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特開2023-180617三次元点群データ・階層構造データの処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180617
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】三次元点群データ・階層構造データの処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 9/40 20060101AFI20231214BHJP
   G06T 17/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06T9/40
G06T17/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094063
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】500063228
【氏名又は名称】田中 成典
(71)【出願人】
【識別番号】511121768
【氏名又は名称】今井 龍一
(71)【出願人】
【識別番号】502235692
【氏名又は名称】中村 健二
(71)【出願人】
【識別番号】519113745
【氏名又は名称】Intelligent Style株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】今井 龍一
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】塚田 義典
(72)【発明者】
【氏名】田中 成典
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA00
5B080AA17
5B080AA19
5B080BA01
5B080CA05
5B080DA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より効果的な圧縮三次元点群データ生成技術を提供する。
【解決手段】圧縮三次元点群データ生成装置において、三次元点群データ取得手段2は、圧縮対象である対象三次元点群データを取得する。基準層ボクセル決定手段4は、緯度経度標高に基づいてグローバル座標系において予め定められた位置に設けられた基準層のボクセルによるメッシュを参照し、取得した対象三次元点群データが含まれる内実ボクセル10を決定する。圧縮データ生成手段6は、基準層の内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層ボクセルに分割した下位層メッシュを形成し、下位層メッシュの各ボクセルについて、対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、点が含まれるボクセルを内実ボクセル20とし、点が含まれないボクセルを空ボクセル22とする。圧縮データ生成手段6はさらに、以上の処理を繰り返し、最下層メッシュのボクセルまでの階層的なデータを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを生成する圧縮三次元点群データ生成装置であって、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段と、
を備えた圧縮三次元点群データ生成装置。
【請求項2】
コンピュータによって圧縮三次元点群データ生成装置を実現するための圧縮三次元点群データ生成プログラムであって、コンピュータを、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段として機能させるための圧縮三次元点群データ生成プログラム。
【請求項3】
計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを生成する圧縮三次元点群データ生成装置であって、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュを含み、予め定められた位置において、緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた数の前記基準層のボクセルによって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュを、最上位層まで繰り返して構成される階層構造のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
前記階層構造のメッシュにおける上位層の内実ボクセルの下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段と、
を備えた圧縮三次元点群データ生成装置。
【請求項4】
コンピュータによって圧縮三次元点群データ生成装置を実現するための圧縮三次元点群データ生成プログラムであって、コンピュータを、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュを含み、予め定められた位置において、緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた数の前記基準層のボクセルによって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュを、最上位層まで繰り返して構成される階層構造のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
前記階層構造のメッシュにおける上位層の内実ボクセルの下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段として機能させるための圧縮三次元点群データ生成プログラム。
【請求項5】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記基準層のメッシュにおける基準層のボクセルの位置は、国土地理院の定める図郭に基づいて決定されることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項6】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記圧縮データ生成手段は、前記内実ボクセルには存在を示す存否データを付与し、空ボクセルには非存在を示す存否データを付与することを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項7】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記階層構造データにおいて、メッシュに付与された存否データを可逆圧縮手法によって圧縮した層を含むことを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項8】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記圧縮データ生成手段は、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの色または反射強度を示すデータの代表値を当該ボクセルに与えることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項9】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記圧縮データ生成手段は、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの色を示すデータの平均値を算出し、当該平均値に基づいて段階的に定められた色を決定し、当該段階的に定められた色を当該ボクセルに与えることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項10】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
前記圧縮データ生成手段は、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの反射強度を示すデータの平均値を算出し、当該平均値に基づいて段階的に定められた反射強度を決定し、当該段階的に定められた反射強度を当該ボクセルに与えることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項11】
請求項10の装置またはプログラムにおいて、
前記反射強度の段階は、反射強度の利用頻度が高い領域において細かく区切られていることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項12】
請求項1~4の装置またはプログラムにおいて、
圧縮三次元点群データ生成装置は、端末装置からアクセス可能なサーバ装置として構築されていることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項13】
計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データであって、
緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた最上位層のボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ボクセルを緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた複数個の下位層のボクセルに分割し、当該下位層のボクセルによって構成される下位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュによる階層構造を有し、
存在データが付与された上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに点が含まれる旨の存在データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い、存在データが付与されなかった上位層のボクセルについてはそれより下層の全てのボクセルについての階層構造データを生成しないように構成された階層構造データを備えた圧縮三次元点群データ。
【請求項14】
計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを、コンピュータによって生産する圧縮三次元点群データの生産方法であって、
前記コンピュータが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得し、
前記コンピュータが、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを選択し、
前記コンピュータが、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わないようにした圧縮三次元点群データの生産方法。
【請求項15】
計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを、コンピュータによって生産する圧縮三次元点群データ生成の生産方法であって、
前記コンピュータが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得し、
前記コンピュータが、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュを含み、予め定められた位置において、緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた数の前記基準層のボクセルによって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュを、最上位層まで繰り返して構成される階層構造のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定し、
前記コンピュータが、前記階層構造のメッシュにおける上位層の内実ボクセルの下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わないようにした圧縮三次元点群データの生産方法。
【請求項16】
データ処理を行う装置であって、
第1の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第1の圧縮三次元点群データを生成する第1の生成手段と、
第2の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第2の圧縮三次元点群データを生成する第2の生成手段と、
第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データとに基づいて、少なくともデータの比較または追加を含むデータ処理を行う処理手段と、
を備えたデータ処理装置。
【請求項17】
コンピュータによりデータ処理を行う装置を実現するためのデータ処理プログラムであって、コンピュータを、
第1の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第1の圧縮三次元点群データを生成する第1の生成手段と、
第2の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第2の圧縮三次元点群データを生成する第2の生成手段と、
第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データとに基づいて、少なくともデータの比較または追加を含むデータ処理を行う処理手段として機能させるためのデータ処理プログラム。
【請求項18】
請求項16のデータ処理装置または請求項17のデータ処理プログラムにおいて、
前記処理手段は、上位層メッシュから下位層メッシュに向けて階層ごとに比較を行って、目的とする下位層における比較結果を得るものであり、第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データの存否データにおいて双方が点の存在を示す場合には、さらに下位の階層について比較を行い、存否データにおいて一方が点の存在を示し、他方が点の不存在を示す場合には、当該一方の点の階層以下の目的とする下位層までのデータを比較結果として用いることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項19】
請求項16のデータ処理装置または請求項17のデータ処理プログラムにおいて、
前記第1および第2の圧縮三次元点群データは、前記存否データにおいて三次元点群データの点が含まれないボクセルより下位のボクセルについてはデータを持たないようにしたことを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項20】
請求項16のデータ処理装置または請求項17のデータ処理プログラムにおいて、
データ処理装置は、端末装置からアクセス可能なサーバ装置として構築されていることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項21】
コンピュータによってデータ処理を行うデータ処理方法であって、
前記コンピュータが、第1の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第1の圧縮三次元点群データを生成し、
第2の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第2の圧縮三次元点群データを生成し、
第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データとに基づいて、少なくともデータの比較または追加を含むデータ処理を行うデータ処理方法。
【請求項22】
最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のピクセルまたはボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、最下位層のメッシュのピクセルまたはボクセルには、当該ピクセルまたはボクセルによって示される領域内に少なくとも一つの対象物が存在するか否かを示す存否データが付与され、上位層のピクセルまたはボクセルには、当該上位層のピクセルまたはボクセルによって示される領域内に、対象物の存在を示す下位層のピクセルまたはボクセルが少なくとも一つ存在するか否かを示す存否データが付与された階層構造データを取得する階層構造データ取得手段と、
ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該ボクセルの特徴値として算出する特徴算出手段と、
前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該下位層のボ、クセルの特徴値とし、前記ボクセルを分割した前記下位層ボクセルの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として算出する統合値算出手段と、
前記ボクセルに、前記算出した前記ボクセルの特徴値と、前記ボクセルの統合値を付与する付与手段と、
を備えた特徴データ付与装置。
【請求項23】
特徴データ付与装置をコンピュータによって実現するための特徴データ付与プログラムであって、コンピュータを、
最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のピクセルまたはボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、最下位層のメッシュのピクセルまたはボクセルには、当該ピクセルまたはボクセルによって示される領域内に少なくとも一つの対象物が存在するか否かを示す存否データが付与され、上位層のピクセルまたはボクセルには、当該上位層のピクセルまたはボクセルによって示される領域内に、対象物の存在を示す下位層のピクセルまたはボクセルが少なくとも一つ存在するか否かを示す存否データが付与された階層構造データを取得する階層構造データ取得手段と、
ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該ボクセルの特徴値として算出する特徴算出手段と、
前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該下位層のボ、クセルの特徴値とし、前記ボクセルを分割した前記下位層ボクセルの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として算出する統合値算出手段と、
前記ボクセルに、前記算出した前記ボクセルの特徴値と、前記ボクセルの統合値を付与する付与手段として機能させるための特徴データ付与プログラム。
【請求項24】
請求項22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記統合値は、前記下位層ボクセルの特徴値を階層的に構築したものであることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項25】
請求項22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記階層構造データは、対象物の存在が無いことを示す存否データ与えられたピクセルまたはボクセルについて、それより下位のメッシュについてのデータを持たないように構成されていることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項26】
請求項22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記対象物は、点群データであることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項27】
対象物の存否を表すデータを階層構造にて表した特徴データ付き階層構造データであって、
最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、
当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、
上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い構成された階層構造データであって、
ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値が当該ボクセルの特徴値として当該ボクセルに付与され、
前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として、前記ボクセルに付与された特徴データ付き階層構造データ。
【請求項28】
コンピュータによって特徴データ付き階層構造データを生産する方法であって、
最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のピクセルまたはボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、最下位層のメッシュのピクセルまたはボクセルには、当該ピクセルまたはボクセルによって示される領域内に少なくとも一つの対象物が存在するか否かを示す存否データが付与され、上位層のピクセルまたはボクセルには、当該上位層のピクセルまたはボクセルによって示される領域内に、対象物の存在を示す下位層のピクセルまたはボクセルが少なくとも一つ存在するか否かを示す存否データが付与された階層構造データを取得し、
ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該ボクセルの特徴値として算出し、
前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該下位層のボ、クセルの特徴値とし、前記ボクセルを分割した前記下位層ボクセルの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として算出し、
前記ボクセルに、前記算出した前記ボクセルの特徴値と、前記ボクセルの統合値を付与する特徴データ付き階層構造データの生産方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三次元点群データを圧縮した階層構造データの生成技術、階層構造データの処理技術、階層構造データに対する特徴データの付与技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LiDARやMMS(モービルマッピングシステム)などを用いて対象物を計測し三次元点群データを得ることが行われている。このような三次元点群データは、地形や地物などの現状を把握したり変化を把握したりするために用いられている。
【0003】
三次元点群データの各点は、三次元空間における詳細な位置情報(緯度、経度、標高)を有している上、計測対象の表面形状が把握できる程度に密に計測されているので、非常に大きなデータ容量を有するものである。このため、三次元点群データの利用目的によっては、精度を落としたデータで十分であるにもかかわらず、データ交換や処理において大きな容量のデータを扱わねばならず、処理が効率的では無かった。
【0004】
これを解決するため、特許文献1には、Octreeと呼ばれる階層構造にて三次元点群データを表現し、データ容量を削減することが示されている。Octreeの各ノードの値は、三次元点群データの当該ノードに対応する部分領域における点の有無を示すものとなっている。Octreeの上位のノードは、そのノードに属する下位ノードに対応する8つの部分領域を一つにまとめた領域における点の有無を示している。このため、Octreeの階層構造により、圧縮された低い解像度の三次元点群データを各階層のノードのデータとして得ることができる。
【0005】
一方、データの改竄を検出して改竄を防止するための仕組みが用いられている。たとえば、特許文献2には、複数の管理対象のデータのそれぞれにハッシュ値を算出し、このハッシュ値をツリー構造に統合値として算出することで、どのデータが改竄されたかを階層構造のハッシュ値・統合値(特徴値)によって検出することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-51968
【特許文献2】特開2005-32130
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、2つの三次元点群データを比較したりする処理等において、次のような問題があった。低い解像度のデータを用いて処理を行うとすると、比較すべき三次元点群データについてOctreeのノードの三次元空間における領域が合致するように、Octreeの階層構造を再計算する必要があった。あるいは、三次元点群データそのものを用いて比較等の処理を行わなければならなかった。
【0008】
また、比較などの処理において、目的に応じた精度にて効率よく処理を行うことが求められている。
【0009】
特許文献2に示された改竄発見方法は、一つの階層にある複数のデータに対しての改竄発見には有効である。しかし、階層構造になっているデータに対して、いずれかの階層のいずれのデータが改竄されたかを発見するためには、各階層ごとに前述のハッシュ値・統合値(特徴値)を持たなければならず、処理が煩雑であり、データ容量も大きくなってしまうという問題があった。
【0010】
この発明は、上記のいずれかの問題を解決して、より効果的な点群データの圧縮技術、データ処理技術、特徴値の付与技術などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0012】
(1)(2)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを生成する圧縮三次元点群データ生成装置であって、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段とを備えている。
【0013】
したがって、解像度の異なる圧縮データを容易に作成でき、圧縮三次元点群データに対する処理を容易にすることができる。
【0014】
(3)(4)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを生成する圧縮三次元点群データ生成装置であって、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュを含み、予め定められた位置において、緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた数の前記基準層のボクセルによって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュを、最上位層まで繰り返して構成される階層構造のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、前記階層構造のメッシュにおける上位層の内実ボクセルの下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない圧縮データ生成手段とを備えている。
【0015】
したがって、解像度の異なる圧縮データを容易に作成でき、圧縮三次元点群データに対する処理を容易にすることができる。
【0016】
(5)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、基準層のメッシュにおける基準層のボクセルの位置が、国土地理院の定める図郭に基づいて決定されることを特徴としている。
【0017】
したがって、生成された圧縮三次元点群データの統一化を図ることができる。
【0018】
(6)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、圧縮データ生成手段が、前記内実ボクセルには存在を示す存否データを付与し、空ボクセルには非存在を示す存否データを付与することを特徴としている。
【0019】
したがって、三次元点群データの存否を各階層に応じて明確にすることができる。
【0020】
(7)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、階層構造データにおいて、メッシュに付与された存否データを可逆圧縮手法によって圧縮した層を含むことを特徴としている。
【0021】
したがって、圧縮率を向上させることができる。
【0022】
(8)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、圧縮データ生成手段が、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの色または反射強度を示すデータの代表値を当該ボクセルに与えることを特徴としている。
【0023】
したがって、色または反射強度についても圧縮することができる。
【0024】
(9)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、圧縮データ生成手段が、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの色を示すデータの代表値を算出し、当該代表値に基づいて段階的に定められた色を決定し、当該段階的に定められた色を当該ボクセルに与えることを特徴としている。
【0025】
したがって、圧縮率を向上させることができる。
【0026】
(10)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、圧縮データ生成手段が、前記対象三次元点群データが含まれるボクセルについて、当該ボクセルに含まれる対象三次元点群データの反射強度を示すデータの代表値を算出し、当該代表値に基づいて段階的に定められた反射強度を決定し、当該段階的に定められた反射強度を当該ボクセルに与えることを特徴としている。
【0027】
したがって、圧縮率を向上させることができる。
【0028】
(11)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、反射強度の段階は、反射強度の利用頻度が高い領域において細かく区切られていることを特徴としている。
【0029】
したがって、実データの特徴を損なうことなく、圧縮率を向上させることができる。
【0030】
(12)この発明に係る圧縮三次元点群データ生成装置は、端末装置からアクセス可能なサーバ装置として構築されていることを特徴としている。
【0031】
したがって、端末装置から容易に圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0032】
(13)この発明に係る圧縮三次元点群データは、計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データであって、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた最上位層のボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ボクセルを緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた複数個の下位層のボクセルに分割し、当該下位層のボクセルによって構成される下位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュによる階層構造を有し、存在データが付与された上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに点が含まれる旨の存在データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い、存在データが付与されなかった上位層のボクセルについてはそれより下層の全てのボクセルについての階層構造データを生成しないように構成された階層構造データを備えた圧縮三次元点群データである。
【0033】
したがって、解像度の異なる圧縮データを容易に作成でき、処理の容易な圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0034】
(14)この発明に係る圧縮三次元点群データの生産方法は、計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを、コンピュータによって生産する圧縮三次元点群データの生産方法であって、前記コンピュータが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得し、前記コンピュータが、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを選択し、前記コンピュータが、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わないようにした圧縮三次元点群データの生産方法である。
【0035】
したがって、解像度の異なる圧縮データを容易に作成でき、処理の容易な圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0036】
(15)この発明に係る圧縮三次元点群データの生産方法は、計測に基づいて得られた三次元点群データを階層構造にて表した圧縮三次元点群データを、コンピュータによって生産する圧縮三次元点群データ生成の生産方法であって、前記コンピュータが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得し、前記コンピュータが、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置に関連づけられた基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュを含み、予め定められた位置において、緯度方向、経度方向、標高方向にそれぞれ予め定められた数の前記基準層のボクセルによって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュを、最上位層まで繰り返して構成される階層構造のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定し、前記コンピュータが、前記階層構造のメッシュにおける上位層の内実ボクセルの下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造データを有する圧縮三次元点群データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わないようにした圧縮三次元点群データの生産方法である。
【0037】
したがって、解像度の異なる圧縮データを容易に作成でき、処理の容易な圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0038】
(16)(17)この発明に係るデータ処理装置は、データ処理を行う装置であって、第1の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第1の圧縮三次元点群データを生成する第1の生成手段と、第2の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第2の圧縮三次元点群データを生成する第2の生成手段と、第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データとに基づいて、少なくともデータの比較または追加を含むデータ処理を行う処理手段とを備えている。
【0039】
したがって、三次元点群データのデータ加工が容易である。
【0040】
(18)この発明に係るデータ処理装置は、処理手段が、上位層メッシュから下位層メッシュに向けて階層ごとに比較を行って、目的とする下位層における比較結果を得るものであり、第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データの存否データにおいて双方が点の存在を示す場合には、さらに下位の階層について比較を行い、存否データにおいて一方が点の存在を示し、他方が点の不存在を示す場合には、当該階層から下の階層から目的とする下位層の上の階層までの処理を行わず、前記一方の点の目的とする下位層のデータを比較結果として用いることを特徴としている。
【0041】
したがって、2つの三次元点群データの比較を容易に行うことができる。
【0042】
(19)この発明に係るデータ処理装置は、第1および第2の圧縮三次元点群データが、前記存否データにおいて三次元点群データの点が含まれないボクセルより下位のボクセルについてはデータを持たないようにしたことを特徴としている。
【0043】
したがって、データ加工処理を効率的に行うことができる。
【0044】
(20)この発明に係るデータ処理装置は、端末装置からアクセス可能なサーバ装置として構築されていることを特徴としている。
【0045】
したがって、端末装置から容易にデータ処理装置を利用することができる。
【0046】
(21)この発明に係るデータ処理方法は、コンピュータによってデータ処理を行うデータ処理方法であって、前記コンピュータが、第1の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第1の圧縮三次元点群データを生成し、第2の三次元点群データに基づいて、最下位層のボクセルを単位とする最下位層のメッシュを含み、当該下位層のボクセルの複数個によって構成される上位層のボクセルを単位とする上位層のメッシュが階層的に設けられた階層的メッシュのそれぞれのボクセルに、三次元点群データの点が含まれるか否かを示す存否データを付与した第2の圧縮三次元点群データを生成し、第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データとに基づいて、少なくともデータの比較または追加を含むデータ処理を行うデータ処理方法である。
【0047】
したがって、三次元点群データのデータ加工が容易である。
【0048】
(22)(23)この発明に係る特徴データ付与装置は、最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のピクセルまたはボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、最下位層のメッシュのピクセルまたはボクセルには、当該ピクセルまたはボクセルによって示される領域内に少なくとも一つの対象物が存在するか否かを示す存否データが付与され、上位層のピクセルまたはボクセルには、当該上位層のピクセルまたはボクセルによって示される領域内に、対象物の存在を示す下位層のピクセルまたはボクセルが少なくとも一つ存在するか否かを示す存否データが付与された階層構造データを取得する階層構造データ取得手段と、ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該ボクセルの特徴値として算出する特徴算出手段と、前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該下位層のボ、クセルの特徴値とし、前記ボクセルを分割した前記下位層ボクセルの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として算出する統合値算出手段と、前記ボクセルに、前記算出した前記ボクセルの特徴値と、前記ボクセルの統合値を付与する付与手段とを備えている。
【0049】
したがって、階層構造データに変更があったことの検出や変更されたデータの特定が容易である。
【0050】
(24)この発明に係る特徴データ付与装置は、統合値が、前記下位層ボクセルの特徴値を階層的に構築したものであることを特徴としている。
【0051】
したがって、さらに、変更されたデータの特定が容易である。
【0052】
(25)この発明に係る特徴データ付与装置は、階層構造データが、対象物の存在が無いことを示す存否データ与えられたピクセルまたはボクセルについて、それより下位のメッシュについてのデータを持たないように構成されていることを特徴とする。
【0053】
したがって、データ処理が効率的である。
【0054】
(26)この発明に係る特徴データ付与装置は、対象物が、点群データであることを特徴としている。
【0055】
したがって、点群データの改竄防止などを実現することができる。
【0056】
(27)この発明に係る特徴データ付き階層構造データは、対象物の存否を表すデータを階層構造にて表した特徴データ付き階層構造データであって、最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い構成された階層構造データであって、ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値が当該ボクセルの特徴値として当該ボクセルに付与され、前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として、前記ボクセルに付与された特徴データ付き階層構造データである。
【0057】
したがって、階層構造データに変更があったことの検出や変更されたデータの特定が容易である。
【0058】
(28)この発明に係る特徴データ付き階層構造データを生産する方法は、コンピュータによって特徴データ付き階層構造データを生産する方法であって、最上位層のピクセルまたはボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ピクセルまたはボクセルを複数個の下位層のピクセルまたはボクセルとし、当該下位層のピクセルまたはボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、最下位層のメッシュのピクセルまたはボクセルには、当該ピクセルまたはボクセルによって示される領域内に少なくとも一つの対象物が存在するか否かを示す存否データが付与され、上位層のピクセルまたはボクセルには、当該上位層のピクセルまたはボクセルによって示される領域内に、対象物の存在を示す下位層のピクセルまたはボクセルが少なくとも一つ存在するか否かを示す存否データが付与された階層構造データを取得し、ボクセルを分割した下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該ボクセルの特徴値として算出し、前記下位層のボクセルのそれぞれについて、当該下位層のボクセルを分割したさらに下位層のボクセルについての存否データの特徴値を当該下位層のボクセルの特徴値とし、前記ボクセルを分割した前記下位層ボクセルの特徴値を統合して、前記ボクセルの統合値として算出し、前記ボクセルに、前記算出した前記ボクセルの特徴値と、前記ボクセルの統合値を付与する特徴データ付き階層構造データの生産方法である。
【0059】
したがって、階層構造データに変更があったことの検出や変更されたデータの特定が容易な階層構造データを得ることができる。
【0060】
「三次元点群データ取得手段」は、実施形態においては、ステップS1がこれに対応する。
【0061】
「基準層ボクセル決定手段」は、実施形態においては、ステップS2がこれに対応する。
【0062】
「圧縮データ生成手段」は、実施形態においては、ステップS5がこれに対応する。
【0063】
「第1の生成手段」は、実施形態においては、ステップS52がこれに対応する。
【0064】
「第2の生成手段」は、実施形態においては、ステップS54がこれに対応する。
【0065】
「処理手段」は、実施形態においては、ステップS57~S61がこれに対応する。
【0066】
「階層構造データ取得手段」は、実施形態においては、ステップS71がこれに対応する。
【0067】
「特徴量算出手段」は、実施形態においては、ステップS76がこれに対応する。
【0068】
「統合値算出手段」は、実施形態においては、ステップS85がこれに対応する。
【0069】
「付与手段」は、実施形態においては、ステップS77、S86がこれに対応する。
【0070】
「装置」とは、1台のコンピュータによって構成されるものだけでなく、ネットワークなどを介して接続された複数のコンピュータによって構成されるものも含む概念である。したがって、本発明の手段(あるいは手段の一部でもよい)が複数のコンピュータに分散されている場合、これら複数のコンピュータが装置に該当する。
【0071】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム、オペレーティングシステムと協働してその機能を発揮するプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】第1の実施形態による圧縮三次元点群データ生成装置の機能構成を示す図である。
図2】圧縮三次元点群データ生成装置のハードウエア構成を示す図である。
図3】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図4】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図5】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図6】三次元点群データの例である。
図7】基準層メッシュ12における基準層ボクセル10を示す図である。
図8】基準層ボクセル10の下位層ボクセルへの分割を示す図である。
図9】位置に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図10図10Aは基準色のテーブルを示す図である。図10Bは基準色との誤差を算出するための式である。
図11】色に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図12】反射強度のテーブルを示す図である。
図13】反射強度に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図14】バイナリ化した圧縮三次元点群データを示す図である。
図15図15Aは三次元点群データであり、図15Bは圧縮三次元点群データに基づいて生成した圧縮データであり、図15Cは圧縮三次元点群データに基づいて生成したより圧縮率の高い圧縮データである。
図16】圧縮三次元点群データ生成装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
図17】第2の実施形態によるデータ処理装置の機能構成を示す図である。
図18】三次元点群データの構成を示す図である。
図19】データ処理プログラムのフローチャートである。
図20】データ比較処理を説明するための図である。
図21】データ処理装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
図22】第3の実施形態による特徴データ付与装置の機能構成素示す図である。
図23】特徴データ付与プログラムのフローチャートである。
図24】特徴データ付与プログラムのフローチャートである。
図25】特徴データ付与処理を説明するための図である。
図26】統合値の構造を示す図である。
図27】特徴データ付与装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
1.第1の実施形態
1.1機能構成
図1に、この発明の一実施形態による圧縮三次元点群データ生成装置の機能構成を示す。三次元点群データ取得手段2は、圧縮対象である対象三次元点群データを取得する。基準層ボクセル決定手段4は、緯度経度標高に基づいてグローバル座標系において予め定められた位置に設けられた基準層のボクセルによるメッシュを参照し、前記取得した対象三次元点群データが含まれる内実ボクセル10(三次元点群データを含むボクセル)を決定する。基準層のボクセルとしては、たとえば、緯度経度によって区画されている、国土地理院の定める図郭に所定の高さ(標高方向の高さ)を与えたものを用いることができる。
【0074】
圧縮データ生成手段6は、基準層の内実ボクセル10を、予め定められた複数の下位層ボクセルに分割した下位層メッシュを形成する。圧縮データ生成手段6は、下位層メッシュの各ボクセルについて、対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、点が含まれるボクセルを内実ボクセル20とし、点が含まれないボクセルを空ボクセル22とする。
【0075】
さらに、圧縮データ生成手段6は、下位層の内実ボクセル20のそれぞれを、さらに下位の下位層ボクセルに分割した下位層メッシュを形成する。圧縮データ生成手段6は、下位層メッシュの各ボクセルについて、対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、点が含まれるボクセルを内実ボクセル30とし、点が含まれないボクセルを空ボクセル32とする。
【0076】
圧縮データ生成手段6は、以上の処理を繰り返し、最下層メッシュのボクセルまでの階層的なデータを生成する。
【0077】
なお、圧縮データ生成手段6は、空ボクセル22、32については、それより下位層のメッシュに関する処理を行わずデータを保持しない。
【0078】
以上のように、この実施形態に係る圧縮三次元点群データ生成装置によれば、いずれの階層においても、グローバル座標系において予め定められた位置に設けられたボクセルが用いられている。したがって、2つの圧縮三次元点群データを比較するなどの処理においても、互いのボクセルが同じ座標系において同じ規則に従って生成されたものであるから、特別な加工をしなくともそのまま用いることができる。
【0079】
1.2ハードウエア構成
圧縮三次元点群データ生成装置のハードウエア構成を、図2に示す。CPU40には、メモリ42、ディスプレイ44、SSD46、DVD-ROMドライブ48、キーボード/マウス50、通信回路52が接続されている。通信回路52は、インターネットに接続するための回路である。
【0080】
SSD46には、オペレーティングシステム54、圧縮三次元点群データ生成プログラム56が記録されている。圧縮三次元点群データ生成プログラム56は、オペレーティングシステム54と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM58に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ48を介して、SSD46にインストールしたものである。
【0081】
1.3圧縮三次元点群データ生成処理
図3図5に、圧縮三次元点群データ生成プログラム56のフローチャートを示す。CPU40は、DVD-ROMドライブ48を介して、DVD-RWディスク(図示せず)に記録された三次元点群データを読み込んで、SSD46に記録する(ステップS1)。三次元点群データは、他の記録媒体から読み込んでもよいし、通信回路52を介してインターネット上のサーバ装置などから読み込むようにしてもよい。
【0082】
この実施形態では、三次元点群データは、MMSにより、自動車を走行させながらレーザによって地物などの表面点までの距離を計測し、これらの計測データを再構築して、地物などの表面点の三次元座標を示したものを用いている。図6に、計測によって得られた三次元点群データの例を示す。これら三次元点群データには、緯度経度標高に基づくグローバル座標が付与されている。また、各点における反射強度(照射レーザ光の強度に対する受光レーザ光の強度の比)、色のデータも付与されている。
【0083】
次に、CPU40は、予め用意されているグローバル座標に基づく基準層メッシュを参照し、上記三次元点群データがいずれのボクセルに含まれるかを、グローバル座標系のもとで判定する。基準層メッシュにおいて上記三次元点群データを含むボクセルを基準層ボクセルとして決定する(ステップS2)。
【0084】
この実施形態では、基準層メッシュにおいて、国土地理院の定める国土基本図図郭(地図情報レベル500)に、高さを与えたボクセルを用いている。この基本図図郭によれば、日本の国土のいずれの場所であっても、それぞれの図郭に図郭コードが与えられているので、緯度経度を特定することができる。同様に、世界測地系や平面直角座標系などに基づいてボクセルを構築すれば、世界のいずれの場所であっても緯度経度を特定することができる。
【0085】
基本図図郭(地図情報レベル500)は、緯度方向に300m、経度方向に400mとして定められており、この実施形態では、これに標高方向に300mを与えて基準層メッシュにおけるボクセルとしている。
【0086】
この実施形態において、基準層メッシュのボクセルを特定するためには、たとえば、図郭コード(09LD3599)に標高方向の高さを示すコード(00,01・・・)を付加することでこれを実現している。また、基準層メッシュの各ボクセルには、基準点(たとえば最北、最西、最下の点)のグローバル座標が記録されている。
【0087】
図7に、日本全国に配置された基準層メッシュ12の一部を示す。CPU40は、この基準層メッシュ12を参照し、その中に三次元点群データを包含するボクセルを特定して、基準層ボクセル10とする。なお、三次元点群データの広がりが大きい場合や、三次元点群データがボクセルの境界近傍にある場合には、複数のボクセルが基準層ボクセル10として選択されることになる。
【0088】
次に、CPU40は、選択した基準層ボクセルを対象ボクセルとして以下の処理を行う(ステップS3)。まず、当該基準ボクセルの第1下位層メッシュを生成する。ここで、第1下位層メッシュの生成規則は予め定めており、当該規則に従って生成する。
【0089】
図8を用いて、基準層ボクセルについての第1下位層メッシュの生成を説明する。上述のように、基準層ボクセルは、基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて生成されており、経度方向400m、緯度方向300m、標高方向300mの大きさを有している。また、基準点14のグローバル座標が記録されている。この実施形態では、基準層ボクセルを、緯度方向に4つ、経度方向に3つ、標高方向に3つのメッシュに分割して、100m立方の36個の第1下位層ボクセルを生成している。
【0090】
CPU40は、この下位層ボクセルのそれぞれに三次元点群データの点が少なくとも1つ以上含まれるかどうかを判断し、第1下位層ボクセルのそれぞれに対し存否データを与える(ステップS5)。三次元点群データが含まれていれば「1」、含まれていなければ「0」を与える。この処理を対象ボクセルの全てについて行う(ステップS4、S6)。
【0091】
なお、図7の例では、対象ボクセルである基準層ボクセルは一つであるので、ステップS5は1回だけ実行されることになる。図9に、生成された第1下位層の存否データの例を示す。基準層ボクセルの36個の下位層ボクセルのそれぞれに対して、「1」「0」が与えられている。図では、標高方向に3つの平面として存否データを示している。なお、各下位層ボクセルは、大きさが定められており、その配置から、グローバル座標の記録された基準点14(図8参照)との相対的な位置関係がわかるので、グローバル座標系において正確な位置に配置することができる。
【0092】
以上のようにして、対象ボクセルについて存否データを生成すると、CPU40は、最下位層のメッシュまで処理を行った否かを判断する(ステップS7)。まだであれば、図9Aに示す「1」の存否データを持つボクセル(すなわち、三次元点群データを含むボクセル)を、新たな対象ボクセルとして選択する(ステップS8)。
【0093】
このようにして選択された新たな対象ボクセル(三次元点群データを含むボクセル)について、さらに第2下位層メッシュに分割し、存否データを生成する(ステップS4~S6)。この実施形態では、経度、緯度、標高方向にそれぞれ10個ずつの下位層ボクセルに分割している。
【0094】
図9Bに、このようにして生成された第2下位層の存否データを示す。標高方向に10個の平面があるが、図においては2つのみを示している。第2下位層の存否データは、第1下位層において存否データが「1」を示すボクセル(三次元点群データを含むボクセル)についてのみ生成される。なお、図においては、1つの「1」である第1下位層ボクセルについて生成された第2下位層ボクセルを示しているが、他の「1」である第1下位層ボクセルについても同様に第2下位層ボクセルが生成される。
【0095】
以上の処理を行うと、CPU40は、第2下位層ボクセルのうち「1」であるもの(三次元点群データを含むボクセル)を新たな対象ボクセルとし、ステップS4~S6を実行する。これにより、上記と同様に、三次元点群データを含む第2下位層ボクセルのそれぞれについて、経度、緯度、標高方向にそれぞれ10個ずつの第3下位層ボクセルが生成されて存否データが与えられる。
【0096】
CPU40は、この処理を最下位層(たとえば1cmグリッド)まで繰り返す。このようにして、図9に示すような位置に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0097】
次に、CPU40は、図4のステップS11~S17に示すように、三次元点群データの持つ色データについての圧縮処理を行う。CPU40は、基準層ボクセルを対象ボクセルとして決定し(ステップS11)、対象ボクセルに含まれる三次元点群データの点のRGB値に基づいて、離散化して決定されたいずれかの基本色を対象ボクセルに付与する(ステップS13)。その処理は以下のとおりである。
【0098】
CPU40は、対象ボクセルに含まれる点についてそのRGB値を取得し、RGBそれぞれについてその平均値を算出する。たとえば、3つの点が含まれる場合には、3つの点のRGB値の平均値を算出する。この平均値が、予め定めた基本色のどれに最も近いかを算出し、当該基本色の色番号を対象ボクセルの色として与える。
【0099】
この実施形態では、図10Aに示すように、色番号1~16までの16色の基本色を設けている。CPU40は、図10Bに示す計算式に基づき、これら基本色のR、G、B値とR、G、Bの平均値との差の絶対値を誤差として算出し、もっとも誤差の小さい基本色を決定して、その色番号を対象ボクセルに与える。また、点の無いボクセルには「0」を与える。
【0100】
上記の処理を最下位層まで繰り返すことにより(ステップS16)、図11に示すような色に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。この色に関する圧縮三次元点群データについても、位置に関する圧縮三次元点群データと同じように、点の存在しないボクセルより下位の層のデータは持たないようにしている。
【0101】
次に、CPU40は、図5のステップS21~S27に示すように、三次元点群データの持つ反射強度データ(照射したレーザの強度に対しての受光したレーザの強度の比)についての圧縮処理を行う。CPU40は、基準層ボクセルを対象ボクセルとして決定し(ステップS21)、対象ボクセルに含まれる三次元点群データの点の反射強度に基づいて、離散化して決定されたいずれかの反射強度を対象ボクセルに付与する(ステップS23)。その処理は以下のとおりである。
【0102】
CPU40は、対象ボクセルに含まれる点についてその反射強度を取得し、その平均値を算出する。たとえば、3つの点が含まれる場合には、3つの点の反射強度の平均値を算出する。この平均値が、段階的に定めた反射強度のどれに最も近いかを算出し、当該反射強度の反射強度番号を対象ボクセルの反射強度として与える。
【0103】
この実施形態では、反射強度を全体として等間隔に分けるのではなく、図12に示すように、重要なところ(処理においてよく用いられる反射強度の領域)を細かく分けるようにしている。たとえば、強度を8段階に分ける場合、CPU40は、三次元点群データ全体において、反射強度の最大値と最小値を取得する。続いて、反射強度を最小値から最大値まで順に並べた場合の、順番として中央に位置する反射強度(すなわち中央値)を中央値(1)として取得する。続いて、中央値(1)から最大値まで反射強度を順に並べた場合の、順番として中央に位置する反射強度を中央値(2)として取得する。
【0104】
中央値(2)から最大値までの間は、全段階数の1/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、中央値(2)から最大値までの間は、1つの段階となる。
【0105】
中央値(1)から中央値(2)までの間は、全段階数の4/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、中央値(1)から中央値(2)までの間は、4つの段階に分けられる。
【0106】
最小値から中央値(1)までの間は、全段階数の3/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、最小値から中央値(1)までの間は、3つの段階に分けられる。
【0107】
CPU40は、分けられた8つの段階のそれぞれに、反射強度番号(1~8)と、各段階における反射強度の中心値を与える。反射強度の大きい領域はデータ処理において用いられることが多い(たとえば、白線抽出など)。したがって、上記のようにして反射強度の大きい領域を細かく分けるようにしている。
【0108】
なお、上記実施形態では8段階に分けているが、7段階以下、9段階以上の所定段階に分けるようにしてもよい。
【0109】
CPU40は、ステップS23において算出した対象ボクセルの反射強度の平均値が、上記いずれの段階に入るかを判断し、当該対象ボクセルに反射強度番号を付与する。また、点の無いボクセルには「0」を与える。
【0110】
上記の処理を最下位層まで繰り返すことにより(ステップS26)、図13に示すような反射強度に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。この反射強度に関する圧縮三次元点群データについても、位置に関する圧縮三次元点群データと同じように、点の存在しないボクセルより下位の層のデータは持たないようにしている。
【0111】
以上のようにして、位置、色、反射強度についての圧縮三次元点群データを得ることができる。なお、この実施形態では、この圧縮三次元点群データをバイナリデータにしている(ステップS28)。
【0112】
図14にバイナリデータの例を示す。「SOI」「EOI」は、データの始まりと終わりを示している。階段数は、図9の階層構造の階層数を示している。頂点座標は、基準層の基準点14(図8)のグローバル座標系における緯度、経度、標高である(反対側の頂点についても緯度、経度、標高を記録してもよい)。また、図示していないが、図10Aに示す色番号とRGBを対応付けたデータ(標準的に定められている場合は不要)、反射強度番号と反射強度(中心値)を対応付けたデータ(標準的に定められている場合は不要)も記録している。
【0113】
「第1段階SOI」「第1段階EOI」は、データの始まりと終わりを示す。「要素数」は、当該層における位置、色、反射強度などの要素数である。
【0114】
「位置情報SOI」「位置情報EOI」は、第1下位層の位置データの始まりと終わりを示す。「圧縮結果」は、図9に示す存否データを順に並べたものである。
【0115】
「RGBSOI」「RGBEOI」は、第1下位層のRGBデータの始まりと終わりを示す。「RGBSOI」の後には、「圧縮結果」(図示せず)が設けられている。この「圧縮結果」には、図11に示すデータが順に並べられて記録される。
【0116】
「反射強度SOI」「反射強度EOI」は、第1下位層の反射強度データの始まりと終わりを示す。「反射強度SOI」の後には、「圧縮結果」(図示せず)が設けられている。この「圧縮結果」には、図13に示すデータが順に並べられて記録される。
【0117】
以下、第2下位層・・・第n下位層(最下位層)まで、同様のデータ構造にてデータが記録されている。なお、位置データの「1」「0」や、色データの「0」や、反射強度データの「0」については、可逆圧縮手法(たとえばランレングス圧縮)用いて記録するようにしてもよい。
【0118】
以上のようにして、データ量が削減され、しかもデータ加工が容易な圧縮三次元点群データを得ることができる。また、三次元点群データが存在しないボクセルの下位層のデータを設けないようにしているので、データ量を削減することができる。
【0119】
1.4圧縮三次元点群データの利用
このような圧縮三次元点群データは、たとえば、次のようにして利用することができる。第1下位層の位置、色、反射強度データのみを抽出することで、高い圧縮率の三次元点群データを得ることができる。同様に、第2下位層、第3下位層・・・最下位層まで、所望の圧縮率の三次元点群データを得ることができる。
【0120】
図15Aが元の三次元点群データであり、図15Bは5cm立方のボクセルを持つ下位層の圧縮三次元点群データであり、図15Cは10cm立方のボクセルを持つ下位層の圧縮三次元点群データである。このように、データ処理の目的に応じて容易に所望の圧縮率の圧縮データを得ることができる。
【0121】
また、2つの三次元点群データを比較したり、三次元点群データに他の三次元点群データを追加したりする場合においても、圧縮率を合致させたいずれかの下位層のデータを用いることで、グローバル座標系において位置を合致させ、処理を正確にかつ迅速に行うことができる。
【0122】
1.5変形例
(1)上記実施形態では、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて基準層のメッシュを構築し、下位に向かって下位層を構築するようにしている。
【0123】
さらに、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて形成した基準層のメッシュから、上位に向かって上位層を構築するようにしてもよい。この場合、緯度方向300m、経度方向400m、標高方向300mの基準層ボクセルであるから、緯度方向4個、経度方向3個、標高方向4個で、上位層のボクセルを構築すれば、1.2km立方の上位層ボクセルを形成できる。
【0124】
さらに、この1.2km立方のボクセルを緯度方向10個、経度方向10個、標高方向10個にして、さらに上位層の立方ボクセルを構築する。このようにして、さらに上位のボクセルを構築することができる。
【0125】
なお、上位層のボクセルを構築する際にも、グローバル座標系において予められた位置に上位層ボクセルが形成されるようにする。そうでないと、上位ボクセルのデータを用いたデータ比較や加工ができないからである。
【0126】
三次元点群データが完全に含まれる上位層のボクセルを見いだし、これを最上位層のボクセルとして、第1下位層、第2下位層・・・最下位層まで、上記と同じようにして階層的な圧縮三次元点群データを形成する。
【0127】
なお、上記では、400m×300mの国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて生成した基準層ボクセルの上位方向に、予め定められた規則に従って上位層ボクセルを設けるようにしている。しかし、4km×3kmの国土基本図図郭(地図情報レベル5000)に基づいて、4km×3km×3kmの基準層ボクセルを構築し、これを緯度方向に10個、経度方向に10個、標高方向に10個に分割し、下位層ボクセルを構築してもよい。このようにして構築した下位層ボクセルは、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて構築した400m×300m×300mのボクセルと合致することになる。したがって、それより下位の層は、上記実施形態にて説明したものと同様となる。
【0128】
(2)上記実施形態では、色データとしてRGBデータを用いている。しかし、YMCKなどその他の色データを用いるようにしてもよい。
【0129】
(3)上記実施形態では、圧縮三次元点群データをバイナリデータの形式にしているが、そのままのデータ形式にて記録、利用するようにしてもよい。
【0130】
(4)上記実施形態では、存否データにおいて三次元点群データを含まないボクセルより下位のデータは保持しないようにしている。しかし、これも含めて保持するようにしてもよい。
【0131】
(5)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結する圧縮三次元点群データ生成装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0132】
図16に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置3は、三次元点群データをサーバ装置5に送信する。サーバ装置5の三次元点群データ取得手段2は、この三次元点群データを取得する。基準ボクセル決定手段4は、この三次元点群データを含むボクセルを基準ボクセルとして決定する。
【0133】
圧縮データ生成手段6は、基準ボクセルの下位ボクセルを構築し、存否データを付与することで、圧縮三次元点群データを形成する。圧縮データ送信手段8は、生成した圧縮三次元点群データを、端末装置3に送信する。
【0134】
このようにして、端末装置3は、圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0135】
(6)上記実施形態では、圧縮三次元点群データには元の三次元点群データを含めていないが、元の三次元点群データを含めるようにしてもよい。
【0136】
(7)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0137】
また、走行履歴のように、座標の点列で表現できるものも対象とすることができる。
【0138】
さらに、メッシュ構造となっているデータ(メッシュごとに記録された人流を示すモバイル空間統計データやメッシュごとに記録された気象情報データなど)の各ボクセルにおける平均値を、併せて(あるいは単独で)記録するようにしてもよい。
【0139】
(8)上記実施形態では、位置、色、反射強度のデータにて圧縮三次元点群データを構成している。しかし、位置、色、反射強度のいずれか、あるいはいずれか2つによって圧縮三次元点群データを構成するようにしてもよい。
【0140】
(9)上記実施形態では、三次元点群データを含む最上位のボクセルが複数個存在する場合も許容している。しかし、対象とする三次元点群データの全体を含むさらに上位のボクセルを最上位ボクセルとするようにしてもよい。これにより、最上位ボクセルを常に一つとすることができる。
【0141】
(10)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0142】
(11)上記実施形態では、国土基本図図郭に基づいて基準層ボクセルを構築している。しかし、その他の規格に基づいて基準層ボクセルを構築してもよいし、独自の規格に基づいて基準層ボクセルを構築してもよい。
【0143】
(12)上記実施形態では、色データや反射強度の平均値を代表値としてボクセルに付与するようにしている。しかし、最高値、最低値、中央値などを代表値として付与するようにしてもよい。
【0144】
(13)上記実施形態では、各ボクセルに点群データの有無(「0」「1」)、色の代表値、反射強度の代表値を付加するようにしている。しかし、これに代えて、あるいは、これに加えて、当該ボクセルに含まれる点が、いずれの対象物(たとえば信号、標識、木などの地物や車道表面、歩道表面、道路表面、自動車の軌跡などを示す識別子を付す)を構成するものであるかも付与するようにしてもよい。複数の対象物の点が含まれる場合には、そのまま複数の対象物を記録してもよいし、複数の対象物のうち最も点の多い対象物を選択して記録するようにしてもよい。
【0145】
また、各ボクセルに、道路表面における車や人の通過数(過去の統計データに基づく平均値や直近所定時間における通過数など)を記録するようにしてもよい。
【0146】
さらに、各ボクセルに、その場所におけるモバイル通信のための基地局の電波強度を記録するようにしてもよい。複数の基地局の電波が到達している場合には、それぞれの基地局の電波強度(あるいは最も強い基地局の電波強度)を記録する。この電波強度は、たとえば、データ伝送状況を把握するため(たとえば、ドローンなどから撮像動画データを送信することができるかどうかを判断するため)に用いることができる。
【0147】
また、各ボクセルに、温度・湿度・風力・風向・天気などの気象情報を記録するようにしてもよい。
【0148】
(14)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。
【0149】
2.第2の実施形態
2.1機能的構成
図17に、第2の実施形態によるデータ処理装置の機能的構成を示す。このデータ処理装置は、座標情報が付された2つの三次元点群データを比較したり加工したりする処理装置である。
【0150】
三次元点群データの点には座標位置が付されている。したがって、2つのデータを比較することは理論的に可能である。しかし、三次元点群データの点は、地物などの対象物表面において隙間無く配置されるものではなく、間隔を開けて配置されている。このため、2つの三次元点群データを比較しようとしても、双方に対応する位置に点が存在するとは限らず、許容誤差を考慮して比較しているため、計算速度が遅いという問題があった。このことは、データの比較だけではなく、一方のデータから他方のデータの差分を算出したり、一方のデータに他方のデータを追加したりするデータ加工を行う場合にも生じていた。
【0151】
この実施形態では、2つの三次元点群データの比較や加工を容易に行うことのできる装置を提供する。
【0152】
第1の生成手段52は、第1の三次元点群データを取得し、これに基づいて階層的構造のボクセルとして構築された第1の圧縮三次元点群データを生成する。生成される圧縮三次元点群データは、たとえば図18のような構造となっている。
【0153】
対象とする三次元点群データの全体を含む最上位層のボクセル10を、緯度、経度、標高方向にそれぞれ所定個の下位層ボクセルに分割する。これら下位層ボクセルについて、その領域に三次元点群データを含むか否かの存否データが与えられている。図では、三次元点群データを含むボクセルを内実ボクセル20として、三次元点群データを含まないボクセルを空ボクセル22として示している。これら下位層ボクセルのそれぞれについて、さらに分割された下位層が設けられており、その領域に三次元点群データを含むか否かの存否データが与えられている。以下、同様にして、最下位層まで存否データが与えられている。
【0154】
なお、三次元点群データには、第1の実施形態と同じようにグローバル座標が与えられていてもよいし、第1の実施形態とは異なってローカル座標が与えられていてもよい。ただし、処理対象である第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データは、最上位層から最下位層にわたって、位置や大きさなどについて同じ規則に従って構築されたボクセルによって構成されていることが必要である。
【0155】
第2の生成手段54は、第2の三次元点群データを取得し、これに基づいて階層的構造のボクセルとして構築された第2の圧縮三次元点群データを生成する。
【0156】
処理手段56は、生成された第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データに基づいて、比較・加工などの処理を行う。三次元点群データを、比較可能な圧縮三次元点群データとしているので、比較処理などを容易に行うことができる。すなわち、0、1のバイナリ表現がされているデータなので、論理演算等のビット演算を用いることができ、高速な処理が可能である。また、階層的構造としているので、比較処理などを効率的に行うことができる。
【0157】
2.2ハードウエア構成
データ処理装置のハードウエア構成は、第1の実施形態における図2と同様である。なお、SSD46には、データ処理プログラムが記録されている。
【0158】
2.3データ処理
図19に、データ処理プログラムのフローチャートを示す。ここでは、2つの三次元点群データを比較する場合を例として説明する。
【0159】
CPU40は、第1の三次元点群データを取得し(ステップS51)、第1の圧縮三次元点群データを生成する(ステップS52)。CPU40は、第2の三次元点群データを取得し(ステップS53)、第2の圧縮三次元点群データを生成する(ステップS54)。圧縮三次元点群データの生成は、第1の実施形態にて説明した処理を用いることができる。図20に、このようにして生成された第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データを示す。
【0160】
次に、CPU40は、第1の圧縮三次元点群データの最上位ボクセルAを処理対象のボクセルとする(ステップS55)。続いて、この対象ボクセルについて、第2の圧縮三次元点群データの対応する最上位ボクセルBと比較する(ステップS58)。
【0161】
両者ともに内実ボクセルであったり、両者ともに空ボクセルである場合には、何もせずに処理を進める(ステップS59)。図20に示す例では、両者ともに内実ボクセルであるから、何もせずに処理を進めることになる。
【0162】
このようにして対象ボクセルについての処理を終えると、CPU40は、双方とも内実ボクセルとなった対象ボクセルを選択し、その対象ボクセルの下位層のボクセルを新たな対象ボクセルとする(ステップS62)。図20の例では、対象ボクセルAおよび対応する第2の圧縮三次元点群データのボクセルBについて双方とも内実ボクセルであったので、対象ボクセルAの下位層のボクセルA1,1,1、A1,1,2・・・A1,1,10・・・A10,10,10を新たな対象ボクセルとすることとなる。
【0163】
CPU40は、この新たな対象ボクセルのそれぞれについて、ステップS58~S60の処理を実行する(ステップS57、S61)。CPU40は、対象ボクセルA1,1,1と対応するボクセルB1,1,1を比較する(ステップS58)。両者はともに内実ボクセルであるから、何もせず処理を進めることになる(ステップS59)。続いて、CPU40は、対象ボクセルA1,1,2と対応するボクセルB1,1,2を比較する(ステップS58)。両者はともに空ボクセルであるから、何もせず処理を進めることになる(ステップS59)。CPU40は、以上の処理を対象ボクセルについて順次行う。
【0164】
対象ボクセルA4,10,5と対応するB4,10,5は、前者が内実ボクセルであり、後者が空ボクセルである。したがって、CPU40は、ステップS60を実行する。ステップS60においては、内実ボクセルA4,10,5以下の層のデータ全て(最下位層まで)を、第1の圧縮三次元点群データにのみ存在する差異データとして記録する。
【0165】
なお、第2の圧縮三次元点群データが内実ボクセルである場合にも同様にして、第2の圧縮三次元点群データにのみ存在する差異データとして記録する。
【0166】
CPU40は、以上の処理を最下位層まで繰り返すことで、階層構造となった差異データを得ることができる。
【0167】
このようにして得られた差異データは、階層的構造となっているので、どの階層において差異が生じているのかを容易に判断することができる。たとえば、大きな差異だけを見いだしたいときは、上位層の差異データのみを用いればよい。
【0168】
この実施形態では、双方ともに空のボクセルである場合には、それより下位のボクセルについての処理を行わないようにしているので、処理が効率的である。また、一方のみが内実ボクセルである場合には、それ以下の階層のデータを差異データとして記録し、これら下位層に対する処理を行わないようにしているので、処理が効率的である。
【0169】
2.4変形例
(1)上記実施形態では、データの比較処理について説明した。しかし、第1の三次元点群データに、第2の三次元点群データを追加する場合や、第1の三次元点群データから、第2の三次元点群データを削除する場合などのデータ加工においても、同様に適用することができる。
【0170】
(2)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0171】
(3)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結するデータ処理装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0172】
図21に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置50は、第1・第2の三次元点群データをサーバ装置55に送信する。サーバ装置55の第1・第2の生成手段52、54は、この第1・第2の三次元点群データを取得して、階層的構造の第1・第2の圧縮三次元点群データを生成する。処理手段56は、この第1・第2の圧縮三次元点群データに基づいて比較などのデータ処理を行って、処理結果データを出力する。処理結果データ送信手段58は、処理結果データを、端末装置50に送信する。
【0173】
このようにして、端末装置3は、処理結果データを得ることができる。
【0174】
(4)上記実施形態では、位置についての三次元点群データを例としてデータ処理を説明した。しかし、色、反射強度についての三次元点群データについても同様に適用することができる。
【0175】
(5)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0176】
(6)上記実施形態では、最下位層までの精度の比較データを得ることを目的としているが、それより上の層までの精度の比較データを得るようにしてもよい。この場合、ステップS60においては、目的とする層までのデータを差異データとして記録することになる。
【0177】
(7)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。
【0178】
3.第3の実施形態
3.1機能的構成
この発明の第3の実施形態による特徴データ付与装置の機能的構成を図22に示す。階層構造データ取得手段70は、階層構造データを取得する。なお、階層構造データとしては、対象物の存否がボクセルごとに記録されたような第1の実施形態、第2の実施形態にて示した圧縮三次元点群データを対象とすることができる。
【0179】
特徴値算出手段72は、それぞれのボクセルについて、当該ボクセルを分割した下位層のボクセルの存否データの特徴値を算出する。たとえば、一方向関数値であるハッシュ値を特徴値として用いることができる。これにより、全てのボクセルについて、当該ボクセルを構成する下位層ボクセルの存否データについての特徴値が、当該ボクセルの特徴値として算出される。
【0180】
統合値算出手段74は、対象となるボクセルを構成する下位層の複数のボクセルの特徴値(当該下位層のボクセルを構成するさらに下位層のボクセルの存否データによる特徴値)を、統合して統合値を算出し、対象となるボクセルの統合値とする。統合値算出手段74は、算出可能な全てのボクセルについてこの統合値を算出する。
【0181】
付与手段76は、階層構造データの各ボクセルに、これらボクセルの特徴値と、統合値を付与し、特徴データ付き階層構造データを生成する。
【0182】
以上のようにして生成された特徴付き階層構造データでは、特徴値、統合値を算出することで、特徴値によって自らのボクセルの下位階層のボクセルに変更があったか、統合値によってさらに下位層のボクセルに変更があったかを知ることができる。
【0183】
また、統合値は、特徴値を統合して構成されているので、統合値によって全体的な変更を知ることができ、統合値を算出する基礎となった特徴値によって詳細な変更箇所を知ることができる。
【0184】
たとえば、データの原本保障に用いることができる。データ自体が改竄されていないかや、原本と同様のデータであるか(データ流通時にデータが変化していないか)を判定することができる。
【0185】
3.2ハードウエア構成
データ処理装置のハードウエア構成は、第1の実施形態における図2と同様である。なお、SSD46には、特徴データ付与プログラムが記録されている。
【0186】
3.3特徴データ付与処理
図23図24に、特徴データ付与処理のフローチャートを示す。この実施形態では、各ボクセルに特徴値を付与した後、各ボクセルに統合値を与えるようにしている。
【0187】
CPU40は、階層構造の三次元点群データを取得する(ステップS71)。階層構造の三次元点群データとしては、第1の実施形態や第2の実施形態における圧縮三次元点群データを用いることができる。
【0188】
CPU40は、三次元点群データの最上位層のボクセルを処理対象のボクセルとする(ステップS72)。図25に示すような三次元点群データであれば、最上位層のボクセル9が対象ボクセルとして選択されることになる。
【0189】
CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセル900~999の存否データを取得し、そのハッシュ値を算出する(ステップS76)。算出したハッシュ値を、対象ボクセル9のハッシュ値として記録する(ステップS77)。
【0190】
次に、CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセルのうち内実ボクセルを新たな対象ボクセルとする。CPU40は、この新たな対象ボクセルについて、ステップS75~S77を実行する。
【0191】
たとえば、対象ボクセル900について、これを構成する下位ボクセル90000~90099の存否データを取得し、そのハッシュ値を算出する(ステップS76)。算出したハッシュ値を、対象ボクセル900のハッシュ値として記録する(ステップS77)。以上の処理は、対象ボクセル900~999について行われ、それぞれにハッシュ値が付されることになる。
【0192】
このような処理を最下位層まで繰り返す(最下位層のボクセルに対しては特徴値は算出されない)(ステップS73、S80)。これにより、各ボクセルに特徴量が与えられる。
【0193】
次に、CPU40は、統合値を付与する処理を行う。CPU40は、最上位層のボクセルを対象ボクセルとする(ステップS81)。図25に示すような三次元点群データであれば、最上位層のボクセル9が対象ボクセルとして選択されることになる。
【0194】
CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセル900~999のハッシュ値を取得する(ステップS84)。続いて、これらハッシュ値に基づいて統合値を算出する(ステップS85)。
【0195】
図26に、統合値の算出方法を示す。隣接する下位層ボクセル900ハッシュ値Aと下位層ボクセル910のハッシュ値B(ボクセル901~909は空ボクセルであるのでボクセル900と910は隣接することになる)のハッシュ値を、統合ハッシュ値ABとして算出する。同様にして、ハッシュ値C、ハッシュ値Dを、統合ハッシュ値CDとして算出する。以下同様にして、隣接する全ての下位層ボクセルのハッシュ値から統合ハッシュ値を算出する。これを1段目の統合ハッシュ値とする。
【0196】
次に、1段目の統合ハッシュ値ABと統合ハッシュ値CDのハッシュ値を、統合ハッシュ値ABCDとして算出する。以下同様にして、1段目の統合ハッシュ値に基づいて、2段目の統合ハッシュ値を算出する。
【0197】
以上の処理を繰り返して、最上段の統合ハッシュ値まで、階層的な統合ハッシュ値を算出する。すなわち、マークルツリーのアルゴリズムに基づいて、マークルツリーを生成するようにしている。
【0198】
この実施形態では、上記にて生成した階層的な統合ハッシュ値を、対象ボクセル9に付与している(ステップS86)。
【0199】
次に、CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセルのうち内実ボクセルを新たな対象ボクセルとする。CPU40は、この新たな対象ボクセルについて、ステップS84~S86を実行する。したがって、これら対象ボクセルについても、図26に示すような階層的な統合ハッシュ値が付与される。
【0200】
CPU40は、以上の処理を最下位層まで繰り返す(最下位層のボクセルに対しては統合ハッシュ値は算出されない)(ステップS82、S89)。これにより、各ボクセルに統合ハッシュ値が与えられる。
【0201】
以上のようにして、各ボクセルには、ハッシュ値と統合ハッシュ値が記録されることになる。
【0202】
このようにハッシュ値と統合ハッシュ値が記録された階層的三次元点群データによれば、このハッシュ値や統合ハッシュ値により変更や改竄が行われたか否かを検出することができる。
【0203】
たとえば、取得した階層的三次元点群データについて、図23図24に示す処理にて、ハッシュ値、統合ハッシュ値を算出し、この値が記録されているハッシュ値、統合ハッシュ値と合致するかどうかによって、改竄や変更があったかどうかを判断することができる。
【0204】
あるボクセルについてのハッシュ値が不一致である場合、当該ボクセルを構成する下位ボクセルのいずれかに変化が生じていることがわかる。また、統合ハッシュ値が不一致である場合、さらに下位のボクセルのいずれかに変化が生じていることがわかる。
【0205】
なお、統合ハッシュ値は階層構造に構築されているので、最上段から下段に向かって不一致が生じているルートをたどることにより、容易に変更されたボクセルを見いだすことができる。
【0206】
3.4変形例
(1)上記実施形態では、階層構造の三次元点群データを取得して、これに特徴データを付与するようにしている。しかし、第1の実施形態に示したように三次元点群データから圧縮三次元点群データを作成する際に、あわせて、特徴データを付与するようにしてもよい。
【0207】
(2)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0208】
(3)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結する特徴データ付与装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0209】
図27に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置90は、階層構造データをサーバ装置80に送信する。サーバ装置80の階層構造データ取得手段70は、この階層構造データを取得する。特徴値算出手段72は、各ボクセルの特徴値を算出する。統合値算出手段74は、各ボクセルの統合値を算出する。付与手段76は、算出した特徴値、統合値を、各ボクセルに付与する。特徴データ付き階層構造データ送信手段78は、特徴データ付き階層構造データを端末装置90に送信する。
【0210】
このようにして、端末装置90は、特徴データ付き階層構造データを得ることができる。
【0211】
(4)上記実施形態では、位置についての三次元点群データを例としてデータ処理を説明した。しかし、色、反射強度についての三次元点群データについても同様に適用することができる。
【0212】
(5)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0213】
(6)上記実施形態では、圧縮された三次元点群データを対象として、特徴データを付与するようにしている。しかし、下層のデータの変化が上層のデータの変化をもたらすような階層構造に構築されたデータであれば、これを対象として特徴データを付与することができる。
【0214】
(7)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
図12
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図23
図24
図25
図26
図27