(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180669
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】エラー通知装置、エラー通知プログラム、およびエラー通知システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G06F11/07 184
G06F11/07 151
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094168
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】椛島 拓夢
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ29
5B042KK13
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】情報処理システム内において発生した未知のエラーについても適切な通知先に通知できるエラー通知装置、エラー通知プログラム、およびエラー通知システムを提供する。
【解決手段】エラー通知装置30は、ログ情報取得部310、エラー検出部320、記憶部330、対処者選定部340、およびエラー通知部350を有する。ログ情報取得部310は、情報処理システム10内の機器のログ情報を取得する。エラー検出部320は、ログ情報に基づいて情報処理システム10内におけるエラーを検出する。記憶部330は、エラーに関連するログ情報とエラーに対処する者との対応を記憶する。対処者選定部340は、エラーに関連するログ情報と記憶部330に記憶されている複数のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定する。エラー通知部350は、対処者にエラーを通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システム内の機器のログ情報を取得するログ情報取得部と、
前記ログ情報に基づいて前記情報処理システム内におけるエラーを検出するエラー検出部と、
前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する記憶部と、
前記エラーに関連するログ情報と前記記憶部に記憶されている複数のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定する対処者選定部と、
前記対処者に前記エラーを通知するエラー通知部と、を有する、エラー通知装置。
【請求項2】
前記対処者選定部は、前記エラーに関連するログ情報が前記複数のログ情報のいずれとも一致しない場合、前記エラーに対処する者に関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて前記エラーに対処する者を対処者として選定し、
前記記憶部は、前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する、請求項1に記載のエラー通知装置。
【請求項3】
前記エラー通知部は、前記情報処理システムの関係者に前記エラーを通知して前記エラーに対処する者を決定するように促し、
前記対処者選定部は、前記情報処理システムの関係者によって決定された、エラーに対処する者を前記対処者として選定する、請求項2に記載のエラー通知装置。
【請求項4】
前記エラーに対処する者は、前記情報処理システムの構成、および前記情報処理システムが行う処理に関する責任範囲に基づいて設定される、請求項1に記載のエラー通知装置。
【請求項5】
情報処理システム内の機器のログ情報を取得するステップ(a)と、
前記ログ情報に基づいて前記情報処理システム内におけるエラーを検出するステップ(b)と、
前記エラーに関連するログ情報と記憶部に記憶されている複数のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定するステップ(c)と、
前記対処者に前記エラーを通知するステップ(d)と、を含む処理をコンピューターに実行させるためのエラー通知プログラム。
【請求項6】
前記ステップ(c)において、前記エラーに関連するログ情報が前記複数のログ情報のいずれとも一致しない場合、前記エラーに対処する者に関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて前記エラーに対処する者を対処者として選定し、前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する、請求項5に記載のエラー通知プログラム。
【請求項7】
前記ステップ(c)において、前記情報処理システムの関係者に前記エラーを通知して前記エラーに対処する者の決定を促し、前記情報処理システムの関係者によって決定された、エラーに対処する者を前記対処者として選定する、請求項6に記載のエラー通知プログラム。
【請求項8】
前記エラーに対処する者は、前記情報処理システムの構成、および前記情報処理システムが行う処理に関する責任範囲に基づいて設定される、請求項5に記載のエラー通知プログラム。
【請求項9】
インプットデバイスと、
前記インプットデバイスの出力に対して第1の処理を実施するエッジデバイスと、
前記エッジデバイスの出力に対して第2の処理を実施するクラウドシステムと、
前記エッジデバイスと前記クラウドシステムとの間においてデータの送受信を行うネットワーク機器と、を有する情報処理システムと、
前記インプットデバイス、前記エッジデバイス、前記クラウドシステム、および前記ネットワーク機器におけるエラーを通知する、請求項1~4のいずれか1項に記載のエラー通知装置と、を有する、エラー通知システム。
【請求項10】
前記インプットデバイスは、複数の監視カメラを備え、
前記第1の処理は、画像補正処理、属性認識処理、およびアップロード処理を含み、
前記第2の処理は、前記第1の処理が実施されたデータに対する加工処理、保存処理、および可視化処理を含む、請求項9に記載のエラー通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラー通知装置、エラー通知プログラム、およびエラー通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商業施設等に設置されている監視カメラによって撮影された映像を活用して来場者を計数し、商業施設等における集客効果を測定するサービスが注目されている。このようなサービスにおいては、例えば、毎日定期的に、監視カメラによって撮影された映像データを取得し、取得した映像データに対して画像補正等の前処理を施し、ユーザー(サービスを利用する顧客)の目的に合わせて前処理したデータを加工処理する。そして、加工処理したデータを取りまとめて可視化(例えば、グラフや表を用いて表示)する。例えば、ユーザーは、サービスの利用目的に合わせて、特定の時期におけるデータを確認したり、異なる時期におけるデータを比較したりすることが簡単にできる。
【0003】
また、サービスを提供する企業(以下、「サービス提供企業」という)と、商業施設等におけるカメラ、ネットワーク機器等のハードウェアを保有する企業(以下、「パートナー企業」という)とによってサービスが協同運営される場合がある。この場合、サービスにおけるサービス提供企業およびパートナー企業の各々の責任範囲は、通常、両者間の契約等で予め定められる。
【0004】
例えば、監視カメラ、ネットワーク機器等のハードウェアの不具合に起因する障害(エラー)については、パートナー企業の責任範囲に含まれる旨がルールベースで定められる。また、データの前処理および加工処理に起因する障害については、サービス提供企業の責任範囲に含まれる旨がルールベースで定められる。一方、データの前処理および加工処理を行うハードウェア(コンピューター)等の障害については、障害の内容や程度によってどちらの企業の責任範囲に含まれるかが変わりうる。
【0005】
また、従来から複数台のカメラを使用して作業者の行動や機器の状態等の情報を監視する監視システムが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。また、下記特許文献2には、システムの障害発生直後に障害関連モジュールから障害情報監視サーバーに障害情報(エラーログ)を送信し、障害情報から障害関連モジュールを自動的に切り分け、障害情報を各障害関連モジュールの開発/保守担当部門へ配信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-158995号公報
【特許文献2】特開2003-44322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の技術では、既知の障害情報に対してモジュールごとに予め定められた配信先に障害情報を配信するように構成され、配信先が定められていない未知の障害情報については障害情報を適切な配信先に配信できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、情報処理システム内において発生した未知のエラーについても適切な通知先に通知できるエラー通知装置、エラー通知プログラム、およびエラー通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
(1)情報処理システム内の機器のログ情報を取得するログ情報取得部と、前記ログ情報に基づいて前記情報処理システム内におけるエラーを検出するエラー検出部と、前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する記憶部と、前記エラーに関連するログ情報と前記記憶部に記憶されている複数のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定する対処者選定部と、前記対処者に前記エラーを通知するエラー通知部と、を有する、エラー通知装置。
【0011】
(2)前記対処者選定部は、前記エラーに関連するログ情報が前記複数のログ情報のいずれとも一致しない場合、前記エラーに対処する者に関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて前記エラーに対処する者を対処者として選定し、前記記憶部は、前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する、上記(1)に記載のエラー通知装置。
【0012】
(3)前記エラー通知部は、前記情報処理システムの関係者に前記エラーを通知して前記エラーに対処する者を決定するように促し、前記対処者選定部は、前記情報処理システムの関係者によって決定された、エラーに対処する者を前記対処者として選定する、上記(2)に記載のエラー通知装置。
【0013】
(4)前記エラーに対処する者は、前記情報処理システムの構成、および前記情報処理システムが行う処理に関する責任範囲に基づいて設定される、上記(1)に記載のエラー通知装置。
【0014】
(5)情報処理システム内の機器のログ情報を取得するステップ(a)と、前記ログ情報に基づいて前記情報処理システム内におけるエラーを検出するステップ(b)と、前記エラーに関連するログ情報と記憶部に記憶されている複数のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定するステップ(c)と、前記対処者に前記エラーを通知するステップ(d)と、を含む処理をコンピューターに実行させるためのエラー通知プログラム。
【0015】
(6)前記ステップ(c)において、前記エラーに関連するログ情報が前記複数のログ情報のいずれとも一致しない場合、前記エラーに対処する者に関する情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて前記エラーに対処する者を対処者として選定し、前記エラーに関連するログ情報と前記エラーに対処する者との対応を記憶する、上記(5)に記載のエラー通知プログラム。
【0016】
(7)前記ステップ(c)において、前記情報処理システムの関係者に前記エラーを通知して前記エラーに対処する者の決定を促し、前記情報処理システムの関係者によって決定された、エラーに対処する者を前記対処者として選定する、上記(6)に記載のエラー通知プログラム。
【0017】
(8)前記エラーに対処する者は、前記情報処理システムの構成、および前記情報処理システムが行う処理に関する責任範囲に基づいて設定される、上記(5)に記載のエラー通知プログラム。
【0018】
(9)インプットデバイスと、前記インプットデバイスの出力に対して第1の処理を実施するエッジデバイスと、前記エッジデバイスの出力に対して第2の処理を実施するクラウドシステムと、前記エッジデバイスと前記クラウドシステムとの間においてデータの送受信を行うネットワーク機器と、を有する情報処理システムと、前記インプットデバイス、前記エッジデバイス、前記クラウドシステム、および前記ネットワーク機器におけるエラーを通知する、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のエラー通知装置と、を有する、エラー通知システム。
【0019】
(10)前記インプットデバイスは、複数の監視カメラを備え、前記第1の処理は、画像補正処理、属性認識処理、およびアップロード処理を含み、前記第2の処理は、前記第1の処理が実施されたデータに対する加工処理、保存処理、および可視化処理を含む、上記(9)に記載のエラー通知システム。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、情報処理システム内において発生したエラーに関連するログ情報と、記憶部に記憶されている既知のログ情報とが比較され、該当するログ情報、または該当するログ情報に類似するログ情報に対応する者が対処者として選定される。したがって、責任範囲に応じた適切なエラー通知が行われるので、情報処理システム内における障害の復旧を高速化し、ひいては顧客の利便性や情報処理システムの保守性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係るエラー通知システムの全体構成を例示する図である。
【
図2】
図1に示す管理サーバーのハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。
【
図3】情報処理システム内の各機器について構成および処理ごとのエラーに対処する責任範囲を例示する図である。
【
図4】
図1に示す管理サーバーによるエラー通知方法の処理手順の概要を例示するフローチャートである。
【
図5】
図4に示すフローチャートにおける対処者の選定(S103)の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
<エラー通知システム1>
図1は、一実施形態に係るエラー通知システム1の全体構成を例示する図である。エラー通知システム1は、情報処理システム10、アウトプットデバイス20、管理サーバー30、およびユーザー端末40A,40Bを備える。情報処理システム10、および管理サーバー30は、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続されている。ネットワーク50は、通信信号を中継するリピーター、ブリッジ、ルーターまたはクロスコネクト等の中継機を備えてもよい。また、管理サーバー30およびユーザー端末40A,40Bについても同様にネットワーク60を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0024】
<情報処理システム10>
情報処理システム10は、インプットデバイス110、エッジデバイス120、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140を有する。以下、情報処理システム10が監視システムに適用される場合を例示して説明するが、情報処理システム10は監視システム以外のシステムにも適用できる。また、情報処理システム10は、インプットデバイス110、エッジデバイス120、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140以外の構成を含みうる。また、情報処理システム10は、エッジデバイス120、およびクラウドシステム140の代わりに、インプットデバイス110の出力を処理する単一の情報処理系を含むように構成されてもよい。
【0025】
インプットデバイス110は、例えば、複数の監視カメラ、監視カメラ処理サーバー、および動画一時保存サーバー(いずれも不図示)を有する。各々の監視カメラは、撮影対象(例えば、来場者、来館者等)の映像を取得する現場(例えば、商業施設、公共施設等)における所定位置(例えば、壁や天井)に配置され、監視カメラ処理サーバーによる指示に従って、予め定められた撮影領域内を撮影する。
【0026】
各々の監視カメラは、撮像部および通信部を備える。撮像部は、CCD等のイメージセンサー、光学系、および制御用回路等を備える。撮像部は一定の時間間隔(例えば5分の1秒から30分の1秒)で撮影領域内を撮影し、通信部は撮影した映像データを監視カメラ処理サーバーに送信する。
【0027】
監視カメラ処理サーバーは、受信した映像データを、例えばフレームレートが5fps以上、画像サイズがVGA、ファイル形式がMP4、圧縮設定が高画質優先の動画仕様を満たす動画データに変換し、動画一時保存サーバーに送信する。動画一時保存サーバーは、動画データを一時的に保存し、エッジデバイス120からの要求に応じてエッジデバイス120に動画データを送信する。
【0028】
なお、
図1において示されていないが、インプットデバイス110とエッジデバイス120との間はインターネットを含むネットワークにより接続されうる。例えば、インプットデバイス110とエッジデバイス120との間は、商業施設等における既存の監視カメラネットワークに接続されうる。また、インプットデバイス110からエッジデバイス120に入力される動画データの安全性を確保するため、エッジデバイス120の前段にファイアウォールが配置されうる。
【0029】
エッジデバイス120は、インプットデバイス110から受信した動画データに対して所定の前処理(第1の処理)を行う。エッジデバイス120は、画像補正処理部121、属性認識処理部122、およびアップロード処理部123を有し、前処理として、各々画像補正処理、属性認識処理、およびアップロード処理を行う。
【0030】
エッジデバイス120は、画像補正処理、および属性認識処理を行うためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を備えうる。
【0031】
あるいは、エッジデバイス120は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有するコンピューターにより構成されてもよい。コンピューターは、例えば、サーバー、またはPC(Personal Computer)でありうる。この場合、画像補正処理、および属性認識処理を行うためのプログラムが予めROMに記憶され、CPUによる実行時に上記プログラムがRAMにロードされる。PCは1台あたり複数台(例えば、3台)分の監視カメラの前処理を受け持つように構成できる。
【0032】
画像補正処理部121は、所定の前処理として、動画データの特性に応じて、色補正、歪補正等の各種の補正を行う。画像補正処理部121は、例えば、様々な光環境について適したホワイトバランスを予め記憶しておき、監視カメラの設置場所における光環境に応じて映像データのホワイトバランスの調整を行う。また、画像補正処理部121は、監視カメラが広角レンズまたは魚眼レンズを備えている場合、広角レンズまたは魚眼レンズに特有の画像の歪みを補正する。
【0033】
属性認識処理部122は、画像補正処理部121によって補正された動画データ(以下、「補正動画データ」という)から物体(移動体)を抽出し、物体の属性を解析する。属性認識処理部122は、例えば、背景差分法や時間差分法等の手法を使用して、補正動画データから物体を抽出し、抽出された物体を人と仮定して人が有する属性を解析する。解析項目には、例えば、性別、年齢等が含まれうる。また、人が有する属性として、杖、車椅子、キャリーバッグ等の携帯品を判別してもよい。携帯品の判別は、予め、携帯品になり得る形状、およびサイズの物体データを記憶しておき、その物体データとパターンマッチングを行うことにより判別できる。
【0034】
アップロード処理部123は、補正動画データの人の属性をテキストデータ(以下、「属性データ」という)に変換し、ネットワーク機器130を通じて、クラウドシステム140にアップロードする。属性データは、性別、年齢等の個人が特定されない認識結果のみを含む。
【0035】
ネットワーク機器130は、エッジデバイス120とクラウドシステム140との間においてデータの送受信を行う。ネットワーク機器130は、例えば、リピーター、ブリッジ、ルーター、クロスコネクト等のネットワーク機器を備え、属性データをクラウドシステム140に伝送する。
【0036】
クラウドシステム140は、第2の処理として、属性データを加工処理し、加工処理後のデータを取りまとめて可視化処理を行う。クラウドシステム140は、例えば、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーでありうる。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。クラウドシステム140は、アルゴリズム処理部141、データベース142、およびダッシュボード化処理部143を有する。
【0037】
アルゴリズム処理部141は、属性データに対して各種の演算処理、統計処理等を行うことにより加工処理する。アルゴリズム処理部141は、例えば、一定期間内における同じ属性を有する人の数を月ごとに集計したり、特定の属性を有する人の時間帯分布を算出したりする。また、アルゴリズム処理部141は、商業施設の店舗と利用者との相関や店舗間の相関を解析したり、来場者の導線を解析したりする。
【0038】
データベース142は、属性データ、およびアルゴリズム処理部141による処理結果を保存処理する。
【0039】
ダッシュボード化処理部143は、アルゴリズム処理部141による処理結果を取りまとめて出力用データを生成する。出力用データは、例えば、グラフデータ、表データ、または音声データでありうる。ダッシュボード化処理部143は、例えば、一定期間内における同じ属性を有する人の数を月ごとにグラフ化する。
【0040】
<アウトプットデバイス20>
アウトプットデバイス20は、ダッシュボード化処理部143によって生成された出力用データを出力する。アウトプットデバイス20は、例えば、表示用データを表示する表示装置(ディスプレイ)、表示用データを印刷するプリンター、音声データを出力するスピーカー等を有しうる。
【0041】
<管理サーバー30>
図2は、
図1に示す管理サーバーのハードウェア構成を例示する概略ブロック図である。管理サーバー30は、CPU31、およびRAM32、ROM33、補助記憶部34、および入出力部35を有するコンピューターである。CPU31は、プログラムを実行し、各部の制御および演算処理を行う。プログラムは、例えば、OS(Operating System)、およびエラー通知プログラム等の各種アプリケーションプログラムでありうる。上記プログラムは、ROM33または補助記憶部34に記憶され、CPU31による実行時にRAM32にロードされる。補助記憶部34は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)を有する。入出力部35は、ユーザーによる指示を受け付けるキーボード、マウス等の入力装置と、表示装置(ディスプレイ)、プリンター等の出力装置とを有する。
【0042】
図1に示すように、本実施形態では、管理サーバー30は、エラー通知装置として機能し、エラー通知装置はログ情報取得部310、エラー検出部320、記憶部330、対処者選定部340、およびエラー通知部350を有する。
【0043】
ログ情報取得部310は、情報処理システム10内の機器のログ情報を取得する。
図1に示す例では、情報処理システム10内の機器は、インプットデバイス110、エッジデバイス120、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140を含む。本実施形態では、ログ情報は、情報処理システム10内の少なくとも1つの機器が障害発生時に出力するエラーコード、ログ(エラーログ)等を含む情報である。エラーログは、例えば、エラーが発生した機器名および/またはID(Identification)、障害の発生時刻、および障害の内容を含みうる。
【0044】
エラー検出部320は、ログ情報に基づいて情報処理システム10内におけるエラーを検出する。エラー検出部320は、ログ情報取得部310が取得したログ情報のエラーコード、ログ(エラーログ)、死活監視の結果等を解析し、情報処理システム10内において発生した障害の内容を認識し、情報処理システム10内のどの機器にどのような障害が発生したかを判定する。エラー検出部320は、例えば、情報処理システム10内の各機器に定期的にPingコマンドを送り、各機器からの応答の有無に基づいて各機器の死活を判定する死活監視機能を有する。例えば、エラー検出部320が情報処理システム10内の各機器にPingコマンドを送り、ログ情報取得部310がPingコマンドに対して応答の無い機器のログ情報を取得するように構成できる。あるいは、エラー検出部320がPingコマンドを送るとともに、ログ情報取得部310が各機器のログ情報を取得するように構成してもよい。
【0045】
また、情報処理システム10内の機器にエラーが発生した場合に、機器自身がエラーの発生を検出し、エラーログを記録するとともにエラー発生の通知を管理サーバー30に送信し、エラー発生の通知を受信した管理サーバー30(ログ情報取得部310)が各機器のログ情報を取得するように構成してもよい。
【0046】
クラウドシステム140は、ダッシュボード化処理部143から出力される出力用データに関するログを出力する。より具体的には、クラウドシステム140は、ダッシュボード化処理部143から出力用データが正しく出力されていない場合は、エラーログを出力する。ダッシュボード化処理部143から出力用データが正しく出力されない場合は次の要因が考えられる。(a)属性データが規定の時間にアルゴリズム処理部141にアップロードされていない、(b)アルゴリズム処理部141の処理が正しく行われていない、(c)アルゴリズム処理部141によって処理されたデータがデータベース142に正しく保存されていない、(d)ダッシュボード化処理部143の処理が正しく行われていない。
【0047】
また、ネットワーク機器130は、ネットワークの通信状況に応じてログを出力する。ネットワーク機器130は、例えば、ネットワークが通じていない場合、エラーログを出力する。また、ネットワークが通じていてもデータをクラウドシステム140にプッシュしていない場合はその旨を示すログを出力する。
【0048】
また、エッジデバイス120は、前処理に関するログを出力する。例えば、エッジデバイス120は、前処理が正しく行われていない場合にエラーログを出力する。すなわち、エッジデバイス120は、画像補正処理部121の処理、属性認識処理部122、およびアップロード処理部123の処理が正しく行われていない場合にエラーログを出力する。前処理が、例えばPCによって実行される場合、PCが起動していない、あるいはPCが故障しているといった障害が生じている可能性がある。複数の監視カメラに対して、前処理が正しく行われているPCと、前処理が正しく行われていないPCとがある場合は、正常に動作しているPCと故障しているPCとがあると推測できる。また、すべての監視カメラに対して前処理が行われていない場合は、電源が落ちている可能性が高い。さらに、PCの電源が落ちている時間帯についてもログを出力できる。
【0049】
また、インプットデバイス110は、各々の監視カメラに関するログを出力する。例えば、インプットデバイス110は、各々の監視カメラが起動しているか否か、起動している場合に映像データが出力されているか否かについてログを出力し、映像データが異常値である場合、エラーログを出力する。
【0050】
記憶部330は、エラーに関連するログ情報とエラーに対処する者との対応を記憶する。ここで、エラーに対処する者は、個人、グループ、会社、会社等の部署、部門、会社等の組織に属する担当者等でありうる。
【0051】
例えば、
図3に示すように、インプットデバイス110、エッジデバイス120、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140の各々の構成(ハードウェア)および処理に応じて、A者およびB社の責任範囲(または責任分界点)が以下のように定められている。
【0052】
インプットデバイス110において生じたすべてのエラーについては、B社が対応責任を有するので、エラーに対処する者をB社とする。また、エッジデバイス120において生じたデバイスのエラーについては、B社が対応責任を有するので、エラーに対処する者をB社とする。一方、エッジデバイス120において生じた処理のエラーについては、A社が対応責任を有するので、エラーに対処する者をA社とする。また、ネットワーク機器130のネットワークや通信において生じたすべてのエラーについては、B社が対応責任を有するので、エラーに対処する者をB社とする。また、クラウドシステム140において生じたすべてのエラーについては、A社が対応責任を有するので、エラーに対処する者をA社とする。
【0053】
このように、情報処理システム10の構成および処理についての責任範囲に応じて、エラーに対処する者が定められ、エラーに関連するログ情報とエラーに対処する者との対応が記憶部330に記憶される。また、責任範囲が予め定められていない場合、またはエラーに対する対応責任の所在が不明である場合には、情報処理システム10の関係者(例えば、技術者)の協議によってエラーに対処する者が決定されうる。情報処理システム10の関係者の協議によって決定された、エラーに対処する者についても、エラーに関連するログ情報との対応が記憶部330に記憶される。
【0054】
対処者選定部340は、検出されたエラーに関連するログ情報と、記憶部330に記憶されている複数のログ情報、すなわち既知のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する者を対処者として選定する。ここで、ログ情報が一致するとは、ログ情報に含まれるすべての項目の値が一致していることを意味する。また、ログ情報が類似するとは、ログ情報に含まれるほとんどすべての項目の値が一致している(例えば、一致している項目数が所定の閾値以上である)ことを意味する。すなわち、類似するログ情報は、過去に全く同じログ情報が取得されたことはないものの、過去に取得した(既知の)ログ情報と概ね一致するログ情報である。
【0055】
このように、本実施形態では、記憶部330に記憶されている既知のログ情報(既知のエラー)については既知のログ情報に基づいてルールベースで対処者を選定する。一方、記憶部330に記憶されていない未知のログ情報(未知のエラー)については、類似する既知のログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定する。
【0056】
エラー通知部350は、対処者選定部340によって選定された対処者にエラーを通知する。エラー通知部350は、ユーザー端末40A、またはユーザー端末40Bに所定の通知手段にてエラーを通知する。所定の通知手段は、例えば、電子メール、チャット等のコミュニケーションツールでありうる。
【0057】
<ユーザー端末40A,40B>
ユーザー端末40Aは、ユーザーA(例えば、A社の担当者)が使用する端末(コンピューター)であり、管理サーバー30から通知されたエラーを受信する。ユーザーAは、受信されたエラー通知を確認し、エラーに対処する。ユーザー端末40Bは、ユーザーB(例えば、B社の担当者)が使用する端末であり、ユーザー端末40Aと同様の構成を有する。ユーザー端末40A,40Bは、例えば、携帯電話(スマートフォン)、ノート型またはデスクトップ型のPC端末、タブレット端末等でありうる。
【0058】
<エラー通知方法>
次に、
図4および
図5を参照して、本実施形態のエラー通知方法の処理手順の概要について説明する。
図4は本実施形態のエラー通知方法の処理手順の概要を例示するフローチャートであり、
図5は
図4に示すフローチャートにおける対処者の選定(S103)の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。
図4のフローチャートおよび
図5のサブルーチンフローチャートの処理は、CPU31がエラー通知プログラムを実行することにより実現される。
【0059】
図4に示すように、まず、管理サーバー30は、情報処理システム10内の機器のログ情報を取得する(ステップS101)。ログ情報取得部310は、インプットデバイス110、エッジデバイス120、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140の各々から出力されたエラーコードやエラーログ等を含むログ情報を取得する。
【0060】
次に、管理サーバー30は、情報処理システム10内におけるエラーを検出する(ステップS102)。エラー検出部320は、ログ情報取得部310によって取得されたログ情報に基づいて、情報処理システム10内におけるエラーを検出する。例えば、インプットデバイス110、およびエッジデバイス120からエラーログが出力されず、ネットワーク機器130、およびクラウドシステム140からエラーログが出力されている場合、エラー検出部320は、ネットワーク機器130において障害が発生したと判定する。
【0061】
次に、管理サーバー30は、エラーに対処する対処者を選定する(ステップS103)。対処者の選定方法の詳細は後述する(
図5を参照)。
【0062】
次に、管理サーバー30は、対処者にエラーを通知する(ステップS104)。エラー通知部350は、対処者選定部340によって選定された対処者にエラーを通知する。
【0063】
<対処者の選定方法>
図5に示すように、対処者選定部340は、検出されたエラーに関連するログ情報と記憶部330に記憶されている複数のログ情報とを比較する(ステップS201)。
【0064】
次に、管理サーバー30は、エラーに関連するログ情報が記憶部330のログ情報と一致または類似しているかを判定する(ステップS202)。エラーに関連するログ情報が記憶部330のログ情報と一致または類似している場合(ステップS202:YES)、一致または類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者を対処者として選定する(ステップS203)。記憶部330に一致するログ情報がある場合は一致するログ情報に対応する、エラーに対処する者が対処者として選定されるので、適切な通知先に既知のエラーを通知できる。また、記憶部330に一致するログ情報がない場合でも類似するログ情報がある場合は類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者が対処者として選定されるので、未知のエラーについても適切な通知先に通知できる。
【0065】
一方、エラーに関連するログ情報が記憶部330のログ情報と一致も類似もしていない場合(ステップS202:NO)、管理サーバー30は、情報処理システム10の関係者にエラーを通知してエラーに対処する者の決定を促す(ステップS204)。
【0066】
次に、管理サーバー30は、情報処理システム10の関係者によって決定された、エラーに対処する者を対処者として選定する(ステップS205)。情報処理システム10の関係者は協議を行い、エラーに対処する者を決定する。対処者選定部340は、入出力部35と協働し、情報処理システム10の関係者によって決定された、エラーに対処する者に関する情報(名前、ID等)の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいてエラーに対処する者を対処者として選定する。
【0067】
次に、管理サーバー30は、エラーに関連するログ情報とエラーに対処する者との対応を記憶部330に記憶する(ステップS206)。これにより、情報処理システム10内において未知の障害が発生した場合でも、適切な対処者が選定されるので、管理サーバー30は、適切な通知先にエラーを通知できる。
【0068】
このように、
図4、
図5に示すフローチャートの処理では、情報処理システム10内の機器のログ情報を取得し、ログ情報に基づいて情報処理システム10内におけるエラーを検出する。続いて、エラーに関連するログ情報と記憶部330に記憶されている既知のログ情報とを比較し、一致または類似するログ情報に対応する者を対処者として選定する。一方、エラーに関連するログ情報が記憶部330のログ情報と一致も類似もしていない場合は、情報処理システム10の関係者によって決定された、エラーに対処する者を対処者として選定する。
【0069】
以上で説明した本実施形態の管理サーバー(エラー通知装置)30、エラー通知プログラム、およびエラー通知システム1は、下記の効果を奏する。
【0070】
情報処理システム10内において発生したエラーに関連するログ情報と、記憶部330に記憶されている既知のログ情報とが比較され、該当するログ情報、または該当するログ情報に類似するログ情報に対応する、エラーに対処する者が対処者として選定される。したがって、責任範囲に応じた適切なエラー通知が行われるので、情報処理システム10内における障害の復旧を高速化し、ひいては顧客の利便性や情報処理システム10の保守性を高めることができる。
【0071】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0072】
例えば、上述の実施形態では、情報処理システム10が監視システムに適用される場合を例示して説明したが、情報処理システム10は監視システム以外のシステム(例えば、画像形成システム等)にも適用できる。情報処理システム10が画像形成システムに適用される場合、インプットデバイス110は、画像形成装置本体に搭載され、ユーザー認証に使用されるカメラであり、エッジデバイス120は、画像形成装置本体に対応しうる。
【0073】
また、上述の実施形態では、インプットデバイス110が監視カメラを有する場合について例示して説明したが、監視カメラに限らず、赤外線センサーや近赤外線センサー有するように構成してもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、2者(A社およびB社)に対する責任範囲を例示して説明したが、3者以上に対する責任範囲も設定できる。
【0075】
また、エラー通知プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージ等に転送され記憶される。また、このエラー通知プログラムは、例えば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、サーバーの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0076】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行されうる。
【符号の説明】
【0077】
1 エラー通知システム、
10 情報処理システム、
110 インプットデバイス、
120 エッジデバイス、
121 画像補正処理部、
122 属性認識処理部、
123 アップロード処理部、
130 ネットワーク機器、
140 クラウドシステム、
141 アルゴリズム処理部、
142 データベース、
143 ダッシュボード化処理部、
20 アウトプットデバイス、
30 管理サーバー、
310 ログ情報取得部、
320 エラー検出部、
330 記憶部、
340 対処者選定部、
350 エラー通知部、
40A,40B ユーザー端末。