(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180627
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】化粧料およびマスク製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20231214BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231214BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/63
A61K8/81
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094082
(22)【出願日】2022-06-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】596154365
【氏名又は名称】株式会社ウテナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 真貴
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC681
4C083AC682
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC02
4C083CC07
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE10
(57)【要約】
【課題】皮膚に対する刺激を好適に緩和し得る化粧料およびマスク製剤を提供する。
【解決手段】
(A)抗炎症成分、(B)ツボクサ由来成分、(C)多糖類、および(D)水溶性増粘剤 を含有し、粘度が10000mPa・s以上40000mPa・s以下であることを特徴とする化粧料。および、これを薬液として使用したマスク製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)抗炎症成分、
(B)ツボクサ由来成分、
(C)多糖類、および
(D)水溶性増粘剤 を含有し、
粘度が10000mPa・s以上40000mPa・s以下であること
を特徴とする化粧料。
【請求項2】
(A)抗炎症成分として、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、甘草由来抽出物からなる群より選択される1種類以上の物質を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(C)多糖類として、ヒアルロン酸およびその塩、シロキクラゲ多糖体、グルコオリゴ糖からなる群より選択される1種類以上の物質を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項4】
(D)水溶性増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体からなる群より選択される1種類以上の物質を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料を薬液として使用したマスク製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面の皮膚等に使用するための化粧料、およびこれを用いたマスク製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人の顔面の皮膚等に使用される化粧料には、その目的や用途に応じて多くの種類・形態の製品があり、それらの粘度、油分と水分の比、使用法などは多岐にわたる。例えば下記特許文献1に記載されている化粧料は、皮膚の保湿等を目的とし、不織布等のシート状の素材に薬液としての化粧料を含浸させ、これを使用者の顔面等に貼り付けて使用するスキンケア用品であり、一般的にはフェイスマスクやフェイシャルマスク等と称される(以下、本明細書では、このような形態の化粧料を「マスク製剤」と称する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き化粧料においては、主目的である効能(皮膚の保湿など)の他に、心地よく使用できること(べたつきが少ないこと、刺激がないこと等)が重視される。特にマスク製剤の場合、化粧料を皮膚に付着させた状態を相当の時間(例えば数分~数十分)維持する必要があり、刺激の少なさは重要である。一方、化粧料には皮膚や毛髪、あるいは化粧料自体に対する何らかの作用効果を期して様々な成分が含有されることが通常であり、その中には人の皮膚に対して刺激を生じるものも少なくない。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、皮膚に対する刺激を好適に緩和し得る化粧料およびマスク製剤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し得る手段として、本発明は、
(A)抗炎症成分、
(B)ツボクサ由来成分、
(C)多糖類、および
(D)水溶性増粘剤 を含有し、
粘度が10000mPa・s以上40000mPa・s以下であること
を特徴とする化粧料を提供する。
【0007】
本発明の化粧料は、(A)抗炎症成分として、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、甘草由来抽出物からなる群より選択される1種類以上の物質を含有してもよい。
【0008】
本発明の化粧料は、(C)多糖類として、ヒアルロン酸およびその塩、シロキクラゲ多糖体、グルコオリゴ糖からなる群より選択される1種類以上の物質を含有してもよい。
【0009】
本発明の化粧料は、(D)水溶性増粘剤として、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体からなる群より選択される1種類以上の物質を含有してもよい。
【0010】
また、本発明は、上述の化粧料を薬液として使用したマスク製剤に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、皮膚に対する刺激を好適に緩和するという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、化粧料において刺激性を実現し得る成分について鋭意研究を重ねた結果、(D)水溶性増粘剤によって粘度を10000mPa・s以上40000mPa・s以下のジェル状に調製された化粧料において、(A)抗炎症成分、(B)ツボクサ由来成分、および(C)多糖類を含有することにより、上述の課題を解決し得ることを見出した。すなわち、上記(A)~(C)の成分を含有する化粧料であれば、(D)水溶性増粘剤によって適度な粘度を保ちつつ、人の皮膚に対する刺激を緩和し、例えばマスク製剤の薬液として使用しても、好適な使用感を実現し得る。以下、具体的な組成や効果等について説明する。
【0013】
(A)抗炎症成分としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、甘草由来抽出物からなる群より選択される1種類以上の物質を使用することができる。
【0014】
(C)多糖類としては、2糖類以上に該当する1種類以上の物質、または、ヒアルロン酸およびその塩、シロキクラゲ多糖体、トレハロース及びその誘導体、加水分解水添デンプン、スクロース、ソルビトール発酵多糖、グルカンおよびその誘導体(例えば、グルコオリゴ糖、α-グルカン、β-グルカン、サクシノグルカン、など)、海藻類のエキス(例えば、アルゲエキス、アルゲコロイド、ヒバマタエキス、ミツイシコンブエキス、ポルフィリジウムクルエンタムエキス、ポリフィリジウム多糖体など)、ローカストビーンガム、スクレロチウムガム、イヌリン、ガラクトアラビナン、シゾフィラン、カエサルピニアスピノサガム、グルコマンナン、タマリンドガム、加水分解グアーからなる群より選択される1種または2種以上の物質を用いることができ、特に好ましくは、ヒアルロン酸およびその塩、シロキクラゲ多糖体、グルコオリゴ糖、からなる群より選択される1種類以上の物質を用いることができる。
【0015】
ここで、(A)抗炎症成分に関し、含有量は薬液全量に対し0.0005質量%以上0.3質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下とするのが適当である。(A)抗炎症成分の含有量が少なすぎると十分な刺激緩和効果が得られない一方、多すぎれば薬液としての品質や安定性を損なう(具体的には、例えば薬液の粘度を適当な範囲に保てなくなる)可能性があるからである。
【0016】
(B)ツボクサ由来成分に関し、含有量は薬液全量に対し0.0005質量%以上1.0質量%以下、特に好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下とするのが適当である。(B)ツボクサ由来成分の含有量が少なすぎると十分な刺激緩和効果が得られず、多すぎれば色や臭気が生じるなど、薬液としての品質を損なう可能性があるからである。尚、(B)ツボクサ由来成分は、ツボクサ類の植物に由来する成分であり、例えば植物の一部または全部をすり潰したものや、植物の一部または全部からの抽出液、あるいは、植物から抽出した何らかの成分、等である。
【0017】
(C)多糖類に関し、含有量は0.0005質量%以上5.0質量%以下、特に好ましくは0.0005質量%以上3.0質量%以下とするのが適当である。(C)多糖類の含有量が少なすぎると十分な刺激緩和効果が得られず、多すぎればべたつきが生じ、製剤としての使用感を損なう可能性があるからである。
【0018】
(D)水溶性増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸/メタクリル酸アンモニウム/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、PEG-240/HDIコポリマービスデシルテトラデセス-20エーテル、ステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、ジェランガム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、セルロース系高分子化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなど)アラビアゴム、カラヤガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど)、寒天、アルギン酸、ムコ多糖類(例えば、ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド)、デキストラン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、からなる群より選択される1種類以上の物質を用いることができ、より好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、セルロース系高分子化合物、ジェランガム、からなる群より選択される1種類以上の物質を用いることができる。特に好ましくは、カルボマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、からなる群より選択される1種類以上の物質を用いることができる。
【0019】
また、本発明の化粧料は、上記(A)~(D)にあたる物質のほか、ポリオール、アミノ酸、油剤、植物エキス、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、着色料、香料、キレート剤、からなる群より選択される1種又は2種以上の組合せを更に含んでもよい。
【0020】
ここで、ポリオールの例としては、2価以上の多価アルコール、または、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、等を挙げることができるが、本発明においてポリオールとして用い得る物質はこれらに限定されない。
【0021】
アミノ酸の例としては、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、セリン、チロシン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、等を挙げることができるが、本発明においてアミノ酸として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0022】
油剤の例としては、セラミド類(例えば、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAP、セラミドAS、セラミドEOP)、スフィンゴ脂質類(スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、フィトスフィンゴシン)、炭化水素油(例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー)、油脂{例えば、植物油[例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、亜麻仁油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ナッツ油(マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、クルミ油等)、種子油(ブドウ種子油、カボチャ種子油等)、レモン油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、カニナバラ果実油、月見草油、ヤシ油、パーム油、パームオレイン、パーム核油等]、動物油(例えば、魚油、肝油等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等}、エステル油{例えば、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルへキシル、アジピン酸ジブチル)、イソオクタン酸エステル[例えば、トリイソオクタン酸グリセリン(トリイソオクタン酸グリセリド)]、イソノナン酸エステル(例えば、イソノナン酸イソノニル)、ミリスチン酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)、イソステアリン酸エステル(例えば、イソステアリン酸バチル)、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸ジエチル)等}、シリコーン油、脂肪酸(例えば、イソステアリン酸等)、高級アルコール、等を挙げることができるが、本発明において油剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0023】
植物エキスの例としては、アロエベラ葉エキス、コメヌカエキス、コプチスチネンシス根茎エキス、ボタンエキス、ハトムギ種子エキス、フキタンポポ花エキス、オタネニンジン根エキス、トウキ根エキス、ナツメ果実エキス、センキュウ根茎エキス、シャクヤク根エキス、マグワ根皮エキス、クララ根エキス、キハダ樹皮エキス、オウゴン根エキス、アセンヤクエキス、ダイズ種子エキス、センブリエキス、褐藻エキス、桑エキス、絹エキス、ハマメリス葉エキス、ローヤルゼリーエキス、ストロベリーエキス、フラガリアチロエンシス果汁、タチバナ果皮エキス、エブリコエキス、オレンジ果実エキス、ユズ果実エキス、クマザサ葉エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、ミルシアリアデュビア果実エキス、レモングラス葉/茎エキス、ユーカリ葉エキス、ゲンチアナ根エキス、レンゲソウエキス、アルニカ花エキス、シナノキエキス、モモ果実エキス、トウヒエキス、センチフォリアバラ花エキス、チャ葉エキス、ブドウ葉エキス、ソメイヨシノ葉エキス、オウゴンエキス、ユキノシタエキス、ラベンダー花エキス、ローズマリー葉エキス、ヨクイニンエキス、トウキンセンカ花エキス、タイソウエキス、オウバクエキス、ウメ果実エキス、ヨモギ葉エキス、ハイブリッドローズ花エキス、アサイヤシ果実エキス、カミツレ花エキス、等を挙げることができるが、本発明において植物エキスとして用い得る物質はこれらに限定されない。
【0024】
界面活性剤の例としては、例えば非イオン界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ポリグリセリル-2、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-6等のポリグリセリン脂肪酸エステル;PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油等のPEG[ポリエチレングリコール又はポリオキシエチレン(POE)]水添ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油);POEヒマシ油3、POEヒマシ油4、POEヒマシ油6POEヒマシ油7、POEヒマシ油10、POEヒマシ油13.5、POEヒマシ油17、POEヒマシ油20、POEヒマシ油25、POEヒマシ油30、POEヒマシ油35、POEヒマシ油50等のPOEヒマシ油;セスキオレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、トリオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート85)等のポリソルベート(POEソルビタン脂肪酸エステル);POEPOPグリコール(196E.O.)(67P.O.)(又はポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、以下同様の表現において同じ、ポロキサマー407)、POEPOPグリコール(20E.O.)(20P.O.)、POEPOPグリコール(42E.O.)(67P.O.)(ポロキサマー403)、POEPOPグリコール(54E.O.)(39P.O.)(ポロキサマー235)、POEPOPグリコール(124E.O.)(39P.O.)、POEPOPグリコール(160E.O.)(30P.O.)、POEPOPグリコール(200E.O.)(70P.O.)、POEPOPグリコール(30E.O.)(150P.O.)(ポロキサマー188)等のPOE・POPグリコール;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、等を挙げることができるが、本発明において界面活性剤、あるいは非イオン界面活性剤として用い得る物質はこれらに限定されない。尚、例示した上記化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、をそれぞれ示し、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0025】
pH調整剤の例としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、等を挙げることができるが、本発明においてpH調整剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0026】
緩衝剤の例としては、ホウ酸系緩衝剤、リン酸系緩衝剤、炭酸系緩衝剤、クエン酸系緩衝剤、酢酸系緩衝剤、等を挙げることができるが、本発明において緩衝剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0027】
等張化剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、等を挙げることができるが、本発明において等張化剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0028】
安定化剤の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、等を挙げることができるが、本発明において安定化剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0029】
防腐剤の例としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、グリセリン脂肪酸エステル、等を挙げることができるが、本発明において防腐剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0030】
着色料の例としては、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004)等)に記載された各種の色素を挙げることができるが、本発明において着色料として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0031】
香料の例としては、ラベンダー油、ローズマリー油、パルマローザ、ゼラニウム油、ユーカリ油等のハーブ系精油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント系精油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油等の柑橘系精油のような各種精油、調合香料、等を挙げることができるが、本発明において香料として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0032】
キレート剤の例としては、メタリン酸ナトリウム、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩、等を挙げることができるが、本発明においてキレート剤として用い得る物質はこれらに限定されない。
【0033】
また、本発明の化粧料を薬液として使用したマスク製剤において、支持体としては例えば布や紙、不織布等、薬液の含浸し得るシート状の各種の素材を使用することができる。支持体として不織布を使用する場合、不織布の素材の例としては、コットン、コットンリンター、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、セルロース、シルク、ポリアミド、パルプ、麻、等を挙げることができるが、不織布として用い得る素材はこれらに限定されない。
【0034】
尚、化粧料に含まれる上記(A)~(D)に該当する成分として、上にポリオール、アミノ酸、油剤、植物エキス、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、着色料、香料およびキレート剤、として例示した物質を用いることもでき、また、上記(A)~(D)に該当する成分を、ポリオール、アミノ酸、油剤、植物エキス、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、着色料、香料およびキレート剤、のいずれかに用いることもできる。
【0035】
[実験]成分(A)~(C)の組合せによる刺激の緩和
【0036】
上記(A)~(C)の成分に関し、これらの組合せによる皮膚への刺激の緩和効果を検証する実験を行った。マスク製剤の薬液として調製した11種類のサンプルについて、これを被験者に対し使用し、被験者が感じた刺激を評価した。各サンプルの組成は下記表1の通りである。表中、数値の単位は質量%(化粧料全体に対する各成分の割合)である。
【表1】
【0037】
実験は以下の手順にて行った。支持体として顔型に切り抜いた目付が40g/m2の不織布を用意し、これに各サンプルを含浸させ、被験者の顔面に載せて30分間静置した。マスク製剤としての各サンプルの使用中、顔面の皮膚に刺激を感じたか否かを被験者に回答してもらった。同様の試験を複数の被験者に対して行い、刺激を感じたと回答した被験者の割合によって、各サンプルにおける刺激の緩和効果を評価した。ここで、「刺激」とは、一時的なスティンギング感(ピリピリ感・ヒリヒリ感)、痒みまたは赤みを指し、これらのうち少なくともいずれかが被験者に表れた場合には、その被験者は刺激を感じたと回答することとした。結果は表1の下段に示してあり、被験者のうち刺激を感じた者の割合が2割以下であれば「◎」、2割を超え6割未満であれば「△」、6割を超えていれば「×」とそれぞれ表示している。
【0038】
サンプル10、11は、上記成分(A)~(C)のうち、(C)多糖類に該当するヒアルロン酸ナトリウムのみを含む組成の対照区である。サンプル10は(D)水性増粘剤を含んでおらず粘度の低いもの、サンプル11は(D)水性増粘剤としてカルボマーおよび(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを添加して粘度を高めたものである。その他の成分としては、ポリオールとしてグリセリン、ジグリセリンおよび1,3-ブチレングリコール、等張化剤としてトレハロース、油剤としてスクワラン、基剤として水をそれぞれ含む。また、サンプル11には、(D)水性増粘剤による粘性の付与のため、pH調整剤として水酸化ナトリウムを添加している。
【0039】
まず、これらのサンプル10、11を用い、被験者の選抜を行った。一般に、同じ化粧料であっても、それに対する感受性には個人差がある。そこで、まずサンプル10、11を多数の被験者に使用してもらい、皮膚に刺激を感じた被験者のみに対し、続いてサンプル1~9を用いた以降の試験を行い、刺激の緩和効果を検証する、という手順により本実験を行った。
【0040】
上記表1には、いずれのサンプルについても、こうして選抜を経た被験者の集団における結果を示している。この被験者の集団においては、サンプル10、11による刺激の緩和効果は「×」であった。
【0041】
ここで、マスク製剤に使用する薬液の粘度が低い場合、支持体と皮膚の間に強い接触が生じやすく、これをある程度(例えば本試験のように30分程度)の長時間にわたって使用することが皮膚への刺激に繋がることが考えられる。つまり、互いに粘度の異なるサンプル10、11の比較においては、粘度の高いサンプル11の方で刺激が多少緩和することも期待されたが、上記の選抜を経た被験者の集団に関しては、サンプル10、11による刺激の緩和効果はいずれも「×」であり、単に粘度を高めただけのサンプル11では、粘度の低いサンプル10と比較して特に有効な刺激緩和効果は観察されなかった。
【0042】
こうして選抜された被験者は、マスク製剤の使用に関し感受性の高い(皮膚に刺激を生じやすい)集団である。これらの被験者について、サンプル1~4を用い、成分(A)~(C)の添加による刺激の緩和効果を検証した。サンプル1~4は、サンプル11の組成をベースとしつつ、(A)~(C)にあたる成分をいずれも含むよう調製した化粧料である。(A)抗炎症成分としてはグリチルリチン酸ジカリウムまたはアラントインを、(B)ツボクサ由来成分としてツボクサ葉エキスを、(C)多糖類としてはヒアルロン酸ナトリウム、シロキクラゲ多糖体またはα-グルカンオリゴサッカリドのうち少なくとも一種類をそれぞれ含む。これらのサンプル1~4では、刺激を生じた被験者はゼロまたは少数であり、刺激の緩和効果は「◎」と評価された。
【0043】
さらに、同じ被験者の集団について、サンプル5~8を用い、成分(A)~(C)の部分的な添加によっても刺激の緩和効果が得られるかどうかを検証した。サンプル5~8は、サンプル1~4の組成をベースとしつつ、(A)~(C)にあたる成分のいずれかを欠くよう調製した化粧料である。サンプル5は、成分(A)~(C)のうち、(B)ツボクサ由来成分および(C)多糖類を含まず、(A)抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウムのみを含む。サンプル6は、成分(A)~(C)のうち(A)抗炎症成分および(C)多糖類を含まず、(B)ツボクサ由来成分としてツボクサ葉エキスのみを含む。サンプル7は、成分(A)~(C)のうち(C)多糖類を含まず、(A)抗炎症成分としてグリチルリチン酸ジカリウム、および(B)ツボクサ由来成分としてツボクサ葉エキスのみを含む。サンプル8は、成分(A)~(C)のうち(A)抗炎症成分を含まず、(B)ツボクサ由来成分としてツボクサ葉エキス、および(C)多糖類としてヒアルロン酸ナトリウムのみを含む。
【0044】
これらのサンプル5~8では、多くの被験者に刺激が生じ、刺激の緩和効果は「△」または「×」と評価された。すなわち、サンプル1~4における刺激の緩和効果は、上記(A)~(C)に該当する成分を全て含むことによって発揮されるのであり、(A)~(C)に該当する成分のいずれかが欠ければ、十分な緩和効果は得られない。
【0045】
さらにサンプル9は、サンプル3の組成をベースとしつつ、(C)多糖類の代わりに、単糖であるグルコースを含むよう調製した化粧料である。このサンプル9でも、同じ被験者の集団において多くの者に刺激が生じ、刺激の緩和効果は「△」と評価された。刺激の緩和効果を得るにあたり、(C)多糖類は単糖では代替できず、あくまで多糖類である必要があることが示された。
【0046】
尚、上記実験において、サンプル1~9および11の化粧料は、いずれも粘度が10000mPa・s以上40000mPa・s以下のジェル状製剤であり、(D)水性増粘剤を含まないサンプル10に関してのみ、粘度は10000mPa・s未満である。
【0047】
以上より、(A)抗炎症成分、(B)ツボクサ由来成分および(C)多糖類を含み、(D)水溶性増粘剤 を含有し、粘度が10000mPa・s以上40000mPa・s以下である化粧料であれば、マスク製剤の薬液等に使用する化粧料として好適であることがわかった。すなわち、上述の成分の組合せにより、皮膚に対する刺激を好適に緩和することができる。
【0048】
[実施例]
【0049】
上記化粧料における薬液の組成の一例を以下に示す。ただし、本発明の化粧料に用いる薬液の組成はこれに限定されるものではない。
【表2】
【0050】
尚、本発明の化粧料およびマスク製剤は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。