(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180663
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/355 20060101AFI20231214BHJP
B41J 2/36 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B41J2/355 B
B41J2/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094156
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 幸子
(72)【発明者】
【氏名】南 明
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AA06
2C066CC05
2C066CC06
(57)【要約】
【課題】印刷媒体に形成されるドットの主走査方向における密度を容易に高めることで高品質な印刷画像を印刷することが可能な印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは、非印刷画素のうち印刷画素が隣接し且つ印刷画素が隣接する対象画素を抽出する(S15)。プリンタは、抽出した対象画素を主走査方向に分割することで分割画素を生成する(S17)。プリンタは、分割画素のうち対象画素に隣接する印刷画素との距離が近い分割画素を分割印刷画素として印刷画素に加えた第2印刷画像を特定する(S21)。プリンタは、第2印刷画像を印刷する為の第2印刷データを生成する(S23)。プリンタは、印刷画素に対応する位置で発熱素子に供給する電力の値を第1値とし、対象画素に対応する位置で前記発熱素子に供給する電力の値を、第1値よりも小さい第2値(S29、S33)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子が主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を、前記主走査方向と直交する副走査方向に相対移動させる移動機構と、
前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御部と、
前記主走査方向及び前記副走査方向に配列された画素のうち前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データを記憶する記憶部と、
を備えた印刷装置であって、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶された前記第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成処理であって、
前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、
抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、
n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側から順に少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、
前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する
前記生成処理と、
少なくとも、前記生成処理により生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御処理であって、
前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、
前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする、
前記制御処理と
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御処理は、
nが等しい場合、前記分割印刷画素の数が大きい程、前記第2値を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御処理は、
前記分割印刷画素の数が等しい場合、nが大きい程、前記第2値を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御処理は、前記第2印刷データに基づき、
前記印刷媒体のうち、前記第2印刷画像中の前記印刷画素が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、
前記印刷媒体のうち、前記第2印刷画像中の前記分割印刷画素を含む前記対象画素が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第2値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御処理は、前記第1印刷データ及び前記第2印刷データに基づき、
前記印刷媒体のうち前記第1印刷画像及び前記第2印刷画像が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、
前記印刷媒体のうち前記第2印刷画像のみ配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第2値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1印刷データの前記画素は、
前記主走査方向及び前記副走査方向のそれぞれの長さが等しい元画素を、前記副走査方向にm(mは、2以上の整数)個に分割することで生成され、
前記副走査方向の長さが前記主走査方向の長さの1/mである
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
nが2であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記発熱素子は、
発熱により1つのドットを前記印刷媒体に形成し、前記主走査方向に分けられた2つの発熱体からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
所定値以上のエネルギーが前記発熱素子に付与されて発熱した場合、前記印刷媒体にドットが形成され、前記所定値未満のエネルギーが前記発熱素子に付与されて発熱した場合、前記印刷媒体にドットが形成されず、
前記第2値は、前記所定値以上であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記印刷媒体のうち前記印刷画素の一部に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、
前記印刷画素の一部を除く部分に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を前記第2値とすることにより、前記印刷媒体のうち前記印刷画素の一部を除く部分に対応する位置に形成されるドットを、前記主走査方向に分割することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記発熱素子にエネルギーを付与して前記発熱素子を発熱させる周期を短くすることにより、前記印刷媒体に形成されるドットを、前記副走査方向に分割することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項12】
主走査方向及び前記主走査方向と直交する副走査方向に配列された画素のうち、発熱素子が前記主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドの前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成ステップであって、
前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、
抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、
n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側からに少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、
前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する
前記生成ステップと、
少なくとも、前記生成ステップにより生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を前記副走査方向に相対移動させる移動機構を制御する制御ステップであって、
前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、
前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする
前記制御ステップと
を備えたことを特徴とする印刷方法。
【請求項13】
発熱素子が主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を前記主走査方向と直交する副走査方向に相対移動させる移動機構と、前記主走査方向及び前記副走査方向に配列された画素のうち前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データを記憶した記憶部とを備えた印刷装置のコンピュータに、
前記記憶部に記憶された前記第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成ステップであって、
前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、
抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、
n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側からに少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、
前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する
前記生成ステップと、
少なくとも、前記生成ステップにより生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御ステップであって、
前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、
前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする
前記制御ステップと
を実行させるための印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドを用いて印刷を行う印刷装置において、ドットの密度を高めることで解像度の高い印刷画像を印刷する為の技術が提案されている。特許文献1に記載の印字装置は、副走査方向の長さが短い発熱体を有するサーマルヘッドを用い、且つ、印字周期内に複数の加熱パルスを有する制御信号を用いて印刷を行う。これにより印字装置は、印刷媒体に形成されるドットの副走査方向における密度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の印字装置では、印刷画像に形成されるドットの副走査方向における密度を高めることはできても、ドットの主走査方向における密度を高めることができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷媒体に形成されるドットの主走査方向における密度を容易に高めることで高品質な印刷画像を印刷することが可能な印刷装置、印刷方法、及び印刷プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、発熱素子が主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を、前記主走査方向と直交する副走査方向に相対移動させる移動機構と、前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御部と、前記主走査方向及び前記副走査方向に配列された画素のうち前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データを記憶する記憶部と、を備えた印刷装置であって、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成処理であって、前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側から順に少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する前記生成処理と、少なくとも、前記生成処理により生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御処理であって、前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする、前記制御処理とを実行することを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、印刷装置は、印刷媒体に形成されるドットの主走査方向における密度を高めることができるので、高品質な印刷画像を印刷媒体に印刷できる。
【0008】
第1態様において、前記制御処理は、nが等しい場合、前記分割印刷画素の数が大きい程、前記第2値を大きくしてもよい。この場合、印刷装置は、印刷媒体のうち分割印刷画素に対応する位置に、ドットを適切に形成させることができる。
【0009】
第1態様において、前記制御処理は、前記分割印刷画素の数が等しい場合、nが大きい程、前記第2値を小さくしてもよい。この場合、印刷装置は、印刷媒体のうち分割印刷画素に対応する位置に、ドットを適切に形成させることができる。
【0010】
第1態様において、前記制御処理は、前記第2印刷データに基づき、前記印刷媒体のうち、前記第2印刷画像中の前記印刷画素が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、前記印刷媒体のうち、前記第2印刷画像中の前記分割印刷画素を含む前記対象画素が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第2値としてもよい。この場合、印刷装置は、対象画素に対応する位置を容易に区別して発熱素子に第2値のエネルギーを付与し、分割印刷画素に対応する位置にドットを形成させることができる。
【0011】
第1態様において、前記制御処理は、前記第1印刷データ及び前記第2印刷データに基づき、前記印刷媒体のうち前記第1印刷画像及び前記第2印刷画像が配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、前記印刷媒体のうち前記第2印刷画像のみ配置される位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第2値としてもよい。この場合、印刷装置は、対象画素に対応する位置を容易に区別して発熱素子に第2値のエネルギーを付与し、分割印刷画素に対応する位置にドットを形成させることができる。
【0012】
第1態様において、前記第1印刷データの前記画素は、前記主走査方向及び前記副走査方向のそれぞれの長さが等しい元画素を、前記副走査方向にm(mは、2以上の整数)個に分割することで生成され、前記副走査方向の長さが前記主走査方向の長さの1/mであってもよい。この場合、印刷装置は、主走査方向だけでなく副走査方向におけるドットの密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を印刷媒体に印刷できる。
【0013】
第1態様において、nが2であってもよい。この場合、印刷装置は、制御部の処理負荷の増大を抑制しつつ、ドットの密度を高めることができる。
【0014】
第1態様において、前記発熱素子は、発熱により1つのドットを前記印刷媒体に形成し、前記主走査方向に分けられた2つの発熱体からなってもよい。つまり印刷装置は、対象画素に対応する位置で、発熱素子の2つの発熱体を発熱させる。この場合、印刷媒体のうち2つの発熱体から熱が加えられる位置は、対象画素に対して主走査方向の一方側又は他方側に隣接する印刷画素に対応する位置に近づく。このため、印刷装置は、印刷媒体のうち分割印刷画素に対応する位置にドットを形成させることが容易に可能となる。
【0015】
第1態様において、所定値以上のエネルギーが前記発熱素子に付与されて発熱した場合、前記印刷媒体にドットが形成され、前記所定値未満のエネルギーが前記発熱素子に付与されて発熱した場合、前記印刷媒体にドットが形成されず、前記第2値は、前記所定値以上であってもよい。この場合、印刷装置は、分割印刷画素に対応する位置にドットを適切に形成させることができる。
【0016】
第1態様において、前記制御部は、前記印刷媒体のうち前記印刷画素の一部に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、前記第1値とし、前記印刷画素の一部を除く部分に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を前記第2値とすることにより、前記印刷媒体のうち前記印刷画素の一部を除く部分に対応する位置に形成されるドットを、前記主走査方向に分割してもよい。この場合、印刷装置は、印刷媒体のうち印刷画素に対応する位置に形成されるドットの主走査方向の密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を印刷媒体に印刷できる。
【0017】
第1態様において、前記制御部は、前記発熱素子にエネルギーを付与して前記発熱素子を発熱させる周期を短くすることにより、前記印刷媒体に形成されるドットを、前記副走査方向に分割してもよい。この場合、印刷装置は、副走査方向におけるドットの密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を印刷媒体に印刷できる。
【0018】
本発明の第2態様に係る印刷方法は、主走査方向及び前記主走査方向と直交する副走査方向に配列された画素のうち、発熱素子が前記主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドの前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成ステップであって、前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側からに少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する前記生成ステップと、少なくとも、前記生成ステップにより生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド、及び、前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を前記副走査方向に相対移動させる移動機構を制御する制御ステップであって、前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする前記制御ステップとを備えたことを特徴とする。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【0019】
本発明の第3態様に係る印刷プログラムは、発熱素子が主走査方向に複数配列されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに対して印刷媒体を前記主走査方向と直交する副走査方向に相対移動させる移動機構と、前記主走査方向及び前記副走査方向に配列された画素のうち前記発熱素子の発熱によりドットが形成される画素である印刷画素とドットが形成されない画素である非印刷画素とが設定され、前記印刷画素により表される印刷画像である第1印刷画像を印刷する為の第1印刷データを記憶した記憶部とを備えた印刷装置のコンピュータに、前記記憶部に記憶された前記第1印刷データに基づき第2印刷データを生成する生成ステップであって、前記非印刷画素のうち、前記副走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接し、且つ、前記主走査方向の一方側又は他方側に前記印刷画素が隣接する対象画素を抽出し、抽出した前記対象画素を、前記主走査方向にn(nは、2以上の整数)個に分割することでn個の分割画素を生成し、n個の前記分割画素のうち、前記対象画素に対して前記主走査方向に隣接する前記印刷画素との距離が近い側からに少なくとも1つの前記分割画素を、ドットが形成される前記分割画素である分割印刷画素として前記印刷画素に加えた印刷画像である第2印刷画像を特定し、前記第2印刷画像を印刷する為の前記第2印刷データを生成する前記生成ステップと、少なくとも、前記生成ステップにより生成された前記第2印刷データに基づいて、前記サーマルヘッド及び前記移動機構を制御する制御ステップであって、前記印刷媒体のうち前記印刷画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与するエネルギーの値を、第1値とし、前記印刷媒体のうち前記対象画素に対応する位置で前記発熱素子を発熱させる為に前記発熱素子に付与されるエネルギーの値を、前記第1値よりも小さい第2値とする前記制御ステップとを実行させる。第3態様によれば、第1態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(A)カバー3が閉じられた状態のプリンタ1の斜視図であり、(B)カバー3が開かれた状態のプリンタ1の斜視図である。
【
図2】カセット6が装着されたカセット装着部8の、カセット装着部8の底面の図示を省略した平面図である。
【
図3】感熱テープMにドットDが印刷される様子を示す図である。
【
図4】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】第1印刷データW1から対象画素Qが抽出される様子を示す図である。
【
図10】第1印刷データW1から分割画素v及び分割印刷画素Vが生成される様子を示す図である。
【
図11】第2印刷画像G2が印刷される様子を示す図である。
【
図12】変形例におけるメイン処理を示す図である。
【
図13】変形例におけるサーマルヘッド15を示す図である。
【
図14】分割画素vの個数がそれぞれ異なる対象画素Qを示す図である。
【
図15】分割印刷画素Vの個数がそれぞれ異なる対象画素Qを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<プリンタ1の概要>
図1、
図2を参照して、プリンタ1を説明する。プリンタ1は、感熱タイプ及び熱転写タイプのテープ印刷装置である。プリンタ1には、一例として、記録媒体として感熱テープMを含むカセット6が装着される。プリンタ1は、カセット6から感熱テープMを繰り出して搬送しながら、後述のサーマルヘッド15によって加熱することにより、印刷を行う。
【0022】
図1(A)及び
図1(B)に示すように、プリンタ1は、筐体2、カバー3、表示部4、操作部5を備える。筐体2は、略直方体形状である。筐体2の左側面には、排出スリット10が形成される。排出スリット10は上下方向に延びる開口であり、印刷済みの感熱テープMを筐体2の外部に排出する。カバー3は、筐体2の後端部において、左右方向に延びる軸を中心に回動可能に支持される。
図1(A)は筐体2に対しカバー3が閉じられた状態であり、
図1(B)は筐体2に対しカバー3が開かれた状態である。カバー3は、例えば、カセット6の交換時に開閉される。以下の説明では、筐体2に対してカバー3が閉じられている状態を基準に、各部材の構成を説明する。
【0023】
図1(A)に示すように、表示部4は、カバー3の上面に設けられる。表示部4は例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示可能である。操作部5は、カバー3の前方、且つ、筐体2上面の前部に配設される。操作部5は、プリンタ1に各種指示を入力する場合に操作される。
【0024】
図1(B)、
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2とカバー3とによって囲まれた空間に、カセット装着部8、ヘッドホルダ16、サーマルヘッド15、プラテンホルダ13、プラテンローラ11、搬送ローラ12、モータ36、及び切断機構17を備える。
【0025】
カセット装着部8は、カセット6を装着可能な下方に凹む凹部である。ヘッドホルダ16は、カセット装着部8の前部に設けられた金属製の板状である。ヘッドホルダ16は、前面にサーマルヘッド15を搭載する。
【0026】
プラテンホルダ13は、ヘッドホルダ16の前側に設けられたアーム状である。プラテンホルダ13の右端部は、上下方向に延びる軸14を中心に揺動可能に軸支される。プラテンローラ11及び搬送ローラ12は、プラテンホルダ13の左端部に、上下方向に延びる軸を中心に回転可能に軸支される。プラテンローラ11は、サーマルヘッド15に対向して、サーマルヘッド15と接離可能である。搬送ローラ12は、プラテンローラ11の左側に位置する。搬送ローラ12は、カセット6に設けられた搬送ローラ(非図示)と接離可能である。プラテンホルダ13は、カバー3の開閉に連動して待機位置と印刷位置とに揺動する。印刷位置は、プラテンホルダ13がカセット装着部8と近接した位置である。
【0027】
カバー3が開かれると、プラテンホルダ13は印刷位置から待機位置に向けて移動する。待機位置は、プラテンホルダ13がカセット装着部8から離隔した位置である。プラテンホルダ13が待機位置にある時、ユーザはカセット6をカセット装着部8に対して着脱可能である。カバー3が閉じられると、プラテンホルダ13は待機位置から印刷位置に向けて揺動する。カセット6がカセット装着部8に装着されている場合、プラテンローラ11は感熱テープMをサーマルヘッド15に押し付ける。搬送ローラ12は、カセット6の搬送ローラとの間に感熱テープMを挟む。
【0028】
モータ36はステッピングモータである。モータ36の回転駆動力は、プラテンローラ11及び搬送ローラ12に伝達される。カセット6がカセット装着部8に装着された状態でモータ36が駆動した場合、プラテンローラ11及び搬送ローラ12は平面視反時計回り方向に回転する。
【0029】
切断機構17は、カセット装着部8の左側、且つ排出スリット10(
図1(B)参照)の右方に設けられる。切断機構17は、カセット6から排出された感熱テープMを切断する。切断機構17は、金属製の固定刃18及び移動刃19を有する。移動刃19は、固定刃18に対向して配置され、固定刃18に対し移動可能である。
【0030】
<サーマルヘッド15>
図3(A)に示すように、サーマルヘッド15は、発熱素子F(F(1)~F(6))を備える。発熱素子F(1)~F(6)は、プラテンローラ11及び搬送ローラ12により搬送される感熱テープMの搬送方向(矢印Y1の方向)と直交する方向に等間隔に配置される。なお
図3では、説明を容易化するため、発熱素子Fの数が6個である場合を例示している。実際には、これよりも多くの発熱素子Fがサーマルヘッド15に設けられる。複数の発熱素子Fの配列方向を、「主走査方向」という。主走査方向と直交する方向、即ち、感熱テープMの搬送方向と平行な方向を、「副走査方向」という。隣接する発熱素子F間の間隔を、dと表記する。
【0031】
<印刷動作の概要>
プリンタ1は、カセット6から感熱テープMを繰り出し、排出スリット10に向けて搬送する。感熱テープMは、サーマルヘッド15とプラテンローラ11との間を通過する過程で、プラテンローラ11によってサーマルヘッド15に押し付けられる。プリンタ1は、この状態で、サーマルヘッド15の発熱素子Fに電圧を選択的に印加する。電圧が印加された発熱素子Fには、電圧の印加により電流が流れることに応じ、電力が供給される。発熱素子Fは、電力が供給されることにより発熱する。発熱した発熱素子Fは、感熱テープMに対してエネルギーを付与する。
【0032】
感熱テープMは、サーマルヘッド15の発熱素子Fに対して所定値Th以上の電力が供給されて発熱素子Fが発熱した場合、発熱した発熱素子Fにより加熱された部分が発色する。これにより、主走査方向に並ぶ複数のドットDが感熱テープMに形成される。なお、感熱テープMは、サーマルヘッド15の発熱素子Fに対して所定値Th未満の電力が供給されて発熱素子Fが発熱した場合、発熱した発熱素子Fにより加熱された部分は発色せず、複数のドットDは感熱テープMに形成されない。
【0033】
プリンタ1は、感熱テープMを搬送しながら、サーマルヘッド15の発熱素子Fに対する電力の供給を周期的に繰り返す。これにより、
図3(B)に示すように、主走査方向及び副走査方向に並んだ複数のドットDにより形成される印刷画像が、感熱テープMに印刷される。
【0034】
ここで、複数のドットDの副走査方向の距離が発熱素子F間の間隔dと一致するように発熱素子Fに電力を繰り返し供給した場合における周期を、tと表記する。これに対し、プリンタ1は、発熱素子Fに電力を供給する周期を、t/2とする。これにより、
図3(B)に示すように、プリンタ1は、印刷画像の副走査方向におけるドット密度を高めている。なお、本実施形態では、後述するメイン処理を実行することにより、副走査方向だけでなく主走査方向におけるドット密度を高めることが可能である。詳細は後述する。
【0035】
なお、印刷画像の副走査方向におけるドット密度を高める方法は、上記の方法に限定されない。例えばプリンタ1は、感熱テープMの搬送速度を遅くして印刷を行うことにより、印刷画像の副走査方向におけるドット密度を高めてもよい。
【0036】
印刷済みの感熱テープMは、モータ36の駆動により回転するプラテンローラ11及び搬送ローラ12によって搬送され、排出スリット10を介してプリンタ1の外部に排出される。
【0037】
<電気的構成>
図3を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。プリンタ1は、プリンタ1全般の制御を司るCPU71を備える。CPU71は、記憶部72、表示部4、操作部5、モータ36、ドライバ73、計測部74と電気的に接続する。記憶部72には、CPU71が実行するプログラム、後述する第1印刷データ及び第2印刷データ等が記憶される。表示部4には、CPU71から出力される信号に応じて各種情報が表示される。操作部5に対して行われた入力操作を示す信号は、操作部5からCPU71に出力される。CPU71は、操作部5から出力された信号を検出することにより、操作部5に対して行われた入力操作を検出できる。
【0038】
モータ36は、CPU71から出力される信号に応じて駆動し、プラテンローラ11及び搬送ローラ12を回転させる。ドライバ73は、CPU71から出力される信号に応じ、サーマルヘッド15の発熱素子Fに電力を供給する。計測部74は、サーマルヘッド15に供給された電力を計測し、計測した電力を示す信号をCPU71に出力する。CPU71は、計測部74から出力された信号に基づき、サーマルヘッド15の発熱素子Fに実際に供給された電力を検出できる。
【0039】
<第1印刷データW1>
図5を参照し、第1印刷データの一例である第1印刷データW1について説明する。第1印刷データW1では、主走査方向及び副走査方向に格子状に配列された複数の画素が定義される。
図5では、説明を容易化する為、主走査方向に3列、副走査方向に6列配列された画素が示される。実際には、これよりも多くの画素が第1印刷データW1により定義される。
【0040】
更に第1印刷データW1では、発熱素子Fの発熱によりドットが形成される画素である印刷画素P(P1、P2、P3、P4、P5、P6)、又は、ドットが形成されない画素である非印刷画素qが設定される。プリンタ1は、第1印刷データW1に基づき駆動することにより、第1印刷データW1の印刷画素Pにより表される印刷画像(以下、「第1印刷画像G1」という。)を感熱テープMに印刷することが可能である。
【0041】
なお前述のように、プリンタ1は、発熱素子Fに電力を供給する周期をt/2とすることにより、副走査方向におけるドット密度を高めている。このため、第1印刷データW1における各画素の副走査方向の長さは、主走査方向の長さの1/2となっている。つまり、第1印刷データW1の画素は、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの長さが等しい元画素を、副走査方向に2個に分割することで生成されている。
【0042】
<第2印刷データW2>
図6を参照し、第2印刷データの一例である第2印刷データW2について説明する。第2印刷データW2は、第1印刷画像G1に対して主走査方向におけるドット密度を高めた第2印刷画像G2を印刷する為の印刷データである。第2印刷画像G2では、第1印刷画像G1(
図5参照)の輪郭部分にみられるジャギーが滑らかになっている。第2印刷データW2は、後述するメイン処理(
図7参照)により、第1印刷データW1に基づいて生成される。
【0043】
第2印刷画像G2は、印刷画素Pと分割印刷画素V21、V12、V23、V14(以下、「分割印刷画素V」という。)とにより表される印刷画像である。つまり第2印刷画像G2は、印刷画素Pにより表される第1印刷画像G1に分割印刷画素Vが加えられた印刷画像である。分割印刷画素Vは、画素を主走査方向に2つに分割した形状を有する。分割印刷画素Vにおける主走査方向の長さと副走査方向の長さは同一である。
【0044】
以下、分割印刷画素Vを含む画素を、「対象画素Q」という。分割印刷画素V21を含む対象画素Qを「対象画素Q1」という。分割印刷画素V12を含む対象画素Qを「対象画素Q2」という。分割印刷画素V23を含む対象画素Qを「対象画素Q3」という。分割印刷画素V14を含む対象画素Qを「対象画素Q4」という。主走査方向に並ぶ画素列を、「列C」という。印刷画素P1を含む列Cを、「列C1」という。印刷画素P2、対象画素Q2、及び分割印刷画素V12を含む列Cを、「列C2」という。印刷画素P3、対象画素Q1、及び分割印刷画素V21を含む列Cを、「列C3」という。印刷画素P4、対象画素Q4、及び分割印刷画素V14を含む列Cを、「列C4」という。印刷画素P5、対象画素Q3、及び分割印刷画素V23を含む列Cを、「列C5」という。印刷画素P6を含む列Cを、「列C6」という。
【0045】
<メイン処理>
図7を参照し、メイン処理について説明する。CPU71は、印刷を開始するための入力操作を、操作部5を介して検出した場合、記憶部72に記憶されたプログラムを読み出して実行することによりメイン処理を開始する。
【0046】
CPU71は、記憶部72に記憶された第1印刷データを読み出して取得する(S11)。以下では、
図5に示す第1印刷データW1が取得された場合を例に挙げ、具体的に説明する。CPU71は、取得した第1印刷データW1に基づき、印刷画素P(P1、P2、P3、P4、P5、P6)により表される第1印刷画像G1を特定する(S13)。CPU71は、特定した第1印刷画像G1に基づき、対象画素Q(
図6参照)を抽出する(S15)。CPU71は、以下の4つの条件の何れかを満たす非印刷画素qを、対象画素Qとして抽出する。
【0047】
・副走査方向の一方側に印刷画素Pが隣接し、且つ、主走査方向の一方側に印刷画素Pが隣接する(例えば、
図8の対象画素Qa)
・副走査方向の他方側に印刷画素Pが隣接し、且つ、主走査方向の一方側に印刷画素Pが隣接する(例えば、
図8の対象画素Qb)
・副走査方向の一方側に印刷画素Pが隣接し、且つ、主走査方向の他方側に印刷画素Pが隣接する(例えば、
図8の対象画素Qc)
・副走査方向の一方側に印刷画素Pが隣接し、且つ、主走査方向の他方側に印刷画素Pが隣接する(例えば、
図8の対象画素Qd)
【0048】
S11で第1印刷データW1が取得されている為、
図9に示す非印刷画素q1、q2、q3、q4が、それぞれ対象画素Q1、Q2、Q3、Q4として抽出される。
【0049】
図7に示すように、次にCPU71は、S15で抽出した対象画素Q1、Q2、Q3、Q4をそれぞれ主走査方向に2分割し、分割画素vを生成する(S17)。
【0050】
図10に示すように、対象画素Q1は主走査方向に分割され、分割画素v11、v21が生成される。対象画素Q2は主走査方向に分割され、分割画素v12、v22が生成される。対象画素Q3は主走査方向に分割され、分割画素v13、v23が生成される。対象画素Q4は主走査方向に分割され、分割画素v14、v24が生成される。以下、分割画素v11、v12、v13、v14を総称し、「分割画素v1」という。分割画素v21、v22、v23、v24を総称し、「分割画素v2」という。分割画素v1、v2を総称し、「分割画素v」という。
【0051】
図7に示すように、次にCPU71は、対象画素Qを分割して生成された分割画素v1、v2のうち、対象画素Qに対して主走査方向に隣接する印刷画素Pとの距離が近い方の分割画素vを、ドットが形成される分割画素vである分割印刷画素Vとして特定する(S19)。
【0052】
図10において、対象画素Q1に対して主走査方向の他方側に印刷画素P3が隣接するので、分割画素v11、v21のうち印刷画素P3に近接する分割画素v21が、分割印刷画素V21として特定される。対象画素Q2に対して主走査方向の一方側に印刷画素P2が隣接するので、分割画素v12、v22のうち印刷画素P2に近接する分割画素v12が、分割印刷画素V12として特定される。対象画素Q3に対して主走査方向の一方側に印刷画素P5が隣接するので、分割画素v13、v23のうち印刷画素P5に近接する分割画素v23が、分割印刷画素V23として特定される。対象画素Q4に対して主走査方向の他方側に印刷画素P4が隣接するので、分割画素v14、v24のうち印刷画素P4に近接する分割画素v14が、分割印刷画素V14として特定される。
【0053】
図7に示すように、CPU71は、第1印刷画像G1の印刷画素Pに、S19で特定された分割印刷画素Vを加えた第2印刷画像G2(
図6参照)を特定する(S21)。CPU71は、第2印刷画像G2を印刷するための第2印刷データW2を生成し(S23)、記憶部72に記憶する(S23)。
【0054】
CPU71は、モータ36を駆動してプラテンローラ11及び搬送ローラ12の回転を開始させる。これによりCPU71は、カセット6から繰り出された感熱テープMの搬送を開始する(S25)。
【0055】
CPU71は、S23で生成した第2印刷データW2に基づき、ドライバ73を介してサーマルヘッド15の発熱素子Fに供給する電力を制御する。これにより、CPU71は印刷動作を実行する。具体的には次の通りである。
【0056】
CPU71は、感熱テープMのうち、第2印刷画像G2中の印刷画素Pが配置される位置で発熱素子Fを発熱させる場合(S27:YES)、この発熱素子Fに対してドライバ73が供給する電力の値が第1値T1となるように、ドライバ73を制御する(S29)。又、CPU71は、感熱テープMのうち、第2印刷画像G2中の対象画素Qが配置される位置で発熱素子Fを発熱させる場合(S27:NO、S31:YES)、この発熱素子Fに対してドライバ73が供給する電力の値が、第1値T1よりも小さい第2値T2となるように、ドライバ73を制御する(S33)。ここで、第1値T1、及び第2値T2は、何れも、感熱テープMを発色させるときに発熱素子Fに供給される電力の閾値である所定値Thよりも大きい。
【0057】
一方、CPU71は、感熱テープMのうち、非印刷画素qが配置される位置において発熱素子Fが発熱しないようドライバ73を制御する(S31:NO、S35)。
【0058】
CPU71は、第2印刷データW2に基づく印刷がすべて終了したか判定する(S37)。CPU71は、印刷が終了していないと判定した場合(S37:NO)、処理をS27に戻し、S27~S35の処理を繰り返す。
【0059】
図11を参照し、第2印刷データW2(
図6参照)に基づいて第2印刷画像G2が感熱テープMに印刷される場合について具体的に説明する。
【0060】
はじめに、第2印刷データW2の列C1(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P1が抽出される。
図11(A)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P1に対応する位置にある発熱素子F(2)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD1が形成される。
【0061】
次に、第2印刷データW2の列C2(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P2及び対象画素Q2が抽出される。
図11(B)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P2に対応する位置にある発熱素子F(2)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD2が形成される。又、感熱テープMのうち、抽出された対象画素Q2に対応する位置にある発熱素子F(3)に、第2値T2の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD12が形成される。なお、第2値T2は第1値T1よりも小さいので、感熱テープMのうち対象画素Q2に対応する位置に形成されるドットD12の主走査方向の長さは、ドットD1、D2よりも短くなる。
【0062】
なお、ドットD2が形成される位置は、ドットD1に隣接する。このため、ドットD1を形成させる為の熱を考慮すると、ドットD2を形成させる為に発熱素子F(2)に供給される電力の値は、ドットD1を形成させる為に発熱素子F(2)に供給される電力の値よりも小さくてもよい。この場合、ドットD2を形成させる為に発熱素子F(2)に供給される電力の値は、ドットD1を形成させる為に発熱素子F(2)に供給された電力に基づき、蓄熱計算により算出されてもよい。
【0063】
なお、ドットD2を形成さるために第1値T1の電力が供給された発熱素子F(2)の熱の影響は、感熱テープMのうち発熱素子F(3)の発熱により加熱される領域に及ぶ。このため、発熱素子F(3)の発熱により感熱テープMが発色して形成されるドットD12は、ドットD2とつながり、間にすき間は発生しない。一方、発熱素子F(3)に対して発熱素子F(2)と反対側に隣接する発熱素子F(4)は発熱していないので、ドットD12は、ドットD2と反対側には広がらない。これによりドットD12は、対象画素Q2に対応する位置の主走査方向における中央に対し、ドットD2に近接した位置に形成される。
【0064】
次に、第2印刷データW2の列C3(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P3及び対象画素Q1が抽出される。
図11(C)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P3に対応する位置にある発熱素子F(3)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD3が形成される。又、感熱テープMのうち、抽出された対象画素Q1に対応する位置にある発熱素子F(2)に、第2値T2の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD21が形成される。なお、第2値T2は第1値T1よりも小さいので、感熱テープMのうち対象画素Q3に対応する位置に形成されるドットD21の主走査方向の長さは、ドットD1~D3よりも短くなる。
【0065】
なお、ドットD3を形成さるために第1値T1の電力が供給された発熱素子F(3)の熱の影響は、感熱テープMのうち発熱素子F(2)の発熱により加熱される領域に及ぶ。このため、発熱素子F(2)の発熱により感熱テープMが発色して形成されるドットD21は、ドットD3とつながり、間にすき間は発生しない。一方、発熱素子F(2)に対して発熱素子F(3)と反対側に隣接する発熱素子F(1)(
図3参照)は発熱していないので、ドットD21は、ドットD3と反対側には広がらない。これによりドットD21は、対象画素Q3に対応する位置の主走査方向における中央に対し、ドットD3に近接した位置に形成される。
【0066】
次に、第2印刷データW2の列C4(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P4及び対象画素Q4が抽出される。
図11(D)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P4に対応する位置にある発熱素子F(3)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD4が形成される。又、感熱テープMのうち、抽出された対象画素Q4に対応する位置にある発熱素子F(4)に、第2値T2の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD14が形成される。ドットD14の主走査方向の長さはドットD1~D4よりも短くなる。又、ドットD14はドットD4とつながり、対象画素Q4に対応する位置の主走査方向における中央に対してドットD4に近接した位置に形成される。
【0067】
次に、第2印刷データW2の列C5(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P5及び対象画素Q3が抽出される。
図11(E)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P5に対応する位置にある発熱素子F(4)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD5が形成される。又、感熱テープMのうち、抽出された対象画素Q3に対応する位置にある発熱素子F(3)に、第2値T2の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD23が形成される。ドットD23の主走査方向の長さはドットD1~D5よりも短くなる。又、ドットD23はドットD5とつながり、対象画素Q3に対応する位置の主走査方向における中央に対してドットD5に近接した位置に形成される。
【0068】
次に、第2印刷データW2の列C6(
図6参照)の情報が参照され、第2印刷画像G2中の印刷画素P6が抽出される。
図11(F)に示すように、感熱テープMのうち、抽出された印刷画素P6に対応する位置にある発熱素子F(4)に、第1値T1の電力が供給される。これにより、感熱テープMは発色し、ドットD6が形成される。
【0069】
以上により、
図11(G)に示すように、ドットD1~D6、D21、D12、D23、D14(
図11(A)~(F)参照)からなる第2印刷画像G2が感熱テープMに印刷される。
【0070】
図7に示すように、CPU71は、第2印刷データW2に基づく印刷がすべて終了したと判定した場合(S37:YES)、モータ36の駆動を停止し、プラテンローラ11及び搬送ローラ12の回転を終了させる。これによりCPU71は、感熱テープMの搬送を停止させる(S39)。CPU71は、メイン処理を終了する。
【0071】
<本実施形態の作用、効果>
プリンタ1は、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置に形成させるドットDの主走査方向の長さを、印刷画素Pに対応する位置に形成させるドットDの主走査方向の長さよりも小さくできる。これによりプリンタ1は、感熱テープMに形成されるドットDの主走査方向における密度を高めることができるので、高品質な印刷画像を感熱テープMに印刷できる。
【0072】
又、プリンタ1は、対象画素Qを主走査方向に2分割した分割画素v1、v2の何れを分割印刷画素Vとするかに関わらず、一律に第2値T2の電力を発熱素子Fに供給し、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置にドットDを形成させる。この場合に形成されるドットDが、主走査方向に隣接する他のドットDと繋がることで、第1印刷画像G1の輪郭部分にみられるジャギーを滑らかにした第2印刷画像G2が感熱テープMに印刷される。このためプリンタ1は、主走査方向の密度が高いドットDを、簡易な制御により感熱テープMに形成させることができるので、CPU71の処理負荷を軽減できる。
【0073】
プリンタ1は、第2印刷データW2に基づき、感熱テープMのうち第2印刷画像G2中の印刷画素Pが配置される位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力の値を第1値T1とする。一方、プリンタ1は、感熱テープMのうち、第2印刷画像G2中の分割印刷画素Vを含む対象画素Qが配置される位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力を第2値T2とする。これによりプリンタ1は、対象画素Qに対応する位置を容易に判別して発熱素子Fに第2値T2の電力を供給し、分割印刷画素Vに対応する位置にドットDを形成させることができる。
【0074】
第1印刷データW1の画素は、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの長さが等しい元画素(
図5参照)を、副走査方向に2分割することで生成される。このため、第1印刷データW1の画素の副走査方向の長さは、主走査方向の長さの1/2である。これによりプリンタ1は、副走査方向におけるドット密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を感熱テープMに印刷できる。
【0075】
プリンタ1は、感熱テープMのうち印刷画素Pに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力を第1値T1とし、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力を第2値T2とする。第1値T1及び第2値T2は、何れも、感熱テープMにドットを形成させる為に最低限必要となる電力の値である所定値Thよりも大きい。つまり、感熱テープMは、発熱素子Fに第2値T2の電力が供給された場合、隣接する発熱素子Fが発熱する影響を受けることなく発色し、ドットDを形成させる。このため、プリンタ1は、分割印刷画素Vに対応する位置にドットDを適切に形成させることができる。
【0076】
<変形例>
図12を参照し、変形例におけるメイン処理について説明する。変形例におけるメイン処理では、
図7のS27~S35の代わりに、S57~S65が実行される。その他の処理は、
図7に示すメイン処理と同一であるので、説明を省略する。
【0077】
図12に示すように、CPU71は、S23で生成した第2印刷データW2に基づき、ドライバ73を介してサーマルヘッド15の発熱素子Fに供給する電力を制御する。これにより、CPU71は印刷動作を実行する。具体的には次の通りである。
【0078】
CPU71は、記憶部72に記憶された第1印刷データW1に基づき、印刷画素Pからなる第1印刷画像G1を特定する。CPU71は、記憶部72に記憶された第2印刷データW2に基づき、印刷画素Pに分割印刷画素Vが加えられた第2印刷画像G2を特定する。
【0079】
CPU71は、第1印刷画像G1及び第2印刷画像G2の両方が配置される部分を、印刷画素Pの位置として特定する。CPU71は、感熱テープMのうち、特定した印刷画素Pに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる場合(S57:YES)、この発熱素子Fに対してドライバ73が供給する電力の値が第1値T1となるように、ドライバ73を制御する(S59)。
【0080】
又、CPU71は、第2印刷画像G2のみ配置され且つ第1印刷画像G1が配置されない部分を、分割印刷画素Vの位置として特定する。CPU71は、感熱テープMのうち、特定した分割印刷画素Vを含む対象画素Qに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる場合(S57:NO、S61:YES)、この発熱素子Fに対してドライバ73が供給する電力の値が、第1値T1よりも小さい第2値T2となるように、ドライバ73を制御する(S63)。
【0081】
CPU71は、第1印刷画像G1及び第2印刷画像G2の何れも配置されない部分を、非印刷画素qの位置として特定する。CPU71は、感熱テープMのうち、特定した非印刷画素qに対応する位置において、発熱素子Fが発熱しないようドライバ73を制御する(S61:NO、S65)。
【0082】
CPU71は、第2印刷データW2に基づく印刷がすべて終了したか判定する(S37)。CPU71は、印刷が終了していないと判定した場合(S37:NO)、処理をS27に戻し、S57~S65の処理を繰り返す。
【0083】
変形例によれば、プリンタ1は、対象画素Qに対応する位置を容易に判別して発熱素子Fに第2値T2の電力を供給し、分割印刷画素Vに対応する位置にドットDを形成させることができる。
【0084】
<その他の変形例>
サーマルヘッド15の各発熱素子Fは、発熱により1つのドットを感熱テープMに形成する2つの発熱体を有していてもよい。例えば
図13に示すように、発熱素子F(1)は、発熱体f(11)、f(12)を有していてもよい。発熱素子F(2)は、発熱体f(21)、f(22)を有していてもよい。発熱素子F(3)は、発熱体f(31)、f(32)を有していてもよい。発熱素子F(4)は、発熱体f(41)、f(42)を有していてもよい。以下、発熱体f(11)、f(21)、f(31)、f(41)を総称して、「発熱体f(10)」という。発熱体f(12)、f(22)、f(32)、f(42)を総称して、「発熱体f(20)」という。
【0085】
各発熱素子Fの発熱体f(10)、f(20)は、主走査方向に配列される。発熱体f(10)、f(20)の間には、セパレータSが設けられる。発熱体f(10)、f(20)は、主走査方向に離隔する。
【0086】
プリンタ1は、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置で、発熱素子Fの発熱体f(10)、f(20)をそれぞれ発熱させる。この場合、感熱テープMのうち発熱体f(10)、f(20)から熱が加えられる位置は、対象画素Qの主走査方向の中央部分に対し、主走査方向の一方側又は他方側に隣接する印刷画素Pの位置に近づく。このため、印刷画素Pに対応する位置にドットDを形成さるために第1値T1の電力が供給された発熱素子Fの熱の影響は、感熱テープMのうち発熱素子F(10)、F(20)の発熱により加熱される領域に及び易くなる。従って、対象画素Qに対応する位置で形成されるドットDは、隣接するドットD、言い換えれば、印刷画素Pに対応する位置に形成されたドットDとつながり易くなる。従ってプリンタ1は、感熱テープMのうち分割印刷画素Vに対応する位置にドットDを形成させることが容易に可能となる。
【0087】
プリンタ1は、対象画素Qを主走査方向に2分割することにより、分割画素v1、v2を生成した。これに対しプリンタ1は、対象画素Qを主走査方向にn分割(nは2以上の整数)することにより、n個の分割画素vを生成してもよい。つまり、対象画素Qを分割することにより生成される分割画素vの数は、2に限定されず、3以上であってもよい。なお、nの数が大きくなる程、主走査方向のドット密度を高めることができる。一方、上記実施形態のように、nの値を2とし、対象画素Qを主走査方向に2分割することにより、CPU71の処理負荷の増大を抑制しつつ、主走査方向におけるドット密度を高めることができる。
【0088】
例えば
図14に示すように、プリンタ1は、対象画素Qを2~6個の何れかに分割して分割画素vを生成してもよい。又、分割画素vのうち、対象画素Qに対して主走査方向に隣接する印刷画素Pとの距離が最も近い分割画素vが1つ、分割印刷画素Vとされてもよい。この場合、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に供給される電力の値である第2値T2は、分割画素vの個数であるnが大きい程、小さくてもよい。例えば、対象画素Qをn個に分割して分割画素vを生成した場合における第2値T2を、第2値T2(n)と表記した場合、
図14に示すように、T2(2)>T2(3)>T2(4)>T2(5)>T2(6)の関係を満たしてもよい。これによりプリンタ1は、感熱テープMのうち分割印刷画素Vに対応する位置に、ドットDを適切に形成させることができる。
【0089】
プリンタ1は、分割画素vのうち、対象画素Qに対して主走査方向に隣接する印刷画素Pとの距離が近い側から順に2つ以上を、分割印刷画素Vとしてもよい。例えば
図15に示すように、対象画素Qが5個に分割されて分割画素vが生成される場合、分割印刷画素Vの数は、1~4個の何れでもよい。
【0090】
なお、上記において、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に供給される電力の値である第2値T2は、分割印刷画素Vの個数が大きい程、大きくてもよい。例えば、分割画素vのうち対象画素Qに対して主走査方向に隣接する印刷画素Pとの距離が近い側から順にx個(xは、1~5の何れかの整数)を分割印刷画素Vとした場合における第2値T2を、第2値2x(5)と表記した場合、
図15に示すように、T21(5)<T22(5)<T23(5)<T24(5)<T25(5)の関係を満たしてもよい。これによりプリンタ1は、感熱テープMのうち分割印刷画素Vに対応する位置に、ドットDを適切に形成させることができる。
【0091】
第1印刷データW1の画素は、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの長さが等しい元画素を、副走査方向にm個(mは、2以上の整数)に分割することで生成されてもよい。即ち、第1印刷データW1の画素は、元画素を副走査方向に3個以上に分割することで生成されてもよい。この場合、第1印刷データW1における各画素の副走査方向の長さは、主走査方向の長さの1/mとなってもよい。一方、第1印刷データW1の画素の主走査方向及び副走査方向の長さは同一でもよい。即ち、第1印刷データW1には、元画素がそのまま含まれていてもよい。
【0092】
第2値T2は、所定値Th未満であってもよい。この場合、感熱テープMのうち対象画素Qに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に第2値T2の電力が供給された場合、感熱テープMは、個の発熱素子Fに対して隣接する発熱素子Fの発熱に応じた熱の影響を受けて発色し、ドットDを形成させてもよい。
【0093】
プリンタ1は、感熱テープMのうち印刷画素Pの一部である印刷画素Ppに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力の値を第1値T1とし、印刷画素Pのうち印刷画素Pp一部を除く部分である印刷画素Pqに対応する位置で発熱素子Fを発熱させる為に発熱素子Fに供給する電力の値を第2値T2としてもよい。これによりプリンタ1は、感熱テープMのうち印刷画素Pqに対応する位置に形成されるドットDを、主走査方向に分割してもよい。これによりプリンタ1は、感熱テープMのうち印刷画素Pqに対応する位置に形成されるドットDの主走査方向の密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を感熱テープMに印刷できる。
【0094】
プリンタ1は、発熱素子Fに電力を供給して発熱素子Fを発熱させる周期を、t/2よりもさらに短くすることにより、感熱テープMに形成されるドットDを、副走査方向に分割してもよい。この場合、プリンタ1は、副走査方向におけるドット密度を高めることができるので、解像度がさらに高く高品質な印刷画像を感熱テープMに印刷できる。
【0095】
プリンタ1は、サーマルヘッド15の発熱素子Fに印加される電圧が第1値T1又は第2値T2となるように制御してもよい。プリンタ1は、サーマルヘッド15の発熱素子Fに印加される電力量が第1値T1又は第2値T2となるように制御してもよい。
【0096】
<その他>
プリンタ1は、本発明の「印刷装置」の一例である。感熱テープMは、本発明の「印刷媒体」の一例である。プラテンローラ11及び搬送ローラ12は、本発明の「移動機構」の一例である。CPU71は、本発明の「制御部」の一例である。S11~S23の処理を行うCPU71は、本発明の「生成処理」の一例である。S25~S35の処理を行うCPU71は、本発明の「制御処理」の一例である。S11~S23の処理は、本発明の「生成ステップ」の一例である。S25~S35の処理は、本発明の「制御ステップ」の一例である。
【符号の説明】
【0097】
1 :プリンタ
11 :プラテンローラ
12 :搬送ローラ
15 :サーマルヘッド
71 :CPU
72 :記憶部
F :発熱素子
M :感熱テープ