤の市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0267】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0268】
アニオン性界面活性剤の市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0269】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0270】
両性界面活性剤の市販品としては、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0271】
レベリング剤(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0272】
レベリング剤(I)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。
【0273】
[有機溶剤(J)]
本発明の樹脂組成物は、有機溶剤(J)を含有できる。
【0274】
有機溶剤(J)は、特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0275】
本発明の樹脂組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である有機溶剤は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、樹脂組成物中、50質量ppm以下であり、30質量ppm以下にすることが好ましく、10質量ppm以下にすることがより好ましい。
【0276】
有機溶剤(J)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0277】
有機溶剤(J)の含有量は、樹脂組成物の不揮発分が5~70質量%となる量であることが好ましい。
【0278】
[その他成分(K)]
本発明の樹脂組成物は、上記以外のその他成分(K)を含有できる。その他成分(K)は、例えば、熱架橋剤、硬化剤、硬化促進剤、酸発生剤、硬化触媒、連鎖移動剤、重合禁止剤、酸化防止剤、密着向上剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられる。その他成分(K)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜設定することができる。
【0279】
[水の含有量]
本発明の樹脂組成物は、保存安定性の観点から、樹脂組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0280】
樹脂組成物に含まれる水の含有量は、1.5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。また、水の含有量の下限は、少ないほど好ましく、特に制限はない。
【0281】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、上述した各成分について十分に乾燥等を行い、成分に含まれる水分量を減らしたもの使用する。また、乾燥した空気や不活性ガス、それらの混合ガスを吹き込みながら、樹脂組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブを投入し脱水する方法等が挙げられる。
【0282】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0283】
[特定金属元素の含有量]
本発明の樹脂組成物は、保存安定性の観点から、樹脂組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCr(以下、単に特定金属元素ともいう)の金属の合計量が、300質量ppm以下であることが好ましい。
【0284】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の樹脂組成物であると、保存後でも安定性に優れ粘度上昇や異物の発生を抑制できる。
【0285】
樹脂組成物に含まれる特定金属元素の合計量は、200質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属元素の合計量の下限は、特に限定されないが、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れる。
【0286】
樹脂組成物に含まれる各特定金属元素の量は、各々40質量ppm以下であることが好ましく、各々20質量ppm以下であることがより好ましい。
【0287】
樹脂組成物に含まれる特定金属元素を低減させる方法は、特に限定されないが、特定金属元素は、近赤外線吸収色素(A)や着色剤(D)に多く含まれることから、近赤外線吸収色素(A)や着色剤(D)の特定金属元素を除去することが好ましい。また、樹脂組成物を製造する装置からも混入するため、装置からの混入を抑えることも好ましい。
【0288】
特定金属元素の低減方法、除去方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、製造過程での装置からの混入を避ける方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報等に記載の方法が挙げられる。また、例えば、近赤外線吸収色素(A)や着色剤(D)からの除去する方法としては、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報、特開2010-83997号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの中でも、特定金属元素の含有量が少ない水、例えば、イオン交換水等で洗浄する方法が好ましい。
【0289】
洗浄の方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、合成後の近赤外線吸収色素(A)や着色剤(D)を、イオン交換水が入った容器に投入し、撹拌する。一定時間撹拌後、フィルタープレスにてろ過し、分離する。特定金属元素量が所望の値になるまで、この作業を繰り返し行う。洗浄は、加温しながら行うことが好ましい。その後、近赤外線吸収色素(A)や着色剤(D)を乾燥及び粉砕する。
【0290】
特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0291】
本発明の樹脂組成物は、保存安定性の観点から、特定金属元素以外の金属元素の含有量も低減することが好ましい。特定金属元素以外の金属は、例えば、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等が挙げられる。
【0292】
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を混合して調整できる。調整に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。例えば、近赤外線吸収色素(A)、樹脂(B)、及び有機溶剤(J)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、化合物(C)を配合、混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0293】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0294】
樹脂成物中の粒子の平均分散粒子径(二次粒子径)は、保存安定性、及び表面平滑性の観点から、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。
【0295】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0296】
樹脂組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の樹脂組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0297】
<膜>
本発明の膜は、上述した樹脂組成物を用いて形成されたものである。膜は、基材上に積層した状態で用いてもよく、膜を基材から剥離してもよい。また、膜は、平坦膜であってもパターンを形成した膜でもよい。
【0298】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、本発明の樹脂組成物を基材上に塗工する工程を経て製造できる。
【0299】
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等で構成された基板が挙げられる。これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0300】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0301】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0302】
塗工で形成した層は、通常、乾燥を行う。乾燥温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。乾燥時間は、2分間~2時間程度が好ましい。また、乾燥は、減圧して行ってもよい。
【0303】
また、膜の製造は、パターンを形成する工程を含んでもよい。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてもよい。
【0304】
以下、パターンを形成する場合の製造方法について詳細に説明する。
【0305】
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の樹脂組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、パターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0306】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0307】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0308】
〔ポストベーク工程〕
現像後、加熱処理(ポストベーク)を行う。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。
【0309】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の樹脂組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
【0310】
<光学フィルタ>
本発明の膜は、光学フィルタに用いることができる。光学フィルタは、例えば、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ等が好ましい。本発明の光学フィルタの製造は、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0311】
<固体撮像素子>
本発明の膜は、固体撮像素子に用いることができる。固体撮像素子に用いる形態は、特に制限されないが、例えば、基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
【0312】
<画像表示装置>
本発明の膜は、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。画像表示装置に用いる形態は、特に制限されないが、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、遮光フィルタや赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタとして用いることができる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0313】
<赤外線センサ>
本発明の膜は、赤外線センサに用いることができる。赤外線センサに用いる形態は、特に制限されない。
図1は、本発明の膜を備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
図1に示す赤外線センサは100、固体撮像素子110を備える。
【0314】
固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112とを組み合せて構成されている。
【0315】
赤外線カットフィルタ111は、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができ、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1,300nmの光)を遮蔽する。
【0316】
カラーフィルタ112は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0317】
赤外線透過フィルタ113と固体撮像素子110との間には、赤外線透過フィルタ113を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜114が配置されている。
【0318】
赤外線透過フィルタ113は、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができ、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタである。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1,300nmの光を透過させることが好ましい。
【0319】
カラーフィルタ112、および赤外線透過フィルタ113の入射光h側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化膜116が形成されている。
【0320】
図1に示す形態では、樹脂膜114が配置されているが、樹脂膜114に代えて赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。
【0321】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【実施例0322】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明で不揮発分もしくは不揮発分濃度は、230℃で30分間オーブン静置後の質量残分をいう。
【0323】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0324】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0325】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0326】
(樹脂のアミン価)
樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0327】
<近赤外線吸収色素(A)の製造>
(近赤外線吸収色素(A-1))
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール、及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、下記化学式(17)で表される近赤外線吸収色素(A-1)を得た。得られた近赤外線吸収色素(A-1)50部、塩化ナトリウム500部、ジエチレングリコール60部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過、及びイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、微細化した近赤外線吸収色素(A-1)を得た。
【0328】
【0329】
(近赤外線吸収色素(A-2))
反応容器中で、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、イオン交換水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、イオン交換水4,000部からなる混合溶媒で洗浄、乾燥して、化合物aを得た。
次いで、反応容器中で、濃硫酸1,500部に140部の化合物aを氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物bを得た。
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物bを少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液をイオン交換水2,000部に注入し、生成した析出物を濾過およびイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、乾燥して、下記化学式(18)で表される化合物の混合物(質量比率は、n1:n2:n3:n4=7:19:59:15)である近赤外線吸収色素(A-2)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0330】
【0331】
(近赤外線吸収色素(A-3))
国際公開第2019/058882号の記載に従い、下記化学式(19)で表される近赤外線吸収色素(A-3)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0332】
【0333】
(近赤外線吸収色素(A-4))
反応容器中で、アニリン10.7部、ブロモベンゼン120部、およびジアザビシクロオクタン25.7部を加え、攪拌した。その後、四塩化チタンの1mol/lトルエン溶液95.2部を滴下した。滴下後、インジゴ10.0部を加え、10時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、濾過し、緑色粉末を得た。これをジクロロメタンと水で分液を行い、有機層を濃縮することで、化合物cを14.6部得た。
反応容器中で、化合物cを13.5部、ビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)を9.0部、とテトラヒドロフラン120部を混合攪拌し、昇温後40℃で5時間攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール500部へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール500部で洗浄後、イオン交換水500部で複数回洗浄し、乾燥して、下記化学式(20)で表される化合物の混合物(質量比率は、2量体:3量体:4量体=81:17:2)である近赤外線吸収色素(A-4)を得た。
近赤外線吸収色素(A-1)と同様の方法で、微細化した。
【0334】
【0335】
<樹脂(B)の製造>
(塩基性基を有する樹脂(B1-1))
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、n-ブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、塩基性基を有する樹脂(B1-1)を調製した。アミン価が57mgKOH/gであった。
【0336】
(ブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2-1))
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、257.3gのPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、ジシクロペンタニルメタクリレートを22.4部、メタクリル酸を17.2部、メチルメタクリレートを49.8部、及びカレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3-ジエチルエステル)を63.0部の混合物と、11.0gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を78.7gのPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌した。
その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、ブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2-1)を調製した。酸価111mgKOH/g、重量平均分子量9,500であった。
【0337】
(ブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2-2)~(B2-7))
表2に記載の成分、構成比率になるように配合種及び量を変え、ブロックイソシアネート基を有する樹脂(B2-2)~(B2-7)を合成し、PGMAcを添加し不揮発分を20質量%とした。
【0338】
【0339】
表2に記載のカレンズMOI-BPは、昭和電工社製のメタクリル酸2-(3,5-ジエチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル、カレンズMOI-BMは、昭和電工社製のメタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルである。また、GMA+AAは、グリシジルメタクリレート(以下、GMAともいう)のエポキシ基に、アクリル酸(以下、AAともいう)を付加させたものである。
【0340】
(樹脂(B3-1))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート85.29部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.01部、及びスチレン10.42部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸43.24部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させた。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸52.64部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートとアクリル酸で生成した水酸基とテトラヒドロ無水フタル酸をエステル化反応させた。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、樹脂(B3-1)を調製した。重量平均分子量(Mw)は30,000であり、酸価が77mgKOH/gであった。
【0341】
(樹脂(B3-2))
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分が30質量%となるようPGMAcを添加して樹脂(B3-2)を調製した。酸価70mgKOH/gであった。
【0342】
<重合性化合物(E)の製造>
(重合性化合物(E-1))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からトルエンジイソシアネート66部とPGMAc66部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2,180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプト酢酸35部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応させた。不揮発分が50質量%となるように調整し、平均重合性不飽和基数9の酸性基及びウレタン結合を有する重合性化合物(E-1)を調製した。
【0343】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。
近赤外線吸収色素(A-1) :15.0部
樹脂(B1-1) :20.0部
有機溶剤(J-1) :65.0部
【0344】
(分散体2~7)
表3に記載した成分、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~7を作製した。
【0345】
【0346】
表3に記載したそれぞれの成分は、以下の通りである。
【0347】
[着色剤(D)]
D-1:C.I.ピグメントブルー15:3
D-2:C.I.ピグメントイエロー139
D-3:C.I.ピグメントバイオレット23
【0348】
【0349】
[有機溶剤(J)]
J-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0350】
<樹脂組成物の製造>
[実施例1]
(樹脂組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して樹脂組成物1を得た。
分散体2 :15.0部
分散体5 :15.0部
分散体6 :15.0部
分散体7 :12.0部
樹脂(B2-2) :12.0部
樹脂(B3-1) :6.0部
トリエトキシシリル基を2つ有する化合物(C-1) :5.0部
重合性化合物(E-1) :4.0部
重合性化合物(E-3) :1.0部
重合性化合物(E-6) :3.5部
重合開始剤(F-1) :0.4部
重合開始剤(F-6) :0.1部
レベリング剤(I) :1.0部
有機溶剤(J-1) :4.0部
有機溶剤(J-2) :6.0部
【0351】
[実施例2~25、及び比較例1、2]
(樹脂組成物2~27)
実施例1の樹脂組成物1を、表4-1~表4-3に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2~27を作製した。
【0352】
【0353】
【0354】
【0355】
表4-1~表4-3に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0356】
[トリエトキシシリル基を2つ有する化合物(C)]
C-1:ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(Mw474.8)の10%PGMAc溶液
C-2:ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]トリスルフィド(Mw506.8)の10%PGMAc溶液
C-3:ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(Mw538.9)の10%PGMAc溶液
C-4:1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン(Mw354.6)の10%PGMAc溶液
C-5:X-12-984S(信越シリコーン社製、Mw1,540 スルフィド結合を有さない)の10%PGMAc溶液。
【0357】
[重合性化合物(C)]
E-2:ペンタエリスリトールトリアクリレート
E-3:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
E-4:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
E-5:アロニックスM-520(東亞合成社製、酸性基を有するアクリレート)
E-6:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
【0358】
[重合開始剤(F)]
F-1:上述した(F-1)の化合物
F-4:上述した(F-4)の化合物
F-6:上述した(F-6)の化合物
F-9:上述した(F-9)の化合物
F-10:Omnirad 369(IGM Resins社製)
【0359】
[レベリング剤(I)]
BYK-330(ビックケミー社製)、メガファックF-551(DIC社製)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(I)とした。
【0360】
[有機溶剤(J)]
J-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
J-2:3-エトキシプロピオン酸エチル
【0361】
[その他成分(K)]
K-1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの10%PGMAc溶液
【0362】
<樹脂組成物の評価>
得られた樹脂組成物1~27について、以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0363】
[表面平滑性]
得られた樹脂組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、照度30mW/cm2、50mJ/cm2で、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、130℃30分間ポストベークし評価基板を得た。
フィルメトリクス社製(F50)の光学式膜厚計を用いて、膜厚を測定した。評価は、最も薄い部分の膜厚と最も厚い部分の膜厚の差(以下、膜厚差という)を算出した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:膜厚差が0.02μm以下
4:膜厚差が0.02μmより大きく、0.03μm以下
3:膜厚差が0.03μmより大きく、0.04μm以下
2:膜厚差が0.04μmより大きく、0.05μm以下
1:膜厚差が0.05μmより大きい
【0364】
[溶剤耐性]
得られた樹脂組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、照度30mW/cm2、50mJ/cm2で、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。さらに、この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、130℃30分間ポストベークし評価基板を得た。得られた評価基板を、室温で15分間プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾して、幅100μmのストライプパターン部分について光学顕微鏡を用いて観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:外観、色に変化がない。
4:わずかにシワ等が発生するが、色に変化はない。
3:一部にシワ等が発生するが、色に変化はない。
2:全面にシワ等が発生し、色が変化する。
1:剥がれや大きく色が変化する。
【0365】
[保存安定性]
得られた樹脂組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコータを用いて乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、50mJ/cm2で、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。スプレー現像は、それぞれの樹脂組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを初期の現像時間とした。
樹脂組成物を密閉した容器に入れ40℃1週間保管した後、初期の評価と同じ条件で保管後の樹脂組成物を現像し、以下の基準で評価した。3以上を実用可能とする。
5:保管後の現像時間が、初期の現像時間の90%以上110%以下の範囲
4:保管後の現像時間が、初期の現像時間の80%以上90%未満か、110%超え120%以下の範囲
3:保管後の現像時間が、初期の現像時間の70%以上80%未満か、120%超え130%以下の範囲
2:保管後の現像時間が、初期の現像時間の60%以上70%未満か、130%超え140%以下の範囲
1:保管後の現像時間が、初期の現像時間の60%を下回るか、140%超える
【0366】