(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180622
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231214BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20231214BHJP
G06F 15/00 20060101ALI20231214BHJP
B41J 29/38 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
G06F3/12 331
G06F3/12 303
G06F3/12 353
G06F3/12 359
G06F3/12 378
G06F3/0484
G06F15/00 420Z
B41J29/38 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094073
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守本 弘明
【テーマコード(参考)】
2C061
5E555
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061HJ02
2C061HN05
2C061HN15
5E555AA61
5E555AA76
5E555BA02
5E555BA09
5E555BA13
5E555BB02
5E555BB09
5E555BB13
5E555BC07
5E555BC11
5E555BD09
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5E555CA47
5E555CB02
5E555CB38
5E555CB64
5E555CB72
5E555DA31
5E555DC11
5E555DC59
5E555DC82
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】印刷装置などの稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届いてしまい、Web会議等における音声コミュニケーションが阻害されてしまうこと。
【解決手段】情報処理装置110では、情報処理装置110にてマイク等の音声入力デバイスを利用中である等の場合には(S404、S405でYes)、印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する(S406、S407)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置であって、
前記情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記情報処理装置で利用中の音声入力デバイスの音声入力レベルが所定のレベルより大きい場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、前記静音モードでの動作を指示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
印刷ジョブを処理する印刷装置を前記静音モードで動作させるか否かをユーザが選択するための選択手段を有し、
前記制御手段は、前記音声入力デバイスを利用中で、且つ、前記選択手段により前記静音モードで動作させることが選択された場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、前記静音モードでの動作を指示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記音声入力デバイスを利用中で、且つ、前記情報処理装置で動作するオペレーティングシステムが集中モードに設定されている場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、前記静音モードでの動作を指示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置と前記印刷装置との物理的な距離を取得する取得手段を有し、
前記制御手段は、前記音声入力デバイスを利用中で、且つ、前記情報処理装置と前記印刷装置との物理的な距離が所定の距離以下である場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、前記静音モードでの動作を指示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置であって、
前記印刷装置の状態情報を取得して前記情報処理装置の出力画面を介してユーザに通知する通知手段を有し、
前記通知手段は、前記情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、前記出力画面を介して通知する情報を限定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記通知手段は、前記音声入力デバイスを利用中である場合には、通知する情報の表示位置を前記出力画面の端部とすることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記音声入力デバイスを利用中である場合には、前記出力画面を介して通知した情報を、一定時間の経過に応じて非表示にすることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置であって、
Web会議システムにより開催されるWeb会議に参加にし、該Web会議システムを介して該Web会議に参加している他の情報処理装置から送信された印刷データを受信することを可能にする会議参加手段と、
前記会議参加手段により印刷データを受信した場合には、該印刷データに基づく印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記会議参加手段により受信した印刷データを処理する印刷装置を静音モードで動作させるか否かをユーザが選択するための選択手段を有し、
前記制御手段は、前記選択手段により前記静音モードで動作させることが選択された場合、前記会議参加手段により受信した印刷データに基づく印刷ジョブを送信する印刷装置に、前記静音モードでの動作を指示することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する制御ステップを有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項12】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法であって、
前記印刷装置の状態情報を取得して前記情報処理装置の出力画面を介してユーザに通知する通知ステップを有し、
前記通知ステップでは、前記情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、前記出力画面を介して通知する情報を限定することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法であって、
Web会議システムを介して、該Web会議システムにより開催されるWeb会議に参加している他の情報処理装置から送信された印刷データを受信する受信ステップと、
前記受信した印刷データに基づく印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示するステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1~10のいずれか1項に記載の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、離れた相手とのコミュニケーション手段として、非特許文献1のようなオンラインコミュニケーションアプリが利用される場面が増えている。オンラインコミュニケーションアプリを用いることで、遠隔地にいる相手とリアルタイムに会話を行うことが可能となる。一般的なオンラインコミュニケーションアプリは、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理端末上で稼働し、情報処理端末に接続された音声入力デバイス(例えばマイク)を介して入力された話者の音声を通話先に送信することで会話を可能とする。
【0003】
ところで、情報処理装置に接続された音声入力デバイスは話者の音声のみならず、周囲の環境音も集音する場合がある。このため、会話中に情報処理端末に接続された稼働音を発する周辺機器(特に印刷装置)を動作させた場合、その稼働音が音声入力デバイスを介して通話相手に届き、会話の阻害になる可能性がある。このような課題に対する提案として特許文献1がある。
【0004】
特許文献1には、印刷装置の周囲の環境騒音や、近辺の人の状況等に即して稼働音を適切に低減することができる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載される技術では、稼働する機器自体に環境騒音の強度や人の有無を検知できる機構を備えていることを前提にしている。そのため、そのような機構を備えていない、例えば家庭内で用いられるような一般的な印刷装置などの周辺機器には、特許文献1の技術は適用ができない。
また、音声入力デバイスを介しての会話中に、印刷装置などの周辺機器を制御するソフトウェア(例えばプリンタドライバ)から機器の状態情報がダイアログを用いて通知される場合、その通知方法によってはユーザの会話への集中を阻害してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、特別な機構を持たない一般的な印刷装置などの周辺機器においても稼働音により音声コミュニケーションを阻害してしまうことを抑えることが可能となる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、印刷装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置であって、前記情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、印刷ジョブを送信する印刷装置に、印刷を行う際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特別な機構を持たない一般的な印刷装置などの周辺機器においても稼働音により音声コミュニケーションを阻害してしまうことを抑えることが可能となる。この結果、印刷装置などの稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届いてしまい、音声コミュニケーションが阻害されてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態を示す情報処理装置を用いたWeb会議システムの構成を示す図。
【
図2】本実施形態の情報処理システムのシステム構成を示すブロック図。
【
図3】プリンタドライバに関連するモジュール構成を概念的に表す図。
【
図4】第1実施形態におけるグラフィックスドライバの処理を示すフローチャート。
【
図5】第2実施形態におけるランゲージモニタの処理を示すフローチャート。
【
図6】第2実施形態においてランゲージモニタにより表示されるダイアログ示す図。
【
図7】第3実施形態におけるグラフィックスドライバの処理を示すフローチャート。
【
図8】第4実施形態におけるグラフィックスドライバの処理を示すフローチャート。
【
図9】第5実施形態におけるステータスモニタの処理を示すフローチャート。
【
図10】第5実施形態においてステータスモニタの表示内容を示す図。
【
図11】第6実施形態におけるWeb会議システムのクライアントアプリケーションのメイン画面を示す図。
【
図12】第6実施形態においてクライアントアプリケーションが表示する確認ダイアログを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態を示す情報処理装置を用いたWeb会議システムの構成の一例を示す図である。
図1に示す情報処理装置システム100および情報処理装置システム200は、例えば、一般的な情報処理装置ならびに周辺機器からなるシステムである。
【0014】
情報処理装置システム100において、情報処理装置110と印刷装置120は例えばUSBインターフェース等の接続インターフェースを用いて接続されている。また、情報処理装置システム200においても同様に、情報処理装置210と印刷装置220は接続インターフェースを用いて接続されている。情報処理装置110と情報処理装置210はそれぞれローカルエリアネットワーク等を経由してインターネットに接続されている。
【0015】
Web会議システム300は、インターネット上に存在するWebサービスであり、Web会議サービスを提供するものである。Web会議システム300は、Web会議アプリケーション320、データベース330、ファイルストレージ340を備える。
【0016】
Web会議システムに接続してWeb会議を行うためには会議参加者の情報処理装置には、そのWeb会議システム対応のクライアントアプリケーションが必要である。参加者は、所定のクライアントアプリケーションを情報処理装置にインストールして実行することで、Web会議に参加可能になる。クライアントアプリケーション140およびクライアントアプリケーション240は、Web会議システム300に対応するWeb会議システム用のクライアントアプリケーションである。クライアントアプリケーション140は、情報処理装置110にインストールされている。同様に、クライアントアプリケーション240は、情報処理装置210にインストールされている。
【0017】
図2は、情報処理装置システム100のシステム構成の一例を示すブロック図である。ここでは、情報処理装置システム100の構成について説明するが、情報処理装置システム200の構成も情報処理装置システム100と同様である。
【0018】
まず、情報処理装置110について説明する。
情報処理装置110は、入力I/F211、CPU212、ROM213、出力I/F214、外部記憶装置215、RAM216、入力装置217、出力装置218、入出力I/F219を有する。
ROM213には、初期化プログラムが保存される。外部記憶装置215は、OS(オペレーティングシステム)、クライアントアプリケーション140、プリンタドライバ等の各種プログラムや、その他各種のデータが保存される。RAM216は、外部記憶装置215に保存される各種プログラムを実行する際のワークメモリーとして使用される。CPU212は、ROM213や外部記憶装置215に格納されるプログラムを必要に応じてRAM216に読み出して実行することにより各種制御を行う。
【0019】
入力装置217は、データ入力や動作指示に使用され入力I/F211に接続されている。入力装置217には、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、さらに、マイク等の音声入力デバイスが含まれる。
出力装置218は、データ表示や状態の通知に使用され出力I/F214に接続されている。出力装置218には、ディスプレイ等の表示デバイス、さらに、スピーカーやイヤホン等の音声出力デバイスが含まれる。
【0020】
次に、印刷装置120について説明する。
印刷装置120は、RAM221、ROM222、プリントエンジン223、CPU224、入出力I/F225を有する。
【0021】
情報処理装置110と印刷装置120は、接続インターフェース230により接続されている。接続インターフェースの種類として、例えば、ネットワークを介した接続を行うためのネットワークインターフェースや、プリンタとUSBによる接続を行うためのUSBインターフェースがある。なお、ネットワークを介した接続において、ネットワークインターフェースは、無線接続でダイレクトに接続してもよいし、有線ネットワーク上に設置したアクセスポイントを介して接続してもよい。また、ネットワークを介した接続は、例えば、有線LAN又はWireless LANによって行われる。また、接続のための通信方式としては、例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity)やBluetooth(登録商標)や、NFC(Near Field Communication ; ISO/IECIS 18092)等が挙げられる。なお、ネットワークインターフェースは、それぞれの通信方式、接続方式に応じて、個別に用意されていてもよい。
【0022】
RAM221は、ワークメモリーとして使用され、受信したデータの一時保存用バッファとしても利用される。ROM222は制御命令を保存している。CPU224は、ROM222に格納されるプログラムを必要に応じてRAM221に読み出して実行することにより各種制御を行う。
【0023】
プリントエンジン223はRAM221に保存されたデータに基づき印刷を行う。プリントエンジン223は、ROM222に保存されている制御命令に従い印刷装置120を制御する。
なお、本実施形態においては、情報処理装置110および印刷装置120の処理分担を前記のように示したが、処理の分担形態はこれに依らない。
【0024】
図3は、情報処理装置110に適用可能な印刷システムであるプリンタドライバに関連するモジュール構成を概念的に表す図である。
図3に示すように、プリンタドライバ310は、UIモジュール311、グラフィックスドライバ312、ランゲージモニタ313、ステータスモニタ314の各モジュールを有する。
【0025】
アプリケーション301が作成した印刷データは、OSの印刷サポート機能302を介してUIモジュール311から返却される印刷設定情報が付加され、スプールデータ305としてスプーラー303のプリントキュー304に一時的に保存される。
スプールデータ305は、グラフィックスドライバ312によって印刷装置120が解釈可能な印刷コマンドへ変換された後、ランゲージモニタ313を経由してポートモニタ306へ出力される。
ポートモニタ306は、入力された印刷コマンドを印刷装置120へ送信する。また、ステータスモニタ314は、印刷処理が開始されると、UIモジュール311により起動され、印刷装置120の状態を監視する。印刷処理中に印刷装置120に何らかのエラーが生じると、ステータスモニタ314は、そのエラー内容や復帰方法をユーザに通知する。
【0026】
なお、印刷装置120は、印刷ジョブを実行する際の動作モードとして、少なくとも、標準モードと、静音モードを有する。静音モードでは、例えば、少なくとも一部の動作要素を標準モードとは異なる態様で動作させることで稼働音発生源から発生する稼働音のレベルを低減する。
【0027】
図4は、第1実施形態におけるグラフィックスドライバ312の処理を説明するためのフローチャートである。すなわち、本フローチャートの処理は、CPU212が外部記憶装置215に格納されるプログラムを実行することで実現される処理に対応する。
【0028】
本フローチャートの処理は、スプーラー303からスプールデータ305がグラフィックスドライバ312に入力されることで開始される。
始めに、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ開始コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S401)。ランゲージモニタ313に送信された印刷ジョブ開始コマンドは、ポートモニタ306を介して印刷装置120へ送信される。印刷装置120は、印刷ジョブ開始コマンドを受信することで、印刷処理を開始する。
【0029】
次に、グラフィックスドライバ312は、印刷設定コマンドを生成する(S402)。この印刷設定コマンドは、OSの印刷サポート機能302を介しUIモジュール311から返却される印刷設定情報に基づき生成される。印刷設定コマンドには、用紙の種類や用紙サイズ、印刷処理時の動作モードなどを示すパラメータが含まれ、印刷装置120はこれらのパラメータに応じて印刷処理を行う。
【0030】
続いて、グラフィックスドライバ312は、情報処理装置110に接続されている音声入力デバイスを列挙する(S403)。
その後、グラフィックスドライバ312は、上記S403の結果から情報処理装置110に音声入力デバイスが接続されているか否かを判定する(S404)。S404の判定において、音声入力デバイスの接続が確認された場合(S404でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、S405に処理を進める。
【0031】
S405において、グラフィックスドライバ312は、接続されている音声入力デバイスの音声入力レベルが所定の値より大きいか否かを判定する。S405の判定において、音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいと判定した場合(S405でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、S406に処理を進める。
【0032】
S406において、グラフィックスドライバ312は、上記S402にて生成した印刷設定コマンド内に静音モードでの動作を指示する情報を追加する。この場合、グラフィックスドライバ312は、静音モードでの動作を指示する情報を含んだ印刷設定コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S407)。なお、印刷設定コマンド内に静音モードでの動作を指示する情報が含まれている場合、印刷装置120は印刷処理時の稼働音を最小化するようにプリントエンジン223の制御を行う。
【0033】
一方、上記S404またはS405の判定において否(No)と判定された場合、グラフィックスドライバ312は、上記S402にて生成した印刷設定コマンドに変更を加えることなくランゲージモニタ313に送信する。すなわち、音声入力デバイスが接続されていなかったり入力レベルが所定の値以下の場合、グラフィックスドライバ312は、生成した印刷設定コマンドをそのままランゲージモニタ313に送信する。
上述のようにS407でランゲージモニタ313に送信された印刷設定コマンドは、ポートモニタ306を介して印刷装置120へ送信される。
【0034】
続いてS408において、グラフィックスドライバ312は、スプールデータ305から印字コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に出力する。ランゲージモニタ313に送信された印字コマンドは、ポートモニタ306を介して印刷装置120へ送信される。印刷装置120は、この印字コマンドを解釈し、その内容に従ってプリントエンジン223を動作させることで印刷処理を行う。
【0035】
最後にS409において、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ終了コマンドの生成及びランゲージモニタ313への出力を実行した後に、本フローチャートの処理を終了する。ランゲージモニタ313に送信された印刷ジョブ終了コマンドは、ポートモニタ306を介して印刷装置120へ送信される。印刷装置120は、この印刷ジョブ終了コマンドを受信することで印刷処理を終了する。
【0036】
以上の処理により、グラフィックスドライバ312は、音声入力デバイスの接続有無、及びその入力レベルを判定することでユーザの操作なく自動的に静音モードでの動作を指示する。これにより印刷装置120の稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届くことを防止することが可能となる。また、一般的に静音モードで動作する場合は、その動作音を低減させるためにプリントエンジンの動作速度を落として動作させる。そのため、静音モードで動作する場合は印刷速度が通常モード時の速度と比較すると低下する。本実施形態では、音声入力デバイスの有無のみならずS405において音声入力デバイスの入力レベルが所定の値以上である場合に限って静音モードでの動作を指示することで、印刷装置の稼働音が音声入力デバイスに集音されてしまう可能性が高い場合に限ることが可能となる。なお、本実施形態ではグラフィックスドライバ312はS402にて印刷設定コマンドを生成した後に、S403~S405の処理を経て印刷設定コマンド内に静音モードの動作指示を追加する(S406)が、処理順はこれに限定されない。例えば、グラフィックスドライバ312はS403~S405の処理を先に行い、静音モードの動作指示の有無を確定した後に印刷設定コマンドを生成してもよい。また、本実施形態のプリンタドライバ310はランゲージモニタ313を含むが、ランゲージモニタを含まない構成のプリンタドライバが採用されてもよい。その場合、グラフィックスドライバ312がS401,S402,S408,S409で生成する各種コマンドはランゲージモニタ313ではなくポートモニタ306に対して送信される。
【0037】
なお、ここでは、情報処理装置110に音声入力デバイスの接続が確認され、且つ、接続されている音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいの場合に、印刷設定コマンド内に静音モード動作指示を追加する構成を説明した。しかし、情報処理装置110に音声入力デバイスを利用中の場合には、入力レベルに関係なく、印刷設定コマンド内に静音モード動作指示を追加するようにしてもよい。これにより印刷装置120の稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届くことを防止することが可能となる。
【0038】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、グラフィックスドライバ312が音声入力デバイスの利用に応じて静音モードでの動作指示を行うか否かを制御する構成について説明した。第2実施形態では、ランゲージモニタ313が音声入力デバイスの利用に応じて静音モードでの動作指示を行うか否かを制御する構成について説明する。なお、以後、特に言及が無い点は、第1実施形態と同等の構成とする。
【0039】
図5は、第2実施形態におけるランゲージモニタ313の処理を説明するためのフローチャートを示す。すなわち、本フローチャートの処理は、CPU212が外部記憶装置215に格納されるプログラムを実行することで実現される処理に対応する。
【0040】
本フローチャートの処理は、グラフィックスドライバ312が生成及び送信したコマンドがランゲージモニタ313に入力される毎に実行される。
始めに、ランゲージモニタ313は、グラフィックスドライバ312が送信したコマンドを受信する(S501)。
続いて、ランゲージモニタ313は、上記S501で受信したコマンド内容の解析処理を行い、コマンドの種別を特定する(S502)。
その後、ランゲージモニタ313は、上記S502にて特定したコマンドの種別が印刷設定コマンドであるか否かを判定する(S503)。S503の判定の結果、印刷設定コマンドであると判定した場合(S503でYesの場合)、ランゲージモニタ313は、情報処理装置110に接続されている音声入力デバイスを列挙する(S504)。
【0041】
その後、ランゲージモニタ313は、上記S504の結果から情報処理装置110に音声入力デバイスが接続されているか否かを判定する(S505)。S505の判定において、音声入力デバイスの接続が確認された場合(S505でYesの場合)、ランゲージモニタ313は、S506に処理を進める。
【0042】
S506において、ランゲージモニタ313は、接続されている音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいか否かを判定する。S506の判定において、音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいと判定した場合(S506でYesの場合)、ランゲージモニタ313は、ユーザに静音モード有効化有無を尋ねるダイアログを表示し(S507)、ユーザの選択結果を確認する(S508)。なお、ダイアログの詳細については
図6にて例示する。
【0043】
S508にてユーザから静音モード有効化の指示を確認した場合(S508でYesの場合)、ランゲージモニタ313は、上記S501にて受信した印刷設定コマンド内に静音モードでの動作を指示する情報を追加する(S509)。この場合、ランゲージモニタ313は、静音モードでの動作を指示する情報を含んだ印刷設定コマンドを、ポートモニタ306に送信する(S510)。
【0044】
一方、上記S503、S505、S506又はS508のいずれかの判定において否(No)と判定された場合、ランゲージモニタ313は、上記S501にて受信した印刷設定コマンドに変更を加えることなくポートモニタ306に送信する(S510)。
また、上記S503の判定において否(No)と判定された場合、ランゲージモニタ313は、上記S501にて受信したコマンドをポートモニタ306に送信する(S510)。
以上のように、ポートモニタ306に送信されたコマンドは、印刷装置120へ送信される。印刷装置120は、受信したコマンドに基づいて処理を行う。
【0045】
図6は、
図5のS507の処理にて情報処理装置の出力装置218に表示されるダイアログを説明する図である。
ダイアログ601は、ランゲージモニタ313が表示するものであり、ダイアログ上には静音モードでの動作要否をユーザに尋ねる文言が表示されている。
はいボタン602は、ユーザが静音モードでの動作を指示する場合に押下するボタンである。ユーザがはいボタン602を押下することで、ランゲージモニタ313は
図5のS509の処理を実行する。
いいえボタン603は、ユーザが通常モードでの動作を指示する場合に押下するボタンである。ユーザがいいえボタン603を押下することで、ランゲージモニタ313は、
図5のS509の処理の実行をスキップする。
【0046】
以上の処理により、ランゲージモニタ313は音声入力デバイスの接続有無、及びその入力レベルを判定することで、その結果に応じて静音モードでの動作有無を指示する。これにより、印刷装置120の稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届くことを防止することが可能となる。また、一般的に静音モードで動作する場合は、その動作音を低減させるためにプリントエンジンの動作速度を落として動作させる。そのため、静音モードで動作する場合は印刷速度が通常モード時の速度と比較すると低下する。本実施形態では、
図5のS507においてユーザは静音モード有効化有無を選択することが可能であり、これにより音声入力デバイスを利用中であってもユーザは通常速度での印刷を選択することも可能となる。また、上記判定をランゲージモニタ313で実施することで印刷装置120にコマンドが送信される直前で静音モードの指示有無を判定することが可能となる。これにより、グラフィックスドライバ312の処理が完了した後にユーザが音声入力デバイスの利用を開始した場合であっても適切に静音モードの指示有無を判定することが可能となる。
【0047】
なお、ここでは、ランゲージモニタ313が静音モード有効化の確認のためのダイアログを表示したが、ダイアログ表示処理は別プロセスのアプリケーション(例えば印刷装置120の状態を監視するステータスモニタ314)と連携することで実現してもよい。あるいは、印刷装置120が静音モードでの動作をサポートしていない場合は、ランゲージモニタ313は音声入力デバイスの接続が確認されている間は印刷設定コマンドの送信を保留してもよい。これにより、印刷装置120が静音モードでの動作をサポートしていない場合において、音声入力デバイスが接続されている間は印刷装置120の印刷処理が開始されることはないので、稼働音が会話相手に届くことを防止することが可能となる。
【0048】
なお、第1実施形態のようにグラフィックスドライバ312が静音モードでの動作を指示する制御を行う構成であっても、
図6のようなダイアログを表示して静音モードで動作させるかユーザに選択させるようにしてもよい。
【0049】
〔第3実施形態〕
第1、2実施形態では音声入力デバイスの利用に応じた静音モード指示の制御について説明した。第3実施形態ではOSの動作モードに応じた静音モード指示の制御について説明する。なお、以後、特に言及が無い点は、第1実施形態と同等の構成とする。
【0050】
図7は、第3実施形態におけるグラフィックスドライバ312の処理を説明するためのフローチャートである。すなわち、本フローチャートの処理は、CPU212が外部記憶装置215に格納されるプログラムを実行することで実現される処理に対応する。
【0051】
本フローチャートの処理は、スプーラー303からスプールデータ305がグラフィックスドライバ312に入力されることで開始される。
始めに、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ開始コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S701)。
次に、グラフィックスドライバ312は、印刷設定コマンドを生成する(S702)。
【0052】
続いて、グラフィックスドライバ312は、OSの動作モードを確認する(S703)。
次に、グラフィックスドライバ312は、上記S703の確認に基づき、OSが「集中モード」と呼ばれる状態で利用されているか否かを判定する(S704)。なお、集中モードとは、ユーザの作業を阻害しないようにアプリケーションの発する音声やアプリケーションからの通知を抑制しているOSの状態に対応する。
【0053】
上記S704の判定において、OSを集中モードで利用していると判定した場合(S704でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、S705に処理を進める。
S705において、グラフィックスドライバ312は、上記S702にて生成した印刷設定コマンド内に、静音モードでの動作を指示する情報を追加する。この場合、グラフィックスドライバ312は、静音モードでの動作を指示する情報を含んだ印刷設定コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S706)。
【0054】
一方、上記S704の判定において、OSを集中モードで利用していないと判定した場合(S704でNoの場合)、グラフィックスドライバ312は、上記S702にて生成した印刷設定コマンドに変更を加えることなくランゲージモニタ313に送信する。
【0055】
続いて、グラフィックスドライバ312は、スプールデータ305から印字コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に出力する(S707)。
最後にS708において、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ終了コマンドの生成及びランゲージモニタ313への出力を実行した後に、本フローチャートの処理を終了する。
【0056】
以上の処理により、グラフィックスドライバ312は、OSの動作モードに応じて、ユーザの操作なく自動的に静音モードでの動作を指示する。これにより、ユーザが情報処理装置110上で集中して作業を行う場合において、印刷処理の発する稼働音による作業の阻害を防止することが可能となる。また、本実施形態のプリンタドライバ310はランゲージモニタ313を含むが、ランゲージモニタを含まない構成のプリンタドライバが採用されてもよい。その場合、グラフィックスドライバ312が
図7のS701,S702,S707,S708で生成する各種コマンド及び印刷データはランゲージモニタ313ではなくポートモニタ306に対して送信される。
【0057】
〔第4実施形態〕
第4実施形態では、情報処理装置と印刷装置との物理的な距離に応じた制御方法について説明する。なお、以後、特に言及が無い点は第1実施形態と同等の構成とする。
【0058】
図8は、第4実施形態におけるグラフィックスドライバ312の処理を説明するフローチャートである。すなわち、本フローチャートの処理は、CPU212が外部記憶装置215に格納されるプログラムを実行することで実現される処理に対応する。
【0059】
本フローチャートの処理は、スプーラー303からスプールデータ305がグラフィックスドライバ312に入力されることで開始される。
始めに、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ開始コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S801)。
次に、グラフィックスドライバ312は、印刷設定コマンドを生成する(S802)。
【0060】
続いて、グラフィックスドライバ312は、情報処理装置110に接続されている音声入力デバイスを列挙する(S803)。
その後、グラフィックスドライバ312は、上記S803の結果から情報処理装置110に音声入力デバイスが接続されているか否かを判定する(S804)。S804の判定において、音声入力デバイスの接続が確認された場合(S804でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、S805に処理を進める。
【0061】
S805において、グラフィックスドライバ312は、接続されている音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいか否かを判定する。S805の判定において、音声入力デバイスの入力レベルが所定の値より大きいと判定した場合(S805でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、S806に処理を進める。
【0062】
S806において、グラフィックスドライバ312は、情報処理装置110の現在地情報(座標情報)と印刷装置120の位置情報(座標情報)を取得する。具体的には、情報処理装置110の現在地情報はOSの機能を用いて取得を行う。印刷装置120の位置情報は印刷装置120の初期設置作業等においてユーザによって印刷装置120に登録されており、グラフィックスドライバ312は印刷装置120と通信することで該位置情報を取得する。なお、印刷装置120の位置情報はプリンタドライバ310のインストール時等にプリンタドライバ310等に登録される構成でもよい。また、情報処理装置110の現在地情報についてもOSの機能を用いて取得する構成に限定されず、どのような方法で取得してもよい。例えば、別途、ユーザが情報処理装置110や図示しないサーバ等に登録しておく等の構成でもよい。
【0063】
その後、グラフィックスドライバ312は、上記S806にて取得した情報から、情報処理装置110と印刷装置120の物理的な距離が一定の距離以下であるか否かを判定する(S807)。S807の判定において、一定の距離以下であると判定した場合(S807でYesの場合)、グラフィックスドライバ312は、上記S802にて生成した印刷設定コマンド内に静音モードでの動作を指示する情報を追加する(S808)。この場合、グラフィックスドライバ312は、静音モードでの動作を指示する情報を含んだ印刷設定コマンドをランゲージモニタ313に送信する(S809)。
【0064】
一方、S804、S805またはS807の何れかの判定において否(No)と判定された場合、グラフィックスドライバ312は、上記S802にて生成した印刷設定コマンドに変更を加えることなくランゲージモニタ313に送信する(S809)。
【0065】
続いて、グラフィックスドライバ312は、スプールデータ305から印字コマンドを生成し、該コマンドをランゲージモニタ313に出力する(S810)。
最後にS409において、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ終了コマンドの生成及びランゲージモニタ313への出力を実行した後に、本フローチャートの処理を終了する。
最後に、グラフィックスドライバ312は、印刷ジョブ終了コマンドを生成及びランゲージモニタ313への出力(S811)を実行した後に本処理を終了する。ランゲージモニタ313に送信された印刷ジョブ終了コマンドは、ポートモニタ306を介して印刷装置120へ送信される。印刷装置120は、この印刷ジョブ終了コマンドを受信することで印刷処理を終了する。
【0066】
以上の処理により、グラフィックスドライバ312は情報処理装置110と印刷装置120との物理的な距離に応じてユーザの操作なく自動的に静音モードでの動作を指示する。音声入力デバイスを用いて通話中であっても、情報処理装置と印刷装置との物理的な距離が一定程度離れていれば印刷動作の稼働音が音声入力デバイスに集音される可能性は低い。そのため、
図8のS807の判定を行うことで情報処理装置と印刷装置の物理的な距離が一定の値以下であり、稼働音が集音される可能性が高い場合に限定して静音モードを有効化することが可能であり、その可能性が低い場合は通常モードでの印刷を行うことで不用意な印刷速度の低下を防止することが可能となる。
【0067】
なお、印刷装置のサポートする静音モードが複数ある場合、情報処理装置と印刷装置との物理的な距離に応じてグラフィックスドライバが指定する静音モードを切り替えてもよい。すなわち、情報処理装置と印刷装置が限りなく近い距離にある場合(第1距離内)は、最も動作の静かなモード(ただし印刷速度は最も遅い)を指定する。また、情報処理装置と印刷装置がある程度離れている場合(第2距離内、ただし第2距離>第1距離)は、通常の静音モードを指定する。また、情報処理装置と印刷装置が充分離れている場合(第2距離より離れている場合)、通常の印刷モードを指定するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態のプリンタドライバ310はランゲージモニタ313を含むが、ランゲージモニタを含まない構成のプリンタドライバが採用されてもよい。その場合、グラフィックスドライバ312がS801,S802,S810,S811で生成する各種コマンド及び印刷データはランゲージモニタ313ではなくポートモニタ306に対して送信される。
【0069】
なお、上述した第3、4実施形態では、グラフィックスドライバ312が静音モードの指示を制御する構成について説明した。しかし、第3、4実施形態においても、第2実施形態のようにランゲージモニタ313が静音モードの指示を制御する構成であってもよい。
【0070】
〔第5実施形態〕
第5実施形態では、プリンタドライバ310の構成要素であるステータスモニタ314の処理について説明する。
ステータスモニタ314は、アプリケーションからの印刷処理の開始時にUIモジュール311により起動され、印刷装置120から定期的に状態情報を取得することで、ユーザに印刷装置120の状態情報を、出力画面を介してユーザに通知する。また、印刷装置120においてエラーが発生した場合、ステータスモニタ314は、エラーが発生した旨を示すダイアログを表示することでユーザにエラーを通知する。この時、音声入力デバイスを通じて会話を行う最中にユーザの目につきやすい場所にダイアログが表示されてしまうと、ユーザの会話への集中を阻害してしまう可能性がある。本実施形態では上述の課題に対し、音声入力デバイスの利用有無に応じてステータスモニタ314のエラー通知方法を制御する方法について説明する。なお、以後、特に言及が無い点は第1実施形態と同等の構成とする。
【0071】
図9は、第5実施形態におけるステータスモニタ314の処理を説明するフローチャートである。すなわち、本フローチャートの処理は、CPU212が外部記憶装置215に格納されるプログラムを実行することで実現される処理に対応する。
【0072】
本フローチャートの処理は、UIモジュール311によりステータスモニタ314が起動することで開始される。
始めに、ステータスモニタ314は、印刷装置120から取得した状態情報から、印刷装置120において印刷処理の完了の有無を判定する(S901)。印刷装置120おいて印刷処理が完了したと判定した場合(S901でYesの場合)、ステータスモニタ314は、本フローチャートの処理を終了する。
【0073】
一方、印刷装置120おいて印刷処理が未完了であると判定した場合(S901でNoの場合)、ステータスモニタ314は、印刷装置120の状態情報を取得する(S902)。なお、ステータスモニタ314は、起動直後では、印刷装置120の状態情報は保持していない。その場合もステータスモニタ314は、印刷装置120おいて印刷処理が未完了であると判断する。
【0074】
次に、ステータスモニタ314は、上記S902で取得した情報から印刷装置120にてエラーの発生有無を判定する(S903)。S903にてエラーが発生していると判定した場合(S903でYesの場合)、ステータスモニタ314は、情報処理装置110に接続されている音声入力デバイスを列挙する(S904)。
【0075】
その後、ステータスモニタ314は、上記S904の結果から情報処理装置110に音声入力デバイスが接続されているか否かを判定する(S905)。S905にて音声入力デバイスが接続されていると判定した場合、ステータスモニタ314は、簡易的なエラー報知画面をユーザに対して表示する(S906)。
【0076】
一方、上記S905にて音声入力デバイスが接続されていないと判定した場合(S905でNoの場合)、ステータスモニタ314は、詳細なエラー報知画面を表示する(S907)。
なお、ステータスモニタ314が表示する簡易的なエラー報知画面と、詳細なエラー報知画面の具体例は、
図10を用いて後述する。
上記S906又はS907の処理の後、ステータスモニタ314は、S901に処理を戻す。
【0077】
また、上記S903にて、印刷装置120にてエラーが発生していないと判定した場合(S903でNoの場合)、ステータスモニタ314は、S904~S907の処理をスキップし、S901に処理を戻す。
【0078】
図10は、ステータスモニタ314が出力装置218に表示するエラー報知画面の具体例を示す図である。
【0079】
図10(a)は、音声入力デバイスの利用中に印刷装置120でエラーが発生した際に表示されるエラー報知画面(1001)の一例である。すなわち、
図9のS906で表示される簡易的なエラー報知画面に対応する。
簡易的なエラー報知画面1001は、ユーザに通知する情報を重要な情報のみに限定することでエラー報知画面の占有領域を最小化する。また、その表示位置は、出力装置218上の中央以外の位置(例えば画面端部)に表示される。さらに、簡易的なエラー報知画面1001は、一時的に表示されるものであり、一定時間が経過すると自動的に表示が解除され非表示となる。簡易的なエラー報知画面1001は、例えば、「トースト」と呼ばれる表示に対応する。このような簡易的なエラー報知画面1001で通知することにより、ユーザが会話中にエラー報知画面が表示されても、その会話への集中を阻害することなく印刷装置120でエラーが発生した旨を通知することが可能となる。
【0080】
図10(b)は、音声入力デバイスを利用していない場合に印刷装置120でエラーが発生した際に表示される詳細なエラー報知画面(1002)の一例である。すなわち、
図9のS907で表示される詳細なエラー報知画面に対応する。
詳細なエラー報知画面1002は、印刷装置120で発生したエラーの内容や復帰手順についても案内している。また、印刷装置120に装着されている各種インクの残量も同時に確認することが可能である。また、その表示位置は、出力装置218の画面中央に位置することでユーザがエラー情報を見落とすことなくエラーに関わる情報を通知することが可能となる。なお、詳細なエラー報知画面1002は、画面中央の位置に限定されるものではなく、いずれの位置であってもよい。
【0081】
以上の処理により、ステータスモニタ314は、音声入力デバイスの接続有無に従って印刷装置120のエラー状態をユーザに放置する画面の表示方法を切り替えることが可能となる。すなわち、ユーザが音声入力デバイスを通じて会話を行う最中に印刷装置120でエラーが発生した場合、簡易的なエラー報知画面を表示することにより、ユーザの会話への集中を阻害することを防止することが可能となる。
【0082】
〔第6実施形態〕
第6実施形態では、Web会議システムのクライアントアプリケーションを通じて会議の参加者同士で印刷データの送受を行う操作(以降「相互印刷」とも称す)における静音モードの指示方法について説明する。
【0083】
図11は、第6実施形態において、情報処理装置110上で実行されているWeb会議システムのクライアントアプリケーション140のメイン画面を表す図である。ここでは、クライアントアプリケーション140を用いて説明するが、クライアントアプリケーション240も同様である。
【0084】
クライアントアプリケーション140のメイン画面において、ウィンドウ141は、Web会議に参加しているメンバーのリストと各人のデバイス状態を表すウィンドウである。
表示部142は、Web会議に参加しているメンバーのビデオ画面を表示する表示部である。メンバーのコンピュータに接続されているカメラを通じて、参加者の映像が参加者に配信される。
【0085】
ウィンドウ143は、Web会議に参加しているメンバーのうち、表示の権限を与えられたメンバーのコンピュータ画面が、会議参加者に配信表示されるウィンドウである。プレゼンテーションを行う場合、発表者がデスクトップ表示の権限を取得し、自身のコンピュータ上に表示したプレゼンテーションをデスクトップ画面上に表示し、その画面を配信表示することでプレゼンテーション画面を配信する。
【0086】
制御スイッチ部144において、制御スイッチ1441は、自身のWeb会議への参加または退室を制御するスイッチである。制御スイッチ1442は、自身のカメラ撮像のビデオ配信機能のオン/オフを制御するスイッチである。制御スイッチ1443は、音声通話機能のオン/オフを制御する1443である。制御スイッチ1444は、デスクトップ共有機能のオン/オフを制御するスイッチである。
【0087】
ステータス表示部145は、制御スイッチ部144の制御スイッチの操作に応じて制御される、会議の参加者それぞれのビデオ配信、音声通話、デスクトップ共有のオン/オフ状態を表示する。
【0088】
表示部147は、Web会議システムの相互印刷に使用されるプリンタのステータスを表示するものであり、会議の参加者それぞれのクライアントアプリに接続されたプリンタの状態が表示される。
【0089】
操作画面146は、Web会議を行っている参加者間で、テキストメッセージおよびファイルの送受、スキャン画像の参加者間の送受、印刷データの送受を行うための操作画面である。
【0090】
メッセージ表示部1461は、テキストメッセージおよびファイルの送受、スキャン画像の参加者間の送受、印刷データの送信を行う際の相互通信の内容が表示される。
ファイル選択ボタン1462は、ファイルの送受信を行う際の対象ファイルを選択するためのボタンである。
プリントデータ選択ボタン1463は、Web会議システムの相互印刷に使用されるボタンであり、相互印刷を行う対象のプリントデータを選択するためのボタンである。
メッセージ入力ダイアログボックス1466は、テキストメッセージを送信する際にテキストメッセージを入力するためのものである。
送信ボタン1465は、テキストメッセージおよびファイルの送受、スキャン画像の参加者間の送受、印刷データの送信を行うためのボタンである。
【0091】
以下、Web会議システムのクライアントアプリケーションを通じて会議の参加者同士で相互印刷を行う操作について説明する。
Web会議の進行中に、情報処理装置システム100を使って会議に参加している参加者Aが、情報処理装置システム200を使って会議に参加している参加者Bに対して、自身の情報処理装置110に格納されているファイルを印刷出力による紙媒体の形で共有するケースを例に説明する。
【0092】
紙媒体の形で共有するユースケースには、例えば、デジタル情報漏洩を防止するセキュリティ上の理由等から紙面出力の形態で情報共有を行いたい場合や、行数、列数の多い表データまたは多ページ構成となっている文書データのように、コンピュータ画面上の閲覧では一覧性が悪く作業効率に悪影響を及ぼすため紙面出力の形態で情報共有を行いたい場合などが挙げられる。
【0093】
まず、参加者Aの操作について説明する。
情報処理装置システム200のクライアントアプリケーション140上で、操作画面146が、Web会議を行っている参加者間でテキストメッセージおよびファイルの送受、印刷データの送受を行うための操作画面となる。表示部147は、Web会議システムの相互印刷に使用されるプリンタのステータスを表示するものであり、会議の参加者それぞれのクライアントアプリケーションに接続されたプリンタの状態が表示される。
【0094】
参加者Aは、参加者一覧から参加者Bを選択して押下することで、参加者Aと参加者B両者間のチャットセッションが開催され、両者のチャットセッションウインドウとして、操作画面146が表示される。参加者Aや参加者Bは、操作画面146で操作を行うことで、参加者Aからは参加者Bへ、参加者Bからは参加者A宛に、テキストチャット、ファイル送信に加えて、プリント出力を行うことができる。
【0095】
次に、参加者Bの情報処理装置システムにおける挙動について説明する。
上記の参加者Aによる参加者Bとのチャットセッションの開始により、参加者Bのアプリケーション240上にも同様に、参加者Aとのチャットセッションウインドウが表示される。参加者Bは、同ウィンドウを使い、参加者Aとテキストチャット、ファイル送信に加えてプリント出力を行うことができる。
【0096】
この状態で、参加者Aの印刷データとしてのファイルの選択と同ファイルの送信印刷操作が行われる。すると、情報処理装置システム100からWeb会議システム300を介して情報処理装置システム200のクライアントアプリケーション240宛に印刷データが送信される。
参加者Bのクライアントアプリケーション240のチャットウインドウには、参加者Aから印刷データが送信されたことを知らせる旨のチャットメッセージが表示される。また、クライアントアプリケーション240がWeb会議システム300から受信した印刷データは、前述のように予め印刷対象プリンタとして設定されたプリンタドライバに入力され、OSの標準印刷方法に則り対象プリンタ220から印刷出力される。この時、印刷出力に先立ち、参加者Bのクライアントアプリケーション240は、参加者Aから送信された印刷データを「静音モード」で印刷するか否かを確認するダイアログを表示する。
【0097】
図12は、第6実施形態においてクライアントアプリケーションが表示する確認ダイアログを説明する図である。
メッセージダイアログ1201は、「この印刷データを静音モードで印刷しますか?」というメッセージを表示する。
参加者Bが[はい]ボタン1202を押下することで、該印刷データを処理するプリンタドライバは、印刷設定コマンドに静音モードでの動作を指示する情報を付加し、印刷装置220に送信する。
参加者Bが[いいえ]ボタンを押下した場合は、該印刷データを処理するプリンタドライバは、通常モードでの印刷動作を指示する印刷設定コマンドを生成し、印刷装置220に送信する。
【0098】
以上の構成により、Web会議システムのクライアントアプリケーションを通じて会議の参加者同士で相互印刷を行う場合において、印刷データの受信者が自身の状況に応じて印刷時の動作モードを選択することが可能となる。すなわち、印刷データの受信者が他の会議参加者と会話しつつも受信した印刷データの印刷を実行したい場合は静音モードでの動作を選択することで、印刷時の稼働音が会話の阻害になることを防止することが可能となる。
【0099】
なお、第2、5実施形態では、印刷のタイミングで、ダイアログを表示して、静音モードで印刷するかユーザに選択させる構成であった。しかし、音声入力デバイスを利用中やOSが集中モードの場合に静音モードを使用するかどうかを、予め設定しておく構成も、本発明に含まれるものである。
【0100】
なお、上記各実施形態では、周辺機器として、印刷装置を例に説明したが、印刷装置以外の周辺機器にも本発明は適用可能である。例えば、情報処理装置にて音声入力デバイスを利用中である場合には、ジョブを送信する周辺機器に、周辺機器がジョブを処理する際に発生する稼働音を低減する静音モードでの動作を指示する。また、OSが集中モードの場合には、周辺機器に静音モードでの動作を指示する。さらに、情報処理装置と周辺機器との距離に応じて、周辺機器に静音モードでの動作を指示する。
【0101】
よって、各実施形態によれば、特別な機構を持たない一般的な周辺機器においても音声コミュニケーションを阻害することのない周辺機器の制御を実現する。例えば、情報処理装置からの印刷時において音声入力デバイスの接続有無、及びその入力レベル等を判定することで、ユーザの操作なく自動的に静音モードでの動作を指示する。これにより印刷装置の稼働音が音声入力デバイスを通して通話相手に届くことを防止することが可能となる。
【0102】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施形態を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0103】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
100、200 情報処理システム
110、210 情報処理装置
120、220 印刷装置
140、240 クライアントアプリケーション
300 Web会議システム