(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180676
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】カルボニル化抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20231214BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20231214BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231214BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231214BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231214BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20231214BHJP
A61K 36/738 20060101ALI20231214BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/12 20060101ALI20231214BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231214BHJP
A61K 8/9711 20170101ALI20231214BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20231214BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231214BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/08
A61Q19/00
A61K9/14
A61K9/20
A61K36/258
A61K36/738
A61P9/10
A61P13/12
A61P17/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P27/12
A23L33/105
A61K8/9711
A61Q1/02
A61Q19/10
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094185
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 寿
(72)【発明者】
【氏名】堀場 大生
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C076
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
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4C083AC442
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4C088AB16
4C088AB18
4C088AB51
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4C088ZA16
4C088ZA33
4C088ZA45
4C088ZA81
4C088ZA89
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明が解決する課題は、カルボニル化を抑制する植物由来成分を見出し、これを有効成分とする、作用点が明確であり、且つ優れたカルボニル化抑制剤、アクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤を提供することである。
【解決手段】本発明は、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物を含有することを特徴とする、カルボニル化による肌のくすみを予防・改善する化粧品、医薬品、医薬部外品及び食品である。本発明のハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物は、優れたカルボニル化抑制作用をもち、タンパク質のカルボニル化や、アクロレインとタンパク質との付加体形成を防ぐことで、肌のくすみを軽減させる効果を示した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラからなる群より選ばれる一種又は二種以上の抽出物を含有することを特徴とするタンパク質のカルボニル化抑制剤。
【請求項2】
ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラからなる群より選ばれる一種又は二種以上の抽出物を含有することを特徴とするアクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤。
【請求項3】
タンパク質が、表皮のタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
【請求項4】
タンパク質が、角質のタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
【請求項5】
タンパク質が、ケラチノサイトにおけるタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラからなる群より選ばれる一種又は二種以上の抽出物を含有することを特徴とするタンパク質のカルボニル化抑制剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我々の身体の最外層に位置する皮膚は、紫外線や大気汚染物質等の酸化ストレスの影響を受けやすい。本来、生体は、酸化ストレスにより生じる活性酸素を消去するメカニズムを備えている。しかし、加齢等によって活性酸素の消去能が低下すると、皮膚のタンパク質には、酸化、カルボニル化、糖化等の変化が生じる。
【0003】
特に、カルボニル化は、活性酸素により非酵素的、非特異的に起こる不可逆的な酸化修飾である。活性酸素により脂質が酸化されることで過酸化脂質が生じるが、近年、その分解物であるアクロレイン等のアルデヒド類が、タンパク質に付加してタンパク質をカルボニル化させることが分かってきた(非特許文献1)。
【0004】
アクロレインは、脂質の過酸化反応の過程で生成する一方(非特許文献2)、生体内ではポリアミンから生成したり(非特許文献3)、プラスティックの燃焼、タバコの煙、排気ガス、油脂の加熱によっても生成される環境汚染物質の一つである。このように、アクロレインは活性酸素以外からも生成され、タンパク質のカルボニル化等の変性や細胞毒性に関わる反応性の高い物質である。近年、西洋バラ等の植物抽出物が、活性酸素ではなく、より直接的なアクロレインを捕捉し、皮膚老化を予防・改善することが分かってきた(特許文献1)。
【0005】
カルボニル化は、非酵素的、非特異的に起こるため、あらゆる組織において様々な疾患の原因となる。例えば、加齢に伴い、カルボニル化タンパク質等の異常タンパク質の生体内における蓄積が、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋委縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症等の多くの疾患に関与していることが知られている(特許文献2)。
【0006】
カルボニル化タンパク質は、皮膚ではくすみ、シワやたるみ等の原因となる。最近では、表皮において、露光部角質のカルボニル化タンパク質が光学的透過性を低下させること(非特許文献4)や、真皮において、カルボニル化タンパク質が複製老化した培養正常ヒト線維芽細胞の黄色化に関与していること(非特許文献5)等が報告されている。これらのように、表皮タンパク質のカルボニル化は肌の透明化の低下、真皮タンパク質のカルボニル化は肌の黄色化等に関与している。従って、表皮タンパク質のカルボニル化を予防したり、低減させたりすることは、くすみの改善や肌の透明感の向上に有用であると考えられる。また、真皮タンパク質のカルボニル化を予防したり、低減させたりすることは、シワやたるみの改善や皮膚の黄色化抑制に有用であると考えられる。このような背景から、タンパク質のカルボニル化を抑制する製剤の開発が望まれている。
【0007】
これまでに、カルボニル化抑制剤として、カルボニル化抑制剤(特許文献3)、表皮タンパク質のカルボニル化抑制剤、並びに、該カルボニル化抑制剤を含む化粧料及び皮膚外用剤(特許文献4)、抗老化剤(特許文献5)等が知られているが、より安全で、効果の高い製剤が求められている。
【0008】
近年、ハマナス(バラ科)、サンシチニンジン(ウコギ科)及びホンダワラ(ホンダワラ科)についての研究が進められ、ハマナスにおいてはDNAメチル化調節剤(特許文献6)、AGEs産生抑制剤(特許文献7)等、サンシチニンジンにおいては皮膚外用剤(特許文献8)、NF-κB活性化抑制剤(特許文献9)等、ホンダワラにおいてはヒアルロン酸産生促進剤、コラーゲン産生促進剤、MMP阻害剤、シワ改善剤、医薬品又は食品組成物(特許文献10)、アポトーシス抑制剤(特許文献11)等が知られている。しかしながら、これまでにハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラによるカルボニル化抑制効果については何ら知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006-160630
【特許文献2】特開2011-148715
【特許文献3】特開2012-246226
【特許文献4】特開2021-17407
【特許文献5】特開2018-150262
【特許文献6】特開2019-77621
【特許文献7】特開2013-173712
【特許文献8】特開2004-107232
【特許文献9】特開2005-194246
【特許文献10】特開2019-210212
【特許文献11】特開2009-242325
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】岩井一郎 他,粧技誌,42(1),16-21(2008)
【非特許文献2】内田浩二,日本油化学会誌,47(11),29-37(1998)
【非特許文献3】Houen G et al,Acta Chem.Scand.,48(1),52-60(1994)
【非特許文献4】Iwai I et al,Int.J.Cosmet.Sci.,30(1),41-46(2008)
【非特許文献5】江口琴音 他,日本香粧品学会誌,44(2),92-98(2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決する課題は、カルボニル化を抑制する植物由来成分を見出し、これを有効成分とする、作用点が明確であり、且つ優れたカルボニル化抑制剤、アクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題の解決に向け鋭意検討を行った結果、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物に優れたカルボニル化抑制作用、アクロレインとタンパク質との付加体形成抑制作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物を含有することを特徴とするカルボニル化抑制剤、アクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤に関する。
【0014】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラからなる群より選ばれる一種又は二種以上の抽出物を含有することを特徴とするタンパク質のカルボニル化抑制剤。
(2)ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラからなる群より選ばれる一種又は二種以上の抽出物を含有することを特徴とするアクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤。
(3)タンパク質が、表皮のタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
(4)タンパク質が、角質のタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
(5)タンパク質が、ケラチノサイトにおけるタンパク質である請求項1又は2記載の抑制剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物は、カルボニル化抑制効果に優れていた。また、これらの抽出物を含有することを特徴とするカルボニル化抑制剤、アクロレインとタンパク質との付加体形成抑制剤は、安全で、カルボニル化を抑制することによる肌のくすみの予防・改善効果に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実験例1で、テープストリップで採取したヒトの角質をアクロレインによりカルボニル化誘導し、同時にハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物を添加した場合のカルボニル化タンパク質を染色した顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明におけるタンパク質のカルボニル化は、脂質の過酸化等で生じたアルデヒド等のカルボニル化合物が、非酵素的、非特異的にタンパク質を修飾する反応を意味する。脂質が活性酸素に曝されると、過酸化脂質が形成され、更に分解されることで、アクロレイン、4-ハイドロキシ-2-ノネナール、マロンジアルデヒド等の反応性の高いアルデヒドが生じる。これらの中間生成物質は、極めて反応性が高いため、タンパク質を修飾する。
【0018】
本発明におけるアクロレインは、紫外線や酸化ストレスにより生体内で発生する脂質過酸化物質から産生されたり、生体内ではポリアミンから生成されたり、タバコの煙や環境汚染物質等にも含まれたりするアルデヒドの一種である。
【0019】
本発明におけるアクロレインとタンパク質との付加体形成は、アクロレインがタンパク質と結合することで、タンパク質の変性や細胞毒性を引き起こすことである。
【0020】
本発明に用いるハマナス(バラ科、学名:Rosa rugosa)は、日本、朝鮮半島、中国北部等に自生する落葉低木である。ハマナスは、多くの品種が存在し、観賞用の他、染料や香料の原料として用いられており、果実はローズヒップとしてジャム等の食用にもなる。本発明に用いるハマナスとしては、ハマナス(学名:Rosa rugosa Thunb.)、ヤエハマナス(学名:Rosa rugosa Thunb.var.plena)、マイカイ(学名:Rosa rugosa Thunb.var.plena Regel)等が挙げられる。
【0021】
本発明において、ハマナスの抽出物は、植物体全体(全草)、或いは葉、茎、花、芽、実、種子、根等の植物体の一部、又はそれらの混合物の抽出物をいうが、葉の抽出物が好ましい。また、抽出にはこれらの植物体をそのまま使用してもよく、乾燥、粉砕、細切等の処理を行ってもよい。
【0022】
本発明に用いるサンシチニンジン(ウコギ科、学名:Panax noto-ginseng)は、中国南部雲南省近郊の標高約1500mの高山の斜面で栽培され、漢方処方薬として、止血、滋養強壮薬に用いられる。生薬としては、三七人参、田七人参、三七、田七、山漆、金不換等の名称があり、製造方法の違いから、根をそのまま乾燥した三七人参、田七人参と、蒸気で蒸して加熱処理をしてから乾燥した熟三七人参、熟田七人参等に大別できる。
【0023】
本発明において、サンシチニンジンの抽出物は、植物体全体(全草)、或いは葉、茎、花、芽、実、種子、根等の植物体の一部、又はそれらの混合物の抽出物をいうが、根の抽出物が好ましい。サンシチニンジンの根は、三七人参の名称で生薬として市販されているので、これを使用すればよい。また、サンシチニンジンの根は、加熱処理をするのが好ましく、例えば、蒸気での加湿下、70~150℃で数時間処理したり、蒸したりするとよい。熟三七人参の名称で生薬として市販されているので、これを使用すればよい。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであってもよく、常温抽出したものであってもよい。
【0024】
本発明に用いるホンダワラ(ホンダワラ科、学名:Sargassum fulvellum)は、主に九州から本州の太平洋沿岸の全面、日本海では越後付近まで分布している海藻である。藻体は披針形をしており、切れ込みがあるのが特徴である。
【0025】
ホンダワラは、上記の生育地域から入手することができる。本発明において、上記海藻の抽出原料としては、海藻全体(全藻)を使用することが好ましいが、その一部、例えば、葉部(葉体・成葉)、茎部(中芯・中肋)、胞子葉部、根部等であってもよい。また、抽出には、海藻本体をそのまま使用してもよく、乾燥、粉砕、細切等の処理を行ってもよい。
【0026】
溶媒による抽出方法は、特に限定されないが、水、若しくは熱水、又は水と有機溶媒の混合溶媒を用い、加熱抽出(例えば40~100℃)、常温抽出(例えば15~25℃)、低温抽出(例えば0~15℃)、撹拌抽出又はカラム抽出する方法等により行うことができる。抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒がよく、特に好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールがよい。これらの溶媒は、一種でも二種以上を混合して用いてもよい。特に好ましい抽出溶媒としては、水、又は水-エタノール系の混合極性溶媒が挙げられる。中でも、エタノール又は1,3-ブチレングリコールを20~100重量%含有するのが好ましく、50~100重量%含有するのが最も好ましい。また、上記抽出溶媒に酸やアルカリを添加してpH調整した溶媒を使用することもできる。
【0027】
溶媒の使用量については、特に限定はなく、例えば、ハマナスの葉(乾燥重量)、サンシチニンジンの根(乾燥重量)、ホンダワラの全藻(乾燥重量)に対し、10倍以上、好ましくは20倍以上であればよいが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上、100倍以下であることが好ましい。また、抽出温度や時間は、用いる溶媒の種類や抽出時の圧力等によって適宜選択できる。
【0028】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いてもよいが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理を行ってから用いてもよい。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いてもよい。本発明で用いるハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラは、天然由来の植物であり、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラから抽出される成分は、多様な構造の化合物が多数同時に存在する混合物である。従って、含有する成分の構造又は特性を全て明らかにすることは困難であり、抽出物として扱うことが好ましい。
【0029】
本発明は、上記抽出物をそのまま使用してもよく、抽出物の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていてもよい。
【0030】
本発明は、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、カプセル剤、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
【0031】
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。更に、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えると、効果の増強は認められにくく不経済である。また、ハマナス、サンシチニンジン及びホンダワラの抽出物を混合して用いることで顕著に効果が高まり、各抽出物を1:1:1の割合で混合するのがより好ましい。
【0032】
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人あたりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。更に、20mg~2gが最も好ましい。
【0033】
次に、本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、処方例に示す含有量の部とは重量部を示す。
【実施例0034】
ハマナスの抽出物を、以下の通り製造した。
【0035】
(製造例1)ハマナスの熱水抽出物の調製
ハマナスの葉の乾燥物50gに精製水を1L加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥することによりハマナスの熱水抽出物を5.2g得た。
【0036】
(製造例2)ハマナスの50%エタノール抽出物の調製
ハマナスの葉の乾燥物50gに50%エタノール水溶液を1L加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりハマナスの50%エタノール抽出物を4.8g得た。
【0037】
(製造例3)ハマナスのエタノール抽出物の調製
ハマナスの葉の乾燥物50gにエタノールを1L加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりハマナスのエタノール抽出物を4.1g得た。
【0038】
(製造例4)ハマナスの1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
ハマナスの葉の乾燥物50gに1,3-ブチレングリコールを1L加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過してハマナスの1,3-ブチレングリコール抽出物を820g得た。
【0039】
サンシチニンジンの抽出物を、以下の通り製造した。
【0040】
(製造例5)サンシチニンジンの熱水抽出物の調製
サンシチニンジンの根の乾燥物40gに精製水を800mL加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥することによりサンシチニンジンの熱水抽出物を7.5g得た。
【0041】
(製造例6)サンシチニンジンの50%エタノール抽出物の調製
サンシチニンジンの根の乾燥物100gに50%エタノール水溶液を1L加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりサンシチニンジンの50%エタノール抽出物を9.8g得た。
【0042】
(製造例7)サンシチニンジンのエタノール抽出物の調製
サンシチニンジンの根の乾燥物100gにエタノールを2L加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりサンシチニンジンのエタノール抽出物を5.2g得た。
【0043】
(製造例8)サンシチニンジンの1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
サンシチニンジンの根の乾燥物20gに1,3-ブチレングリコールを200mL加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過してサンシチニンジンの1,3-ブチレングリコール抽出物を160g得た。
【0044】
ホンダワラの抽出物を、以下の通り製造した。
【0045】
(製造例9)ホンダワラの熱水抽出物の調製
ホンダワラの全藻の乾燥物10gに精製水を200mL加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、その濾液を濃縮し、凍結乾燥することによりホンダワラの熱水抽出物を2.0g得た。
【0046】
(製造例10)ホンダワラの50%エタノール抽出物の調製
ホンダワラの全藻の乾燥物10gに50%エタノール水溶液を200mL加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりホンダワラの50%エタノール抽出物を1.0g得た。
【0047】
(製造例11)ホンダワラのエタノール抽出物の調製
ホンダワラの全藻の乾燥物10gにエタノールを200mL加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固することによりホンダワラのエタノール抽出物を0.2g得た。
【0048】
(製造例12)ホンダワラの1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
ホンダワラの全藻の乾燥物10gに1,3-ブチレングリコールを200mL加え、室温で1週間抽出した。得られた抽出液を濾過してホンダワラの1,3-ブチレングリコール抽出物を185g得た。