(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180666
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ロボット支援装置、ロボット支援方法、ロボット支援プログラム、ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094161
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 宣嗣
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707BS13
3C707CT05
3C707CV09
3C707CW08
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY13
3C707DS01
3C707FS01
3C707FU01
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS35
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT06
3C707KT18
3C707KV01
3C707KW05
3C707KX10
3C707LT06
3C707LV07
3C707LW12
3C707MT04
3C707NS28
(57)【要約】
【課題】作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できるロボット支援装置等を提供する。
【解決手段】ロボット支援装置90は、撮影部50によって撮影された作業対象(梱包材60)の画像に含まれる特徴部分(梱包部63)を検知する特徴部分検知部92と、作業対象におけるロボットアームの作業部(吸着ハンド20および固定吸着部21)の作業位置(開梱位置64)を、特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定部93と、を備える。作業位置決定部93は、特徴部分と作業位置の組を訓練データとする機械学習に基づいて、特徴部分検知部92によって検知された特徴部分から、作業対象におけるロボットアームの作業位置を決定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知部と、
前記作業対象におけるロボットの作業位置を、前記特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定部と、
を備えるロボット支援装置。
【請求項2】
前記作業対象は梱包材であり、
前記特徴部分検知部は、撮影された前記梱包材の画像に含まれる梱包部を前記特徴部分として検知する、
請求項1に記載のロボット支援装置。
【請求項3】
前記梱包部は、前記梱包材の開閉部および結束部のいずれかである、請求項2に記載のロボット支援装置。
【請求項4】
前記作業位置決定部は、前記梱包材における前記ロボットの作業位置を、前記梱包部に隣接する位置として決定する、請求項2に記載のロボット支援装置。
【請求項5】
前記作業位置は、前記ロボットが前記梱包材を開梱する開梱位置である、請求項2に記載のロボット支援装置。
【請求項6】
前記作業位置決定部は、前記特徴部分と前記作業位置の組を訓練データとする機械学習に基づいて、前記特徴部分検知部によって検知された特徴部分から、前記作業対象における前記ロボットの作業位置を決定する、請求項1から5のいずれかに記載のロボット支援装置。
【請求項7】
撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知ステップと、
前記作業対象におけるロボットの作業位置を、前記特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定ステップと、
を備えるロボット支援方法。
【請求項8】
撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知ステップと、
前記作業対象におけるロボットの作業位置を、前記特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定ステップと、
をコンピュータに実行させるロボット支援プログラム。
【請求項9】
作業部と、
前記作業部の作業対象を撮影する撮影部と、
前記作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知部と、
前記作業対象における前記作業部の作業位置を、前記特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定部と、
前記作業部を前記作業位置において作業させる作業制御部と、
を備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット支援装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、物流倉庫、建設現場、病院等の産業現場において、人間の代わりに各種の作業を行う産業用ロボットが導入されている。従来の産業用ロボットは大型で高出力のものが多く、安全のために人間が入れない隔離空間を設けて作業を行わせる必要があった。一方、近年では人間と同じ空間で一緒に作業を行う協働ロボットの導入も進んでいる。従来の産業用ロボットと比べて小型の協働ロボットは狭いスペースに設置でき、低出力であることから安全確保のための大がかりなシステムを必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、梱包材の内容物の収容状況に応じて把持位置を決定するロボットが開示されている。しかし、例えば梱包材が不透明である場合は内容物の収容状況を正確に把握できないため、適切な把持位置を決定できない恐れがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できるロボット支援装置等を提供することを目的とする。なお、本発明は協働ロボットに限らない一般的な産業用ロボットとしてのロボットアーム等に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のロボット支援装置は、撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知部と、作業対象におけるロボットの作業位置を、特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定部と、を備える。
【0007】
この態様では、撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分に対する相対的な位置としてロボットの作業位置が決定されるため、例えば、特徴部分以外の作業対象の形状が不定である場合や、不透明な梱包材等の作業対象の内容物が把握できない場合であっても、作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できる。
【0008】
本発明の別の態様は、ロボット支援方法である。この方法は、撮影された作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知ステップと、作業対象におけるロボットの作業位置を、特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定ステップと、を備える。
【0009】
本発明の更に別の態様は、ロボットである。このロボットは、作業部と、作業部の作業対象を撮影する撮影部と、作業対象の画像に含まれる特徴部分を検知する特徴部分検知部と、作業対象における作業部の作業位置を、特徴部分に対する相対的な位置として決定する作業位置決定部と、作業部を作業位置において作業させる作業制御部と、を備える。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、これらの表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等に変換したものも、本発明に包含される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ロボットアームの各ジョイントを構成する連結装置の構成を模式的に示す。
【
図3】ロボットアームの各ジョイントを構成する連結装置の構成を模式的に示す。
【
図4】ロボット支援装置の第1実施例を模式的に示す。
【
図5】ロボットによるピッキング作業が行われる作業台の模式的な上面図である。
【
図6】ロボットによるピッキング作業のフローチャートである。
【
図8】吸着ハンドによる梱包材の把持作業および開梱作業におけるロボット支援装置の処理を模式的に示す。
【
図9】ロボット支援装置の第2実施例を模式的に示す。
【
図10】把持ハンドによる梱包材の把持作業および取出作業におけるロボット支援装置の処理を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下では実施形態ともいう)について詳細に説明する。説明および/または図面においては、同一または同等の構成要素、部材、処理等に同一の符号を付して重複する説明を省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明の簡易化のために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも本発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
図1は、産業用ロボットまたは協働ロボットの一例としてのロボットアーム100の外観を示す斜視図である。このロボットアーム100は、シリアルリンク機構による垂直多関節型のロボットアームである。本発明を適用可能なロボットは狭義のロボットアームに限られず、複数のリンク(人体における骨に相当)を相対運動可能に連結するジョイント(人体における関節に相当)を有する広義のロボットアームまたは任意のロボットでよい。また、シリアルリンク機構の代わりにパラレルリンク機構としてもよいし、垂直多関節型の代わりに水平多関節型としてもよい。
【0015】
ロボットアーム100は、台座10に近い方から順に、第1ジョイント11、第2ジョイント12、第3ジョイント13、第4ジョイント14、第5ジョイント15、第6ジョイント16、第7ジョイント17の七つのジョイントまたは軸を有する。各ジョイントは人体の各関節に相当し、第1ジョイント11は腰、第2ジョイント12は肩、第3ジョイント13は上腕(捻り)、第4ジョイント14は肘、第5ジョイント15は前腕(捻り)、第6ジョイント16は手首、第7ジョイント17は指先(捻り)に相当する。なお、各軸の方向はロボットアーム100の目的や用途に応じて適宜設計可能だが、本実施形態では台座10が水平面に置かれるとして、第1ジョイント11は鉛直方向(水平面である台座10に対して垂直)、第2ジョイント12は水平方向(水平面である台座10に対して平行)、第3ジョイント13は第2ジョイント12に対して垂直方向、第4ジョイント14は水平方向、第5ジョイント15は第4ジョイント14に対して垂直方向、第6ジョイント16は水平方向、第7ジョイント17は第6ジョイント16に対して垂直方向を向く。
【0016】
ロボットアーム100の先端部にある第7ジョイント17には、作業目的に応じた形状や機能を持つ作業部としてのエンドエフェクタまたはロボットハンドが取り付けられる。例えば、物を掴むためのグラップル状、物を掬うためのシャベル状、物を下から支えて運搬するためのフォーク状、物を引っ掛けて運搬するためのフック状、物を吊り上げて運搬するためのクレーン状といった各種のエンドエフェクタが利用可能である。本実施形態ではエンドエフェクタとして、作業対象としてのワーク60を把持または保持し、必要に応じて開封や内容物の取出し等の任意の作業を実施する把持ツールまたは保持ツールを用いる例を説明する。なお、本明細書における「作業」は広義に解釈すべきであり、ワーク60を把持または保持すること自体も「作業」に包含される。従って、後述する「作業位置」は、エンドエフェクタによるワーク60の把持位置または保持位置も包含する概念である。
【0017】
図2および
図3は、ロボットアーム100の各ジョイント11~17を構成する連結装置30の構成を模式的に示す。
図2の連結装置30は、
図1における第2ジョイント12、第4ジョイント14、第6ジョイント16等の「曲げ」の動作を行うジョイントに適用可能であり、
図3の連結装置30は、
図1における第1ジョイント11、第3ジョイント13、第5ジョイント15、第7ジョイント17等の「捻り」の動作を行うジョイントに適用可能である。
【0018】
図2において、連結装置30は第1部材としての第1リンク41と第2部材としての第2リンク42を相対運動可能に連結する。連結装置30は人体における関節に相当し、連結装置30で相互に連結される第1リンク41および第2リンク42は人体における骨に相当する。
【0019】
第1リンク41および第2リンク42は、連結装置30による連結態様に応じて、様々な態様の相対運動をする。本実施形態では、第1リンク41および第2リンク42の延伸方向に垂直な回転軸Aを中心として第1リンク41と第2リンク42が相対回転する例を説明する。
【0020】
なお、第1リンク41および第2リンク42の相対運動は回転運動に限らず並進運動でもよい。例えば、第1リンク41および第2リンクの延伸方向に垂直な方向(
図2の紙面に垂直な方向)に第1リンク41および第2リンク42が相対的に並進運動するように構成してもよいし、第1リンク41および第2リンクの延伸方向に平行な方向(
図2の上下方向)に第1リンク41および第2リンク42が相対的に並進運動するように構成してもよい。
【0021】
連結装置30は、筐体31と、制御基板32と、モータ33と、減速機34と、弾性部材35と、出力フランジ36を備える。筐体31は、回転軸Aの周りに回転対称な形状をしており、その内部に連結装置30の構成要素32~36を収容する。筐体31の外周には、第1リンク41が取り付けられる第1取付部311と、第2リンク42が取り付けられる第2取付部312が設けられる。
【0022】
第1取付部311において筐体31に固定される第1リンク41は、筐体31と一体的に回転軸Aの周りに第2リンク42に対して相対回転可能である。第2取付部312は、構成要素32~36を収容する筐体31の内部空間と繋がる底面側(
図2の左側)の開口部である。この開口部に設けられる出力フランジ36を介して第2リンク42は連結装置30に取り付けられる。
【0023】
制御基板32はロボットアーム100全体の制御を担う中央制御装置(不図示)の制御の下で連結装置30を制御する。例えば、モータ33に対する駆動指令の生成、出力軸エンコーダ(不図示)の測定データに基づく適応制御、弾性部材35の弾性変形に基づくトルクの検出、検出されたトルクに基づく適応制御等が制御基板32で行われる。モータ33は制御基板32からの駆動指令に応じて回転軸Aの周りに第2リンク42を回転駆動する動力を発生させるアクチュエータである。減速機34は歯車等によってモータ33の回転速度を減らし減速比に比例したトルクを発生させる。
【0024】
弾性部材35は、動力源としてのモータ33および減速機34と、動力によって回転駆動される負荷としての第2リンク42の間に直列に設けられ、連結装置30において直列弾性アクチュエータ(SEA:Series Elastic Actuator)を構成する。協働ロボットとしてのロボットアーム100と一緒に作業を行う人間が衝突したとしても、弾性部材35の弾性変形によって衝撃が吸収されるため安全性が向上する。また、弾性部材35は、モータ33および減速機34で発生した動力や第2リンク42に加わる外力を弾性エネルギーとして蓄積および解放できるため、人間の筋肉のような効率的な動作を実現できる。
【0025】
弾性部材35は連結装置30に弾性を付与する部材であり、例えば、ばねやゴム等の任意の弾性体によって形成される。また、弾性部材35に加えてまたは代えて、連結装置30の第1リンク41および第2リンク42の相対回転に対して抵抗を付与する抵抗付与部材を設けてもよい。抵抗付与部材としては、機械的な摩擦によって抵抗を付与するもの、油やグリース等の粘性流体の粘性によって抵抗を付与するもの等が挙げられる。弾性部材35の弾性や抵抗付与部材が付与する抵抗を制御基板32によって可変としてもよい。
【0026】
なお、弾性部材35は外力によるトルクを検出するトルクセンサとしても機能する。すなわち、外力によるトルクは弾性部材35の弾性変形を引き起こすため、その弾性変形量に基づいてトルクを検出できる。弾性部材35の弾性変形量を測定するためには、磁歪センサ、ひずみゲージ、圧電素子、偏光素子、静電容量センサ等の各種の変位センサを弾性部材35の表面等に取り付ければよい。変位センサで測定された弾性変形量は制御基板32に実装される演算装置等によってトルクに変換される。なお、連結装置30には、弾性部材35および/または他の部材によって、連結装置30に加わる力を検出する力センサを設けてもよい。以下では、力センサおよびトルクセンサを力覚センサと総称する。
【0027】
このように連結装置30には、加わる力および/またはトルクを検出可能な力覚センサが取り付けられてもよい。各ジョイント11~17を構成する連結装置30に加わる力および/またはトルクに基づいて、ロボットアーム100の先端部に設けられる把持ツールや保持ツール等のエンドエフェクタまたはロボットハンドが、把持対象、保持対象、作業対象としてのワーク60から受ける力および/またはトルクを演算できる。つまり、連結装置30に設けられる力覚センサによって、エンドエフェクタがワーク60から受ける力および/またはトルクを間接的に検出できる。これらの力覚センサに加えてまたは代えて、エンドエフェクタに力覚センサを取り付けることで、当該エンドエフェクタがワーク60から受ける力および/またはトルクを直接的に検出してもよい。
【0028】
以上の構成において、減速機34、弾性部材35、抵抗付与部材は、それぞれジョイントとしての連結装置30に柔軟性を付与する柔軟性付与部を構成する。ここで、柔軟性とはジョイントの曲がりやすさを意味し、外力によってジョイントが曲がる場合に柔軟性があるという。例えば、減速機34は減速比に比例したトルクを発生させるため、減速比を低くすることで外力によってジョイントが曲がりやすい柔軟性の高い状態を実現できる。また、弾性部材35や抵抗付与部材は、外力に抗する弾性力や抵抗を発生させつつもジョイントが曲がることを許容するため、ジョイントに柔軟性を付与しているといえる。なお、柔軟性付与部は少なくとも一つのジョイントに設ければよく、
図1の七つのジョイント11~17全てに柔軟性付与部を設けなくてもよい。
【0029】
出力軸エンコーダ(不図示)は、第2リンク42の第1リンク41に対する回転軸Aの周りの回転位置を測定するロータリエンコーダである。出力フランジ36は、減速機34が生成したトルクを弾性部材35を介して第2リンク42に伝え、回転軸Aの周りに第2リンク42を回転させる。出力フランジ36の周囲には、筐体31に対する第2リンク42の回転を円滑化する軸受361が設けられる。
【0030】
図3の連結装置30では、第1リンク41と第2リンク42が、それぞれの延伸方向に平行な回転軸Bを中心として相対回転する。筐体31の第2リンク42側に設けられる切欠37によって、モータ33による第2リンク42の回転軸Bの周りの回転を筐体31が阻害しない構成になっている。
【0031】
図4は、本実施形態に係るロボット支援装置90(
図7)の第1実施例を模式的に示す。本実施例では、作業対象またはワークとしての梱包材60がロボットアーム100によって開梱され、その内容物70が取出アーム80によって取り出される。なお、本図におけるロボットアーム100は
図1と同様に構成できるが大幅に簡略化して図示されている。例えば、本図では七つの軸またはジョイント11~17のうち、第2ジョイント12、第4ジョイント14、第7ジョイント17のみが模式的に示されており、その他の四つのジョイント11、13、15、16の図示は省略されている。
【0032】
ロボットアーム100の先端部にある第7ジョイント17には、作業部またはエンドエフェクタとしての吸着ハンド20が取り付けられる。吸着ハンド20は、袋状の梱包材60の梱包材本体61の表面に吸着することで、当該梱包材本体61の一方側(以下では便宜的に表側ともいう)から梱包材60を把持または保持する把持ツールまたは保持ツールである。また、吸着ハンド20と対になる固定吸着部21が、吸着ハンド20および/または第7ジョイント17の可動範囲の内部または近傍に固定的に設置されている。吸着ハンド20と共に作業部を構成する固定吸着部21は、吸着ハンド20と同様に、袋状の梱包材60の梱包材本体61の表面に吸着することで、当該梱包材本体61の他方側(以下では便宜的に裏側ともいう)から梱包材60を把持または保持する把持ツールまたは保持ツールである。
【0033】
このように、袋状の梱包材本体61は、表側において吸着ハンド20に吸着され、裏側において固定吸着部21に吸着されることで、両側から把持または保持される。この状態で吸着ハンド20を固定吸着部21から梱包材本体61の表裏方向(
図4における略左右方向)に離間させることで、袋状の梱包材本体61が開けられる(すなわち、梱包材60が開梱される)。なお、吸着ハンド20と対になる吸着部(21)は、吸着ハンド20と同様に移動可能に構成されてもよい。例えば、ロボットアーム100と同様のロボットアームおよび/またはロボットの先端部に吸着部(21)を取り付けることで、いわゆる双腕ロボットによって梱包材60を開梱する構成としてもよい。また、吸着ハンド20や固定吸着部21等の吸着ツールに加えてまたは代えて、その他のタイプの把持ツールまたは保持ツール(例えばグリッパまたは把持ハンド)が梱包材60を把持または保持するために利用されてもよい。
【0034】
以上のように吸着ハンド20や固定吸着部21によって袋状の梱包材本体61が開けられた状態で、取出アーム80が梱包材本体61の開口62に上方から挿入される。吸着ハンド20や固定吸着部21と共に作業部を構成する取出アーム80は、先端部に設けられるグリッパまたは把持ハンドによって梱包材本体61の内容物70を把持して開口62から取り出す。
【0035】
後述するように、以上のようなロボットアーム100や取出アーム80等のロボットによる把持、開梱、取出し等の一連の作業は、カメラ等の撮影部50が撮影した梱包材60や内容物70等の作業対象の画像(静止画および/または動画)に基づいて自動化される。
図4の例では、撮影部50がロボットアーム100の先端部、すなわち作業部としての吸着ハンド20の近傍に設けられているが、作業対象および/または作業部を撮影できる限り撮影部50を設ける位置は任意である。例えば、撮影部50はロボットアーム100や取出アーム80等のロボットの先端部から離れた位置(台座10等)に設けられてもよいし、ロボットアーム100や取出アーム80等のロボットが設置される部屋、区画、空間等のロボット外に設置されてもよい。
【0036】
梱包材60の内容物70は任意であるが、民生用や産業用の電子機器に搭載される電子回路基板が例示される。本実施形態によれば、このような電子機器を製造する工場やサプライチェーンにおいて、部品棚や部品トレイに収納されている多数の梱包材60を順次把持して開梱し、取り出した電子回路基板(内容物70)を出荷トレイに配膳するピッキング作業を効率化できる。ピッキング作業は作業対象のワーク60等に応じて人間とロボットが分担する場合も多いため、ロボットアーム100や取出アーム80等のロボットを
図2等に関して説明したSEA等の柔軟性付与部を備える協働ロボットとして構成することで安全性を高められる。
【0037】
図5は、ロボットによるピッキング作業が行われる作業台の模式的な上面図である。本図における左側の部品トレイ置場6には、開梱前の多数の梱包材60が収納された一または複数の部品トレイ6Aが置かれる。ロボットアーム100や取出アーム80等のロボットは、後述するカメラ等の撮影部50その他の情報読取部によって、指示マーク6Bにおけるコード等の情報を読み取ることで、自身(特に先端部)が部品トレイ置場6の近傍に位置することを認識する。本図における右側の出荷トレイ置場7には、開梱された梱包材60から取り出された多数の内容物70(電子回路基板等)が収納された一または複数の出荷トレイ7Aが置かれる。ロボットアーム100や取出アーム80等のロボットは、後述するカメラ等の撮影部50その他の情報読取部によって、指示マーク7Bにおけるコード等の情報を読み取ることで、自身(特に先端部)が出荷トレイ置場7の近傍に位置することを認識する。
【0038】
図6は、ロボットによるピッキング作業のフローチャートである。フローチャートにおける「S」は、ステップまたは処理を意味する。S1では、空き領域のある出荷トレイ7Aが不図示のトレイ運搬ロボットによって識別される。S2では、トレイ運搬ロボットが指示マーク7Bを読み取ることで出荷トレイ置場7を認識する。S3では、トレイ運搬ロボットが空き領域のある出荷トレイ7Aを出荷トレイ置場7に設置する。S4では、上記と同じまたは異なるトレイ運搬ロボットが、指示マーク6Bを読み取ることで部品トレイ置場6を認識する。S5では、トレイ運搬ロボットがピッキング作業の対象である部品トレイ6Aを部品トレイ置場6に設置する。
【0039】
S6では、ロボットアーム100、固定吸着部21、取出アーム80等のロボットまたは作業部がピッキング作業を行う。具体的には、指示マーク6Bを読み取ることで部品トレイ置場6を認識したロボットアーム100、固定吸着部21、取出アーム80等のロボットまたは作業部は、S5で設置された部品トレイ6A内の梱包材60を一つずつ把持して開梱し、電子回路基板等の内容物70を取り出す。そして、指示マーク7Bを読み取ることで出荷トレイ置場7を認識した取出アーム80等のロボットまたは作業部は、開梱された梱包材60から取り出された電子回路基板等の内容物70をS3で設置された出荷トレイ7A内の空き領域に一つずつ配膳または配置する。
【0040】
S7では、S6におけるピッキングの成否が記録される。S8では、上記と同じまたは異なるトレイ運搬ロボットにピッキングの終了が通知される。S9では、トレイ運搬ロボットがS6においてピッキングの終了した部品トレイ6Aを把持して不図示の部品棚に収納する。S10では、S6においてピッキングが行われた出荷トレイ7Aに必要な種類の部品(内容物70)が必要な数だけ配膳されているか否か、すなわちキッティングが終了したか否かが判定される。S10で「No」と判定された場合はS4に戻り、新たな部品トレイ6Aからのピッキング作業が継続される。S10で「Yes」と判定された場合はS11に進み、上記と同じまたは異なるトレイ運搬ロボットが、S10においてキッティングが終了したと判定された出荷トレイ7Aを把持し、出荷トレイ置場7から不図示の出荷エリアに運搬する。
【0041】
図7は、本実施形態に係るロボット支援装置90の機能ブロック図である。ロボット支援装置90は、画像取得部91と、特徴部分検知部92と、作業位置決定部93と、訓練データ格納部94と、作業制御部95を備える。これらの機能ブロックは、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。例えば、ロボット支援装置90の機能ブロックの一部または全部を、支援対象としてのロボット(ロボットアーム100や取出アーム80)に組み込んでもよいし、支援対象としてのロボット外の構成として実現してもよい。
【0042】
画像取得部91は、撮影部50が撮影した梱包材60等の作業対象の画像(静止画および/または動画)を取得する。特徴部分検知部92は、画像取得部91が取得した作業対象の画像に含まれる梱包材60の特徴部分を検知する。作業位置決定部93は、作業対象としての梱包材60におけるロボットアーム100(作業部としての吸着ハンド20等)の作業位置を、特徴部分検知部92が検知した特徴部分に対する相対的な位置として決定する。作業制御部95は、作業部としての吸着ハンド20等を作業位置決定部93が決定した作業位置において作業させる。
【0043】
図8は、吸着ハンド20(および固定吸着部21)による把持作業および開梱作業におけるロボット支援装置90の処理を模式的に示す。本図における梱包材60は、撮影部50によって撮影された梱包材60の画像を表す。本図では便宜的に袋状の梱包材本体61の内部に収容されている電子回路基板等の内容物70も併せて示すが、梱包材本体61が撮影部50にとって不透明である場合は内容物70が画像に写らなくてもよい。
【0044】
特徴部分検知部92は、梱包材60の画像に含まれる梱包部63を梱包材60の特徴部分として検知する。ここで、梱包部63とは袋状の梱包材本体61の開閉部であり、簡易的なチャック、ファスナー、ジッパー、シール等の封止機構を備える部分でもよいし、単に袋状の梱包材本体61の内周面が接触および/または近接している部分でもよい。袋状の梱包材本体61の典型的な梱包部63は、図示の例のように、梱包材本体61の開口62の近傍(
図8における上部)において、一端(
図8における左端)と他端(
図8における右端)の間を横断して延在する特徴的な長尺形状を有する。
【0045】
袋状の梱包材本体61の形状は全体としては不定であるが、梱包部63のような特徴部分は一定の形状を有しているため、特徴部分検知部92によって高精度に検知できる。特徴部分検知部92によって検知された梱包部63の領域は、
図8において矩形状の検知領域63′として模式的に示されている。なお、後述する作業位置決定部93と同様に、特徴部分検知部92は機械学習能力を備える人工知能によって構成されてもよい。このような特徴部分検知部92は、梱包部63を含む梱包材60の
図8のような画像と、当該画像における梱包部63の領域(すなわち
図8における検知領域63′)の多数の組によって構成される訓練データまたは教師データに基づく機械学習によって、画像取得部91から提供される梱包材60の画像中の梱包部63を高精度に検知できる。特徴部分検知部92の機械学習のための訓練データは、後述する訓練データ格納部94に格納されてもよい。
【0046】
作業位置決定部93は、梱包材本体61における吸着ハンド20(および固定吸着部21)の作業位置64を、特徴部分検知部92が検知した梱包部63の検知領域63′に対する相対的な位置として決定する。作業位置64は、ロボットアーム100の吸着ハンド20および固定吸着部21が梱包材本体61の表側および裏側に吸着して把持する吸着位置および把持位置であると共に、梱包材本体61に両側から吸着した吸着ハンド20および固定吸着部21を離間させることで梱包部63を開梱する開梱位置64でもある。図示されるように、開梱位置64は効率的な開梱作業のために被開梱部としての梱包部63に隣接または近接する位置として決定される。開梱位置64は
図8における梱包部63の下方の隣接領域に設定されてもよいが、
図8の例のように梱包部63の上方の隣接領域すなわち開口62に近い側の隣接領域に開梱位置64を設定することで、梱包部63を効率的に開梱できる。
【0047】
また、表裏の開梱位置64に吸着する吸着ハンド20および固定吸着部21の離間量すなわち開口62の開口量または開口径を最大化するために、開梱位置64は梱包部63の検知領域63′の線対称軸上に設けられるのが好ましい。具体的には、矩形状の検知領域63′の長手方向(
図8における左右方向)の中点を通る短手方向(
図8における上下方向)の線対称軸上であって、前述のように開口62に近い側(
図8における上側)に開梱位置64を設定するのが好ましい。
【0048】
以上の考え方は、
図8における梱包部63のような矩形状以外の任意の線対称形状の梱包部の開梱位置の決定に同様に適用できる。すなわち、開梱位置は梱包部の線対称軸上であって、開梱作業によって形成される開口に近い側の梱包部の隣接領域に設定されるのが好ましい。
【0049】
作業位置決定部93は機械学習能力を備える人工知能によって構成されてもよい。このような作業位置決定部93は、
図8のような梱包材60の画像における梱包部63の領域(すなわち
図8における検知領域63′)と、
図8のような開梱位置64の多数の組によって構成される訓練データまたは教師データに基づく機械学習によって、特徴部分検知部92が検知した梱包部63の検知領域63′から、梱包材60におけるロボットの作業位置としての開梱位置64を高精度に決定できる。作業位置決定部93の機械学習のための訓練データは、訓練データ格納部94に格納されている。なお、作業位置決定部93の機械学習は、いわゆるダイレクトティーチングによって行われてもよい。例えば、一方の訓練データである梱包部63の領域63′が作業位置決定部93に与えられている状態で、人間がロボットアーム100を直接的に動かして作業部としての吸着ハンド20を所期の開梱位置64まで移動させる。前述のように、ロボットアーム100は協働ロボットとして構成できるため、このようなダイレクトティーチングの際の安全性を高められる。
【0050】
なお、
図7では便宜的に、梱包材60(作業対象)における梱包部63(特徴部分)を検知する特徴部分検知部92と、梱包材60(作業対象)における開梱位置64(作業位置)を決定する作業位置決定部93を別体として示したが、特徴部分検知部92および作業位置決定部93を一つの機能ブロックに集約してもよい。このような機能ブロックは、画像取得部91が取得した作業対象の画像に基づいて、当該作業対象におけるロボットの作業位置を直接的に決定する。
【0051】
作業制御部95は、作業位置決定部93が決定した表裏の開梱位置64において、ロボットアーム100の吸着ハンド20および固定吸着部21に梱包材本体61を両側から把持させる。そして、作業制御部95は、梱包材本体61に両側から吸着した吸着ハンド20および固定吸着部21を離間させる(吸着ハンド20を固定吸着部21から離間させる)ことで梱包部63を開梱させる。更に、作業制御部95は、吸着ハンド20および固定吸着部21によって袋状の梱包材本体61が開けられた状態で、取出アーム80を
図8における上方から梱包材本体61の開口62に挿入して内容物70を取り出す。
【0052】
本実施例によれば、撮影部50によって撮影された作業対象(梱包材60)の画像に含まれる特徴部分(梱包部63)に対する相対的な位置としてロボットの作業位置(開梱位置64)が決定されるため、例えば、袋状の梱包材60のように特徴部分以外の形状が不定である場合や、不透明な梱包材60の内容物70が把握できない場合であっても、作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できる。
【0053】
図9は、本実施形態に係るロボット支援装置90(
図7)の第2実施例を模式的に示す。前述の第1実施例と同様の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。本実施例における作業対象またはワークとしての梱包材60は、紐状またはケーブル状の被結束物65を、梱包部としての環帯状の結束部63によって結束したものである。ロボットアーム100の先端部にある第7ジョイント17には、作業部としてのグリッパまたは把持ハンド22が取り付けられている。ロボット支援装置90は、撮影部50が撮影した部品トレイ6A内の梱包材60の画像に基づいて、把持ハンド22による梱包材60の把持作業および部品トレイ6Aからの取出作業を自動化する。
【0054】
図10は、把持ハンド22による梱包材60の把持作業および取出作業におけるロボット支援装置90の処理を模式的に示す。本図における梱包材60は、撮影部50によって撮影された梱包材60の画像を表す。特徴部分検知部92は、梱包材60の画像に含まれるバンド状またはベルト状の結束部63を梱包材60の特徴部分として検知する。
【0055】
梱包材60において、紐状またはケーブル状の被結束物65の形状は不定であるが、結束部63のような特徴部分は一定の形状を有しているため、特徴部分検知部92によって高精度に検知できる。また、被結束物65と異なる色の結束部63が使用される場合は、梱包材60の画像における色の違いに基づいて、結束部63を被結束物65と区別して抽出できる。特徴部分検知部92によって検知された結束部63の領域は、
図10において矩形状の検知領域63′として模式的に示されている。実際には、結束部63の三次元形状に適合する環帯状や円環状の幾何学図形(立体)が、特徴部分検知部92によって検知された検知領域63′となる。
【0056】
なお、特徴部分検知部92は機械学習能力を備える人工知能によって構成されてもよい。このような特徴部分検知部92は、結束部63を含む梱包材60の
図10のような画像と、当該画像における結束部63の領域(すなわち
図10における検知領域63′)の多数の組によって構成される訓練データまたは教師データに基づく機械学習によって、画像取得部91から提供される梱包材60の画像中の結束部63を高精度に検知できる。特徴部分検知部92の機械学習のための訓練データは、訓練データ格納部94に格納されてもよい。
【0057】
作業位置決定部93は、梱包材60における把持ハンド22の作業位置64(把持位置)を、特徴部分検知部92が検知した結束部63の検知領域63′に対する相対的な位置として決定する。作業位置64は、把持ハンド22を構成する複数の指部または爪部が梱包材60に当接して把持する複数の把持位置である。図示されるように、複数の把持位置64は安定した把持作業のために、形状が不定な被結束物65ではなく、一定の形状を有する結束部63に隣接または近接する位置として決定される。具体的には複数の把持位置64は、円環状の結束部63の検知領域63′の外周(円周)に沿って略等間隔で設定されるのが好ましい。この考え方は、
図10における結束部63のような円環状以外の任意の形状の結束部の複数の把持位置の決定に同様に適用できる。すなわち、複数の把持位置は結束部の外周に沿って略等間隔で設定されるのが好ましい。
【0058】
作業位置決定部93は機械学習能力を備える人工知能によって構成されてもよい。このような作業位置決定部93は、
図10のような梱包材60の画像における結束部63の領域(すなわち
図10における検知領域63′)と、
図10のような把持位置64の多数の組によって構成される訓練データまたは教師データに基づく機械学習によって、特徴部分検知部92が検知した結束部63の検知領域63′から、梱包材60におけるロボットの作業位置としての把持位置64を高精度に決定できる。作業位置決定部93の機械学習のための訓練データは、訓練データ格納部94に格納されている。なお、作業位置決定部93の機械学習は、いわゆるダイレクトティーチングによって行われてもよい。例えば、一方の訓練データである結束部63の領域63′が作業位置決定部93に与えられている状態で、人間がロボットアーム100を直接的に動かして作業部としての把持ハンド22の複数の指部または爪部を所期の複数の把持位置64まで移動させる。前述のように、ロボットアーム100は協働ロボットとして構成できるため、このようなダイレクトティーチングの際の安全性を高められる。
【0059】
なお、
図7では便宜的に、梱包材60(作業対象)における結束部63(特徴部分)を検知する特徴部分検知部92と、梱包材60(作業対象)における把持位置64(作業位置)を決定する作業位置決定部93を別体として示したが、特徴部分検知部92および作業位置決定部93を一つの機能ブロックに集約してもよい。このような機能ブロックは、画像取得部91が取得した作業対象の画像に基づいて、当該作業対象におけるロボットの作業位置を直接的に決定する。
【0060】
作業制御部95は、作業位置決定部93が決定した複数の把持位置64において、ロボットアーム100の把持ハンド22の複数の指部または爪部に、梱包材60の結束部63を周囲から把持させる。更に、作業制御部95は、把持ハンド22を移動させることで、把持された梱包材60を部品トレイ6Aから取り出す。
【0061】
本実施例によれば、撮影部50によって撮影された作業対象(梱包材60)の画像に含まれる特徴部分(結束部63)に対する相対的な位置としてロボットの作業位置(把持位置64)が決定されるため、例えば、紐状またはケーブル状の被結束物65を含む梱包材60のように特徴部分以外の形状が不定である場合であっても、作業対象におけるロボットの作業位置を適切に決定できる。
【0062】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。例示としての実施形態における各構成要素や各処理の組合せには様々な変形例が可能であり、そのような変形例が本発明の範囲に含まれることは当業者にとって自明である。
【0063】
なお、実施形態で説明した各装置や各方法の構成、作用、機能は、ハードウェア資源またはソフトウェア資源によって、あるいは、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働によって実現できる。ハードウェア資源としては、例えば、プロセッサ、ROM、RAM、各種の集積回路を利用できる。ソフトウェア資源としては、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0064】
20 吸着ハンド、21 固定吸着部、22 把持ハンド、50 撮影部、60 梱包材、61 梱包材本体、62 開口、63 梱包部、64 作業位置、開梱位置、65 被結束物、70 内容物、80 取出アーム、90 ロボット支援装置、91 画像取得部、92 特徴部分検知部、93 作業位置決定部、94 訓練データ格納部、95 作業制御部、100 ロボットアーム。