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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180609
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光給電システム及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20231214BHJP
   H02J 50/30 20160101ALI20231214BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094044
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】津田 真司
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 俊
(72)【発明者】
【氏名】木村 良之
(72)【発明者】
【氏名】石井 隆裕
(57)【要約】
【課題】空間伝送が行われる給電光の照射の影響を抑制すること。
【解決手段】給電光112の空間伝送により給電装置110Bから受電装置310への給電を行う光給電システム1Bであって、給電装置110Bは、給電光112を出力する発光部111を有し、受電装置310は、受光した給電光112を電力に変換する受光部311を有し、発光部111から受光部311までの給電光112の伝送経路を囲う囲繞部150Bを有する。
さらに、囲繞部150Bを給電光112の伝送経路が内側を通る管状体とする場合には、内部の気体を清浄化する清浄装置161や内部の減圧を行う減圧装置171をもうけることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電光の空間伝送により給電装置から受電装置への給電を行う光給電システムであって、
前記給電装置は、前記給電光を出力する発光部を有し、
前記受電装置は、受光した前記給電光を電力に変換する受光部を有し、
前記発光部から前記受光部までの前記給電光の伝送経路を囲う囲繞部を有する光給電システム。
【請求項2】
前記囲繞部は、前記給電光の伝送経路が内側を通る管状体である請求項1に記載の光給電システム。
【請求項3】
前記囲繞部内の気体を清浄化する清浄装置を有する請求項2に記載の光給電システム。
【請求項4】
前記囲繞部内における気体のダスト量を検出するダスト検出部を有し、
検出される前記ダスト量が規定値以下となるまで前記清浄装置を作動させる請求項3に記載の光給電システム。
【請求項5】
前記囲繞部内の減圧を行う減圧装置を有する請求項2に記載の光給電システム。
【請求項6】
前記囲繞部内の圧力を検出する圧力検出部を有し、
前記減圧装置の減圧によって、検出される前記圧力が規定値まで低減されない場合に、前記発光部による前記給電光の出力を抑制する請求項5に記載の光給電システム。
【請求項7】
前記発光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた半導体レーザーである請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光給電システム。
【請求項8】
前記受光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた光電変換素子である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光給電システム。
【請求項9】
管状体からなる囲繞部の内側を伝送経路として給電光の空間伝送により受電装置への給電を行う給電装置であって、
前記給電光を出力する発光部と、前記囲繞部内の空気を抜く減圧装置と、前記囲繞部内の圧力を検出する圧力検出部とを有し、
前記減圧装置の減圧によって、前記囲繞部の前記圧力が規定値以下に達しない場合に前記給電光の出力を抑制する給電装置。
【請求項10】
前記発光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた半導体レーザーである請求項9に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光給電システム及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電力を光(給電光と呼ばれる)に変換して伝送し、当該給電光を電気エネルギーに変換して電力として利用する光給電システムが研究されている。
従来の空間伝送を行う光給電システムは、パワーの大きな給電光が外部の物体に照射されると損傷を与える虞があることに鑑みて、以下の構成によって対策を施していた。
【0003】
従来の光給電システムは、レーザー送電装置が放出した放射パワーと受電装置が受光した放射パワーとの対比による損失の大きさを求め、損失の大きさから異常の判定がされた場合に、レーザー送電装置の出力に制限をかけるという対策を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/156465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の光給電システムは、給電光が外部の物体に照射されることによって生じる受電装置側の放射パワーの低下を検出する前提のため、外部の物体に対する給電光のある程度の照射を避けることができない、という問題があった。
【0006】
本開示は、空間伝送が行われる給電光の外部の物体への照射を回避又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光給電システムは、
給電光の空間伝送により給電装置から受電装置への給電を行う光給電システムであって、
前記給電装置は、前記給電光を出力する発光部を有し、
前記受電装置は、受光した前記給電光を電力に変換する受光部を有し、
前記発光部から前記受光部までの前記給電光の伝送経路を囲う囲繞部を有する。
【0008】
本開示に係る給電装置は、
管状体からなる囲繞部の内側を伝送経路として給電光の空間伝送により受電装置への給電を行う給電装置であって、
前記給電光を出力する発光部と、前記囲繞部内の空気を抜く減圧装置と、前記囲繞部内の圧力を検出する圧力検出部とを有し、
前記減圧装置の減圧によって、前記囲繞部の前記圧力が規定値以下に達しない場合に前記給電光の出力を抑制する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、空間伝送が行われる給電光の外部の物体への照射を回避又は抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図2】本開示の第2実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図3】本開示の第3実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図4】本開示の第4又は第5実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図5】本開示の第6実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図6】本開示の第7実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図7】本開示の第8実施形態に係る光給電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本開示の一実施形態につき図面を参照して説明する。
【0012】
(1)システム概要
〔第1実施形態〕
図1に示すように本実施形態の光給電システム1Aは、給電装置(PSE: Power Sourcing Equipment)110と、受電装置(PD: Powered Device)310を備える。
上記給電装置110は電力を光エネルギーに変換して供給する装置であり、上記受電装置310は光エネルギーの供給を受け当該光エネルギーを電力に変換する装置である。
【0013】
光給電システム1Aは、光ファイバーの伝送によるエネルギー損失を解消するために、給電光の空間伝送により給電装置110から受電装置310への給電を行う。このような光給電の方式は、PoA(Power over Air)と呼ばれる。なお、ここでいう空間伝送とは、給電装置110と受電装置310の間の空間伝送区間中に光ファイバーを配置せず、専ら空間のみが存在する状態で給電光の伝送を行うことを示す。
なお、本実施形態を含む各実施形態において、空間伝送区間中に給電光の進路を変更するための光学素子は配置してもよいが、伝送経路の経路長を占める割合は、進路を変更するための機能を確保するための最小限の範囲とすべきである。また、給電光の伝送が行われる空間は真空状態でもよいし、空気、その他の気体が存在する状態でもよい。以下に示す各実施形態では、特に言及しない場合には、給電装置と受電装置の間には大気が存在する場合を例示する。
【0014】
また、給電装置110と受電装置310の給電光112の伝送経路の全てを空間伝送区間と構成しなくともよい。例えば、伝送経路の一部を光ファイバーで構成し、残る一部を空間伝送経路で構成してもよい。但し、以下に示す各実施形態では、特に言及しない場合には、給電装置と受電装置の給電光の伝送経路の全てを空間伝送区間で構成する場合を例示する。
【0015】
給電装置110は、発光部としての給電用半導体レーザー111を含む。
給電装置110は電源に接続され、給電用半導体レーザー111等が電気駆動される。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
給電装置110からの給電光112は、空気中を伝搬し、受電装置310に入力される。
【0016】
受電装置310は、受光部としての光電変換素子311を含む。
光電変換素子311は、空気中を伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力が、受電装置310内で必要な駆動電力とされる。さらに受電装置310は光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされる。
【0017】
給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311の光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が500nm以下の短波長のレーザー波長をもった半導体とされる。
短波長のレーザー波長をもった半導体は、バンドギャップが大きく光電変換効率が高いので、光給電の発電側及び受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
そのためには、同半導体材料として、例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、レーザー波長(基本波)が200~500nmのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
また、同半導体材料として、2.4eV以上のバンドギャップを有した半導体が適用される。
例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、バンドギャップ2.4~6.2eVのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
なお、レーザー光は長波長ほど伝送効率が良く、短波長ほど光電変換効率が良い傾向にある。したがって、長距離伝送の場合には、レーザー波長(基本波)が500nmより大きいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。また、光電変換効率を優先する場合には、レーザー波長(基本波)が200nmより小さいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
これらの半導体材料は、給電用半導体レーザー111及び光電変換素子311のいずれか一方に適用してもよい。給電側又は受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
【0018】
以上のように、光給電システム1Aは、給電光112の伝送経路として光ファイバーを利用せず、空間中を利用する空間伝送を行っている。一般に、光ファイバーを給電光112の伝送経路とした場合には、損失がおよそ30[dB/km]程度となり、空間伝送の場合には損失がおよそ1[dB/km]程度にまで低減することが可能となる。
また、給電用半導体レーザー111の光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が500nm以下の短波長のレーザー波長をもった半導体とする場合、さらには、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等のレーザー波長(基本波)が200~500nmのレーザー媒体の半導体材料を用いる場合には、伝送距離の長さに応じて光ファイバーによる損失が生じる傾向となるが、空間伝送の場合には、顕著に損失を低減することが可能となる。
【0019】
さらに、給電光112の伝送経路として光ファイバーを利用せず、空間中を利用する空間伝送を行っている。このため、光ファイバーに規定されているハンドリングパワーの制限を受けないことから、大きな出力で給電光112を出力させることができ、受電装置310により大きな電力を供給することが可能となる。
【0020】
〔第2実施形態〕
図2に示すように本実施形態の光給電システム1は、空間伝送を行う給電(PoA:Power over Air)システムと光通信システムとを含むものであり、給電装置(PSE: Power Sourcing Equipment)110を含む第1のデータ通信装置100と、光ファイバーケーブル200と、受電装置(PD: Powered Device)310を含む第2のデータ通信装置300とを備える。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111を含む。第1のデータ通信装置100は、給電装置110のほか、データ通信を行う発信部120と、受信部130とを含む。第1のデータ通信装置100は、データ端末装置(DTE: Data Terminal Equipment)、中継器(Repeater)等に相当する。発信部120は、信号用半導体レーザー121と、モジュレーター122とを含む。受信部130は、信号用フォトダイオード131を含む。
【0021】
光ファイバーケーブル200は、信号光の伝送路を形成する光ファイバー250を含む。
【0022】
受電装置310は、光電変換素子311を含む。第2のデータ通信装置300は、受電装置310のほか、発信部320と、受信部330と、データ処理ユニット340とを含む。第2のデータ通信装置300は、パワーエンドステーション(Power End Station)等に相当する。発信部320は、信号用半導体レーザー321と、モジュレーター322とを含む。受信部330は、信号用フォトダイオード331を含む。データ処理ユニット340は、受信した信号を処理するユニットである。また、第2のデータ通信装置300は、給電ネットワークにおけるノードである。または第2のデータ通信装置300は、他のノードと通信するノードでもよい。
【0023】
第1のデータ通信装置100は電源に接続され、給電用半導体レーザー111、信号用半導体レーザー121、モジュレーター122、信号用フォトダイオード131等が電気駆動される。また、第1のデータ通信装置100は、給電ネットワークにおけるノードである。または第1のデータ通信装置100は、他のノードと通信するノードでもよい。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
【0024】
光電変換素子311は、空間伝送されてきた給電光112を電力に変換する。光電変換素子311により変換された電力は、発信部320、受信部330及びデータ処理ユニット340の駆動電力、その他の第2のデータ通信装置300内で必要となる駆動電力とされる。さらに第2のデータ通信装置300は、光電変換素子311により変換された電力を外部機器用に出力可能とされていてもよい。
【0025】
一方、発信部120のモジュレーター122は、信号用半導体レーザー121からのレーザー光123を送信データ124に基づき変調して信号光125として出力する。
受信部330の信号用フォトダイオード331は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光125を電気信号に復調し、データ処理ユニット340に出力する。データ処理ユニット340は、当該電気信号によるデータをノードに送信し、その一方で当該ノードからデータを受信し、送信データ324としてモジュレーター322に出力する。
発信部320のモジュレーター322は、信号用半導体レーザー321からのレーザー光323を送信データ324に基づき変調して信号光325として出力する。
受信部130の信号用フォトダイオード131は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光325を電気信号に復調し出力する。当該電気信号によるデータがノードに送信され、その一方で当該ノードからのデータが送信データ124とされる。
【0026】
(2)空間伝送が行われる給電光の外部の物体への照射を回避する構成の適用
次に、空間伝送が行われる給電光112の外部の物体(異物)への照射を回避する構成が適用された光給電システムについて説明する。
以下に説明する各実施形態において、第1実施形態又は第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0027】
〔第3実施形態〕
図3は、空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第3実施形態に係る光給電システム1Bを示す構成図である。
第3実施形態の光給電システム1Bは、給電装置110Bと、受電装置310と、囲繞部150Bとを備える。
【0028】
給電装置110Bは、給電用半導体レーザー111と、給電光112が拡散しないように集光し、平行光化する光学系113とを備える。
光学系113は、例えばコリメートレンズを含む。光学系113は、複数のレンズから構成してもよい。
光学系113を通して出射されたレーザー光からなる給電光112は、所定の伝送経路に沿って拡散することなく受電装置310の光電変換素子311に入射する。
【0029】
囲繞部150Bは、上記給電光112の伝送経路を全長に渡って囲う管状体(例えば、パイプ)からなる管路である。
図3に示すように、給電光112の伝送経路は、一本の直線で構成されていなくともよい。給電装置110Bと受電装置310が一本の直線上に配置できるとは限らない。このため、その使用環境に応じて配置された場合に、給電装置110Bの給電用半導体レーザー111から正面に出射された給電光112を受電装置310の光電変換素子311に垂直に入射させるための伝送経路が構成される。例えば、伝送経路は、一又は複数の屈曲箇所で接続された複数の直線から構成される。
【0030】
本実施形態では、複数個所で屈曲した給電光112の伝送経路を囲う囲繞部150Bを例示する。なお、図3に示した伝送経路及び囲繞部150Bの形状は、一例であって、これに限定されず、任意の形状とすることができる。また、図示の例のように平面上に展開される場合に限定されず、伝送経路及び囲繞部150Bは、立体空間内に立体的に展開されてもよい。
【0031】
囲繞部150Bは、伝送経路の直進区間において給電光112を通す複数の直線パイプ151と、伝送経路の屈曲部において直線パイプ151同士を連結する継手152,153と、伝送経路の屈曲部において給電光112を屈曲させる複数の光学素子154とを有する。
【0032】
直線パイプ151は、真っ直ぐな円管であり、その中心を給電光112(伝送経路)が通過するように配置される。各直線パイプ151は、一端部又は両端部が継手152又は153と連結される。なお、直線パイプ151の断面形状は、円形に限定されず、正方形等の任意の形状としてもよい。
【0033】
継手152,153は、湾曲管である。継手152,153は、内部に光学素子154が固定支持され、光学素子154による屈曲位置の前後の給電光112(伝送経路)が継手の152,153の一端部の中心と他端部の中心をそれぞれ通過するように直線パイプ151に連結される。
継手152,153の少なくとも一端部と他端部とは、それぞれ、直線パイプ151を挿入して連結できるように、拡径されている。
継手152は、90度屈曲した給電光112(伝送経路)に対応するように90度の範囲の円弧状に形成され、継手153は、45度屈曲した給電光112(伝送経路)に対応するように45度の範囲の円弧状に形成されている。なお、伝送経路の屈曲角度は、90度と45度に限定されず、任意の角度としてよく、これに対応して、継手152,153の角度範囲も伝送経路の屈曲角度に対応して任意の角度としてよい。
【0034】
光学素子154は、例えば、全反射ミラーからなる。伝送経路に要求される屈曲角度を実現できるように反射面の向きが調整された状態で、光学素子154は、継手152,153内に固定支持されている。
光学素子154は、反射を行うミラーに限らず、給電光112の進路を変更可能な他の光学素子でもよい。例えば、プリズムのように透過する際の屈折により進路を変更させる光学素子でもよい。
【0035】
囲繞部150Bを構成する直線パイプ151及び継手152,153は、給電光112を透過しない材料から構成してもよい。さらに、直線パイプ151及び継手152,153の少なくとも内面については、給電光112の吸収性が低い材料から形成してもよい。この場合、直線パイプ151及び継手152,153の少なくとも内面については、給電光112を反射する材料で構成し、反射面としてもよい。
【0036】
囲繞部150Bは、原則として、直線パイプ151及び継手152,153の中心を給電光112が通り、これらの内面には給電光112が照射されない形状で構成される。しかしながら、光給電システム1Bのいずれか或いは光給電システム1Bを設置した構造物のいずれかにおいて、不慮の外力が加えられた場合に、給電装置110Bや受電装置310の向きが変わったり、囲繞部150Bに撓みが生じたりするおそれがある。
その場合、直線パイプ151及び継手152,153の内面に給電光112が照射されるおそれがあるが、直線パイプ151及び継手152,153が給電光112を透過しない材料であれば、給電光112の外部への漏れを抑制することが可能となる。
さらに、直線パイプ151及び継手152,153の少なくとも内面が給電光112を吸収しない材料或いは反射する材料であれば、直線パイプ151及び継手152,153に給電光112が照射された場合の損傷等の影響を低減、抑制することが可能となる。
【0037】
以上のように、光給電システム1Bは、囲繞部150Bを有するので、給電装置110Bから受電装置310の間で空間伝送が行われる給電光112に対して、外部から伝送経路内に異物が進入することを効果的に阻止することができ、給電光112の外部の異物への照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0038】
特に、囲繞部150Bを、パイプ等を含む管状体で構成しているので、給電光112の伝送経路を気体を通さない管壁によって隙間なく囲うことができ、外部から伝送経路内への異物の進入をより効果的に阻止することができ、給電光112の外部の異物への照射をより効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0039】
なお、囲繞部150Bをパイプ等を含む管状体で構成する場合を例示したが、囲繞部に密閉性が要求されない場合(後述する清浄装置161又は減圧装置171を設ける場合には密閉性が要求される)、囲繞部は、格子状の骨格体や防護柵、メッシュ等で構成してもよい。その場合、囲繞部は、隙間を有するので、隙間を通過可能な小さな異物の進入を十分に阻止することができないが、一定の大きさの異物の進入を阻止することは可能となり、当該異物への給電光112の照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0040】
〔第4実施形態〕
図4は空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第4実施形態に係る光給電システム1Cを示す構成図である。
なお、第4実施形態に係る光給電システム1Cと後述する第5実施形態に係る光給電システム1Dとは、各構成の具体的な内容は異なるが、各構成の配置等が共通しているので、図4においては、光給電システム1Cと光給電システム1Dの符号を併記して図示することで、図面の共用化を図っている。
また、第4実施形態において、既に説明した他の実施形態と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0041】
光給電システム1Cは、前述した光給電システム1Bの構成に、囲繞部150Bの内部の気体の清浄装置161と、囲繞部150Bの内部の気体のダスト量を検出するダスト検出部162と、検出されるダスト量が規定値以下となるまで清浄装置161を作動させる制御装置163とを加えた構成である。
【0042】
なお、光給電システム1Cについては、囲繞部150Bの各構成の連結部をシールして、囲繞部150Bの内部空間全体を密閉空間としてもよい。この場合、囲繞部150Bの給電装置110B側の端部と受電装置310側の端部とを給電光112の透過性材料で封じ切ってもよい。また、囲繞部150Bの一端部と給電用半導体レーザー111を格納する筐体とをシールして接続し、囲繞部150Bの他端部と光電変換素子311を格納する筐体とをシールして接続し、囲繞部150Bの内部と各筐体の内部とを密閉空間としてもよい。
また、囲繞部150Bの一端部と給電用半導体レーザー111の給電光112の出射面とを連通接続すると共に相互間をシール接続し、囲繞部150Bの他端部と光電変換素子311の受光面とを連通接続すると共に相互間をシール接続して、その内部を密閉空間としてもよい。
【0043】
清浄装置161は、囲繞部150Bの内部空間に連通する接続管を介して当該囲繞部150Bに接続されている。接続管は、囲繞部150Bの内部空間内の気体を清浄装置161側に引き込む導入管と、清浄装置161に沿って清浄化された空気を囲繞部150Bの内部空間に戻す排出管とから構成されている。
【0044】
清浄装置161は、上記導入管を通じて空気の引き込みを行う吸引ファンと、導入管から引き込まれた空気中に含まれる塵芥等のダストを捕集する集塵フィルターとを有する。
集塵フィルターを通過した空気は、吸引ファンにより、排出管を通じて囲繞部150Bに戻すことができる。
なお、空気からダストを除去する手段は、集塵フィルターに限らず、他の方式、例えば、プラズマ方式の集塵機、静電吸引方式の集塵機、或いは集塵フィルターとこれらの併用から構成してもよい。
【0045】
ダスト検出部162は、清浄装置161の導入管の途中に設けられ、当該導入管に引き込まれた囲繞部150Bの内部空間内の気体が通過する際に光照射を行う光源と、囲繞部150Bの内部空間内の気体に含まれるダストが光照射によって発する散乱光の光強度を検出する受光素子とを有する。
ダスト検出部162は、囲繞部150Bの内部空間内の気体に含まれるダスト量を光強度として検出し、制御装置163に入力する。
【0046】
制御装置163は、清浄装置161を制御対象とし、清浄装置161の作動と停止と切り替えることができる。
制御装置163は、囲繞部150Bの内部空間内の気体に含まれるダスト量の許容値が記憶されており、ダスト検出部162から入力される囲繞部150Bの内部空間内の気体に含まれる検出ダスト量との比較を行う。そして、制御装置163は、検出ダスト量がダスト量の許容値より大きい場合には、清浄装置161を継続的に作動させ、検出ダスト量がダスト量の許容値以下となった場合には、清浄装置161を停止させる制御を行う。
なお、上記制御装置163は、マイクロコンピュータから構成されてもよいし、アナログ回路又はデジタル回路を利用したシーケンサから構成されてもよい。
【0047】
なお、上記清浄装置161、ダスト検出部162及び制御装置163は、電源が得られやすい給電装置110B側に配置する構成を例示したが、これに限定されず、受電装置310側に配置して、受電装置310から電源の供給を受ける構成としてもよい。
また、清浄装置161の接続管の導入管と排出管とは、例えば、囲繞部150Bの一端部側と他端部側とそれぞれ接続する構成としてもよい。その場合、囲繞部150Bに沿って内部の気体が循環され、囲繞部150Bの内部全体を効果的に清浄化することができる。
【0048】
光給電システム1Cは、囲繞部150Bの内部の気体の清浄装置161を有するので、囲繞部150Bの内部空間内の気体に含まれるダストを除去又は低減することが可能となる。給電光112の空間伝送において、給電用半導体レーザー111に生じる損失の一因となるダストを伝送経路から除去するので、損失を低減し、給電効率の向上を図ることが可能となる。
【0049】
また、光給電システム1Cは、制御装置163により、ダスト検出部162が検出するダスト量が規定値以下となるまで清浄装置161を作動させる制御が行われるので、例えば、給電用半導体レーザー111に生じる損失を目標とするレベルまで低減させる制御が可能となり、目標とする給電効率での給電を行うことが可能となる。
【0050】
〔第5実施形態〕
図4は空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第5実施形態に係る光給電システム1Dを示す構成図である。
また、第5実施形態において、既に説明した他の実施形態と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0051】
光給電システム1Dは、前述した光給電システム1Bの構成に、囲繞部150Bの内部を減圧する減圧装置171と、囲繞部150Bの内部の圧力を検出する圧力検出部172と、圧力検出部172の減圧時に検出される圧力が規定値以下に達しない場合に、給電用半導体レーザー111による給電光の出力を抑制する制御装置173とを加えた構成である。
【0052】
なお、光給電システム1Dも、光給電システム1Cの場合と同様に、囲繞部150B内の伝送空間をシールして密閉空間としている。
【0053】
減圧装置171は、囲繞部150Bの内部空間に連通する接続管を介して当該囲繞部150Bに接続されている。
減圧装置171は、いわゆる減圧ポンプであり、接続管を介して囲繞部150B内の真空引きを行い、内部気体の低減除去を図ることができる。
【0054】
圧力検出部172は、いわゆる圧力センサである。圧力検出部172は、囲繞部150Bの内部空間内の圧力を検出し、制御装置173に入力する。
【0055】
制御装置173は、減圧装置171を制御対象とし、減圧装置171の作動と停止とを切り替えることができる。また、制御装置173は、給電用半導体レーザー111も制御対象とし、給電光112の出力と停止とを切り替えることができる。
制御装置173は、囲繞部150Bの内部空間の圧力の目標値が記憶されており、圧力検出部172から入力される囲繞部150Bの内部空間内の検出圧力との比較を行う。
制御装置173は、減圧装置171の作動を開始すると、減圧開始からの経過時間の計測を開始すると共に、圧力検出部172による検出圧力を監視する。
【0056】
その結果、制御装置173は、許容経過時間が経過するまでに検出圧力が圧力の目標値まで低減しなかった場合には、囲繞部150Bのいずれかの部位で外れや破損が生じているおそれがあるものと判断する。そして、給電用半導体レーザー111が給電光112を出力している場合には、その出力を中止する中止状態とする。また、給電用半導体レーザー111が給電光112を出力していない場合には、その出力を開始しない中止状態とする。
なお制御装置173は、給電用半導体レーザー111が給電光112を出力している場合に、その出力を下げる処理を実行してもよい。例えば、制御装置173は、給電光112が囲繞部150B外に漏れ出ても安全なレベルまで出力を下げてもよい。また、制御装置173は、給電用半導体レーザー111が給電光112を出力していない場合には、給電光112の出力を通常より下げた出力で開始してもよい。例えば、制御装置173は、囲繞部150B外に漏れ出ても安全なレベルで給電光112の出力を開始してもよい。
制御装置173は、上記いずれかの中止状態又は出力低下状態とした場合には、圧力を低下できなかったことを外部に報知する構成としてもよい。
【0057】
一方、制御装置173は、許容経過時間が経過するまでに検出圧力が圧力の目標値まで低減した場合には、減圧装置171を停止して、給電用半導体レーザー111からの給電光112の出力を開始する。
【0058】
さらに、制御装置173は、目標値よりも幾分高い圧力を減圧再開の目標値として設定している。そして、制御装置173は、減圧装置171の停止中の検出圧力が減圧再開の目標値を超えた場合に、減圧装置171の作動を再開する制御を行う。
【0059】
減圧装置171の作動の再開時には、再び、減圧再開からの経過時間の計測を開始すると共に、前述した許容経過時間が経過するまでに検出圧力が圧力の目標値まで低減するか否かの判定及び給電光112の出力の継続又は中止の判定を行う。
これにより、給電時には、常に囲繞部150Bの内部空間の圧力が監視され、目標値から減圧再開の目標値までの間の圧力が維持される。
【0060】
なお、上記制御装置173は、マイクロコンピュータから構成されてもよいし、アナログ回路又はデジタル回路を利用したシーケンサから構成されてもよい。
【0061】
なお、上記減圧装置171、圧力検出部172及び制御装置173も、電源が得られやすい給電装置110B側に配置する構成を例示したが、これらを受電装置310側に配置して、受電装置310から電源の供給を受ける構成としてもよい。
【0062】
光給電システム1Dは、囲繞部150Bの内部を減圧する減圧装置171を有するので、囲繞部150Bの内部空間内の気体の低減又は除去を図ることが可能となる。給電光112の空間伝送において、給電用半導体レーザー111に生じる損失の一因となる気体を伝送経路から低減又は除去するので、損失を低減し、給電効率の向上を図ることが可能となる。
【0063】
また、光給電システム1Dは、制御装置173により、減圧装置171による減圧時に、圧力検出部172が検出する囲繞部150Bの内部の圧力が規定値まで低減されなかった場合に、給電用半導体レーザー111による給電光112の出力を停止状態にする制御が行われる。これにより、囲繞部150Bのいずれかの部位で外れや破損が生じているおそれがあるときに給電光112の出力を停止することができ、外部から伝送経路内に進入した異物への給電光112の照射や囲繞部150Bから漏れた給電光112の異物への照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0064】
〔第6実施形態〕
図5は空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第6実施形態に係る光給電システム1Eを示す構成図である。
また、第6実施形態において、既に説明した他の実施形態と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0065】
光給電システム1Eは、給電光112の伝送経路が分岐して複数の受電装置310に給電を行う構成である。ここでは、二つの受電装置310に給電が行われる例を示すが、分岐を増やしてより多くの受電装置310に給電を行ってもよい。
【0066】
給電装置110Bから正面に出力された給電光112は、途中に配置されたビームスプリッターからなる光学素子155において一部が透過して一方の受電装置310に入射し、残る一部が反射により進路を90度屈曲させる。光学素子155に反射した給電光112は、全反射ミラーからなる光学素子154でもう一度反射して進路を90度屈曲させてから他方の受電装置310に入射する。なお、レイアウト上の問題がなければ、他方の受電装置310は、全反射ミラーからなる光学素子154を介さずに給電光112を受光してもよい。
【0067】
光給電システム1Eが有する囲繞部150Eは、上記の伝送経路を通る給電光112の全域を囲う構造を有する。
囲繞部150Eは、給電装置110Bから正面に出力され、光学素子155を直進して一方の受電装置310に入射する給電光112を囲繞する二本の直線パイプ151と、当該二本の直線パイプ151を連結すると共に内部で光学素子155を固定支持するT字状の継手156とを有する。
さらに、囲繞部150Eは、T字状の継手156における分岐側端部に連結され、光学素子155において反射により進路を90度屈曲させた給電光112を囲う一本の直線パイプ151と、当該一本の直線パイプ151に連結されると共に内部で光学素子154を固定支持するL字状の継手152とを有する。
さらに、囲繞部150Eは、光学素子154に反射されて進路を90度屈曲させた給電光112を囲う一本の直線パイプ151を有する。当該直線パイプ151は、他方の受電装置310に接続される。
【0068】
なお、分岐する給電光112の伝送経路は、上記の形態に限らず、給電装置110Bと各受電装置310の所望する配置に応じて任意の形状とすることができる。また、囲繞部150Eも直線パイプ151、継手152,153,156を組み合わせることで、給電光112の伝送経路の任意の形状に対応する形状に調整することができる。
【0069】
また、光給電システム1Eには、前述した清浄装置161、ダスト検出部162及び制御装置163を加える構成としてもよい。また、或いは、光給電システム1Eに減圧装置171、圧力検出部172及び制御装置173を加える構成としてもよい。
【0070】
上記光給電システム1Eは、給電装置110Bから複数の受電装置310に給電を行う場合であっても、空間伝送が行われる給電光112に対して、外部から伝送経路内に異物が進入することを効果的に阻止することができ、給電光112の外部の異物への照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0071】
〔第7実施形態〕
図6は空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第7実施形態に係る光給電システム1Fを示す構成図である。
第7実施形態において、既に説明した他の実施形態と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0072】
光給電システム1Fは、前述した第2実施形態の光給電システム1に囲繞部150Bを適用した構成である。
この光給電システム1Fの場合も、囲繞部150Bにより、給電装置110Bから受電装置310の間で空間伝送が行われる給電光112に対して、外部から伝送経路内に異物が進入することを効果的に阻止することができ、給電光112の外部の異物への照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0073】
また、光給電システム1Fは、第1のデータ通信装置100と第2のデータ通信装置300との間のデータ通信を行う信号光125,325(レーザー光123,323)の伝送を光ファイバーケーブル200により伝搬しているが、これらも空間伝送を行ってもよい。その場合、囲繞部150Bの断面を拡張し、給電光112と共に信号光125,325の伝搬経路も囲う構成としてもよい。また、囲繞部150Bとは別に、信号光125,325の伝搬経路も囲う他の囲繞部を有する構成としてもよい。或いは、信号光125と信号光325とについて個別に囲繞部を設けてもよい。
【0074】
また、光給電システム1Fには、前述した清浄装置161、ダスト検出部162及び制御装置163を加える構成としてもよい。また、或いは、光給電システム1Fに減圧装置171、圧力検出部172及び制御装置173を加える構成としてもよい。
【0075】
〔第8実施形態〕
図7は空間伝送が行われる給電光112の外部の物体への照射を回避する構成が適用された第8実施形態に係る光給電システム1Gを示す構成図である。
第8実施形態において、既に説明した他の実施形態と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
【0076】
光給電システム1Gの受電装置310Gは、前述した第7実施形態の光給電システム1Fの受電装置310側に前述した清浄装置161及びダスト検出部162を設けた構成、又は、光給電システム1Fの受電装置310側に前述した減圧装置171及び圧力検出部172を設けた構成である。
この場合、清浄装置161及びダスト検出部162、又は、減圧装置171及び圧力検出部172は、受電装置310から電力の供給を受ける。
【0077】
さらに、清浄装置161又は減圧装置171を制御する制御装置163又は173を設ける替わりに、データ処理ユニット340の処理能力を利用して、前述した制御装置163又は173の機能をデータ処理ユニット340が実行する構成としている。
但し、制御装置163又は173を備える構成としてもよい。
【0078】
この光給電システム1Gの場合も、囲繞部150Bにより、給電装置110Bから受電装置310の間で空間伝送が行われる給電光112に対して、外部から伝送経路内に異物が進入することを効果的に阻止することができ、給電光112の外部の異物への照射を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0079】
[その他]
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示は上記の実施形態に限られない。
例えば、給電光112の伝送経路の全てを空間伝送とせずに、伝送経路の一部を光ファイバーで構成し、残る一部を空間伝送で構成してもよい。
その場合、空間伝送区間のみを囲う囲繞部を設けてもよい。
【0080】
以下、本開示の一実施形態を示す。一実施形態において、
(1)給電光の空間伝送により給電装置から受電装置への給電を行う光給電システムであって、
前記給電装置は、前記給電光を出力する発光部を有し、
前記受電装置は、受光した前記給電光を電力に変換する受光部を有し、
前記発光部から前記受光部までの前記給電光の伝送経路を囲う囲繞部を有する。
【0081】
(2)上記(1)の光給電システムにおいて、
前記囲繞部は、前記給電光の伝送経路が内側を通る管状体である。
【0082】
(3)上記(2)の光給電システムにおいて、
前記囲繞部内の気体を清浄化する清浄装置を有する。
【0083】
(4)上記(3)の光給電システムにおいて、
前記囲繞部内における気体のダスト量を検出するダスト検出部を有し、
検出される前記ダスト量が規定値以下となるまで前記清浄装置を作動させる。
【0084】
(5)上記(2)の光給電システムにおいて、
前記囲繞部内の減圧を行う減圧装置を有する。
【0085】
(6)上記(5)の光給電システムにおいて、
前記囲繞部内の圧力を検出する圧力検出部を有し、
前記減圧装置の減圧によって、検出される前記圧力が規定値まで低減されない場合に、前記発光部による前記給電光の出力を抑制する。
【0086】
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項の光給電システムにおいて、
前記発光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた半導体レーザーである。
【0087】
(8)上記(1)から(7)のいずれか一項の光給電システムにおいて、
前記受光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた光電変換素子である。
【0088】
(9)管状体からなる囲繞部の内側を伝送経路として給電光の空間伝送により受電装置への給電を行う給電装置であって、
前記給電光を出力する発光部と、前記囲繞部内の空気を抜く減圧装置と、前記囲繞部内の圧力を検出する圧力検出部とを有し、
前記減圧装置の減圧によって、前記囲繞部の前記圧力が規定値以下に達しない場合に前記給電光の出力を抑制する。
【0089】
(10)上記(9)の給電装置において、
前記発光部は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体とされた半導体レーザーである。
【符号の説明】
【0090】
1,1A~1G 光給電システム
100 第1のデータ通信装置
110,110B 給電装置
111 給電用半導体レーザー(発光部)
112 給電光
113 光学系
120 発信部
121 信号用半導体レーザー
123 レーザー光
125 信号光
130 受信部
131 信号用フォトダイオード
150B,150E 囲繞部
151 直線パイプ
152,153,156 継手
154,155 光学素子
161 清浄装置
162 ダスト検出部
163 制御装置
171 減圧装置
172 圧力検出部
173 制御装置
200 光ファイバーケーブル
250 光ファイバー
300 第2のデータ通信装置
310,310G 受電装置
311 光電変換素子(受光部)
320 発信部
321 信号用半導体レーザー
323 レーザー光
325 信号光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7