(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180668
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】塗装膜厚の品質管理システム及び塗装膜厚の品質管理方法
(51)【国際特許分類】
G01B 7/06 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G01B7/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094166
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 浩太朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕平
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA16
2F063BA14
2F063BB02
2F063BB05
2F063CA04
2F063DA02
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063GA04
2F063GA17
2F063KA01
2F063KA03
(57)【要約】
【課題】塗装検査の一連の流れをデジタル化することにより、測定作業の工数削減、手書きや入力によるミスの防止、判定ミスの防止を図る。
【解決手段】構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計2と、デジタル膜厚計2と通信可能であり、計測点の情報、計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機3とを準備し、塗装現場で、デジタル膜厚計2で鋼構造物に塗装された膜厚を計測し、この計測値が携帯端末機3に送信され、その場で、携帯端末機3によって、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否に必要な判定値と比較し、合否判定を行い合否判定の結果を表示し、合否判定の結果を基に膜厚が不足する領域を再び塗装する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計と、
前記デジタル膜厚計と通信可能であり、計測点の情報、前記計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機とを備え、
前記デジタル膜厚計で計測された計測値が前記携帯端末機に入力され、
前記携帯端末機が、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行って前記合否判定の結果を表示可能に構成されている
ことを特徴とする塗装膜厚の品質管理システム。
【請求項2】
同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の塗装膜厚の品質管理システム。
【請求項3】
鋼構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計と、
前記デジタル膜厚計と通信可能であり、計測点の情報、前記計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機とを準備し、
前記デジタル膜厚計で前記鋼構造物に塗装された膜厚を計測し、
前記デジタル膜厚計で計測された計測値が前記携帯端末機に送信され、
その場で、前記携帯端末機によって、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否に必要な判定値と比較され、合否判定が行われて前記合否判定の結果が表示され、
前記合否判定の結果を基に膜厚が不足する領域を再び塗装する
ことを特徴とする塗装膜厚の品質管理方法。
【請求項4】
同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定し、必要な塗膜が確保できていない部位を再び塗装する
ことを特徴とする請求項3に記載の塗装膜厚の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装膜厚の品質管理システム及び塗装膜厚の品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗装の膜厚測定は、膜厚を測定する測定者と計測結果を記録する計測補助者の2名での作業であった。そして、記録者が野帳に記入した計測結果を事務所に戻ってから帳票に転記し、帳票を作成する作業が行われていた。
【0003】
そこで、非特許文献1のように、スマートフォンと連動したデジタル膜厚計が、測定データをクラウドに保存し、1名で塗装膜厚測定が可能となる膜厚測定システムが知られている。この膜厚測定システムでは、テレワーカーがクラウドの測定結果から帳票の整理を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】藤野 大地、他5名、「IoT,テレワークを活用した現場作業の省力化」、川田技報、日本、川田工業株式会社、2022年4月、Vol.41、論文・報告4-1~4-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1の膜厚測定システムでは、現場での作業人数を減らすことはできるが、相変わらずテレワーカーは必要であり、また、クラウドを介してテレワーカーとデータをやり取りすることからすぐに膜厚の合否判定が行えないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗装検査の一連の流れをデジタル化することにより、測定作業の工数削減、手書きや入力によるミスの防止及び判定ミスの防止を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、事務所に測定結果を持ち帰ることなく、塗装現場ですぐに膜厚の合否判定を行えるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、鋼構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計と、
前記デジタル膜厚計と通信可能であり、計測点の情報、前記計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機とを備え、
前記デジタル膜厚計で計測された計測値が前記携帯端末機に入力され、
前記携帯端末機が、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行って前記合否判定の結果を表示可能に構成されている。
【0009】
上記の構成によると、携帯端末機に予め計測点の情報、計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力しておけば、デジタル膜厚計で計測された計測値を携帯端末機に転送すれば、その場で携帯端末機によって計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行った結果を表示することにより、膜厚測定者がすぐに合否判定を確認でき、その場で再塗装の計画を練ることができる。このため、従来のような測定値の転記作業が不要となり、転記時のミスを防止できる。また、携帯端末機で合否判定を行えるので、判断のばらつきがなくなって合否判定を誤るリスクがなくなる。さらに、その場で合否判定ができるため、再塗装する範囲が瞬時に分かって工程短縮につながる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定するように構成されている。
【0011】
上記の構成によると、差分の管理が可能となるので、すぐにその場で再塗装を設定することもでき、本当に必要な膜厚を容易かつ確実に確保することができる。
【0012】
第3の発明では、
鋼構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計と、
前記デジタル膜厚計と通信可能であり、計測点の情報、前記計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機とを準備し、
前記デジタル膜厚計で前記鋼構造物に塗装された膜厚を計測し、
前記デジタル膜厚計で計測された計測値が前記携帯端末機に送信され、
その場で、前記携帯端末機によって、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否に必要な判定値と比較され、合否判定が行われて前記合否判定の結果が表示され、
前記合否判定の結果を基に膜厚が不足する領域を再び塗装する。
【0013】
上記の構成によると、携帯端末機に予め計測点の情報、計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力しておけば、デジタル膜厚計で計測された計測値を携帯端末機に転送すれば、その場で携帯端末機によって計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行った結果を表示することにより、膜厚測定者がすぐに合否判定を確認でき、その場で再塗装の計画を練ることができる。このため、従来のような測定値の転記作業が不要となり、転記時のミスを防止できる。また、携帯端末機で合否判定を行えるので、判断のばらつきがなくなって合否判定を誤るリスクがなくなる。さらに、その場で合否判定ができるため、再塗装する範囲が瞬時に分かって工程短縮につながる。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、
同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定し、必要な塗膜が確保できていない部位を再び塗装する。
【0015】
上記の構成によると、差分の管理が可能となるので、本当に必要な膜厚を容易かつ確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、塗装検査の一連の流れをデジタル化することにより、測定作業の工数削減、手書きや入力によるミスの防止、判定ミスの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】従来と比較した、本発明の実施形態に係る塗装膜厚の品質管理システムの概略を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る塗装膜厚の品質管理システムの流れを示すフローチャートである。
【
図3】(a)起動画面及び(b)ファイル作成画面を示す図である。
【
図7】塗装膜厚測定位置図の読み込み工程を示す図である。
【
図10】計測データ取込み後の塗装膜厚測定記録表の画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1(b)は、
図1(a)に示す、従来と比較した、本発明の実施形態に係る塗装膜厚の品質管理システム1の概略を示す説明図である。
【0020】
本発明の実施形態の塗装膜厚の品質管理システム1は、鋼構造物に塗装された膜厚を計測するデジタル膜厚計2と、デジタル膜厚計2と通信可能であり、計測点の情報、計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力可能な携帯端末機3とを備えている。
【0021】
一方、詳しくは図示しないが、例えば、データを保管及び処理する管理事務所には、携帯端末機3で得られたデータを保管する、サーバ、PC4などが設置されている。
【0022】
デジタル膜厚計2は、例えば、DUALSCOPE(登録商標)などの持ち運びに便利な携帯サイズの小型膜厚計が適している。本実施形態では、例えば、橋梁などの大型鋼構造物の塗装の膜厚を管理するので、電磁式膜厚計がよい。
【0023】
携帯端末機3は、例えば、iPad(登録商標)などの液晶画面を有する通信可能な携帯端末機が望ましく、デジタル膜厚計2との通信方法は特に限定されないが、場合によっては、中継器を介して通信してもよい。携帯端末機3には、デジタル膜厚計2で計測された計測値が携帯端末機3に入力されると共に、携帯端末機3は、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行って合否判定の結果を液晶画面に表示可能に構成されている。
【0024】
また本実施形態の塗装膜厚の品質管理システム1は、同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定するように構成されている。
【0025】
-塗装膜厚の品質管理方法-
次に、本実施形態に係る塗装膜厚の品質管理方法について説明する。
【0026】
(1)変更前の従来の塗装膜厚の品質管理方法
図1(a)に示すように、従来の塗装膜厚の品質管理方法では、まず、管理事務所において、PC104を用いて、例えばEXCEL(登録商標)などの、表計算ソフトに手入力し、空欄を含む紙帳票を印刷する。
【0027】
次いで、塗装現場で、橋梁などの鋼構造物の塗装の膜厚を、膜厚計102を用いて第1作業者が計測し、その計測結果を第2作業者が紙帳票に記入する。
【0028】
次に、管理事務所に戻って紙帳票に記載した計測結果をPC104の表計算ソフトを用いて転記する。
【0029】
次いで、帳票に印刷してデータに誤記などの不備がある場合、再計測を行う。
【0030】
次に、管理事務所に表計算ソフトのデータを送信する。
【0031】
最後に、管理事務所で帳票を印刷して確認する。
【0032】
(2)本実施形態の塗装膜厚の品質管理方法
図1(b)及び
図2に示すように、本実施形態では、まず準備工程として、上述したデジタル膜厚計2と、携帯端末機3とを準備すると共に、予め帳票作成システムのソフトを作成し、PC4、携帯端末機3等にインストールしておく。
【0033】
まず、管理事務所で、ステップS01の帳票作成システム起動工程において、PC4で帳票作成システムを起動する。すると、起動画面(図示せず)が立ち上がる。
【0034】
次いで、ステップS02のファイル作成工程において、新規プロジェクトを作成する場合には、新規起票を選択すると、例えば、
図3(b)に示す情報入力画面が表示され、必要な情報を記入する。複数のデータはデフォルトでインプットされていると入力作業が容易となる。例えば、工事番号を入力すると、工事データベースが読み込まれ、複数の工事情報が自動で出力されるようにしてもよい。管理基準を選択すると、選択した管理基準により、計測点の数(例えば5点)などが設定される。検査対象、塗装ロットNo.なども入力する。これらの情報の入力により、新規起票の報告書ファイルが作成される。
【0035】
次に、ステップS03の各塗装系の規格値設定工程において、起動画面から編集を選択すると、
図3(a)で示した編集画面が表示される。先に起票済みのファイルを読み込み、その中の、項目2の塗膜厚算出を選択すると、
図4に示す画面が現れる。その画面において、各塗装系の規格値を設定する。例えば、塗装系を入力し、塗装面積、設定ロット数、測定回数などを入力する。塗装面積から基準ロット数が自動で計算される。各塗装系における測定区分として複数層を登録する。各層について、各規格値を入力する。膜厚計算9をクリックすると、自動で平均値などが算出される。複数層の塗装を行う場合には、計測の前層との差を算出するか否かの判断も行えるようにしてもよい。その後、データが保存される。
【0036】
その後、ステップS04の計測点設定工程において、計測点を設定する。
図5に示す塗装膜厚測定記録表作成画面を選択し、ブロック名を作成し、必要な情報を記入する。順次、複数のブロック名を作成し、追加していく。画面では、5つのブロックが作成され、その後、各ブロックについて、測定箇所を設定する。総測定数は自動で計算される。記入が終わると、データを保存する。
【0037】
また、測定記録表出力を選択すると、
図6に示すように、表計算ソフトに塗装膜厚測定記録表が表示されるので、確認を行う。
【0038】
次に、ステップS05の計測図作成工程において、計測図を作成する。例えば、塗装膜厚測定位置
図10は、CADデータで作成したものを使用する。
【0039】
次いで、ステップS06の計測図登録工程において、計測図を登録する。例えば、
図7に示すように、塗装系、ロット毎に塗装膜厚測定位置
図10のファイルを読み込む。それぞれの塗装膜厚測定位置
図10は、計測時に携帯端末機3に表示させるために使用する。
【0040】
次に、ステップS07のファイル共有工程において、ファイルをクラウド上で共有しておく。このように、帳票作成の省力化及び紙印刷の廃止を行える。
【0041】
そして、ステップS08の配置図作成工程で、まず配置
図11を作成する。
【0042】
次いで、ステップS09の配置図共有工程で、その配置
図11をクラウドで共有する。
【0043】
次いで、ステップS11の計測システム起動工程で、携帯端末機3において、計測システムを起動すると、例えば、
図8のような画面が表示され、例えば、計測年月日等が自動で表示される。
【0044】
次に、ステップS12の配置図選択工程で、工事番号、社内工事名、塗装ロットNo.の入力、配置図のファイルの選択を行う。例えば、
図8に示した配置図を選択する。
【0045】
次に、ステップS13の接続工程で、デジタル膜厚計2と携帯端末機3とを例えばBluetooth(登録商標)で接続する。
【0046】
次いで、ステップS14の塗装系選択工程で、
図9に示すように、塗装系、測定区分、計測ロットNo.を選択する。
【0047】
次に、ステップS15の計測工程で計測を行う。例えば、ブロック名、計測ロットNo.を選択する。計測ボタン12を押すと、計測時間のログをとる。ここでは、1層目の5点について順次測定する。実際には、各点について、デジタル膜厚計2で測定を行い、その測定値が携帯端末機3に送信され、画面に測定値が表示される。順次測定を行う度に自動で測定値が表示される。平均値は自動で計測される。
【0048】
次いで、ステップS16の膜厚値判定工程において、各点毎の最大値及び最小値の判定や5点平均値の判定を行う。判定結果に対して計測者がOKあるいはNGボタンで登録し、計測点の誤りがあれば、
図9の再計測ボタン13をクリックし、再度5点計測を行う。未測定、測定完了、測定NGは、白、青、赤など背景を色分け表示すると見やすい。
【0049】
各層管理の場合には、層間チェックでNGになるかの判断を行う。
【0050】
ステップS17の未計測判定工程で未計測がないか判定し、ある場合には、ステップS14に戻って計測を続け、完了していれば、ステップS19の膜厚値の判定に進む。1つでもNGがあると、ステップS18の再塗装を行った後、別日に計測を再開する。NGがない場合、ステップS20に進み、計測を終了する。ステップS21のファイル更新工程で、ファイルをクラウド上で更新する。
【0051】
このように、その場で、携帯端末機3によって、入力された計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否に必要な判定値と比較し、合否判定を行い、合否判定の結果が表示される。合否判定の結果を基に膜厚が不足する領域を再び塗装する。
【0052】
そして、例えば、1層目の再塗装を行った後、2層目の塗装の完了後、再び測定を行う。この場合は、測定区分で2層目を選択し、1層目と同様に5点測定を行う。その後の説明は省略する。測定完了後、計測層及び層間判定を行う。また、標準偏差判定も行う。
【0053】
同一測定点で複数層の膜厚を管理する場合に、計測時の膜厚から最後の塗装の前の膜厚を引いた差分を用いて合否判定し、必要な膜厚が確保できていない部位を再び塗装する。そうすると、差分の管理が可能となるので、本当に必要な膜厚を容易かつ確実に確保することができる。
【0054】
次いで、管理事務所において、ステップS31において、PC4で帳票作成システムを起動する。
【0055】
次に、ステップS32でファイルを読み込む。
【0056】
次いで、ステップS33で、
図3(a)で示した編集画面の項目10を選択し、計測データを取り込む。
【0057】
次に、ステップS34で、計測データ、度数分布及びヒストグラムが入力された
図10に示す帳票を自動で作成する。
【0058】
次に、ステップS35で、
図3(a)で示した編集画面の項目5~9の検査帳票類を作成する。
【0059】
最後にステップS36で印刷し、押印を行う。これにより、管理事務所での帳票確認の省力化が行える。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、携帯端末機3に予め計測点の情報、計測点の膜厚規定値及び合否判定に必要な情報を入力しておけば、デジタル膜厚計2で計測された計測値を携帯端末機3に転送すれば、その場で携帯端末機3によって計測値の計測点に関連する膜厚規定値及び合否判定に必要な判定値と比較し、合否判定を行った結果を表示することにより、膜厚測定者がすぐに合否判定を確認でき、その場で再塗装の計画を練ることができる。
【0061】
このため、従来のような測定値の転記作業が不要となり、転記時のミスを防止できる。
【0062】
また、携帯端末機で合否判定を行えるので、判断のばらつきがなくなって合否判定を誤るリスクがなくなる。
【0063】
さらに、その場で合否判定ができるため、再塗装する範囲が瞬時に分かって工程短縮につながる。
【0064】
したがって、本実施形態に係る塗装膜厚の品質管理システム1によると、塗装検査の一連の流れをデジタル化することにより、測定作業の工数削減、手書きや入力によるミスの防止、判定ミスの防止を行うことができる。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0066】
すなわち、上記実施形態では、管理事務所においてPC4で帳票作業を行う例について説明したが、スマートフォンなどの携帯端末機で行ってもよい。
【0067】
上記実施形態では、携帯端末機3としてiPadの例を示したが、スマートフォンや他のタブレット装置でもよい。
【0068】
上記実施形態では、帳票をクラウド上で共有するようにしているが、例えば、管理事務所のインターネットに接続されたサーバで共有するようにしてもよい。
【0069】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 品質管理システム
2 デジタル膜厚計
3 携帯端末機
4 PC
9 膜厚計算
10 塗装膜厚測定位置図
11 配置図
12 測定ボタン
13 再計測ボタン