(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180644
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】肌状態測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61B5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094114
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有本 紗也加
(72)【発明者】
【氏名】水谷 陽一
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕章
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA05
4C117XB01
4C117XE03
4C117XE27
4C117XG19
4C117XJ38
(57)【要約】
【課題】本発明は、測定者による測定誤差や摩擦の影響を排除することで測定誤差を小さくし、肌状態を再現性よく評価することが可能であり、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を示した結果を得ることが可能である肌状態測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、肌に接触子を接着又は固定し、測定部位を静置状態の上、前腕上皮に表面積0.1~10cm
2の接触面を有する接触子を0.1~100mm/sの速度で水平方向へ移動する間の抵抗力を記録し、移動距離毎の抵抗力から抽出された特徴量を用いることを含む、肌状態測定方法より上記課題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、肌に接触子を接着又は固定し、測定部位を静置状態の上、前腕上皮に表面積0.1~10cm2の接触面を有する接触子を0.1~100mm/sの速度で水平方向へ移動する間の抵抗力を記録し、移動距離毎の抵抗力から抽出された特徴量を用いることを含む、肌状態測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の特徴量が、抵抗力や接触子の移動距離の最大値、最小値、平均値、抵抗力と接触子の移動距離を用いて得られるグラフの傾き、積分値、振動幅、グラフ形状からなる群より選択される少なくとも1種以上であり、該特徴量を用いることを特徴とする請求項1記載の肌状態測定方法。
【請求項3】
請求項1記載の肌状態が、肌の柔らかさ、硬さ、はり、たるみ、なめらかさ、みずみずしさ、しっとり感、つっぱり感からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の肌状態測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、静置した前腕上皮に接触子を接着または固定し、水平方向へ移動する間の抵抗力から抽出された特徴量を用いることを含む、肌状態測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品によって肌には様々な変化が起こり、その際の肌状態を客観的かつ定量的に捉えることは重要である。肌状態を表現する言葉としては、やわらかさ、硬さ、はり、たるみ、なめらかさ、みずみずしさ、しっとり感、つっぱり感などがあるが、これらを測定する方法として、これまで多くの研究が報告されており、研究に用いられる装置も様々な種類が存在する。粘弾性を測定する装置として、一般的に吸引方式の測定装置や回転方式の測定装置等が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照。)。吸引方式では、プローブにより皮膚に陰圧を掛け皮膚表面を一定時間吸引した後、開放する過程における皮膚表面の変位が測定される。回転方式では、皮膚表面にプローブにより回転トルクを一定時間かけ、Ue値(粘弾性)が測定される。
しかしながら、この様なハンディータイプの装置においては、押さえつける際の角度や力加減によって測定者による測定誤差が発生するため厳密な意味での定量的な測定が難しいものであった。また、これらの測定装置を用いた評価方法では、負荷される力は皮膚に日常的にかかる力ではないため、実際の官能評価と測定結果でその傾向に乖離が生じるものであった。
【0003】
さらに、押し込み式の測定装置が知られている(例えば、特許文献2、3参照。)が、こちらも接触子を皮膚表面に押さえつける力加減によって、肌表面だけでなく筋肉等の硬さも結果に影響を及ぼす可能性があることから、個々人の肌の厚みの差もあり肌表面のみのやわらかさを同一条件で評価することはとても難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-161371号公報
【特許文献2】特開2018-66666号公報
【特許文献3】特開2009-268501号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fragrance Journal、35(2)、67頁~69頁(2007年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の背景技術に対し、本発明が解決しようとする課題は、測定装置を用いた肌状態の評価方法であり、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を示した結果を取得し、さらに、測定者による測定誤差や摩擦の影響を排除し、再現性良く肌状態を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意努力した結果、設置型抵抗力測定装置を用いて、測定部位を接触子表面と接着させて固定し、接触子を水平方向へ移動させることで得られる抵抗力から抽出された特徴量を解析することで、肌のやわらかさ、硬さ、はり、たるみ、なめらかさ、みずみずしさ、しっとり感、つっぱり感からなる群より選択される少なくとも1種以上の肌状態において、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を示した結果を得ることが可能であり、さらに、測定誤差を少なく、かつ再現性良く測定できることを確認し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、静置した前腕上皮に接触子を接着又は固定し、接触子を水平方向へ移動する間の抵抗力を記録し、移動距離毎の抵抗力から抽出された特徴量を用いることを含む、肌状態測定方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、静置した前腕上皮に接触子を接着又は固定し、接触子を水平方向へ移動する間の抵抗力を記録し、移動距離毎の抵抗力から抽出された特徴量を用いることを含む、肌状態測定方法により、測定者による測定誤差や摩擦の影響を排除することで測定誤差を小さくし、肌状態を再現性よく評価することが可能となる。そして、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を示した結果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は測定時の測定装置及び測定者の腕の状態の図である。
【
図2】
図2は測定により得られた特徴量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における肌状態測定方法は、生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備えた設置型抵抗力測定装置を用いて、静置した前腕上皮に接触子を接着または固定し、水平方向へ移動する間の抵抗力から抽出された特徴量を解析することで、肌状態を評価する方法である。(以下、本測定方法とする。)
本発明における設置型抵抗力測定装置とは、生体表面に接着できる接触面を有する接触子を備え、水平方向へ移動する間の抵抗力を記録できるものであり、特に限定するものではないが、例えば、株式会社トリニティーラボ社製の静・動摩擦測定機TL201Tt、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定機 HM-3、新東科学株式会社製のトライボギア表面性測定機TYPE14FW等が挙げられ、好ましくは株式会社トリニティーラボ社製の静・動摩擦測定機TL201Ttである。
【0011】
本発明における生体表面に接着できる接触面を有する接触子とは、特に限定するものではないが、例えば、R接触子、金属円盤接触子、面接触子が挙げられ、好ましくはR接触子であり、前記接触子の生体表面との接触面の表面積は、0.1~10cm
2である。また、生体表面に前記接触子を接触させるときには、前記接触子の接触面を生体表面に接着することが好ましく、その接触面の表面に、例えば、両面テープや接着剤、テープ、のり等の前記接触子の接触面を生体表面に固定できるものを用いてもよい。さらに、特に限定するものではないが、測定の際より特徴量の再現性を上げるため、測定部位である前腕の手首部分と肘を固定することが可能なスタンドを用意することが望ましい。具体的には、
図1に示すような測定用スタンドを用いてもよい。
本発明における前記接触子の水平方向の移動速度は、0.1~100mm/sの速度であり、接触子と肌の表面が離れないことが望ましい。
【0012】
本発明における特徴量とは、特に限定するものではないが、
図2に示すように、前記設置型抵抗力測定装置にて測定された抵抗力や接触子の水平方向の移動距離より得られる、最大値、最小値、平均値、前記抵抗力と前記移動距離を用いて得られるグラフの傾き、積分値、振動幅及びグラフ形状等からなる群より選択される少なくとも1種以上である。
【0013】
本発明における本測定方法で評価される肌状態とは、特に限定するものではないが、例えば、肌のやわらかさ、硬さ、はり、たるみ、なめらかさ、みずみずしさ、しっとり感及びつっぱり感等からなる群より選択される少なくとも1種以上であり、化粧水や乳液、クレンジング、またその原料である界面活性剤等の肌に塗布する化粧品全般に関わる素材・製品において、使用前後での肌状態を比較評価することが可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例0014】
(実施例1)
肌状態測定方法として、設置型抵抗力測定装置は静・動摩擦測定機TL201Tt((株)トリニティーラボ社製)を用いて、肌の抵抗力測定を行った。
図1に示すように、測定にはR接触子(接触面の表面積1cm
2)と腕測定用スタンドを用い、右前腕内側部分と接触子の接触面を両面テープH100(HCP社製)で固定した。その後接触子の移動速度は2mm/s、移動距離2mmで3往復させる測定を行った。
具体的には、肌の測定部には予め評価サンプルを塗布し、表面に水分や油分が残らないよう3分乾燥させた後に測定を行った。
これにより、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力のデータから、
図2に示すように、接触子が0~2mmまで移動する際に上昇する抵抗力と移動距離をプロットとして得られるグラフの傾きと、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値を求めた。
傾き、最大値どちらも小さいほど肌がやわらかい結果となる。
【0015】
試験例1
被験者3名に対して評価サンプルとしてポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、PGFEとする)とポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤(以下、POE系界面活性剤とする)各1%水溶液を右前腕内側部分に塗布し、実施例1の肌状態測定方法より得られた特徴量について比較評価した。設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾きを表1、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値を表2に示した。
事前の官能評価で、PGFEにはPOE系界面活性剤と比較して、肌をやわらかくする効果を確認した。
【0016】
【0017】
【0018】
表1と表2で示された結果より、実施例1の肌状態測定方法より得られた特徴量を評価サンプル間で比較したところ、被験者3名全ての人でPGFE水溶液がPOE系界面活性剤水溶液よりも、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾き及び設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値が小さく、肌がやわらかくなったことが確認でき、官能評価で得られる肌状態と同様の傾向を示した。また、肌表面へ測定に用いる接触子を固定しており、肌表面への接触子の接着力が一定となるため、再現性の高い測定方法であった。
【0019】
試験例2
被験者1名に対し、塗布前後の肌状態が変化する化粧品として、市販化粧水1と市販化粧水2、乳液試作品1と乳液試作品2を用いて、実施例1の肌状態測定方法において、試験例1と同様の評価を実施した。試験例1と同様に、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾きを表3、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値を表4に示した。
事前の官能評価で、市販化粧水においては、市販化粧水1より市販化粧水2、乳液試作品においては、乳液試作品1より乳液試作品2が肌をやわらかくする効果を確認した。また、市販化粧水2は市販化粧水1に比べしっとり感があり、乳液試作品1より乳液試作品2のほうが肌をなめらかにすることを確認した。
【0020】
【0021】
【0022】
表3と表4で示された結果より、実施例1の肌状態測定方法より得られた特徴量を評価サンプル間で比較したところ、市販化粧水1より市販化粧水2が、乳液試作品1より乳液試作品2が、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾き及び設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値が小さく、各サンプルを塗布することによる肌のやわらかさが確認でき、かつ、最大値が小さいことは肌表面もなめらかでしっとり感があるといえる事から、しっとり感、なめらかさへの効果の違いも確認でき、官能評価で得られる肌状態と同様の傾向を示した。
【0023】
(実施例2)
肌状態測定方法として、実施例1より接触子をφ5mm円盤型接触子(接触面の表面積0.20cm2)とφ30mm円盤型接触子(接触面の表面積7.07cm2)に変更し、実施例1とその他同条件で肌の抵抗力測定を行った。
【0024】
試験例3
試験例1と同様に、評価サンプルとしてPGFEとPOE系界面活性剤各1%水溶液を右前腕内側部分に塗布し、実施例2の肌状態測定方法より得られた特徴量について比較評価した。試験例1と同様に、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾きを表5、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値を表6に示した。
【0025】
【0026】
【0027】
表5と表6で示された結果より、接触子の接触面積を変更した場合でも、実施例1と同様の結果を得ることができ、官能評価で得られる肌状態と同様の傾向を示した。
【0028】
(実施例3)
肌状態測定方法として、実施例1より接触子の移動速度を0.5mm/sと50mm/sに変更し、その他実施例1と同条件で肌の抵抗力測定を行った。
【0029】
試験例4
試験例1と同様に、評価サンプルとしてPGFEとPOE系界面活性剤各1%水溶液を右前腕内側部分に塗布し、実施例3の肌状態測定方法より得られた特徴量について比較評価した。試験例1と同様に、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力と接触子の移動距離から得られるグラフの傾きを表7、設置型抵抗力測定装置より測定された抵抗力の最大値を表8に示した。
【0030】
【0031】
【0032】
表7と表8で示された結果より、接触子の移動速度を変更した場合でも、実施例1と同様の結果を得ることができ、官能評価で得られる肌状態と同様の傾向を示した。
【0033】
(比較例1)
肌状態測定方法として、設置型抵抗力測定装置は静・動摩擦測定機TL201Tt((株)トリニティーラボ社製)を用いて、肌表面の摩擦力測定を行った。
測定には触覚接触子と腕測定用スタンドを用い、触覚接触子を肌表面に固定せず、右前腕内側部分の肌表面を触覚接触子が移動し、接触子と肌が擦れる際の摩擦測定を行った。移動速度は10mm/sの範囲、移動距離30mm、垂直荷重は10gで3往復させる測定を行った。
具体的には、肌の測定部には予め評価サンプルを塗布し、3分乾燥させた後に測定を行った。
【0034】
試験例5
評価サンプルとして、試験例1と試験例2で使用したPGFEとPOE系界面活性剤各1%水溶液、市販化粧水1と市販化粧水2、乳液試作品1と乳液試作品2を右前腕内側部分に塗布し、比較例1の肌状態測定方法より得られた特徴量について比較評価した。設置型抵抗力測定装置より測定された摩擦力から動摩擦平均値を算出しその比較を行った。動摩擦平均値が高いほど肌がやわらかい結果となる。その結果を表9に示した。
【0035】
【0036】
比較例1の肌状態測定方法として肌表面の摩擦力測定を行うことで、肌のやわらかさと一致する結果は得られた。
しかし、実際塗布後の肌を触ると肌のやわらかさよりも、肌表面のしっとりやべたつきの方が強く感じるため、肌のやわらかさの数値として捉えられているわけではないと考えられる。
また、湿度や気温にも摩擦力は影響を受けるため同一日に比較測定が必要なことから、ハンドリングの悪さが確認された。
【0037】
(比較例2)
肌状態測定方法として、吸引測定装置はCutometer CT580(Courage+Khazaka社製)を用いて、肌のやわらかさ測定を行った。
両腕前腕内側部分3cm×3cmの範囲内に5箇所ずつ測定位置を決め、接触子を測定位置に設置し、室温約25℃、湿度約38%の室内で圧力100mbar、吸引時間2秒、開放時間2秒で測定を行った。
具体的には、肌の測定部には予め洗浄後30分静置した後、一度測定を行い、その後評価サンプルを塗布し、塗布3分後に測定を行った。陰圧により一定時間肌表面を吸引し、その後開放した際の変化量で肌のやわらかさを判断した。
【0038】
試験例6
評価サンプルとして、試験例1と試験例2で使用したPGFEとPOE系界面活性剤各1%水溶液、乳液試作品1と乳液試作品2を右前腕内側部分に塗布し、比較例2の肌状態測定方法より得られた特徴量について比較評価した。吸引測定装置より測定された、それぞれのサンプル塗布前データから3分後データの変化量の内、PGFEとPOE系界面活性剤各1%水溶液の測定結果を表10に、乳液試作品の測定結果を表11に示した。
なお、今回評価に用いた特徴量は、肌の吸引時のみを評価するR0、R6、F0の3つを評価した。R0は引っ張りやすさ(数値が大きいほどやわらかい)、R6は粘性と弾性の比率(数値が大きいほどやわらかい)、F0は弾力性(数値が大きいほどやわらかい)を示している。すなわち、どの特徴量においても、変化量が大きいほど肌がやわらかくなっていることとなる。
【0039】
【0040】
【0041】
表10と表11の結果から明らかなように、比較例2の肌状態測定方法では評価サンプル間での測定値の差がほぼ無い、もしくは官能評価と異なる傾向を示す結果になった。
また、比較例2の肌状態測定方法は拘束時間も長く、実施例1~3と比較して再現性を得るために、温度や湿度を厳密に整える必要があった。加えて、測定装置自体がハンディータイプのものであり、同一の測定者でも肌表面への接触子の角度や押さえつける力等、肌と接触子の接触加減を統一することは難しく、人為的な測定誤差が生じやすい。そのため、大きく数値が外れるデータも多々あり、実施例1~3と同程度の標準偏差になるまで最低5回以上測定を繰り返すなど、再現性の高い測定が困難なものであった。
実施例1~3の本発明の肌状態測定方法は、比較例1と2の肌状態測定方法と比較して、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を得ることができ、再現性良く簡便に測定が可能であった。
本発明の測定方法によれば、官能評価で得られる肌状態の評価結果と同様の傾向を示した測定結果を得ることが可能であり、さらに、測定者や環境による測定誤差をなくし、肌状態を再現性よく簡便に評価でき、産業上貢献大である。