(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180704
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動閉弁機構及び当該機構を含む液体供給ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 7/46 20100101AFI20231214BHJP
【FI】
B67D7/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094230
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】509089409
【氏名又は名称】アクアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145953
【弁理士】
【氏名又は名称】真柴 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰始
(72)【発明者】
【氏名】グエン タイン ティン
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AA06
3E083AB11
3E083AB15
3E083AG06
(57)【要約】
【課題】液体供給ノズルを用いて液体を供給する際に、液体の供給速度にかかわらず自動的にオーバーフローを防止できる自動閉弁機構及び当該自動閉弁機構及びこれを備えた液体供給ノズルを提供すること。
【解決手段】開口部を有するシリンダー2と、前記開口部を開閉する弁3と、前記シリンダー2内に収容されたピストン4と、前記ピストン4に接続された作動ロッド5と、を含むことを特徴とする自動閉弁機構1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するシリンダーと、前記開口部を開閉する弁と、前記シリンダー内に収容されたピストンと、前記ピストンに接続された作動ロッドと、を含むことを特徴とする自動閉弁機構。
【請求項2】
前記弁が電磁弁である、請求項1に記載の自動閉弁機構。
【請求項3】
前記電磁弁の開閉を制御するためのセンサーを含む、請求項2に記載の自動閉弁機構。
【請求項4】
前記センサーが光学式センサー、静電容量式センサー、超音波式センサー、電波式センサー、レーザー式センサー、電極式センサー、フロートスイッチ式センサー及び圧力検出式センサーからなる群より選択される1以上のセンサーである、請求項3に記載の自動閉弁機構。
【請求項5】
前記電磁弁及びセンサーの電源が、前記シリンダー内側の上部に設けられた押しボタンスイッチにより制御される、請求項3に記載の自動閉弁機構。
【請求項6】
前記電磁弁及びセンサーへの電源が電池である、請求項5に記載の自動閉弁機構。
【請求項7】
吐出パイプと、前記吐出パイプに接続された握り部と、前記握り部に備えられた液体供給レバーと、前記液体供給レバーにより前記握り部内部に備えられた主弁を開閉するための主弁ロッドと、請求項1~6のいずれか1項に記載の自動閉弁機構と、を含む液体供給ノズルであって、前記自動閉弁機構の作動ロッドが前記液体供給レバーと連結していることを特徴とする液体供給ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を供給する際に使用するノズルに使用される自動閉弁機構及びこれを含む液体供給ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
液体、例えば灯油やガソリン等の燃料、潤滑油等の液状化学物質及び水等を供給する際に使用される液体供給ポンプには、当該液体供給ポンプによって供給される液体が、供給対象、例えば燃料タンクからオーバーフローする事を防止するための機構が採用されている。
【0003】
特許文献1には、握り部と吐出パイプとを備えたノズル本体に、給油レバーにより開閉される主弁と、前記吐出パイプの一部が液に浸漬されたとき前記主弁を閉弁させる自動閉弁機構とを備えた給油ノズルが開示されている。特許文献1の給油ノズルが
図12に示されている。
図12の給油ノズルにおいて、空気直路管Cに接続されており、吐出パイプAの先端付近に備えられた開口部Bが給油ノズルにより供給されたタンク内の燃料により閉鎖されると、縮流部Dに生じる負圧が自動閉弁機構EのダイヤフラムFを上方に変形させ、作動杆Gの係止を解いてバネHの付勢力により作動杆Gを下方に変位させる。これにより作動杆Gの下端に枢支された給油レバーIが、図中下方に変位して主弁杆JをバネKの付勢力により変位させて開放状態を保持していた主弁Lを閉じるように構成されている。
【0004】
上記のような従来の給油ノズルに含まれる縮流部Dは、握り部側(言い換えれば、吐出パイプA内を流れる燃料の流れに逆らう方向)にバネ等で付勢されている。給油ノズル内を流れる燃料は、その圧力によって縮流部Dを吐出パイプA側に押し出し縮流部D周囲に隙間を生じさせる。燃料が、前記隙間を勢いよく流れることにより負圧を発生させ、当該発生した負圧が前記自動閉弁機構Eを作動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のような縮流部Dを吐出パイプA側に押し出すためには、一定以上の流速が必要となるため、流速を落として燃料を少しずつ供給することが著しく困難であった。また、仮に縮流部Dを押し出す事ができたとしても、縮流部D周囲を流れる燃料の流速が遅い場合には、ダイヤフラムFを上方に変形させるだけの負圧が生じず、結果として自動閉弁機構Eが機能しないと言う問題があった。
【0007】
一方で、供給する燃料の供給速度が速すぎる場合、言い換えれば、縮流部Dに対する圧力が高くなりすぎる場合には、縮流部Dが過剰に吐出パイプA側に押し出されることにより、縮流部D周囲の隙間が大きくなる。縮流部D周囲の隙間が大きくなると、縮流部D周囲を流れる燃料の流速が落ちるため、ダイヤフラムFを上方に変形させるだけの負圧が生じず、結果として自動閉弁機構Eが機能しないこととなる。したがって、上記のような自動閉弁機構Eを有する従来の給油ノズルでは、燃料を供給する際の流速が一定の速度でないと自動閉弁機構Eが機能しないと言う課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定構造の自動閉弁機構を採用することにより上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
[1]開口部を有するシリンダーと、前記開口部を開閉する弁と、前記シリンダー内に収容されたピストンと、前記ピストンに接続された作動ロッドと、を含むことを特徴とする自動閉弁機構、
[2]前記弁が電磁弁である、[1]に記載の自動閉弁機構、
[3]前記電磁弁の開閉を制御するためのセンサーを含む、[2]に記載の自動閉弁機構、
[4]前記センサーが光学式センサー、静電容量式センサー、超音波式センサー、電波式センサー、レーザー式センサー、電極式センサー、フロートスイッチ式センサー及び圧力検出式センサーからなる群より選択される1以上のセンサーである、[3]に記載の自動閉弁機構、
[5]前記電磁弁及びセンサーの電源が、前記シリンダー内側の上部に設けられた押しボタンスイッチにより制御される、[3]に記載の自動閉弁機構、
[6]前記電磁弁及びセンサーへの電源が電池である、[5]に記載の自動閉弁機構、並びに
[7]吐出パイプと、前記吐出パイプに接続された握り部と、前記握り部に備えられた液体供給レバーと、前記液体供給レバーにより前記握り部内部に備えられた主弁を開閉するための主弁ロッドと、[1]~[6]のいずれかに記載の自動閉弁機構と、を含む液体供給ノズルであって、前記自動閉弁機構の作動ロッドが前記液体供給レバーと連結していることを特徴とする液体供給ノズル、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
前記自動閉弁機構及び当該機構を含む液体供給ノズルにより、液体の供給量、言い換えれば、液体供給ノズル内を流れる液体の流速に関係なく閉弁機構が機能するため、液体をタンク等に供給する際に、液体の流速に関わらず、液体がタンク等からオーバーフローする可能性をより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)本発明の自動閉弁機構の一形態を表す斜視図、(B)(A)におけるA-B断面図、(C)前記自動閉弁機構の平面図及び(D)裏面図である。
【
図2】(A)
図1とは別形態の自動閉弁機構におけるシリンダーの断面図、(B)(A)とは別形態のシリンダーの断面図及び(C)さらに別の形態のシリンダーの断面図である。
【
図3】(A)電磁弁を備えた自動閉弁機構の斜視図及び(B)(A)におけるC-D断面図である。
【
図4】(A)ピストンの正面図、(B)(A)におけるE-F断面図、(C)前記ピストンの平面図及び(D)裏面図である。
【
図5】(A)作動ロッドの正面図、(B)平面図及び(C)裏面図である。
【
図6】電磁弁とセンサーとの関係を示す配電図である。
【
図7】(A)電磁弁及び押しボタンスイッチを含む自動閉弁機構の斜視図、(B)(A)におけるG-H断面図及び(C)電磁弁、センサー及びスイッチの関係を示す配電図である。
【
図8】本発明の自動閉弁機構を含む液体供給ノズルの模式図である。
【
図9】
図8の液体供給ノズルの液体供給レバーをわずかに握り込んだ状態を示す模式図である。
【
図10】
図8の液体供給ノズルの液体供給レバーをさらに握り込んだ状態を示す模式図である。
【
図11】センサーが液体を感知して電磁弁が解放された状態を示す模式図である。
【
図12】従来の液体供給ノズルを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態及び態様に限定されず、本発明の技術的範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0012】
1.自動閉弁機構
本発明の自動閉弁機構1は、
図1に記載するとおり、開口部23を有するシリンダー2、前記開口部23を開閉する弁3、前記シリンダー2内に収容されたピストン4及び前記ピストン4に接続された作動ロッド5を含むことを特徴とする。以下、要素毎に詳細に説明する。
【0013】
(1)シリンダー2
シリンダー2は、内部にピストン4を収容できる空間21を形成するシリンダー本体22を含む。本体22の形状は、後述するようにピストン4を収容できる形状である事を条件として特に制限はされない。シリンダー2を平面方向から見た形状の具体例として、例えば、三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形や、楕円を含む円形であっても良い。なお、
図1では、シリンダー2を平面方向から見た形状を円形にしている。シリンダー2を正面方向から見た際の形状に関しても、後述するようにピストン4を収容できる形状である事を条件として、特に制限されない。例えば、シリンダー2の上面が、
図1(B)に示すように平坦であっても良い。また、収容されたピストン4がシリンダー2における空間21の軸方向(
図1(B)における上下方向)に動くことができるようにその幅(
図2(A)におけるw)が均一な領域を確保していることを条件として、シリンダー2の上端が先端に向かって幅が狭くなる形状(
図2(A)参照)や、シリンダー2の上端付近がRを有している形状(
図2(B)参照)であっても良い。シリンダー2の大きさは、後述するピストン4を収容でき、且つ自動閉弁機構1としての機能を発揮できる程度の大きさである事を条件として、特に制限されない。
【0014】
本体22の上側には、前記空間21と外部とを連通する開口部23を含む。ここで、「本体22の上側」とは、本体22の上端面が含まれることはもちろんのこと、本体22の壁面であって上端面付近の領域(例えば、
図2(C)参照)も含まれる。開口部23の大きさは、後述する弁3により開閉できる程度の大きさである事を条件として、特に制限はされない。
【0015】
本体22の下端には、必要に応じて鍔部24を設けて良い。鍔部24にネジ孔(図示せず)を開けて、当該ネジ孔を介してネジ締結することにより、シリンダー2を後述する液体供給ノズルに固定して良い。
【0016】
シリンダー2を形成する材料は、後述するピストン4により生じる圧力に耐えることができる材料である事を条件として、特に制限されない。シリンダー2の材料の具体例として、例えば、アルミ、ステンレス及び鉄鋼等の金属材料、アクリル及びポリエチレン等のプラスチック材料、ガラス材料並びにセラミック材料等が挙げられる。
【0017】
(2)弁3
弁3は、シリンダー2の開口部23を開閉するために備えられる。弁3は電気信号に応じて開閉する弁を特に制限無く使用できる。このような弁の代表的な例として電磁弁が挙げられる。
図3は、開口部23に電磁弁3を備えた自動閉弁機構1の図面である。
図3で使用されている電磁弁3は、電気エネルギーを機械運動に変換するためのソレノイド部31と、ソレノイド部31で発生した機械運動により開閉を行うための弁部32とを含む。前記弁部32が開口部23に差し込まれている。弁部32と開口部23との間は、弁部32の外径と開口部23の内径とを等しくし及び/又はシリコンコーキング等を用いて密封することにより、電磁弁3の弁部32が閉じた際に、シリンダー2内部において本体22とピストン4との間の空間(
図1(B)における21A)を密封できるようになっている。
【0018】
(3)ピストン4
ピストン4は、シリンダー2の内部においてシリンダー2における空間21に、軸方向(
図1(B)における上下方向)に往復可能な状態で収容される部材である。前述のように、ピストン4はシリンダー2における空間21において、当該空間21の軸方向(
図1(B)における上下方向)に往復可能な状態でなければならない。さらに、後述するように、シリンダー2の開口部23を閉じた際にシリンダー2内部において本体22とピストン4との間の空間(
図1(B)における21A)が密封され、ピストン4が大きく動かないようにしなければならない。したがって、ピストン4を平面方向から見た際の形状は、シリンダー2の空間21を平面方向から見た際の形状と略同一である事が好ましい。また、ピストン4を平面方向から見た際の大きさ(面積)は、シリンダー2の空間21を平面方向から見た際の大きさと略同一又はわずかに小さいことが好ましい。
【0019】
図4に示すように、ピストン4は、本体41を含む。本体41を形成する材料については、ピストンを製造する際に通常使用されているいかなる材料も使用できる。このような材料の具体例として、例えば、アルミ、ステンレス及び鉄鋼等の金属材料、アクリル及びポリエチレン等のプラスチック材料、ガラス材料並びにセラミック材料等が挙げられる。また、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料を用いても良い。
【0020】
ピストン4の本体41を前記のような弾性材料で製造する際には、ピストン4を平面方向から見た際の大きさをシリンダー2の空間21を平面方向から見た際の大きさと略同一にすることがより好ましい。弾性材料製のピストン4の外周がシリンダー2の内壁に一定の圧力をかけつつ当接されることにより、ピストン4がシリンダー2の内部を上下方向に往復できる上に、シリンダー2の開口部23を閉じた際にシリンダー2内部において本体22とピストン4との間の空間(
図1(B)における21A)を密封できる。
【0021】
一方で、本体41の材料として弾性材料以外の硬質材料を使用した場合には、弾性材料のような前記効果を得ることが困難な場合がある。このような場合には、ピストン4の本体41にO-リング42を設けても良い。
図4において、本体41の外周方向に溝が設けられており、当該溝に沿ってO-リング42が設けられている。O-リング42を使用することにより、本体41が硬質材料で形成されている場合であったとしても、弾性材料で形成された本体41による前記のような効果を得ることができる。また、O-リング42を使用することにより、シリンダー2とピストン4との接触面積をより小さくして、ピストン4がシリンダー2内部でより動きやすくする事ができる。O-リング42を使用する場合においては、本体41を平面方向から見た際の大きさをシリンダー2の空間21を平面方向から見た際の大きさと略同一にしても良いし、本体41の大きさを空間21の大きさよりもわずかに小さくしても良い。本体41の大きさを空間21の大きさよりもわずかに小さくしたとしても、O-リング42を含めたピストン4全体としての大きさが空間21の大きさと略同一である事で、空間21を密封可能となる。なお、本体41が弾性材料により形成されている場合であっても、必要に応じてO-リング42を使用しても良い。この場合において、弾性材料により形成された本体41の大きさを、空間21の大きさよりもわずかに小さくしても良い。
【0022】
本体41の下面略中央にネジ穴43が開けられている。前記ネジ穴43は、後述する作動ロッド5をピストン4に固定する際に使用される。また、前記ネジ穴の代わりに、雄ネジ部(図示せず)を設けても良い。
【0023】
(4)作動ロッド5
作動ロッド5は、前記ピストン4に固定され、後述する液体供給ノズルの液体供給レバーに回動可能なように連結(例えば、枢支)される部材である。
図5に示すように、作動ロッド5は、棒状のロッド51、前記棒状のロッド51の上端部に設けられたネジ頭52及びロッド51の下端側に設けられた連結孔53を含む。作動ロッド5を形成する材料は、後述するように自動閉弁機構1の機能を発揮させるための最低限の剛性を有することを条件として特に制限はされない。このような材料の具体例として、例えば、アルミ、ステンレス及び鉄鋼等の金属材料、アクリル及びポリエチレン等のプラスチック材料、ガラス材料、セラミック材料並びに天然ゴム及び合成ゴム等の弾性材料等が挙げられる。
【0024】
ロッド51の大きさ及び形状は、ロッド51に必要とされる剛性、自動閉弁機構1が使用される液体供給ノズルの用途及び大きさ等に基づいて適宜調整可能である。前記ネジ頭52は雄ネジであり、前記ピストン4に設けられたネジ穴43とネジ締結することにより、作動ロッド5をピストン4に固定できる。ネジ頭52は、ロッド51と異なる材料で製造されても良いが、作動ロッド5の強度を確保するため、ロッド51とネジ頭52とを同一材料にて一体として成形することがより好ましい。なお、前記のようにピストン4に雄ネジ部を設ける場合には、前記ネジ頭52の代わりにネジ穴(図示せず)を設ける事もできる。
【0025】
ロッド51の下端側に設けられた連結孔53は、後述するような液体供給ノズルの液体供給レバーと作動ロッド5とを回動可能なように連結(例えば、枢支)する際に使用される孔である。連結孔53は、ロッド51を貫通しても良いし、貫通していない(言い換えれば、ロッド51を貫通しない穴が開けられている状態)でもよい。
【0026】
(6)センサー6
前記のように電気信号に応じて開閉する弁3、例えば電磁弁3を使用する際に、電磁弁3の開閉を制御するためのセンサー6を使用しても良い。センサー6は、例えば、後述するように液体供給ノズルのパイプの開口部付近に設置され、電磁弁3と接続される。前記センサー6の具体例として、例えば、光学式センサー(例えば、フォトセンサー及び光電センサー)、静電容量式センサー、超音波式センサー、電波式センサー、レーザー式センサー、電極式センサー、フロートスイッチ式センサー及び圧力検出式センサーが挙げられる。前記のセンサーをセンサー6として単体で使用しても良いし、2以上のセンサーを組み合わせて使用しても良い。
図6に電磁弁3と、センサー6とを接続する場合の配線図の一例を示している。電磁弁3とセンサー6とを接続する場合、必要に応じて、トランジスタ(
図6のQ
1、Q
2及びQ
3)、コンデンサ(
図6のC)及び抵抗(
図6のR)を設けても良い。
【0027】
(7)スイッチ7
前記電磁弁3及びセンサー6の電源を制御するためのスイッチ7を設けても良い。このようなスイッチ7は、液体供給ノズルを操作する使用者が電源のオンオフを自発的に行う事ができるようにシリンダー2から離れた箇所に設置されても良い。また、スイッチ7を押しボタンスイッチとした上で、シリンダー2内側の上部に設けてもよい。ここで「シリンダー2内側の上部」とは、シリンダー2内側の上端部だけでなく、シリンダー2内側の上部壁面も含まれる。シリンダー2内側の上部(上端部)に押しボタンスイッチを設けた形態が
図7(A)及び(B)に示してある。
図7に示すように、シリンダー2の本体22の内側上端部に押しボタンスイッチ7が備えられている。押しボタンスイッチ7と電磁弁3とは、リード線71で接続されている。前記押しボタンスイッチ7は、ピストン4の本体41が上方向に動いてその上端部が押しボタンスイッチ7と接触することによりボタンが押される。なお、押しボタンスイッチ7をシリンダー2内側の上部壁面に備える場合には、例えば、押しボタンスイッチ7のボタン部分を斜めにカットすることで、ピストン4の上下運動に伴ってスイッチのオン・オフを制御できる。
【0028】
押しボタンスイッチ7のボタンが押された際の電磁弁3の制御については、自動閉弁機構が使用される液体供給ノズルの用途及び構造等に基づいて適宜選択可能である。例えば、ボタンを押すことで通電して電磁弁3が閉じボタンが離れることで通電が遮断されて電磁弁3が開くように制御しても良いし、逆にボタンを押すことで電気が遮断されて電磁弁3が開きボタンが離れることで通電され電磁弁3が閉じるように制御しても良い。
図7(C)に電磁弁3、センサー6及びスイッチ7を接続する場合の配線図の一例を示している。これらを接続する場合、必要に応じて、トランジスタ(
図7(C)のQ
1、Q
2及びQ
3)、コンデンサ(
図7(C)のC)及び抵抗(
図7(C)のR)を設けても良い。
【0029】
(8)電池8
前記電磁弁3及びセンサー6への電源は、通常、これらの部品に電気を供給する際に使用されているいかなる電源も使用できる。なお、これら部品への電源として、電池を使用することがより好ましい。電源として電池を使用することにより、自動閉弁機構1をよりコンパクトにできる。このような電池としては、一般的に使用されている一次電池及び二次電池が特に制限無く使用できる。小型電池を使用する場合には、シリンダー2周辺に電池ボックス(図示せず)を設けても良い。
【0030】
2.自動閉弁機構を備えた液体供給ノズル9
本発明の自動閉弁機構1を備えた液体供給ノズル9の一形態を
図8に示している。液体供給ノズル9は、握り部91と吐出パイプ92とを備えたノズル本体に、液体供給レバー93により開閉される主弁94と、前記ノズル本体の一部が液に浸漬されたとき前記主弁94を閉弁させる本発明の自動閉弁機構1を備えている。自動閉弁装置1の作動ロッド5は、連結孔53を介して、前記液体供給レバー93に枢支されている。自動閉弁機構1のピストン4本体41下部には、圧縮コイルバネA95が備えられ、これによりピストン4が上方向に付勢されている。上方向に付勢されたピストン4の上面が、シリンダー2の本体22内部上端面に設けられた押しボタンスイッチ7を押している。電池8がスイッチ7を介して電磁弁3及びセンサー6に接続されている。本形態においては押しボタンスイッチ7が押されることにより電磁弁3及びセンサー6への電気が遮断され、一方で押しボタンスイッチ7が解放されることにより電磁弁3及びセンサー6に通電される。したがって、通常の状態では、ピストン4が圧縮コイルバネA95により上方向に付勢されて押しボタンスイッチ7が押されることにより電磁弁3が開放された状態となり、開口部23を介してシリンダー本体22とピストン4との間の空間(
図1(B)における21A)が外部と連通した状態になっている。
【0031】
前記液体供給レバー93を握り込む(上方向に押し上げられる)ことにより前記握り部91内部に備えられた主弁94を開閉するための主弁ロッド96が設けられている。主弁94には圧縮コイルバネB97が設けられており、主弁94が主弁ロッド96と共に下方向に付勢されることにより弁の閉じた状態が維持されている。
【0032】
3.自動閉弁機構1を備えた液体供給ノズル9の動作機構
前記自動閉弁機構1を備えた液体供給ノズル9を使用する際の具体的な動作機構を図面に基づいて説明する。液体供給ノズル9の使用者が、液体供給ノズル9の握り部91を握り、液体供給レバー93を握り込む(
図8において液体供給レバー93を上方向に押し上げる)。前記のように、通常の状態では電磁弁3が開放された状態(言い換えれば、開口部23が開放された状態)であるため、ピストン4が上下方向に動くことができるため、主弁ロッド96と液体供給レバー93とが接触している点を支点として、てこの原理により作動ロッド5が下方向に押し下げられる。作動ロッド5が押し下げられた事により、ピストン4の上面により押し込まれていた押しボタンスイッチ7のボタンが解放され、電磁弁3及びセンサー6に通電される(
図9参照)。電磁弁3に通電されることにより電磁弁3が閉じる(言い換えれば、開口部23が閉じられた状態)となる事により、空間21Aが密封され、作動ロッド5が一定の場所から下に下がらなくなる。
【0033】
前記空間21Aが密封されて作動ロッド5が固定された状態で、さらに液体供給レバー93を握り込むことにより、液体供給レバー93と作動ロッド5との接続点を支点として液体供給レバー93が上方向に持ち上がる。上方向に持ち上げられた液体供給レバー93により、圧縮コイルバネB97の付勢力に抗って主弁ロッド96が上方向に持ち上げられ、これにより主弁94が開放され液体の供給が開始する(
図10参照)。
【0034】
供給された液体がタンク等の供給対象に差し込まれた吐出パイプ92に備えられたセンサー6の位置まで来ると、センサー6が液体を検出して電磁弁3を開放する信号を電磁弁3に送る。前記信号を受信した電磁弁3が開放されることにより空間21Aの密封状態が解かれ、ピストン4が上下方向に動くことができるため、主弁ロッド96と液体供給レバー93とが接触している点を支点として、てこの原理により作動ロッド5が下方向に押し下げられる。作動ロッド5が下方向に押し下げられると同時に、圧縮コイルバネB97により付勢されることで主弁94及び主弁ロッド96が下方向に押し下げられ、主弁94が閉じ、液体の供給が自動的にストップする(
図11参照)。なお、このような動作機構を実現するために、当業者であれば圧縮コイルバネA95及び圧縮コイルバネB97のバネ力をそれぞれ適宜調整可能である。
【0035】
センサー6が液体を検知している間は、電磁弁3が開放された状態を保つため、液体供給レバー93を一旦解放して再度握り込んだとしても液体が供給されることはない。本発明の自動閉弁機構1を用いることにより、従来の技術にて使用されていた縮流部を使用する必要が無いため、液体の供給速度にかかわらず液体の供給を自動的に制御することが可能である。
【0036】
液体の供給が終了した後、液体供給ノズル9はホルダー等に戻される。液体供給ノズル9がホルダーに戻されると、電磁弁3が開放した状態が維持される(
図8の状態に戻る)。電磁弁3が開放された状態を維持することにより、ピストン4が圧縮コイルバネA95の付勢力により上方向に持ち上げられ、押しボタンスイッチ7のボタンを押す事により、自動閉弁機構1の電源をオフにする。本発明の自動閉弁機構1を用いることにより、液体供給ノズル9を使用するときにのみ電源をオンにして、使用しないときには自動的にオフにすることができるため、省エネルギーを達成可能である。また、電源として電池を使用する場合には、電気の使用量を最低限に抑えることができるため、電池の交換頻度をより抑えることができる。
【0037】
4.自動閉弁機構を備えた液体供給ノズルの用途
本発明の自動閉弁機構を備えた液体供給ノズルは、液体、例えば、ガソリン、軽油及び灯油等の燃料、水等の飲料並びに液状の化学物質等を供給する際に使用されるいかなるノズルにも使用可能である。
【0038】
なお、本発明の具体的な実施形態について以下に説明する。
[1]開口部を有するシリンダーと、前記開口部を開閉する弁と、前記シリンダー内に収容されたピストンと、前記ピストンに接続された作動ロッドと、を含むことを特徴とする自動閉弁機構、
[2]前記弁が電磁弁である、[1]に記載の自動閉弁機構、
[3]前記電磁弁の開閉を制御するためのセンサーを含む、[1]又は[2]に記載の自動閉弁機構、
[4]前記センサーが光学式センサー、静電容量式センサー、超音波式センサー、電波式センサー、レーザー式センサー、電極式センサー、フロートスイッチ式センサー及び圧力検出式センサーからなる群より選択される1以上のセンサーである、[3]に記載の自動閉弁機構、
[5]前記電磁弁及びセンサーの電源が、前記シリンダー内側の上部に設けられた押しボタンスイッチにより制御される、[3]又は[4]に記載の自動閉弁機構、
[6]前記電磁弁及びセンサーへの電源が電池である、[3]~[5]のいずれかに記載の自動閉弁機構、並びに
[7]吐出パイプと、前記吐出パイプに接続された握り部と、前記握り部に備えられた液体供給レバーと、前記液体供給レバーにより前記握り部内部に備えられた主弁を開閉するための主弁ロッドと、[1]~[6]のいずれかに記載の自動閉弁機構を含む液体供給ノズルであって、前記自動閉弁機構の作動ロッドが前記液体供給レバーと連結していることを特徴とする液体供給ノズル。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の自動閉弁機構及び当該閉弁機構を備えた液体供給ノズルにより、液体供給ノズルの使用経験に乏しい使用者でも、より安全に液体の供給を行う事ができる。
【符号の説明】
【0040】
1:自動閉弁機構
2:シリンダー 、21:空間、22:本体、23:開口部、24:鍔部
3:弁 、31:ソレノイド部、32:弁部
4:ピストン、41:本体、42:O-リング、43 :ネジ穴
5:作動ロッド 、51:ロッド、52:ネジ頭、53:連結孔
6:センサー
7:スイッチ、71:リード線
8:電池
9:液体供給ノズル、91:握り部、92 :吐出パイプ、93:液体供給レバー、94:主弁、95:圧縮コイルバネA、96:主弁ロッド、97:圧縮コイルバネB