(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180651
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094135
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000132747
【氏名又は名称】株式会社ソフイア
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 真登
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333BA03
(57)【要約】
【課題】表示対象の識別性を向上できる遊技機を提供する。
【解決手段】陰領域209,210に対応する表示オブジェクトが表示レイヤL6に、陰領域209に対応する表示オブジェクトを前面にして、陰領域210に対応する表示オブジェクトを背面にして重畳配置され、陰領域211,212に対応する表示オブジェクトが表示レイヤL8に、陰領域211に対応する表示オブジェクトを前面にして、陰領域212に対応する表示オブジェクトを背面にして重畳配置されているとき、陰領域209から212の順位で高くなるように陰濃度が設定される。これにより、複数の陰ありオブジェクトが複数の表示レイヤに配置されたときに配置された表示レイヤと表示レイヤ内の重畳関係にしたがい陰濃度を調整できる。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを陰表現をもって表示可能な表示手段と、
前記第1表示オブジェクトよりも前面側に前記第2表示オブジェクトを表示するとき、前記第1表示オブジェクトに設定される陰濃度よりも前記第2表示オブジェクトに設定される陰濃度を相対的に濃くする制御手段と、
を含む遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
識別情報に陰影をつける遊技機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
提案された遊技機は、陰影が付く対象を識別情報だけとしており、多様な表示対象に陰影がつく遊技機に適応しない。
1つの側面では、本発明は表示対象が多様であってもその識別性を向上可能な遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、以下に示すような遊技機が提供される。遊技機は、第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを陰表現をもって表示可能な表示手段と、第1表示オブジェクトよりも前面側に第2表示オブジェクトを表示するとき、第1表示オブジェクトに設定される陰濃度よりも第2表示オブジェクトに設定される陰濃度を相対的に濃くする制御手段と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
1態様によれば、遊技機において表示対象の識別性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の遊技機の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の遊技盤の一例を示す正面図である。
【
図3】第1の実施形態の遊技機の制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の演出制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態の一括表示装置の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その1)である。
【
図7】第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その2)である。
【
図8】第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その3)である。
【
図9】第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その4)である。
【
図10】第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その5)である。
【
図11】第1の実施形態のタイマ割込み処理のフローチャートを示す図である。
【
図12】第1の実施形態の演出制御装置におけるメイン処理のフローチャートを示す図である。
【
図13】第1の実施形態の陰影有無に応じたオブジェクト種別表の一例を示す図である。
【
図14】第1の実施形態の陰影有無に応じたオブジェクト概観の一例を示す図である。
【
図15】第1の実施形態の陰影濃度と重畳順位の関係の一例を示す図である。
【
図16】第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その1)を示す図である。
【
図17】第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その2)を示す図である。
【
図18】第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その3)を示す図である。
【
図19】第1の実施形態のレイヤ構成と陰ありオブジェクトの陰濃度との関係例を示す図である。
【
図20】第1の実施形態の単一レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係例を示す図である。
【
図21】第1の実施形態の複数レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係例を示す図である。
【
図22】第1の実施形態の表示オブジェクトごとパラメータ設定例を示す図である。
【
図23】第1の実施形態の陰濃度決定処理のフローチャートの一例を示す図である。
【
図24】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの抽出例を示す図である。
【
図25】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰濃度設定例を示す図(その1)である。
【
図26】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰濃度設定例を示す図(その2)である。
【
図27】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの遊技状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
【
図28】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの変動表示状態ごとの相対濃度変化による陰濃度調整例を示す図である。
【
図29】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの保留表示状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
【
図30】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの役物動作状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
【
図31】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰領域と陽領域との相対濃度変化による濃度調整例を示す図(その1)である。
【
図32】第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰領域と陽領域との相対濃度変化による濃度調整例を示す図(その2)である。
【
図33】第1の実施形態の飾り図柄(陰濃度設定対象オブジェクト)の陰領域表示例(その1)を示す図である。
【
図34】第1の実施形態の飾り図柄(陰濃度設定対象オブジェクト)の陰領域表示例(その2)を示す図である。
【
図35】第1の実施形態のオブジェクト別陰位置矛盾例を示す図である。
【
図36】第2の実施形態の遊技機の一例を示す斜視図である。
【
図37】第2の実施形態の遊技制御装置の概観の一例を示す図である。
【
図38】第2の実施形態の遊技制御装置の第1シールの一例を示す図である。
【
図39】第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの一例を示す図である。
【
図40】第2の実施形態の遊技制御装置の封止シールの一例を示す図である。
【
図41】第2の実施形態の払出制御装置の概観の一例を示す図である。
【
図42】第2の実施形態の払出制御装置の第1シールの一例を示す図である。
【
図43】第2の実施形態の払出制御装置の第2シールの一例を示す図である。
【
図44】第2の実施形態の遊技制御装置の第1シール、第2シール、及び実装部品の関係の一例を示す図である。
【
図45】第2の実施形態の遊技制御装置の第1シールの5方向の視認性の一例を示す図である。
【
図46】第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの5方向の視認性の一例を示す図である。
【
図47】第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの側方視の確認容易性を高める上側部材の構造一例を示す図である。
【
図48】第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの側方視の視点案内機能の一例を示す図である。
【
図49】第3の実施形態の遊技性能の一例を示す図である。
【
図50】第3の実施形態の遊技状態遷移の一例を示す図である。
【
図51】第3の実施形態の特
図1ゲームおよび特
図2ゲームの結果態様に対応する図柄の一例を示す図である。
【
図52】第3の実施形態の結果態様に対応する飾り図柄の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、第1の実施形態の遊技機の一例を示す斜視図である。
【0009】
第1の実施形態の遊技機10は、前面枠12を備え、該前面枠12は、外枠(支持枠)11に正面視で左側を軸着側、右側を開放側にして開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(
図2参照)は、前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(本体枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠(透明部材保持枠)15が取り付けられている。
【0010】
また、ガラス枠15の左右には、内部にランプやLED(Light Emitting Diode)等を内蔵し装飾や演出、および異常発生時の報知(たとえば、払出異常が発生した場合はランプやLED等を異常報知色(たとえば、赤色)で点灯(点滅)させる)のために発光する枠装飾装置18や、音響(たとえば、効果音)を発するスピーカ19(左上スピーカ19a1、右上スピーカ19a2)が設けられている。さらに、前面枠12の下部にもスピーカ19(左下スピーカ19b1、右下スピーカ19b2)が設けられている。また、異常発生時はスピーカ19から音声で異常内容が報知されるようになっている。なお、ガラス枠15の所定部位に払出異常報知用のランプを設けるようにしてもよい。
【0011】
また、前面枠12の下部には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿(貯留皿)21、遊技機10の裏面側に設けられている払出ユニットから払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿(受皿)23および打球発射装置の操作部24等が設けられている。また、下皿23には、下皿23から遊技機外に遊技球を抜くための玉抜きレバー23aが設けられている。
【0012】
さらに、上皿21の上縁部には、遊技演出への介入操作等に用いられる演出ボタン25が設けられている。なお、演出ボタン25は、遊技演出への介入操作を受け付ける演出操作受付部として機能するとともに、所要の態様(たとえば、発光態様や振動や突出等の動作態様等)で演出可能な演出部としても機能する。また、上皿21の左縁部には、遊技者が各種オプションの設定をおこなうオプション設定部29が設けられている。オプション設定部29は、4方向の入力操作を受け付け可能な十字カーソルスイッチと、十字カーソルスイッチの中央部に決定操作等を受け付け可能な中央スイッチと、十字カーソルスイッチの周縁部にあって音量操作等に用いられる2つの付属スイッチとが設けられている。さらに、前面枠12下部右側には、前面枠12やガラス枠15を開放したり施錠したりする鍵を挿入するための鍵穴26が設けられている。
【0013】
なお、遊技機10は、演出ボタン25(プッシュボタン)の操作(たとえば押下操作)を検出する演出ボタンスイッチ25a(
図4参照)から受け付けた遊技者の操作にもとづいて、遊技者の操作を介入させた演出をおこなうことができる。たとえば、遊技者の操作を介入させた演出は、表示装置(変動表示装置)41(
図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)における演出があり、遊技機10は、表示装置41に表示するキャラクタを動作させたり、表示装置41に表示される飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報を停止させたりすることができる。なお、このような遊技者の操作介入には、演出ボタン25のみならずオプション設定部29のスイッチ(十字カーソルスイッチ、中央スイッチ、付属スイッチ)のうちのいずれか一つまたは複数が使用される構成でもよい。後述する
図4では、オプション設定部29の各スイッチをまとめて設定スイッチ29nと表している。
【0014】
また、演出ボタン25の右方には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。この第1の実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作部24を回動操作することによって、打球発射装置が上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32(
図2参照)に向かって発射する。また、遊技者がオプション設定部29の前述した設定スイッチ29n(十字カーソルスイッチ、中央スイッチ、付属スイッチ)のうちのいずれか一つまたは複数を操作することによって、たとえば、スピーカ19から放射される音量を設定したり、遊技盤30の明るさを設定したりすることができる。
【0015】
次に、遊技盤30について
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態の遊技盤の一例を示す正面図である。
遊技盤30の表面には、ガイドレール31で囲われた略円形状の遊技領域32が形成されている。遊技領域32は、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33およびガイドレール31に囲繞されて構成される。遊技領域32には、ほぼ中央に表示装置(変動表示装置)41を備えたセンターケース(遊技演出構成体)40が配置されている。表示装置41は、センターケース40に設けられた凹部に、センターケース40の前面より奥まった位置に取り付けられている。すなわち、センターケース40は表示装置41の表示領域の周囲を囲い、表示装置41の表示面よりも前方へ突出し、周囲の遊技領域32から遊技球が飛び込みにくくなるように形成されている。
【0016】
表示装置41は、たとえば、LCD(液晶表示器)、CRT(Cathode Ray Tube:ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。なお、表示装置41は、LEDによるドットマトリクス表示可能な表示画面を有する装置等、その他の表示装置、あるいは2以上の表示装置の組合せで構成されるものであってもよい。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等の遊技に関する情報が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームがおこなわれる。また、表示画面には、遊技の進行にもとづく演出のための画像(たとえば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
【0017】
また、センターケース40の上部には、動作することによって遊技の演出をおこなう盤演出装置44が備えられている。この盤演出装置44は、
図2に示す状態から表示装置41の中央へ向けて動作可能となっている。
【0018】
遊技領域32におけるセンターケース40の下方右側には、普図変動表示ゲームの開始条件を与える普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。普図始動ゲート34に入賞した遊技球(普図始動ゲート34を通過する遊技球)は、ゲートスイッチ34a(
図3参照)により検出される。
【0019】
また、遊技領域32におけるセンターケース40の下方左側には、一般入賞口35が配置され、センターケース40の下方右側であって後述する特別変動入賞装置95の右部には、一般入賞口35が配置されている。これら一般入賞口35に入賞した遊技球は、入賞口スイッチ35a(
図3参照)により検出される。
【0020】
また、遊技領域32におけるセンターケース40の下方には、第1特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム)の開始条件を与える第1始動入賞口(始動入賞領域)をなす始動入賞口36(始動口1)が設けられている。始動入賞口36に入賞した遊技球は、始動口1スイッチ36a(
図3参照)により検出される。
【0021】
また、始動入賞口36の下方には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を回収するアウト口30aが設けられている。
また、センターケース40よりも下方位置であって、普図始動ゲート34の左部には、第2特図変動表示ゲーム(特
図2変動表示ゲーム)の開始条件を与える普通変動入賞装置37(第2始動入賞口、始動入賞領域)が設けられている。普通変動入賞装置37(始動口2)は、流入部分となる位置に可動部材37bが設けられる。可動部材37bは、普電ソレノイド37c(
図3参照)によって前後方向にスライド移動して流入部分への遊技球の流入を阻止する阻止状態と、後方へ退避して流入部分への遊技球の流入を許容する許容状態とに変化させられるようになっている。可動部材37bは、常時は閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。普通変動入賞装置37に入賞した遊技球は、始動口2スイッチ37a(
図3参照)により検出される。なお、普通変動入賞装置37が閉状態でも入賞できるようにし、閉状態では開状態よりは入賞しにくいものとしてもよい。普通変動入賞装置37は普通電動役物(普電)に相当する。
【0022】
また、遊技領域32におけるセンターケース40の右側には、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム、および特
図2変動表示ゲーム)の結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口1)38が配設されている。特別変動入賞装置38は、開閉部材(可動片)38cを有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって開閉部材38cが大入賞口を閉じた閉状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開閉部材38cが退避して遊技領域32を流下する遊技球を受け入れ可能な開状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。すなわち特別変動入賞装置38は、駆動装置としての大入賞口1ソレノイド38b(
図3参照)により駆動される開閉部材38cによって開閉される大入賞口(大入賞口1)を備え、特
図1変動表示ゲーム及び特
図2変動表示ゲームの結果による大当り遊技状態(特別遊技状態)中、および後述する特定領域96への入賞による大当り遊技状態(特別遊技状態)中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としての大入賞口スイッチ(カウントスイッチ)38a(
図3参照)が配設されている。
【0023】
また、遊技領域32におけるセンターケース40の右下側には、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム、および特
図2変動表示ゲーム)の結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口2)95が配設されている。特別変動入賞装置95は、開閉部材(開閉扉)95cを有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって開閉部材95cが大入賞口を閉じた閉状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開閉部材95cが退避して遊技領域32を流下する遊技球を受け入れ可能な開状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。すなわち特別変動入賞装置95は、駆動装置としての大入賞口2ソレノイド95b(
図3参照)により駆動される開閉部材95cによって開閉される大入賞口(大入賞口2)を備え、特
図1変動表示ゲーム及び特
図2変動表示ゲームの結果による小当り遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としての大入賞口スイッチ(カウントスイッチ)38a(
図3参照)が配設されている。
【0024】
また、特別変動入賞装置95は、入賞口内に入賞した遊技球を特定領域96に誘導するV流路を備える。特別変動入賞装置95は、特定領域96に流入した遊技球を検出する特定領域スイッチ38e(
図3参照)が設けられている。なお、特定領域スイッチ38eにおける遊技球の検出(特定領域96への入賞)は、特別変動入賞装置(大入賞口1)38を閉じた状態から開いた状態に変換する大当り遊技状態(特別遊技状態)の発生条件の1つとなっている。
【0025】
また、センターケース40は、ワープ流路を備えないが、ワープ流路を備えるようにしてもよい。たとえば、センターケース40の左側側部にワープ口(ワープ入口)を設け、ワープ口からワープ流路に流入した遊技球をセンターケース40内のステージ上を転動させ、その一部をワープ出口に案内するようにしてもよい。その場合、ワープ出口は、始動入賞口36の直上に位置するようにして、ワープ出口に案内された遊技球を始動入賞口36に入賞しやすくなるようにしてもよい。
【0026】
第1の実施形態の遊技機10においては、遊技球が流下する遊技領域32のうち、センターケース40の左方の領域が左側遊技領域とされ、センターケース40の右方の領域が右側遊技領域とされている。そして、遊技者が発射勢を調節して左側遊技領域へ遊技球を発射(いわゆる左打ち)することで始動入賞口36や一般入賞口35(左側遊技領域に位置する)への入賞を狙うことができ、右側遊技領域へ遊技球を発射(いわゆる右打ち)することで普図始動ゲート34や普通変動入賞装置37、特別変動入賞装置38,95、一般入賞口35(右側遊技領域に位置する)などへの入賞を狙うことができるようになっている。
【0027】
また、遊技領域32の外側(ここでは遊技盤30の右下部)には、特図変動表示ゲームをなす第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームおよび普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームの表示や、各種情報を表示する一括表示装置50が設けられている。
【0028】
一括表示装置50は、LED等で構成されたラウンド表示部51と、特
図1保留表示部52と、特
図1図柄表示部53と、特
図2図柄表示部54と、普図図柄表示部55と、普図保留表示部56と状態表示部57とを備える(
図5参照)。一括表示装置50の詳細は、後述する。
【0029】
遊技機10は、特別変動入賞装置(大入賞口1)38の近傍右側に右打ち案内表示装置91cを備える。右打ち案内表示装置91cは、遊技者に右打ちを案内するときに点灯し、その他の状態で消灯する。なお、右打ち案内表示装置91cは、盤装飾装置46に含まれる。
【0030】
遊技機10は、遊技領域32におけるセンターケース40の右下に特図ゲーム変動表示状態表示装置98を備える。特図ゲーム変動表示状態表示装置98は、いわゆる第4図柄表示装置であって、2つのLEDで構成される。特図ゲーム変動表示状態表示装置98は、左側LEDにより特
図1変動表示ゲームの変動表示状態を表示し、右側LEDにより特
図2変動表示ゲームの変動表示状態を表示する。たとえば、特図ゲーム変動表示状態表示装置98は、点灯により特図変動表示ゲームの図柄停止状態を報知し、点滅により特図変動表示ゲームの図柄変動状態を報知する。なお、特図ゲーム変動表示状態表示装置98は、盤装飾装置46に含まれる。
【0031】
遊技機10は、遊技領域32におけるセンターケース40の右側に普図変動表示装置93と普図保留表示装置94を備える。普図変動表示装置93は、2つのLEDで構成され、交互点滅により普図ゲームの変動表示状態を報知し、点灯または消灯の組合せ態様により普図ゲームの変動表示結果を報知する。また、普図保留表示装置94は、2つのLEDで構成され、消灯、点灯、点滅の組合せ態様により0個から4個までの普図保留数を報知する。なお、普図変動表示装置93と普図保留表示装置94は、盤装飾装置46に含まれる。
【0032】
次に、遊技機の制御システムについて
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態の遊技機の制御システムの一例を示すブロック図である。
遊技機10は、遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU(Central Processing Unit)部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバ等を有する出力部130と、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140等からなる。
【0033】
CPU部110は、アミューズメントチップ(IC(Integrated Circuit))と呼ばれる遊技用マイコン111と、水晶振動子のような発振子を備え、遊技用マイコン111の動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113等を有する。遊技制御装置100および該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータ等の電子部品は、電源装置400で生成されたDC(Direct Current)32V、DC12V、DC5V等所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
【0034】
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC(Alternating Current)-DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC-DCコンバータ等を有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAM(Random Access Memory)に対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路を有し、遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号やリセット信号等の制御信号を生成して出力する制御信号生成部430等を備える。
【0035】
第1の実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420および制御信号生成部430は、別個の基板上または遊技制御装置100と一体、すなわち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30および遊技制御装置100は、機種変更の際に交換の対象となるので、第1の実施形態のように、電源装置400または主基板とは別の基板にバックアップ電源部420および制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
【0036】
バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中または電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、たとえば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれがたとえば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
【0037】
また、遊技制御装置100にはRAM初期化スイッチ112が設けられている。このRAM初期化スイッチ112が操作されると初期化スイッチ信号が生成され、これにもとづき遊技用マイコン111内のRAM111Cおよび払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する処理がおこなわれる。特に限定されるわけではないが、初期化スイッチ信号は、電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
【0038】
また、遊技制御装置100には設定値変更スイッチ126と設定キースイッチ127が設けられている。設定値変更スイッチ126は、たとえばプッシュスイッチであって、押下操作を検出する。設定キースイッチ127は、設定キーを挿入してON状態とOFF状態とを切り替え可能にする。遊技制御装置100は、遊技性能に関する設定を変更可能であって、停電中または電源遮断後もRAMに記憶された設定が保持されるようになっている。たとえば、遊技制御装置100は、特
図1変動表示ゲームおよび特
図2変動表示ゲームの当り確率を6段階の設定に応じて変更可能にしている。
【0039】
遊技制御装置100は、設定キースイッチ127がON状態かつRAM初期化スイッチ112がON状態での電源投入で、遊技機10の設定変更をおこなうことができる設定変更モードに制御状態を遷移する。たとえば、遊技制御装置100は、設定変更モードにおいて設定内容を確率設定値表示装置136に表示しながら設定値変更スイッチ126の押下操作検出により設定1から設定6までをサイクリックに変更可能にする。確率設定値表示装置136は、設定値を表示可能な表示装置であり、たとえば1桁の7セグメントLEDであって基板上に実装される。
【0040】
また、遊技制御装置100は、設定キースイッチ127がON状態かつRAM初期化スイッチ112がOFF状態での電源投入で、遊技機10の設定確認をおこなうことができる設定確認モードに制御状態を遷移する。たとえば、遊技制御装置100は、設定確認モードにおいて設定内容を確率設定値表示装置136に表示する。当然、確率設定値表示装置136は、遊技場の管理者によって確認可能であり、遊技者からは確認不可能になっている。
【0041】
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(Read Only Memory)111Bおよび随時読出し書込み可能なRAM111Cを備える。
【0042】
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域あるいは各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111BまたはRAM111Cとして、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
【0043】
また、ROM111Bは、たとえば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無等を規定する変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶している。変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1、変動パターン乱数2、および変動パターン乱数3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が大当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、リーチ状態となった後の変動パターンである後半変動パターンを決定するためのテーブル(後半変動グループテーブルや後半変動パターン選択テーブル等)、リーチ状態となる前の変動パターンである前半変動パターンを決定するためのテーブル(前半変動グループテーブルや前半変動パターン選択テーブル等)が含まれている。
【0044】
ここで、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果があらかじめ定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機10において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、たとえば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示をおこなう状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
【0045】
よって、たとえば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(たとえば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうちいずれか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(たとえば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしてもよい。
【0046】
そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(期待値が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ(Nリーチ)、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)、プレミアリーチが設定されている。なお、期待値は、「リーチなし」<「ノーマルリーチ」<「スペシャル1リーチ」<「スペシャル2リーチ」<「スペシャル3リーチ」<「プレミアリーチ」の順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。すなわち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定する場合(はずれとなる場合)における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
【0047】
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したり、ソレノイドや表示装置の駆動信号を生成し出力して遊技機10全体の制御をおこなう。また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの当りを判定するための大当り乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当りを判定するための当り乱数等を生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)にもとづいてCPU111Aに対する所定周期(たとえば、4m秒(ms))のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
【0048】
また、CPU111Aは、特図変動表示ゲームに関する処理において、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、いずれか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(当り(大当りまたは小当り)またははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態または高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(時短動作状態)、始動記憶数等にもとづいて、複数の変動パターンテーブルの中から、いずれか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。ここで、CPU111Aは、特図変動表示ゲームを実行する場合に、ROM111Bに記憶された複数の変動パターンテーブルのうち、いずれか一の変動パターンテーブルを取得する変動振り分け情報取得手段をなす。
【0049】
払出制御装置200は、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、遊技機10に設けられた払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御をおこなう。また、払出制御装置200は、遊技機10に付設される球貸機のカードユニットからの貸球要求信号にもとづいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御をおこなう。
【0050】
遊技用マイコン111の入力部120には、始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a、特別変動入賞装置38,95の大入賞口スイッチ38a、特別変動入賞装置95の特定領域スイッチ38eに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V-5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。この近接I/F121には、遊技機10に対する電波の発射を検出する盤電波センサ62の検出信号も入力される。また近接I/F121は、入力の範囲が7V-11Vとされることで、センサや近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、センサやスイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常検知信号を出力するように構成されている。
【0051】
なお、入賞口スイッチ35aについて説明すると、
図3では入賞口スイッチ35aが1個のブロックで示されているが、実際には複数(n個)の入賞口スイッチ35a(本実施形態では3個)が遊技盤30に設けられており、それぞれの信号が異なる信号線で近接I/F121に入力されている。また、
図3では大入賞口スイッチ38aが1個のブロックで示されているが、実際には複数(x個)の大入賞口スイッチ38a(本実施形態では3個)が遊技盤30に設けられている。そして、これら複数の大入賞口スイッチ38aが、それぞれ異なる信号線で接続されるか、あるいは、たとえばスイッチと遊技制御装置100(主基板)の間に存在する図示省略した中継基板上でワイヤードオア(wired OR)という方式で遊技制御装置100に接続されている。盤電波センサ62や後述する磁気センサ61も、異なる複数の信号線で接続されてもよいし、同様にワイヤードオアという方式で遊技制御装置100に接続されていてもよい。
【0052】
近接I/F121の出力は、第2入力ポート123または第3入力ポート124へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれる。なお、近接I/F121の出力のうち、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a、大入賞口スイッチ38a、および特定領域スイッチ38eの検出信号は、第2入力ポート123へ入力される。なお、特
図1の始動口スイッチである始動口1スイッチ36a,始動口2スイッチ37aの信号の出力(近接I/F121からの出力)については、
図3では1本の信号線で示しているが、実際には2本ある。
【0053】
また、近接I/F121の出力のうち、盤電波センサ62の検出信号およびセンサやスイッチの異常を検出した際に出力される異常検知信号は、第3入力ポート124に入力される。また、第3入力ポート124には、遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサ61の検出信号、遊技機10のガラス枠15等に設けられたガラス枠開放検出スイッチ63の検出信号、遊技機10の前面枠(本体枠)12等に設けられた本体枠開放検出スイッチ64の検出信号、設定値変更スイッチ126の検出信号、設定キースイッチ127の検出信号、払出制御装置200からのタッチスイッチ信号(操作部24に設けられたタッチスイッチの入力にもとづく信号)が入力されるようになっている。
【0054】
また、近接I/F121の出力のうち、第2入力ポート123への出力は、遊技制御装置100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へも供給されるようになっている。さらに、近接I/F121の出力のうち、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート123の他、遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。
【0055】
上記のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要なたとえば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
【0056】
第2入力ポート123が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート123に割り当てられているアドレスをデコードすることによって図示省略したチップイネーブル信号CE(Chip Enable)をアサート(有効レベルに変化)することによって、読み出すことができる。第3入力ポート124や後述の第1入力ポート122も同様である。
【0057】
また、入力部120には、RAM初期化スイッチ112の検出信号、払出制御装置200からの枠電波不正信号(前面枠12に設けられた枠電波センサが電波を検出することにもとづき出力される信号)、払出ビジー信号(払出制御装置200がコマンドを受付可能な状態か否かを示す信号)、払出異常ステータス信号(払出異常を示すステータス信号)、シュート球切れスイッチ信号(払出し前の遊技球の不足を示す信号)、オーバーフロースイッチ信号(下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号)、アウト球検出スイッチ信号(アウト球を検出したときに出力される信号)を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第1入力ポート122が設けられている。
【0058】
なお、アウト球検出スイッチ信号は、アウトセンサ(図示せず)が遊技機10のアウト球を1個検出するごとにアウトセンサから出力される信号である。たとえば、アウト球検出スイッチ信号は、遊技機10から遊技球(アウト球)を排出する排出口(図示せず)とアウト口30aとの間に排出流路(図示せず)に設けられる。アウト球検出スイッチ信号は、所定の稼働(たとえば、アウト球が60,000個)当りの遊技性能(たとえば、ベース)の算出に用いられ、算出した遊技性能は性能表示装置135に表示される。なお、アウト球検出スイッチ信号は、演出制御装置300に入力されるものであってもよい。その場合、アウト球検出スイッチ信号は、遊技演出や客待ち画面表示への切替トリガとなる稼働状態の判定等に用いられるものであってもよい。たとえば、性能表示装置135は、4桁の7セグメントLEDであって、10進数または16進数により遊技性能を表示することができる。
【0059】
また、遊技機10は、振動を検出する振動センサスイッチを設け、この振動センサスイッチの検出信号が第1入力ポート122あるいは第3入力ポート124に入力されるようにしてもよい。
【0060】
また、遊技制御装置100には、電源装置400からの停電監視信号やリセット信号等の信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットバッファ125が設けられており、シュミットバッファ125はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの停電監視信号や、RAM初期化スイッチ112からの初期化スイッチ信号は、一旦、第1入力ポート122に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
【0061】
一方、シュミットバッファ125によりノイズ除去されたリセット信号RESETは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポートに供給される。また、リセット信号RESETは、出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RESETは、中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成されるようにしてもよい。なお、リセット信号RESETは、入力部120の第1乃至第3入力ポート122,123,124には供給されない。リセット信号RESETが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータは、システムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RESETが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
【0062】
出力部130には、遊技用マイコン111から演出制御装置300への通信経路および遊技用マイコン111から払出制御装置200への通信経路に配されるシュミットバッファ132が設けられている。遊技制御装置100から演出制御装置300および払出制御装置200へは、シリアル通信でデータが送信される。なお、遊技制御装置100から演出制御装置300および払出制御装置200へのシリアル通信は、演出制御装置300側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにした片方向通信とされている。
【0063】
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号等を中継基板70を介して出力するバッファ133が実装可能に構成されている。このバッファ133は、遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、近接I/F121から出力される始動口スイッチ等加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ133を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
【0064】
一方、磁気センサ61や盤電波センサ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦、遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号または情報に加工されて、たとえば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ133、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ133から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタ等が設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CE(図示省略)も供給され、このチップイネーブル信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
【0065】
また、出力部130には、データバス140に接続され、特別変動入賞装置38(大入賞口1)の開閉部材38cを開閉させる大入賞口1ソレノイド38bの開閉データ、特別変動入賞装置95(大入賞口2)の開閉部材95cを開閉させる大入賞口2ソレノイド95bの開閉データ、普通変動入賞装置37の可動部材37bを開閉させる普電ソレノイド37cの開閉データ、および性能表示装置135の表示データを出力するための第1出力ポート134aが設けられている。
【0066】
また、出力部130には、確率設定値表示装置136の表示データを出力するための第2出力ポート134bが設けられている。また、出力部130には、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート134c、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート134dが設けられている。
【0067】
また、出力部130には、大当り情報等遊技機10に関する情報を外部情報端子板71へ出力するための第5出力ポート134eが設けられている。外部情報端子板71には、フォトリレーが備えられ、たとえば遊技店に設置された外部装置(情報収集端末や遊技場内部管理装置(ホールコンピュータ)等)に接続可能であり、遊技機10に関する情報をフォトリレーを介して外部装置に供給することができるようになっている。なお、外部装置に供給する情報の一部は、第4出力ポート134dから出力される。また、第5出力ポート134eからは、シュミットバッファ132を介して払出制御装置200に発射許可信号も出力される。
【0068】
さらに、出力部130には、第1出力ポート134aから出力される大入賞口ソレノイド38b、特定領域ソレノイド38d、普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する第1ドライバ(駆動回路)138a、第3出力ポート134cから出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する第2ドライバ138b、第4出力ポート134dから出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する第3ドライバ138c、第5出力ポート134eや第4出力ポート134dから管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子板71へ出力する第4ドライバ138d、第1出力ポート134aから出力される性能表示装置135の表示データ信号を受けて性能表示装置135の駆動信号を生成し出力する第5ドライバ138eが設けられている。
【0069】
上記第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第2ドライバ138bには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第3ドライバ138cは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12Vまたは5Vのいずれであってもよい。
【0070】
12Vを出力する第2ドライバ138bによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第3ドライバ138cによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子板71へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ133や第1出力ポート134a、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、すなわち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。また、性能表示装置135、あるいは第5ドライバ138eと性能表示装置135は、遊技制御装置100の出力部130、すなわち、主基板ではなく、外部基板(図示せず)側に設けるようにしてもよい。
【0071】
さらに、出力部130には、外部の検査装置490へ各遊技機の識別コードやプログラム等の情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置490との間でシリアル通信によってデータの送受信をおこなえるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用しておこなわれるため、第1乃至第3入力ポート122,123,124のようなポートは設けられていない。
【0072】
次に、演出制御装置300の構成について
図4を用いて説明する。
図4は、第1の実施形態の演出制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(CPU)311と、主制御用マイコン311からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理をおこなうグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)312と、各種のメロディや効果音等をスピーカ19から再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。
【0073】
主制御用マイコン311には、CPUが実行するプログラムや各種データを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるPROM321、作業領域を提供するRAM322、停電時に電力が供給されなくとも記憶内容を保持可能なFeRAM(Ferroelectric RAM)323、現在の日時(年月日や曜日、時刻等)を示す情報を生成する計時手段をなすRTC(リアルタイムクロック)338が接続されている。なお、主制御用マイコン311の内部にも作業領域を提供するRAM311aが設けられている。また、主制御用マイコン311には、WDT(ウォッチドッグ・タイマ)回路324が接続されている。主制御用マイコン311は、遊技用マイコン111からのコマンド(演出コマンド)を解析し、演出内容を決定してVDP312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータやソレノイドの駆動制御、演出時間の管理等の処理を実行したりする。
【0074】
VDP312には、作業領域を提供するRAM312aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ312bが設けられている。また、VDP312には、キャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM325や、画像ROM325から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM326が接続されている。
【0075】
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン311とVDP312との間は、パラレル方式でデータの送受信がおこなわれるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
【0076】
VDP312から主制御用マイコン311へは、表示装置41の映像とガラス枠15や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるための垂直同期信号VSYNC、データの送信タイミングを与える同期信号STSが入力される。なお、VDP312から主制御用マイコン311へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0~nおよび主制御用マイコン311からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAIT等も入力される。
【0077】
演出制御装置300には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling:小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313が設けられている。VDP312から信号変換回路313へは、映像データ、水平同期信号HSYNCおよび垂直同期信号VSYNCが入力されるようになっており、VDP312で生成された映像は、信号変換回路313を介して表示装置41に表示される。
【0078】
音源LSI314には、音声データが記憶された音声ROM327が接続されている。主制御用マイコン311と音源LSI314は、アドレス/データバス340を介して接続されている。また、音源LSI314から主制御用マイコン311へは、割込み信号INTが入力されるようになっている。演出制御装置300には、ガラス枠15に設けられた上スピーカ19a(左上スピーカ19a1、右上スピーカ19a2)および前面枠12に設けられた下スピーカ19b(左下スピーカ19b1、右下スピーカ19b2)を駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路337が設けられており、音源LSI314で生成された音声はアンプ回路337を介してスピーカ19から出力される。
【0079】
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された飾り特図保留数コマンド、飾り特図コマンド、変動コマンド、停止情報コマンド等を、演出制御指令信号(演出コマンド)として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
【0080】
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)などを有する盤装飾装置46を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、ガラス枠15に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(たとえば枠装飾装置18等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている盤演出装置44(たとえば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める可動役物等)を駆動制御する盤演出可動体制御回路334が設けられている。ランプやモータおよびソレノイド等を駆動制御するこれらの制御回路332~334は、アドレス/データバス340を介して主制御用マイコン311と接続されている。なお、ガラス枠15にモータ(たとえば演出用の装置を動作させるモータ)等の駆動源を備えた枠演出装置を設け、この枠演出装置を駆動制御する枠演出可動体制御回路を備えていてもよい。
【0081】
さらに、演出制御装置300には、演出ボタン25の演出ボタンスイッチ25aやオプション設定部29の設定スイッチ29nと、盤演出装置44内のモータの初期位置等を検出する演出役物スイッチ47(演出モータスイッチ)のオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン311へ検出信号を入力する機能や、演出制御装置300に設けられた音量調節スイッチ335の状態を検出して主制御用マイコン311へ検出信号を入力する機能を有するスイッチ入力回路336が設けられている。なお
図4では、オプション設定部29の各スイッチを便宜上まとめて設定スイッチ29nと表しているが、詳細には、前述した各スイッチ(十字カーソルスイッチ、中央スイッチ、付属スイッチ)の状態がスイッチ入力回路336によりそれぞれ個別に検出されるように接続されており、各スイッチの各状態を示す検出信号がそれぞれ主制御用マイコン311へ入力される。
【0082】
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41、モータやLEDを駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、モータやLED、スピーカ19を駆動するためのDC15Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン311として、3.3Vまたは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5VにもとづいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC-DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC-DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
【0083】
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号は、主制御用マイコン311に供給され、当該デバイスをリセット状態にする。また、主制御用マイコン311から出力される形で、VDP312(VDPRESET信号)、音源LSI314およびアンプ回路337(SNDRESET信号)、ランプやモータ等を駆動制御する制御回路332~334(IORESET信号)に供給され、これらをリセット状態にする。また、演出制御装置300には遊技機10の各所を冷却する冷却FAN45が接続され、演出制御装置300の電源が投入された状態では冷却FAN45が駆動するようにされている。また、演出制御装置300を構成する回路基板は、サブ制御基板(サブ基板ともいう)に相当する。
【0084】
次に、これらの制御回路においておこなわれる遊技制御について説明する。
遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力にもとづき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理をおこなう。そして、一括表示装置50の普図図柄表示部55に、識別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理をおこなう。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図図柄表示部55に第1当り停止図柄~第3当り停止図柄の各々に対応した特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の可動部材37bを所定時間(たとえば、0.5秒間または1.7秒間)上述のように開放する制御をおこなう。すなわち、遊技制御装置100が、変換部材(可動部材37b)の変換制御をおこなう変換制御実行手段をなす。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図図柄表示部55にはずれの結果態様を表示する制御をおこなう。
【0085】
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力にもとづき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶にもとづき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理をおこなう。また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力にもとづき始動記憶を記憶し、この始動記憶にもとづき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理をおこなう。
【0086】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド、演出コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、一括表示装置50の特
図1図柄表示部53や特
図2図柄表示部54に、識別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理をおこなう。すなわち、遊技制御装置100が、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞にもとづき変動表示ゲームの進行制御をおこなう遊技制御手段をなす。
【0087】
また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号にもとづき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理をおこなう。さらに、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号にもとづき、演出状態の設定や、スピーカ19からの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等をおこなう。すなわち、演出制御装置300が、遊技(変動表示ゲーム等)に関する演出を制御する演出制御手段をなす。
【0088】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が大当りや小当りの場合は、特
図1図柄表示部53や特
図2図柄表示部54に特別結果態様や小当り結果態様を表示するとともに、特別遊技状態や小当り遊技状態を発生させる処理(すなわち、特別遊技や小当り遊技を実行する処理)をおこなう。第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの結果が大当りとなったことによる特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、たとえば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉部材38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御をおこなう。この特別遊技状態でCPU111Aは、たとえば大入賞口に所定個数(たとえば、9個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定の開放可能時間が経過するかのいずれかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)をおこなう。また、第1特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム)あるいは第2特図変動表示ゲーム(特
図2変動表示ゲーム)の結果が小当りとなったことによる小当り遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、たとえば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉部材38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御をおこなう。
【0089】
なお、これら小当り遊技状態でおこなわれる大入賞口の開閉動作パターン(開閉動作態様)は、たとえば200m秒だけ開閉部材を開状態に維持する動作を1500m秒間隔で4回おこなうといったものである。このように、遊技制御装置100は、停止結果態様が特別結果態様となった場合に、大入賞口を開閉する制御をおこなう大入賞口開閉制御手段をなす。またCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、一括表示装置50の特
図1図柄表示部53や特
図2図柄表示部54にはずれの結果態様を表示する制御をおこなう。
【0090】
また、第1の実施形態の遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームにおいて確率変動をおこなわないが、図変動表示ゲームにおいて確率変動をおこなうものであってもよい。たとえば、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様にもとづき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として高確率状態を発生可能となっている。この高確率状態は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態に比べて高い状態である。また、第1特図変動表示ゲームおよび第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様にもとづき高確率状態となっても、第1特図変動表示ゲームおよび第2特図変動表示ゲームの両方が高確率状態となる。
【0091】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様にもとづき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として時短状態(特定遊技状態、普図高確率状態)を発生可能となっている。この時短状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率(普図確率)を通常確率(普図低確率状態)である0よりも高い高確率(普図高確率状態)とすることが可能である。これにより、普通変動入賞装置37が普図低確率状態である場合よりも、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放時間が多くなるように制御するようになっている。ここで、本実施形態における普通変動入賞装置37は、通常遊技状態においては可動部材37bを開放しないように普図確率が「0」に設定されている。
【0092】
また、時短状態において、普図変動表示ゲームの実行時間(普図変動時間)は、たとえば、500m秒となり、普図変動表示ゲームの結果を表示する普図停止時間は、たとえば、600m秒となり、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、第1当り停止図柄の開放時間(普電開放時間)と開放回数(たとえば、500m秒×1回)、第2当り停止図柄の開放時間(普電開放時間)と開放回数(たとえば、1700m秒×2回)、第3当り停止図柄の開放時間(普電開放時間)と開放回数(たとえば、1700m秒×3回)となるように設定することが可能である。
【0093】
なお、普図変動表示ゲームおよび普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御をおこなうよう適宜普図変動表示ゲームの実行時間、普図停止時間、普電開放回数、普電開放時間を設定してもよく、たとえば、時短状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間(普図変動時間)を第1変動表示時間よりも短い第2変動表示時間となるように制御することが可能である(たとえば、10000m秒が1000m秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの結果を表示する普図停止時間を第1停止時間よりも短い第2停止時間となるように制御することが可能である(たとえば、1604m秒が704m秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、開放時間(普電開放時間)を通常状態(普図低確率状態)の第1開放時間よりも長い第2開放時間となるように制御することが可能である(たとえば、100m秒が1352m秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数(普電開放回数)を第1開放回数(たとえば、2回)よりも多い回数(たとえば、4回)の第2開放回数に設定することが可能である。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率(普図確率)を通常動作状態である場合の通常確率(普図低確率状態、たとえば、1/251)よりも高い高確率(普図高確率状態、たとえば、250/251)とすることが可能である。
【0094】
時短状態においては、普図変動時間、普図停止時間、普電開放回数、普電開放時間、普図確率のいずれか一つまたは複数を変化させることで普通変動入賞装置37を開状態に状態変換する時間を通常よりも延長するようにする。また、変化させるものが異なる複数種類の時短状態を設定することも可能である。また、当りとなった場合に第1開放態様と第2開放態様のいずれかを選択するようにしてもよい。この場合、第1開放態様と第2開放態様の選択確率を異ならせてもよい。また、高確率状態と時短状態は、それぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし、一方のみを発生させることも可能である。また時短状態は、普電サポート状態(普電サポート中、或いは電サポ中)と称することもできる。
【0095】
次に、一括表示装置の構成について
図5を用いて説明する。
図5は、第1の実施形態の一括表示装置の一例を示す図である。一括表示装置50は、7セグメントLED_d1と7セグメントLED_d2、およびLED_d3からLED_d18までの16個のLEDを備える。一括表示装置50は、7セグメントLED_d1と7セグメントLED_d2、およびLED_d3からLED_d18の点灯態様により各種状態表示をおこなう。
【0096】
一括表示装置50は、7セグメントLED_d1と7セグメントLED_d2、およびLED_d3からLED_d18に各種状態表示機能を振り分けることで、ラウンド表示部51と、特
図1保留表示部52と、特
図1図柄表示部53と、特
図2図柄表示部54と、普図図柄表示部55と、普図保留表示部56と、状態表示部57と、特
図2保留表示部58とを備える。ラウンド表示部51は、LED_d3からLED_d6の4個のLEDの点灯態様により、特図ゲームにおけるラウンド数を表示する。特
図1保留表示部52は、LED_d11とLED_d12の2個のLEDの点灯態様により、特
図1ゲームにおける保留数を表示する。特
図1図柄表示部53は、7セグメントLED_d1の8個のLED(7個のセグメントLEDと1個のドットLED)の点灯態様により、特
図1ゲームにおける図柄を表示する。特
図2図柄表示部54は、7セグメントLED_d2の8個のLED(7個のセグメントLEDと1個のドットLED)の点灯態様により、特
図2ゲームにおける図柄を表示する。普図図柄表示部55は、LED_d8、LED_d10、およびLED_d18の3個のLEDの点灯態様により、普図ゲームにおける図柄を表示する。普図保留表示部56は、LED_d15とLED_d16の2個のLEDの点灯態様により、普図ゲームにおける保留数を表示する。状態表示部57は、LED_d7、LED_d9、およびLED_d17の3個のLEDの点灯態様により、特図ゲームにおける遊技状態を表示する。特
図2保留表示部58は、LED_d13とLED_d14の2個のLEDの点灯態様により、特
図2ゲームにおける保留数を表示する。
【0097】
以下、このような遊技をおこなう遊技機の制御について説明する。まず、遊技制御装置100の遊技用マイコン111によって実行される制御について説明する。遊技用マイコン111による制御処理は、主にメイン処理と、所定時間周期(たとえば4m秒)でおこなわれるタイマ割込み処理とからなる。
【0098】
〔メイン処理〕
まず、第1の実施形態の遊技制御装置のメイン処理について
図6から
図10を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その1)である。
図7は、第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その2)である。
図8は、第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その3)である。
図9は、第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その4)である。
図10は、第1の実施形態のメイン処理のフローチャートを示す図(その5)である。
【0099】
メイン処理は、電源が投入されることで制御部(遊技用マイコン111)によって開始される。このメイン処理においては、まず、割込みを禁止する処理(ステップS1)をおこなってから、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS2)をおこなう。次に、レジスタバンク0を指定し(ステップS3)、所定のレジスタ(たとえばDレジスタ)にRAM先頭アドレスの上位アドレスをセットする(ステップS4)。RAM111Cのアドレスの範囲は、0000h~01FFhで、上位としては00hか01hをとる。ステップS4ではRAM111Cのアドレスの範囲のうち先頭側にある00hをセットする。
【0100】
次に、発射停止の信号を出力して発射許可信号を禁止状態に設定する(ステップS5)。発射許可信号は、遊技制御装置100と払出制御装置200の少なくとも一方が発射停止の信号を出力している場合に禁止状態に設定され、遊技球の発射が禁止されるようになっている。
【0101】
その後、入力ポート1(第1入力ポート122)の状態を第1レジスタ(たとえばBレジスタ)に読み込み(ステップS6)、続けて入力ポート3(第3入力ポート124)の状態を第2レジスタ(たとえばCレジスタ)に読み込む(ステップS7)。
【0102】
ここで、第1レジスタの所定ビットをマスクし、その他のビットをクリアする(ステップS8)。たとえば、RAM初期化スイッチ112からの検出信号に対応するBレジスタの第2ビットだけを保持し、第0ビットと第1ビットと、第3ビットから第7ビットをクリアする。そして、第2レジスタの所定ビットをマスクし、その他のビットをクリアする(ステップS9)。たとえば、設定キースイッチ127からの検出信号に対応するCレジスタの第4ビットだけを保持し、第0ビットから第3ビットと第5ビットから第7ビットをクリアする。
【0103】
第1レジスタの情報を第2レジスタに統合し、第2レジスタが保持する情報をRAM111Cに頼らない参照用の情報として保持する(ステップS10)。たとえば、BレジスタとCレジスタの論理和をCレジスタに格納し、Cレジスタを状態参照用レジスタとして保持する。
【0104】
たとえば、状態参照用レジスタ(Cレジスタ)の値「00000000B」は、第0ビットと第1ビット、第3ビットと第5ビットから第7ビットがクリアされて「0」であり、第2ビットがRAM初期化スイッチ112からの検出信号オンに対応する「0」であり、第4ビットが設定キースイッチ127からの検出信号オンに対応する「0」であることを示す。すなわち、状態参照用レジスタの値「00000000B」は、RAM初期化スイッチ112がオン(ON)、かつ設定キースイッチ127がオン(ON)である設定変更状態を示す。
【0105】
また、状態参照用レジスタの値「00010000B」は、第0ビットと第1ビット、第3ビットと第5ビットから第7ビットがクリアされて「0」であり、第2ビットがRAM初期化スイッチ112からの検出信号オンに対応する「0」であり、第4ビットが設定キースイッチ127からの検出信号オフに対応する「1」であることを示す。すなわち、状態参照用レジスタの値「00010000B」は、RAM初期化スイッチ112がオン(ON)、かつ設定キースイッチ127がオフ(OFF)であるRAM初期化状態を示す。
【0106】
また、状態参照用レジスタの値「00000100B」は、第0ビットと第1ビット、第3ビットと第5ビットから第7ビットがクリアされて「0」であり、第2ビットがRAM初期化スイッチ112からの検出信号オフに対応する「1」であり、第4ビットが設定キースイッチ127からの検出信号オンに対応する「0」であることを示す。すなわち、状態参照用レジスタの値「00000100B」は、RAM初期化スイッチ112がオフ(OFF)、かつ設定キースイッチ127がオン(ON)である設定確認状態を示す。
【0107】
また、状態参照用レジスタの値「00010100B」は、第0ビットと第1ビット、第3ビットと第5ビットから第7ビットがクリアされて「0」であり、第2ビットがRAM初期化スイッチ112からの検出信号オフに対応する「1」であり、第4ビットが設定キースイッチ127からの検出信号オフに対応する「1」であることを示す。すなわち、状態参照用レジスタの値「00010100B」は、RAM初期化スイッチ112がオフ(OFF)、かつ設定キースイッチ127がオフ(OFF)である復電(停電復旧)状態を示す。
【0108】
これにより、RAM初期化スイッチ112からの検出信号と設定キースイッチ127からの検出信号とがCレジスタに保持される。なお、RAM初期化スイッチ112からの検出信号のBレジスタにおける格納位置(第2ビット)と設定キースイッチ127からの検出信号のCレジスタにおける格納位置(第4ビット)とが異なるためBレジスタとCレジスタの論理和によっても、RAM初期化スイッチ112からの検出信号と設定キースイッチ127からの検出信号は、失われずに保存される。
【0109】
その後、電源投入ディレイタイマを設定する処理をおこなう(ステップS11)。この処理では、所定の初期値を設定することにより、主制御手段をなす遊技制御装置100からの指示にしたがい種々の制御をおこなう従制御手段(たとえば、払出制御装置200や演出制御装置300等の従制御装置)のプログラムが正常に起動するのを待つための待機時間(たとえば3秒)が設定される。これにより、電源投入の際に仮に遊技制御装置100が先に立ち上がって従制御手段が立ち上がる前にコマンドを従制御手段へ送ってしまい、従制御手段がコマンドを取りこぼすのを回避することができる。すなわち、遊技制御装置100が、電源投入時において、主制御手段の起動を遅らせて従制御手段の起動を待つための所定の待機時間を設定する待機手段をなす。
【0110】
また、電源投入ディレイタイマの計時は、RAM領域が保持するデータの正当性判定(チェックサム算出)の対象とならない記憶領域(正当性判定対象外のRAM領域またはレジスタ等)を用いておこなわれる。これにより、RAM領域のチェックサム等のチェックデータを算出する際に、一部のRAM領域を除外して算出する必要がないため電源投入時の制御が複雑になることを防止することができる。
【0111】
なお、第2レジスタ(Cレジスタ)には、RAM初期化スイッチ112の検出信号が保存されるようになっているが、待機時間の開始前までに保存されることで、RAM初期化スイッチ112の操作を確実に保存できる。すなわち、待機時間の経過後にRAM初期化スイッチ112の状態を読み込むようにすると、待機時間の経過を待ってからRAM初期化スイッチ112を操作したり、電源投入から待機時間の経過までRAM初期化スイッチ112を操作し続けたりする必要がある。しかし、待機時間の開始前に状態を読み込むことで、このような煩わしい操作をおこなわなくても電源投入後すぐに操作をおこなうことで検出されるようになり、電源投入時におこなった初期化の操作が受け付けられないような事態を防止できる。
【0112】
また、第2レジスタ(Cレジスタ)には、設定キースイッチ127の検出信号が保存されるようになっているが、待機時間の開始前までに保存されることで、設定キースイッチ127の操作を確実に検出できる。すなわち、待機時間の経過後に設定キースイッチ127の状態を読み込むようにすると、待機時間の経過を待ってから設定キースイッチ127を操作したり、電源投入から待機時間の経過まで設定キースイッチ127を操作し続けたりする必要がある。しかし、待機時間の開始前に状態を読み込むことで、このような煩わしい操作をおこなわなくても電源投入後すぐに操作をおこなうことで検出されるようになり、電源投入時におこなった設定変更操作あるいは設定確認操作が受け付けられないような事態を防止できる。
【0113】
次に、電源投入ディレイタイマ(たとえば、約3秒)を設定する処理(ステップS11)をおこなった後、待機時間の計時と、待機時間中における停電の発生を監視する処理(ステップS12からS16)をおこなう。まず、電源装置400から入力されている停電監視信号をポートおよびデータバスを介して読み込んでチェックする回数(たとえば2回)を設定し(ステップS12)、停電監視信号がオンであるか否かの判定をおこなう(ステップS13)。
【0114】
停電監視信号がオンである場合(ステップS13;Y)は、ステップS12で設定したチェック回数分停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS14)。そして、チェック回数分停電監視信号のオン状態が継続していない場合(ステップS14;N)は、停電監視信号がオンであるか否かの判定(ステップS13)に戻される。また、チェック回数分停電監視信号のオン状態が継続している場合(ステップS14;Y)、すなわち、停電が発生していると判定した場合は、遊技機10の電源が遮断されるのを待つ。このように、所定期間にわたり停電監視信号を受信し続けた場合に停電が発生したと判定することで、ノイズ等により停電を誤検知することを防止でき、電源投入時における不具合に適切に対処することができる。
【0115】
すなわち、遊技制御装置100が、所定の待機時間において停電の発生を監視する停電監視手段をなす。これにより、主制御手段をなす遊技制御装置100の起動を遅らせている期間において発生した停電に対応することが可能となり、電源投入時における不具合に適切に対処することができる。なお、待機時間の終了まではRAM111Cへのアクセスが許可されておらず、前回の電源遮断時の記憶内容が保持されたままとなっているため、ここでの停電発生時にはバックアップの処理等はおこなう必要がない。このため、待機時間中に停電が発生してもRAM111Cのバックアップを取る必要がなく、制御の負担を軽減することができる。
【0116】
一方、停電監視信号がオンでない場合(ステップS13;N)、すなわち、停電が発生していない場合には、電源投入ディレイタイマを「-1」更新し(ステップS15)、タイマの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS16)。タイマの値が0でない場合(ステップS16;N)、すなわち、待機時間が終了していない場合は、停電監視信号のチェック回数を設定する処理(ステップS12)に戻される。また、タイマの値が「0」である場合(ステップS16;Y)、すなわち、待機時間が終了した場合、RAM111CやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(Read Write Memory)のアクセス許可をし(ステップS17)、全出力ポートにオフデータを出力(出力がない状態に設定)する(ステップS18)。
【0117】
次に、シリアルポート(遊技用マイコン111にあらかじめ搭載されているポートで、演出制御装置300や払出制御装置200との通信に使用)を設定する(ステップS19)。
【0118】
ステップS20では、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号および乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC回路を起動する処理をおこなう。
【0119】
ステップS21では、RAM異常フラグをセットする処理をおこなう。なお、RAM異常フラグのセットは、暫定的なものであって後で実行されるRAMの異常を検査する処理において更新され得る。
【0120】
ステップS22では、RWM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータ1(たとえば5Ah)であるか否かを判定する。停電検査領域1の値が正常であれば(ステップS22;Y)、RWM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータ2(たとえばA5h)であるか否かを判定し(ステップS23)、停電検査領域2の値が正常であれば(ステップS23;Y)、RWM内の所定領域のチェックサムを算出するチェックサム算出処理(ステップS24)をおこなう。
【0121】
なお、チェックサム算出処理では、遊技制御用ワーク領域のデータと状態表示用ワーク領域のデータを合算したものをチェックサムとして算出してもよいし、遊技制御用ワーク領域のデータと状態表示用ワーク領域のデータからそれぞれ別々にチェックサムを算出してもよいし、遊技制御用ワーク領域のデータだけからチェックサムを算出してもよい。遊技制御用ワーク領域とは、RWM内の記憶領域のうち遊技制御用に使用される作業領域である。状態表示用ワーク領域とは、RWM内の記憶領域のうち状態表示用に使用される作業領域である。
【0122】
次に、ステップS24で算出したチェックサムと電源断時のチェックサムが一致するか否かを判定(ステップS25)し、チェックサムが一致する(正常である)と判定された場合(ステップS25;Y)は、ステップS21で暫定的にセットしたRAM異常フラグをクリアする(ステップS26)。
【0123】
なお、チェックサムが一致しない(正常でない)と判定された場合(ステップS25;N)は、ステップS26をパスしてステップS27へ移行することで、ステップS21で暫定的にセットしたRAM異常フラグが確定的になる。停電検査領域のチェックデータが正常なデータでない(ステップS22;NまたはステップS23;N)と判定された場合も、ステップS26をパスしてステップS27へ移行することで、ステップS21で暫定的にセットしたRAM異常フラグが確定的になる。
【0124】
ステップS27では、第2レジスタ(Cレジスタ)を参照して、設定キースイッチ127の検出信号がオンかつRAM初期化スイッチ112の検出信号がオンであるか否かを判定する。設定キースイッチ127の検出信号がオンかつRAM初期化スイッチ112の検出信号がオンである場合には、ステップS33に進み、設定キースイッチ127の検出信号がオンかつRAM初期化スイッチ112の検出信号がオンでない場合には、ステップS28に進む。
【0125】
なお、遊技制御装置100は、設定キースイッチ127の検出信号とRAM初期化スイッチ112の検出信号とを第2レジスタ(Cレジスタ)に保持しているため、設定キースイッチ127の検出信号とRAM初期化スイッチ112の検出信号とを同時に判定することができる。また、遊技制御装置100は、設定キースイッチ127の検出信号とRAM初期化スイッチ112の検出信号とを第2レジスタ(Cレジスタ)に保持しているため、RAMの正当性判定をおこなう以前の設定キースイッチ127の検出信号とRAM初期化スイッチ112の検出信号とを判定対象にすることができる。
【0126】
ステップS28では、制御部は、RAM異常フラグがオンか否かを判定する。制御部は、RAM異常フラグがオンである場合(すなわち、RAM異常フラグがセットされている場合)にステップS30に進み、RAM異常フラグがオンでない場合(すなわち、RAM異常フラグがクリアされている場合)にステップS29に進む。
【0127】
ステップS29では、制御部は、設定変更モード中フラグがオンか否かを判定する。制御部は、設定変更モード中フラグがオンである場合にステップS48に進み、設定変更モード中フラグがオンでない場合にステップS30に進む。
【0128】
ステップS30からステップS32は、RAM異常時、あるいは設定中に電源遮断があったときにRAMクリアされずに再起動された時に実行される処理である。ステップS30では、制御部は、メイン異常エラー報知のコマンドを演出制御装置300に送信する。これにより、演出制御装置300は、メイン異常エラー報知のコマンドに対応する演出制御をおこなう。たとえば、演出制御装置300は、メイン異常エラー報知のコマンドを受信して、RAMクリアを伴う再起動を案内するメッセージを表示装置41に表示させたり、スピーカ19から音出力させたりする。また、演出制御装置300は、メイン異常エラー報知のコマンドを受信して、枠装飾装置18や盤装飾装置46、盤演出装置44によりメイン異常エラーを報知する。
【0129】
ステップS31では、制御部は、遊技停止時の7セグ表示データを性能表示装置135に出力する。このとき、制御部は、性能表示装置135にメイン異常エラーに対応するステータスを表示することができる。また、制御部は、遊技停止時の7セグ表示データを確率設定値表示装置136に出力する。このとき、制御部は、確率設定値表示装置136に確率設定値にない数値や文字を表示することができる。なお、制御部は、遊技停止時のLED表示データを含む7セグ表示データを一括表示装置50に出力するようにしてもよい。このとき、制御部は、一括表示装置50を全消灯あるいは全点灯としてもよい。
【0130】
ステップS32では、制御部は、セキュリティ信号のオンデータを外部情報端子板71から出力する。このとき、制御部は、外部情報端子板71から出力するその他の信号の出力データをオフにする。制御部は、ステップS31とステップS32とを繰り返し実行して電源遮断を待つ。すなわち、遊技機10は、電源遮断を待つまでの間、外部情報端子板71からセキュリティ信号を出力する。また、遊技機10は、電源遮断を待つまでの間、外部情報端子板71からセキュリティ信号以外の信号を出力しない。
【0131】
なお、制御部は、電源遮断を待つまでのステップS31とステップS32の繰り返し実行において、RAMアクセスを禁止していない。これにより、遊技機10は、NMI(Non-Maskable Interrupt)発生時に戻りアドレスをRAMに格納可能にして、プログラム暴走の危険を低減している。このように、制御部は、電源遮断を待つまでのステップS31とステップS32の繰り返し実行中のRAMの記憶内容をRAMアクセス禁止により保護しないが、再起動時のRAMクリアが遊技制御開始の条件となるため、RAMの記憶内容が保護されない危険を限定的にしている。すなわち、遊技機10は、RAMの記憶内容が保護されない危険を限定的にして引き受けながら、プログラム暴走の危険低減効果を得る。また、制御部は、電源遮断を待つまでのステップS31とステップS32の繰り返し実行において、RAMアクセスを禁止しないことにより、ステップS31やステップS32においてサブルーチンを呼出可能にしてプログラム効率の向上を図ることができる。
【0132】
ステップS33からステップS36は、設定変更準備に関する処理であり、ステップS27において、設定キースイッチ127の検出信号がオンかつRAM初期化スイッチ112の検出信号がオンである場合に実行される処理である。
【0133】
ステップS33では、制御部は、RAM異常フラグがオンか否かを判定する。制御部は、RAM異常フラグがオンである場合にステップS34に進み、RAM異常フラグがオンでない場合にステップS35に進む。
【0134】
ステップS34では、制御部は、RAM異常フラグがオンであることから設定値をクリアする。なお、設定値のクリアは、設定値として無効な値をセットすることによってもよいし、不正対策の観点から遊技者にとって最も不利な値をセットすることによってもよい。
【0135】
ステップS35では、制御部は、設定変更モード中フラグをセットする処理をおこなう。設定変更モード中フラグは、遊技機10が設定変更中か否かを示すフラグであって、設定変更中であるときに設定変更モード中フラグがセットされ、設定変更中でないときに設定変更モード中フラグがクリア(リセット)される。
【0136】
ステップS36では、制御部は、設定変更中のコマンドを演出制御装置300に送信する。これにより、演出制御装置300は、設定変更中のコマンドに対応する演出制御をおこなう。たとえば、演出制御装置300は、設定変更中のコマンドを受信して、設定変更中であることを案内するメッセージを表示装置41に表示させたり、スピーカ19から音出力させたりする。また、演出制御装置300は、設定変更中のコマンドを受信して、設定変更中であることを枠装飾装置18や盤装飾装置46、盤演出装置44により報知する。
【0137】
ステップS37は、設定変更準備(ステップS33からステップS36)の後、または設定確認準備(ステップS49、ステップS50)の後に実行される処理である。ステップS37では、制御部は、セキュリティ信号制御タイマに128msを設定する。これにより、遊技機10は、少なくともセキュリティ信号制御タイマがタイムアップされるまでの間、セキュリティ信号を出力する。
【0138】
ステップS38からステップS40は、設定変更終了待ち、あるいは設定確認終了待ちに関する処理である。遊技機10は、ステップS37でセキュリティ信号を出力セットしていることにより設定変更終了待ち、あるいは設定確認終了待ちに関する処理の実行を外部から把握可能にしている。
【0139】
制御部は、割込みを許可(ステップS38)した後、第2レジスタ(Cレジスタ)を参照して、設定キースイッチ127の検出信号がオフであるか否かを判定する(ステップS39)。制御部は、設定キースイッチ127の検出信号がオフである場合にステップS55に進み、設定キースイッチ127の検出信号がオフでない場合にステップS40に進む。
【0140】
ステップS40では、制御部は、停電が発生したか否かを判定する。なお、制御部は、停電監視信号の所定時間の継続検出により、停電発生を判定することができる。制御部は、停電が発生した場合にステップS41に進み、停電が発生していない場合にステップS39に進む。すなわち、制御部は、ステップS38で割込みを許可した状態で、停電発生までの間、設定キーのオフを待ち受ける。
【0141】
制御部は、停電が発生していると判定した場合、割込みを禁止する処理(ステップS41)、全出力ポートにオフデータを出力する処理(ステップS42)をおこなう。
その後、停電検査領域1に停電検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS43)、停電検査領域2に停電検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS44)。さらに、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理(ステップS45)、算出したチェックサムをチェックサム領域にセーブする処理(ステップS46)をおこなった後、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS47)をおこなってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ。このように、停電検査領域にチェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することができる。
【0142】
ステップS48は、ステップS29で設定変更モード中フラグがオンであると判定された場合に実行される。ステップS48では、制御部は、第2レジスタ(Cレジスタ)を参照して、設定キースイッチ127の検出信号がオンであるか否かを判定する。制御部は、設定キースイッチ127の検出信号がオンである場合にステップS49に進み、設定キースイッチ127の検出信号がオンでない場合にステップS51に進む。
【0143】
ステップS49、ステップS50は、設定確認準備に関する処理である。ステップS49では、制御部は、設定確認モード中フラグをセットする処理をおこなう。設定確認モード中フラグは、遊技機10が設定確認中か否かを示すフラグであって、設定確認中であるときに設定確認モード中フラグがセットされ、設定確認中でないときに設定確認モード中フラグがクリア(リセット)される。ステップS50では、制御部は、設定確認中のコマンドを演出制御装置300に送信する。これにより、演出制御装置300は、設定確認中のコマンドに対応する演出制御をおこなう。たとえば、演出制御装置300は、設定確認中のコマンドを受信して、設定確認中であることを案内するメッセージを表示装置41に表示させたり、スピーカ19から音出力させたりする。また、演出制御装置300は、設定確認中のコマンドを受信して、枠装飾装置18や盤装飾装置46、盤演出装置44により設定確認中であることを報知する。この後、制御部は、ステップS37に進む。
【0144】
一方、制御部は、ステップS48において設定キースイッチ127の検出信号がオンでないと判定した場合に、ステップS51を実行する。ステップS51では、制御部は、第2レジスタ(Cレジスタ)を参照して、RAM初期化スイッチ112の検出信号がオンであるか否かを判定する。制御部は、RAM初期化スイッチ112の検出信号がオンである場合にステップS52に進み、RAM初期化スイッチ112の検出信号がオンでない場合にステップS58に進む。すなわち、遊技機10は、RAM初期化スイッチ112の押下操作を伴う起動検出によりRAM初期化(RAMクリア)に関する処理の実行に進み、RAM初期化スイッチ112の押下操作を伴わない起動検出により停電復旧に関する処理の実行に進む。
【0145】
次に、ステップS52以降でおこなうRAM初期化に関する処理について説明する。RAM初期化に関する処理では、制御部は、設定値以外のRAM領域を0クリア(ゼロクリア)し(ステップS52)、初期化すべき領域にRAM初期化時の初期値をセーブする(ステップS53)。たとえば、制御部は、RAMクリア時の先頭アドレスとしてRAMクリア先頭アドレス2を設定し、RWM(たとえばRAM111C)の記憶領域(アクセス禁止領域を含まない領域)のうちのクリア対象領域(遊技制御用ワーク領域)のデータをゼロクリアする。
【0146】
なお、設定変更モード中フラグ、および設定確認モード中フラグは、クリア対象領域のデータに含まれることから、クリア対象領域のデータのゼロクリアによってクリアされる。
【0147】
ステップS54では、制御部は、RAM初期化時のコマンドを演出制御装置300に送信する。これにより、演出制御装置300は、RAM初期化時のコマンドに対応する演出制御をおこなう。たとえば、演出制御装置300は、RAM初期化時のコマンドを受信して、RAMが初期化されたことを案内するメッセージを表示装置41に表示させたり、スピーカ19から音出力させたりする。また、演出制御装置300は、RAM初期化のコマンドを受信して、RAMが初期化されたことを枠装飾装置18や盤装飾装置46、盤演出装置44により報知する。
【0148】
また、制御部は、設定変更終了待ち、あるいは設定確認終了待ちに関する処理(ステップS38からステップS40)の実行後に、設定キースイッチ127の検出信号がオフであることを検出した場合に、ステップS55を実行する。制御部は、割込みを禁止(ステップS55)した後、報知終了のコマンドを演出制御装置300に送信する(ステップS56)。
【0149】
これにより、演出制御装置300は、設定変更中のコマンドの受信により開始した設定変更中であることの報知、あるいは設定確認中のコマンドの受信により開始した設定確認中であることの報知を終了する。
【0150】
次に、制御部は、設定変更モード中フラグを参照して、設定変更モード中であるか否かを判定する(ステップS57)。制御部は、設定変更モード中である場合にステップS52に進み、RAM初期化に関する処理を実行する。一方、制御部は、設定変更モード中でない場合にステップS58に進み、停電復旧に関する処理を実行する。
【0151】
ステップS58では、制御部は、停電復旧処理を実行する。停電復旧処理は、初期化すべき領域に停電復旧時の初期値をセーブし、特図ステータスを参照して特図ゲームが高確率中であるか否かを判定し、特図ゲームが高確率中である場合に高確率報知フラグ領域にオン情報をセーブし、高確率報知LEDのオンデータをセグメント領域にセーブする処理を含む。
【0152】
なお、停電復旧処理における初期化すべき領域とは、停電検査領域、チェックサム領域、設定変更モード中フラグ、設定確認モード中フラグ、およびエラー不正監視に係る領域である。なお、停電復旧処理では、払出制御装置200がコマンドを受付可能な状態か否かを示す信号である払出ビジー信号の状態を記憶するビジー信号ステータス領域もクリアされ、払出ビジー信号の状態を確定していないことを示す不定状態とされる。同様にタッチスイッチ信号の状態を記憶するタッチスイッチ信号状態監視領域もクリアされ、タッチスイッチ信号の状態を確定していないことを示す不定状態とされる。
【0153】
次に、制御部は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御基板(演出制御装置300)へ送信し(ステップS59)、ステップS60へ進む。なお、ステップS59では、機種指定コマンド、特
図1保留数コマンド、特
図2保留数コマンド、確率情報コマンド、確率設定値情報コマンド、画面指定のコマンド等の複数のコマンドを送信する。また、機種によっては、これらのコマンドに加えて、演出回数情報や高確率回数情報を送信する。なお、画面指定のコマンドとは、特
図1変動表示ゲームと特
図2変動表示ゲームの制御状態がいずれも普段処理中(変動中、大当り中(第1特別遊技状態)、小当り中(第2特別遊技状態)のうちの何れでもない状態)である場合には、客待ちデモ画面の表示を指令するコマンドであり、それ以外である場合には復旧画面の表示を指令するコマンドである。
【0154】
ステップS60では、制御部は、乱数生成回路を起動設定する処理をおこなう。その後、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1~n)の値を抽出し、対応する各種初期値乱数(大当り図柄初期値乱数、小当り図柄初期値乱数、当り初期値乱数、当り図柄初期値乱数)の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブしてから(ステップS61)、割込みを許可する(ステップS62)。
【0155】
続いて、制御部は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理(ステップS63)をおこなう。この初期値乱数更新処理は、各初期値乱数をたとえばそれぞれ「+1」更新(インクリメント)する処理である。このように、遊技機10は、メイン処理の中で時間が許す限り初期値乱数を更新し続けることによって、乱数のランダム性を高めることができるようにしている。
【0156】
ここで、制御部は、一旦、割込みを禁止(ステップS64)して、性能表示編集処理を実行(ステップS65)し、性能表示編集処理の実行後に、割込みを許可する(ステップS66)。性能表示編集処理は、ベースの算出と表示に関する処理である。制御部は、性能表示編集処理の処理負荷が比較的高いため、割込みを禁止してより速やかな処理結果導出を図っている。これにより、遊技機10は、タイマ割込みにより遊技状態が更新されるまでに、性能表示編集処理の処理結果導出を担保する。
【0157】
ステップS67では、制御部は、停電が発生したか否かを判定する。なお、制御部は、停電監視信号の所定時間の継続検出により、停電発生を判定することができる。制御部は、停電が発生した場合にステップS41に進み、停電が発生していない場合にステップS63に進む。
【0158】
すなわち、制御部は、停電が発生しない限り、ステップS63からステップS67までの処理を繰り返し実行する。詳しくは、制御部は、停電が発生していない場合には、初期値乱数更新処理と性能表示編集処理と停電監視信号のチェック(ループ処理)を繰り返しおこなう。
【0159】
そして、初期値乱数更新処理(ステップS63)の前に割込みを許可する(ステップS66)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると割込み処理が優先して実行されるようになり、タイマ割込みが初期値乱数更新処理によって待たされることで割込み処理が圧迫されるのを回避することができる。
【0160】
同様に、性能表示編集処理(ステップS65)の前に割込みを禁止する(ステップS64)ことによって、タイマ割込みに優先して性能表示編集処理が実行されるようになり、性能表示編集処理が圧迫されるのを回避することができる。
【0161】
以上のことから、遊技を統括的に制御する主制御手段(遊技制御装置100)と、該主制御手段からの指示にしたがい種々の制御をおこなう従制御手段(払出制御装置200、演出制御装置300等)と、を備える遊技機において、主制御手段は、電源投入時において、当該主制御手段の起動を遅らせて従制御手段の起動を待つための所定の待機時間を設定する待機手段(遊技制御装置100)と、当該所定の待機時間において停電の発生を監視する停電監視手段(遊技制御装置100)と、を備えていることとなる。
【0162】
また、各種装置に電力を供給する電源装置400を備え、当該電源装置400は、停電の発生を検出した際に停電監視信号を出力するように構成され、停電監視手段(遊技制御装置100)は、所定期間にわたり停電監視信号を受信し続けた場合に停電が発生したと判定するようにしていることとなる。
【0163】
また、主制御手段(遊技制御装置100)は、データを記憶可能なRAM111Cと、外部からの操作が可能な初期化操作部(RAM初期化スイッチ112)と、初期化操作部が操作されたことにもとづきRAM111Cに記憶されたデータを初期化する初期化手段(遊技制御装置100)と、を備え、当該初期化操作部の操作状態を待機時間の開始前に読み込むようにしていることとなる。
【0164】
なお、遊技制御装置100は、データ異常時の初期化の処理(第1初期化処理)と、初期化操作時の初期化の処理(第2初期化処理)とを区別して実行する機能(第1初期化手段、第2初期化手段)を有するため、状況に応じた最適かつ無駄のない初期化の処理が実現できる。
【0165】
また、主制御手段(遊技制御装置100)は、データを記憶可能なRAM111Cと、外部からの操作が可能な設定操作部(設定値変更スイッチ126、設定キースイッチ127)と、設定操作部が操作されたことにもとづきRAM111Cに記憶された設定値を変更する設定変更手段(遊技制御装置100)とを備えることで設定変更を可能にするとともに、設定表示部(確率設定値表示装置136)を備えることで設定(設定値)を確認可能にしている。また、主制御手段(遊技制御装置100)は、待機時間の経過後にRAM111Cへのアクセスを許可するようにしていることとなる。
【0166】
また、主制御手段(遊技制御装置100)は、RAM(RAM111C)へのアクセスを禁止(ステップS47)してすべての処理の実行停止を待機する停電発生時待機処理(ステップS47の後のループ)と、RAM(RAM111C)へのアクセスを許可(ステップS17)しながらすべての処理の実行停止を待機するRAM異常時待機処理(ステップS31、ステップS32のループ)と、を実行可能にしている。
【0167】
ここで、停電発生時待機処理とRAM異常時待機処理について説明する。停電発生時待機処理は、メイン処理のステップS47でRAMへのアクセスを禁止された後に実行されて、すべての処理の実行停止を待機するループ処理である。また、停電発生時待機処理は、メイン処理のステップS41で割込みを禁止された後に実行されることから、NMI割込みでない割込み(タイマ割込み)が禁止される。なお、停電発生時待機処理は、NMI割込みについて割込みを禁止することができないことからNMI割込みが発生し得る。ただし、停電発生時待機処理は、停電発生時に実行される処理であることから、当該処理の実行中にNMI割込みが発生する危険が小さい。また、停電発生時待機処理は、異常報知を伴わない待機処理である。これにより、遊技機10は、電源遮断までの電力を停電処理に振り向けることができる。なお、遊技機10は、停電発生時待機処理にRAMへのアクセスを禁止することで、不安定な電圧によりRAMの記憶内容が変化する危険を低減している。
【0168】
RAM異常時待機処理は、メイン処理のステップS17でRAM(RWM)へのアクセスを許可された後に実行されて、すべての処理の実行停止を待機するループ処理である。また、RAM異常時待機処理は、メイン処理のステップS1で割込みを禁止された後に実行されることから、NMI割込みでない割込み(タイマ割込み)が禁止される。なお、停電発生時待機処理は、NMI割込みについて割込みを禁止することができないことからNMI割込みが発生し得る。RAM異常時待機処理は、電源遮断を待つ処理であることから、当該処理の実行中にNMI割込みが発生する危険が停電発生時待機処理よりも大きい。しかしながら、RAM異常時待機処理は、NMI割込みが発生してもRAMへのアクセスが許可されていることから戻りアドレスをRAMに格納可能であって、NMI割込み発生によるプログラム暴走の危険が小さい。また、遊技機10は、ステップS30においてメイン異常エラー報知のコマンドを演出制御装置300に送信することから、RAM異常時待機処理の実行中に、演出制御装置300による異常報知を並行しておこなうことができる。これにより、遊技機10は、速やかな再起動が期待できる。
【0169】
〔タイマ割込み処理〕
次に、遊技制御装置100のタイマ割込み処理について
図11を用いて説明する。
図11は、第1の実施形態のタイマ割込み処理のフローチャートを示す図である。このタイマ割込み処理は、上述のメイン処理において、割込み許可が出てから割込みが禁止されるまでの間(ステップS38からステップS41まで、ステップS38からステップS55まで、ステップS66からステップS64まで、ステップS66からステップS41まで)に生じる割込み処理である。タイマ割込み処理は、CPU111Aが実行する処理である。
【0170】
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。遊技用マイコン111において、タイマ割込みが発生すると、自動的に割込み禁止状態になって、タイマ割込み処理が開始される。
【0171】
タイマ割込み処理が開始されると、まず、レジスタバンク1を指定する(ステップS71)。レジスタバンク1に切り替えたことで、所定のレジスタ(たとえば、メイン処理で使っているレジスタ)に保持されている値をRWMに移すレジスタ退避の処理をおこなったのと同等になる。次に、所定のレジスタ(たとえばDレジスタ)にRAM先頭アドレスの上位アドレスをセットする(ステップS72)。ステップS72では、メイン処理におけるステップS4と同じ処理をおこなっているが、レジスタバンクが異なる。
【0172】
次に、各種センサやスイッチからの入力や、信号の取り込み、すなわち、各入力ポートの状態を読み込む入力処理(ステップS73)をおこなう。ステップS74では、制御部は、設定変更モード中フラグと設定確認モード中フラグとを参照し、設定変更モード中または設定確認モード中であるか否かを判定する。制御部は、設定変更モード中または設定確認モード中である場合にステップS75に進み、設定変更/確認処理を実行し、タイマ割込み処理を終了する。一方、制御部は、設定変更モード中または設定確認モード中のいずれでもない場合にステップS76に進む。
【0173】
ステップS76では、制御部は、各種処理でセットされた出力データにもとづき、ソレノイド(大入賞口ソレノイド38b、普電ソレノイド37c)等のアクチュエータの駆動制御等をおこなうための出力処理を実行する。
【0174】
なお、メイン処理におけるステップS5で発射停止の信号を出力すると、この出力処理がおこなわれることで発射許可の信号が出力され、発射許可信号を許可状態に設定可能な状態とされる。この発射許可信号は、払出制御装置を経由して発射制御装置に出力される。その際、信号の加工等はおこなわれない。また、当該発射許可信号は、遊技制御装置100から見た発射許可の状態を示す第1の信号であり、払出制御装置200から見た発射許可の状態を示す第2の信号(発射許可信号)も払出制御装置200内で生成され、発射制御装置に出力される。つまり、2つの発射許可信号が発射制御装置に出力されており、両者がともに発射許可となっている場合に、遊技球が発射可能な状態となるよう構成されている。
【0175】
次に、制御部は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを払出制御装置200に出力する払出コマンド送信処理(ステップS77)、乱数更新処理1(ステップS78)、乱数更新処理2(ステップS79)を実行する。ここで、乱数更新処理1は、初期値乱数更新処理の対象となっている大当り図柄乱数、小当り図柄乱数、当り乱数、当り図柄乱数の初期値(スタート値)を更新するための処理である。また、乱数更新処理2は、特
図1,特
図2の変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する処理である。なお、乱数更新処理1、あるいは乱数更新処理1に加えて乱数更新処理2は、設定変更中の乱数更新の停止や更新周期の変更をおこなうようにしてもよい。
【0176】
次に、制御部は、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a、大入賞口スイッチ38a、特定領域スイッチ38eから正常な信号の入力があるか否かの監視や、エラーの監視(前面枠やガラス枠が開放されていないか等)をおこなう入賞口スイッチ/状態監視処理(ステップS80)をおこなう。また、始動口1スイッチ36aおよび始動口2スイッチ37aの入賞を監視する始動口スイッチ監視処理(ステップS81)をおこなう。なお、始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口をなす始動入賞口36、または第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置37に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数等)の抽出をおこない、特図変動表示ゲームの開始前の段階で当該入賞にもとづく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定をおこなう。
【0177】
次に、制御部は、特
図1変動表示ゲームに関する処理をおこなう特
図1ゲーム処理(ステップS82)、特
図2変動表示ゲームに関する処理をおこなう特
図2ゲーム処理(ステップS83)に続いて、いわゆる2種ゲームに関する処理をおこなう2種ゲーム処理(ステップS830)を実行し、その後に普図変動表示ゲームに関する処理をおこなう普図ゲーム処理(ステップS84)を実行する。
【0178】
次に、遊技機10に設けられ、特図変動表示ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLED(たとえば、一括表示装置50の特
図1図柄表示部53等のLED)を所望の内容を表示するように駆動するセグメントLED編集処理(ステップS85)、磁気センサ61からの検出信号をチェックして異常がないか判定する処理をおこなう磁石不正監視処理(ステップS86)、盤電波センサ62からの検出信号をチェックして異常がないか判定する処理をおこなう盤電波不正監視処理(ステップS87)をおこなう。それから、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS88)、性能表示装置制御処理(ステップS89)をおこなって、タイマ割込み処理を終了する。
【0179】
ここで、第1の実施形態では、割込み禁止状態を復元する処理(すなわち、割込みを許可する処理)や、レジスタバンクの指定を復元する処理(すなわち、レジスタバンク0を指定する処理)は、割込みリターンの際(タイマ割込み処理の終了時)に自動的におこなわれる。なお、使用するCPUによっては、割込み禁止状態を復元する処理やレジスタバンクの指定を復元する処理の実行を命令する必要がある遊技機もある。
【0180】
〔メイン処理〕
次に、演出制御装置300のメイン処理を
図12を用いて説明する。
図12は、第1の実施形態の演出制御装置におけるメイン処理のフローチャートを示す図である。
【0181】
メイン処理は、パチンコ機1の電源供給が開始された時点で演出制御装置300の制御部(CPU311)によって実行される処理である。
[ステップD11]制御部は、割込みを禁止する。
【0182】
[ステップD12]制御部は、CPU311の初期設定をおこなう。
[ステップD13]制御部は、VDP312の初期設定をおこなう。
[ステップD14]制御部は、割込みを許可する。
【0183】
[ステップD15]制御部は、表示用データ生成を許可する。すなわち、制御部は、VDP312内の表示回路(図示省略)がVDP312内のVRAM(図示省略)へアクセスをおこない、表示データを生成することを許可する。
【0184】
[ステップD16]制御部は、乱数シードを設定する。これは、たとえばsrand関数を用いて擬似乱数の発生系列を設定する処理である。ここで、制御部は、srand関数に与える引数として0(ゼロ)等の固定値を使用してもよいし、遊技機ごとに異なるようにCPU等のID値等を基に作成した値を使用してもよい。
【0185】
[ステップD17]制御部は、演出制御装置300のRWM(たとえばRAM322)における初期化すべき領域(たとえば、演出用フラグ領域(当該演出制御装置300の制御処理において後述する各種のフラグとして使う記憶領域))に電源投入時の初期値をセーブする。
【0186】
[ステップD18]制御部は、WDT(ウォッチドッグ・タイマ)をクリアする。
[ステップD19]制御部は、演出ボタン入力処理を実行する。演出ボタン入力処理は、演出ボタン25(演出ボタンスイッチ25a)が有効時に操作された場合の編集をおこなう処理である。なお、演出ボタンは高速でオンオフしないので、制御部は、演出ボタンの入力を感知する処理を演出ボタン入力処理内でおこなってもよいし、図示していない短周期のタイマ割込み内でおこなってもよい。
【0187】
[ステップD20]制御部は、ホール・遊技者設定モード処理を実行する。ホール・遊技者設定モード処理は、LEDや表示装置41の輝度、音量等の変更可能範囲の設定や、遊技者によるLEDや表示装置41の輝度、音量の変更等の操作を受け付ける処理である。
【0188】
[ステップD21]制御部は、乱数更新処理を実行する。乱数更新処理は、たとえばrand関数を用いてメイン処理の制御周期ごとに少なくとも1回の擬似乱数の更新をおこなう処理である。rand関数は、再計算がおこなわれる度に指定の生成系列にもとづいて乱数を生成するので、制御部は、rand関数を実行するだけで乱数を得ることができる。なお、主基板(遊技制御装置100)のように「1」ずつインクリメントするカウンタを乱数として用いてもよい。
【0189】
[ステップD22]制御部は、受信コマンドチェック処理を実行する。受信コマンドチェック処理は、遊技制御装置100から受信したコマンドを所定数単位で解析する処理である。
【0190】
[ステップD23]制御部は、演出表示編集処理を実行する。演出表示編集処理は、VDP312に表示装置41での描画内容を指示するための各種コマンドとそのパラメータの設定をおこなう処理である。たとえば、制御部は、演出表示編集処理においてコマンドをテーブル状に設定する。
【0191】
[ステップD24]制御部は、描画コマンド準備終了設定を実行する。描画コマンド準備終了設定は、演出表示編集処理で設定されるVDP312へのすべてのコマンドの準備が終了したことを設定する処理である。
【0192】
[ステップD25]制御部は、フレーム切替タイミングであるか否かを判定し、フレーム切替タイミングであればステップD26に進み、フレーム切替タイミングでなければフレーム切替タイミングを待つ。ここで、フレーム切替タイミングは、Vブランク割込み(Vシンク割込みともいう)の周期(たとえば1/60秒)を基に作成された処理周期(たとえば1/30秒≒33.333ms)に相当する時間的間隔で到来するタイミングである。なお、Vブランク割込みは、VDP312によって描画のための画面全体の1回の走査が終了する度に発生する。このVブランク割込みの発生周期は、前述したように、たとえば1/60秒である。本実施例の場合、同じ描画が2回繰り返されてVブランク割込みが2回発生するとフレーム切替がおこなわれ、フレーム切替タイミングの周期は、Vブランク割込みの周期(たとえば1/60秒)の2倍(たとえば1/30秒≒33.33ms)になる。但し、この態様に限られず、フレーム切替タイミングは適宜任意に変更可能であり、たとえば、1/30秒以上の周期でフレーム切替(画像の更新)をおこなってもよいし、1/30秒未満の周期でフレーム切替をおこなってもよい。
【0193】
フレーム切替タイミングの判定処理によって、これより後の処理(ステップD26乃至ステップD30、およびその後のステップD18乃至ステップD24)は、このフレーム切替タイミングで上記処理周期ごとに実行される。なお、演出内容と同期する必要のある時間管理は、このフレーム単位(即ち、上記処理周期単位)でおこなわれる。上記処理周期が、1/30秒の場合、たとえば3フレームでは100msになる。このことは、主基板(遊技制御装置)がタイマ割込み周期の4ms単位で時間値管理しているのと同様である。
【0194】
[ステップD26]制御部は、ステップD23で設定したコマンドにしたがいVDP312に画面描画を指示する。たとえば、制御部は、テーブル状に設定したコマンドを順次送信して、VDP312に画面描画を指示する。
【0195】
[ステップD27]制御部は、サウンド制御処理を実行する。サウンド制御処理は、スピーカ19からの音声の音量制御に関する処理である。
[ステップD28]制御部は、装飾制御処理を実行する。装飾制御処理は、盤装飾装置46や枠装飾装置18等の各種LED等を制御する処理である。
【0196】
[ステップD29]制御部は、可動体制御処理を実行する。可動体制御処理は、各種モータやSOL(ソレノイド)を含む可動体(たとえば、盤演出装置44)を制御する処理である。
【0197】
[ステップD30]制御部は、発射情報制御処理を実行する。発射情報制御処理は、発射状態フラグにもとづいて、発射関連情報を設定するとともに、特図回転状態(所定金額分(即ち所定貸球数分)の遊技あたりの特図変動回数)に応じた演出のモード補正をおこなう処理である。
【0198】
[ステップD31]制御部は、情報開示処理を実行する。情報開示処理は、遊技者に対して遊技性能に関する性能情報を開示する処理である。
制御部は、ステップD31を実行した後にステップD18に戻り、以降、ステップD18乃至ステップD31の処理を繰り返し実行する。即ち、ステップD18乃至ステップD31は、演出制御装置300の起動後に上記処理周期で繰り返し実行されるループ処理(場合によりメインループ処理という)を構成している。
【0199】
なお、制御部は、画面の演出に合わせるためメインループ処理内でステップD27乃至ステップD29の処理を実行しているが、これら制御処理で生成または設定された信号やデータ(特に各種LEDやモータを駆動制御する信号等)を実際にポートに出力する処理は、図示していない短周期のタイマ割込み内でおこなわれる。ただし、各種デバイスの制御に特化したICを使用している場合は、シリアル通信等で指示するだけで、タイマ割込みで信号等の出力をおこなわない場合もある。
【0200】
次に、遊技機10における表示装置41で表示する表示オブジェクトの種別について
図13を用いて説明する。
図13は、第1の実施形態の陰影有無に応じたオブジェクト種別表の一例を示す図である。
【0201】
なお、表示オブジェクトは、表示位置や重ね合わせ順位を制御可能な表示対象であり、たとえば、背景、ムービー、キャラクタ、アイコン、図柄、保留数、エラー表示、案内表示等がある。
【0202】
また、表示オブジェクトは、陰影の有無に応じて種別分けすることができる。A型オブジェクトは、陰表現と影表現のいずれもない。B型オブジェクトは、陰表現があるが影表現がない。C型オブジェクトは、陰表現がなく影表現がある。D型オブジェクトは、陰表現と影表現のいずれもある。
【0203】
ここで、陰(shade)と影(shadow)について定義を確認する。表示オブジェクトにおける陰表現は、表示オブジェクト上に表現される表示効果であり、仮想的に設定された光源と反対側に設定される表示オブジェクト上の相対的に暗い部分(陰領域、陰位置)である。表示オブジェクトにおける陰表現は、仮想的に設定された光源側に設定される表示オブジェクト上の明るい部分(陽領域、陽位置)との対照によって明確に識別可能になる。
【0204】
表示オブジェクトにおける影表現は、対象となる表示オブジェクトから離れて別の表示オブジェクト上に表現される表示効果であり、仮想的に設定された光源と反対側に投影される。
【0205】
すなわち、表示オブジェクトにおける陰表現は、陰表現の対象となる表示オブジェクトの表示効果により完結可能であり、表示オブジェクトにおける影表現は、影表現の対象となる表示オブジェクトの表示効果に留まらず投影対象となる表示オブジェクトにも表示効果が及ぶ。なお、表示オブジェクトにおける影表現は、投影対象となる表示オブジェクトに表示効果を及ぼすことに代えて、影だけを1つの表示オブジェクトとして新たに設定することもできる。
【0206】
このように、陰表現は、陰表現の対象となる表示オブジェクトだけを表示制御対象とすることができることから、2以上の表示オブジェクトを表示制御対象としなければならない影表現よりも表示制御の処理負荷が軽いと考えられる。
【0207】
一方で、陰表現は、陰表現の対象となる表示オブジェクトごとに仮想的に光源を設定可能であるため、光源の位置や強さが表示オブジェクトごとに統一されない虞がある。表示演出に用いる表示オブジェクトの出所が統一されずに各所でばらばらに制作された場合に不統一となる蓋然性が高い。
【0208】
たとえば、ムービーや背景、キャラクタ、図柄(識別情報)、保留アイコン、信頼度報知メッセージ、演出メッセージ、遊技案内等は、それぞれ表示オブジェクトとして、遊技機メーカや映像制作会社が分担して制作する。また、遊技機メーカは、ムービーや背景、キャラクタについて既存のコンテンツを流用することもある。このような背景から、表示演出に用いる表示オブジェクトの陰表現を統一することは、事実上困難である。
【0209】
このような陰表現を用いた表示演出は、遊技者に対して演出の不統一感を感得させる虞がある。しかしながら、統一感を持って表示オブジェクトを揃えることは容易でないが、コントラスト調整を含む表示効果を用いて陰表現の効果量を調整することは容易である。
【0210】
第1の実施形態において説明する遊技機は、仮想的に設定される光源に矛盾がある2以上の表示オブジェクトについて、陰濃度を基準にして統一感のある陰表現をおこなうことで全体として一定の統一感がある表示制御を実現するものであり、陰表現がある2以上の表示オブジェクトの識別性を向上する。
【0211】
次に、A型オブジェクト、B型オブジェクト、C型オブジェクト、およびD型オブジェクトの表示例について
図14を用いて説明する。
図14は、第1の実施形態の陰影有無に応じたオブジェクト概観の一例を示す図である。
【0212】
図14(1)に示す表示オブジェクト250は、A型オブジェクトの概観である。表示オブジェクト250は、陽領域250aを有し、陰領域を有しない。一般に表示オブジェクト250は、立体感を要しない表示オブジェクトを対象として、たとえばエラー表示や案内表示、小図柄、保留数表示、変動表示状態を明示する明滅で明示する第4図柄等に用いられる。
【0213】
図14(2)に示す表示オブジェクト251は、B型オブジェクトの概観である。表示オブジェクト251は、陽領域251aと陰領域251bを有する。表示オブジェクト251は、右上方の仮想的な光源により所定の陽領域251aと陰領域251bが設定されて立体感が演出されている。一般に、表示オブジェクト251は、立体感を演出する表示オブジェクトを対象として、たとえば信頼度報知やキャラクタ、大図柄、保留アイコン、消化アイコン、背景等に用いられる。
【0214】
図14(3)に示す表示オブジェクト252は、C型オブジェクトの概観である。表示オブジェクト252は、陽領域252aと影領域252cを有し、陰領域を有しない。表示オブジェクト252は、右上方の仮想的な光源により所定の影領域252cが設定されて立体感が演出されている。表示オブジェクト252は、影領域252cを他の表示オブジェクトに投影するため表示制御に係る処理負担が大きい。一般に、表示オブジェクト252は、高い演出効果を発揮する場面で、キャラクタ、大図柄、保留アイコン、消化アイコン等に用いられる。
【0215】
図14(4)に示す表示オブジェクト253は、D型オブジェクトの概観である。表示オブジェクト253は、陽領域253aと陰領域253bと影領域253cを有する。表示オブジェクト253は、右上方の仮想的な光源により所定の陽領域253aと陰領域253bが設定され、かつ所定の影領域253cが設定されて立体感が演出されている。表示オブジェクト253は、影領域253cを他の表示オブジェクトに投影するため表示制御に係る処理負担が大きい。一般に、表示オブジェクト253は、高い演出効果を発揮する場面で、キャラクタ、大図柄、保留アイコン、消化アイコン等に用いられる。
【0216】
遊技機10は、これらA型オブジェクト、B型オブジェクト、C型オブジェクト、およびD型オブジェクトを適宜に使い分けて、負担可能な表示制御処理の制限下で表示演出効果の発揮を図る。
【0217】
次に、陰影濃度と重畳順位の関係について
図15を用いて説明する。
図15は、第1の実施形態の陰影濃度と重畳順位の関係の一例を示す図である。遊技機10は、複数の表示オブジェクトに陰影を設定することができる。このとき、遊技機10は、所定の重畳順位を設定して複数の表示オブジェクトを表示することができる。
【0218】
まず、影濃度と重畳順位の関係について、
図15(1)を用いて説明する。影領域255から258は、それぞれ異なる表示オブジェクトの影として投影表示されたものである。なお、影領域255から258を投影するそれぞれの表示オブジェクトについては図示省略する。
【0219】
影領域255から258は、重畳順位に関係なく所定の影濃度で表示される。また、影領域255から258は、重畳することで一体化して表示され得る。このように、影領域255から258は、当該影領域255から258を投影することとなる表示オブジェクトの重畳順位を反映して表示されるものにならない。
【0220】
次に、陰濃度と重畳順位の関係について、
図15(2)を用いて説明する。陰領域259から262は、それぞれ異なる表示オブジェクトの陰として表示されたものである。なお、陰領域259から262と対となるそれぞれの陽領域については図示省略する。
【0221】
陰領域259から262は、重畳順位に関係して所定の陰濃度で表示される。たとえば、重畳順位1位である陰領域259は最も陰濃度が高く、重畳順位2位である陰領域260は2番目に陰濃度が高く、重畳順位3位である陰領域261は3番目に陰濃度が高く、重畳順位4位である陰領域262は最も陰濃度が低い。このように、陰領域259から262は、当該陰領域259から262の濃度順位が重畳順位を反映して表示される。これにより、遊技機10は、陰領域259から262を有する各表示オブジェクトの表示優先順位を明示して各表示オブジェクトの識別力を向上させることができる。このような遊技機10は、陰表現のある表示オブジェクトを用いた表示演出において高い演出効果の発揮に貢献する。
【0222】
次に、オブジェクト表示の対象となり得る表示要素について
図16から
図18を用いて説明する。
図16は、第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その1)を示す図である。
図17は、第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その2)を示す図である。
図18は、第1の実施形態のオブジェクト表示の一例(その3)を示す図である。なお、
図16から
図18においては、オブジェクト表示の対象となり得る表示要素に陰表現が設定可能であることを説明するものであり、図示を簡単にするために陰表現を省略する。
【0223】
図16(1)に示すオブジェクト表示例は、表示画面500に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面500は、図柄停止中の表示画面であり、変動表示ゲームにおける変動表示終了後(次の変動表示ゲーム開始前)に変動表示ゲームの結果態様である図柄を所定期間停止表示するものである。表示画面500は、大図柄群501と、小図柄群502と、特
図1保留数表示503と、特
図2保留数表示504と、待機保留表示505と、消化保留表示506と、背景表示507を表示する。
【0224】
大図柄群501は、興趣向上を目的として遊技演出を担当する。そのため、大図柄群501は、表示装置41の略中央部に変動表示領域を設定して大きく表示される。大図柄群501は、左図柄と中図柄と右図柄とを含む。また、大図柄群501は、背景となるベース部と、数字により第1の識別力を有する数字表示と、四角、三角、星等の図形によるイメージにより第2の識別力を有するイメージ表示とを含む。大図柄群501は、第1の識別力または第2の識別力、あるいはその両方により識別情報としての識別力を有する。
【0225】
表示画面500では、左図柄は、図柄が「3」で停止していることを示し、中図柄は、図柄が「5」で停止していることを示し、右図柄は、図柄が「7」で停止していることを示す。すなわち、表示画面500では大図柄群501は、特図変動表示ゲームが停止状態(図柄停止中)であることを示す。
【0226】
小図柄群502は、遊技者の遊技状態把握の容易性向上を目的として変動表示状態の報知を担当する。そのため、小図柄群502は、大図柄群501による表示演出を邪魔せず視認性を確保するように表示装置41の周縁部に小さく表示される。小図柄群502は、左図柄と中図柄と右図柄とを含む。表示画面500では、小図柄群502を構成する左図柄と中図柄と右図柄は、いずれも対応する特図変動表示ゲームが停止状態であることを示す。
【0227】
一般に、大図柄群501は、小図柄群502と比較して大きく表示され、表示位置の自由度が高く、またその表示態様が大きく変化可能である。反対に、小図柄群502は、大図柄群501と比較して、小さく表示され、表示位置の自由度が低い(たとえば位置固定)。
【0228】
なお、遊技機10は、表示装置41あるいは表示装置41と別に設けられる表示装置において第4図柄を表示するようにしてもよい。第4図柄は、特
図1ゲームの変動表示状態または特
図2ゲームの変動表示状態を明示する。
【0229】
特
図1保留数表示503は、特
図1ゲームの保留記憶数を表示する。表示画面500では、特
図1保留数表示503は、特
図1ゲームの保留記憶数が「3」であることを示す。特
図2保留数表示504は、特
図2ゲームの保留記憶数を表示する。表示画面500では、特
図2保留数表示504は、特
図2ゲームの保留記憶数が「0」であることを示す。
【0230】
待機保留表示505は、現在の遊技状態(たとえば、通常遊技状態)に対応して特
図1ゲームの保留数に対応する数の待機保留アイコン505iが表示される様子を示す。待機保留表示505は、所定の保留台座を表示し、保留台座ごとに待機保留アイコン505iを1つ表示可能である。待機保留アイコン505iは、たとえば、球形状であり、待機保留アイコン505iもまたアニメーション(たとえば、変形、色変化、上下動等)により動きを伴った表示を演出可能である。また、消化保留表示506は、特図ゲームの保留消化に対応する保留消化アイコン508が表示される様子を示す。保留消化アイコン508は、たとえば、球形状であり、保留消化アイコン508もまたアニメーション(たとえば、変形、色変化、上下動等)により動きを伴った表示を演出可能である。
【0231】
たとえば、表示画面500に示すように特
図1保留数表示503が「3」を表示し、特
図2保留数表示504が「0」を表示するとき、待機保留表示505は、3つの保留記憶表示により保留記憶数が「3」であることを示す。なお、保留数または保留記憶数とは、特図の変動表示ゲームが未実行である始動記憶の数を意味する。
【0232】
待機保留表示505は、その表示態様(待機保留表示505に表示した保留記憶表示)により、特図変動表示ゲームの保留記憶数を明示するとともに、保留記憶ごとのゲーム結果に対する期待度を報知できる。
【0233】
消化保留表示506は、その表示態様により、特図変動表示ゲームが変動表示状態にあるか否かを示すとともにゲーム結果に対する期待度を報知できる。消化保留表示506は、所定の保留台座を表示し、保留台座に保留消化アイコン506iを1つ表示可能である。表示画面500では消化保留表示506は、枠内(保留台座)をブランク(空白)にして、特図変動表示ゲームが停止状態であることを示す。この後、遊技機10は、変動表示を開始する。
【0234】
背景表示507は、各表示要素の背景となる表示要素であり、通常、最背面となる表示要素である。背景表示507は、静止画像として表示される場合の他、動画像として表示される場合もある。
【0235】
なお、待機保留表示505は、遊技状態に応じて特
図1ゲームの保留数と特
図2ゲームの保留数のうちいずれか一方の保留数を待機保留アイコン505iにより表示するとしたが、特
図1ゲームの保留数と特
図2ゲームの保留数の合計保留数を待機保留アイコン505iにより表示するものであってもよい。
【0236】
図16(2)に示すオブジェクト表示例は、表示画面510に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面510は、変動表示開始した後の表示画面である。表示画面510は、表示画面500の後の画面であって、変動表示中(三図柄変動中)の画面を示す。表示画面510では、大図柄群501の左図柄と中図柄と右図柄とが変動しており、特図変動表示ゲームが変動表示中であることを示す。また、表示画面510では、小図柄群502の左図柄と中図柄と右図柄とが所定速度で一様に変動しており、特図変動表示ゲームが変動表示中であることを示す。
【0237】
表示画面510では、特
図1保留数表示503は、特
図1ゲームの保留記憶数が「2」であることを示し、特
図2保留数表示504は、特
図2ゲームの保留記憶数が「0」であることを示し、待機保留表示505は、特
図1ゲームの保留数を案内する遊技状態であり、特図変動表示ゲーム(特
図1ゲーム)の保留記憶数が「2」であることを示す。また、表示画面510では、消化保留表示506は、保留消化アイコン506iにより消化中の保留記憶表示を表示し、特図変動表示ゲームが変動表示中であることを示す。
【0238】
なお、表示画面500や表示画面510は、図示しないキャラクタ表示、文字表示等の演出表示要素を含むものであってもよく、演出表示要素もまたアニメーション等により動きを伴った表示を演出可能であってもよい。
【0239】
図17(1)に示すオブジェクト表示例は、表示画面512に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面512は、表示画面510の後の画面であって、リーチ変動中の表示画面である。
【0240】
表示画面512は、大図柄群501の縮小表示態様513と、演出案内メッセージ表示514と、演出案内イメージ表示515と、信頼度表示516と、キャラクタ表示517と、エフェクト表示518を表示要素に含む。縮小表示態様513は、大図柄群501を縮小表示してリーチ演出を表示可能な領域を大きく確保可能にしてリーチ変動を明示する。演出案内メッセージ表示514は、リーチ演出の名称や説明を文字表示してリーチ演出を案内する。演出案内イメージ表示515は、リーチ演出をイメージ表示してリーチ演出を案内する。信頼度表示516は、星等の数や色、形状等の表示態様でリーチの大当り信頼度を案内(示唆)する。キャラクタ表示517は、キャラクタの種類、数、動作、色や模様等の表示態様でリーチの大当り信頼度を案内(示唆)する。エフェクト表示518は、所定の表示効果であり、他の表示要素を装飾する。
【0241】
図17(2)に示すオブジェクト表示例は、表示画面520に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面520は、表示画面512の後の画面であって、大当り中の表示画面である。
【0242】
表示画面520は、当り図柄表示521と、打ち方案内表示522と、演出ムービー523と、タイトル表示524と、履歴情報表示525を表示要素に含む。当り図柄表示521は、大図柄群501を縮小表示して当り図柄を表示可能な領域を大きく確保可能にして当り図柄を明示する。なお、当り図柄表示521は、当り図柄組合せを構成するすべての図柄(3図柄)を表示することに限らず、当り図柄組合せを代表する1図柄を表示するものであってもよい。打ち方案内表示522は、遊技者に遊技状態に応じた打ち方(たとえば、右打ちや左打)を案内する表示であり、文字表示とピクトグラム表示、またはそのいずれか一方を含む。演出ムービー523は、大当たりを演出するムービーである。なお、演出ムービーは、大当たりに限らず、リーチや客待ち等、その他の場面でも表示可能である。タイトル表示524は、遊技機10の機種名やリーチ名、モード名、遊技状態名等を案内する表示である。履歴情報表示525は、遊技履歴を案内する表示であり、たとえば、大当り回数、過去の大当り時の大当り図柄の履歴、当該大当り中の獲得賞球数や、所定期間の獲得賞球数等を表示する。また、履歴情報表示525は、獲得賞球数に代えて、あるいは獲得賞球数に加えて獲得見込み賞球数を表示するものであってもよい。また、履歴情報表示525は、大当たりに限らず、通常時にも表示可能であり、時短継続回数や残り時短回数を表示するものであってもよい。
【0243】
図18(1)に示すオブジェクト表示例は、表示画面528に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面528は、電源投入時の画面である。表示画面528は、電源復旧案内表示529と、電源復旧時遊技情報表示530を表示要素に含む。
【0244】
電源復旧案内表示529は、電源復旧を案内する表示である。電源復旧を案内する表示は、RWMリセットを伴う電源投入である場合にRWMリセットがあった旨を案内し、RWMリセットを伴わない電源投入である場合に電源断時の遊技状態に復旧する旨を案内する。電源復旧時遊技情報表示530は、表示内容が正常に復帰するまでの間、電源復旧時の所要の遊技情報(たとえば、変動表示中であるか否か、保留数の有無、打ち方等)を案内する。
【0245】
図18(2)に示すオブジェクト表示例は、表示画面532に含まれる表示要素をオブジェクト表示するものである。表示画面532は、エラー発生時の画面である。表示画面532は、エラー表示533,534と、演出表示535を表示要素に含む。
【0246】
エラー表示533,534は、ともに発生中のエラーを案内する表示であり、エラーからの復旧方法を含むものであってもよい。エラー表示533は、エラー表示534よりも強いエラーであり、エラー表示534に優先(たとえば、重畳)して表示される。エラー表示533,534は、いずれも演出表示535に優先して表示される。演出表示535は、演出に係る所要の表示要素であり、たとえば、ムービー表示、キャラクタ表示、文字表示等であってもよい。
【0247】
このように、遊技機10は、遊技制御状態に応じた多様な表示要素を表示装置41に表示可能であり、また遊技制御状態に応じて優先順位を設定して各表示要素を表示可能である。
【0248】
次に、レイヤ構成と陰ありオブジェクトの陰濃度との関係について
図19を用いて説明する。
図19は、第1の実施形態のレイヤ構成と陰ありオブジェクトの陰濃度との関係例を示す図である。表示レイヤは、画像が手前側にあるものとして優先的に表示されるか、あるいは逆に奥手側にあるものとして表示されるか、という画像(表示要素)同士の相対的な重畳(前後)関係を大別する制御処理上のレイヤ(層)である。たとえば、表示位置が重なる異なる二つの画像が異なる表示レイヤに配置されて描画された場合、奥手(後)側の優先度の低い表示レイヤに配置された画像は、手前側の優先度の高い表示レイヤに配置された画像によって重なった部分で遮蔽され、この手前側の画像の透明度がゼロであれば重なった部分では後側の画像は制御上描画されていても表示装置41の観察者からは全く見えなくなる。
【0249】
本実施形態の場合、最前面に位置して重畳順位(表示優先順位)がもっとも高い第1層となる表示レイヤL1から重畳順位(表示優先順位)がもっとも低い第8層となる表示レイヤL8まで、順に表示レイヤL1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8とを有する。
【0250】
上記表示レイヤとしては、手前側(重畳順位上位側、優先度の高い側)から順に、表示レイヤL1、表示レイヤL2、表示レイヤL3、表示レイヤL4、表示レイヤL5、表示レイヤL6、表示レイヤL7、表示レイヤL8がある。なお、図中の「電源復旧画面」、「演出案内画面」等といった文字は各表示レイヤの説明であり、各表示レイヤに表示されるものではない。
【0251】
表示レイヤL1は、報知優先順位が高いエラー(エラー報知(優))を対象とするエラー報知画面と、電源復旧画面を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL2は、報知優先順位が低いエラー(エラー報知(劣))を対象とするエラー報知画面と、遊技案内画面を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL3は、演出案内画面と、小図柄や小保留を表示対象とする画面を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL4は、表示優先順位が高いムービー画面(ムービー(優))を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL5は、キャラクタ、表示優先順位が高いエフェクト(エフェクト(優))を表示対象とする画面を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL6は、大図柄や大保留を表示対象とする画面を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL7は、表示優先順位が低いムービー画面(ムービー(劣))を表示するための表示レイヤである。表示レイヤL8は、背景や表示優先順位が低いエフェクト(エフェクト(劣))を表示対象とする画面を表示するための表示レイヤである。
【0252】
報知優先順位が高いエラーは、報知優先順位が低いエラーよりも報知優先順位が高いエラーである。なお換言すれば、報知優先順位が高いエラーを対象とするエラー報知画面は、電源復旧画面に優先する表示画面であり、報知優先順位が低いエラーを対象とするエラー報知画面は、電源復旧画面に劣後する表示画面である。
【0253】
遊技機10は、RAM初期化、電源復旧、大入賞口不正入賞エラー、普電不正入賞エラー、磁気エラー、盤電波エラー、枠電波エラー、前枠開放エラー、遊技枠開放エラー、始動口エラー、スイッチ異常エラー、シュート球切れエラー、オーバーフローエラー、払出異常エラー、コネクタ抜け、動作異常等のエラーを報知可能である。また、遊技機10は、打ち方指示、カード忘れ、長時間遊技、のめり込み注意等の注意喚起を報知可能である。
【0254】
これら表示レイヤL1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8には、表示オブジェクトとして陰ありオブジェクト(B型オブジェクトまたはD型オブジェクト)を配置可能であり、当該表示オブジェクトに対応する陰領域もまた当該表示オブジェクトと同じ表示レイヤに配置される。
【0255】
たとえば、陰領域209は対応する表示オブジェクトともに表示レイヤL1に配置され、陰領域210は対応する表示オブジェクトともに表示レイヤL4に配置され、陰領域211は対応する表示オブジェクトともに表示レイヤL5に配置され、陰領域212は対応する表示オブジェクトともに表示レイヤL8に配置される。このとき、陰領域209から212の順位で重畳関係があり、陰領域209から212の順位で高くなるように陰濃度が設定される。このようにして、遊技機10は、複数の陰ありオブジェクトが複数の表示レイヤに配置されたときに配置された表示レイヤの関係にしたがい陰濃度を調整できる。
【0256】
次に、単一レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係について
図20を用いて説明する。
図20は、第1の実施形態の単一レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係例を示す図である。
【0257】
表示レイヤL1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8には、それぞれ表示オブジェクトとして陰ありオブジェクト(B型オブジェクトまたはD型オブジェクト)を複数配置可能であり、当該表示オブジェクトに対応する陰領域もまた当該表示オブジェクトと同じ表示レイヤに配置される。
【0258】
たとえば、陰領域209から212に対応する表示オブジェクトが表示レイヤL6に、陰領域209に対応する表示オブジェクトを最前面にして、陰領域210に対応する表示オブジェクト、陰領域211に対応する表示オブジェクト、陰領域212に対応する表示オブジェクトの順に重畳配置されているとき、陰領域209から212の順位で高くなるように陰濃度が設定される。このようにして、遊技機10は、複数の陰ありオブジェクトが1つの表示レイヤに配置されたときに配置された表示レイヤの関係にしたがい陰濃度を調整できる。
【0259】
次に、複数レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係について
図21を用いて説明する。
図21は、第1の実施形態の複数レイヤにおける陰ありオブジェクトの重畳順位と陰濃度との関係例を示す図である。
【0260】
表示レイヤL1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8のうち2以上の表示レイヤに表示オブジェクトとして陰ありオブジェクト(B型オブジェクトまたはD型オブジェクト)を複数配置可能であり、当該表示オブジェクトに対応する陰領域もまた当該表示オブジェクトと同じ表示レイヤに配置される。
【0261】
たとえば、陰領域209,210に対応する表示オブジェクトが表示レイヤL6に、陰領域209に対応する表示オブジェクトを前面にして、陰領域210に対応する表示オブジェクトを背面にして重畳配置され、陰領域211,212に対応する表示オブジェクトが表示レイヤL8に、陰領域211に対応する表示オブジェクトを前面にして、陰領域212に対応する表示オブジェクトを背面にして重畳配置されているとき、陰領域209から212の順位で高くなるように陰濃度が設定される。このようにして、遊技機10は、複数の陰ありオブジェクトが複数の表示レイヤに配置されたときに配置された表示レイヤと表示レイヤ内の重畳関係にしたがい陰濃度を調整できる。
【0262】
次に、表示オブジェクトごとのパラメータ設定例について
図22を用いて説明する。
図22は、第1の実施形態の表示オブジェクトごとパラメータ設定例を示す図である。なお、10の表示オブジェクト(BD1からBD10)にパラメータ設定をおこなうものとする。パラメータ設定の対象となる表示オブジェクトは、陰領域を有するB型オブジェクトまたはD型オブジェクトとなる。
【0263】
まず、
図22(1)に表示オブジェクトごとのパラメータ設定の一例を示す。本例は、表示オブジェクト間に具体的な重畳関係があるか否かに関わらず、形式的に重畳関係を設定して陰濃度を設定可能にする。パラメータ「レイヤ」は、配置されるレイヤを表す。パラメータ「重畳順位」は、表示オブジェクトが配置される表示レイヤ、表示レイヤ内の重畳順位を表す。なお、パラメータ「重畳順位」は、表示オブジェクト間に重畳関係がなくても表示優先順位として設定され、数字が小さいほど優先順位が高い。パラメータ「陰濃度」は、表示オブジェクト間の相対的な陰濃度の濃さを表し、数字が小さいほど陰濃度が濃い。パラメータ「コントラスト」は、表示オブジェクトにおける陰領域と陽領域とのコントラストを示し、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。パラメータ「大きさ」は、表示オブジェクトの大きさを示す指標であり、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。パラメータ「中央位置」は、表示オブジェクトの配置位置を示す指標であり、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。
【0264】
たとえば、表示オブジェクトBD1は、レイヤ「1」に配置されていることから重畳順位「1」となり、陰濃度「1」が設定され、コントラスト「3」、大きさ「1」、中央位置「1」にしたがい具体的な陰濃度が設定される。
【0265】
これにより、遊技機10は、陰領域がある表示オブジェクトについて容易に相対的な陰濃度を決定できる。また、遊技機10は、相対的な陰濃度の関係を保持しながら、表示態様に併せて具体的な陰濃度を決定できる。
【0266】
次に、
図22(2)に表示オブジェクトごとのパラメータ設定の別例を示す。本例は、重畳関係がない表示オブジェクト間に陰濃度の順位関係を要しないことから、重畳関係がある表示オブジェクトに限定して陰濃度の順位関係を設定可能にする。パラメータ「レイヤ」は、配置されるレイヤを表す。パラメータ「重畳関係」は、表示レイヤの異同に関係なく重畳関係の有無を表す。パラメータ「重畳関係」は、表示オブジェクト間に重畳関係がないときに「0」。あるときに「1」である。パラメータ「陰濃度」は、表示オブジェクト間の相対的な陰濃度の濃さを表し、数字が小さいほど陰濃度が濃い。パラメータ「コントラスト」は、表示オブジェクトにおける陰領域と陽領域とのコントラストを示し、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。パラメータ「大きさ」は、表示オブジェクトの大きさを示す指標であり、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。パラメータ「中央位置」は、表示オブジェクトの配置位置を示す指標であり、相対的な陰濃度を絶対的な陰濃度に変換するときに用いられる。
【0267】
たとえば、表示オブジェクトBD1は、レイヤ「1」に配置されているが重畳関係「0」なので、任意の陰濃度「7」が設定され、コントラスト「3」、大きさ「1」、中央位置「1」にしたがい具体的な陰濃度が設定される。また、表示オブジェクトBD4は、レイヤ「4」に配置され、重畳関係「1」なので、陰濃度「1」が設定され、コントラスト「4」、大きさ「2」、中央位置「2」にしたがい具体的な陰濃度が設定される。
【0268】
すなわち、重畳関係がある表示オブジェクトBD4,BD5,BD6,BD8,BD9,BD10の間で相対的な陰濃度が設定され、重畳関係がない表示オブジェクトBD1,BD2,BD3,BD7は、任意の陰濃度が設定される。なお、重畳関係がない表示オブジェクトに設定される任意の陰濃度は、それぞれ同じ陰濃度であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0269】
これにより、遊技機10は、陰領域がある表示オブジェクトについて一層容易に相対的な陰濃度を決定できる。また、遊技機10は、相対的な陰濃度の関係を保持しながら、表示態様に併せて具体的な陰濃度を決定できる。
【0270】
次に、陰領域がある表示オブジェクトについて具体的な陰濃度決定をおこなう陰濃度決定処理について
図23から
図26を用いて説明する。
図23は、第1の実施形態の陰濃度決定処理のフローチャートの一例を示す図である。
図24は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの抽出例を示す図である。
図25は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰濃度設定例を示す図(その1)である。
図26は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰濃度設定例を示す図(その2)である。
【0271】
〔陰濃度決定処理〕
陰濃度決定処理は、陰領域がある表示オブジェクトの陰濃度を決定する処理である。陰濃度決定処理は、メイン処理のステップD23における演出表示編集処理内で演出制御装置300の制御部(CPU311)によって実行される処理である。
【0272】
[ステップD41]制御部は、陰濃度設定対象となる表示オブジェクトを抽出する。
図24(1)に示すオブジェクト一覧は、所定タイミングにおいて表示装置41において表示対象となる表示オブジェクトを示す。表示対象となる表示オブジェクトは、15(オブジェクト01からオブジェクト0F)ある。たとえば、オブジェクト01は、A型オブジェクトであり、表示レイヤL2に配置される。また、オブジェクト05は、B型オブジェクトであり、表示レイヤL2に配置される。
【0273】
陰濃度設定対象となる表示オブジェクトは、B型オブジェクトまたはD型オブジェクトであるから、制御部は、オブジェクト01からオブジェクト0Fのうちからオブジェクト種別にしたがいB型オブジェクトとD型オブジェクトを抽出する。
【0274】
図24(2)に示す陰濃度設定対象オブジェクト一覧は、
図24(1)に示したオブジェクト一覧からB型オブジェクトとD型オブジェクトを抽出した結果を示す。
[ステップD42]制御部は、陰濃度設定対象となる表示オブジェクトについてレイヤ間の相対的な陰濃度を設定(レイヤ間相対陰濃度設定)する。
【0275】
図25(1)に示すレイヤ間相対陰濃度設定は、
図24(2)に示した陰濃度設定対象オブジェクト一覧に相対濃度設定を割り当てたものである。抽出されたオブジェクト05から0D,0Fは、表示レイヤL2,L3,L4,L5,L6,L7の5つに配置されているので、10刻みで10から60の5段階の濃度設定を割り振る。これにより、表示レイヤL2に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「10」となり、表示レイヤL3に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「20」となり、表示レイヤL4に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「30」となり、表示レイヤL5に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「40」となり、表示レイヤL6に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「50」となり、表示レイヤL7に配置されている表示オブジェクトは相対濃度設定「60」となる。
【0276】
[ステップD43]制御部は、1つの表示レイヤに配置されている2以上の陰濃度設定対象となる表示オブジェクトについて相対的な陰濃度を設定(レイヤ内相対陰濃度設定)する。
【0277】
図25(1)に示したレイヤ間相対陰濃度設定によれば、表示レイヤL5にオブジェクト08,09,0A,0Fが配置されていることから、オブジェクト08,09,0A,0Fを対象にして相対的な陰濃度を設定する。なお、オブジェクト08が他に対して劣位、オブジェクト09,0Aが同位、オブジェクト0Fが優位であるとする。これにより、
図25(2)に示すL5レイヤ内相対陰濃度設定は、レイヤ間相対陰濃度を壊さないように1刻みで調整し、オブジェクト08が相対濃度設定「41」となり、オブジェクト09,0Aが相対濃度設定「42」となり、オブジェクト0Fが相対濃度設定「40」となる。
【0278】
また、
図25(1)に示したレイヤ間相対陰濃度設定によれば、表示レイヤL7にオブジェクト0C,0Dが配置されていることから、オブジェクト0C,0Dを対象にして相対的な陰濃度を設定する。なお、オブジェクト0C,0Dが同位であるとする。これにより、
図25(3)に示すL7レイヤ内相対陰濃度設定は、調整なしでオブジェクト0C,0Dが相対濃度設定「60」となる。
【0279】
[ステップD44]制御部は、レイヤ間相対陰濃度設定とレイヤ内相対陰濃度設定にもとづいて全体濃度順位を決定する。
図26に示すオブジェクト別陰濃度一覧における陰濃度順位は、
図25(1)に示したレイヤ間相対陰濃度設定、
図25(2)に示したL5レイヤ内相対陰濃度設定、及び
図25(3)に示したL7レイヤ内相対陰濃度設定にもとづいて順位付けされた陰濃度である。陰領域がある表示オブジェクトは、同位について同じ順としながら優劣にしたがい順位付けされる。なお、陰領域がない表示オブジェクトは、順位付けの対象外である。
【0280】
[ステップD45]制御部は、陰領域の陰濃度について遊技状態等の諸状態にしたがい状態補正をおこなう。たとえば、特定の表示オブジェクトについて陰領域を強調したい場合(視認性強化)、あるいは陰領域を強調したくない場合(視認性弱化)に補正する。
【0281】
図26に示すオブジェクト別陰濃度一覧における状態補正は、所定条件の成立にしたがいオブジェクト09のみ「+1」補正する。
[ステップD46]制御部は、陰濃度順位と状態補正にしたがい絶対的な陰濃度(絶対陰濃度)を設定する。たとえば、オブジェクト05は、陰濃度順位「1」と状態補正「0」にもとづいて絶対陰濃度「5」となり、オブジェクト06は、陰濃度順位「2」と状態補正「0」にもとづいて絶対陰濃度「10」となり、オブジェクト09は、陰濃度順位「6」と状態補正「+1」にもとづいて絶対陰濃度「31」となり、オブジェクト0Aは、陰濃度順位「6」と状態補正「0」にもとづいて絶対陰濃度「30」となる。
【0282】
なお、絶対陰濃度は、表示オブジェクトにおける陰領域の明度に対応するものとできるが、陽領域との対比によって明暗の認識が異なることから陽領域とのコントラストに対応するものとしてもよい。
【0283】
次に、ステップD45でおこなった状態補正例について
図27から
図30を用いて説明する。
図27は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの遊技状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
図28は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの変動表示状態ごとの相対濃度変化による陰濃度調整例を示す図である。
図29は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの保留表示状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
図30は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの役物動作状態ごとの陰濃度調整例を示す図である。
【0284】
図27(1)に示す表示画面540は、通常遊技状態においてその表示領域内に陰領域211を表示する。陰領域211は、対応する表示オブジェクトの陰領域であり、所定の陰濃度である。なお、陰領域211に対応する陽領域については図示省略する。
【0285】
陰領域211に対応する表示オブジェクトは、通常遊技状態、低確率高ベース遊技状態、高確率高ベース遊技状態等の状態遷移のある遊技状態において表示される表示要素の1つである。たとえば、陰領域211に対応する表示オブジェクトは、大図柄や待機保留表示、待機保留表示の台座、消化保留表示、消化保留表示の台座、その他の演出表示要素や案内表示要素等がある。
【0286】
図27(2)に示す表示画面541は、低確率高ベース遊技状態においてその表示領域内に陰領域210を表示する。なお、陰領域210に対応する陽領域については図示省略する。陰領域210は、対応する表示オブジェクトの陰領域であり、陰領域211と陰濃度が異なる(たとえば、大きい)。
【0287】
図27(3)に示す表示画面542は、高確率高ベース遊技状態においてその表示領域内に陰領域209を表示する。なお、陰領域209に対応する陽領域については図示省略する。陰領域209は、対応する表示オブジェクトの陰領域であり、陰領域210,211と陰濃度が異なる(たとえば、いずれよりも大きい)。
【0288】
このように、陰領域209,210,211に対応する表示オブジェクトは、同一の表示要素であり、遊技状態に応じて陰濃度を違えることで現在の遊技状態を案内可能にしている。また、陰領域209,210,211に対応する表示オブジェクトは、遊技状態に応じた陰濃度で表示要素の識別性向上に貢献し得る場合がある。
【0289】
図28(1)に示す表示画面544は、変動表示ゲームにおいてその表示領域内に陰領域211を表示する。陰領域211は、対応する飾り図柄(たとえば、大図柄)が変動状態にあるときの陰領域であり、所定の陰濃度である。なお、陰領域211に対応する陽領域については図示省略する。陰領域211に対応する飾り図柄は、変動状態、仮停止状態、停止状態等の状態遷移のある表示状態をもって表示される。
【0290】
図28(2)に示す表示画面545は、仮停止状態においてその表示領域内に飾り図柄に対応する陰領域210を表示する。なお、陰領域210に対応する陽領域については図示省略する。陰領域210は、対応する飾り図柄が仮停止状態にあるときの陰領域であり、陰領域211と陰濃度が異なる(たとえば、大きい)。
【0291】
図28(3)に示す表示画面546は、停止状態においてその表示領域内に陰領域209を表示する。なお、陰領域209に対応する陽領域については図示省略する。陰領域209は、対応する飾り図柄が停止状態にあるときの陰領域であり、陰領域210,211と陰濃度が異なる(たとえば、いずれよりも大きい)。
【0292】
このように、陰領域209,210,211に対応する飾り図柄は、表示状態に応じて陰濃度を違えることで現在の表示状態を案内可能にしている。また、陰領域209,210,211に対応する飾り図柄は、表示状態に応じた陰濃度で表示要素の識別性向上に貢献し得る場合がある。
【0293】
図29(1)に示す表示画面547は、変動表示ゲームにおいてその表示領域内に陰領域211を表示する。陰領域211は、保留表示(待機保留表示、あるいは消化保留表示)が定常状態にあるときの陰領域であり、所定の陰濃度である。なお、陰領域211に対応する陽領域については図示省略する。陰領域211に対応する保留表示は、定常状態、発生状態、シフト状態等の状態遷移のある表示状態をもって表示される。なお、定常状態は、待機保留表示アイコンあるいは消化保留アイコンが待機(消化)アニメーションを繰り返し表示する状態であり、発生状態は、待機保留表示アイコンが発生アニメーションを1回表示する状態であり、シフト状態は、待機保留表示アイコンがシフトアニメーションを1回表示する状態である。
【0294】
図29(2)に示す表示画面548は、変動表示ゲームにおいてその表示領域内に陰領域210を表示する。なお、陰領域210に対応する陽領域については図示省略する。陰領域210は、保留表示(待機保留表示)が発生状態にあるときの陰領域であり、陰領域211と陰濃度が異なる(たとえば、大きい)。
【0295】
図29(3)に示す表示画面549は、変動表示ゲームにおいてその表示領域内に陰領域209を表示する。なお、陰領域209に対応する陽領域については図示省略する。陰領域209は、保留表示(待機保留表示)がシフト状態にあるときの陰領域であり、陰領域210,211と陰濃度が異なる(たとえば、いずれよりも大きい)。
【0296】
このように、陰領域209,210,211に対応する保留表示は、表示状態に応じて陰濃度を違えることで現在の表示状態を案内可能にしている。また、陰領域209,210,211に対応する保留表示は、表示状態に応じた陰濃度で表示要素の識別性向上に貢献し得る場合がある。
【0297】
なお、陰領域209,210,211に対応する表示要素を飾り図柄や保留表示を例示したが、表示状態に対応して陰濃度を変更可能であれば、移動表示のある表示要素、形態変化のある表示要素、色彩変化のある表示要素等にも適用可能である。
【0298】
図30(1)に示す表示画面550は、その表示領域内に陰領域211を表示する。陰領域211は、対応する表示オブジェクトの陰領域であり、所定の陰濃度である。なお、陰領域211に対応する陽領域については図示省略する。陰領域211に対応する表示オブジェクトは、任意の表示要素の1つである。
【0299】
図30(1)に示す表示画面551は、表示画面550の前面に役物(可動物)552が移動してきたときの表示画面である。表示画面551は、その表示領域内に陰領域212を表示する。陰領域212は、陰領域211と陰濃度が異なる(たとえば、小さい)。
【0300】
図30(2)に示す表示画面553は、その表示領域内に陰領域211を表示する。陰領域211は、対応する表示オブジェクトの陰領域であり、所定の陰濃度である。なお、陰領域211に対応する陽領域については図示省略する。陰領域211に対応する表示オブジェクトは、任意の表示要素の1つである。
【0301】
図30(2)に示す表示画面554は、表示画面550の前面に役物(可動物)552が移動してきたときの表示画面である。表示画面551は、その表示領域内に陰領域210を表示する。陰領域210は、陰領域211と陰濃度が異なる(たとえば、大きい)。
【0302】
このように、遊技機10は、表示画面の前面における役物552の有無に応じて、陰領域の陰濃度を違えることができ、表示画面の前面に役物552が移動してきたことによる表示要素の識別力低下を抑制する。たとえば、役物552は、表示領域に影を落とすこともあるし、役物552が備える発光装置(図示せず)の発光により、表示要素の識別力を低下させる場合がある。
【0303】
なお、表示画面の前面に役物552が移動してきたときに、陰領域の陰濃度を大きくするか、小さくするかは、表示要素の表示態様や役物552による表示要素の識別力低下態様に応じて決定すればよい。
【0304】
次に、陰濃度調整について
図31と
図32を用いて説明する。
図31は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰領域と陽領域との相対濃度変化による濃度調整例を示す図(その1)である。
図32は、第1の実施形態の陰濃度設定対象オブジェクトの陰領域と陽領域との相対濃度変化による濃度調整例を示す図(その2)である。
【0305】
図31(1)に示す陰濃度変化例は、表示オブジェクト(B型オブジェクト)555の陽領域555aの陰濃度(陽濃度)を固定して、陽領域555aの対照となる陰領域555bの陰濃度を変化させるものである。このように、遊技機10は、表示要素における陰領域の陰濃度を変化させることで表示要素の識別力を変化させることができる。
【0306】
図31(2)に示す陰濃度変化例は、表示オブジェクト(B型オブジェクト)556の陰領域556bの陰濃度を固定して、陰領域556bの対照となる陽領域556aの陰濃度(陽濃度)を変化させるものである。このように、遊技機10は、表示要素における陰領域の対照となる陽領域の陰濃度を変化させることで表示要素の識別力を変化させることができる。
図31に示した陰濃度調整例は、表示要素の描画データの色彩、明度、コントラスト等の調整により実現可能であるため、表示制御負担を過大にすることがない。
【0307】
図32(1)に示す陰濃度変化例は、表示オブジェクト(B型オブジェクト)557の陽領域557aの陰濃度(陽濃度)と陰領域557bの陰濃度とを固定して、陽領域557aと陰領域557bの位置を変化させて見かけ上の陰濃度を変化させるものである。このように、遊技機10は、表示要素における陰領域の見かけ上の陰濃度を変化させることで表示要素の識別力を変化させることができる。
【0308】
図32(2)に示す陰濃度変化例は、表示オブジェクト(B型オブジェクト)558の陽領域558aの陰濃度(陽濃度)と陰領域558bの陰濃度とを固定して、陽領域558aと陰領域558bの面積比を変化させて見かけ上の陰濃度を変化させるものである。このように、遊技機10は、表示要素における陰領域の見かけ上の陰濃度を変化させることで表示要素の識別力を変化させることができる。
図32に示した陰濃度調整例は、表示要素の描画データの差替えにより実現可能である。
【0309】
次に、飾り図柄における陰濃度表示例について
図33と
図34を用いて説明する。
図33は、第1の実施形態の飾り図柄(陰濃度設定対象オブジェクト)の陰領域表示例(その1)を示す図である。
図34は、第1の実施形態の飾り図柄(陰濃度設定対象オブジェクト)の陰領域表示例(その2)を示す図である。
【0310】
図33(1)に示す表示画面590は、変動表示ゲームにおける左飾り図柄(左大図柄)に相当する表示オブジェクト591と中飾り図柄(中大図柄)に相当する表示オブジェクト592と右飾り図柄(右大図柄)に相当する表示オブジェクト593とを表示する。
【0311】
表示オブジェクト591は、陽領域591aの左下側に陰領域591bを配置し、表示オブジェクト592は、陽領域592aの下側に陰領域592bを配置し、表示オブジェクト593は、陽領域593aの右下側に陰領域593bを配置する。このように、遊技機10は、飾り図柄ごとに陽領域に対する陰領域の位置を違えて、飾り図柄が左飾り図柄、中飾り図柄、右飾り図柄のいずれであるかを明示するようにしてもよい。
【0312】
図33(2)に示す表示画面594は、変動表示ゲームにおける左飾り図柄(左大図柄)に相当する表示オブジェクト591と中飾り図柄(中大図柄)に相当する表示オブジェクト592と右飾り図柄(右大図柄)に相当する表示オブジェクト593とを表示する。
【0313】
表示オブジェクト591は、陽領域591aの左下側に所定の陰濃度の陰領域591bを配置し、表示オブジェクト592は、陽領域592aの左下側に陰領域591bと異なる陰濃度(たとえば、陰濃度が大きい)の陰領域592bを配置し、表示オブジェクト593は、陽領域593aの左下側に陰領域591bと異なる陰濃度(たとえば、陰濃度が小さい)の陰領域593bを配置する。このように、遊技機10は、飾り図柄ごとに陽領域に対する陰領域の陰濃度を違えて、飾り図柄が左飾り図柄、中飾り図柄、右飾り図柄のいずれであるかを明示するようにしてもよい。
【0314】
図34(1)に示す表示画面595は、変動表示ゲームにおける左飾り図柄(左大図柄)に相当する表示オブジェクト591と中飾り図柄(中大図柄)に相当する表示オブジェクト592と右飾り図柄(右大図柄)に相当する表示オブジェクト593とを表示する。
【0315】
表示オブジェクト591は、陽領域591aの左下側に所定の大きさの陰領域591bを配置し、表示オブジェクト592は、陽領域592aの左下側に陰領域591bと異なる大きさ(たとえば、陰領域が大きい)の陰領域592bを配置し、表示オブジェクト593は、陽領域593aの左下側に陰領域591bと同じ大きさの陰領域593bを配置する。このように、遊技機10は、飾り図柄に応じて陽領域に対する陰領域の大きさを違えて、飾り図柄を案内するようにしてもよい。
【0316】
図34(2)に示す表示画面596は、変動表示ゲームにおける左飾り図柄(左大図柄)に相当する表示オブジェクト591と中飾り図柄(中大図柄)に相当する表示オブジェクト592と右飾り図柄(右大図柄)に相当する表示オブジェクト593とを表示する。
【0317】
表示オブジェクト591は、陽領域591aの左下側に所定の透過度(たとえば、不透過)の陰領域591bを配置し、表示オブジェクト592は、陽領域592aの左下側に陰領域591bと異なる透過度(たとえば、半透過)の陰領域592bを配置し、表示オブジェクト593は、陽領域593aの左下側に陰領域591bと同じ透過度の陰領域593bを配置する。陰領域591b,593bは、背景となる表示オブジェクト597を当該陰領域越しに視認不能にするが、陰領域592bは、背景となる表示オブジェクト597を当該陰領域越しに視認可能にする。このように、遊技機10は、飾り図柄に応じて陽領域に対する陰領域の透過度を違えて、飾り図柄を案内するようにしてもよい。
【0318】
なお、飾り図柄がリーチ態様形成図柄であるか、リーチ時変動図柄であるか等の性格付け、あるいは飾り図柄が確率変動図柄であるか否か等の価値付け等により、飾り図柄ごとに陽領域に対する陰領域の位置や大きさ、陰濃度、透過度を違えるようにしてもよい。
【0319】
次に、表示オブジェクトごとに陰領域の位置に矛盾が生じ得る場合があることについて
図35を用いて説明する。
図35は、第1の実施形態のオブジェクト別陰位置矛盾例を示す図である。
【0320】
たとえば、表示画面590(
図33参照)で示した飾り図柄ごとに陽領域に対する陰領域の位置の違いは、意図的なものであるし、光源の設定位置によっては矛盾なく見える。しかしながら、既存のアニメーション素材から切り出したカット画面等は、当該アニメーションにおける陰設定がされているため、カット画面Aは陰領域が左下側にあっても、カット画面Bでは陰領域が右下側にあるなどして統一を図ることができない。
【0321】
たとえば、表示画面597は、飾り図柄として表示オブジェクト591,592,593を表示する。表示オブジェクト591,592,593は、それぞれ陽領域591a,592a,593aと陰領域591b,592b,593bの位置関係を揃えて一体感のある陰表現をおこなっている。
【0322】
一方で、既存のアニメーション素材から切り出したカット画面598は、表示オブジェクト591,592,593と異なる光源を設定して描画されているため両者の光源に矛盾があり、注意深く観察する遊技者に違和感を与える虞がある。
【0323】
しかしながら、表示画面597は、カット画面598の陽領域598aに対する陰領域598bの陰濃度を、表示オブジェクト591,592,593の陽領域591a,592a,593aに対する陰領域591b,592b,593bの陰濃度と違えている。
【0324】
これにより、遊技機10は、カット画面598と表示オブジェクト591,592,593の陰領域の光源の矛盾よりも、陰濃度の違いに注意を喚起することができる。結果として、遊技機10は、仮想的に設定される光源に矛盾がある2以上の表示オブジェクトについて、陰濃度を基準にして統一感のある陰表現をおこなうことで全体として一定の統一感がある表示制御を実現するものであり、陰表現がある2以上の表示オブジェクトの識別性を向上する。
【0325】
また、上述した第1の実施形態の遊技機10(変形例を含む)は、一側面において以下のような特徴を有する。なお、従来の遊技機は、多様な表示対象の表示において識別性が十分ではない虞があった。第1の実施形態の遊技機10は、表示対象が多様であってもその識別性を向上可能な遊技機を提供する。
(1)遊技機(たとえば、遊技機10)は、第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを陰表現をもって表示可能な表示手段と、第1表示オブジェクトよりも側に第2表示オブジェクトを表示するとき、第1表示オブジェクトに設定される陰濃度よりも第2表示オブジェクトに設定される陰濃度を相対的に濃くする陰濃度制御手段と、を含む(たとえば、
図21参照)。
【0326】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の遊技機10について説明する。第2の実施形態の遊技機10は、基板ボックスに少なくとも2つのシールを貼付しながらも、基板上に実装された部品の確認を容易にして確かな不正対策を実現可能にしている。まず、遊技機10における基板配置環境について
図36を用いて説明する。
図36は、第2の実施形態の遊技機の一例を示す斜視図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、符号を同じにして説明を省略する。
【0327】
図36は、遊技機10が外枠(本体枠)11に対して前面枠12を開放する様子を示す。遊技機10は、一般に島と呼ばれる遊技場設備に外枠11を固定し、前面枠12を開放することによって係員によるメンテナンス作業をおこなえるようにしている。そのため、遊技機10は、外枠11に前面枠12を軸支する軸支側よりも開放側において、設置環境でのメンテナンス作業性が優れる。特に、近時の遊技機は、前面枠12の前面側構成部材(たとえば、枠装飾装置18や上皿21等)の突出量が大きいことから、前面枠12が遊技場設備(たとえば、呼び出しランプや、カードユニット等)と干渉し、前面枠12の開放量が制限される場合がある。なお、外枠11は、左側を回動軸として前面枠12を開閉可能にするが、右側を回動軸として前面枠12を開閉可能にするものであってもよい。
【0328】
前面枠12は、遊技盤30の裏面側に遊技制御装置100と演出制御装置300とを備える。遊技制御装置100は、コネクタ接続部を臨ませて基板ボックスに収容される遊技制御基板600を含む。演出制御装置300は、コネクタ接続部を臨ませて基板ボックスに収容される演出制御基板601を含む。さらに、前面枠12は、前面枠(本体枠)12から裏面側に臨む各種基板602,603,604を備える。各種基板602,603,604は、制御基板(たとえば、払出制御基板)、中継基板(たとえば、中継基板70)、その他基板(たとえば、LED基板やセンサ基板)等である。また、前面枠12は、前面枠12を開放したときに部品実装面を視認可能にして、遊技制御基板600、演出制御基板601、各種基板602,603,604を支持する。
【0329】
遊技機10は、遊技制御基板600、演出制御基板601、および各種基板602,603,604をハーネスにより電気的に接続する。このとき、ハーネスは、基板間の信号を送受信する信号線、または基板間の電力を送信する電力線として機能する。
【0330】
前面枠12は、各種基板と、図示を省略するが基板に接続するハーネスとを裏面側に臨ませて備える。なお、前面枠12は、図示しない保護カバーを介して基板やハーネスを裏面側に臨ませる場合がある。
【0331】
次に、不正対策として最も重要な管理対象となる遊技制御装置100の概観について
図37を用いて説明する。
図37は、第2の実施形態の遊技制御装置の概観の一例を示す図である。
【0332】
遊技制御装置100は、取付ベース624を介して前面枠12に支持される。遊技制御装置100は、基板ボックス620に遊技制御基板600を収容する。基板ボックス620は、正面視で略長方形の箱型形状であり、上側となる長辺に係合部を備え、下側となる対辺に係止部を備えて取付ベース624に取り付けられる。取付ベース624は、基板ボックス620よりも一回り大きな略長方形形状であり、基板ボックス620の係合部に対応して被係合部を備え、基板ボックス620の係止部に対応して被係止部を備える。
【0333】
基板ボックス620は、係合部と被係合部とを先に係合して、係合部を回動軸にして取付ベース624に載置してから係止部を被係止部に係止することで、取付ベース624に固定される。なお、基板ボックス620を取付ベース624から取り外す場合に、基板ボックス620は、係止部と被係止部との係止状態を解く操作を要する。したがって、係止部は、遊技機10の保守作業をおこなう作業者にとって基板ボックス620の係止状態を解くための操作部としての側面を有する。
【0334】
基板ボックス620は、主要な構造体として上側部材(蓋体)と下側部材(底体)とを有し、上側部材と下側部材とで遊技制御基板600を挟持して収容する。上側部材は、基板支持部(たとえばボス)で遊技制御基板600を支持し、ビスによって遊技制御基板600を固定する。また、下側部材は、基板支持部(たとえばリブ)によって遊技制御基板600を支持する。これにより、遊技制御基板600は、上側部材と下側部材の双方の外面から所定の間隙を有して支持される。
【0335】
上側部材と下側部材とは、カシメ部621,622(たとえば螺子等)によってかしめられる。カシメ部621,622は、所定回数だけカシメ状態とカシメ解除状態とを痕跡を残して切り替え可能にする。たとえば、カシメ部621,622は、カシメ前の所要数の螺子を有し、このうちの1つをかしめることでカシメ状態とし、基板ボックス620のあらかじめ用意された部位を破壊することで痕跡(たとえば、樹脂の切断痕等)を保持してカシメ状態を解くことができる。また、基板ボックス620は、封止部を備え、ここに封止シール650を貼付し、封止シール650の状態によって基板ボックス620の開封の有無を検出可能にしている。たとえば、封止シール650は、基板ボックス620の開封によって破断し、基板ボックス620の開封があったことを破断した状態によって示す。なお、封止シール650は、RF(Radio Frequency)タグ等を含むものであってもよく、近距離無線通信によって基板ボックス620の開封の有無(たとえば、通信失敗によるアンテナの破壊検出等による)を検出可能にするものであってもよい。
【0336】
遊技制御基板600は、矩形(たとえば長方形)のガラスエポキシ基板である。遊技制御基板600は、表面を部品実装面とし、裏面を半田面とする2層基板である。遊技制御基板600は、所要数の実装部品を部品実装面に備える。実装部品は、不正な部品との交換ができないように基板ボックス620内にあって外部に露出しない。遊技制御基板600は、部品実装面に基板番号表示領域610を有して、シルク印刷または銅箔により基板管理番号を表示する。
【0337】
遊技制御基板600が実装する実装部品には、遊技用マイコン111、集積回路(IC)、抵抗やコンデンサ、ダイオード(発光ダイオードを含む)等の受動素子、所要の情報を表示可能な7セグ表示部613、検査端子614、R_SW(RAM初期化スイッチ)112、がある。なお、設定キー(設定キースイッチ)127は、遊技制御基板600上に実装されず、基板ボックス620によって保持される。なお、遊技用マイコン111も集積回路の1つである。
【0338】
7セグ表示部613は、4桁の7セグメント表示器からなる性能表示装置135と1桁の7セグメント表示器からなる確率設定値表示装置136とを含む。なお、性能表示装置135と確率設定値表示装置136は、7セグメント表示器を共用するものであってもよい。検査端子614は、検査装置490を接続可能にするシリアル通信用の接続端子であり、所要の検査時に検査装置490と接続され、遊技場における稼働時には空き端子となっている。
【0339】
基板ボックス620は、上側部材に第1シール630と第2シール640を貼付し、上側部材と下側部材を跨いで封止シール650を貼付する。第1シール630と第2シール640は、それぞれ重ならないようにして、遊技制御基板600の略中央部付近に位置するように貼付される。
【0340】
遊技制御基板600は、第1シール630と第2シール640とが重ならない位置に、基板番号表示領域610、7セグ表示部613、遊技用マイコン111、検査端子614、R_SW112を配置する。設定キー127もまた、第1シール630と第2シール640とが重ならない位置に配置される。
【0341】
検査端子614とR_SW112は、第1シール630と第2シール640に対して左方向(水平方向一側)にオフセットされて、遊技制御基板600の左下側周縁部に配置される。これにより、遊技機10は、検査端子614やR_SW112の操作時にあっても、第1シール630および第2シール640の視認性が確保される。
【0342】
設定キー127は、第1シール630と第2シール640に対して右方向(水平方向一側)にオフセットされて、遊技制御基板600の右側に配置される。これにより、遊技機10は、設定キー127の操作時にあっても、第1シール630および第2シール640の視認性が確保される。
【0343】
また、設定キー127は、7セグ表示部613よりも下方、かつ7セグ表示部613に対して右方向(水平方向一側)にオフセットされて、遊技制御基板600の右側に配置される。これにより、遊技機10は、設定キー127の操作時にあっても、7セグ表示部613の視認性が確保される。
【0344】
特に、設定キー127は、遊技場係員が鍵束のうちの1つの鍵を挿入して操作する場合が多いことから、設定キー127より下側に懸垂する鍵束が第1シール630や第2シール640、7セグ表示部613の視認性を妨げることのない位置に配置されている。また、このような配置により遊技機10は、懸垂する鍵束との接触により、第1シール630、第2シール640、および7セグ表示部613に傷がつく機会を軽減している。
【0345】
また、遊技機10は、第1シール630と遊技用マイコン111を重なりを排除しながら近接配置することで、双方の位置確認の容易性を図っている。すなわち、第1シール630は、遊技用マイコン111の位置を手掛かりにして、第1シール630と第2シール640の区別を容易にする。また、遊技用マイコン111は、第1シール630の位置を手掛かりにして、遊技用マイコン111の位置確認を容易にする。
【0346】
また、遊技機10は、第2シール640と7セグ表示部613を重なりを排除しながら近接配置することで、双方の位置確認の容易性を図っている。すなわち、第2シール640は、7セグ表示部613の位置を手掛かりにして、第1シール630と第2シール640の区別を容易にする。また、7セグ表示部613は、第2シール640の位置を手掛かりにして、7セグ表示部613の位置確認を容易にする。また、第2シール640は、所定の表面加工により透過性が低い。これにより、第2シール640は、7セグ表示部613の対照になって7セグ表示部613の発光時の視認性向上に貢献する。また、第2シール640は、第2シール640に重なるように発光ダイオードが配置されたときに光拡散シートとして機能し、当該発光ダイオードの発光態様の確認容易性に優れる。
【0347】
また、遊技制御基板600は、所要数のコネクタを部品実装面のコネクタ領域611,612に備える。検査端子590を含むコネクタは、基板ボックス620(上側部材)に設けられた開口となる窓部から基板ボックス620の外部に臨み、所定のハーネスとコネクタ接続可能にしている。
【0348】
次に、遊技制御装置100の第1シール630の概観について
図38を用いて説明する。
図38は、第2の実施形態の遊技制御装置の第1シールの一例を示す図である。第1シール630は、透明素材(たとえば、PET(Polyethyleneterephthalate)等)からなるシールベース631の裏面を粘着面として、基板ボックス620の上側部材の表面に貼付される。
【0349】
第1シール630は、機種名情報表示632と、定格情報表示633と、製造者情報表示634と、二次元情報表示636を表示する。機種名情報表示632と定格情報表示633と製造者情報表示634は、透過性のあるシールベース631に不透過な白色で印字され、シールベース631を透過して臨む遊技制御基板600のレジスト色である緑色を背景にして不透過な白色の文字を好適に読み取り可能である。
【0350】
機種名情報表示632は、遊技機10の機種名(たとえば、「PサンプルMC」)を表示する。定格情報表示633は、遊技機10の定格電圧(たとえば、AC24V±1.2V)と消費電力(たとえば、200VA)を含む定格情報を表示する。製造者情報表示634は、製造者名(たとえば、会社名)を表示する。定格情報表示633と製造者情報表示634は、機種名情報表示632よりも小さなフォントが用いられて、基板実装面の確認容易性に貢献している。
【0351】
二次元情報表示636は、不透過な白色の二次元情報ベース635の上に表示される。これにより、遊技機10は、二次元情報表示636の光学読取性の向上を図るとともに、不透過部を二次元情報ベース635の範囲に制限して基板実装面の確認容易性に貢献している。二次元情報表示636は、たとえばQRコード(登録商標)によって所要の情報を表示する。
【0352】
次に、遊技制御装置100の第2シール640の概観について
図39を用いて説明する。
図39は、第2の実施形態の遊技制御装置の第1シールの一例を示す図である。第2シール640は、透明素材(たとえば、PET等)からなるシールベース641の裏面を粘着面として、基板ボックス620の上側部材の表面に貼付される。
【0353】
シールベース641は、第1シール630のシールベース631と異なりシール全体に透過度低下加工がなされ、いわゆる光拡散シートのようになっている。なお、第2シール640は、シールベース631越しに遊技制御基板600の部品実装面を臨んだときに部品番号の確認等に困難を要するが実装部品の数や形状を確認可能な程度の視認性を有する。
【0354】
第2シール640は、開封情報表示642と、基板情報表示644と、二次元情報表示645を表示する。開封情報表示642のうちタイトル表示(たとえば、「開封者」、「開封年月日」、開封番号)、基板情報表示644のうちタイトル表示(たとえば、「主基板管理番号」)と枠線表示は、不透過な黒色であり、透過度低下加工されたシールベース641を対照にして好適な視認性を得る。
【0355】
基板情報表示644のうち基板情報(たとえば、「ABC No.001」)は、不透過な白色の情報表示ベース643上に不透過な黒色の文字で表示されている。二次元情報表示645もまた、基板情報と共用する情報表示ベース643上に不透過な黒色で表示されている。これにより、遊技機10は、二次元情報表示645の光学読取性の向上を図る。二次元情報表示645は、たとえばQRコード(登録商標)によって所要の情報を表示する。開封情報表示642のうち開封者および開封年月日の記載欄は、不透過な白色であり、所要の情報を後から記載可能にしている。
【0356】
このように、第2シール640は、第1シール630と比較して、シールベースの透過度において基板実装面の視認性が劣るとともに、全体における不透過領域の割合においても基板実装面の視認性が劣る。
【0357】
これにより、遊技機10は、第1シール630と第2シール640の区別を明確にする。また、遊技機10は、第1シール630周辺に実装される部品の視認性を第2シール640の周辺に実装される部品の視認性よりも高めることができる。
【0358】
なお、第2シール640において所定の面積を占める不透過な白色領域は、前面枠12を開放することによってメンテナンス作業をおこなう際に比較的暗所にあって当該領域が白色により強調されることから、作業位置特定の目安に便利である。
【0359】
次に、遊技制御装置100の封止シール650の概観について
図40を用いて説明する。
図40は、第2の実施形態の遊技制御装置の封止シールの一例を示す図である。封止シール650は、不透明素材(たとえば、紙等)からなるシールベース651の裏面を粘着面として、基板ボックス620の上側部材と下側部材を跨いで貼付される。なお、封止シール650は、基板ボックス620の開封時に破断されて開封跡を確認容易になっている。そのため、封止シール650は、外力によって破損しないよう保護部材によって外部に露出しないように保護されている。
【0360】
シールベース651は、第1シール630やシールベース631と異なり、容易に開封痕を残すことができる素材になっている。なお、封止シール650は、全体が不透過であり、シールベース651越しの部品実装面の視認性を有しない。
【0361】
封止シール650は、開封禁止表示653と、管理情報表示654と、二次元情報表示656を表示する。開封禁止表示653は、白色のシールベース652に偽造防止模様とともに青色で印字され、管理情報表示654は、白色のシールベース652に不透過な黒色で印字される。
【0362】
開封禁止表示653は、開封を警告する警告メッセージ(たとえば、「開封禁止」)を表示する。管理情報表示654は、所定の管理番号(たとえば、ユニークな識別番号)を表示する。
【0363】
二次元情報表示656は、不透過な白色の二次元情報ベース655の上に表示される。これにより、遊技機10は、二次元情報表示656の光学読取性の向上を図る。二次元情報表示636は、たとえばQRコード(登録商標)によって所要の情報を表示する。
【0364】
次に、不正対策として重要な管理対象となる払出制御装置200の概観について
図41を用いて説明する。
図41は、第2の実施形態の払出制御装置の概観の一例を示す図である。
【0365】
払出制御装置200は、図示しない取付ベースを介して前面枠12に支持される。払出制御装置200は、基板ボックス660に払出制御基板602を収容する。基板ボックス660は、正面視で略長方形の箱型形状であり、図示しないスライドガイドにしたがって取付ベースに案内されて取り付けられる。
【0366】
基板ボックス660は、主要な構造体として上側部材(蓋体)と下側部材(底体)とを有し、上側部材と下側部材とで払出制御基板602を挟持して収容する。上側部材は、基板支持部(たとえばボス)で払出制御基板602を支持し、ビスによって払出制御基板602を固定する。また、下側部材は、基板支持部(たとえばリブ)によって払出制御基板602を支持する。これにより、払出制御基板602は、上側部材と下側部材の双方の外面から所定の間隙を有して支持される。
【0367】
上側部材と下側部材とは、カシメ部668(たとえば螺子等)によってかしめられる。カシメ部668は、所定回数だけカシメ状態とカシメ解除状態とを痕跡を残して切り替え可能にする。たとえば、カシメ部668は、カシメ前の所要数の螺子を有し、このうちの1つをかしめることでカシメ状態とし、基板ボックス660のあらかじめ用意された部位を破壊することで痕跡(たとえば、樹脂の切断痕等)を保持してカシメ状態を解くことができる。
【0368】
払出制御基板602は、矩形(たとえば長方形)のガラスエポキシ基板である。払出制御基板602は、表面を部品実装面とし、裏面を半田面とする2層基板である。払出制御基板602は、所要数の実装部品を部品実装面に備える。実装部品は、不正な部品との交換ができないように基板ボックス660内にあって外部に露出しない。払出制御基板602は、部品実装面に基板番号表示領域661を有して、シルク印刷または銅箔により基板管理番号を表示する。
【0369】
払出制御基板602が実装する実装部品には、払出用マイコン662、集積回路(IC)、抵抗やコンデンサ、ダイオード(発光ダイオードを含む)等の受動素子、所要の情報を表示可能な7セグ表示部664、検査端子663、R_SW(エラー解除スイッチ)667がある。なお、払出用マイコン662も集積回路の1つである。
【0370】
7セグ表示部664は、1桁の7セグメント表示器からなり、表示態様によりエラー表示をおこなう。検査端子663は、検査装置を接続可能にするシリアル通信用の接続端子であり、所要の検査時に検査装置と接続され、遊技場における稼働時には空き端子となっている。
【0371】
基板ボックス660は、上側部材に第1シール670と第2シール680を貼付し、上側部材と下側部材を跨いで封止シール650を貼付する。第1シール670と第2シール680は、それぞれ重ならないようにして、払出制御基板602の略中央部付近に位置するように貼付される。
【0372】
払出制御基板602は、第1シール670と第2シール680とが重ならない位置に、基板番号表示領域661、7セグ表示部664、払出用マイコン662、検査端子663、R_SW667、設定キー127を配置する。
【0373】
検査端子663は、第1シール670と第2シール680に対して左方向(水平方向一側)にオフセットされて、払出制御基板602の左下側周縁部に配置される。これにより、遊技機10は、検査端子663の操作時にあっても、第1シール670および第2シール680の視認性が確保される。
【0374】
R_SW667は、第1シール670と第2シール680に対して右方向(水平方向一側)にオフセットされて、払出制御基板602の右下側周縁部に配置される。これにより、遊技機10は、R_SW667の操作時にあっても、第1シール670および第2シール680の視認性が確保される。
【0375】
また、遊技機10は、第1シール670と第2シール680と払出用マイコン662を重なりを排除しながら近接配置することで、双方の位置確認の容易性を図っている。すなわち、第1シール670と第2シール680は、払出用マイコン662の位置を手掛かりにして、第1シール670と第2シール680の区別を容易にする。また、払出用マイコン662は、第1シール670と第2シール680の位置を手掛かりにして、払出用マイコン662の位置確認を容易にする。
【0376】
また、遊技機10は、第2シール680と7セグ表示部664を重なりを排除しながら近接配置することで、双方の位置確認の容易性を図っている。すなわち、第2シール680は、7セグ表示部664の位置を手掛かりにして、第1シール670と第2シール680の区別を容易にする。また、7セグ表示部664は、第2シール680の位置を手掛かりにして、7セグ表示部664の位置確認を容易にする。
【0377】
また、払出制御基板602は、所要数のコネクタを部品実装面のコネクタ領域665,666に備える。検査端子663を含むコネクタは、基板ボックス660(上側部材)に設けられた開口となる窓部から基板ボックス660の外部に臨み、所定のハーネスとコネクタ接続可能にしている。
【0378】
次に、払出制御装置200の第1シール670の概観について
図42を用いて説明する。
図42は、第2の実施形態の払出制御装置の第1シールの一例を示す図である。第1シール670は、透明素材からなるシールベース671の裏面を粘着面として、基板ボックス660の上側部材の表面に貼付される。
【0379】
第1シール670は、領域明示表示672と、基板情報表示673と、動作確認情報表示674を表示する。領域明示表示672は、透過性のあるシールベース671に不透過な赤色で印字され、基板情報表示673と動作確認情報表示674の表示領域を明示する。
【0380】
基板情報表示673は、不透過な白色の文字で基板情報(たとえば、「払出制御基板」)を表示する。動作確認情報表示674は、不透過な白色の文字で動作確認情報を表示する。動作確認情報は、7セグ表示部664の表示態様と、払出制御装置200の動作状態(払出制御状態)との対応関係を案内する。たとえば、7セグ表示部664が「-」を表示するとき払出制御が正常であることを案内し、7セグ表示部664が「1」を表示するとき払出制御が球切れエラーであることを案内する。
【0381】
次に、払出制御装置200の第2シール680の概観について
図43を用いて説明する。
図43は、第2の実施形態の払出制御装置の第2シールの一例を示す図である。第2シール680は、透明素材(たとえば、PET等)からなるシールベース681の裏面を粘着面として、基板ボックス660の上側部材の表面に貼付される。
【0382】
シールベース681は、第1シール670のシールベース671と同様に透明素材からなる。なお、第2シール640は、シールベース671越しに遊技制御基板600の部品実装面を臨んだときに部品番号の確認等に困難を要するが実装部品の数や形状を確認可能な程度の視認性を有する。
【0383】
第2シール680は、開封情報表示682と、基板情報表示683と、二次元情報表示685を表示する。開封情報表示682のうちタイトル表示(たとえば、「開封者」、「開封年月日」、開封番号)、基板情報表示644のうちタイトル表示(たとえば、「払出制御基板」)と枠線表示は、不透過な黒色であり、シールベース681を透過して臨む払出制御基板602のレジスト色である緑色を背景にして不透過な黒色の文字を好適に読み取り可能である。
【0384】
二次元情報表示685は、白色の二次元情報ベース684上に不透過な黒色で表示されている。これにより、遊技機10は、二次元情報表示685の光学読取性の向上を図る。二次元情報表示685は、たとえばQRコード(登録商標)によって所要の情報を表示する。開封情報表示682のうち開封者および開封年月日の記載欄は、不透過な白色であり、所要の情報を後から記載可能にしている。
【0385】
このように、第2シール680は、第1シール670と比較して、シールベースの透過度を同じにするが、開封情報表示682や二次元情報ベース684により全体における不透過領域の割合が大きく基板実装面の視認性が劣る。
【0386】
これにより、遊技機10は、第1シール670と第2シール680の区別を明確にする。また、遊技機10は、第1シール670周辺に実装される部品の視認性を第2シール680の周辺に実装される部品の視認性よりも高めることができる。
【0387】
なお、第2シール680において所定の面積を占める不透過な白色領域は、前面枠12を開放することによってメンテナンス作業をおこなう際に比較的暗所にあって当該領域が白色により強調されることから、作業位置特定の目安に便利である。
【0388】
次に、遊技制御装置100の第1シール630と第2シール640の下側に配置される実装部品について
図44を用いて説明する。
図44は、第2の実施形態の遊技制御装置の第1シール、第2シール、及び実装部品の関係の一例を示す図である。なお、遊技制御装置100を例示して、シールと実装部品の関係を説明するが、払出制御装置200等、その他の制御装置についても同様とすることができる。
【0389】
第1シール630と第2シール640は、基板ボックス620を上側部材690と下側部材691とのうち上側部材690の上面に貼付される。上側部材690は、表面にリブ692を備え、裏面にリブ693,694を備える。リブ692は、第1シール630が貼付される貼付面と第2シール640が貼付される貼付面よりも一段高い高さがあり、鍵束等の障害物が第1シール630や第2シール640を傷つけないよう保護する機能がある。リブ693は、第1シール630の貼付位置の目安となる。リブ693は、第1シール630の貼付位置の裏面に位置するので、厳密な位置合わせを要しないので貼り直しミスが生じる危険を低減してシール貼付の作業性に優れる。また、リブ694は、第2シール640の貼付位置の裏面に位置するので、厳密な位置合わせを要しないので貼り直しミスが生じる危険を低減してシール貼付の作業性に優れる。また、リブ692は、上側部材690のうちで最も高い位置となる高さを有するとともに、遊技用マイコン111の近傍、あるいは重なる位置に配置して遊技用マイコン111の実装位置を案内可能にするものであってもよい。
【0390】
また、第1シール630に重なる位置と、第2シール640に重なる位置は、遊技用マイコン111よりも高さがある実装部品が配置されない。たとえば、第1シール630に重なる位置は、遊技用マイコン111よりも背が低い実装部品695の配置を許容するが、遊技用マイコン111よりも背が高い実装部品697の配置を許容しない。第2シール640に重なる位置は、遊技用マイコン111よりも背が低い実装部品696の配置を許容するが、遊技用マイコン111よりも背が高い実装部品698の配置を許容しない。
【0391】
また、第2シール640に重なる位置は、第1シール630に重なる位置に配置される実装部品よりも高さがある実装部品が配置されない。たとえば、第1シール630に重なる位置において、当該位置において最も背が高い実装部品として実装部品695を配置するとき、第2シール640に重なる位置は、実装部品695よりも背が低い実装部品696の配置を許容するが、遊技用マイコン111よりも背が高い実装部品698の配置を許容しない。
【0392】
これにより、第1シール630に重なる位置に配置される実装部品の確認容易性と、第2シール640に重なる位置に配置される実装部品の確認容易性を差別化して確認作業性を向上する。
【0393】
次に、遊技制御装置100の第1シール630の周辺における実装部品の確認容易性について
図45を用いて説明する。
図45は、第2の実施形態の遊技制御装置の第1シールの5方向の視認性の一例を示す図である。
【0394】
第1シール630に重なる位置にある実装部品は、第1シール630が透明素材からなることから俯瞰視となる視点SD5から容易に観察可能である。また、第1シール630に重なる位置にある実装部品は、遊技用マイコン111越しの側方視となる視点SD3から確認困難である。なお、封止シール650は、第1シール630から十分に離れているため第1シール630に重なる位置にある実装部品の確認の障害になることはない。
【0395】
なお、第1シール630に重なる位置にある実装部品は、側方視のうち視点SD1,SD2,SD3から容易に観察可能である。また、第1シール630に重なる位置にある実装部品は、遊技用マイコン111よりも高さがないことから側方視のうち視点SD1,SD2,SD3から確実に観察可能である。
【0396】
遊技用マイコン111は、封止シール650との間に所要の間隙があることから十分に観察可能である。また、遊技用マイコン111において確認対象となる情報表示面699は、第1シール630側にあり、第1シール630越しに、あるいは視点SD1から容易に観察可能になっている。
【0397】
次に、遊技制御装置100の第2シール640の周辺における実装部品の確認容易性について
図46を用いて説明する。
図46は、第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの5方向の視認性の一例を示す図である。
【0398】
第2シール640に重なる位置にある実装部品は、第2シール640が透過度低下加工されていることから俯瞰視となる視点SD5から一応観察可能であるものの確実に観察できるものではない。また、第2シール640に重なる位置にある実装部品は、遊技用マイコン111から十分に離れているため、いずれの側方視となる視点SD1,SD2,SD3,SD4から容易に観察可能である。
【0399】
なお、第2シール640に重なる位置にある実装部品のうち所定以上の高さがある実装部品は、遊技用マイコン111を含めて実装部品の上面ではなく側面に情報表示面を設定する。これにより、第2シール640に重なる位置にある実装部品のうち所定以上の高さがある実装部品においても側方視となる視点SD1,SD2,SD3,SD4から情報表示面を容易に観察可能である。なお、所定以上の高さは、たとえば、実装部品のうち集積回路(IC)の高さより大きい高さとすることができる。
【0400】
次に、遊技制御装置100の第2シール640の側方視の確認容易性を高める上側部材の構造について
図47を用いて説明する。
図47は、第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの側方視の確認容易性を高める上側部材の構造一例を示す図である。
【0401】
第2シール640に重なる位置にある実装部品は、第2シール640が透過度低下加工されていることから俯瞰視となる視点SD5から一応観察可能であるものの確実に観察できるものではない。また、第2シール640に重なる位置にある実装部品は、側方視となる視点SD1,SD2,SD3,SD4から容易に観察可能であるもののそれでも十分でないとされる場合がある。そこで、上側部材690は、側方視となる視点SD1,SD2,SD3,SD4のうちの一つ、たとえば視点SD4となる側に、遊技制御基板600に近接する高さから第2シール640の近傍まで立ち上がる起立壁を設ける。これにより、第2シール640に重なる位置にある実装部品は、視点SD4から起立壁越しに容易に観察可能になる。
【0402】
次に、遊技制御装置100の第2シール640の側方視の視点案内機能について
図48を用いて説明する。
図48は、第2の実施形態の遊技制御装置の第2シールの側方視の視点案内機能の一例を示す図である。
【0403】
第2シール640は、シールベース641が透過度低下加工がなされている。シールベース641の透過度低下加工は、俯瞰時に一定の視認性を得る。たとえば、第2シール640の鉛直方向を含む角度αの範囲にある視点SD7は、第2シール640に重なる位置にある実装部品696の位置や種類を確認可能な程度の視認性710を得る。また、第2シール640の視点SD7を超えた範囲にある視点SD8は、第2シール640に重なる位置にある実装部品の位置や種類を確認困難な程度の視認性711を得る。第2シール640は、第2シール640を臨む視点が視点SD7でないことを容易に知らしめるため、視認性711において潜像(たとえば、「マーク」)を表示する。
【0404】
これにより、遊技機10は、実装部品696の確認に適当でない視点であることを作業者に容易に案内することができる。これにより、遊技機10は、第2シール640に重なる位置にある実装部品696を確認するための視点を、第2シール640越しとなる視点SD7、あるいは実装部品696を側方視する視点SD9を作業者に案内することができる。
【0405】
また、上述した第2の実施形態の遊技機10(変形例を含む)は、一側面において以下のような特徴を有する。なお、従来の遊技機は、シールが基板の視認性を損ね、不正対策を脆弱にする虞があった。第2の実施形態の遊技機10は、より確かに不正対策できる遊技機を提供する。
【0406】
(1)遊技機(たとえば、遊技機10)は、所定の集積回路(たとえば、制御装置を含むIC)を含む部品を実装する基板と、部品を視認可能にして基板を収容する収容ケースと、収容ケースの第1位置に貼付される第1シールと、第1位置と重ならない収容ケースの第2位置に貼付される第2シールと、を含む。第1シールは、当該第1シール越しに第1の視認性で部品を視認可能にする。第2シールは、当該第2シール越しに第1の視認性に劣る第2の視認性で部品を視認可能にする。基板は、第1シール越しに視認可能な範囲に所定の集積回路よりも高さのある部品を実装せず、第2シール越しに視認可能な範囲に所定の集積回路よりも高さのある部品を実装しない(たとえば、
図44参照)。
【0407】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の遊技機10について説明する。第3の実施形態の遊技機10は、新規な遊技性と、当該遊技性を遊技者にとって理解容易なものとする。まず、遊技機10の遊技性能について
図49を用いて説明する。
図49は、第3の実施形態の遊技性能の一例を示す図である。
【0408】
遊技機10は、変動表示ゲーム、いわゆる1種ゲームとして、特
図1ゲーム(第1特図変動表示ゲーム)と特
図2ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)を実行可能である。遊技機10は、大当り以外の状態として、低価値時短、高価値時短の区別をしなければ時短なし状態と時短あり状態とがある。遊技機10は、時短なし状態において時短あり状態への遷移抽選をおこない、時短あり状態において遷移抽選をおこなわず、時短回数満了で時短なし状態に遷移する。
【0409】
なお、低価値時短は、普電サポート状態の1つであり、普通変動入賞装置37(始動口2)への入賞機会を得るものの十分な大きさがない(実質的に入賞機会を得ない、または小さい)ことにより価値が低いとされる時短である。低価値時短は、時短回数「100回」、「200回」、「300回」のいずれかに振り分けられる。高価値時短は、普電サポート状態の1つであり、普通変動入賞装置37(始動口2)への十分な入賞機会を得るものであり、価値が高いとされる時短である。高価値時短は、時短回数に制限がなく、次回大当りまで継続する。
【0410】
遊技機10は、特
図1ゲームと特
図2ゲームともに大当り確率を1/99とする。また、遊技機10は、時短なし状態と時短あり状態ともに大当り確率を1/99とする。特
図1ゲームにおける大当りのうち「時短なし」の振分割合は0%、「低価値時短付き100回」の振分割合は20%、「低価値時短付き200回」の振分割合は30%、「低価値時短付き300回」の振分割合は40%、「高価値時短付き」の振分割合は10%である。特
図2ゲームにおける大当りのうち「時短なし」の振分割合は10%、「低価値時短付き100回」の振分割合は0%、「低価値時短付き200回」の振分割合は0%、「低価値時短付き300回」の振分割合は0%、「高価値時短付き」の振分割合は90%である。
【0411】
遊技機10は、時短なし状態においてc時短の抽選をおこなう。c時短には、「低価値時短100回」と、「低価値時短200回」と、「低価値時短300回」と、「高価値時短100回」とがある。
【0412】
遊技機10が時短なし状態においておこなう特
図1ゲームにおけるc時短の抽選確率は、「低価値時短100回」が10/99であり、「低価値時短200回」が10/99であり、「低価値時短300回」が64/99であり、「高価値時短100回」が14/99であり、「はずれ」が0/99である。遊技機10が時短なし状態においておこなう特
図2ゲームにおけるc時短の抽選確率は、「低価値時短100回」が10/99であり、「低価値時短200回」が10/99であり、「低価値時短300回」が64/99であり、「高価値時短100回」が14/99であり、「はずれ」が0/99である。
【0413】
遊技機10が時短あり状態においておこなう特
図1ゲームにおけるc時短の抽選確率は、「低価値時短100回」が0/99であり、「低価値時短200回」が0/99であり、「低価値時短300回」が0/99であり、「高価値時短100回」が0/99であり、「はずれ」が98/99である。遊技機10が時短なし状態においておこなう特
図2ゲームにおけるc時短の抽選確率は、「低価値時短100回」が0/99であり、「低価値時短200回」が0/99であり、「低価値時短300回」が0/99であり、「高価値時短100回」が0/99であり、「はずれ」が98/99である。
【0414】
なお、特
図1ゲームは、第1始動入賞口(始動入賞領域)をなす始動入賞口36(始動口1)への入賞により始動条件を得て、特
図2ゲームは、普通変動入賞装置37(第2始動入賞口、始動入賞領域)への入賞により始動条件を得る。したがって、特
図1ゲームは、時短なし状態/時短あり状態の区別なく始動条件を得るが、特
図2ゲームは、時短なし状態で始動条件を得難く、時短あり状態で始動条件を容易に得る。
【0415】
次に、遊技機10の遊技性における遊技状態遷移について
図50を用いて説明する。
図50は、第3の実施形態の遊技状態遷移の一例を示す図である。遊技機10は、RWMクリアを伴う電源投入があった場合に、状態Aを初期状態として遊技制御をおこなう。なお、遊技機10は、RWMクリアを伴わない電源投入があった場合、すなわち電源遮断前の遊技状態に復旧可能な電源投入があった場合、電源遮断時の遊技状態から遊技制御をおこなう。
【0416】
遊技機10の確率状態、時短状態の観点で区別した遊技状態は、状態A、状態B、および状態Cの3つがある。状態Aは、確率状態が低確率であり、時短状態が時短なしである。状態Bは、確率状態が低確率であり、時短状態が低価値時短ありである。状態Cは、確率状態が低確率であり、時短状態が高価値時短ありである。
【0417】
なお、時短なし状態である状態Aは、大当り抽選と同時にc時短抽選をおこなう(
図49参照)。状態Aにおいて、大当りに外れた場合、はずれがないので必ずc時短に当選し、低価値時短または高価値時短に振り分けられる。なお、大当り抽選と同時におこなうc時短抽選にはずれがないとしたが、はずれを設けるものであってもよい。
【0418】
状態Aは、遷移条件T10からT14がある。遷移条件T10は、時短なし大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Aとなる。遷移条件T11は、高価値時短付き大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Cとなる。遷移条件T12は、高価値時短(c時短)の発生であり、当該大当りの終了後に状態Cとなる。遷移条件T13は、低価値時短付き大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Bとなる。遷移条件T14は、低価値時短(c時短)の発生であり、当該大当りの終了後に状態Bとなる。
【0419】
状態Bは、遷移条件T20からT23がある。遷移条件T20は、低価値時短付き大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Bとなる。遷移条件T21は、時短なし大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Aとなる。遷移条件T22は、低価値時短の規定回数の消化であり、低価値時短の終了をもって状態Aとなる。遷移条件T23は、高価値時短付き大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Cとなる。
【0420】
状態Bは、遷移条件T30,T31がある。遷移条件T30は、高価値時短付き大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Cとなる。遷移条件T31は、時短なし大当りの発生であり、当該大当りの終了後に状態Aとなる。
【0421】
このような遊技状態遷移は、遊技機10において状態Cに至った場合に、時短なし大当りが発生するまで状態Cに滞在し続ける遊技性を実現する。また、状態Cの滞在率は、たとえば90%(
図49参照)を設定することで、遊技者に負担なく大当りが連続する遊技性を実現する。
【0422】
また、遊技場が開店時にRWMクリアを伴う電源投入をおこなう場合に、営業開始時の制御状態を初期状態となる状態Aとすることができる。このような遊技機10は、営業開始時から遊技を開始する遊技者に対して状態Bと状態Cの振分機会を提供し、状態Cへの振分を期待する遊技者による稼働向上を期待できる。
【0423】
次に、状態A、状態B、および状態Cの遷移機会を把握可能にする図柄表示について
図51を用いて説明する。
図51は、第3の実施形態の特
図1ゲームおよび特
図2ゲームの結果態様に対応する図柄の一例を示す図である。
【0424】
ゲーム結果として「時短なし大当り」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1(特
図1図柄表示部53に表示する図柄(本特図))は、TZ10という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄(表示装置41において大図柄群501として表示する図柄(飾り図柄大))は、DZ10という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄(表示装置41において小図柄群502として表示する図柄(飾り図柄小))は、SZ10という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2(特
図2図柄表示部54に表示する図柄(本特図))は、TZ20という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄(表示装置41において大図柄群501として表示する図柄(飾り図柄大))は、DZ20という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄(表示装置41において小図柄群502として表示する図柄(飾り図柄小))は、SZ20という範疇に属する図柄である。
【0425】
ゲーム結果として「低価値時短100回付き大当り」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ11という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ11という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ11という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ21という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ21という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ21という範疇に属する図柄である。
【0426】
ゲーム結果として「低価値時短200回付き大当り」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ12という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ12という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ12という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ22という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ22という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ22という範疇に属する図柄である。
【0427】
ゲーム結果として「低価値時短300回付き大当り」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ13という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ13という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ13という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ23という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ23という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ23という範疇に属する図柄である。
【0428】
ゲーム結果として「高価値時短付き大当り」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ14という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ14という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ14という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ24という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ24という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ24という範疇に属する図柄である。
【0429】
ゲーム結果として「低価値時短(c時短)100回」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ15という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ15という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ15という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ25という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ25という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ25という範疇に属する図柄である。
【0430】
ゲーム結果として「低価値時短(c時短)200回」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ16という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ16という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ16という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ26という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ26という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ26という範疇に属する図柄である。
【0431】
ゲーム結果として「低価値時短(c時短)300回」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ17という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ17という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ17という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ27という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ27という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ27という範疇に属する図柄である。
【0432】
ゲーム結果として「高価値時短(c時短)」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ18という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ18という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ18という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ28という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ28という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ28という範疇に属する図柄である。
【0433】
ゲーム結果として「はずれ」を得る図柄は、特
図1ゲームにおける特
図1は、TZ19という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける大図柄は、DZ19という範疇に属する図柄であり、特
図1ゲームにおける小図柄は、SZ19という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける特
図2は、TZ29という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける大図柄は、DZ29という範疇に属する図柄であり、特
図2ゲームにおける小図柄は、SZ29という範疇に属する図柄である。
【0434】
なお、各範疇に属する図柄の数は、1以上であればいくつでもよい。また、特
図1ゲームと特
図2ゲームにおける大図柄や小図柄は、特
図1ゲームと特
図2ゲームとで独立したものであってもよいし、共用されるものであってもよい。
【0435】
次に、各範疇に属する図柄の表示例について
図52を用いて説明する。
図52は、第3の実施形態の結果態様に対応する飾り図柄の表示例を示す図である。ここでは、ゲームの結果として、大当りを得る図柄については図示を省略する。
【0436】
なお、本特図(TZ10からTZ14、TZ20からTZ24)は、「時短なし大当り」、「低価値時短100回付き大当り」、「低価値時短200回付き大当り」、「低価値時短300回付き大当り」、および「高価値時短付き大当り」を一意に識別可能な表示態様である。大図柄(DZ10からDZ14、DZ20からDZ24)や小図柄(SZ10からSZ14、SZ20からSZ24)は、「時短なし大当り」、「低価値時短100回付き大当り」、「低価値時短200回付き大当り」、「低価値時短300回付き大当り」、および「高価値時短付き大当り」を一意に識別可能な表示態様であることを要しない。たとえば、「時短なし大当り」、「低価値時短100回付き大当り」、「低価値時短200回付き大当り」、「低価値時短300回付き大当り」、および「高価値時短付き大当り」で共用する図柄があってもよく、このような共用図柄は、当りの価値を曖昧にして演出により当りの価値を示唆する興趣を提供可能にする。
【0437】
本特図(TZ15からTZ18、TZ25からTZ28)は、「低価値時短(c時短)100回」、「低価値時短(c時短)200回」、「低価値時短(c時短)300回」、および「高価値時短(c時短)」を一意に識別可能な表示態様である。
【0438】
「低価値時短(c時短)100回」を得る大図柄DZ15は、たとえば「2」、「4」、「3」の図柄組合せを表示し、小図柄SZ15は、大図柄DZ15の縮小態様あるいは簡略態様で「2」、「4」、「3」の図柄組合せを表示する。
【0439】
「低価値時短(c時短)200回」を得る大図柄DZ16は、たとえば「2」、「4」、「5」の図柄組合せを表示し、小図柄SZ16は、大図柄DZ15の縮小態様あるいは簡略態様で「2」、「4」、「5」の図柄組合せを表示する。
【0440】
「低価値時短(c時短)300回」を得る大図柄DZ17は、たとえば「2」、「4」、「6」の図柄組合せを表示し、小図柄SZ17は、大図柄DZ15の縮小態様あるいは簡略態様で「2」、「4」、「6」の図柄組合せを表示する。
【0441】
「高価値時短」を得る大図柄DZ17は、たとえば「2」、「4」、「1」の図柄組合せを表示し、小図柄SZ17は、大図柄DZ15と異なる態様で「2」、「4」、「1」の図柄組合せを表示する。
【0442】
なお、このような大図柄や小図柄の表示は、遊技者が「低価値時短(c時短)100回」、「低価値時短(c時短)200回」、「低価値時短(c時短)300回」、および「高価値時短」を特定できる。そのため、「低価値時短(c時短)100回」、「低価値時短(c時短)200回」、あるいは「低価値時短(c時短)300回」を得た遊技者の期待感が大きく萎む虞がある。
【0443】
そこで、遊技機10は、各時短共通の大図柄「2」、「チャンス」、「2」を表示し、小図柄「2」、「4」、「7」の図柄組合せを表示するようにしてもよい。なお、図柄「チャンス」は、通常の図柄配列に含まれない特殊図柄であってもよい。
【0444】
また、「チャンス」は、「チャンス(赤)」、「チャンス(青)」、「チャンス(黄)」、「チャンス(金)」のように複数の表示態様のうちから選択されるものであってもよく、「低価値時短(c時短)100回」、「低価値時短(c時短)200回」、「低価値時短(c時短)300回」、あるいは「低価値時短(c時短)300回」のいずれであるかにより出現割合を違えるものであってもよい。
【0445】
なお、時短に対応する大図柄や小図柄は、リーチのはずれ目であってもよいし、まったくのばらけ目であってもよいし、語呂合わせに対応したはずれ目であってもいし、図柄組合せを構成する図柄の1つ以上を特殊図柄に差替えるものであってもよい。
【0446】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、実施形態の遊技機が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD-RAM、CD(Compact Disk)-ROM/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0447】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0448】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0449】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0450】
なお、本発明の遊技機は、遊技機として、開示した実施形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、たとえば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等の遊技球を使用するすべての遊技機、およびメダルを使用する遊技機であるスロットマシンに適用可能である。
【0451】
また、開示した実施形態はすべての点で例示されるものであって制限的なものではないと考えられるべきである。また、上述の実施形態および変形例の各構成を組み合わせて適用してもよい。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0452】
10 遊技機
30 遊技盤
41 表示装置
100 遊技制御装置
300 演出制御装置