(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180660
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20231214BHJP
B23K 26/067 20060101ALI20231214BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20231214BHJP
【FI】
B23K26/00 P
B23K26/067
B23K26/21 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094150
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉永 光宏
(72)【発明者】
【氏名】安部 みずほ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA21
4E168CA07
4E168CA13
4E168CA15
4E168CB04
4E168EA05
4E168EA06
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】被加工物の複数箇所を同時にレーザ加工する場合に、加工点に生じるキーホールの深さを計測できるようにする。
【解決手段】レーザ光Lを、第1加工点P1に出射される第1レーザ光L1と、第2加工点P2に出射される第2レーザ光L2と、に分岐する第1分岐ユニット27と、レーザ光Lとは波長の異なる測定光Sを出射して、加工点Pで反射された測定光Sに基づく光干渉信号を生成する光干渉計3と、加工点Pに向かって測定光Sが出射されるように、第2ミラー17の動作を制御する制御部6と、光干渉信号に基づいて、加工点Pに生じるキーホール22の深さを導出する計測処理部4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の表面における所定の加工点に対してレーザ光を出射するレーザ加工装置であって、
前記加工点は、第1加工点と、前記第1加工点から離れた第2加工点と、を含み、
前記レーザ光を発振するレーザ発振器と、
前記レーザ光を、前記第1加工点に出射される第1レーザ光と、前記第2加工点に出射される第2レーザ光と、に分岐する第1分岐ユニットと、
前記レーザ光とは波長の異なる測定光を出射して、前記加工点で反射された前記測定光に基づいて光干渉信号を生成する光干渉計と、
前記レーザ光及び前記測定光を集光するレンズと、
前記レンズに対する前記レーザ光及び前記測定光の入射位置を変更する第1ミラーと、
前記第1ミラーに対する前記測定光の入射位置を変更する第2ミラーと、
前記加工点に向かって前記測定光が出射されるように、前記第2ミラーの動作を制御する制御部と、
前記光干渉信号に基づいて、前記加工点に生じるキーホールの深さを導出する計測処理部と、を備える
レーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記制御部は、前記第1加工点に前記測定光を出射する第1測定動作、又は前記第2加工点に前記測定光を出射する第2測定動作を行うように、前記第2ミラーの動作を制御する
レーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記制御部は、前記第1加工点に前記測定光を出射する第1測定動作と、前記第2加工点に前記測定光を出射する第2測定動作と、を交互に行うように、前記第2ミラーの動作を制御する
レーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記制御部は、前記第1加工点と前記第2加工点との間で前記測定光を連続的に出射するように、前記第2ミラーの動作を制御する
レーザ加工装置。
【請求項5】
請求項4のレーザ加工装置において、
前記計測処理部は、前記光干渉信号に基づいて、前記キーホールの深さと、前記被加工物の表面の高さと、を導出する
レーザ加工装置。
【請求項6】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記測定光を、前記第1加工点に出射される第1測定光と、前記第2加工点に出射される第2測定光と、に分岐する第2分岐ユニットを備える
レーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記測定光は、前記第1加工点に出射される第1測定光と、前記第2加工点に出射される第2測定光と、を含み、
前記光干渉計は、前記第1測定光を出射する第1光干渉計と、前記第2測定光を出射する第2光干渉計と、を含む
レーザ加工装置。
【請求項8】
請求項7のレーザ加工装置において、
前記第1測定光の波長と、前記第2測定光の波長とが異なる
レーザ加工装置。
【請求項9】
請求項1のレーザ加工装置において、
前記被加工物は、回転電動機のステータのコイルである
レーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光干渉計によって試料内部の構造を可視化するOCT(Optical Coherence Tomography)技術を用いて、レーザ光による金属加工中に発生するキーホールの深さを計測するレーザ加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被加工物の形状等によっては、被加工物の複数箇所を同時にレーザ加工したい場合がある。しかしながら、キーホール深さを測定するOCT光は、通常1つのみであるため、複数のキーホールの深さを測定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物の複数箇所を同時にレーザ加工する場合に、加工点に生じるキーホールの深さを計測できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物の表面における所定の加工点に対してレーザ光を出射するレーザ加工装置であって、前記加工点は、第1加工点と、前記第1加工点から離れた第2加工点と、を少なくとも含み、前記レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ光を、前記第1加工点に出射する第1レーザ光と、前記第2加工点に出射する第2レーザ光と、に分岐する第1分岐ユニットと、前記レーザ光とは波長の異なる測定光を出射して、前記加工点で反射された前記測定光に基づいて光干渉信号を生成する光干渉計と、前記レーザ光及び前記測定光を集光するレンズと、前記レンズに対する前記レーザ光及び前記測定光の入射位置を変更する第1ミラーと、前記第1ミラーに対する前記測定光の入射位置を変更する第2ミラーと、前記第1加工点及び前記第2加工点に向かって前記測定光が出射されるように、前記第2ミラーの動作を制御する制御部と、前記光干渉信号に基づいて、前記加工点に生じるキーホールの深さを導出する計測処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被加工物の複数箇所を同時にレーザ加工する場合に、加工点に生じるキーホールの深さを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図2】本実施形態2に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図3】本実施形態3に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図4】本実施形態4に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図5】第1加工点と第2加工点との間で測定光を走査している状態を示す平面図である。
【
図6】第1加工点と第2加工点との間で測定光を面状に走査している状態を示す平面図である。
【
図7】本実施形態5に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図8】本実施形態6に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【
図9】本実施形態7に係るレーザ加工装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
《実施形態1》
図1に示すように、レーザ加工装置1は、加工ヘッド2と、光干渉計3と、計測処理部4と、レーザ発振器5と、制御部6と、を備える。
【0011】
光干渉計3は、OCT測定用の測定光Sを出射する。測定光Sは、測定光導入口9から加工ヘッド2へ入力される。
【0012】
レーザ発振器5は、加工用のレーザ光Lを発振する。レーザ光Lは、加工光導入口10から加工ヘッド2へ入力される。
【0013】
加工ヘッド2は、ダイクロイックミラー12と、第1ミラー13と、レンズ14と、第2ミラー17と、を備える。
【0014】
レーザ光Lの波長と、測定光Sの波長とは、それぞれ異なる波長である。ダイクロイックミラー12は、レーザ光Lの波長の光を反射する一方、測定光Sの波長の光を透過させるような特性を有する。
【0015】
第1ミラー13及び第2ミラー17は、2軸以上で回転動作させることが可能な可動ミラーで構成される。本実施の形態において、第1ミラー13及び第2ミラー17は、それぞれガルバノミラーで構成される。
【0016】
第1ミラー13は、レンズ14に対するレーザ光L及び測定光Sの入射位置を変更する。第2ミラー17は、第1ミラー13に対する測定光Sの入射位置を変更する。
【0017】
第1ミラー13は、第1ドライバ7を介して制御部6に接続される。第2ミラー17は、第2ドライバ8を介して制御部6に接続される。第1ミラー13及び第2ミラー17は、制御部6の制御に基づいて動作する。制御部6は、加工点Pに向かって測定光Sが出射されるように、第2ミラー17の動作を制御する。
【0018】
制御部6には、メモリ28が内蔵される。メモリ28には、被加工物18に対して所望の加工を行うための加工データと、補正を行うための補正用データと、が記憶される。
【0019】
図1に示す例では、第1ミラー13及び第2ミラー17は、仮想線で示すように、紙面に対して垂直な回転軸に対する回転動作のみを示す。しかしながら、実際には、第1ミラー13及び第2ミラー17は、上述したように2軸以上で回転動作できるように構成されており、例えば、紙面に平行な回転軸に対して回転動作を行うことも可能である。
【0020】
以下の説明では、簡略化のため、
図1に示すように、第1ミラー13及び第2ミラー17が紙面に対して垂直な回転軸に対する回転動作のみを行う場合について説明するが、これに限定されず、第1ミラー13及び第2ミラー17は、他の回転軸に対する回転動作を行うことも可能である。
【0021】
レンズ14は、レーザ光L及び測定光Sをそれぞれ加工点Pに集光するためのレンズである。レンズ14は、例えば、fθレンズである。
【0022】
加工光導入口10から導入されたレーザ光Lは、第1分岐ユニット27で分岐する。レーザ光Lは、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2と、に分岐する。
【0023】
なお、本実施形態では、第1分岐ユニット27として回折格子を用いているが、この形態に限定するものではなく、例えば、プリズムレンズやビームスプリッタを用いても良い。
【0024】
第1分岐ユニット27で分岐したレーザ光Lは、その後、ダイクロイックミラー12と、第1ミラー13と、で反射され、レンズ14を透過して被加工物18の表面19の加工点Pに集光される。
【0025】
これにより、被加工物18の加工点Pがレーザ加工される。この際、レーザ光Lが照射された加工点Pは溶融し、溶融池21が形成される。また、溶融池21から溶融金属が蒸発し、蒸発時に生じる蒸気の圧力によってキーホール22が形成される。
【0026】
加工点Pは、第1加工点P1と、第1加工点P1から離れた第2加工点P2と、を含む。第1加工点P1には、第1レーザ光L1が出射される。第2加工点P2には、第2レーザ光L2が出射される。
【0027】
測定光導入口9から導入された測定光Sは、コリメートレンズ16で平行光に近い状態とされる。コリメートレンズ16を透過した測定光Sは、第2分岐ユニット26で分岐する。測定光Sは、第1測定光S1と、第2測定光S2と、に分岐する。
【0028】
なお、本実施形態では、第2分岐ユニット26として回折格子を用いているが、この形態に限定するものではなく、例えば、プリズムレンズやビームスプリッタを用いても良い。
【0029】
第2分岐ユニット26で分岐した測定光Sは、第2ミラー17で反射された後、ダイクロイックミラー12を透過する。ダイクロイックミラー12を透過した測定光Sは、第1ミラー13で反射され、レンズ14を透過して被加工物18の表面19の加工点Pに集光される。
【0030】
測定光Sは、キーホール22の底面で反射され、測定光Sの伝播経路を遡って光干渉計3まで到達する。光干渉計3は、加工点Pで反射された測定光Sと、図示しない参照光との光路差によって生じる干渉に基づく光干渉信号を生成する。
【0031】
計測処理部4は、光干渉信号に基づいて、加工点Pに生じるキーホール22の深さ、すなわち加工点Pの溶け込み深さを導出する。なお、溶け込み深さとは、被加工物18の溶けた部分の最頂点と、被加工物18の表面19との距離を意味する。
【0032】
第1ミラー13及びレンズ14は、ガルバノミラー及びfθレンズによる一般的な光学走査系を構成している。このため、第1ミラー13を原点位置から所定の動作量だけ回転動作させることで、レーザ光Lの被加工物18の表面19への到達位置を制御することができる。
【0033】
なお、所望の加工点Pへレーザ光Lを照射させるための第1ミラー13の動作量は、加工ヘッド2を構成する各光学部材とその位置関係と、レンズ14から被加工物18の表面19までの距離が決まれば、一意に設定することができる。
【0034】
レンズ14から被加工物18の表面19までの距離は、レーザ光Lによる加工が最も効率的に行われるように、レーザ光Lが最も集光される焦点位置と、被加工物18の表面19とを一致させる配置とするのが好適である。しかしながら、本実施形態では、この形態に限定するものではなく、レンズ14から被加工物18の表面19までの距離は、加工用途に応じて任意の距離に決定すればよい。
【0035】
第1ミラー13の動作角度(動作量)を所定の動作スケジュールで変化させることで、被加工物18の表面19上で加工点Pの位置を走査することができる。さらに、制御部6の制御により、レーザ発振器5のオンとオフの切り替えや出力変化が行われることで、レーザ光Lの走査可能な範囲内における、被加工物18の表面19上の任意の位置を任意のパターンでレーザ加工することができる。
【0036】
また、第2分岐ユニット26は、測定光Sの光軸上に配置される。これにより、レーザ光Lと同様に、測定光Sもレンズ14を透過した後に、第1測定光S1と、第2測定光S2とに分岐される。
【0037】
そして、第2ミラー17を所定の動作角度(動作量)だけ動作させることで、測定光Sを加工点Pに到達するように制御することができる。メモリ28には、レンズ14の収差や第1分岐ユニット27等によるレーザ光L及び測定光Sの照射位置の被加工物18の表面19におけるずれを解消するように補正する動作量が記憶されている。制御部6は、メモリ28に記憶されている動作量に基づいて、第1ミラー13及び第2ミラー17を動かす。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、被加工物18の表面19におけるレーザ光Lと測定光Sの到達位置のずれを補正することができる。そのため、複数箇所を同時溶接する場合、それぞれの溶接深さを測定することができる。
【0039】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0040】
図2に示すように、レーザ加工装置1は、加工ヘッド2と、光干渉計3と、計測処理部4と、レーザ発振器5と、制御部6と、を備える。
【0041】
加工光導入口10から導入されたレーザ光Lは、第1分岐ユニット27で分岐する。レーザ光Lは、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2と、に分岐する。
【0042】
第1分岐ユニット27で分岐したレーザ光Lは、その後、ダイクロイックミラー12と、第1ミラー13と、で反射され、レンズ14を透過して被加工物18の表面19の加工点Pに集光される。
【0043】
測定光導入口9から導入された測定光Sは、コリメートレンズ16で平行光に近い状態とされる。コリメートレンズ16を透過した測定光Sは、第2ミラー17で反射された後、ダイクロイックミラー12を透過する。ダイクロイックミラー12を透過した測定光Sは、第1ミラー13で反射され、レンズ14を透過して被加工物18の表面19の加工点Pに集光される。
【0044】
ここで、レーザ光Lは、第1分岐ユニット27によって、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2とに分岐する。被加工物18の加工点Pは、第1レーザ光L1が出射される第1加工点P1と、第2レーザ光L2が出射される第2加工点P2と、を含む。一方、測定光Sは、分岐させないようにしている。
【0045】
制御部6は、第1加工点P1に測定光Sを出射する第1測定動作、又は第2加工点P2に測定光Sを出射する第2測定動作を行うように、第2ミラー17を所定の動作角度(動作量)だけ動作させる。
図2に示す例では、測定光Sを、第1加工点P1に出射している。
【0046】
計測処理部4は、第1加工点P1のキーホール22の深さを導出する。本実施形態では、第2加工点P2のキーホール22の深さは測定せず、第1加工点P1のキーホール22の深さと同じであると推定する。
【0047】
《実施形態3》
以下、前記実施形態2と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0048】
図3に示すように、レーザ光Lは、第1分岐ユニット27によって、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2とに分岐する。被加工物18の加工点Pは、第1レーザ光L1が出射される第1加工点P1と、第2レーザ光L2が出射される第2加工点P2と、を含む。一方、測定光Sは、分岐させないようにしている。
【0049】
制御部6は、第1加工点P1に測定光Sを出射する第1測定動作と、第2加工点P2に測定光Sを出射する第2測定動作と、を交互に行うように、第2ミラー17の動作を制御する。
【0050】
つまり、本実施形態では、測定光Sの出射位置を、第1加工点P1に測定光Sを出射する位置(
図3に仮想線で記載)と、第2加工点P2に測定光Sを出射する位置(
図3に実線で記載)とに切り替え、順番に測定したい加工点Pに一致させることで、第1加工点P1のキーホール22の深さと、第2加工点P2のキーホール22の深さと、を測定する。
【0051】
《実施形態4》
図4に示すように、レーザ光Lは、第1分岐ユニット27によって、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2とに分岐する。被加工物18の加工点Pは、第1レーザ光L1が出射される第1加工点P1と、第2レーザ光L2が出射される第2加工点P2と、を含む。一方、測定光Sは、分岐させないようにしている。
【0052】
制御部6は、第1加工点P1と第2加工点P2との間で測定光Sを連続的に出射するように、第2ミラー17の動作を制御する。具体的に、
図5に示すように、第1加工点P1と第2加工点P2との間を往復移動するように、測定光Sを走査する。
【0053】
計測処理部4は、光干渉信号に基づいて、第1加工点P1及び第2加工点P2のキーホール22の深さと、被加工物18の表面19の高さと、を導出する。
【0054】
これにより、複数箇所を同時溶接する場合に、それぞれの溶接深さを測定することができる。また、加工点Pの周辺部の情報も得ることができる。
【0055】
なお、
図6に示すように、第1加工点P1と第2加工点P2との間を往復移動して測定光Sを走査する際に、往復移動方向と直交する方向にも測定光Sをずらしながら往復移動させるようにしてもよい。これにより、第1加工点P1及び第2加工点P2の周辺部を面状に走査することができ、加工点Pの周辺部について、より多くの情報を得ることができる。
【0056】
《実施形態5》
図7に示すように、レーザ加工装置1は、加工ヘッド2と、2つの光干渉計3と、計測処理部4と、レーザ発振器5と、制御部6と、を備える。光干渉計3は、第1光干渉計3aと、第2光干渉計3bと、を含む。
【0057】
加工ヘッド2は、ダイクロイックミラー12と、第1ミラー13と、2つの第2ミラー17と、レンズ14と、を備える。
【0058】
加工光導入口10から導入されたレーザ光Lは、第1分岐ユニット27で分岐する。レーザ光Lは、第1レーザ光L1と、第2レーザ光L2と、に分岐する。
【0059】
第1分岐ユニット27で分岐したレーザ光Lは、その後、ダイクロイックミラー12と、第1ミラー13と、で反射され、レンズ14を透過して被加工物18の表面19の加工点Pに集光される。
【0060】
第1光干渉計3aは、第1測定光S1を出射する。測定光導入口9から導入された第1測定光S1は、コリメートレンズ16で平行光に近い状態とされる。コリメートレンズ16を透過した第1測定光S1は、第2ミラー17で反射される。このとき、第2ミラー17を所定の動作角度(動作量)だけ動作させることで、第1測定光S1を第1加工点P1に到達するように制御することができる。
【0061】
第2光干渉計3bは、第2測定光S2を出射する。測定光導入口9から導入された第2測定光S2は、コリメートレンズ16で平行光に近い状態とされる。コリメートレンズ16を透過した第2測定光S2は、第2ミラー17で反射される。このとき、第2ミラー17を所定の動作角度(動作量)だけ動作させることで、第2測定光S2を第2加工点P2に到達するように制御することができる。
【0062】
このような構成とすれば、複数箇所を同時溶接する場合、それぞれの溶接深さを測定することができる。また、第1測定光S1及び第2測定光S2を、第1加工点P1及び第2加工点P2に追従させて出射することができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、第1測定光S1及び第2測定光S2の光軸方向を変化させるために、ガルバノミラーである第2ミラー17を用いているが、この形態に限定するものではない。例えば、測定光導入口9とダイクロイックミラー12の間に設置されており、制御部6の制御に基づいて第1測定光S1及び第2測定光S2の光軸方向を変化できる構成のものであればよい。
【0064】
《実施形態6》
以下、前記実施形態5と同じ部分は同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0065】
図8に示すように、レーザ加工装置1は、加工ヘッド2と、2つの光干渉計3と、計測処理部4と、レーザ発振器5と、制御部6と、を備える。光干渉計3は、第1光干渉計3aと、第2光干渉計3bと、を含む。
【0066】
ここで、第1光干渉計3aから出射される第1測定光S1の波長と、第2光干渉計3bから出射される第2測定光S2の波長とが異なっている。
【0067】
このように、第1測定光S1と第2測定光S2とを異なった波長とすることで、第1測定光S1と第2測定光S2とが混ざり合うことがなく、誤検出を防止することができる。
【0068】
《実施形態7》
上述した実施形態では、1つの被加工物18の複数箇所に対してレーザ溶接を同時に行うようにしたが、例えば、2つの被加工物18に対して同時にレーザ溶接を行い、被加工物18同士を互いに接合するようにしてもよい。
【0069】
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0070】
図9に示すように、レーザ加工装置1は、被加工物18としての回転電動機100のステータ105のコイル107(
図10参照)に対して、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を出射する。
【0071】
2つのコイル107の端部は、レーザ溶接によって互いに接合される。レーザ加工装置1は、2つのコイル107をレーザ溶接することで、回転電動機100を製造する。本実施形態の回転電動機100は、例えば、車両駆動用のモータや、発電機等に適用が可能である。
【0072】
図10に示すように、回転電動機100は、ステータ105と、図示しないロータと、を有する。ステータ105は、ステータコア106と、コイル107と、を有する。ステータコア106は、円筒状に形成される。ロータは、ステータコア106の内側に配置される。ステータコア106には、複数のスロット108が設けられる。スロット108は、ステータコア106の中心軸に沿って軸方向に貫通して延びる。スロット108は、ステータコア106の中心軸を中心に、周方向に等間隔に複数設けられる。
【0073】
コイル107は、スロット108に挿通される。コイル107は、例えば、銅で形成された複数の電気導体を束ねて構成される。2つのコイル107は、互いに隣り合うように配置される。コイル107の端部は、スロット108から突出している。
【0074】
通常、コイル107には、樹脂等の被覆部109が全面に存在しているが、レーザ溶接時には、コイル107の端部の被覆部109を除去した状態とする。
【0075】
図9に示すように、レーザ加工装置1は、2つのコイル107のうち一方のコイル107の第1加工点P1に第1レーザ光L1を出射する。また、レーザ加工装置1は、他方のコイル107の第2加工点P2に第2レーザ光L2を出射する。これにより、2つのコイル107を溶融させて互いに接合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明は、電子ビーム加工やレーザ加工等のキーホール溶接を用いた自動車や電子部品及び回転電動機等の加工を行うレーザ加工装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 レーザ加工装置
3 光干渉計
3a 第1光干渉計
3b 第2光干渉計
4 計測処理部
5 レーザ発振器
6 制御部
13 第1ミラー
14 レンズ
17 第2ミラー
18 被加工物
19 表面
22 キーホール
26 第2分岐ユニット
27 第1分岐ユニット
100 回転電動機
105 ステータ
107 コイル
L レーザ光
L1 第1レーザ光
L2 第2レーザ光
P 加工点
P1 第1加工点
P2 第2加工点P
S 測定光
S1 第1測定光
S2 第2測定光