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特開2023-180616施設運用支援装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180616
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】施設運用支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20231214BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231214BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094061
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】真矢 讓
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀典
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
(72)【発明者】
【氏名】春名 高明
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】
施設における計画作成のような業務遂行を、実態に即してより正確に実現することを課題とする
【解決手段】
電力網2の運用を支援するための電力網復旧計画支援装置10において、電力網2の運用についてのセンサデータ111を受け付けるUI部15と、センサデータ111の取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示すセンサデータ111の確実度を算出するデータ評価部132と、確実度に応じて、センサデータ111を更生するデータ更生部133と、前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、記憶部に格納するデータ格納部を有し、前記記憶部に格納された確実度に従って、前記記憶部に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現する施設運用支援装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の運用を支援するための施設運用支援装置において、
前記施設の運用についての運用データを受け付ける通信装置と、
通信路を介して前記通信装置と接続し、データ管理プログラムを記憶する記憶装置と、
前記通信路を介して前記通信装置および前記記憶装置と接続し、
前記データ管理プログラムに従って、
前記運用データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す前記運用データの確実度を算出し、
前記確実度に応じて、前記運用データを更生し、
前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、前記記憶装置に格納する演算装置を有し、
前記記憶装置に格納された確実度に従って、前記記憶装置に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現する施設運用支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施設運用支援装置において、
前記複数の要素は、前記運用データの取得時期要素、取得場所要素および特性要素である施設運用支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の施設運用支援装置において、
前記演算装置は、前記データ管理プログラムに従って、
前記施設が被災した際に、前記通信装置を介して前記運用データを収集し、前記被災の際における前記確実度を算出し、
前記施設の運用計画は、前記施設の復旧計画である施設運用支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の施設運用支援装置において、
前記記憶装置は、復旧計画作成プログラムを記憶し、
前記演算装置は、前記復旧計画作成プログラムに従って、前記記憶装置に格納された前記運用データのうち、前記復旧計画の作成に必要な確実度の運用データを用いて、前記施設の復旧計画を作成する施設運用支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の施設運用支援装置において、
前記演算装置は、前記データ管理プログラムに従って、
前記運用データの取得時期の示す、前記被災による障害の発生順序および前記施設での階層関係を用いて、前記確実度を不安定と評価し、
前記障害が回復した際に、前記通信装置を用いてEndtoEnd通信を行い、
当該EndtoEnd通信により、前記施設の隠れ障害を検出する施設運用支援装置。
【請求項6】
施設の運用を支援するための施設運用支援装置を用いた施設運用支援方法において、
通信装置により、前記施設の運用についての運用データを受け付け、
通信路を介して前記通信装置と接続する記憶装置に、データ管理プログラムを記憶しておき、
前記データ管理プログラムに従って、前記通信路を介して前記通信装置および前記記憶装置と接続する演算装置により、
前記運用データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す前記運用データの確実度を算出し、
前記確実度に応じて、前記運用データを更生し、
前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、前記記憶装置に格納し、
前記記憶装置に格納された確実度に従って、前記記憶装置に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現する施設運用支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の施設運用支援方法において、
前記複数の要素は、前記運用データの取得時期要素、取得場所要素および特性要素である施設運用支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の施設運用支援方法において、
前記データ管理プログラムに従って前記演算装置により、
前記施設が被災した際に、前記通信装置を介して前記運用データを収集し、前記被災の際における前記確実度を算出し、
前記施設の運用計画は、前記施設の復旧計画である施設運用支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の施設運用支援方法において、
前記記憶装置に、復旧計画作成プログラムを記憶しておき、
前記演算装置により、前記復旧計画作成プログラムに従って、前記記憶装置に格納された前記運用データのうち、前記復旧計画の作成に必要な確実度の運用データを用いて、前記施設の復旧計画を作成する施設運用支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の施設運用支援方法において、
前記データ管理プログラムに従って前記演算装置により、
前記運用データの取得時期の示す、前記被災による障害の発生順序および前記施設での階層関係を用いて、前記確実度を不安定と評価し、
前記障害が回復した際に、前記通信装置を用いてEndtoEnd通信を行い、
当該EndtoEnd通信により、前記施設の隠れ障害を検出する施設運用支援方法。
【請求項11】
コンピュータである、施設の運用を支援するための施設運用支援装置を、
前記施設の運用についての運用データを受け付けるUI部と、
前記運用データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す前記運用データの確実度を算出するデータ評価部と、
前記確実度に応じて、前記運用データを更生するデータ更生部と、
前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、記憶部に格納するデータ格納部として機能させ、
前記記憶部に格納された確実度に従って、前記記憶部に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記複数の要素は、前記運用データの取得時期要素、取得場所要素および特性要素であるプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記施設運用支援装置を、前記運用データを収集するデータ収集部として機能させ、
前記データ収集部は、前記施設が被災した際に、前記UI部を介して、前記運用データを収集し、
前記データ評価部は、前記被災の際における前記確実度を算出し、
前記施設の運用計画は、前記施設の復旧計画であるプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記施設運用支援装置を、前記施設の復旧計画を作成する復旧計画作成部として機能させ、
前記データ格納部は、前記復旧計画作成部に対して、前記記憶部に格納された前記運用データのうち、前記復旧計画の作成に必要な確実度の運用データを出力するプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記データ評価部は、前記運用データの取得時期の示す、前記被災による障害の発生順序および前記施設での階層関係を用いて、前記確実度を不安定と評価し、
前記データ収集部は、前記障害が回復した際に、EndtoEnd通信を行い、
当該EndtoEnd通信により、前記施設の隠れ障害を検出するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、確実度に応じたデータ管理に関し、特に、当該データを用いた業務遂行を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野において、データを用いた業務が実行されている。この際、適切に業務を遂行するためには、データの確実度を考慮する必要がある。確実度が低いデータを用いて業務を実行すると、実態に即した分析等の情報処理が実行されない。このため、実行される業務も実態から乖離したものとなってしまう。例えば、業務遂行のために作成される計画の精度が低くなり、不効率ないし実現困難な計画となってしまうことがある。
【0003】
このため、業務の遂行に当たっては、より正確な計画の作成が求められる。例えば、特許文献1では、「予測不可能な状況が発生し得る、災害時などに効果的な意思決定を行うためには、やるべきタスクと必要な情報を適切な内容でかつ適切なタイミングで提供することを課題」としている。ここで、特許文献1では、「オリジナルデータや加工データに対して、情報源、およびその変遷(どういうルートを介して収集したか)をトレースし、信頼度分析」を行っている。そして、信頼度分析されたデータを用いて、タスクとして、ルートを有する物資配送計画を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-088829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1では、情報源と変遷に基づいて、信頼度を分析している。このため、信頼度の正確性を確保するには、情報源や変遷のような、分析の要因を精度よく分析する必要がある。しかしながら、特許文献1では、このことについては考慮されていない。このため、より実態に即した業務遂行が困難であった。
【0006】
そこで、本発明では、施設における計画作成のような業務遂行を、実態に即してより正確に実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該データの確実さを示す運用データの確実度を評価し、この評価結果に応じた業務遂行を実行する。なお、代表的な複数の要素は、取得時期要素、取得場所要素および特性要素である。また、この業務には、施設の運用支援や応用サービスの実現が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実態に即してより正確な施設における業務遂行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における電力網復旧計画作成支援システムのシステム構成図である。
図2】実施例1における電力網復旧計画支援装置の一実装例を示すハードウエア構成図である。
図3】実施例1における電柱センサ装置の一実装例を示すハードウエア構成図である。
図4】実施例1におけるスマートメータの一実装例を示すハードウエア構成図である。
図5】実施例1における処理の概要を説明するための図である。
図6】実施例1における処理の内容を示すシーケンス図である。
図7】実施例1におけるデータの確実度およびその構成要素を説明するための図である。
図8】実施例1で用いられるシステム構成データを示す図である。
図9】実施例1で用いられるセンサデータに含まれる特性を示す図である。
図10】実施例1における更生処理および格納処理の詳細を示すフローチャート(その1)である。
図11】実施例1における更生処理および格納処理の詳細を示すフローチャート(その2)である。
図12】実施例1における連続データ欠落処理(1)の詳細を示すフローチャートである。
図13】実施例1における傾きチェック処理の詳細を示すフローチャートである。
図14】実施例1における連続データ欠落処理(2)の詳細を示すフローチャートである。
図15】実施例1におけるケース1~4におけるデータ本体を纏めて示す図である。
図16】実施例1におけるケース11~13におけるデータ本体を纏めて示す図である。
図17】実施例1におけるケース14データ本体を纏めて示す図である。
図18】実施例1における復旧計画作成処理の詳細を示すフローチャートである。
図19】実施例1における復旧計画作成における判定処理を説明するための図である。
図20】実施例1における詳細な復旧計画の作成処理を説明するための図である。
図21】実施例1におけるルート故障状況を示す図である。
図22】実施例3におけるサービス提供支援装置の処理の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、複数の設備を有する施設を一例とする。また、本実施形態では、業務として運用計画の作成やこれに応じた運用業務を行う。具体的には、施設の運用を支援するための施設運用支援装置において、前記施設の運用についての運用データを受け付けるUI部と、前記運用データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す前記運用データの確実度を算出するデータ評価部と、前記確実度に応じて、前記運用データを更生するデータ更生部と、前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、記憶部に格納するデータ格納部を有し、前記記憶部に格納された確実度に従って、前記記憶部に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現する施設運用支援装置である。
【0011】
また、本実施形態には、施設の運用を支援するための施設運用支援装置において、前記施設の運用についての運用データを受け付ける通信装置と、通信路を介して前記通信装置と接続し、データ管理プログラムを記憶する記憶装置と、前記通信路を介して前記通信装置および前記記憶装置と接続し、前記データ管理プログラムに従って、前記運用データの取得における複数の要素の組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す前記運用データの確実度を算出し、前記確実度に応じて、前記運用データを更生し、前記運用データおよび当該運用データの確実度を対応付けて、前記記憶装置に格納する演算装置を有し、前記記憶装置に格納された確実度に従って、前記記憶装置に格納された前記運用データを用いて、前記施設の運用計画の作成を実現する施設運用支援装置も含まれる。
【0012】
また、これら施設運用支援装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納した記憶媒体の本実施形態に含まれる。さらに、施設運用支援装置を用いた施設運用支援方法も本実施形態に含まれる。以下、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。
【実施例0013】
実施例1は、電力網が被災し、停電となった少なくともその一部に障害が発生した場合の復旧作業を、業務の一例とする。電力網のような、複数の設備を有する施設では、設備から運用データを取得して、運用されることになる。なお、本実施形態の設備には、電柱やスマートメータといった機器が含まれる。
【0014】
ここで、設備の少なくとも一部において、災害などで被害を受けた場合(障害の発生)、設備における損害状況に応じた復旧計画作成が必要になる。但し、災害が発生した場合、当初はどの設備が被災しているか、また、その障害の度合いが不明であることが多い。また、運用データの取得先である設備が被災すると、その運用データの確実度が低下してしまう。例えば、スマートメータについての通信状態が故障だったり、電柱が傾いたり、通信ネットワーク自体の通常状態が不確となったりすることになる。このため、運用データの一部が欠落したり、実態から外れたデータが通信されたりし、運用データの確実度が低下してしまう。
【0015】
そこで、本実施例では、電力網2が被災により停電した場合に、運用データの確実性を向上させ、停電の状況に応じた停電復旧計画を作成する。以下、その詳細を説明する。図1は、実施例1における電力網復旧計画作成支援システムのシステム構成図である。本実施例では、電力網2に接続された電力会社のデータセンタに設けられた電力網復旧計画支援装置10により、停電復旧計画が作成される。そして、停電復旧計画を基づいて、作業員が電力網2に対して、復旧作業を実行する。このために、作業員は作業員端末50を利用する。ここで、電力網復旧計画支援装置10は、電力網2との施設の運用を支援する施設運用支援装置の一種である。
【0016】
図1において、電力網2は、その設備として、スマートメータ群21~24、電柱51~53、下位ネットワーク31~34、上位ネットワーク40を備える。また、図示しないが、電力網2には、電線や変電所等が含まれる。ここで、上位ネットワーク40は、インターネットのような広域ネットワークで実現できる。
【0017】
まず、スマートメータ群21~24は、それぞれ家庭等の需要家ごとに設けられたスマートメータ21-1~24-3(図中スマメと表記)で構成される。そして、各スマートメータ群21~24は、それぞれ電柱51~53と接続され、各需要家の検針業務や電力使用状況の取得などを実行する電力量計である。つまり、スマートメータ21-1~24-3により、運用データとして通信状況といった運転状況などが取得されることになる。
【0018】
また、電柱51~53は、下位ネットワーク31~34を介してスマートメータ群21~24と接続する。そして、電柱51~53は、センサ有の電柱51、53とセンサ無の電柱52、54に分けられる。電柱51、53には、運用データとして自身の傾きを検知するその傾きを検知するセンサを備えた電柱センサ装置510が設けられている。
【0019】
また、電力網復旧計画支援装置10は、上位ネットワーク40を介して、電柱51~53と接続される。この結果、電力網復旧計画支援装置10は、スマートメータ21-1~24-3や電柱51~53から通信状況や傾きを収集する。さらに、電力網復旧計画支援装置10は、下位ネットワーク31~34や上位ネットワーク40の通信状況も収集できる。つまり、電力網復旧計画支援装置10は、設備から運用データを収集することになる。そして、電力網復旧計画支援装置10は、停電が発生した場合、通信状況や傾きなどから運用計画の一種である停電復旧計画を作成することが可能となる。また、電力網復旧計画支援装置10は、停電復旧計画を出力する。
【0020】
このために、電力網復旧計画支援装置10は、記憶部11、復旧計画作成部12、データ管理部13、電力網管理部14およびUI部15を有する。記憶部11は、電力網復旧計画支援装置10での処理に用いられるデータを記憶する。復旧計画作成部12は、通信状況や傾きなどから停電復旧計画を作成する。
【0021】
データ管理部13は、停電復旧計画の作成のために、運用データの管理を行う。この管理としては、運用データの収集、確実度の評価などが含まれる。そして、この管理のために、データ管理部13は、データ収集部131、データ評価部132、データ更生部133およびデータ格納部134を有する。
【0022】
ここで、データ収集部131は、上位ネットワーク40を介してスマートメータ21-1~24-3や電柱51~53から運用データを収集する。データ収集部131は、能動的に運用データ収集してもよいし、各設備から運用データを受動的に収集してもよい。また、データ評価部132は、取集された運用データの確実度を評価する。つまり、データ評価部132は、「確実度」を算出する。そして、データ評価部132は、算出された確実度が、所定条件を満たすか判定することが望ましい。
【0023】
ここで、確実度とは、運用データの取得におけるにおける複数の要素での組合せで定義され、当該運用データの確実さを示す指標である。このため、確実度により、正当である運用データが取得できたかをどの程度確認できるかを確認できる。確実度の一例は、運用データの取得に関する複数の要素で定義運用データの取得時期要素(when)、取得場所要素(where)および運用データや設備の特性要素(what)の組合せで定義できる。なお、確実度の詳細については、その算出処理の説明の際に説明する。
【0024】
また、データ更生部133は、データ評価部132の評価結果に応じて、収集された運用データを更生する。ここで、運用データの更生とは、停電復旧計画作成のための運用データに対する処理であり、確実度が向上するように変換したり、所定条件を満たす運用データを選択したりすることが含まれる。さらに、更生には、確実度が所定条件を満たしているかのクラス分けが含まれる。そして、データ格納部134は、更生された運用データを、記憶部11に格納させる。
【0025】
また、電力網管理部14は、各需要家の使用電力量の取得、統計などの電力網2の管理を行う。また、UI部15は、システム管理者や他の装置とのインターフェース機能を実行する。つまり、UI部15は、入出力機能や通信機能を有する。
【0026】
なお、復旧計画作成部12や電力網管理部14は、復旧計画作成装置や電力網管理装置もしくはこれらの組合せで、電力網復旧計画支援装置10とは別装置で実現してもよい。さらに、記憶部についてもファイルサーバのように独立した構成としてもよい。
【0027】
以上の電力網復旧計画支援装置10の出力を受けて、作業員端末50で停電復旧計画を表示することが可能となる。この結果、作業員は、作業員端末50を利用して、停電復旧作業を実行することができる。ここで、作業員端末50は、電力網2やこれを構成する各設備の管理に利用されるもので、スマートフォン、携帯電話、タブレット、スマートスピーカ、PCなどのコンピュータで実現できる。
【0028】
次に、電力網復旧計画作成支援システムを構成する各装置の構成について説明する。図2は、実施例1における電力網復旧計画支援装置10の一実装例を示すハードウエア構成図である。電力網復旧計画支援装置10は、コンピュータで実現でき、演算装置101、記憶装置102、入力装置103、出力装置104および通信装置105を有し、これらは互いに通信路を介して接続される。
【0029】
まず、演算装置101は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、復旧計画作成プログラム106、データ管理プログラム107、電力網管理プログラム108に従って演算を実行する。これらの各プログラムについては、後述する。
【0030】
また、記憶装置102は、図1の記憶部11に該当し、各種データを記憶する。記憶されたデータには、確実度付データ109、システム構成データ110、センサデータ111が含まれる。これらの各データについては、後述するが、センサデータ111は、運用データの一例である。なお、記憶装置102は、メモリのような一時記憶装置およびHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどのストレージで実現できる。ここで、上述のデータの他、各プログラムもストレージに記憶されることが望ましい。そして、演算装置101での処理を実行する際、関連するプログラムやデータが、ストレージから一時記憶装置に展開される。以上のように、プログラムは記憶媒体に格納される。
【0031】
ここで、上述の各プログラムについて、説明する。まず、復旧計画作成プログラム106は、図1の復旧計画作成部12の機能を実現するためのプログラムである。また、データ管理プログラム107は、図1のデータ管理部13の機能を実現するためのプログラムである。このため、データ管理プログラム107は、データ収集モジュール1071、データ評価モジュール1072、データ更生モジュール1073およびデータ格納モジュール1074を有する。
【0032】
これらは、それぞれ図1のデータ収集部131、データ評価部132、データ更生部133およびデータ格納部134の機能を実現する。なお、これら各モジュールは、独立したプログラムで実現してもよいし、少なくとも一部を1つのモジュールないしプログラムで実現してもよい。
【0033】
また、電力網管理プログラム108は、図1の電力網管理部14の機能を実現するためのプログラムである。なお、本実施例では、プログラム、つまり、ソフトウエアで各機能を実現するが、専用ハードウエアで各機能を実現してもよい。以上で、各プログラムの説明を終わる。
【0034】
また、入力装置103は、システム管理者からの操作を受け付ける。このため、例えば、キーボード、マウスやマイクといった入力デバイスで実現できる。出力装置104は、表示モニタやスピーカといった出力デバイスで実現できる。また、入力装置103および出力装置104は、タッチパネルのような一体の構成でも実現できる。さらに、入力装置103および出力装置104は、省略してもよい。この場合、システム管理者が利用する端末装置を用いて、入力を受付けたり、情報を出力したりできる。さらに、通信装置105は、上位ネットワーク40や作業員端末50と接続する。そして、入力装置103、出力装置104および通信装置105が、図1のUI部15に該当する。
【0035】
次に、電柱51、53に設けられる電柱センサ装置510について説明する。図3は、実施例1における電柱センサ装置510の一実装例を示すハードウエア構成図である。電柱センサ装置510は、演算装置511、記憶装置512、入力装置513、出力装置514、通信装置515およびセンサ516を有し、これらは通信路を介して互い接続する。演算装置511は、CPUのようなプロセッサで実現でき、電柱センサ装置510の動作を制御プログラム5111に従って制御する。なお、演算装置511は、専用ハードウエアで実現してもよい。
【0036】
記憶装置512は、後述するセンサ516で検知された内容を含む電柱センサデータ517を記憶する。電柱センサデータ517は、運用データの一種であり、電柱5171、特性5172、日時5173およびデータ本体5174の各項目を有する。なお、電柱センサデータ517は、センサデータ111に含まれ、運用データの一例である。
【0037】
ここで、電柱5171は、センサ516での検知対象である電柱51を識別するもので、電柱センサデータ517の取得場所要素(where)を示す。このため、電柱5171は、当該電柱51の位置情報であってもよい。特性5172は、電柱センサデータ517自身もしくはその取得機器である電柱センサ装置510やセンサ516の特性要素(what)を示す。また、日時5173は、電柱センサデータ517の取得時期要素(when)を示す。そして、データ本体5174は、センサ516で検知された内容、本例では電柱51の傾きを示す検知データである。なお、電柱センサデータ517に対して、確実度が算出されるが、このことの詳細は本実施例の処理の説明において説明する。
【0038】
また、入力装置513は、作業員などからの操作を受け付ける。このため、例えば、キーボード(テンキー等)やマイクといった入力デバイスで実現できる。出力装置514は、表示モニタやスピーカといった出力デバイスで実現できる。また、入力装置513および出力装置514は、操作パネルのような一体の構成でも実現できる。さらに、入力装置513および出力装置514は、省略してもよい。
【0039】
また、通信装置515は、電柱センサデータ517等の各種データを送受信する。特に、通信装置515は、上位ネットワーク40を介して電力網復旧計画支援装置10に、電柱センサデータ517を送信する。
このために、通信装置515は、下位ネットワーク31~34や上位ネットワーク40と接続する。さらに、センサ516は、電柱51の傾きを検知し、これを示す検知データ出力する。またさらに、電柱センサ装置510は、着脱可能なバッテリを有してもよいし、電柱51から電源を取得してもよい。
【0040】
なお、電柱センサ装置510は、通信機能を有するセンサ516として実現してもよい。この場合、検知データは、センサ516で検知されると電力網復旧計画支援装置10に逐次送信される。
【0041】
次に、スマートメータ21-1~24-3について説明する。なお、以下では、スマートメータ21-1~24-3を代表して、スマートメータ20と称する。図4は、実施例1におけるスマートメータ20の一実装例を示すハードウエア構成図である。
【0042】
図4において、スマートメータ20は、演算装置201、記憶装置202、入力装置203、出力装置204、通信装置205および検針装置206を有し、これらは通信路を介して互い接続する。スマートメータ20は、さらに電源となるバッテリ208を有する。
【0043】
ここで、演算装置201は、CPUのようなプロセッサで実現でき、スマートメータ20の動作を制御プログラム2011に従って制御する。なお、演算装置201は、専用ハードウエアで実現してもよい。
【0044】
記憶装置202は、検針装置206で計測された使用電力量を含むスマメセンサデータ207を記憶する。スマメセンサデータ207は、運用データの一種であり、場所2071、特性2072、日時2073およびデータ本体2074の各項目を有する。
【0045】
ここで、場所2071は、当該スマートメータ20が設けられた場所を特定するもので、スマメセンサデータ207の取得場所要素(where)を示す。なお、場所2071は、場所2071は、該当の需要家を識別する項目であってもよい。特性2072は、スマメセンサデータ207自身もしくはその取得機器であるスマートメータ20や検針装置206の特性要素(what)を示す。また、日時2073は、スマメセンサデータ207の取得時期要素(when)を示す。そして、データ本体2074は、検針装置206で計測された使用電力量である。なお、スマメセンサデータ207は、センサデータ111に含まれ、運用データの一例である。また、このスマメセンサデータ207に対しても、確実度が算出されるが、この算出の詳細は本実施例の処理の説明において説明する。
【0046】
また、入力装置203は、作業員などからの操作を受け付ける。このため、例えば、キーボード(テンキー等)やマイクといった入力デバイスで実現できる。出力装置204は、表示モニタやスピーカといった出力デバイスで実現できる。また、入力装置203および出力装置204は、操作パネルのような一体の構成でも実現できる。さらに、入力装置203および出力装置204は、省略してもよい。
【0047】
また、通信装置205は、電柱センサデータ517等の各種データを送受信する。特に、通信装置515は、下位ネットワーク31~34や上位ネットワーク40を介して電力網復旧計画支援装置10に、スマメセンサデータ207を送信する。このために、通信装置515は、下位ネットワーク31~34と接続する。
【0048】
さらに、検針装置206は、該当の需要家における使用電力量を計測し、これを出力する。またさらに、バッテリ208は着脱可能な構成としてもよい。さらに、バッテリ
208以外の電源を用いてもよい。なお、スマートメータ20は、通信機能を有する検針装置206として実現してもよい。この場合、使用電力量は、検針装置206で計測されると電力網復旧計画支援装置10に向け逐次送信される。以上で、本実施例の構成についての説明を終わる。
【0049】
次に、実施例1の処理について説明する。まず、実施例1の処理の概要を、図5を用いて説明する。図5は、実施例1における処理の概要を説明するための図である。
(1)データ管理部13の処理
(1)-1:データ収集部131は、電柱センサ装置510やスマートメータ20から、センサデータ111として、電柱センサデータ517やスマメセンサデータ207を収集する。また、データ収集部131は、上位ネットワーク40や下位ネットワーク31~34に関するセンサデータ111として、ネットワークセンサデータ1113を収集する。
(1)-2:データ評価部132にて、相互チェックにより、センサデータ111について、確実度を評価し、データ更生部133で、確実度の向上等の更生を行う。確実度の評価ついては、センサデータ111に含まれる取得時期要素の一例である日時5173、2073、取得場所要素の例である電柱5171、場所2071や特性5172、2072から確実度を算出することが含まれる。
(1)-3:データ格納部134にて、(1)-2での確実度とセンサデータ111を対応付けて、記憶部11に格納する。この際、データ格納部134は、これらを確実度付データ109として格納することが望ましい。
(2)復旧計画作成部12の処理
(2)-1:復旧計画作成部12が、システム管理者から操作による復旧計画の作成指示を受け付ける。
(2)-2:復旧計画の作成のために、復旧計画作成部12は、確実度付データ109およびシステム構成データ110を取得する。確実度付データ109として、確実度とセンサデータ111を用いてもよい。また、確実度付データ109およびシステム構成データ110は、データ管理部13(特に、データ格納部134)から復旧計画作成部12へ能動的に通知してもよい。
(2)-3:以上の結果、復旧計画作成部12が、確実度付データ109およびシステム構成データ110を用いて、復旧計画を作成する。
(3)作業員端末50を用いた処理
(3)-1:電力網復旧計画支援装置10から作業員端末50に、作成された復旧計画を通知する。この結果、作業員は、復旧計画を確認できる。なお、復旧計画は、紙媒体などで、システム管理者から作業員に渡してもよい。
(3)-2:作業員は、復旧計画に基づいて、地域に赴き停電復旧作業を行う。
【0050】
以下、実施例1の処理の詳細を説明する。図6は、実施例1における処理の内容を示すシーケンス図である。なお、以下の説明においては、電力網復旧計画支援装置10は、図1に示す構成(データ管理部13や復旧計画作成部12等)と用いて、説明する。
【0051】
まず、ステップS11において、スマートメータ20の演算装置201が、所定時間が経過したかを判定する。例えば、スマートメータ20の起動もしくは前回の処理から10分(30分)経過したかが判定される。この結果、所定時間が経過していない場合(NO)、本ステップを繰り返す。また、所定時間が経過した場合(YES)、ステップS12に遷移する。なお、本ステップにおいては、検針装置206が、使用電力量を検知する。そして、演算装置201が、使用電力量からスマメセンサデータ207を作成し、記憶装置202に格納する。
【0052】
また、ステップS12において、演算装置201が、通信装置205を用いて電力網復旧計画支援装置10に、記憶装置202のスマメセンサデータ207を送信する。この結果、ステップS11で作成されたスマメセンサデータ207が周期的に送信されることになる。
【0053】
次に、スマートメータ20の処理と並行的に処理を行う、電柱センサ装置510の処理を説明する。まず、ステップS21において、電柱センサ装置510のセンサ516が、電柱51の傾きを継続的に確認する。この結果、所定以上の傾きを検出されない場合(NO)、本ステップを継続する。所定以上の傾きが検出された場合(YES)、ステップS22に遷移する。本ステップを継続する。なお、本ステップでは、演算装置511が、センサ516での検出結果に基づいて、電柱センサデータ517を作成し、記憶装置512に格納する。
【0054】
また、ステップS22において、演算装置511が、通信装置515を用いて電力網復旧計画支援装置10に、記憶装置512の電柱センサデータ517を送信する。この結果、ステップS21で作成されたスマメセンサデータ207が周期的に送信されることになる。なお、電柱51の傾きは、あくまでも一例であり、他の電柱の運用に関するデータを用いてもよい。例えば、電柱の通電量などを用いることができる。
【0055】
次に、電力網復旧計画支援装置10のデータ管理部13の処理について説明する。まず、ステップS31において、データ収集部131が、ステップS12およびS22で送信された電柱センサデータ517やスマメセンサデータ207を収集する。さらに、データ収集部131が、ネットワークセンサデータ1113も収集する。このように、データ収集部131が、センサデータ111を収集することになる。
【0056】
また、ステップS32において、データ評価部132が、収集されたセンサデータ111に対する評価を実行する。具体的には、データ評価部132は、相互チェックにより、確実度を算出する。このために、データ評価部132は、以下の(数1)を用いる。
【0057】
C=C(when_n)*C(where_n)*C(what_n)・・・(数1)
C:データの確実度、0≦C(x)≦1, n = 1, ・・・
ここで、C(when_n)は、データの取得時期要素である。C(where_n)は、データの取得場所要素である。そして、C(what_n)は、データやその取得元である設備の特性要素である。
【0058】
なお、確実度の算出には、以下の(数2)を用いてもよい。
【0059】
C=C(when_n)*C(where_n)*C(what_n)*C(how_n)・・・(数2)
C:データの確実度、0≦C(x)≦1, n = 1, ・・・
(数2)は(数1)に対して、C(how)とのデータの高信頼化機能要素(how)が追加されている。
【0060】
以下、データの確実度の詳細について説明する。図7は、実施例1におけるデータの確実度およびその構成要素を説明するための図である。図7では、確実度の構成要素ごとのその詳細を示す。図7において、#1は取得時期要素(when)、#2は取得場所要素(where)、#3は特性要素(what)、#4は高信頼化機能要素(how)を示す。
【0061】
まず、取得時期要素(when)は、運用データ等のデータの取得時期に関わる確実度を示す。そして、取得時期要素(when)は、取得時期が新しいデータほど確実度が高くなる。また、施設での障害の隠れ時間も反映された確実度であることが望ましい。例えば、現在時刻を1.0とし、1時間毎に、0.1ずつ減少する。
【0062】
また、取得場所要素(where)は、運用データ等のデータの取得場所に関わる確実度を示す。そして、取得場所要素(where)は、データの取得場所が電力網復旧計画支援装置10等のデータを処理する場所からの距離が短いほど高くなる。この場所、距離には、物理的な場所(位置)、距離やネットワークトポロジー上の場所(位置)、距離が含まれる。例えば、特定の場所の取得場所要素(where)を1.0とし、1km縮まるごとに0.1ずつ減少したり、1hop縮まるごとに0.1ずつ減少したりできる。さらに、これら複数の値を用いて取得場所要素(where)を算出してもよい。
【0063】
また、特性要素(what)は、施設を構成する設備・機器(ここでは単位機器と記載)やデータの特性に関わる確実度を示す。そして、特性要素(what)は、機器の確実性やデータの特性に応じた値となる。ここで、機器の確実性とは、機器の機能、動作の正常性、確実性に応じた値である。例えば、機器の確実性は、センサの有無、センサの感度に応じた値を用いることができる。さらに、これら複数の値を用いて機器の確実性を算出してもよい。
【0064】
また、データの特性とは、該当のデータの性質、特性に応じた値である。例えば、データの転送時間、転送障害時等の再送処理の有無や転送ルートの信頼度に応じた値を用いることができる。さらに、これら複数の値を用いてデータの特性を算出してもよい。
【0065】
さらに、高信頼化機能要素(how)は、データの高信頼化機能に基づく確実度を示す。例えば、高信頼化機能要素(how)として、時間的冗長による相互チェック機能、機器間による相互チェック機能、電柱等の機器間の重み付け多数決機能、ルート冗長化による相互チェック機能の有無に応じた値を用いることができる。これらは、高信頼化機能がある場合をない場合に比べて高い値とすることが望ましい。さらに、これら複数の値を用いて高信頼化機能要素(how)を算出してもよい。
【0066】
以上の各構成要素を(数1)もしくは(数2)の変数とすることで、確実度を算出することが可能となる。これは、各構成要素の組合せで確実度を算出することを意味する。さらに、(数1)や(数2)で算出された確実度の値が所定条件を満たすかを判定してもよい。つまり、確実度を基準値と比較し、この結果を確実度としてもよい。例えば、確実度の値が基準値以上である場合は、確実度を「安定」とする。また、基準値未満の場合は、確実度を「不安定」とする、ここでは、障害の発生順序および電力網2での設備の階層関係(接続関係)を用いて「安定」「不安定」とのクラス分けを行っている。以上の処理では、欠落などのデータの質に関する確実度を算出することができる。ここで、不安定と判定された場合、データ収集部131は、電柱51やスマートメータ21-1~24-3とEndtoEnd通信を行い、電力網2の隠れ障害を検出することが望ましい。
【0067】
以上で、図7の説明を終わり、図6の説明に戻る。次に、図6のステップS33においては、データ更生部133が、ステップS32で特定された確実度を更生する。そして、データ格納部134が、確実度とセンサデータ111を対応付けて確実度付データ109を作成する。ここで、更生とは、上述のように停電復旧計画作成のためのセンサデータ111に対する処理であり、変換や選択などが含まれる。以下、ステップS32での更生処理および格納処理の詳細を説明する。
【0068】
更生処理および格納処理では、データ更生部133は、センサデータ111(特に、特性)やシステム構成データ110も用いる。そこで、まずこれら各データについて説明する。まず、図8は、実施例1で用いられるシステム構成データ110を示す図である。システム構成データ110は、管理対象の施設である電力網2の各設備の接続関係を示すデータである。つまり、図8に示すように、システム構成データ110は、上位のネットワーク(ネットワーク1)から末端であるスマートメータまでの接続関係が示される。例えば、スマートメータ21-1は、下位ネットワーク31と電柱51を介して、上位ネットワーク40と接続されていることが示されている。なお、システム構成データ110は、ネットワーク、電柱、スマートメータといった設備ごとに分けられた構成データとして実現してもよい。つまり、ネットワーク構成データ、電柱構成データおよびスマートメータ構成データとして実現できる。この場合、それぞれの設備とこれに接続される他の設備を対応付けたデータとして実現できる。
【0069】
次に、図9は、実施例1で用いられるセンサデータ111に含まれる特性を示す図である。このうち、図9(a)は、電柱センサデータ517の特性5172を示す。図9(a)では、電柱ごとに、センサ(電柱センサ装置)の有無を示す。つまり、図9(a)は、電柱との設備の特性を示す。なお、センサの有無が存在する理由は、コストの関係で、全ての電柱にセンサ(電柱センサ装置)を設置することが困難であるため、電柱ごとに設置の有無を管理する必要があるためである。
【0070】
また、図9(b)は、スマメセンサデータ207の特性2072を示す。図9(b)では、スマートメータごとに、スマメセンサデータ207の転送間隔(送信間隔)を示している。この間隔は、スマートメータごとに設定が可能であり、またその値は任意に設定できる。
【0071】
次に、ステップS32の更生処理および格納処理の内容を説明する。図10および11は、実施例1における更生処理および格納処理の詳細を示すフローチャートである。
【0072】
まず、ステップS301において、データ更生部133が、電柱センサデータ517の特性5172によりセンサ(電柱センサ装置)の有無を判定する。この結果、センサがある場合(Yes)、ステップS302に遷移する。また、センサがない場合(No)、図11の(1)に遷移する。なお、本ステップでは、所定期間の電柱センサデータ517が記憶部11から読み出され、これに対して実行される。以下のステップでも同様である。
【0073】
また、ステップS302において、データ更生部133が、該当の電柱が正常化判定する。このために、電柱センサデータ517のデータ本体5174を用いる。このデータ本体5174で、電柱の傾きが所定以下の場合、正常と判定される。なお、電柱が正常かの判定は、傾き以外のデータを用いてもよい。この結果、正常でない(異常の場合)場合(No)、ステップS303に遷移する。また、正常である場合(Yes)、ステップS306に遷移する。なお、データ更生部133は、電柱に異常がある場合、電柱の傾きが所定以上となった時間を、日時5173を用いて特定する。つまり、異常が発生した時刻が特定される。
【0074】
また、ステップS303において、データ更生部133が、電柱に異常が発生する前に、スマートメータに障害が発生しているかを判定する。このために、データ更生部133は、データ本体2074や日時2073を用い、スマートメータに障害発生した時刻を特定する。この結果、障害が発生していない場合(No)、ステップS304に遷移する。また、障害が発生している場合(No)、ステップS308に遷移する。
【0075】
また、ステップS304において、ケース3の処理が実行される。つまり、データ更生部133が、対象の電柱センサデータ517に対して、連続データ欠落処理を行う。以下、その詳細を説明する。ステップS304で対象とする電柱センサデータ517は、「電柱センサ有」「電柱異常」である。つまり、電柱はセンサ有で、電柱が倒れていることの信憑性は高い。このため、データ更生部133により、取得時期要素、取得場所要素、特性要素共に、1.0と特定される。したがって、対象の電柱センサデータ517の確実度は、電柱異常(C:1.0)と算出される。
【0076】
また、対象のスマメセンサデータ207は、「電柱が異常になる前に、連続データデータ欠落発生」である。このように、電柱は異常であるが、その前のスマメセンサデータ207の欠落状況に応じて、確実度の算出は以下のように場合分けできる。まず、ケース3-1では、スマメセンサデータ207のデータ欠落は最後の1回のみである場合である。この場合、欠落がランダムと推定される。そして、特性要素のデータの特性が低下される。つまり、特性要素が0.9となる。そこで、データ更生部133は、他の要素が1.0であるため、確実度を、スマメ異常(C:0.9)と算出する。
【0077】
また、ケース3-2では、電柱は異常であるが、スマメセンサデータ207のデータ欠落は連続している。つまり、欠落が規則的であり、その確実度は維持されていると判定できる。そこで、データ更生部133は、他の要素が1.0であるため、確実度を、スマメ異常(C:1.0)と算出する。以上の処理について、図12を用いて説明する。なお、図12で示す処理フローは、ステップS306でも同様に実行される。
【0078】
図12は、実施例1における連続データ欠落処理(1)の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS3041において、データ更生部133が、対象の電柱センサデータ517に欠落が発生しているかを判定する。この結果、データ欠落が連続している場合(Yes)、ステップS3042に遷移する。また、データ欠落が連続していない場合(No)、ステップS3043に遷移する。ここで、欠落が発生するかは、所定数以上の欠落が発生しているかで判定されることが望ましい。
【0079】
また、ステップS3042において、データ更生部133が上述のケース3-2に示す処理により、確実度を算出する。なお、このステップは、後述するステップS306のケース2-2でも同様である。また、ステップS3043において、データ更生部133が、上述のケース3-1に示す処理により、確実度を算出する。なお、このステップは、後述するステップS306のケース2-1でも同様である。以上でステップS304の説明を終わる。
【0080】
また、ステップS305において、データ更生部133が、対象の電柱センサデータ517にデータ欠落があるかを判定する。この結果、欠落がある場合(Yes)、ステップS306に遷移する。また、欠落がない場合(No)、ステップS307に遷移する。
【0081】
また、ステップS306において、ケース2の処理として、データ更生部133が、ステップS304と同様の連続データ欠落処理(1)を行う。つまり、図12に示すように、ステップS3041において、データ更生部133が、データが欠落しているか判定する。そして、ステップS3042において、データ更生部133が上述のケース2-2に示す処理により、確実度を算出する。なお、このステップは、後述するステップS306のケース2-2でも同様である。また、ステップS3043において、データ更生部133が、上述のケース2-1に示す処理により、確実度を算出する。
【0082】
ここで、ケース2-1および2-2に示す処理について説明する。ケース2-1では、スマメセンサデータ207のデータ欠落は最後の1回のみである場合である。この場合、欠落がランダムと推定される。そして、特性要素のデータの特性が低下される。つまり、特性要素が0.9となる。そこで、データ更生部133は、他の要素が1.0であるため、確実度を、スマメ異常(C:0.9)と算出する。
【0083】
また、ケース2-2では、電柱は異常であるが、スマメセンサデータ207のデータ欠落は連続している。つまり、欠落が規則的であり、その確実度は維持されていると判定できる。そこで、データ更生部133は、他の要素が1.0であるため、確実度を、スマメ異常(C:1.0)と算出する。以上で、ステップS306の説明を終わる。
【0084】
また、ステップS307において、データ更生部133が、ケース1の処理を実行する。つまり、データ更生部133は、スマートメータが正常であり、電柱が正常であるとする。そして、データ更生部133は、対象の電柱センサデータ517のスマメセンサデータ207の確実度を1.0と算出する。また、データ更生部133は、対象の電柱センサデータ517の確実度を1.0と算出する。この際、データ更生部133は、図15に示すデータ本体が用いられる。これは、他のケース2~4でも用いられる。なお、図15については後述する。
【0085】
以下、確実度の算出について、説明する。ステップS307で対象とする電柱センサデータ517は、「電柱センサ有」「電柱正常」「データ欠落無」である。つまり、電柱センサ有で、電柱が倒れているという通知はない。このため、取得時期要素、取得場所要素、特性要素共に、1.0と特定される。この結果、データ更生部133は、対象の電柱センサデータ517の確実度を1.0と算出する。
【0086】
また、ステップS307では、スマメセンサデータ207は、データ欠落もない。このため、取得時期要素、取得場所要素、特性要素共に、1.0と特定される。このため、取得時期要素、取得場所要素、特性要素共に、1.0と特定される。この結果、データ更生部133は、対象のスマメセンサデータ207の確実度を1.0と算出する。以上で、ステップS307の説明を終わる。
【0087】
また、ステップS308において、データ更生部133により、ケース4の処理が実行される。ここで、ステップS308で対象とする電柱センサデータ517は、電柱はセンサを有し、電柱が倒れているという通知がある。つまり、「電柱センサ有」「電柱異常」である。このため、ステップS304と同様に、データ更生部133は、対象の電柱センサデータ517の確実度を、電柱異常(C:1.0)と算出する。
【0088】
また、対象とするスマメセンサデータ207は、「電柱が異常になる前に、スマメセンサデータ207にデータ欠落は無い」である。このように、電柱異常の後に、スマートメータは障害が発生する可能性がある。しかし、この障害を検出することができない。これを、隠れ障害という。そこで、この隠れ障害を考慮して、スマートメータのデータ確実度を算出する。具体的には、データ更生部133が、障害からどの程度時間が経過しているかに応じて、取得時期要素を特定する。つまり、図7に示す隠れ障害の時間を用いる。そして、データ更生部133は、これを用いてスマメセンサデータ207の確実度を算出する。
【0089】
次に、図11を用いて、(1)以降の処理を説明する。ステップS309において、データ更生部133が、記憶部11から該当のスマメセンサデータ207を読み取る。また、ステップS310において、データ更生部133が、各スマートメータ21-1~24-3におけるスマメセンサデータ207にデータ欠落があるかを判定する。この結果、欠落がある場合(Yes)、ステップS311に遷移する。また、欠落がない場合(No)、ステップS317に遷移する。
【0090】
また、ステップS311において、データ更生部133が、データ更生部133が、各スマートメータ群21~24におけるスマメセンサデータ207にデータ欠落があるかを判定する。この結果、欠落がある場合(Yes)、ステップS312に遷移する。また、欠落がない場合(No)、ステップS318に遷移する。
【0091】
また、ステップS312において、データ更生部133が、電柱センサがない電柱に対する傾きチェック処理を実行する。この傾きチェック処理の詳細を、図13を用いて説明する。図13は、実施例1における傾きチェック処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS3121において、データ更生部133が、対象とする電柱を特定する。そして、データ更生部133が、特定された電柱の付近の電柱を抽出する。このために、データ更生部133は、システム構成データ110もしくは電柱センサデータ517の場所2071を用いて、対象とする電柱と所定距離(半径2km等)など所定関係にある周辺の電柱を抽出する。
【0092】
また、ステップS3122において、データ更生部133が、重み付け多数決処理を実行する。以下、その内容を説明する。なお、重みとは各要素と同じように、データの取得に関し、取得時期、取得場所、特性および高信頼化機能の各観点で捉えることができる。
【0093】
まず、データ更生部133が、対象とする電柱の電柱センサデータ517を用いて、重みを特定する。具体的には、データ更生部133は、日時5173から取得時期の重みを特定する。例えば、最新の電柱センサデータ517の取得日時が12:00の場合、取得時期の重みは1.0となる。また、データ更生部133は、電柱5171から取得場所の重みを特定する。例えば、1km以内は0.9、2kmでは0.8と1kmごとに、0.1ずつ取得場所要素が減少する。
【0094】
また、データ更生部133は、特性5172から特性の重みを特定する。例えば、電柱センサ装置がある(センサ有)場合は、1.0とし、センサ無は0.9とする。また、データ更生部133は、多数決処理を実行するため、高信頼化機能に関する重みを1.0とする。
【0095】
また、データ更生部133は、上述のように特定された各重みを用いて、電柱ごとの電柱センサデータ517の重みを算出する。ここでは、対象の電柱の重みと抽出された周辺の電柱の重みが算出される。この算出は、上述の(数2)と同じように算出されることになる。例えば、対象の電柱の確実度を0.8とし、周辺の電柱の確実度を0.9と0.72とする。そして、データ更生部133は、(周辺の電柱の重み)/(周辺の電柱の重み+対象の電柱の重み)に従って、多数決処理を実行し、調整重みを算出する。上述の例では、調整重みとして、(0.9+0.72)/(0.9+0.72+0.8)=0.67が算出される。
【0096】
また、ステップS3123において、データ更生部133が、調整重みに応じて、データの確実度を算出する。つまり、調整重みが0.9以上の場合、確実度は1.0となる。また、調整重みが0.7~0.89の場合、確実度を0.9とする。さらに、調整重みが0.51~0.69の場合、確実度は0.8とする。上述の例では、確実度として、0.8が特性される。そして、データ更生部133が、対象の電柱の傾きを確実度0.8として特定する。なお、ここでは、高信頼化機能の重みを用いたが、これは省略できる。
【0097】
以上で、ステップS312の説明を終わり、図11に戻る。ステップS313において、データ更生部133が、ステップS312で特定された電柱の傾きを用いて、電柱が異常(例えば、倒壊)であるかを判定する。このために、データ更生部133は、算出された確実度を加味して傾きが所定以上であるかを判定する。この結果、異常である場合(Yes)、ステップS314に遷移する。また、異常でない場合(No)、ステップS319に遷移する。
【0098】
そして、以下のステップS314~S316、S320でケース13の処理が実行される。まず、ステップS314において、データ更生部133が、ステップS313での異常(障害)の発生時刻を、電柱センサデータ517を用いて特定する。
【0099】
ここで、ケース13で対象とする電柱センサデータ517は、電柱にはセンサがなく、各スマートメータ21-1~24-3ではスマメセンサデータ207が欠落している。この場合、ケース13-1と13-2の2通り想定される。この2通りに沿った処理を実行するために、ステップS315の判定処理を実行する。ステップS315において、データ更生部133が、スマメセンサデータ207を用いて、ステップS314で特定された発生時刻前に、スマートメータで異常が発生しているかを判定する。この結果、異常が発生していない場合(1回障害)、ステップS316に遷移し、ケース13-1の処理を実行する。また、異常が発生している場合(連続発生)、ステップS320に遷移し、ケース13-2の処理を実行する。
【0100】
そして、ステップS316において、データ更生部133が、ケース13-1の処理を実行する。ケース13-1では、各スマートメータ21-1~24-3で障害が発生した時点において、1回だけデータ欠落することが想定される。このため、データ更生部133は、電柱異常(C:1.0)とし、スマメ異常(C:0.9)とする。これは、ステップS3043と同様に実行される。
【0101】
また、ステップS320において、データ更生部133が、ケース13-2の処理を実行する。ケース13-2では、各スマートメータ21-1~24-3で障害が発生した時点において、連続してのデータ欠落している。このため、データ更生部133は、電柱異常(C:1.0)とし、スマメ異常(C:1.0)とする。これも、ステップS3043と同様に実行される。
【0102】
また、ステップS317において、ケース11の処理が実行される。ケース11では、「電柱センサ無」「データ欠落無」である。このため、データ更生部133は、データ欠落もないので、スマートメータ、電柱とも正常と判定する。これは、ステップS307と同様に実行される。この際、データ更生部133は、図16に示すデータ本体が用いられる。これは、他のケース12~13でも用いられる。なお、図16については後述する。
【0103】
また、ステップS318において、ケース12の処理がとして、連続データ欠落処理(2)が実行される。図14は、実施例1における連続データ欠落処理(2)の詳細を示すフローチャートである。ケース12では、「電柱センサ無」「電柱正常」「データ欠落有」である。また、一部のスマートメータからスマメセンサデータ207を受信しているため、電柱は正常と判断可能である。この場合、ケース12は、データ欠落が連続かで、ケース12-1と12-2に分けられる。そこで、ステップS3181において、データ更生部133が、データ欠落が連続かを判定する。つまり、ステップS3041と同様の処理が実行される。この結果、データ欠落が連続している場合(Yes)、ステップS3183に遷移する。また、データ欠落が連続していない場合(No)、ステップS3182に遷移する。
【0104】
ステップS3182において、ケース12-1の処理が実行される。つまり、データ更生部133は、「電柱センサ有」で、電柱に異常との通知はないため、電柱正常(C:1.0)とする。また、データ更生部133は、電柱は正常であり、スマメセンサデータ207のデータ欠落は最後の1回のみであるので、スマメ異常と判定するには不十分であるため、スマメ異常(C:0.9)とする。
【0105】
また、ステップS3183において、ケース12-2の処理が実行される。つまり、データ更生部133は、「電柱センサ有」「電柱正常」「データ欠落有(連続データ欠落)」に基づき処理を実行する。まず、データ更生部133は、「電柱センサ有」で、電柱が倒れているという通知はないため、電柱正常(C:1.0)とする。また、データ更生部133は、電柱は正常であり、スマメセンサデータ207のデータ欠落は連続しているため、スマメ異常(C:1.0)とする。
【0106】
また、ステップS319において、ケース14の処理が実行される。ケース14では「電柱センサ無」である。このため、データ更生部133は、電柱の状態を多数決で判定、つまり、ステップS313での正常との判定結果を用いる。そして、「電柱センサ無」であるため、電柱正常(C:0.9)とする。そして、データ更生部133は、スマメ異常(C:1.0)とする。この際、データ更生部133は、図17に示すデータ本体が用いられる。なお、図17については後述する。
【0107】
そして、各ケースで判定された結果について、データ格納部134が、記憶部11に格納する。この際、データ格納部134は、対応するセンサデータ111(スマメセンサデータ207や電柱センサデータ517)と、確実度を対応付けて格納することになる。また、データ格納部134は、センサデータ111と確実度を対応付けて、確実度付データ109を作成し、これを格納することが望ましい。この確実度付データ109は、電柱確実度付データ1091、スマメ確実度付データ1092およびネットワーク確実度付データ1093というように、設備ごとのデータとして構成してもよい。
【0108】
以上で、更生処理および格納処理の説明を終わるが、ケース1~3、ケース11、12、13-2、14では、取得時期要素、取得場所要素、特性要素を特定し、これを用いて確実度を算出しているが、直接確実度を算出してもよい。つまり、「電柱センサ有」「電柱異常」といったように所定状況を満たす場合、データ更生部133は確実度を1.0と特定してもよい。
【0109】
ここで、上述の各ケースで、確実度を算出するためにセンサデータ111のデータ本体5174、2074(以下、データ本体)について、図面を用いて説明する。図15は、実施例1におけるケース1~4におけるデータ本体を纏めて示す図である。このデータ本体では、それぞれのケースについて、電柱とスマートメータの正常・異常の別と使用電力量が示されている。電柱については、倒壊といった異常か正常かを示し、スマートメータについては使用電力量が記録されている。これらを用いて、上述の各ステップが実行される。なお、スマートメータについても故障等の異常か正常かが記録されてもよい。さらに、図15は、「電柱センサ有」についてのデータでもある。なお、図15中、「-」はデータ欠落を示す。このことは以下の図16図18でも同様である。
【0110】
また、図16は、実施例1におけるケース11~13におけるデータ本体を纏めて示す図である。図16図15と同様に、ケースごとに、電柱とスマートメータの正常・異常の別と使用電力量が記録されている。図16は、「電柱センサ無」についてのデータでもある。さらに、図17は、実施例1におけるケース14におけるデータ本体を纏めて示す図である。図17図15図16と同様に、ケースごとに、電柱とスマートメータの正常・異常の別と使用電力量が記録されている。図17図16と同様に、「電柱センサ無」についてのデータでもある。
【0111】
図6に戻り、本実施例の全体処理の説明を続ける。ステップS41において、復旧計画作成部12が、データ管理部13に、復旧計画を作成するために用いる事象データを要求する。そして、ステップS34において、データ管理部13が、復旧計画作成部12からの事象データの要求を受け付ける。ここで、事象データとは、復旧計画作成部12が復旧計画を作成するために用いる形式のデータである。そこで、データ管理部13(例えば、データ格納部134)が、要求に応じた確実度付データ109を検索し、これを事象データに変換する。
【0112】
そして、ステップS35において、データ管理部13が、これを復旧計画作成部12に出力する。これを受けて、ステップS42において、復旧計画作成部12が、事象データを受け付ける。なお、事象データとして、確実度付データ109を用いてもよい。この場合、変換処理は省略できる。また、事象データへの変換は、復旧計画作成部12で実行してもよい。
【0113】
また、ステップS43において、復旧計画作成部12が、電力網2の被災に対する復旧計画作成処理を実行する。ここで、本実施例では、確実度を再計算し、これを用いて復旧計画を作成することが望ましい。これは、復旧計画作成部12で要求する確実度を、上述の事象データや確実度付データ109で満たしているは限らず、また、その検証も困難である。
【0114】
そこで、本実施例では、復旧計画作成部12はデータ管理部13で連携して、確実度を更新して用いることとした。このことで、復旧計画作成部12は、自身で要求する確実度のデータを用いることが可能になり、より適切な処理結果を出力できる。このために、上述のステップS42において、復旧計画作成部12が、最低限必要な確実度を、データ管理部13を含む事象データの要求を出力する。そして、データ更生部133が、高信頼機能を利用して、復旧計画作成部12からの確実度を満たすように、対象の確実度付データ109ないし事象データの確実度を向上させる。そして、ステップS35において、データ管理部13が、向上された確実度を含む事象データを出力する。そして、ステップS43において、復旧計画作成部12が、受け付けた事象データを用いて復旧計画を作成する。
【0115】
ここで、復旧計画作成処理の詳細を、図18を用いて説明する。図18は、実施例1における復旧計画作成処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS431において、復旧計画作成部12が、事象データから指定エリアおよびそのエリアの設備の確実度を読み込む。ここで、指定エリアとは、電力網2の被災に対し、復旧が必要なエリアで、UI部15を介してシステム管理者から受け付けられる。
【0116】
また、ステップS432において、復旧計画作成部12が、ステップS431で読込まれた確実度が所定条件を満たすか、例えば、閾値以上であるかを判定する。ここで、指定されたエリアが単数の設備である場合、当該設備(電柱やスマートメータ等)の確実度を用いることが望ましい。また、複数の設備が存在する場合、複数の設備の確実度の平均値や総和等の代表値(総合評価)を用いることが望ましい。この結果、所定条件を満たす場合(Yes)、ステップS433に遷移する。また、所定条件を満たさない場合(No)、ステップS434に遷移する。
【0117】
ここで、本ステップの判定の具体例を説明する。図19は、実施例1における復旧計画作成における判定処理を説明するための図である。図19では、スマートメータ群ごとに、各設備の確実度が記録されている。そして、復旧計画作成部12は、各設備の確実度の代表値を算出し、これを総合評価として記録する。また、復旧計画作成部12は、総合評価と予め設定された閾値(例えば、0.9)を比較する。この結果、閾値以上である#1、3では、ステップS433に遷移する。また、閾値未満である#2、4では、ステップS434に遷移する。なお、図19に示す内容は、確実度データとして記憶部11に記憶されることが望ましい。
【0118】
また、ステップS433において、復旧計画作成部12が、事象データを用いて、詳細な復旧計画を作成する。この詳細な復旧計画の作成では、作業員が修理等の作業を行うためのルート計算を実行することになる。この詳細を、図20を用いて説明する。図20は、実施例1における詳細な復旧計画の作成処理を説明するための図である。本例では、スマートメータ群21の各スマートメータ21-1~21-3には、それぞれHEMS(Home Energy Management System)が接続されているものとする。また、電力網復旧計画支援装置10は、クラウドコンピューティングで実現しているものとする。また、下位ネットワーク31について、無線ネットワーク31-1や有線ネットワーク31-2で、電柱51と接続されているものとする。つまり、ネットワークも冗長化されている。このことを利用して、復旧計画作成部12が、作業員の巡回ルートとして、ルート1~3を作成する。また、本実施例では、図示するようなルート1~3が設定される。
【0119】
そして、復旧計画作成部12は、以下のとおり、ルート1~3を比較し、施設の障害箇所、障害発生時間を特定する。この結果、復旧計画作成部12は、これらを検証して巡回ルートを特定する。以下、その詳細である。
【0120】
復旧計画作成部12は、各ルートの設備とその障害の状況を特定する。この特定された内容であるルート故障状況を、図21に示す。ここでは、複数のケースを想定し、それぞれのルート故障状況を示す。このケースには、正常である場合のルート20、無線ネットワーク31-1で障害が発生しているケース21、下位ネットワーク31で障害が発生しているケース22およびHEMSで障害が発生しているケース23が含まれる。以下、障害が発生しているケースごとに、復旧計画作成部12での検証について説明する。なお、図中、〇は正常、×が障害、△が電力網復旧計画支援装置10でセンサデータ111を受信できていないことを示す。
【0121】
まず、ケース21では、復旧計画作成部12は、ルート1~ルート3の比較結果により同じ障害であると判定する。つまり、無線ネットワーク31-1の障害であると判定できる。これは、また、ケース22では、復旧計画作成部12は、ルート1~ルート3を比較することにより、下位ネットワーク31あるいは無線ネットワーク31-1の障害を検出することができる。また、ケース23では、復旧計画作成部12は、ルート1~ルート3を比較することにより、HEMSでの障害を検出することができる。また、上位ネットワーク40では障害が発生していないと判定できる。
【0122】
以上の結果、ネットワーク障害についても、無線ネットワーク31-1と下位ネットワーク31や上位ネットワーク40の切り分けが可能となり、データ確実度を向上できる。同様に、HEMSといった他の設備のデータ正常か異常かという状態(データ)とそのデータ確実度を向上できる。このように、複数ルート間の結果を比較することのより、障害個所が特定できるので、データ確実度を向上できる。以上で、ステップS433の説明を終わり、図18の説明に戻る。
【0123】
ステップS434においては、確実度が小さいため、復旧計画作成部12が、大まかな復旧計画を作成する。例えば、復旧計画作成部12は、ステップS433のような詳細なルートの作成を省略し、最大値で近似した近似ルートを作成する。以上のように作成された復旧計画は、UI部15を介して、システム管理者や作業員端末50に出力される。この結果、作業員は復旧計画に応じた復旧作業を実行することが可能となる。これで、図18の節身を終わり、図6の説明に戻る。
【0124】
ステップS44において、復旧計画作成部12が、作成された復旧計画の書込み要求を、データ管理部13に通知する。これを受けて、ステップS36において、データ管理部13のデータ格納部134が、書込み要求に応じて、復旧計画を記憶部11に格納する。以上で、実施例1の説明を終わるが、本実施例によれば、電力網2といった施設での障害が発生した場合でもより適切な復旧計画を作成することが可能となる。
【実施例0125】
実施例1では、被災での障害に対する復旧計画を作成するが、本発明はいわゆる平常時の運用の支援にも提供できる。実施例2では、平常時の運用の支援を対象とする。実施例2の構成は、実施例1と同様であるが電力網管理部14を用いる点で異なる。このため、図1における復旧計画作成部12および電力網管理部14の少なくとも一方を省略してもよいし、いずかで他方の機能を実現してもよい。
【0126】
そして、実施例2では、図6のステップS42までは、実施例1と同様に処理を実行する。また、ステップS43において、電力網管理部14が、実施例1と同様に保守のための保守計画を作成する。そして、ステップS44以降では実施例1と同様の処理を実行する。以上の実施例2によれば、より適切な施設の保守等の運用管理を実現できる。なお、実施例1の復旧計画および実施例2の平常時の保守計画の両方を作成するように構成してもよい。実施例2によれば、いわゆる平常時の保守計画をより実態に即して実現できる。
【実施例0127】
実施例3は、実施例1の復旧計画能作成に加え、業務の一例としてセンサデータ111やその確実度を用いた応用サービスを実行する例である。応用サービスには、見守りサービスや宅配サービスが含まれる。本実施例では、確実度を用いて、家庭等における需要家での在宅判断を行し、適切なサービスを提供する。以下、その内容を説明する。
【0128】
図22は、実施例3におけるサービス提供支援装置100の処理の概要を説明するための図である。このサービス提供支援装置100は、実施例1や2の電力網復旧計画支援装置10にサービス支援部が追加されている。この結果、本実施例では、復旧計画の作成に加え、見守りサービスや宅配サービスにおける巡回経路を作成することになる。つまり、データ更生部133が、電柱センサデータ517等のセンサデータ111に対して、コンテキスト管理を実行し、需要家の在宅データを特定する。この際、データ更生部133は、確実度として、在宅の確実度を算出する。そして、サービス支援部が、これらを用いて、巡回経路を作成する。この際、図18に示す処理フローに従うことが望ましい。そして、復旧計画や巡回計画がAPI(Application Programming Interface)を介して出力されることが望ましい。なお、本実施例では、復旧計画の作成、出力を省略し、サービス支援に限定してもよい。実施例3によれば、在宅状況に即した応用サービス、特にその巡回計画の作成を実現できる。
【符号の説明】
【0129】
10…電力網復旧計画支援装置、11…記憶部、12…復旧計画作成部、13…データ管理部、131…データ収集部、132…データ評価部、133…データ更生部、134…データ格納部、14…電力網管理部、15…UI部、2…電力網、21~24…スマートメータ群、21-1~24-3…スマートメータ、31~34…下位ネットワーク、40…上位ネットワーク、50…作業員端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
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図22