(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180614
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】異常判定装置、異常判定システム、異常判定方法及び異常判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231214BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231214BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231214BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231214BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231214BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20231214BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G08G1/16 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094058
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小城戸 智能
(72)【発明者】
【氏名】藤好 宏樹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA03
5H181AA05
5H181AA07
5H181AA20
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB06
(57)【要約】
【課題】既知の情報を参照情報とし、参照情報とセンサからの情報を比較して異常の有無を判定することができる異常判定装置を提供する。
【解決手段】物体検出用センサである車載周辺監視センサ101から出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部115と、物体検出部115から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部116と、絶対位置算出部116から出力される絶対位置情報を、参照情報と比較することで車載周辺監視センサ101に異常が発生しているかを判定する異常判定部117とを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部と、
前記物体検出部から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部と、
前記絶対位置算出部から出力される絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定部と、
を備えたことを特徴とする異常判定装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の異常判定装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える路側機と、
前記異常判定装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSと、を備える移動体と、
前記路側機及び前記移動体が備える異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行う制御装置を備えるサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
【請求項4】
請求項2に記載の異常判定装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える路側機と、
前記異常判定装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSと、を備える移動体と、
前記路側機及び前記移動体が備える異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行う制御装置を備えるサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
【請求項5】
前記参照情報は、既知の位置に設置され、前記物体検出用センサで検出可能なターゲットオブジェクトの絶対位置情報であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の異常判定システム。
【請求項6】
前記参照情報は、前記路側機の設置位置情報であり、前記物体検出用センサは、前記車載周辺監視センサであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の異常判定システム。
【請求項7】
前記参照情報は、前記移動体の現在位置情報であり、前記物体検出用センサは、前記路側センサであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の異常判定システム。
【請求項8】
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部と、前記物体検出部から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部を備える物体検出装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える少なくとも2つの路側機と、
前記物体検出装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSを備える移動体と、
前記路側機のうち少なくとも1つと、及び移動体とが備える物体検出装置から出力される物体検出結果と、前記路側機の設置位置情報と、に基づき、前記路側センサ、前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定する異常箇所判定部を備える異常判定装置を備え、前記異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行うサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
【請求項9】
前記異常箇所判定部は、前記路側機が備える前記路側センサに異常が発生しているかを判定し、正常と判定された場合に、前記移動体が備える前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSに異常が発生しているかを判定することを特徴とする請求項8に記載の異常判定システム。
【請求項10】
前記異常箇所判定部は、判定対象とは異なる路側機の設置位置情報を参照情報として、前記参照情報と、異常判定対象とする路側機から出力される絶対位置情報とを比較することで、判定対象の路側機が備える路側センサに異常が発生しているかを判定することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異常判定装置。
【請求項11】
前記異常箇所判定部は、判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に前記移動体が含まれる場合に、前記移動体が備える車載周辺監視センサ及び車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異常判定システム。
【請求項12】
前記異常箇所判定部は、
判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機の絶対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機の絶対位置情報とを比較した結果Aと、
前記判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、前記移動体の絶対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、自身の絶対位置情報とを比較した結果Bと、
判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機及び前記移動体の相対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、前記判定対象とは異なる路側機と自身との相対位置情報とを比較した結果Cと、の結果に基づき、
前記移動体が備える前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異常判定システム。
【請求項13】
前記路側機はGPSを備え、前記異常箇所判定部は、前記路側機が備えるGPSの受信感度を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える車載GPSの受信感度とを比較することで、前記移動体が備える車載GPSに異常が発生しているかを判定する、請求項8または請求項9に記載の異常判定システム。
【請求項14】
前記移動体は、予め決められた、前記路側機の検出エリア内である所定位置に一時停止し、停止中に前記路側機及び、あるいは前記移動体が備える異常判定装置を動作させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異常判定システム。
【請求項15】
前記移動体を少なくとも2つ備えたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の異常判定システム。
【請求項16】
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出ステップと、
前記物体検出ステップで得られた物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出ステップと、
前記絶対位置算出ステップで得られた絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定ステップとを含むことを特徴とする異常判定方法。
【請求項17】
前記異常判定ステップでは、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の異常判定方法。
【請求項18】
物体検出用センサの異常を判定するために異常判定装置に実行させる命令を含む異常判定プログラムであって、
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出ステップと、
前記物体検出ステップで得られた物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出ステップと、
前記絶対位置算出ステップで得られた絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定ステップとを含むことを特徴とする異常判定プログラム。
【請求項19】
前記異常判定ステップでは、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の異常判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、異常判定装置、異常判定システム、異常判定方法及び異常判定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載したセンサを用いて検出した障害物情報、及び車両に搭載したGPSあるいは地図の情報から求めた自車位置情報、それらに加えて、路側機(インフラセンサ、RSU(Road Side Unit)等とも呼ばれる)に搭載したセンサを用いて検出した障害物情報及び、あるいはGPSまたは地図の情報に基づいて、路側機が設置されたエリアにおいて障害物との衝突を回避して自動運転を行う技術及びシステムが提案されている。
【0003】
ここで、車両に搭載したセンサ(以下、車載センサ)、車両に搭載したGPS(以下、車載GPS)、あるいは路側機に搭載したセンサ(以下、路側センサ)のいずれかに異常が発生すると、前述のシステムが正常に動作できなくなる。異常発生時には、異常の発生箇所あるいは異常の程度に応じて、システムを緊急停止する、あるいはメンテナンスを促すメッセージを表示する、といった対策を行うことが求められる。
なお「異常」とは、センサが故障した状態のみならず、センサに汚れあるいは覆い等が付着して性能が低下した状態、またはセンサの設置軸がずれた状態といった、正常以外の状態を指す。
【0004】
特許文献1には、路側センサを用いて検出した障害物情報と、車載センサを用いて検出した障害物情報とを比較して、車載センサまたは路側センサが異常であるか否かを判定する技術が記載されている。また、複数台の車両を選択して各センサで検出された障害物情報を比較に用いることで、いずれのセンサで異常が発生しているかを判定する技術も併せて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、路側機、車両のいずれで異常が発生しているかを判定するために、複数台の車両を必要とするという課題がある。また、選択されなかった車両に対しては異常判定が行われないため、当該車両に異常が発生していても、異常判定が遅れてしまう可能性がある。
【0007】
本願は、このような問題を解決するためになされたものであり、既知の情報を参照情報とし、参照情報とセンサからの情報を比較して異常の有無を判定することができる異常判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に開示される異常判定装置は、物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部と、物体検出部から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部と、絶対位置算出部から出力される絶対位置情報を、参照情報と比較することで物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本願の異常判定装置によれば、複数台の車両を用いずに、路側機と車両各々について異常の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る異常判定システムにおける状況を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る異常判定システムのハードウェア構成図である。
【
図3】実施の形態1に係る異常判定システムの機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る異常判定システムにおける異常判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る異常判定システムにおける状況を説明する図である。
【
図6】実施の形態2に係る異常判定システムの機能ブロック図である。
【
図7】実施の形態2に係る異常判定システムにおける異常判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3に係る異常判定システムにおける状況を説明する図である。
【
図9】実施の形態3に係る異常判定システムの機能ブロック図である。
【
図10】実施の形態3に係る異常判定システムにおける異常判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態4に係る異常判定システムにおける状況を説明する図である。
【
図12】実施の形態4に係る異常判定システムのハードウェア構成図である。
【
図13】実施の形態4に係る異常判定システムの機能ブロック図である。
【
図14】実施の形態4に係る異常判定システムにおける異常判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態4に係る異常判定システムにおける車両の異常判定処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、実施の形態1について、
図1から
図4までを参照しながら説明する。なお、同一内容および相当部については同一符号を配し、その詳しい説明は省略する。
【0012】
<構成の説明>
図1は、本実施の形態に係る異常判定システムの適用例を示している。
異常判定システムは、路側機1、車両2及びターゲットオブジェクト3(一部の図ではTOBJ3と略記)と、
図1では不図示のサーバ(詳細は後述)で構成される。
ターゲットオブジェクト3を用いて、路側機1及び車両2に異常が発生しているかを逐次判定し、異常判定結果をサーバへ逐次送信し、サーバは判定結果を報知する。以下、各構成要素の詳細を説明する。
【0013】
路側機1は、自動運転を行うエリアの道路周辺に設置し、道路上及び道路周辺の物体を検出する役割を有する。例えば、後述する
図2に示すように、路側機1は画像認識カメラ、ミリ波レーダ、及び、あるいはLiDAR等のセンサ(以下、路側センサ107)、及びサーバとの通信機構を備えており、車両あるいは歩行者等の物体を路側センサ107で検出する。
なお、センサの種類あるいは検出対象の物体はこれらに限られるものではないが、センサはターゲットオブジェクト3を検出可能な構成である必要がある。あるいは、ターゲットオブジェクト3として、路側センサ107で検出可能な物体を使用する必要がある。例えば、路側センサ107がミリ波レーダを備えており、ターゲットオブジェクト3がミリ波レーダ用リフレクタの場合である。路側センサ107とターゲットオブジェクト3の組合せはこれに限られるものではない。
さらに、路側機1は自身の異常判定も逐次実施し、その結果を後述するサーバへ逐次送信する。
【0014】
車両2は、路側機1が設置されたエリアを走行する車両であり、車両2の外表面(バンパ裏等も含む)に、画像認識カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR、及び、あるいは超音波センサ(ソナー)等の物体検出用センサ(以下、車載周辺監視センサ101)、GPS(以下、車載GPS102)、及びサーバとの通信機構を備えている。これらを用いて、車両周辺の物体を車載周辺監視センサ101で検出したり、検出した物体の相対位置を車載GPS102により絶対座標系へ変換して、例えば車載ディスプレイ(不図示)の地図へ表示したりして、これらの結果を利用して自動運転制御あるいは運転支援を行う。
さらに、車両2は自身の異常判定も逐次実施し、その結果を不図示のサーバへ逐次送信する。
なお、車両2は例えば自動車であるが、それに限られるものではなく、トラックあるいはゴルフカートといったその他の四輪車でも良いし、二輪車またはPMV(Personal Mobility Vehicle)、あるいはAMR(Autonomous Mobile Robot)等、その他の移動体であっても良い。
【0015】
さらに、ターゲットオブジェクト3は、設置座標が明らかである位置に設置し、路側センサ107及び車載周辺監視センサ101で検出可能な形状あるいは特性を有する。あるいは、ターゲットオブジェクト3を検出できるように、路側センサ107及び車載周辺監視センサ101を構成する。例えば、前述同様、ターゲットオブジェクト3としてミリ波レーダ用リフレクタを用い、路側センサ107及び車載周辺監視センサ101にミリ波レーダを備えた構成とすることができる。
【0016】
また、サーバ(
図1では不図示)は、路側機1あるいは車両2から送信された異常判定結果を報知する。報知内容は、例えば各々の判定結果そのものをサーバ側の例えばディスプレイへ表示することができる。報知方法あるいは内容はこれに限られるものではなく、例えば、判定結果を車両2へ送信して、車両2の運転者あるいは同乗者へ音声で伝達したり、ディスプレイに表示する方法も可能である。あるいは、路側機1に異常があると判定された場合には、オペレータへ連絡して、路側機1の設置場所へ修理あるいはメンテナンス等を行うよう指示しても良い。さらに、判定結果に応じて、路側機1あるいは、路側機1及び車両2へ制御用の信号を送信して、路側機1あるいは、路側機1及び車両2を制御しても良い。例えば、車両2が異常と判定された場合には、サーバから車両2を遠隔制御して緊急停止させても良い。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る異常判定システムのハードウェア構成例を示している。異常判定システムは、本図に示すように、路側機1、車両2及びサーバ4で構成される。
【0018】
路側機1は、本
図2に示すように、前記の路側センサ107及び異常判定装置110を備える。異常判定装置110は、一般的なコンピュータあるいはECU(Electronic Control Unit)であり、プロセッサ108、メモリ109、及び通信インタフェース103を備える。通信インタフェースは、信号線あるいは無線通信により、後述するサーバ4内の通信インタフェースと接続されている。
異常判定装置110は、路側センサ107から受信した信号を用いて、路側センサ107の異常の有無を判定し、その結果をサーバ4内の制御装置113へ送信する。
なお、異常判定装置110は、路側機1内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0019】
車両2は、本
図2に示すように、前記の車載周辺監視センサ101と車載GPS102、及び異常判定装置106を備える。異常判定装置106は、一般的なコンピュータあるいはECUであり、プロセッサ104、メモリ105、及び通信インタフェース103を備える。通信インタフェースは、無線通信により、後述するサーバ4内の通信インタフェースと接続されている。
異常判定装置106は、車載周辺監視センサ101及び車載GPS102から受信した信号を用いて、これらの異常の有無を判定し、その結果をサーバ4内の制御装置113へ送信する。
なお異常判定装置106は、車両2内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0020】
サーバ4は、本
図2に示すように、制御装置113を備える。制御装置113は、一般的なコンピュータあるいはECU(Electronic Control Unit)であり、プロセッサ111、メモリ112、及び通信インタフェース103を備える。通信インタフェースは、信号線あるいは無線通信により、路側機1及び車両2内の通信インタフェースと接続されている。
制御装置113は、路側機1あるいは車両2から送信された異常判定結果に基づき、前記のように種々の方法で報知する。
なお制御装置113は、サーバ4内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0021】
なお、前記のプロセッサ108、プロセッサ104及びプロセッサ111は、メモリ109、メモリ105及びメモリ112に記憶されたプログラムを読み出し、プログラムを実行するプロセッシング装置である。プロセッシング装置は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれることもある。プロセッサは、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)である。
【0022】
またメモリ109、105及び112は、プロセッサ108、104及び111がプログラムを実行する際の一時データを記憶する主記憶装置(不図示)と、プロセッサが実行するプログラム及び閾値等の各種パラメータ等を記憶する補助記憶装置(不図示)とにより構成されている。
主記憶装置には、路側センサ107あるいは車載周辺監視センサ101、車載GPS102から得られる受信信号、路側機1及び車両2から送信される異常判定結果が一時的に記憶される。主記憶装置は、具体例として、RAM(Random Access Memory)である。
補助記憶装置は、異常判定プログラムと、OS(Operating System)(不図示)等を記憶しており、具体例として、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)である。補助記憶装置は、NANDフラッシュ等の可搬記録媒体であっても良い。検出プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されても良い。
【0023】
さらに通信インタフェース103は、プロセッサ108またはプロセッサ104が生成する異常判定結果等の信号をプロセッサ111へ送信し、またプロセッサ111が生成する報知内容等の信号をプロセッサ108または104へ送信する。
通信インタフェース103は、複数種類の信号を送受信する1つのインタフェースから成っても良いし、必要な個別の機能を有する複数のインタフェースから成っても良い。
【0024】
図3は、異常判定システムの機能ブロック図の例である。本
図3を用いて、異常判定システムの構成を説明する。
異常判定システムは、前記のように路側機1、車両2及びサーバ4から構成されるが、
サーバ4では異常判定結果を報知する機能を有するのみであるため、
図3においては不図示かつ詳細説明を省略する。なお、前記のように、報知方法としては、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる(報知には、路側機1あるいは車両2を遠隔制御することも含む)。
【0025】
図3を用いて、先ず路側機1が有する機能について説明する。異常判定装置110は、物体検出部118、絶対位置算出部119及び異常判定部120を備えており、さらに路側機1の設置位置情報121及びターゲットオブジェクト3の設置位置情報114が、路側機1内のメモリ109に格納されている。
物体検出部118、絶対位置算出部119及び異常判定部120の各機能構成要素の機能は、各部の機能を発揮するためのプログラムをプロセッサ108が実行することにより実現される。
【0026】
物体検出部118は、路側センサ107から送信された信号を受信し、それを用いて路側センサ107の検出エリア内に存在する物体を検出する。ここで、物体検出の方法としては、当業者が考え得る種々の方法を取ることができる。
例えば、路側センサ107が画像認識カメラを備えており、カメラによる撮像画像を逐次受信して、受信した画像から公知の画像認識技術を用いて物体の位置あるいは種別を検出する方法を取ることができる。
また、例えば路側センサ107がミリ波レーダを備えており、ミリ波レーダが出力する各物体までの距離あるいは位置、速度等の情報を逐次受信して、それらのデータから物体を検出する方法を取ることができる。あるいは、レーダからは物体で反射して戻ってくる電波を波形として受信して、物体検出部118の内部で波形を解析して(例えば、物体での反射に相当するピークを求め、送信から反射までの時間と光速から距離を算出したり、複数の素子に対して算出した距離から三辺測量で位置を算出したり、等の方法で)物体を検出する方法を取ることができる。
あるいは、例えば路側センサ107が画像認識カメラとミリ波レーダを備えており、各々のセンサからは物体検出結果が出力されており、これらの情報を逐次受信して、各々のセンサによる結果を総合して判断することで(いわゆるセンサフュージョン)、最終的な物体検出結果として求める方法を取ることができる。
さらに、物体検出結果に対して、トラッキング(追尾)処理あるいはフィルタ処理等の種々の信号処理を施すことで、誤検出(ノイズ)を抑制したり、結果を補正したりして、より精度あるいは確度を高めても良い。
以上のように、具体的な信号処理による物体検出の処理は路側センサ107の内部で行っても良いし、波形のような生のデータを受信して物体検出部118の内部で行っても良いし、これらを複合しても良い。これらは、当業者が選択する路側センサ107の構成により変化し、適切な方法を取れば良い。
【0027】
絶対位置算出部119は、物体検出部118から物体検出結果を受け取り、路側機1の設置位置情報121を用いて、物体までの相対位置を絶対位置に変換する。
ここでの「相対位置」とは、路側機1の設置位置、あるいはさらにその中の路側センサ107の設置位置を原点とする座標系における位置のことを指す。
またここでの「絶対位置」とは、相対位置を緯度・経度で表した場合の位置、あるいは異常判定システムが備える路側機1、車両2及びサーバ4が共通で解釈可能な位置(例えば、異常判定システムが対象とするエリア内にある特定の位置を原点とした座標系を定め、原点の緯度・経度と座標系の定義がシステム内で共通である前提での相対位置を表したもの)のことを指す。
以上のように、相対位置で示される物体検出結果は、その原点と路側機1の設置位置情報121で定義される原点及び座標系の定義によって、絶対位置へと変換することができる。具体的な変換方法としては、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0028】
異常判定部120は、絶対位置算出部119から検出した物体の絶対位置情報を受け取り、絶対位置が既知であるターゲットオブジェクト3の設置位置情報114と比較することで、路側センサ107の異常判定を行い(詳細は後述)、判定結果を出力する。異常判定装置110は、その判定結果をサーバ4へ送信する。
【0029】
次に、
図3を用いて、車両2が有する機能について説明する。異常判定装置106は、物体検出部115、絶対位置算出部116及び異常判定部117を備えており、さらにターゲットオブジェクト3の設置位置情報114が、車両2内のメモリ105に格納されている。
物体検出部115、絶対位置算出部116及び異常判定部117の各機能構成要素の機能は、各部の機能を発揮するためのプログラムをプロセッサ104が実行することにより実現される。
【0030】
物体検出部115は、車載周辺監視センサ101から送信された信号を受信し、それを用いて車載周辺監視センサ101の検出エリア内に存在する物体を検出する。ここで、物体検出の方法としては、物体検出部118と同様、当業者が考えうる種々の方法を取ることができるため省略する。
【0031】
絶対位置算出部116は、物体検出部115から物体検出結果を受け取り、車載GPS102から受信した自車両の絶対位置情報を用いて、物体までの相対位置を絶対位置に変換する。
ここでの「相対位置」とは、車両2の特定の位置(例えば車両前方中央あるいは車両重心等)、あるいはさらにその中の車載周辺監視センサ101の設置位置を原点とする座標系における位置のことを指す。「絶対位置」の定義は前述の通りである。
以上のように、相対位置で示される物体検出結果は、その原点と車載GPS102から得られる自車両の絶対位置情報によって、絶対位置へと変換することができる。具体的な変換方法としては、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0032】
異常判定部117は、絶対位置算出部116から検出した物体の絶対位置情報を受け取り、絶対位置が既知であるターゲットオブジェクト3の設置位置情報114と比較することで、車載周辺監視センサ101の異常判定を行い(詳細は後述)、判定結果を出力する。異常判定装置106は、その判定結果をサーバ4へ送信する。
【0033】
<動作の説明>
異常判定装置110及び106の動作手順は、異常判定方法に相当する。また、異常判定装置110及び106の動作を実現するプログラムは、異常判定プログラムに相当する。
【0034】
図4は、本実施の形態に係る異常判定装置110及び異常判定装置106の動作の一例を示すフローチャートである。本
図4を用いて、まず異常判定装置110の動作を説明し、異常判定装置106については、異常判定装置110との差異を説明する。
【0035】
異常判定装置110における物体検出部118は、ステップS101の処理を実施する。
【0036】
(ステップS101:物体検出処理)
物体検出部118は、路側センサ107から受信したデータを用いて物体検出を行う。方法の一例は前述のとおりである。
【0037】
異常判定装置110における絶対位置算出部119は、ステップS102の処理を実施する。
【0038】
(ステップS102:絶対位置算出処理)
絶対位置算出部119は、ステップS101で算出した物体検出結果と、路側機1の設置位置情報121を用いて、物体の絶対位置を算出する。方法の一例は前述のとおりである。
【0039】
異常判定装置110における異常判定部120は、ステップS103からステップS105までの処理を実施する。
【0040】
(ステップS103:参照情報との比較)
異常判定部120は、ステップS102で算出した、路側センサ107で検出した物体の絶対位置と、ターゲットオブジェクト3の設置位置情報114とを比較する。ターゲットオブジェクト3は設置位置が既知であるため、参照情報(いわゆる正解情報)として利用できる。両者はともに絶対座標で表されているため、路側センサ107の検出結果とターゲットオブジェクト3の絶対位置が一致している場合には、路側センサ107は正常に動作していると判定できる。
なお一般に、路側センサ107で検出可能な物体は路側機1の対象エリア内に複数存在する。その場合には、検出結果も複数の物体が存在することになるため、一般化して「検出結果の中に、ターゲットオブジェクト3と一致しているものが含まれる場合」を正常とする。
また一般に、センサの検出誤差あるいは検出精度の兼ね合いで、厳密には両者の座標は一致しない。そのため、例えば「両者の絶対位置同士の距離が所定の第1閾値以下である場合」には、両者の絶対位置が一致しているとみなす。
【0041】
(ステップS104、ステップS105:判定結果の出力)
異常判定部120は、ステップS103の判定結果に基づき、正常である場合にはステップS104で「正常」という判定結果を出力する。また、正常でない場合にはステップS105で「異常」という判定結果を出力する。
判定結果の出力処理が終了すれば、ステップS101へ戻り、以降の処理を適切な時間間隔で繰り返す。
【0042】
なお、以上では説明を容易にするため、正常でない場合を「異常」という1通りの種類で判定しているが、ステップS103での比較結果に基づき、正常でない場合を2通り以上の種類に分類して判定しても良い。例えば、ステップS103において路側センサ107の検出結果に物体が1つも存在しない場合には路側センサ107の「故障」と判定して、ターゲットオブジェクト3と近い距離に検出結果が存在するが、一致はしない場合には「故障ではないが、センサの軸ずれあるいは汚れ等により、センサが性能低下している」と判定しても良い。後者の場合、その結果を受信したサーバ4にて報知内容を変更して、例えば路側機1の動作を一時停止させて、オペレータが軸ずれの有無を確認して再度校正したり、汚れを拭き取ったりといった対応を取ることもできる。
【0043】
次に、異常判定装置106の動作を、異常判定装置110との差異を中心に説明する。
【0044】
異常判定装置106における物体検出部115は、ステップS101の処理として、車載周辺監視センサ101から受信したデータを用いて物体検出を行う。詳細は異常判定装置110と同様であるため省略する。
【0045】
異常判定装置106における絶対位置算出部116は、ステップS102の処理として、ステップS101で算出した物体検出結果と、車載GPS102から受信した自車両の絶対位置情報を用いて、物体の絶対位置を算出する。詳細は異常判定装置110と同様であるため省略する。
【0046】
異常判定装置106における異常判定部117は、ステップS103からステップS105までの処理として、ステップS102で算出した、車載周辺監視センサ101及び車載GPS102で検出した物体の絶対位置と、ターゲットオブジェクト3の設置位置情報114とを比較し、異常判定を行い、判定結果を出力する。詳細は異常判定装置110と同様であるため省略する。
【0047】
<実施の形態1の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、異常判定システムは、路側機1と車両2の各々について、センサでの物体検出を行い、その結果を参照情報であるターゲットオブジェクト3の設置位置と比較することで、センサの異常判定を行う。これにより、複数台の車両を用いることなく、路側機1と車両2の各々についてセンサ異常の有無を判定することができる。
【0048】
実施の形態1における変形例について説明する。
<変形例1>
本実施の形態では、ターゲットオブジェクト3を設置座標が明らかである位置に設置しているが、予め存在する物体をターゲットオブジェクト3として利用しても良い。
例えば、路側機1及び車両2が高精度地図情報を備えており、地図に含まれる、設置位置が明らかである物体(例えば標識、ポール、ガードレール等)をターゲットオブジェクト3とすることで、路側機1及び車両2は、高精度地図情報をターゲットオブジェクト3の設置位置情報114の代わりとして用いることができる。
なお、ターゲットオブジェクト3の選択方法は前記に限定されるものではなく、当業者が考え得る種々の方法で選択可能である。
【0049】
<変形例2>
本実施の形態では、各機能構成要素をソフトウェアで実現する場合を説明した。しかし、変形例として、各機能構成要素はハードウェアで実現されても良い。
【0050】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、異常判定システムにおける異常判定装置110及び異常判定装置106、さらに制御装置113は、プロセッサ108、104及び111に代えて、電子回路を備える。あるいは、プロセッサ108、104及び111とメモリ109、105及び112に代えて、電子回路を備える。電子回路は、各プロセッサ(及びメモリ)での機能を実現する専用の電子回路である。電子回路を、処理回路と呼ぶこともある。
【0051】
電子回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が想定される。
【0052】
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現しても良い。
【0053】
あるいは、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されても良い。
【0054】
前述したプロセッサ108、104及び111とメモリ109、105及び112とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、異常判定装置110及び106、さらに制御装置113の各機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
【0055】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る異常判定システムは、異常判定の行われる対象が車両2の備える車載周辺監視センサ101である点は実施の形態1と同じであるが、システム構成が異なる。
以下、本実施の形態2と、実施の形態1との差異を説明する。
【0056】
<構成の説明>
図5は、本実施の形態2に係る異常判定システムの適用例を示している。
異常判定システムは、路側機1及び車両2と、不図示のサーバで構成される。
本実施の形態2では、実施の形態1におけるターゲットオブジェクト3の代わりに、路側機1を参照情報として用いて、車両2に異常が発生しているかを逐次判定し、異常判定結果をサーバへ逐次送信し、サーバは判定結果を報知する。以下、各構成要素の詳細を示す。
【0057】
路側機1及び車両2の基本的な要件は実施の形態1と同様である。ただし、路側機1は、車両2が備える車載周辺監視センサ101で検出可能な物体である、あるいは、車載周辺監視センサ101は、路側機1を検出可能な構成である必要がある点が異なる。
また、路側機1は、車載周辺監視センサ101で検出可能な位置に設置されている必要がある点も異なる。
【0058】
図6は、異常判定システムにおける車両2の機能ブロック図の例である。基本的な構成は
図3に示す車両2と同様であるが、ターゲットオブジェクト3の設置位置情報114の代わりに、路側機1の設置位置情報121が、車両2内のメモリ105に格納されている点が異なる。また、その変更に対応して、異常判定部117の代わりに異常判定部130を備える点も異なる。
なお、本実施の形態では、路側機1は参照情報用の物体として利用するため、路側機1そのものの機能は
図6では示していない。すなわち、本実施の形態では、路側機1は実施の形態1と同様に動作させても良いが、必ずしも動作させる必要はなく、また動作させる場合にも、必ずしも正常状態である必要はない。
【0059】
<動作の説明>
図7は、本実施の形態2に係る異常判定装置106の動作の一例を示すフローチャートである。
図7と
図4を用いて、実施の形態1に係る異常判定装置106との差異を説明する。
【0060】
異常判定装置106における物体検出部115がステップS201の処理を実施し、絶対位置算出部116がステップS202の処理を実施して、物体の絶対位置を算出する点は実施の形態1と同様である。
【0061】
異常判定装置106における異常判定部130は、ステップS203の処理として、ステップS202で算出した物体の絶対位置と、路側機1の設置位置情報121とを比較し、異常判定を行う点が実施の形態1における
図4のステップS103と異なる。ただし、判定方法は実施の形態1と同様であり、ステップS204、S205の処理を実施して判定結果を出力する点および、その後ステップS201へ戻り、以降の処理を適切な時間間隔で繰り返す点も実施の形態1と同様である。
【0062】
<実施の形態2の効果>
以上のように、本実施の形態によれば、異常判定システムは、ターゲットオブジェクト3の代わりに、路側機1の設置位置情報121を参照情報として用いて、車両2に異常が発生しているかを判定する。これにより、通常の自動運転システムとして路側機と車両が存在する状況のまま、路側機をターゲットオブジェクトとして利用することができ、新規でのオブジェクトの設置が不要となる効果が得られる。
【0063】
実施の形態3.
本実施の形態3に係る異常判定システムは、異常判定の行われる対象が路側機1の備える路側センサ107である点は実施の形態1と同じであるが、システム構成が異なる。
以下、本実施の形態3と、実施の形態1との差異を説明する。
【0064】
<構成の説明>
図8は、本実施の形態3に係る異常判定システムの適用例を示している。
異常判定システムは、路側機1及び車両2と、不図示のサーバで構成される。
本実施の形態では、実施の形態1におけるターゲットオブジェクト3の代わりに、車両2を参照情報として用いて、路側機1に異常が発生しているかを逐次判定し、異常判定結果をサーバへ逐次送信し、サーバは判定結果を報知する。以下、各構成要素の詳細を示す。
【0065】
路側機1及び車両2の基本的な要件は実施の形態1と同様である。ただし、車両2は、路側機1が備える路側センサ107で検出可能な物体である、あるいは、路側センサ107は、車両2を検出可能な構成である必要がある点が異なる。
また、路側機1は、車両2を検出可能な位置に設置されている必要がある点も異なる。
具体例として、車両2が走行可能な走路の脇に路側機1を設置することができる。
さらに、車両2は、自車両の現在位置情報122を、通信インタフェース103を通じて路側機1へ逐次送信する点も異なる。ここでの現在位置情報とは、車載GPS102で検出した、自車両の絶対位置のことを指す。
【0066】
図9は、本実施の形態3に係る異常判定システムにおける路側機1の機能ブロック図の例である。基本的な構成は
図3に示す路側機1と同様であるが、ターゲットオブジェクト3の設置位置情報114の代わりに、車両2の現在位置情報122が、通信インタフェース103を通じて路側機1内のメモリ109に逐次受信されている点が異なる。また、その変更に対応して、異常判定部120の代わりに異常判定部131を備える点も異なる。
なお、本実施の形態では、車両2は参照情報用の物体として利用するため、車両2そのものの機能は
図9では示していない。すなわち、本実施の形態では、車両2は実施の形態1と同様に動作させても良いが、必ずしも動作させる必要はなく、また動作させる場合にも、必ずしも正常状態である必要はない。
【0067】
<動作の説明>
図10は、本実施の形態3に係る異常判定装置110の動作の一例を示すフローチャートである。
図10と
図4を用いて、実施の形態1に係る異常判定装置110との差異を説明する。
【0068】
異常判定装置110における物体検出部118がステップS301の処理を実施し、絶対位置算出部119がステップS302の処理を実施して、物体の絶対位置を算出する点は実施の形態1と同様である。
【0069】
異常判定装置110における異常判定部131は、ステップS303の処理として、ステップS302で算出した物体の絶対位置と、車両2の現在位置情報122とを比較し、異常判定を行う点が実施の形態1における
図4のステップS103と異なる。ただし、判定方法は実施の形態1と同様であり、ステップS304、S305の処理を実施して判定結果を出力する点および、その後ステップS301へ戻り、以降の処理を適切な時間間隔で繰り返す点も実施の形態1と同様である。
【0070】
<実施の形態3の効果>
以上のように、本実施の形態3によれば、異常判定システムは、ターゲットオブジェクト3の代わりに、車両2の現在位置情報122を参照情報として用いて、路側機1に異常が発生しているかを判定する。これにより、通常の自動運転システムとして路側機と車両が存在する状況のまま、車両をターゲットオブジェクトとして利用することができ、新規でのオブジェクトの設置が不要となる効果が得られる。
【0071】
実施の形態3における変形例について説明する。
<変形例1>
本実施の形態では、車両2をターゲットオブジェクト3の代わりとして用いているが、車両の代わりに歩行者であっても良い。その場合、本実施の形態と同様に、路側センサ107は、車両2の代わりに歩行者を検出可能な構成であるように路側機1を設置しても良いし、歩行者が、現在位置情報を路側機1へ逐次送信しても良い。
例えば、歩行者はこの自動運転システムのエリア内で利用するアプリを歩行者のスマートフォン等携帯型端末へ事前にインストールしておき(あるいは事前に歩行者へアプリがインストールされた携帯型端末を貸与し)、携帯型端末が備えるGPSから取得した現在位置情報を、無線通信で路側機1へ逐次送信することができる。
あるいは歩行者として、一般ユーザではなく、点検員あるいはオペレータ等の関係者のみをターゲットオブジェクト3の代わりとして、その人々に、路側センサ107で検出可能な物体を身に付けさせることで、より確実かつ精度良く歩行者を検出可能な状態にすることもできる。例えば、路側センサ107は画像認識カメラを備え、点検員はカメラキャリブレーション用のチェッカーボードあるいはそれ相当の文様を備えた作業服を着用して、路側機1の検出エリア内を所定のタイミングで歩行することで、異常判定を行っても良い。
なお、歩行者の様態は前記に限定されるものではなく、当業者が考え得る種々の方法で、歩行者の現在位置情報を参照情報として利用可能な状態にすることが可能である。
【0072】
<変形例2>
本実施の形態では、一般的なエリアに配置された路側機1と、その検出エリア内を走行する車両2を対象としているが、特定のエリアに限定して、より正確な異常判定を行っても良い。
例えば、路側機1を自動運転バス等の停留所に設置して、停留所で停車するバス等の車両の現在位置情報を参照情報として利用することができる。この場合、バスのような車両2は事前に決められた場所に停車するため、より確実かつ精度良く車両2を検出可能な状態にすることができる。
なお、エリアの限定方法及び限定エリアにおいて参照情報として利用する車両の種類は前記に限定されるものではなく、当業者が考えうる種々の方法で、車両2の現在位置情報を参照情報として利用可能な状態にすることが可能である。
【0073】
実施の形態4.
実施の形態1及び2に係る異常判定システムでは、車両2が備える車載周辺監視センサ101の異常を判定することが可能であるが、車載GPS102が正常に動作している(自車両の現在位置情報を適切に取得できる)ことが前提であった。そのため、車載GPS102に異常が発生している場合には、適切な異常判定が行えない可能性がある。
【0074】
本実施の形態4に係る異常判定システムは、前記の課題を解決するためになされるものであり、路側機及び車両2の異常の有無を判定する際に、車載周辺監視センサ101のみならず、車載GPS102についても判定を行うこと、すなわち、異常の発生箇所を特定することを目的とする。
システムの構成としては、ターゲットオブジェクト3が存在しない点、路側機を複数台備える点が実施の形態1と異なる。
以下、本実施の形態4と、実施の形態1との差異を説明する。
【0075】
<構成の説明>
図11は、本実施の形態4に係る異常判定システムの適用例を示している。
異常判定システムは、路側機1a及び1bと、車両2及び不図示のサーバで構成される。
本実施の形態4では、まず路側機1bを参照情報として用いて、路側機1aに異常が発生しているかを判定し、その後、路側機1aの検出結果を参照情報として用いて、車両2が備える車載周辺監視センサ101及び車載GPS102に異常が発生しているかを逐次判定する。また、各々の物体検出結果をサーバへ逐次送信し、サーバ側で各々の異常判定を実施し、判定結果を報知する。以下、各構成要素の詳細を説明する。
【0076】
路側機1aは、路側機1b及び車両2を検出可能な位置に設置されている必要がある。
路側機1bは、路側機1aが備える路側センサ107a及び車両2が備える車載周辺監視センサ101で検出可能な物体である、あるいは、路側センサ107a及び車載周辺監視センサ101は、路側機1bを検出可能な構成である必要がある。
また路側機1bは、路側センサ107a及び車載周辺監視センサ101の検出エリア内に設置されている必要がある。
【0077】
車両2は、路側機1aが備える路側センサ107aで検出可能な物体である、あるいは、路側センサ107aは、車両2を検出可能な構成である必要がある。
【0078】
以上を物体検出センサ側の観点で整理すると、路側機1aは、路側機1b及び車両2を検出可能な配置及びセンサ構成である必要がある。また車両2は、路側機1bを検出可能なセンサ構成である必要がある。
【0079】
同様に、検出対象側の(センサにより検出される物体としての)観点で整理すると、路側機1bは、路側機1a及び車両2が検出可能な物体である必要がある。また車両2は、路側機1aが検出可能な物体である必要がある。
【0080】
図12は、本実施の形態4に係る異常判定システムのハードウェア構成例を示している。異常判定システムは、本
図12に示すように、路側機1a及び路側機1b、車両2及びサーバ4で構成される。
以下、各機能構成要素について、
図2に示す実施の形態1に係る異常判定システムのハードウェア構成例との差異を説明する。
【0081】
路側機1aは、本
図12に示すように、基本的な構成は実施の形態1における路側機1と同様であるが、異常判定装置110の代わりに物体検出装置124aを備える点が実施の形態1と異なる。
具体的には、路側機1aは路側センサ107a及び物体検出装置124aを備え、物体検出装置124aは、プロセッサ108a、メモリ109a、及び通信インタフェース103aを備える。
路側機1bも路側機1aと同様の構成であり、本
図12に示すように、路側センサ107b及び物体検出装置124bを備え、物体検出装置124bは、プロセッサ108b、メモリ109b、及び通信インタフェース103bを備える。
【0082】
物体検出装置124a及び物体検出装置124bは、路側センサ107a及び路側センサ107bで求めた物体検出結果をサーバ4内の異常判定装置125へ送信する。
なお物体検出装置124a及び124bは、路側機1a及び路側機1b内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0083】
前記のように、本実施の形態4においては、路側機1bは路側機1aの異常判定を実施する際の参照情報として用いる。そのため、路側機1bは路側機1aと同様に動作させても良いが、必ずしも動作させる必要はなく、また動作させる場合にも、必ずしも正常状態である必要はない。
【0084】
車両2は、
図12に示すように、基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、異常判定装置106の代わりに物体検出装置123を備える点が実施の形態1と異なる。
具体的には、車両2は車載周辺監視センサ101と車載GPS102、及び物体検出装置123を備え、物体検出装置123は、プロセッサ104、メモリ105、及び通信インタフェース103を備える。
物体検出装置123は、車載周辺監視センサ101及び車載GPS102で求めた物体検出結果、さらに車載GPS102で求めた自車両の絶対位置情報をサーバ4内の異常判定装置125へ送信する。
なお物体検出装置123は、車両2内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0085】
サーバ4は、本
図12に示すように、基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、制御装置113の代わりに異常判定装置125を備える点が実施の形態1と異なる。
具体的には、サーバ4は異常判定装置125を備え、異常判定装置125は、プロセッサ111、メモリ112、及び通信インタフェース103を備える。
異常判定装置125は、路側機1a及び1bと、車両2から送信された物体検出結果、さらに車両2から送信された自車両の絶対位置情報に基づき、路側センサ107a、車載周辺監視センサ101及び車載GPS102の各々について、異常の有無を判定する。その後、サーバ4は実施の形態1と同様に、判定結果を種々の方法で報知する。
なお異常判定装置125は、サーバ4内の他の構成要素と一体化した形態又は分離することができない形態として実装されていても良く、あるいは、取り外しすることができる形態又は分離することができる形態として実装されていても良い。
【0086】
図13は、本実施の形態4に係る異常判定システムの機能ブロック図の例である。本
図13を用いて、異常判定システムの構成を説明する。
異常判定システムは、前記のように路側機1a及び1bと、車両2及びサーバ4から構成される。なお前記のように、路側機1bは参照情報として用いるため、路側機1bそのものの機能は図示していない。
【0087】
路側機1aが有する機能について説明する。物体検出装置124aは、物体検出部118a及び絶対位置算出部119aを備えており、さらに路側機1aの設置位置情報121aが、路側機1a内のメモリ109aに格納されている。
なお、物体検出部118a及び絶対位置算出部119aの機能は、実施の形態1における物体検出部118及び絶対位置算出部119と基本的に同様であるが、物体検出部118aは物体検出結果を絶対位置算出部119aのみならず、サーバ4へも送信する点が異なる。また、絶対位置算出部119aは算出した物体の絶対位置情報をサーバ4へ送信する点が異なる。
物体検出部118a及び絶対位置算出部119aの各機能構成要素の機能は、各部の機能を発揮するためのプログラムをプロセッサ108aが実行することにより実現される。
【0088】
また路側機1bについても路側機1aと同様であり、以上の説明における符号aをbに置換した構成である。
【0089】
次に
図13を用いて、車両2が有する機能について説明する。物体検出装置123は、物体検出部115及び絶対位置算出部116を備えている。
物体検出部115及び絶対位置算出部116の機能は、実施の形態1における物体検出部115及び絶対位置算出部116と基本的に同様であるが、物体検出部118a及び絶対位置算出部119aと同様、各々のブロックにおける出力をサーバ4へも送信する点が異なる。
物体検出部115及び絶対位置算出部116の各機能構成要素の機能は、各部の機能を発揮するためのプログラムをプロセッサ104が実行することにより実現される。
【0090】
引き続き
図13を用いて、サーバ4が有する機能について説明する。異常判定装置125は、異常箇所判定部128を備えている。さらに、路側機1a及び1bから受信した検出結果が、検出時刻(タイムスタンプ)と紐付いた状態でデータベース(図ではDBと略記)127a及び127b(不図示)として、サーバ4内のメモリ112に格納されている。同様に、車両2から受信した検出結果及び自車両の絶対位置情報が検出結果データベース126として格納されている。
ここで、検出結果は、物体検出部115、118a及び路側機1bの物体検出部118b(不図示)の出力である物体検出結果(物体の相対位置についての情報を含む)と、絶対位置算出部116、119a及び路側機1bの絶対位置算出部119b(不図示)の出力である物体の絶対位置情報との両方を含む。
【0091】
さらに、路側機1bの設置位置情報121bは、路側機1b内のメモリ109bのみならず、サーバ4内のメモリ112にも格納されている。
ここで、メモリ112には、路側機1bの設置位置情報121bのみならず、路側機1aの設置位置情報121aもまとめて格納しても良い。
【0092】
異常箇所判定部128は、路側機1aの検出結果データベース127a、車両2の検出結果データベース126及び路側機1bの設置位置情報121bの情報を用いて、路側機1a、車載周辺監視センサ101及び車載GPS102の各々について異常の有無を判定する。
【0093】
その後、サーバ4は実施の形態1と同様に、異常箇所判定部128の出力である判定結果を種々の方法で報知する。例えばサーバ4から車両2へ緊急停止の指令とともに判定結果も送信し、車両2は備えている車載周辺監視センサ101あるいは車載GPS102のうち正常な方及び、周辺の路側機を用いて自動運転を行い、緊急避難場所まで退避させることができる。
以上のように、異常箇所に応じて報知内容を変更しても良い。報知内容についてはこれに限られるものではなく、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0094】
<動作の説明>
図14は、本実施の形態4に係る異常判定装置125の動作の一例を示すフローチャートである。本図を用いて、異常判定装置125の動作を説明する。
【0095】
異常判定装置125における異常箇所判定部128は、ステップS401からS405までの処理を実施する。
【0096】
(ステップS401:路側機1aの異常判定処理)
異常箇所判定部128は、路側機1aが備える物体検出部118a及び絶対位置算出部119aから受信したデータが格納される、路側機1aの検出結果データベース127aと、路側機1bの設置位置情報121bとを用いて(いずれもサーバ4が備える)、路側機1aの異常判定を行う。
具体的には、路側機1bの設置位置情報121bを参照情報として、路側機1aの検出結果データベース127aに格納された検出結果と比較する。比較の方法は実施の形態1における
図4のステップS103と同様であるため、詳細は省略する。
比較の結果、路側機1aの検出結果に路側機1bが含まれていれば、正常であると判定する。
【0097】
(ステップS402・S403:判定結果の出力)
異常箇所判定部128は、ステップS401の判定結果に基づき、正常である場合にはステップS402で「正常」という判定結果を出力する。また、正常でない場合にはステップS403で「異常」という判定結果を出力する。なお、正常でない場合を2通り以上の種類に分類して判定しても良い点は、実施の形態1における
図4のステップS104及びS105と同様であるため、詳細は省略する。
【0098】
比較の結果、ステップS402が実行された場合(正常と判定された場合)には、ステップS404に進む。また、ステップS403が実行された場合(異常と判定された場合)には、ステップS401へ戻る。すなわち、路側機1aに異常が発生している場合には、車両2側の異常判定は開始せず、正常と判定されるまで、ステップS401の判定を適切な時間間隔で繰り返す。
例えば、ステップS403において路側機1aが異常と判定された場合には、サーバ4の報知処理により、オペレータへ路側機1aの修理あるいは交換等の対応を促し、正常と判定される状態になる行動をとることができる。異常発生時の報知方法・内容については、前述の通り、これに限定されるものではなく、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0099】
(ステップS404:車両2の異常判定処理の開始判定)
異常箇所判定部128は、路側機1aの検出結果データベース127aと、車両2が備える物体検出部115及び絶対位置算出部116から受信したデータが格納される、車両2の検出結果データベース126とを用いて(いずれもサーバ4が備える)、車両2が路側機1aの検出エリア内に存在するかを判定する。
具体的には、路側機1aが正常であることはステップS401で判定済みなことを利用し、路側機1aの検出結果データベース127aに格納された検出結果に、オブジェクト「車両2」に相当する物体が含まれるかを確認する。
【0100】
ここで、具体的な確認方法の例を説明する。前記のように、路側機1aは、路側機1b及び車両2を検出可能な位置に設置されており、また物体検出結果をサーバ4内の異常判定装置125へ逐次送信している。そのため、車両2が路側機1aの検出エリア内に進入したタイミングで、路側機1aの検出結果にオブジェクトが増えることを確認できる。このことを以て、車両2が路側機1aの検出エリア内に存在すると判定する。
なお確認方法はこれに限られるものではない。
例えば路側機1aが設置エリア周辺の地図情報を備えており、新規オブジェクトを検出し、さらにそのオブジェクトが地図上で車両2が走行可能なエリア内に存在することを以て、車両2が検出エリア内に存在すると判定しても良い(例えば路側機1aが交差点に設置されている場合に、新規オブジェクトが地図上で歩道に存在する場合には車両ではないと判定し、車道に存在する場合には車両であると判定する、等)。
【0101】
あるいは、路側機1aが路側センサ107aとして画像認識カメラを備えており、新規オブジェクトを検出し、さらにそのオブジェクトの属性情報が「車両」「四輪車」等であることを以て、車両2が検出エリア内に存在すると判定しても良い。
【0102】
あるいは、車両2は管制システムで管理される自動運転車両であり、車両運行計画等に基づいて、計画上の車両2が路側機1aの検出エリア内を走行予定であるタイミングで路側機1aが新規オブジェクトを検出したことを以て、車両2が検出エリア内に存在すると判定しても良い。
その他、これらの方法の組み合わせ、あるいは当業者が考えうる種々の方法で、車両2が路側機1aの検出エリア内に進入したことを確認することができる。
【0103】
確認の結果、路側機1aの検出結果にオブジェクト「車両2」が含まれる場合には、車両2が路側機1aの検出エリア内に存在すると判定し、ステップS405に進む。一方、含まれない場合には、車両2は路側機1aの検出エリア内に存在しないと判定し、ステップS401へ戻る。すなわち、車両2が路側機1aの検出エリア内に進入したことを以て、車両2側の異常判定を開始する。
【0104】
(ステップS405:車両2の異常判定処理)
異常箇所判定部128は、路側機1aの検出結果データベース127aと、車両2の検出結果データベース126とを用いて、車両2の異常判定を行う(後述)。
車両2の判定処理が終了したら、ステップS401へ戻り、以降の処理を適切な時間間隔で繰り返す。
【0105】
次に
図15を用いて、
図14におけるステップS405の動作について詳細を説明する。本図は、本実施の形態4に係るステップS405における、車両2の異常判定処理の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS405では、ステップS4051からS4059までの処理を実施する。
【0106】
(ステップS4051:オブジェクト「路側機1b」の絶対位置についての比較)
ステップS4051では、路側機1aの検出結果データベース127aに格納された検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」を参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された検出結果と比較する。
【0107】
具体的には、路側機1aは前記のように、路側機1bを検出可能な位置に設置されており、かつステップS401で正常と判定済みであるため、路側機1aの検出結果には「路側機1b」というオブジェクトが含まれる。これを参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された、対応する時刻における検出結果と比較する。
【0108】
ここで、前記のように車両2は路側機1bを検出可能、かつ路側機1aと路側機1bの設置位置は近接しており、かつステップS404において、車両2が路側機1aの検出エリア内に存在することが判定済みである。そのため、もし車両2が備える車載周辺監視センサ101及び車載GPS102がともに正常であれば、ステップS4051が実行されるタイミングにおける車両2の検出結果には、路側機1bが含まれる。
【0109】
したがって、判定条件1として、「路側機1aの検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」を参照情報として、参照情報と、車両2の検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」の情報が一致するか?」を設定する。判定方法は実施の形態1における
図4のステップS103と同様であるため、詳細は省略する。
判定条件1を満たす場合はステップS4052に進み、満たさない場合はステップS4053へ進む。
【0110】
(ステップS4052:オブジェクト「車両2」の絶対位置についての比較)
ステップS4052では、路側機1aの検出結果データベース127aに格納された検出結果に含まれるオブジェクト「車両2」を参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された車両2の絶対位置情報と比較する。
具体的には、路側機1aが正常であり、かつ路側機1aが車両2を検出していることがステップS401及びS404で判定済みであることから、検出した「車両2」というオブジェクトを参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された、対応する時刻における自車両の絶対位置情報と比較する。
【0111】
ここで、もし車両2が備える車載GPS102が正常であれば、ステップS4052が実行されるタイミングにおける車両2の絶対位置情報は、路側機1aが検出した車両2の絶対位置情報と一致する。
したがって、判定条件2として、「路側機1aの検出結果に含まれるオブジェクト「車両2」を参照情報として、参照情報と、車両2の絶対位置情報が一致するか?」を設定する。判定方法は実施の形態1における
図4のステップS103と同様であるため、詳細は省略する。
判定条件2を満たす場合はステップS4055に進み、満たさない場合はステップS4056へ進む。
【0112】
(ステップS4055:判定結果の出力)
ステップS4055の判定結果に基づき、判定条件2を満たす場合(すなわち判定条件1と2を両方満たす場合)には、判定条件2より、車両2の絶対位置情報が参照情報と一致するため、絶対位置情報を算出する車載GPS102が正常であることを意味する。
さらに判定条件1より、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」が参照情報と一致するため、物体検出を行うための車載周辺監視センサ101も正常であることを意味する。
したがって、ステップS4055で「車載周辺監視センサ101が正常、かつ車載GPS102が正常」という判定結果を出力し、
図14におけるステップS405の動作を終了する。
【0113】
(ステップS4055:判定結果の出力)
ステップS4052の判定結果に基づき、判定条件2を満たさない場合(すなわち判定条件1を満たすが2を満たさない場合)には、判定条件2より、車両2の絶対位置情報が参照情報と一致しないため、絶対位置情報を算出する車載GPS102が異常であることを意味する。
【0114】
それにもかかわらず車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」が参照情報と一致することは、物体検出を行うための車載周辺監視センサ101が誤った結果を出力し、その結果を異常状態の車載GPS102を用いて絶対位置に変換した結果、偶然絶対位置が参照情報と一致したことを意味する。
したがって、ステップS4056で「車載周辺監視センサ101が異常、かつ車載GPS102が異常」という判定結果を出力し、
図14におけるステップS405の動作を終了する。
【0115】
(ステップS4053:オブジェクト「車両2」の絶対位置についての比較)
ステップS4053では、ステップS4052と同様の判定条件2により、車載GPS102の異常判定を行う。
判定条件2を満たす場合はステップS4057に進み、満たさない場合はステップS4054へ進む。
【0116】
(ステップS4057:判定結果の出力)
ステップS4053の判定結果に基づき、判定条件2を満たす場合(すなわち判定条件1を満たさないが2を満たす場合)には、判定条件2より、車両2の絶対位置情報が参照情報と一致するため、絶対位置情報を算出する車載GPS102が正常であることを意味する。
ところが判定条件1より、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」が参照情報と一致しないため、物体検出を行うための車載周辺監視センサ101が異常であることを意味する。
したがって、ステップS4057で「車載周辺監視センサ101が異常、かつ車載GPS102が正常」という判定結果を出力し、
図14におけるステップS405の動作を終了する。
【0117】
(ステップS4054:オブジェクト「路側機1b」の相対位置についての比較)
ステップS4054では、路側機1aの検出結果データベース127aに格納された検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」の相対位置を参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された検出結果と比較する。
具体的には、前記のように、路側機1aの検出結果には「路側機1b」及び「車両2」というオブジェクトが含まれる。これらの相対位置(すなわち車両2と路側機1bの相対的な位置関係)を参照情報として、車両2の検出結果データベース126に格納された、対応する時刻における検出結果と比較する。
ここで、もし車両2が備える車載周辺監視センサ101が正常であれば、ステップS4054が実行されるタイミングにおいて、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」と自車両との相対位置は、路側機1aが検出したオブジェクト「路側機1b」と「車両2」との相対位置と一致する(なおステップS4053の結果により、車載GPS102は異常であるため、相対位置から絶対位置への変換は適切に行われないため、両者の絶対位置は一致しない)。
したがって、判定条件3として、「路側機1aの検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」と「車両2」との相対位置情報を参照情報として、参照情報と、車両2の検出結果に含まれるオブジェクト「路側機1b」と自車両との相対位置情報が一致するか?」を設定する。判定方法は実施の形態1における
図4のステップS103と同様であるため、詳細は省略する。
判定条件3を満たす場合はステップS4058に進み、満たさない場合はステップS4059へ進む。
【0118】
(ステップS4059:判定結果の出力)
ステップS4054の判定結果に基づき、判定条件3を満たす場合(すなわち判定条件1と2を満たさず、3を満たす場合)には、判定条件3より、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」と自車両との相対位置が参照情報と一致するため、物体検出を行うための車載周辺監視センサ101が正常であることを意味する。
また判定条件2より、車両2の絶対位置情報が参照情報と一致しないため、絶対位置情報を算出する車載GPS102が異常であることを意味する。
この場合、判定条件1において、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」と自車両との絶対位置が参照情報と一致しないのは、前記判定条件2及び3の結果と整合する。
したがって、ステップS4058で「車載周辺監視センサ101が正常、かつ車載GPS102が異常」という判定結果を出力し、
図14におけるステップS405の動作を終了する。
【0119】
(ステップS4059:判定結果の出力)
ステップS4054の判定結果に基づき、判定条件3を満たす場合(すなわち判定条件1と2と3をいずれも満たさない場合)には、判定条件3より、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」と自車両との相対位置が参照情報と一致しないため、物体検出を行うための車載周辺監視センサ101が異常であることを意味する。
また判定条件2より、車両2の絶対位置情報が参照情報と一致しないため、絶対位置情報を算出する車載GPS102が異常であることを意味する。
この場合、判定条件1において、車両2が検出したオブジェクト「路側機1b」と自車両との絶対位置が参照情報と一致しないのは、前記判定条件2及び3の結果と整合する。
したがって、ステップS4059で「車載周辺監視センサ101が異常、かつ車載GPS102が異常」という判定結果を出力し、
図14におけるステップS405の動作を終了する。
【0120】
以上で説明したステップS405の処理で実施する判定条件1から判定条件3までの判定は一例であり、同等の判定を実施可能であれば、判定フローの順序を適宜入れ替えても良いし、すべての条件をまとめて判定しても良い。判定の実施方法は、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0121】
<実施の形態4の効果>
以上のように、本実施の形態4によれば、異常判定システムは、ターゲットオブジェクト3の代わりに、複数台の路側機を備え、まず路側機1aの検出結果データベース127aと路側機1bの設置位置情報121bを比較することで、路側機1aに異常が発生しているかを判定した後に、路側機1aの検出結果と、車両2の検出結果データベース126を比較することで、車両2が備える車載周辺監視センサ101及び車載GPS102の各々に対して、異常が発生しているかを判定する。
これにより、通常の自動運転システムとして複数台の路側機と車両が存在する状況のまま異常判定を行うことで新規でのオブジェクトの設置が不要となるという、実施の形態2及び3の効果に加えて、車両が備える車載周辺監視センサと車載GPS各々の異常を区別して判定することができるという効果が得られる。
【0122】
実施の形態の他の構成、即ち変形例について説明する。
<変形例1>
本実施の形態においては、路側機1bは路側機1aの異常判定を実施する際の参照情報として用いているが、路側機として動作させて活用することができる。
例えば、
図11に示す異常判定システムの適用例では、路側機1bの検出エリア内には車両2が存在せず、車両2を検出していないが、その後車両2が検出エリア内に進入した場合、あるいは路側機1bの設置位置あるいは、及び設置方向が
図11と異なり、車両2を検出可能な状況にある場合等では、路側機1bが備える路側センサ107bは車両2を検出することができる。
【0123】
この場合、前記の路側機1a、1bに関する条件に加えて、路側機1aは、路側機1bが備える路側センサ107bで検出可能な物体である、あるいは、路側センサ107bは、路側機1aを検出可能な構成である必要がある。さらに路側機1aは、路側センサ107bの検出エリア内に設置されている必要がある。
【0124】
条件を再び物体検出センサ側の観点で整理すると、前記の条件に加えて、路側機1bは、路側機1aを検出可能な配置及びセンサ構成である必要がある。
【0125】
同様に、検出対象側の(センサにより検出される物体としての)観点で再び整理すると、前記の条件に加えて、路側機1aは、路側機1bが検出可能な物体である必要がある。
【0126】
このとき、
図13に示す機能ブロック図において、路側機1aの検出結果データベース127aと同様に、路側機1bの検出結果データベース127b(不図示、以下同様)をサーバ4に設け、これを路側機1aの検出結果データベース127aと合わせて用いた異常判定を行うことができる。
ただしこの場合、路側機1bが正常と判定されていることが前提であるため、
図13に示す機能ブロック図において、路側機1aの設置位置情報121aをサーバ4に設け、
図14のステップS401において路側機1aの異常判定を行ったのと同様に、路側機1aの設置位置情報121aを参照情報として、路側機1bの検出結果データベース127bに格納された検出結果と比較することで、路側機1bの異常判定を行う。すなわち、路側機1a及び1bは、互いの設置位置情報を参照情報として、互いの異常判定に用いる。
以上の方法により、参照情報として用いることのできる情報が増加するため、より確実に車両2が備える車載周辺監視センサと車載GPS各々の異常を判定することができる。
【0127】
<変形例2>
本実施の形態では、判定条件2において、路側機1aの検出結果と車両2の絶対位置情報とを比較することで、車載GPS102の異常判定に利用していたが、別の方法でも車載GPS102の異常を判定することができる。
例えば路側機1aがGPSを備えており、このGPSは正常に動作していることが確認済みである場合を考える。前記のように、判定条件2が確認されるタイミングでは、車両2は路側機1aの検出エリア内に存在するため、路側機1aと車両2は概ね近い位置に存在する。そのため、両者が備えるGPSの受信感度は、正常であれば概ね一致する。これを利用し、車載GPS102の受信感度が路側機1aの備えるGPSと比較して第2閾値以上低い場合には、車載GPS102が異常であると判定することができる。
なお、車載GPS102の異常判定方法としては、本実施の形態と本変形例のいずれかを実施しても良いし、両方を組み合わせて実施することで、より確実に異常判定しても良い。
【0128】
<変形例3>
本実施の形態では、路側機を2台備えた場合の例について説明したが、3台以上の場合でも、本実施の形態で説明した異常判定方法と同様の考え方で判定することができる。この場合、参照情報として用いることのできる情報が増加するため、より確実な異常判定を実施することができる。
【0129】
<変形例4>
本実施の形態では車両が1台である場合の例について説明したが、2台以上の場合でも、本実施の形態で説明した異常判定方法と同様の考え方で判定することができる。この場合、例えば前述のように、路側機1aが備える画像認識カメラで各車両を識別する、あるいは車両運行計画に基づき各車両を識別する等の方法で、路側機及び車両各々の物体検出結果データベースにおいて、検出結果のどのオブジェクトがどの車両に対応している(あるいは正常であれば対応するはず)かを識別した上で、各車両の車載周辺監視センサと車載GPS各々の異常を判定することができる。
識別方法は前記のものに限られるものではなく、当業者が考えうる種々の方法を取ることができる。
【0130】
<他の実施の形態>
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
また、各変形例を、個別に実施しても良いし、変形例同士を組み合わせて実施しても良い。
【0131】
また、実施の形態は、実施の形態1から4で示したものに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0132】
例えば、実施の形態1、2及び3においては、異常判定装置を路側機及び車両、あるいは車両の側に備え、各機器で異常判定を行った結果をサーバへ送信しているが、実施の形態4と同様に、サーバ内で全機器あるいは一部機器の異常判定を行っても良い。その場合、実施の形態4のように、絶対位置算出結果をサーバへ送信し、サーバは受信結果をデータベースへ格納し、その情報に基づき、対応する機器の異常判定を実施することができる。あるいは、データベースに格納せずに、直接異常判定処理を実施することもできる。変更の方法はこれらに限定されるものではなく、当業者が考えうる種々の変更が可能である。
【0133】
以上、好ましい実施の形態等について説明したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0134】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0135】
(付記1)
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部と、
前記物体検出部から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部と、
前記絶対位置算出部から出力される絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定部と、
を備えたことを特徴とする異常判定装置。
(付記2)
前記異常判定部は、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定することを特徴とする付記1に記載の異常判定装置。
(付記3)
付記1に記載の異常判定装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える路側機と、
前記異常判定装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSと、を備える移動体と、
前記路側機及び前記移動体が備える異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行う制御装置を備えるサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
(付記4)
付記2に記載の異常判定装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える路側機と、
前記異常判定装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSと、を備える移動体と、
前記路側機及び前記移動体が備える異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行う制御装置を備えるサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
(付記5)
前記参照情報は、既知の位置に設置され、前記物体検出用センサで検出可能なターゲットオブジェクトの絶対位置情報であることを特徴とする付記3または付記4に記載の異常判定システム。
(付記6)
前記参照情報は、前記路側機の設置位置情報であり、前記物体検出用センサは、前記車載周辺監視センサであることを特徴とする付記3または付記4に記載の異常判定システム。
(付記7)
前記参照情報は、前記移動体の現在位置情報であり、前記物体検出用センサは、前記路側センサであることを特徴とする付記3または付記4に記載の異常判定システム。
(付記8)
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出部と、前記物体検出部から出力される物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出部を備える物体検出装置と、前記物体検出用センサである路側センサと、を備える少なくとも2つの路側機と、
前記物体検出装置と、前記物体検出用センサである車載周辺監視センサと、自身の現在位置情報を取得及び送信する車載GPSを備える移動体と、
前記路側機のうち少なくとも1つと、及び移動体とが備える物体検出装置から出力される物体検出結果と、前記路側機の設置位置情報と、に基づき、前記路側センサ、前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定する異常箇所判定部を備える異常判定装置を備え、前記異常判定装置から出力される異常判定結果に基づく報知を行うサーバと、
を備えたことを特徴とする異常判定システム。
(付記9)
前記異常箇所判定部は、前記路側機が備える前記路側センサに異常が発生しているかを判定し、正常と判定された場合に、前記移動体が備える前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSに異常が発生しているかを判定することを特徴とする付記8に記載の異常判定システム。
(付記10)
前記異常箇所判定部は、判定対象とは異なる路側機の設置位置情報を参照情報として、前記参照情報と、異常判定対象とする路側機から出力される絶対位置情報とを比較することで、判定対象の路側機が備える路側センサに異常が発生しているかを判定することを特徴とする付記8または付記9に記載の異常判定装置。
(付記11)
前記異常箇所判定部は、判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に前記移動体が含まれる場合に、前記移動体が備える車載周辺監視センサ及び車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定することを特徴とする付記8から付記10のいずれか1つの付記に記載の異常判定システム。
(付記12)
前記異常箇所判定部は、
判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機の絶対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機の絶対位置情報とを比較した結果Aと、
前記判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、前記移動体の絶対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、自身の絶対位置情報とを比較した結果Bと、
判定対象の路側機が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、判定対象とは異なる路側機及び前記移動体の相対位置情報を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える物体検出装置から出力される物体検出結果に含まれる、前記判定対象とは異なる路側機と自身との相対位置情報とを比較した結果Cと、の結果に基づき、
前記移動体が備える前記車載周辺監視センサ及び前記車載GPSの各々に異常が発生しているかを判定することを特徴とする付記8から付記11のいずれか1つの付記に記載の異常判定システム。
(付記13)
前記路側機はGPSを備え、前記異常箇所判定部は、前記路側機が備えるGPSの受信感度を参照情報として、参照情報と、前記移動体が備える車載GPSの受信感度とを比較することで、前記移動体が備える車載GPSに異常が発生しているかを判定する、付記8から付記12のいずれか1つの付記に記載の異常判定システム。
(付記14)
前記移動体は、予め決められた、前記路側機の検出エリア内である所定位置に一時停止し、停止中に前記路側機及び、あるいは前記移動体が備える異常判定装置を動作させることを特徴とする付記8から付記13のいずれか1つの付記に記載の異常判定システム。
(付記15)
前記移動体を少なくとも2つ備えたことを特徴とする付記8または付記9に記載の異常判定システム。
(付記16)
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出ステップと、
前記物体検出ステップで得られた物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出ステップと、
前記絶対位置算出ステップで得られた絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定ステップとを含むことを特徴とする異常判定方法。
(付記17)
前記異常判定ステップでは、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定するステップを含むことを特徴とする付記16に記載の異常判定方法。
(付記18)
物体検出用センサの異常を判定するために異常判定装置に実行させる命令を含む異常判定プログラムであって、
物体検出用センサから出力される受信信号に基づき物体検出を行う物体検出ステップと、
前記物体検出ステップで得られた物体検出結果に含まれる物体の相対位置を絶対位置へ変換する絶対位置算出ステップと、
前記絶対位置算出ステップで得られた絶対位置情報を、参照情報と比較することで前記物体検出用センサに異常が発生しているかを判定する異常判定ステップとを含むことを特徴とする異常判定プログラム。
(付記19)
前記異常判定ステップでは、前記絶対位置情報の中に、参照情報との距離が第1閾値以下である物体が含まれる場合に、前記物体検出用センサが正常であると判定するステップを含むことを特徴とする付記18に記載の異常判定プログラム。
【符号の説明】
【0136】
1 路側機、101 車載周辺監視センサ、102 車載GPS、110 異常判定装置、115 物体検出部、116 絶対位置算出部、117 異常判定部、118 物体検出部、123 物体検出装置、125 異常判定装置、130 異常判定部、131 異常判定部