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特開2023-180623入力支援装置、入力支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180623
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】入力支援装置、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20231214BHJP
   G06F 3/0485 20220101ALI20231214BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20231214BHJP
【FI】
G06F15/02 315F
G06F3/0485
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094075
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 拓也
【テーマコード(参考)】
5B019
5E555
【Fターム(参考)】
5B019HD02
5B019HE19
5E555AA05
5E555AA22
5E555AA25
5E555BA22
5E555BB22
5E555BC08
5E555CA18
5E555CA20
5E555CB20
5E555CC19
5E555DB41
5E555DC02
5E555DC13
5E555DC21
5E555DD07
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数の項目の情報の入力において、過去に入力された項目の情報を容易かつ確実に確認することである。
【解決手段】電子卓上計算機は、ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域141での名称表示が項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる。電子卓上計算機は、項目に対して情報がユーザにより入力される毎に入力された情報を、表示されている名称と同一の行に追加することで、名称「点滴指示時間」と入力された情報「成人用~」とが同一の行に並ぶ一連情報を第1表示領域141に表示させる表示制御手段を備える。表示制御手段は、第1表示領域141に一連情報が収まり切れなくなった場合に、一連情報のスクロール表示を開始させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援装置であって、
前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とする入力支援装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記入力された情報を前記名称と同一の行に追加する場合は、当該入力された情報を前記名称とは表示態様を異ならせて追加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記一連情報をスクロール表示させる場合には、前記一連情報の末尾に続けて当該一連情報の先頭が続いて表示されるように、前記一連情報を前記行の方向に沿わせてスクロールさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、現在の入力対象の項目の入力中の情報を前記表示画面の第2表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記入力された複数の項目の情報を用いて、所定の計算値を計算し、当該計算の結果を前記表示画面の第2表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記複数の項目のうち入力させる情報を選択肢から選択させる選択項目が他の項目よりも先に情報が入力されるように、前記項目の名称表示を切り替える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力支援装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、選択肢を選択させる選択項目の名称を前記第1表示領域に表示させ、前記入力された情報を表示する操作入力がされた場合に、当該入力された情報を含む一連情報を前記第1表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力支援装置。
【請求項8】
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援方法であって、
表示制御手段が、前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御工程を含み、
前記表示制御工程において、前記表示制御手段が、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とする入力支援方法。
【請求項9】
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援装置のコンピュータを、
前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力支援装置、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、看護師などの特定の業務のユーザに専門に使用される専業電卓(専業用の電子卓上計算機)が知られている。専業電卓として、その業務に用いる計算値を計算する計算機能を有するものが知られている。
【0003】
例えば、金融に関する業務用の電卓であり、計算値としての複利の計算に要する複数の変数のうち、1つの変数及びその値を入力するための行を複数同時に表示し、行カーソルの遷移操作により各行の変数の数値の入力を受け付けて、複利計算を行う金融計算機が知られている(特許文献1参照)。特許文献1の金融計算機は、4行を同時に表示可能な表示画面を有し、複数の変数のうち、過去に入力した変数及びその数値を表示画面内で確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-346167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の金融計算機では、複利(計算値)の変数が6つあり、各変数の数値の入力中に、過去に入力された変数(項目)の数値(情報)を一度に確認できないおそれがある。この構成では、例えば、表示されていない変数(項目)の数値(情報)を表示するための操作入力を要し、煩わしい。
【0006】
本発明の課題は、複数の項目の情報の入力において、過去に入力された項目の情報を容易かつ確実に確認することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援装置であって、前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御手段を備え、前記表示制御手段は、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の項目の情報の入力において、過去に入力された項目の情報を容易かつ確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の電子卓上計算機の正面図である。
図2】電子卓上計算機の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態の計算項目テーブルの構成を示す図である。
図4】第1の滴下数計算処理を示すフローチャートである。
図5】(a)は、第1段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。(b)は、第2段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。(c)は、第3段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。(d)は、第4段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。
図6】(a)は、第5段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。(b)は、第6段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。(c)は、第7段階の表示状態における押下キーと表示画面とを示す図である。
図7】変形例の計算項目テーブルの構成を示す図である。
図8】第2の滴下数計算処理を示すフローチャートである。
図9図8の続きの第2の滴下数計算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態及び変形例には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施の形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
(実施の形態)
図1図6(b)を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、図1及び図2を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の電子卓上計算機1の正面図である。図2は、電子卓上計算機1の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
本実施の形態の電子卓上計算機1は、医療施設に勤務する看護師や、訪問看護をする看護師などのユーザが使用する専業電卓である。このため、電子卓上計算機1は、看護に用いる計算値(数量)として、1分あたりの輸液の滴下数などの計算機能を有する。
【0013】
電子卓上計算機1は、操作部12、表示部14などを備える。操作部12は、ユーザの操作入力を受け付ける複数個の操作キーを有し、具体的には、電源オンキー121、電源オフキー122、通常キー123、専業機能キー124を有する。
【0014】
電源オンキー121(「ON」)は、電子卓上計算機1の電源オンの操作入力を受け付けるキーであり、本実施の形態では、計算機能としてのオールクリア「AC」機能を兼ねるものとする。電源オフキー122(「OFF」)は、電子卓上計算機1の電源オフの操作入力を受け付けるキーである。
【0015】
通常キー123は、数字キー(「0」~「9」)、小数点キー(「.」)、演算キー(「+」、「-」、「×」、「÷」、「=」、「+/-」)、桁下げ消去キー(横方向の「▲」)、機能キー(クリアキー「C」、メモリキー(「M+」、「M-」、「MRC」)を有する。専業機能キー124は、BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)キーK1(「BMI」)と、滴下数キーK2(「滴下数」)と、推定身長キーK3(「推定身長」)と、褥瘡計算キーK4(「褥瘡計算」)と、インスリンキーK5(「インスリン」)と、を有する。
【0016】
BMIキーK1は、BMI、標準体重の計算開始操作(BMI、標準体重の計算を行う計算モードとしてのBMI計算モードへの移行操作)を受け付けるキーである。BMIの計算は、対象患者について、項目としての身長[cm]、体重[kg]の数値の操作入力に応じて、計算値としてのBMI及び標準体重[kg]の数値を計算する機能である。BMIの計算式は、BMI=体重[kg]/(身長[m])である。標準体重[kg]の計算式は、標準体重[kg]=22×(身長[m])である。BMI計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表Iに示す。
【表1】
【0017】
滴下数キーK2は、計算値としての滴下数(=対象患者に点滴する輸液の1分あたりの滴下数)の計算開始操作(滴下数の計算を行う計算モードとしての滴下数計算モードへの移行操作)を受け付けるキーである。滴下数(流量)の計算は、項目として、輸液セット(成人用(=1)又は小児用(=2)の選択項目)、総輸液量[mL]、点滴指示時間[時間]の数値の操作入力に応じて、計算値としての1分あたりの滴下数[滴/分]の数値を計算する機能である。選択項目とは、あらかじめ設定された複数の選択肢から1つを数字キーの押下入力などにより選択する項目である。1分あたりの滴下数の計算式は、
1分あたりの滴下数[滴/分]=総輸液量[mL]×輸液セット(成人用:20[滴/mL]、小児用:60[滴/mL])/点滴指示時間[時間]/60 …(1)
である。滴下数計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表IIに示す。
【表2】
【0018】
推定身長キーK3は、推定身長の計算開始操作(推定身長の計算を行う計算モードとしての推定身長計算モードへの移行操作)を受け付けるキーである。推定身長の計算は、対象患者について、項目として、男(=1)又は女(=2)(選択項目)、年齢[歳]、膝高[cm]の数値の操作入力に応じて、計算値としての推定身長[cm]の数値を計算する機能である。例えば、男の推定身長[cm]の計算式は、推定身長[cm]=64.02+(膝高[cm]×2.12)-(年齢[歳]×0.07)である。推定身長計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表IIIに示す。
【表3】
【0019】
褥瘡計算キーK4は、褥瘡の範囲の大きさの計算開始操作(褥瘡の範囲の計算を行う計算モードとしての褥瘡計算モードへの移行操作)を受け付けるキーである。褥瘡の大きさの計算は、対象患者について、項目として、褥瘡の長径(損傷範囲)[cm]、最大径(損傷範囲)[cm]、長径(ポケット全周)[cm]、最大径(ポケット全周)[cm]の数値の操作入力に応じて、計算値としての皮膚損傷範囲及びポケット範囲の数値を計算する機能である。例えば、褥瘡の範囲の大きさとしての皮膚損傷範囲の計算式は、皮膚損傷範囲=長径(損傷範囲)[cm]×最大径(損傷範囲)[cm]である。褥瘡の範囲の大きさとしてのポケット範囲の計算式は、ポケット範囲=長径(ポケット全周)[cm]×最大径(ポケット全周)[cm]-皮膚損傷範囲である。褥瘡計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表IVに示す。
【表4】
【0020】
インスリンキーK5は、インスリン抵抗性指数の計算開始操作(インスリン抵抗性指数の計算を行う計算モードとしてのインスリン計算モードへの移行操作)を受け付けるキーである。インスリン抵抗性指数の計算は、対象患者について、項目として、空腹時インスリン値[μU/mL]、空腹時血糖値[mg/dL]の数値の操作入力に応じて、計算値としてのインスリン抵抗性指数の数値を計算する機能である。インスリン抵抗性指数の計算式は、インスリン抵抗性指数=空腹時インスリン値[μU/mL]×空腹時血糖値[mg/dL]/405である。インスリン計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表Vに示す。
【表5】
【0021】
表示部14は、各種表示情報を表示画面に表示する表示部であって、液晶ディスプレイなどで構成されている。表示部14の表示画面は、第1表示領域141と、第2表示領域142と、を有する。第1表示領域141は、全表示画面の上側に配置された表示領域であって、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイの表示領域であり、1行の各種文字の表示領域である。また、第1表示領域141は、少なくとも、白(表示なし)、グレー、黒の表示色の階調表示が可能である。例えば、第1表示領域141は、グレーを、濃いグレー、薄いグレーの2段階に表示可能とする構成としてもよい。
【0022】
第2表示領域142は、第1表示領域141の下側に配置された表示領域であって、セグメントの液晶ディスプレイの表示領域であり、1行の数字の表示領域である。また、第2表示領域142は、白(表示なし)、黒の2段階の階調表示が可能である。なお、表示部14は、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなど、他の装置構成の表示部としてもよい。
【0023】
ついで、図2を参照して、電子卓上計算機1の内部の機能(回路)構成を説明する。図2に示すように、電子卓上計算機1は、表示制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、を備える。電子卓上計算機1の各部は、バス16を介して接続されている。
【0024】
CPU11は、電子卓上計算機1の各部を制御する。CPU11は、記憶部15に記憶された各種プログラムのうち指定されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0025】
操作部12は、電源オンキー121、電源オフキー122、通常キー123、専業機能キー124の複数の各種キーを有し、各種キーを介するユーザからの押下の操作入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。
【0026】
RAM13は、情報を読み出し及び書き込み可能な揮発性の半導体メモリであり、CPU11に作業用のワークエリアを提供し、データ及びプログラムを一時的に記憶する。
【0027】
表示部14は、CPU11などから入力される各種の表示情報を表示画面に表示する。
【0028】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)により構成され、情報の読み出しが可能な記憶部であり、各種データ及び各種プログラムを記憶している。特に、記憶部15は、メインプログラムP1と、計算項目テーブル20と、を記憶する。メインプログラムP1は、操作部12を介するユーザからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じて各種計算を行い、計算結果を表示部14に表示するという電子卓上計算機1のメインの処理プログラムである。メインプログラムP1は、BMI計算モードの計算値の計算を行うBMI計算処理を実行するためのBMI計算プログラムP11と、滴下数計算モードの計算値の計算を行う第1の滴下数計算処理を実行するための第1の滴下数計算プログラムP12と、推定身長計算モードの計算値の計算を行う指定身長計算処理を実行するための推定身長計算プログラムP13と、褥瘡計算モードの計算値の計算を行う褥瘡計算処理を実行するための褥瘡計算プログラムP14と、インスリン計算モードの計算値の計算を行うインスリン計算処理を実行するための行うためのインスリン計算プログラムP15と、を含む。計算項目テーブル20は、BMI計算処理~インスリン計算処理で用いる各種情報を格納する情報テーブルである。第1の滴下数計算プログラムP12、計算項目テーブル20については、詳細に後述する。
【0029】
つぎに、図3を参照して、電子卓上計算機1の記憶部15に記憶される情報を説明する。図3は、計算項目テーブル20の構成を示す図である。図3には、主として、第1の滴下数計算処理で用いる情報を図示している。
【0030】
図3に示すように、記憶部15に記憶される計算項目テーブル20は、計算モード21、計算値22、単位23、入力順24、名称25、項目情報26、単位27、選択肢28のカラムを有する。
【0031】
計算モード21は、上述した専業機能としてのBMI計算モード~インスリン計算モードの各計算モードを識別する情報である。計算値22は、計算モード21の計算モードで計算される計算値の内容を示す情報である。単位23は、計算値22の計算値の単位である。例えば、計算モード21が「滴下数(計算モード)」である場合に、計算値22は、「1分あたりの滴下数」であり、単位23が「滴/分」である。
【0032】
入力順24は、計算モード21の計算モードについて、計算値22の計算に使用される複数の項目の数値をユーザに入力させる順番の情報である。入力順24は、「1」から開始される昇順の自然数であり、計算モード21の計算モードごとに、数値を入力させる最終の項目(最終項目とする)について「E」を付すものとする。各項目の入力順24は、各項目の数値を入力する順番であるとともに、数値を入力するための各項目の情報を表示する表示順に対応する。
【0033】
名称25は、入力順24の各項目の名称であり、各項目の数値の入力時に、入力中の項目よりも入力順が小さく過去に入力された項目の名称として使用されるものとする。例えば、計算モード21が「滴下数(計算モード)」である場合に、入力順24が1~3で名称25が「輸液セット(成人用or小児用)」、「総輸液量」、「点滴指示時間」の3つの項目があり、「点滴指示時間」の項目が最終項目となる。ただし、「輸液セット(成人用or小児用)」は、入力された数値に対応する「成人用」又は「小児用」が項目の名称として使用されるものとする。なお、項目の名称25は各項目を識別するための識別情報である。
【0034】
項目情報26は、名称25の各項目の数値の入力時に表示される、入力中の項目に対応する表示情報であり、当該項目の名称25を含み、当該項目の数値入力を促す情報である。単位27は、名称25の各項目の数値の単位である。選択肢28は、名称25の各項目のうち、複数の選択肢の数値の選択入力を伴う項目(選択項目とする)について、選択肢の内容及び数値を示す情報である。
【0035】
つぎに、図4図6(c)を参照して、電子卓上計算機1の動作を説明する。図4は、第1の滴下数計算処理を示すフローチャートである。図5(a)は、第1段階の表示状態における押下キーと表示画面14aとを示す図である。図5(b)は、第2段階の表示状態における押下キーと表示画面14bとを示す図である。図5(c)は、第3段階の表示状態における押下キーと表示画面14cとを示す図である。図5(d)は、第4段階の表示状態における押下キーと表示画面14dとを示す図である。図6(a)は、第5段階の表示状態における押下キーと表示画面14e~14hとを示す図である。図6(b)は、第6段階の表示状態における押下キーと表示画面14iとを示す図である。図6(c)は、第7段階の表示状態における押下キーと表示画面14jとを示す図である。
【0036】
ここでは、あらかじめ用意された複数の計算モードのうち、滴下数計算モードに対応する第1の滴下数計算処理を代表して説明する。あらかじめ、電子卓上計算機1は、ユーザからの電源オンキー121の押下入力により、電源オンされている状態とする。そして、電子卓上計算機1において、ユーザから滴下数キーK2が押下入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶されている第1の滴下数計算プログラムP12に従い、第1の滴下数計算処理を実行する。
【0037】
図4に示すように、まず、CPU11は、第1の滴下数計算処理を開始する旨の初期情報を表示部14(の第1の表示領域141)に黒で表示する(ステップS11)。黒は、現在の状態に関する表示情報を表示するための文字の表示色とする。以下、黒の表示とは、表示部14の表示画面の白地(表示なし)に黒で表示することを表すものとする。そして、CPU11は、操作部12を介して、ユーザから、ステップS11で表示された初期情報から次の表示情報の表示への遷移(第1の滴下数計算処理の本処理の実行)の操作入力を受け付ける(ステップS12)。
【0038】
そして、CPU11は、記憶部15に記憶された計算項目テーブル20を参照し、計算モード21が「滴下数」である滴下数計算モードで滴下数計算に要する複数の項目のうち、入力順24の未選択の次の昇順の項目を1つ選択(初期値は、入力順24が「1」)し、選択した次の入力順(次の数値の入力対象)の項目の項目情報26を第1の表示領域141に黒で表示する(ステップS13)。ステップS13では、項目情報26に加えて、次の項目の数値の単位27が第1の表示領域141に黒で表示され、次の項目の数値の初期値(=0)が第2の表示領域142に黒で表示されるものとする。また、次の項目が選択項目である場合、選択肢の数値が第2の表示領域142に黒で表示されるものとする。以下、ステップS13で選択中の項目(次の項目)を、「現在(選択中の入力対象)の項目」として表す。
【0039】
そして、CPU11は、直前で実行されたステップS13より前に実行されたステップS13で表示された入力済の項目の名称25及びステップS18で入力された当該項目の数値(及び単位)を入力済情報として、RAM13を参照して、入力済情報があるか否かを判別する(ステップS14)。
【0040】
入力済情報がある場合(ステップS14;YES)、CPU11は、現在の項目の名称25及びRAM13に記憶されている入力済情報を一連情報として、一連情報が第1の表示領域141の表示情報がない空きスペース(表示中の単位27を除く表示スペース)に収まるか否かを判別する(ステップS15)。一連情報が第1の表示領域141に収まる場合(ステップS15;YES)、CPU11は、入力済情報を第1の表示領域141の空きスペースにグレーで固定表示して、現在の項目の黒の項目情報と、グレーの入力済情報とを一連情報として固定表示する(ステップS16)。グレーは、過去の数値の入力済の項目に関する表示情報を表示するための文字の表示色とする。以下、グレーの表示とは、表示部14の表示画面の白地(表示なし)にグレーで表示することを表すものとする。
【0041】
一連情報が第1の表示領域141に収まらない場合(ステップS15;NO)、CPU11は、一連情報を第1の表示領域141の空きスペースに行方向(左右方向)に沿って循環スクロール表示する(ステップS17)。ステップS16又はS17の実行後、又は入力済情報がない場合(ステップS14;NO)、CPU11は、操作部12の通常キー123を介するユーザからの現在の項目(直前のステップS13で項目情報26が表示された項目)の数値入力を受け付け、入力された数値を第2表示領域142に表示させつつ、ユーザからの数値の確定入力を受け付け、現在の項目の名称25及び確定した数値を入力済情報としてRAM13に記憶する(ステップS18)。
【0042】
そして、CPU11は、現在の項目が滴下数計算のための最終項目(最終の入力順の項目)であるか否かを判別する(ステップS19)。最終項目でない場合(ステップS19;NO)、ステップS13に移行される。最終項目である場合(ステップS19;YES)、CPU11は、RAM13に記憶されている入力済の項目の名称25及び数値を読み出し、読み出した数値を用いて、計算値としての1分あたりの滴下数[滴/分]を上述の式(1)により計算し、計算した計算値の数値を第2表示領域142に黒で表示し、当該数値の計算値(の名称)としての計算値22の「1分あたりの滴下数」及びその数値の単位としての単位23の「滴/分」を第1表示領域141に黒で表示し(ステップS20)、第1の滴下数計算処理を終了する。
【0043】
ここで、図5(a)~図6(c)を参照して、第1の滴下数計算処理の具体例を説明する。まず、図5(a)に示すように、ユーザにより滴下数キーK2が押下入力されると、第1の滴下数計算処理が実行され、ステップS11において、初期情報として、黒の「滴下計算(輸液量) 実行[=]」を第1表示領域141に含む表示画面14aが表示される。「実行[=]」は、次の項の数値入力の表示画面14bに遷移するための実行キーが「=」キーであることを示している。
【0044】
そして、図5(b)に示すように、ステップS12において、ユーザにより「=」キーが押下入力されると、ステップS13において、最初の入力順の項目として、当該項目の名称「輸液セット」を含み、輸液セットが選択肢としての成人用か小児用かを選択するための選択項目の項目情報26である黒の「輸液セット? 成人用 小児用」を第1表示領域141に含み、成人用、小児用にそれぞれ対応する黒の選択肢の数値「1」及び「2」を第2表示領域142に含む表示画面14bが表示される。表示される選択肢の数値は、計算項目テーブル20の選択肢28が用いられるものとする。ステップS14において、現在の項目が1番目の入力順であるので、入力済情報はない。
【0045】
そして、図5(c)に示すように、ステップS18において、ユーザにより成人用の「1」キーが押下入力され、入力済情報「輸液セット」、「成人用(=1)」がRAM13に記憶され、ステップS19において、入力順24=1により、輸液セットが最終項目でないので、ステップS13に移行される。
【0046】
そして、2回目の実行のステップS13において、2番目の入力順の項目として、当該項目の名称25の「総輸液量」を含み、総輸液量を入力するための黒の項目情報26の「総輸液量?」、総輸液量の単位27の「mL」を第1表示領域141に含み、総輸液量の初期値である黒の「0」を第2表示領域142に含む表示画面14cが表示される。さらに、ステップS14において、入力済情報があり、ステップS15において、入力済情報「成人用」が第1表示領域141の空きスペースに収まるので、ステップS16において、表示画面14cで、グレーの入力済情報「成人用」が第1表示領域141の空きスペースに固定表示される。
【0047】
そして、図5(d)に示すように、ステップS18において、ユーザにより「5」キー、「0」キー、「0」キーが順に押下入力され、表示画面14cにおいて、総輸液量の数値の黒の「500」を第2表示領域142に含む表示画面14dが表示される。さらに、図6(a)に示すように、ステップS18において、ユーザにより数値確定用の「=」キーが押下入力され、入力済情報「総輸液量」「500mL」がRAM13に記憶され、ステップS19において、入力順24=2により、総輸液量が最終項目でないので、ステップS13に移行される。
【0048】
そして、ステップS13において、3番目の入力順の項目として、当該項目の名称25の「点滴指示時間」を含み、点滴指示時間を入力するための黒の項目情報26の「点滴指示時間?」、点滴指示時間の単位27の「時間」を第1表示領域141に含み、点滴指示時間の初期値である黒の「0」を第2表示領域142に含む表示画面14eが表示される。さらに、ステップS14において、入力済情報があり、ステップS15において、入力済情報「成人用 総輸液量 500mL」が第1表示領域141の空きスペースに収まらないので、ステップS17において、表示画面14e,14f,14g,14hに順に示すように、黒の項目情報「点滴指示時間?」とグレーの入力済情報「成人用 総輸液量 500mL」との一連情報が第1表示領域141に循環スクロール表示される。つまり、第1表示領域141の単位「時間」を除く空きスペースに、黒の「点滴指示時間?」、グレーの「成人用 総輸液量 500mL」が順に行方向(右→左)にスクロール表示され、末尾の「500mL」に、先頭の「点滴指示時間?」が続いて表示されるようにスクロール表示される。
【0049】
そして、図6(b)に示すように、ステップS18において、ユーザにより「6」キーが押下入力され、表示画面14hにおいて、点滴指示時間の数値の黒の「6」を第2表示領域142に含む表示画面14iが表示される。さらに、図6(c)に示すように、ステップS18において、ユーザにより数値確定用の「=」キーが押下入力され、入力済情報「点滴指示時間」「6時間」がRAM13に記憶され、ステップS19において、入力順24=3Eにより、点滴指示時間が最終項目であるので、ステップS20に移行される。
【0050】
そして、ステップS20において、入力済情報の「輸液セット 成人用」、「総輸液量 500mL」、「点滴指示時間 6時間」を用いて、式(1)により、1分あたりの滴下数=28[滴/分]が算出される。
【0051】
そして、計算値の名称としての黒の「1分あたりの滴下数」と滴下数の単位の黒の「滴/分」とを第1表示領域141に含み、黒の「28」を第2表示領域142に含む表示画面14jが表示される。
【0052】
以上、本実施の形態によれば、電子卓上計算機1は、ユーザに情報(数値)を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに数値を入力させる項目の表示部14の表示画面の第1表示領域141での項目情報(名称)表示が項目に対して数値がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の項目情報表示に切り替わる。電子卓上計算機1は、項目に対して数値がユーザにより入力される毎に入力済情報(入力された数値)を、表示されている項目情報と同一の行に追加することで、現在の入力対象の項目の項目情報(総輸液量?など)と入力済情報とが同一の行に並ぶ一連情報を第1表示領域141に表示させるCPU11を備える。CPU11は、第1表示領域141に一連情報が収まり切れなくなった場合に、一連情報のスクロール表示を開始させる。
【0053】
このため、複数の項目の情報(数値)の入力において、入力済情報を含む一連情報のスクロール表示により、過去に入力された項目の数値をユーザが容易かつ確実に確認できる。
【0054】
また、CPU11は、入力済情報を現在の入力対象の項目の項目情報(項目の名称)と同一の行に追加する場合は、入力済情報を項目情報とは表示態様を異ならせて(入力済情報:グレー表示、項目情報:黒表示)追加する。このため、過去に入力された項目の数値を、現在の入力対象の項目の項目情報から瞬時かつ確実に識別できる。
【0055】
また、CPU11は、一連情報をスクロール表示させる場合には、一連情報の末尾に続けて当該一連情報の先頭が続いて表示されるように、一連情報を行方向(左右方向)に沿わせて循環スクロールさせる。このため、一連情報のスクロール表示を見逃したとしても、見逃した一連情報を確実に再確認できる。
【0056】
また、CPU11は、現在の入力対象の項目の入力中の数値を表示部14の表示画面の第2表示領域142に表示させる。このため、ユーザが第1表示領域141に表示中の一連情報を見つつ、第2表示領域142を見て現在の入力対象の項目の入力中の数値を正確に入力できる。
【0057】
また、CPU11は、入力された複数の項目の数値を用いて、所定の計算値(1分あたりの滴下数)を計算し、計算の結果を表示部14の表示画面の第2表示領域142に表示させる。このため、複数の項目の数値の正確な入力に基づき、所定の計算値を正確に計算でき、ユーザがその正確な計算の結果を確実に確認できる。
【0058】
また、CPU11は、複数の項目のうち入力させる数値を選択肢から選択させる選択項目が他の項目よりも先に情報が入力されるように(選択項目の項目情報が例えば1番目の入力順に表示されるように)、項目の項目情報表示を切り替える。選択項目としての輸液セットは、成人用か小児用かを選択する項目であり、現在の選択項目の項目情報の表示量が比較的多く、第1表示領域141の入力済情報表示用の空きスペースが小さく、第1表示領域141への入力済情報の表示が難しい。このため、選択項目の項目情報を他の項目よりも先に情報が入力されるように優先的に表示するので、第1表示領域141への入力済情報の表示が難しい選択項目における入力済情報の表示を抑制でき、複数の項目の数値の入力を正確かつ効率化できる。
【0059】
(変形例)
図7図9を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。図7は、計算項目テーブル20Aの構成を示す図である。図8は、第2の滴下数計算処理を示すフローチャートである。図9は、図8の続きの第2の滴下数計算処理を示すフローチャートである。
【0060】
上述したように、計算値の計算において、選択肢の数値入力をしやすくするために、選択した方がよい項目として選択項目がある。しかし、選択項目の項目情報の表示量が比較的多く、第1表示領域141の入力済情報表示用の空きスペースが小さくなり、第1表示領域141への入力済情報の表示が難しいため、選択項目の入力順を他の項目よりも先にするのが好ましい。上記実施の形態では、第1表示領域への入力済情報の表示が難しい選択項目の数値を1番目の入力順に入力させ、選択項目で入力済情報を表示しない構成であった。しかし、選択項目の数値の入力順が最初でない場合には、入力済情報の表示が難しい。本変形例では、選択項目の数値の入力順が最初でない場合に、選択項目の数値入力時に、入力済情報の表示の要否をユーザが設定入力可能な構成とする。
【0061】
本変形例の装置構成として、上記実施の形態と同様に、電子卓上計算機1を用いる。ただし、本変形例において、滴下数キーK2の押下入力により選択される滴下数計算モードにおいて、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表VIに示す。
【表6】
【0062】
このように、本変形例では、「総輸液量」、「点滴指示時間」の項目の入力順よりも、選択項目である「輸液セット(成人用;1,小児用;2)」の方が入力順が後(3番目)である例とする。
【0063】
また、第1の滴下数計算プログラムP12と、計算項目テーブル20とに代えて、後述する第2の滴下数計算処理を行うための第2の滴下数計算プログラムと、計算項目テーブル20Aとが記憶部15に記憶されているものとする。
【0064】
ここで、図7を参照して、計算項目テーブル20Aの構成を説明する。計算項目テーブル20Aは、上記実施の形態の計算項目テーブル20とカラムが同様であるが、名称25が「総輸液量」、「点滴指示時間」、「輸液セット(成人用or小児用)」のレコードの入力順24が、それぞれ、1、2、3Eである。
【0065】
つぎに、図8及び図9を参照して、本変形例の電子卓上計算機1の動作を説明する。
【0066】
電源オンされている状態の電子卓上計算機1において、ユーザから滴下数キーK2が押下入力されたことをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶されている第2の滴下数計算プログラムに従い、第2の滴下数計算処理を実行する。
【0067】
図8に示すように、ステップS31~S33は、上記実施の形態の図4の第1の滴下数計算処理のステップS11~S13と同様である。そして、CPU11は、記憶部15に記憶された計算項目テーブル20Aを参照し、直前で実行したステップS33の現在の(入力対象の)項目のレコードについて、選択肢28に選択肢の内容があるか否かにより、現在の項目が選択項目であるか否かを判別する(ステップS34)。現在の項目が選択項目でない場合(ステップS34;NO)、ステップS35に移行される。ステップS35~S41は、図4のステップS14~S20と同様である。
【0068】
現在の項目が選択項目でない場合(ステップS34;NO)、図9に示すように、CPU11は、操作部12を介して、ユーザから入力済情報を表示する操作入力があるか否かを判別する(ステップS42)。入力済情報を表示する操作入力がない場合(ステップS42;NO)、ステップS39に移行される。
【0069】
入力済情報を表示する操作入力がある場合(ステップS42;YES)、ステップS43に移行される。ステップS43は、ステップS38と同様である。ここでは、選択項目の数値入力用の表示画面においては、第1表示領域141の空きスペースがほぼないため、ステップS37と同様の入力済情報の固定表示ができないものとしている。
【0070】
そして、CPU11は、操作部12を介して、ユーザから入力済情報を表示しない操作入力があるか否かを判別する(ステップS44)。入力済情報を表示しない操作入力がない場合(ステップS44;NO)、ステップS39に移行される。入力済情報を表示しない操作入力がある場合(ステップS44;YES)、CPU11は、現在の項目の項目情報及び入力済情報のスクロール表示を止め、ステップS33と同様に、現在の項目の項目情報を第1表示領域141に黒で固定表示し(ステップS45)、ステップS42に移行される。
【0071】
ここで、第2の滴下数計算処理の具体例を簡単に説明する。まず、ステップS31,S32において、図5(a)の表示画面14aが表示され、滴下数キーK2が押下入力される。そして、入力順が「1」の項目「総輸液量」について、ステップS33~S35(S34;NO、S35;NO),S39,S40が実行され、入力済情報が無いためにその表示がされることなく、項目の名称「総輸液量」の数値「500(mL)」が入力されたものとする。そして、入力順が「2」の項目「点滴指示時間」について、ステップS33~S37(S34;NO、S35;YES、S36;YES),S39~S40が実行され、黒の現在の項目の項目情報「点滴指示時間?」とグレーの入力済情報「総輸液量 500mL」とが一連情報として第1表示領域141に固定表示され、項目の名称「点滴指示時間」の数値「6(時間)」が入力されたものとする。ここでは、項目「点滴指示時間」の表示画面において、第1表示領域141の項目情報「点滴指示時間?」及び単位「時間」以外の空きスペースに、入力済情報「総輸液量 500mL」が収まるものとした。
【0072】
そして、入力順が「3」の選択項目「輸液セット(成人用又は小児用)」について、ステップS33,S34(S34;YES),S42,S43が実行され、入力済情報を表示する操作入力があると(S42;YES)、黒の現在の項目の項目情報「輸液セット 成人用 小児用」とグレーの入力済情報「総輸液量 500mL 点滴指示時間 6時間」とが一連情報として第1表示領域141に循環スクロール表示される。
【0073】
そして、ステップS44が実行され、入力済情報を表示しない操作入力があると(S44;YES)、黒の現在の項目の項目情報「輸液セット 成人用 小児用」が第1表示領域141に固定表示される。ステップS42,S44により、ユーザからの操作入力に応じて、入力済情報の表示有無が自在に切り替え可能である。なお、選択項目の数値入力において、CPU11が、操作部12を介するユーザからの操作入力に応じて、黒の現在の項目(選択項目)の項目情報の表示有無を自在に切り替え可能である構成としてもよい。
【0074】
以上、本変形例によれば、CPU11は、複数の項目のうち、選択項目の項目情報(名称)を第1表示領域141に表示させ、入力済情報を表示する操作入力がされた場合に、入力済情報を含む一連情報を第1表示領域141に表示させる。このため、選択項目の入力順(表示順)が他の項目の入力順(表示順)よりも先にない(優先されていない)場合にも、選択項目の項目情報を確実に表示でき、入力済情報の表示をユーザが自在に設定できる。
【0075】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部15(ROM)を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0076】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る入力支援装置、入力支援方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0077】
例えば、上記実施の形態では、入力支援装置として、専業電卓としての看護師電卓を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。入力支援装置である専業電卓として、例えば、薬剤師などのユーザに使用される薬剤師電卓、栄養士などのユーザに使用される栄養士電卓を用いて、複数の項目の数値の入力に応じて所定の計算値を計算する場合に、各項目の数値の入力中に、入力済情報を表示する構成としてもよい。
【0078】
薬剤師電卓では、例えば、複数の項目として、性別(男又は女)、年齢[歳]、体重[kg]、SCr(Serum Creatinine:血清クレアチニン値)[mg/dL]の数値入力に応じて、計算値としての腎機能の指標であるCCr(Creatinine Clearance:クレアチニンクリアランス)[mL/分]が計算される。CCrの計算式は、例えば、男の場合、CCr[mL/分]=(140-年齢[歳])×体重[kg]/(72×SCr[mg/dL])である。CCrの計算において、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表VIIに示す。
【表7】
【0079】
栄養士電卓では、例えば、複数の項目として、運動種類(歩:4、走:7又は泳:10(メッツ値:安静時を1としたカロリー消費量の倍数))、摂取カロリー[kcal]、体重[kg]の数値入力に応じて、計算値としての運動量(推定)の指標としての必要運動時間[分]が計算される。必要運動時間の計算式は、例えば、必要運動時間[分]=摂取カロリー[kcal]/(運動種類(メッツ値)×体重[kg])×60である。必要運動時間の計算において、数値を入力する複数の項目、各項目の数値の入力順、各項目の数値から計算する計算値を次表VIIIに示す。
【表8】
【0080】
また、上記実施の形態及び変形例では、滴下数キーK2の1回の押下により、滴下数(輸液量)=1分あたりの滴下数[滴/分]が計算される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、滴下数キーK2の2回の押下により、項目として、輸液セットが成人用(=1)又は小児用(=2)(選択項目)、時間あたりの流量[mL/h]の数値の操作入力に応じて、計算値としての滴下数(流量)=1分あたりの滴下数[滴/分]が計算される構成としてもよい。滴下数(流量)の計算式は、1分あたりの滴下数[滴/分]=時間あたりの流量[mL/h]/60×輸液セット(成人用:20[滴/mL]、小児用:60[滴/mL])である。
【0081】
また、上記実施の形態及び変形例では、現在の入力対象の項目の項目情報と、入力済情報の表示態様として表示色を異ならせる(黒、グレー)構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、現在の入力対象の項目の項目情報と、入力済情報との表示態様として、斜体設定の有/無、太字/細字、文字の大きさ、フォントなど、他の表示態様を異ならせる構成としてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、入力支援装置として、電子卓上計算機1を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。入力支援装置は、電子卓上計算機のみならず、複数の項目の情報を入力する他の情報機器としてもよい。
【0083】
本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態及び変形例に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援装置であって、
前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とする入力支援装置。
<請求項2>
前記表示制御手段は、前記入力された情報を前記名称と同一の行に追加する場合は、当該入力された情報を前記名称とは表示態様を異ならせて追加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
<請求項3>
前記表示制御手段は、前記一連情報をスクロール表示させる場合には、前記一連情報の末尾に続けて当該一連情報の先頭が続いて表示されるように、前記一連情報を前記行の方向に沿わせてスクロールさせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
<請求項4>
前記表示制御手段は、現在の入力対象の項目の入力中の情報を前記表示画面の第2表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
<請求項5>
前記表示制御手段は、前記入力された複数の項目の情報を用いて、所定の計算値を計算し、当該計算の結果を前記表示画面の第2表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援装置。
<請求項6>
前記表示制御手段は、前記複数の項目のうち入力させる情報を選択肢から選択させる選択項目が他の項目よりも先に情報が入力されるように、前記項目の名称表示を切り替える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力支援装置。
<請求項7>
前記表示制御手段は、選択肢を選択させる選択項目の名称を前記第1表示領域に表示させ、前記入力された情報を表示する操作入力がされた場合に、当該入力された情報を含む一連情報を前記第1表示領域に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力支援装置。
<請求項8>
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援方法であって、
表示制御手段が、前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御工程を含み、
前記表示制御工程において、前記表示制御手段が、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とする入力支援方法。
<請求項9>
ユーザに情報を入力させる項目が複数存在する場合に、ユーザに情報を入力させる項目の表示画面の第1表示領域での名称表示が当該項目に対して情報がユーザにより入力される毎に次の入力対象にされる項目の名称表示に切り替わる入力支援装置のコンピュータを、
前記項目に対して情報がユーザにより入力される毎に当該入力された情報を、表示されている前記名称と同一の行に追加することで、前記名称と前記入力された情報とが同一の行に並ぶ一連情報を前記第1表示領域に表示させる表示制御手段として機能させ、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に前記一連情報が収まり切れなくなった場合に、前記一連情報のスクロール表示を開始させる、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0084】
1 電子卓上計算機
11 CPU
12 操作部
121 電源オンキー
122 電源オフキー
123 通常キー
124 専業機能キー
K1 BMIキー
K2 滴下数キー
K3 推定身長キー
K4 褥瘡計算キー
K5 インスリンキー
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9