(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180705
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ドア装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231214BHJP
E05C 17/24 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
E02F9/00 N
E05C17/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094231
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】溝脇 司
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA03
(57)【要約】
【課題】開かれたドアパネルを保持する角度を容易に調節することを目的とする。
【解決手段】ドア装置50は、開口部36F(ドア枠の一例)に回動可能に支持されたボンネット36(ドアパネルの一例)に設けられた第1部材51と、開口部36Fに設けられた第2部材52と、第1軸部531を有する第3部材53と、を備え、第1部材51は、第1軸部531が取り付けられる第1取付孔51Hを有し、第2部材52は、第3部材53に接触してボンネット36の回動を制止する制止部52Sを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア枠に回動可能に支持されたドアパネルに設けられた第1部材と、
前記ドア枠に設けられた第2部材と、
第1軸部を有する第3部材と、を備え、
前記第1部材は、前記第1軸部が取り付けられる第1取付孔を有し、
前記第2部材は、前記第3部材に接触して前記ドアパネルの回動を制止する制止部を有することを特徴とするドア装置。
【請求項2】
前記第1軸部は、前記第1取付孔に沿って移動可能であり、
前記第1軸部の前記第1取付孔に対する位置によって前記制止部と前記第3部材との接触状態が異なることを特徴とする請求項1に記載のドア装置。
【請求項3】
前記第1軸部及び前記第1取付孔は、多角形又は楕円形であり、
前記第1軸部が前記第1取付孔に嵌合していることを特徴とする請求項2に記載のドア装置。
【請求項4】
前記第3部材は、前記第1軸部と平行に設けられた第2軸部を有し、
前記第2部材は、前記第2軸部が嵌合する第2取付孔を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のドア装置。
【請求項5】
前記第1取付孔は、前記第1軸部を前記第1軸部に交差する方向にスライド可能に支持する長孔であり、
前記第2取付孔は、前記第2軸部を回転可能に支持する孔であることを特徴とする請求項4に記載のドア装置。
【請求項6】
前記第1取付孔の短手方向における開口幅は、長手方向に沿って段階的に変化し、
前記第1軸部の径の大きさは、一端から他端に向けて段階的に変化していることを特徴とする請求項5に記載のドア装置。
【請求項7】
前記制止部は、前記第3部材に接触する接触面が前記ドアパネルの回動方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のドア装置。
【請求項8】
前記第3部材に上向きの荷重を付与する荷重付与手段を備える請求項1に記載のドア装置。
【請求項9】
前記ドアパネルが開く方向に前記ドアパネルを付勢する付勢手段を備え、
前記付勢手段の一端部は、前記第1部材に取り付けられている請求項1に記載のドア装置。
【請求項10】
前記付勢手段は、前記第1取付孔よりも前記ドアパネル側の箇所に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席のドアを所定角度で開いた状態を保持することのできる建設機械が知られている。例えば、特許文献1に記載されたドア装置が備えるヒンジプレート開き角度規制機構は、一方ヒンジプレートにガイド穴を有するガイドプレート部が一体に設けられ、ガイドプレート部の下部にポケット部が設けられ、ポケット部の上端縁から案内部が下り勾配に形成されている。下側の他方ヒンジプレートの上縁部にブラケット部が一体成形され、ブラケット部に自在継手によりロッド部の基端部が回動自在に連結され、ロッド部は、ガイド穴に摺動自在に嵌合している。ロッド部の先端部に、ポケット部内に落下する係止板部が一体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたドア装置では、ドアを所定角度よりも大きく開けるには、ロッド部の係止板部をポケット部から外す必要があり、その操作が煩雑であった。また、特許文献1に記載されたドア装置では、係止板部がポケット部に落下する角度でしかドアを固定できない。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、開かれたドアパネルを保持する角度を容易に調節することのできるドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るドア装置は、ドア枠に回動可能に支持されたドアパネルに設けられた第1部材と、前記ドア枠に設けられた第2部材と、第1軸部を有する第3部材と、を備え、前記第1部材は、前記第1軸部が取り付けられる第1取付孔を有し、前記第2部材は、前記第3部材に接触して前記ドアパネルの回動を制止する制止部を有する。
【0007】
前記第1軸部は、前記第1取付孔に沿って移動可能であり、前記第1軸部の前記第1取付孔に対する位置によって前記制止部と前記第3部材との接触状態が異なってもよい。
【0008】
前記第1軸部及び前記第1取付孔は、多角形又は楕円形であり、前記第1軸部が前記第1取付孔に嵌合していてもよい。
【0009】
前記第3部材は、前記第1軸部と平行に設けられた第2軸部を有し、前記第2部材は、前記第2軸部が嵌合する第2取付孔を備えていてもよい。
【0010】
前記第1取付孔は、前記第1軸部を前記第1軸部に交差する方向にスライド可能に支持する長孔であり、前記第2取付孔は、前記第2軸部を回転可能に支持する孔であってもよい。
【0011】
前記第1取付孔の短手方向における開口幅は、長手方向に沿って段階的に変化し、前記第1軸部の径の大きさは、一端から他端に向けて段階的に変化していてもよい。
【0012】
前記制止部は、前記第3部材に接触する接触面が前記ドアパネルの回動方向に対して傾斜していてもよい。
【0013】
前記ドア装置は、前記第3部材に上向きの荷重を付与する荷重付与手段を備えていてもよい。
【0014】
前記ドア装置は、前記ドアパネルが開く方向に前記ドアパネルを付勢する付勢手段を備え、前記付勢手段の一端部は、前記第1部材に取り付けられていてもよい。
【0015】
前記付勢手段は、前記第1取付孔よりも前記ドアパネル側の箇所に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、開かれたドアパネルを保持する角度を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建設機械の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るサイドドアとボンネットが開けられた様子を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す分解図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る第2部材を示す背面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る第1部材と第3部材を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第1実施形態の第3変形例に係る第1部材と第3部材を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る第1部材と第3部材を示す斜視図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す右側面図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係るドア装置を示す平面図である。
【
図21】本発明の第1実施形態の第4変形例に係るドア装置を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るドア装置50について説明する。
図1は、建設機械1の外観を示す斜視図である。建設機械1は、建設現場、解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて作業を行う。本実施形態における建設機械1は、土砂の掘削作業などを行う油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方に上部旋回体3が設けられ、上部旋回体3の前部に作業機4が設けられている。
【0019】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、トラックフレーム22と、ブレード24と、を備えている。一対のクローラ21は、上部旋回体3に設けられたエンジン31から動力を伝達され、建設機械1の走行等を行う。トラックフレーム22は、一対のクローラ21の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。ブレード24は、整地作業等に用いられる。
【0020】
上部旋回体3は、エンジン31と、カウンタウェイト32と、キャビン33と、を備えている。キャビン33の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設けられている(図示省略)。
【0021】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業、破砕作業、排土作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に設けられ、ブーム41と、アーム42と、アタッチメント43と、を備えている。本実施形態では、アタッチメント43として、掘削作業用のバケットが設けられているが、ブレーカ、オーガ等が設けられていてもよい。建設機械1は、ブーム41、アーム42、アタッチメント43をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを備えている。建設機械1は、エンジン31が発生した動力により駆動された油圧ポンプ(図示省略)によって作動油をタンク(図示省略)から油圧アクチュエータ41A、42A、43Aへ供給し、油圧ポンプによって加圧されるとともにコントロールバルブ(図示省略)によって方向や流量が規制された作動油を動力伝達媒体として油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを駆動する。
【0022】
ブーム41は、上部旋回体3の右前部に設けられており、上部旋回体3に対して旋回可能である。アーム42は、ブーム41の先端に取り付けられ、水平軸を支点として揺動可能である。アタッチメント43は、アーム42の先端に設けられ、水平軸を支点として揺動可能である。
【0023】
次に、キャビン33の主に左側面から背面にかけての構成について説明する(
図1、2参照)。
図2は、サイドドア37とボンネット36が開けられた様子を示す斜視図である。キャビン33は、前後長及び全幅に対して全高が長い箱状に形成されている。キャビン33の背面は、全体として左右両端部に対して中央部が後方に膨らんだ曲面をなしている。キャビン33の左側面と背面との間の部分は、左後向きの平面状をなしている。
【0024】
キャビン33の左側面には、作業者が出入りするための左開口部37Fが設けられている。左開口部37Fの後縁部には、ヒンジ37Hを介してサイドドア37が結合されている。被拘束部37Bは、サイドドア37の外面の中央部から突出している。拘束部37Aは、サイドドア37を全開にした場合に被拘束部37Bに対向する位置に設けられており、拘束部37Aが被拘束部37Bを拘束することでサイドドア37が全開の姿勢で保持される。
【0025】
キャビン33の背面には、上から順にリアウィンドウ33R、開口部36Fが設けられている。開口部36Fは、開閉可能なボンネット36によって塞がれている。開口部36Fの内部には、エンジン31等が収容されている。
【0026】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係るドア装置50について説明する(
図1乃至6参照)。
図3は、ドア装置50を示す斜視図である。
図4は、ドア装置50を示す分解図である(ガスダンパ55は省略)。
図5は、ドア装置50を示す右側面図である。
図6は、ドア装置50を示す平面図である。このうち、
図3、4は、ボンネット36が開かれた状態(後述する制止状態)を示し、
図5,6は、ボンネット36が閉じられた状態(閉鎖状態)を示す。
図5では、屈曲部51B、52Bの図示は省略されている。
【0027】
ドア装置50は、開口部36F(ドア枠の一例)に回動可能に支持されたボンネット36(ドアパネルの一例)に設けられた第1部材51と、開口部36Fに設けられた第2部材52と、第1軸部531を有する第3部材53と、を備え、第1部材51は、第1軸部531が取り付けられる第1取付孔51Hを有し、第2部材52は、第3部材53に接触してボンネット36の回動を制止する制止部52Sを有する。具体的には、以下のとおりである。
【0028】
[ボンネット]
ボンネット36(
図1乃至10参照)は、後方から見て横長の概ね長方形をなしており、上方から見て後方に膨らんだ円弧状をなしている。開口部36Fの左縁部に上下方向を軸方向とするヒンジ34Hが設けられている(
図3、4、6参照)。ヒンジ34Hは、ボンネット36の左縁部に結合されている。ボンネット36はヒンジ36Hを中心として開閉可能である。ボンネット36の右縁部には、ボンネット36を開口部36Fの右縁部に係合するロック部36Lが設けられている(
図1、2参照)。
【0029】
[第1部材]
第1部材51(
図4、6参照)は、ボンネット36の内面の左上部に設けられている。第1部材51は、概ね長方形の板状の本体部51Mを備え、本体部51Mが概ね水平となる姿勢で取り付けられている。本体部51Mは、ボンネット36の内面に接合される第1縁部511と、第1縁部511と対向する第2縁部512と、互いに対向する第3縁部513及び第4縁部514と、を有する。本体部51Mの中央よりも第2縁部512寄りの部分には、第2縁部512に沿う方向を長手方向とする長孔である第1取付孔51Hが設けられている。換言すれば、第1取付孔51Hは、概ねヒンジ36Hの径方向に沿って設けられている。本体部51Mの中央よりも第1縁部511寄りの部分には、後述するガスダンパ55が取り付けられる取付孔51Dが設けられている。第3縁部513と第4縁部514には、下方に垂直に屈曲した概ね長方形の屈曲部51Bが設けられている(
図4参照)。屈曲部51Bの第1縁部511側の縁部は、第1縁部511と連続しており、第1縁部511とともにボンネット36の内面に接合される。屈曲部51Bは、第1部材51の剛性と接合強度を高める。
【0030】
[第2部材]
第2部材52(
図4、6参照)は、開口部36Fの左上部に設けられている。第2部材52は、板状の本体部52Mを備え、本体部52Mが概ね水平となる姿勢で取り付けられている。本体部52Mは、開口部36Fに接合される前縁部52Fと、概ね前後方向に沿う左縁部52L及び右縁部52Rと、を有する。本体部52Mの中央部には、第2取付孔52Hが設けられている。左縁部52Lには、上方に垂直に屈曲した概ね長方形の制止部52Sが設けられている。右縁部52Rには、下方に垂直に屈曲した概ね長方形の屈曲部52Bが設けられている。屈曲部52Bの前縁部52F側の縁部は、前縁部52Fと連続しており、前縁部52Fとともに開口部36Fに接合される。屈曲部52Bは、第2部材52の剛性と接合強度を高める。
【0031】
[第3部材]
第3部材53(
図4乃至6参照)は、細長い板状の本体部53Mを備え、本体部53Mが概ね水平となる姿勢で第1部材51と第2部材52とに架け渡されている。第3部材53の長手方向の一端部には、下方に突出した第1軸部531が設けられている。第3部材53の他端部には、下方に突出した第2軸部532が設けられている。第1軸部531は、第1部材51の第1取付孔51Hに挿入され、第1取付孔51Hに沿ってスライド可能に支持されている。第2軸部532は、第2部材52の第2取付孔52Hに挿入され、第2取付孔52Hを中心として回転可能に支持されている。
【0032】
第1軸部531の下端部には、軸方向と交差する方向に貫通したピン孔53H(
図4参照)が設けられている。第1軸部531は、ワッシャ53Wに挿入される。ピン孔53Hよりも上方にワッシャ53Wが配置された状態でピン孔53Hにスナップピン53Pが挿入される(
図3、5参照)。ワッシャ53Wは、第1取付孔51Hからの第1軸部531の抜けを防止する。
【0033】
第1軸部531と同様に、第2軸部532の下端部には、軸方向と交差する方向に貫通したピン孔53Hが設けられている。第2軸部532は、ワッシャ53Wに挿入される。ピン孔53Hよりも上方にワッシャ53Wが配置された状態でピン孔53Hにスナップピン53Pが挿入される。ワッシャ53Wは、第2取付孔52Hからの第2軸部532の抜けを防止する。
【0034】
第1軸部531及び第2軸部532におけるワッシャ53Wと本体部53Mとの距離は、第1部材51及び第2部材52の厚みよりも長い(
図5参照)。そのため、第3部材53は、第1部材51及び第2部材52に対して昇降可能である。また、第3部材53は、少なくとも第2部材52の制止部52Sの上端部の高さまで上昇させることが可能である。
【0035】
[ガスダンパ]
ガスダンパ55(
図3参照)は、シリンダ55Cと、ピストンロッド55Rと、を備える。ピストンロッド55Rの端部は、第1部材51に設けられた取付孔51Dに取り付けられている。ピストンロッド55Rは、第1部材51によって回転可能に支持されている。開口部36Fの上縁部には、第2部材52よりも右方に、支持部材55Aが設けられている。支持部材55Aは板状の部材であり、概ね水平な姿勢で取り付けられている。支持部材55Aは、ガスダンパ55のシリンダ55Cの端部を回転可能に支持する。
【0036】
次に、ドア装置50の動作について説明する(
図5乃至10参照)。
図7、9は、ドア装置50を示す右側面図である。
図8、10は、ドア装置50を示す平面図である。このうち、
図5、6は、閉鎖状態を示し、
図7、8は、後述する制止状態を示し、
図9、10は、後述する制止解除状態を示す。
【0037】
閉鎖状態においては(
図5、6参照)、第3部材53の第1軸部531が第1部材51の第1取付孔51Hの右端部付近、換言すれば、ヒンジ36Hから最も遠い位置に位置している。ガスダンパ55は、最も縮んだ状態である。
【0038】
作業者がロック部36Lによるボンネット36の係合を解除すると、ガスダンパ55が伸びることによってボンネット36が
図6においてヒンジ36Hを中心として時計回り方向に回転する。これに伴って、第3部材53は、第2部材52の第2取付孔52Hを中心として時計回り方向に回転する。このとき、第1軸部531が第1取付孔51Hに沿ってヒンジ36Hに接近する方向にスライドする。やがて、第3部材53の本体部53Mが制止部52Sに接触して第3部材53の回転が制止されるため、ボンネット36の回転も制止される(
図7、8参照)。この状態を制止状態と呼ぶ。制止状態においては、ガスダンパ55によってボンネット36が時計回り方向に付勢されているため、ボンネット36は、第3部材53が制止部52Sに接触した姿勢で保持される。
【0039】
ボンネット36をさらに開かせるには、作業者は、第3部材53を掴んで、本体部53Mを少なくとも制止部52Sの上端部の高さまで持ち上げる。この操作により、制止部52Sによる第3部材53の制止が解除される。この状態を制止解除状態と呼ぶ。第3部材53の制止が解除されると、ガスダンパ55に押されて第3部材53の本体部53Mが制止部52Sに乗り上げる(
図9、10参照)。このとき、第1部材51がガスダンパ55に付勢されることにより、本体部53Mが制止部52Sに乗り上げた状態が保持される。制止状態におけるボンネット36の角度は、
図2に示されるように全開にしたサイドドア37にボンネット36が衝突しない角度に設定されている。このように、本実施形態においてボンネット36を保持する角度は、第3部材53の上下方向の位置によって異なる。なお、制止解除状態においてガスダンパ55が伸び切った状態となるように設定されていてもよい。
【0040】
ボンネット36を閉じるには、作業者は、ガスダンパ55に抵抗してボンネット36を反時計回り方向に押す。この操作により、第3部材53の本体部53Mが制止部52Sから滑り落ちる(
図7、8参照)。さらに作業者がボンネット36を反時計回り方向に押し続けることで、ボンネット36が閉鎖される(
図5、6参照)
【0041】
以上説明した第1実施形態に係るドア装置50によれば、ドア装置50は、開口部36F(ドア枠の一例)に回動可能に支持されたボンネット36(ドアパネルの一例)に設けられた第1部材51と、開口部36Fに設けられた第2部材52と、第1軸部531を有する第3部材53と、を備え、第1部材51は、第1軸部531が取り付けられる第1取付孔51Hを有し、第2部材52は、第3部材53に接触してボンネット36の回動を制止する制止部52Sを有する。この構成によれば、第3部材53が制止部52Sに接触することでボンネット36の回動が制止されるから、開かれたボンネット36を所定の角度で保持することができる。
【0042】
また、第1実施形態に係るドア装置50によれば、第1軸部531は、第1取付孔51Hに沿って移動可能であり、第1軸部531の第1取付孔51Hに対する位置によって制止部52Sと第3部材53との接触状態が異なる。この構成によれば、第1軸部531の第1取付孔51Hに対する位置を変えるだけで制止部52Sと第3部材53との接触状態を異ならせることができるから、開かれたボンネット36を保持する角度を容易に調節することができる。
【0043】
また、第1実施形態に係るドア装置50によれば、第3部材53は、第1軸部531と平行に設けられた第2軸部532を有し、第2部材52は、第2軸部532が嵌合する第2取付孔52Hを備える。この構成によれば、第2軸部532が第2取付孔52Hに沿って第1軸部531とともに移動可能であるから、第3部材53を第1軸部531の軸方向にスムーズに移動させることができる。
【0044】
また、第1実施形態に係るドア装置50によれば、第1取付孔51Hは、第1軸部531を第1軸部531に交差する方向にスライド可能に支持する長孔であり、第2取付孔52Hは、第2軸部532を回転可能に支持する孔である。この構成によれば、ボンネット36の回動に伴って第2取付孔52Hを中心として第3部材53が回転するとともに、第1軸部531が第1取付孔51Hに沿ってスライドするから、第3部材53をスムーズに動作させることができる。
【0045】
また、第1実施形態に係るドア装置50によれば、ボンネット36が開く方向にボンネット36を付勢するガスダンパ55(付勢手段の一例)を備え、ガスダンパ55の一端部は、第1部材51に取り付けられている。この構成によれば、ガスダンパ55を取り付けるための部品を新たに設ける必要がないから、部品数を抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態に係るドア装置50によれば、ガスダンパ55は、第1取付孔51Hよりもボンネット36側の箇所に設けられている。この構成によれば、ガスダンパ55と第3部材53との干渉を防ぐことができる。
【0047】
第1実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0048】
[第1変形例]
図11は、第1変形例に係る第2部材52を示す背面図である。第1実施形態では、制止部52Sが本体部52Mから上方に垂直に屈曲している例が示されたが、本変形例では、制止部52Sは、第3部材53に接触する接触面52Cがボンネット36の回動方向に対して傾斜している。この構成によれば、接触面52Cがボンネット36の回動方向に対して垂直である場合(
図11の二点鎖線)と比べて、第3部材53を持ち上げるときの本体部53Mと制止部52Sとの摩擦抵抗が少なくなるから、第3部材53を容易に持ち上げることができる。
【0049】
[第2変形例]
図12は、第2変形例に係る第1部材51と第3部材53を示す斜視図である。第1実施形態では、第1取付孔51Hの幅と第1軸部531の太さが一定である例が示されたが、本変形例では、第1取付孔51Hの短手方向における開口幅は、長手方向に沿って段階的に変化し、第1軸部531の径の大きさは、一端から他端に向けて段階的に変化している。具体的には、第1取付孔51Hの広い部分の幅W1は、第1軸部531の太い部分の径D1と等しく、第1取付孔51Hの狭い部分の幅W2は、第1軸部531の細い部分の径D2と等しい。この構成によれば、第1取付孔51Hの幅に応じて第3部材53を昇降させる操作によって、ボンネット36を保持する角度を複数の段階(この例では、2段階)に調節することができる。なお、本変形例においては、制止部52Sは、設けられていなくてもよいが、設けられていてもよい。
【0050】
[第3変形例]
図13は、第3変形例に係る第1部材51と第3部材53を示す斜視図である。第3変形例は第2変形例を変形したものであり、第1取付孔51Hの幅の広い部分と幅の狭い部分との境界部に、幅を連続的に変化させたテーパー部51Tが設けれている。また、第1軸部531の径の太い部分と細い部分との境界部に、径を連続的に変化させたテーパー部53Tが設けられている。この構成によれば、第3部材53を円滑に昇降させることができる。なお、本変形例においては、制止部52Sは、設けられていなくてもよいが、設けられていてもよい。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るドア装置50について説明する。第1実施形態では、第1部材51が第1軸部531をスライド可能に支持し、第2部材52が第2軸部532を回転可能に支持する例が示されたが、第2実施形態では、第1部材51が第3部材53を回転不能に支持する。
図14は、第2実施形態に係る第1部材51と第3部材53を示す斜視図である。
図15は、第2実施形態に係るドア装置50を示す右側面図である。
図16は、第2実施形態に係るドア装置50を示す平面図である。
【0052】
ドア装置50は、上下方向を軸方向とするヒンジ36Hを介して開口部36F(ドア枠の一例)に支持されたボンネット36(ドアパネルの一例)に設けられた第1部材51と、開口部36Fに設けられた第2部材52と、第1部材51によって回転不能に支持され、第1部材51と第2部材52とに架け渡された第3部材53と、を備え、第2部材52は、ボンネット36が所定角度まで開いた場合に第3部材53に接触してボンネット36を制止する制止部52Sを備える。以下、第2実施形態の第1実施形態との相違点について説明する。
【0053】
第1部材51の本体部51Mの中央よりも第2縁部512寄りの部分には、多角形又は楕円形の第1取付孔51H(この例では、正方形)が設けられている。第2部材52の本体部52Mには、第2取付孔52Hが設けられていない。第3部材53の長手方向の一端部には、下方に突出した第1軸部531が設けられている。第2軸部532は設けられていない。第1軸部531の断面は、第1取付孔51Hに嵌合する形状を有する。第1軸部531は、第1部材51の第1取付孔51Hに嵌合し、回転不能に支持されている。第3部材53は、第1部材51に対して昇降可能である。なお、第3部材53の他端部が切り欠かれているのは、開口部36Fとの干渉を防ぐためであり、他端部の形状は開口部36Fの形状に応じて決定されればよい。
【0054】
次に、ドア装置50の動作について説明する(
図15乃至20参照)。
図17、19は、第2実施形態に係るドア装置50を示す右側面図である。
図18、20は、第2実施形態に係るドア装置50を示す平面図である。このうち、
図15、16は、閉鎖状態を示し、
図17、18は、制止状態を示し、
図19、20は制止解除状態を示す。
【0055】
閉鎖状態においては(
図15、16参照)、第3部材53の他端部が制止部52Sから最も遠い位置に位置している。ガスダンパ55は、最も縮んだ状態である。
【0056】
作業者がロック部36Lによるボンネット36の係合を解除すると、ガスダンパ55が伸びることによってボンネット36が
図16においてヒンジ36Hを中心として時計回り方向に回転する。これに伴って、第3部材53もヒンジ36Hを中心として時計回り方向に回転する。このとき、第3部材53が制止部52Sに接近し、第3部材53の本体部53Mが制止部52Sに接触して第3部材53の回転が制止されるため、ボンネット36の回転も制止される(
図17、18参照)。この状態を制止状態と呼ぶ。制止状態においては、ガスダンパ55によってボンネット36が時計回り方向に付勢されているため、ボンネット36は、第3部材53が制止部52Sに接触した姿勢で保持される。
【0057】
ボンネット36をさらに開かせるには、作業者は、第3部材53の本体部53Mを少なくとも制止部52Sの上端部の高さまで持ち上げる。この操作により、制止部52Sによる第3部材53の制止が解除される。この状態を制止解除状態と呼ぶ。第3部材53の制止が解除されると、ガスダンパ55に押されて第3部材53の本体部53Mが制止部52Sに乗り上げる(
図19、20参照)。このとき、第1部材51がガスダンパ55に付勢されることにより、本体部53Mが制止部52Sに乗り上げた状態が保持される。このように、本実施形態においてボンネット36を保持する角度は、第3部材53の上下方向の位置によって異なる。なお、制止解除状態において、ガスダンパ55が伸び切った状態となるように設定されていてもよい。
【0058】
ボンネット36を閉じるには、作業者は、ガスダンパ55に抵抗してボンネット36を反時計回り方向に押す。この操作により、第3部材53の本体部53Mが制止部52Sから滑り落ちる(
図17、18参照)。作業者がボンネット36を反時計回り方向に押し続けることで、ボンネット36が閉鎖される(
図15、16参照)。
【0059】
以上説明した第2実施形態に係るドア装置50によれば、第1軸部531及び第1取付孔51Hは、多角形であり、第1軸部531が第1取付孔51Hに嵌合している。この構成によれば、第1実施形態と比べて部品数を抑制することができる。
【0060】
[第4変形例]
第1及び第2実施形態は以下のように変形されてもよい。ここでは、第1実施形態を変形した例を示す。
図21は、第4変形例に係るドア装置50を示す分解図である(ガスダンパ55は省略)。ドア装置50は、第1実施形態の構成に加えて、第3部材53に上向きの荷重を付与する荷重付与手段57を備えている。荷重付与手段57は、軸57Sと、レバー57Lと、を備える。軸57Sは、第1部材51の本体部51Mの第3縁部513に沿って本体部51Mの下面に取り付けられている。軸57Sの一端部は、本体部51Mの第2縁部512よりも突出している。レバー57Lは、第2縁部512に沿って設けられ、軸57Sを中心として回転可能に支持されている。レバー57Lの一端部は、第3部材53の本体部53Mの下面に対向している。レバー57Lの他端部を押し下げると、レバー57Lの一端部が上昇して第3部材53の本体部53Mを押し上げる。第1実施形態では、ガスダンパ55のピストンロッド55Rと開口部36Fとの間の比較的狭い空間に手を挿入する必要があるが、第4変形例によれば、ピストンロッド55Rよりも後方の比較的広い空間でレバー57Lを操作することで第3部材53を昇降させることができるから、第1実施形態と比べて第3部材53を容易に昇降させることができる。
【0061】
上記実施形態では、ドア装置50を建設機械1のボンネット36に適用した例が示されたが、ドア装置50はサイドドア37等に適用されてもよい。また、ドア装置50は、建設機械1に限らず、あらゆる機械や建屋等に設けられたドアに適用されてもよい。
【0062】
上述の本実施形態に係るドア装置50は、以下のように特定することができる。
【0063】
<付記1>
ドア枠に回動可能に支持されたドアパネルに設けられた第1部材と、
前記ドア枠に設けられた第2部材と、
第1軸部を有する第3部材と、を備え、
前記第1部材は、前記第1軸部が取り付けられる第1取付孔を有し、
前記第2部材は、前記第3部材に接触して前記ドアパネルの回動を制止する制止部を有することを特徴とするドア装置。
【0064】
<付記2>
前記第1軸部は、前記第1取付孔に沿って移動可能であり、
前記第1軸部の前記第1取付孔に対する位置によって前記制止部と前記第3部材との接触状態が異なることを特徴とする付記1に記載のドア装置。
【0065】
<付記3>
前記第1軸部及び前記第1取付孔は、多角形又は楕円形であり、
前記第1軸部が前記第1取付孔に嵌合していることを特徴とする付記2に記載のドア装置。
【0066】
<付記4>
前記第3部材は、前記第1軸部と平行に設けられた第2軸部を有し、
前記第2部材は、前記第2軸部が嵌合する第2取付孔を備えることを特徴とする付記1又は2に記載のドア装置。
【0067】
<付記5>
前記第1取付孔は、前記第1軸部を前記第1軸部に交差する方向にスライド可能に支持する長孔であり、
前記第2取付孔は、前記第2軸部を回転可能に支持する孔であることを特徴とする付記4に記載のドア装置。
【0068】
<付記6>
前記第1取付孔の短手方向における開口幅は、長手方向に沿って段階的に変化し、
前記第1軸部の径の大きさは、一端から他端に向けて段階的に変化していることを特徴とする付記5に記載のドア装置。
【0069】
<付記7>
前記制止部は、前記第3部材に接触する接触面が前記ドアパネルの回動方向に対して傾斜していることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載のドア装置。
【0070】
<付記8>
前記第3部材に上向きの荷重を付与する荷重付与手段を備える付記1乃至7のいずれか1つに記載のドア装置。
【0071】
<付記9>
前記ドアパネルが開く方向に前記ドアパネルを付勢する付勢手段を備え、
前記付勢手段の一端部は、前記第1部材に取り付けられている付記1乃至8のいずれか1つに記載のドア装置。
【0072】
<付記10>
前記付勢手段は、前記第1取付孔よりも前記ドアパネル側の箇所に設けられていることを特徴とする付記9に記載のドア装置。
【符号の説明】
【0073】
36 ボンネット(ドアパネル)
36F 開口部(ドア枠)
36H ヒンジ
50 ドア装置
51 第1部材
51M 本体部
51B 屈曲部
51H 長孔
52 第2部材
52M 本体部
52B 屈曲部
52H 孔
52S 制止部
52C 接触面
53 第3部材
531 第1軸部
532 第2軸部
55 ガスダンパ(付勢手段)
57 荷重付与手段