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  • 特開-コラムパイプ点検用架台 図1
  • 特開-コラムパイプ点検用架台 図2
  • 特開-コラムパイプ点検用架台 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180608
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】コラムパイプ点検用架台
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
F16L55/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094043
(22)【出願日】2022-06-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年7月7日に日本保全学会 第17回学術講演会にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】相川 亮
(57)【要約】
【課題】RHRSポンプの筐体として使用されるコラムパイプの清掃や点検の際の作業員の負担を大幅に軽減することが可能なコラムパイプ点検用架台を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるコラムパイプ点検用架台(架台100)の構成は、大型のパイプであるコラムパイプ10を清掃・点検するためのコラムパイプ点検用架台であって、設置面Gと平行な枠体110と、枠体110の下方に取り付けられた移動用車輪120と、枠体110の上方に取り付けられた支持用キャスター130とを備え、支持用キャスター130は、コラムパイプ10の円周方向両側、かつコラムパイプ10の軸方向に2箇所以上配置されていて、支持用キャスター130の回転方向はコラムパイプ10の円周方向であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型のパイプであるコラムパイプを清掃・点検するためのコラムパイプ点検用架台であって、
設置面と平行な枠体と、
前記枠体の下方に取り付けられた移動用車輪と、
前記枠体の上方に取り付けられた支持用キャスターとを備え、
前記支持用キャスターは、前記コラムパイプの円周方向両側、かつ前記コラムパイプの軸方向に2箇所以上配置されていて、
前記支持用キャスターの回転方向は前記コラムパイプの円周方向であることを特徴とするコラムパイプ点検用架台。
【請求項2】
前記支持用キャスターのブラケットは前記コラムパイプの略半径方向を向いていて、
前記ブラケットを支持する梁は、該ブラケットと直交方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコラムパイプ点検用架台。
【請求項3】
前記枠体と前記移動用車輪との間にスクリュージャッキを備え、
前記スクリュージャッキにはインパクトドライバを接続可能なシャフトが備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコラムパイプ点検用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のパイプであるコラムパイプを清掃・点検するためのコラムパイプ点検用架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所におけるRHRS(Residual Heat Removal system残留熱除去システム)では、RHRSポンプ(残留熱除去系海水ポンプ)が用いられている。RHRSポンプに用いられるポンプとしては、例えば特許文献1に開示されるコラム型ポンプユニットが挙げられる。
【0003】
特許文献1のコラム型ポンプユニット1は、下部の吸水槽2と上部の吐出槽4と水中ポンプ13から構成されていて、コラム6は中間部にフランジ8を設けた上部コラムパイプ9と下部コラムパイプ10から構成されている。水中ポンプ13は、上部コラムパイプ9の上端部の排出口12から挿入され、下部コラムパイプ10に係止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-036429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したコラムパイプを清掃・点検する際には、コラムパイプを横倒しにし、角材や金属ブロック等の台に載置する。そしてその状態でコラムパイプの位置を調整したり回転させたりしながら点検や清掃を行う。このとき小型のパイプであればパイプの位置調整や回転作業も作業員の負担は然程大きくない。しかしながら、コラムパイプは直径600mm前後あり、フランジ径は1000mm近くあるため、位置調整や回転作業による作業員の負担が極めて大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、RHRSポンプの筐体として使用されるコラムパイプの清掃や点検の際の作業員の負担を大幅に軽減することが可能なコラムパイプ点検用架台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるコラムパイプ点検用架台の代表的な構成は、大型のパイプであるコラムパイプを清掃・点検するためのコラムパイプ点検用架台であって、設置面と平行な枠体と、枠体の下方に取り付けられた移動用車輪と、枠体の上方に取り付けられた支持用キャスターとを備え、支持用キャスターは、コラムパイプの円周方向両側、かつコラムパイプの軸方向に2箇所以上配置されていて、支持用キャスターの回転方向はコラムパイプの円周方向であることを特徴とする。
【0008】
上記支持用キャスターのブラケットはコラムパイプの略半径方向を向いていて、ブラケットを支持する梁は、ブラケットと直交方向に配置されているとよい。
【0009】
上記枠体と移動用車輪との間にスクリュージャッキを備え、スクリュージャッキにはインパクトドライバを接続可能なシャフトが備えられているとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、RHRSポンプの筐体として使用されるコラムパイプの清掃や点検の際の作業員の負担を大幅に軽減することが可能なコラムパイプ点検用架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態にかかるコラムパイプ点検用架台の全体図である。
図2図1に示す移動用車輪の近傍の拡大図である。
図3】本実施形態のコラムパイプ点検用架台の使用態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるコラムパイプ点検用架台(以下、架台100と称する)の全体図である。図1(a)は架台100の正面図であり、図1(b)は架台100の側面図である。図1に示す本実施形態の架台100は、RHRSポンプ(不図示)の筐体等に用いられる大型のパイプであるコラムパイプ10を清掃・点検する際に用いられる。
【0014】
図1に示すように本実施形態の架台100は、設置面Gと平行な枠体110と、枠体110の下方に取り付けられた移動用車輪120と、枠体110の上方に取り付けられた支持用キャスター130とを備える。
【0015】
移動用車輪120は、枠体110の4隅に対して、コラムパイプ10の軸方向D1に2箇所、および幅方向D2に2箇所、計4箇所に配置されている。支持用キャスター130は、回転方向がコラムパイプ10の円周方向Cであり、コラムパイプ10の重心を中心として円周方向Cの両側に2箇所、且つコラムパイプ10の軸方向D1に2箇所、計4箇所に配置されている。
【0016】
なお本実施形態では支持用キャスター130が軸方向に2箇所配置されている構成を例示したが、これに限定するものではなく、2箇所以上であれば任意の数に変更してもよい。ただし支持用キャスター130の円周方向Cの数は、2つであれば径の異なるコラムパイプを支持できるが、3つ以上になると支持できるコラムパイプの径が限定されてしまうため、2つであることが好ましい。また移動用車輪120の数においても、本実施形態の構成は例示にすぎず、その数は任意に設定することができる。
【0017】
本実施形態の架台100によれば、図1(a)および(b)に示すようにコラムパイプ10の筒部12が支持用キャスター130に回転可能に支持される。すなわちコラムパイプ10を、支持用キャスター130に支持させた状態で円周方向Cに回転させることができる。これにより、清掃作業や点検作業の際のコラムパイプ10の位置調整や回転作業を容易に行うことができる。したがって、それらの作業を効率的に行うことができ、且つ作業員の負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0018】
また上述した2つの支持用キャスター130にコラムパイプ10を支持させる構成であれば、図1(b)に実線で図示しているコラムパイプ10よりも径が小さいコラムパイプ10a(破線で図示)も支持することができる。したがって本実施形態の架台100によれば、複数のサイズのコラムパイプの位置調整や回転作業に適用することが可能となる。
【0019】
特に本実施形態の架台100では、支持用キャスター130のブラケット132は、コラムパイプ10の略半径方向Rを向いて配置されている。なお「略半径方向R」の「略(ほぼ)」とは、コラムパイプの径が変われば半径方向も変わることから、「略」と表現している。ブラケット132を支持する梁150は、ブラケット132に対して直交方向(コラムパイプ10の接線方向Lと略平行)に配置されている。すなわち梁150は、枠体110と柱体140にわたるように斜めに設置されている。
【0020】
コラムパイプ10から支持用キャスター130にかかる荷重は、コラムパイプ10の略半径方向Rである。これに対し上記構成では、ブラケット132にかかる力がほぼブラケットの長さ方向の力となり、ブラケット132にかかる斜め方向の力を極力小さくすることができる。これによりブラケット132の変形を防止し、ひいては架台100の耐荷重を向上させることができる。
【0021】
図2は、図1に示す移動用車輪120の近傍の拡大図である。図1および図2に示すように本実施形態の架台100は、枠体110と移動用車輪120との間にスクリュージャッキ160を備える。スクリュージャッキ160は柱体140の側方に配置されていて、柱体140と移動用車輪120を連結している。スクリュージャッキ160は、手動でスクリュージャッキ160を昇降させるためのハンドル162、およびハンドル162に連結されたシャフト164を有する。
【0022】
本実施形態では、スクリュージャッキ160のシャフト164にはインパクトドライバ30を接続可能となっている。シャフト164に接続したインパクトドライバ30を駆動することにより、スクリュージャッキ160を動力で上下動させることができ、それに伴って枠体110が昇降する。これにより、枠体110に載置されたコラムパイプ10の傾きや上下方向の位置を容易に調整することが可能となり、作業員の負荷を更に軽減することができる。
【0023】
図3は、本実施形態のコラムパイプ点検用架台100(架台100)の使用態様図である。図3では、作業対象として2つのコラムパイプ10を図示している。2つのコラムパイプ10は、RHRSポンプの筐体として用いられる際にはフランジ14においてボルト20およびナット22によって接合されている。
【0024】
接合されている2つのコラムパイプ10を分解する際には、まず2つの架台100を並べておき、その上にボルト接合されたコラムパイプ10を載置する。そしてボルト20をフランジ14から抜き、図3に示すように架台100を移動させて2つのコラムパイプ10を引き離す。このとき本実施形態の架台100では枠体110の下方に移動用車輪120が取り付けられているため、分解された2つのコラムパイプ10を容易に移動することができる。したがって、例えばクレーン等の移動用の設備を不要とし、清掃や点検等のメンテナンスに要する費用を削減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、大型のパイプであるコラムパイプを清掃・点検するためのコラムパイプ点検用架台に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10…コラムパイプ、10a…コラムパイプ、12…筒部、14…フランジ、20…ボルト、22…ナット、30…インパクトドライバ、100…架台、110…枠体、120…移動用車輪、130…支持用キャスター、132…ブラケット、140…柱体、150…梁、160…スクリュージャッキ、162…ハンドル、164…シャフト、G…設置面
図1
図2
図3