(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180719
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ウエハ載置台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231214BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231214BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094256
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 玲雄
(72)【発明者】
【氏名】常川 大介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寛人
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB26
5F004BB29
5F004BD04
5F045DP02
5F045EK07
5F045EM02
5F045EM05
5F045EM09
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA17
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB78
5F131EB81
(57)【要約】
【課題】雌ネジ付き端子の雌ネジに対して雄ネジ付き接続部材の雄ネジが緩むのを防止する。
【解決手段】ウエハ載置台は、セラミック基材20、埋設部材32、雌ネジ付き端子40、アダプタ50及び雄ネジ付き接続部材60を備える。セラミック基材20は、ヒータ電極22を内蔵する。埋設部材32は、導電性を有し、ヒータ電極22に電気的に接続される。雌ネジ付き端子40は、埋設部材32に電気的に接続され、突出部41の端面に雌ネジ42を有する導電性端子である。アダプタ50は、導電性を有し、突出部41の端面に取り付けられ、雌ネジ42に連通する連通部52bを有し、雌ネジ付き端子40に対して回転不能である。雄ネジ付き接続部材60は、導電性を有し、連通部52bを介して雌ネジ42に螺合された雄ネジ62を有し、アダプタ50に一体化されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有し、電極を内蔵するセラミック基材と、
前記電極に電気的に接続された導電性の埋設部材と、
前記埋設部材に電気的に接続され、前記セラミック基材のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から突き出た突出部を有し、前記突出部の端面に雌ネジを有する導電性の雌ネジ付き端子と、
前記雌ネジ付き端子の前記突出部の端面に取り付けられ、前記雌ネジに連通する連通孔を有し、前記雌ネジ付き端子に対して回転不能な導電性のアダプタと、
前記連通孔を介して前記雌ネジに螺合された雄ネジを有し、前記アダプタに一体化された導電性の雄ネジ付き接続部材と、
を備えたウエハ載置台。
【請求項2】
前記アダプタと前記雄ネジ付き接続部材とは、溶接部を介して一体化されている、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記アダプタは、前記雌ネジ付き端子の前記突出部を挿入可能な凹部を有し、前記凹部の断面形状は、円以外の形状であり、
前記突出部のうち前記アダプタに挿入されるアダプタ挿入部の断面形状は、前記凹部の断面形状と一致する、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記凹部の断面形状は、円を直径と平行な1以上の弦で切断した形状、円の円周に突起を設けた形状、又は、多角形である、
請求項3に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記アダプタは、前記雌ネジ付き端子と当接しているが接合されていない、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項6】
前記セラミック基材の材料は、窒化アルミニウムを主成分とする材料であり、前記埋設部材及び前記雌ネジ付き端子の材料は、モリブデンを主成分とする材料であり、前記アダプタ及び前記雄ネジ付き接続部材の材料は、ニッケルを主成分とする材料である、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング装置やCVD装置等の半導体製造装置の分野において、ウエハ載置面を有し電極を内蔵するセラミック基材を備えたウエハ載置台が使用されている。例えば、特許文献1には、こうしたウエハ載置台として、セラミック基材内の電極に電気的に接続された導電性の埋設部材と、その埋設部材に電気的に接続された導電性の雌ネジ付き端子とを備えたものが開示されている。雌ネジ付き端子の雌ネジには、電力供給用の雄ネジ付き接続部材の雄ネジがねじ込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のウエハ載置台では、高温と低温との間で繰り返し使用すると、雌ネジ付き端子の雌ネジに対して雄ネジ付き接続部材の雄ネジが緩むことがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、雌ネジ付き端子の雌ネジに対して雄ネジ付き接続部材の雄ネジが緩むのを防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明のウエハ載置台は、
ウエハ載置面を有し、電極を内蔵するセラミック基材と、
前記電極に電気的に接続された導電性の埋設部材と、
前記埋設部材に電気的に接続され、前記セラミック基材のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から突き出た突出部を有し、前記突出部の端面に雌ネジを有する導電性の雌ネジ付き端子と、
前記雌ネジ付き端子の前記突出部の端面に取り付けられ、前記雌ネジに連通する連通孔を有し、前記雌ネジ付き端子に対して回転不能な導電性のアダプタと、
前記連通孔を介して前記雌ネジに螺合された雄ネジを有し、前記アダプタに一体化された導電性の雄ネジ付き接続部材と、
を備えたものである。
【0007】
このウエハ載置台では、アダプタは、雌ネジ付き端子の突出部の端面に取り付けられ、雌ネジ付き端子に対して回転不能となっている。雄ネジ付き接続部材の雄ネジは、アダプタの連通孔を介して雌ネジ付き端子の雌ネジに螺合されている。この雄ネジ付き接続部材は、アダプタに一体化されているため、アダプタを介して雌ネジ付き端子に回転不能になっている。そのため、雌ネジ付き端子の雌ネジに対して雄ネジ付き接続部材の雄ネジが緩むのを防止することができる。
【0008】
[2]本発明のウエハ載置台(前記[1]に記載のウエハ載置台)において、前記アダプタと前記雄ネジ付き接続部材とは、溶接部を介して一体化されていてもよい。こうすれば、アダプタと雄ネジ付き接続部材とを比較的容易に一体化することができる。
【0009】
[3]本発明のウエハ載置台(前記[1]又は[2]に記載のウエハ載置台)において、前記アダプタは、前記雌ネジ付き端子の前記突出部を挿入可能な凹部を有していてもよく、前記凹部の断面形状は、円以外の形状であってもよく、前記突出部のうち前記アダプタに挿入されるアダプタ挿入部の断面形状は、前記凹部の断面形状と一致するようにしてもよい。こうすれば、雌ネジ付き端子に対してアダプタを回転不能にする構造を比較的容易に実現することができる。なお、「アダプタ挿入部の断面形状は、前記凹部の断面形状と一致する」とは、アダプタ挿入部の断面形状が凹部の断面形状よりも僅かに小さな形状(アダプタ挿入部と凹部との間にアダプタ挿入部を凹部に挿入可能な隙間ができる形状)であることをいう。
【0010】
[4]本発明のウエハ載置台(前記[3]に記載のウエハ載置台)において、前記凹部の断面形状は、円を直径と平行な1以上の弦で切断した形状であってもよいし、円の円周に突起を設けた形状であってもよいし、多角形であってもよい。
【0011】
[5]本発明のウエハ載置台(前記[1]~[4]のいずれかに記載のウエハ載置台)において、前記アダプタは、前記雌ネジ付き端子と当接しているが接合されていなくてもよい。こうすれば、アダプタを雌ネジ付き端子に接合する必要がないため、ウエハ載置台の製造工程が簡素化される。
【0012】
[6]本発明のウエハ載置台(前記[1]~[5]のいずれかに記載のウエハ載置台)において、前記セラミック基材の材料は、窒化アルミニウムを主成分とする材料であってもよく、前記埋設部材及び前記雌ネジ付き端子の材料は、モリブデンを主成分とする材料であってもよく、前記アダプタ及び前記雄ネジ付き接続部材の材料は、ニッケルを主成分とする材料であってもよい。こうすれば、窒化アルミニウムとモリブデンとは熱膨張係数が近いため、ウエハ載置台が高温と低温との間で繰り返し使用されたとしても、セラミック基材と埋設部材との間やセラミック基材と雌ネジ付き端子との間で破損が発生するのを防止できる。また、ニッケルは高温での電気抵抗が低く融点が高く耐酸化性が高いため、ウエハ載置台の使用環境においても長期にわたって使い続けることができる。なお、「主成分」とは、全成分のうち最も質量割合の高い成分のことをいう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】ウエハ載置台10の製造工程の一例を示す説明図。
【
図8】ウエハ載置台10の製造工程の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1はウエハ載置台10の縦断面図(ウエハ載置台10の中心軸を含む面で切断したときの断面図)、
図2は
図1の部分拡大図、
図3はA-A断面図、
図4はB-B断面図である。
図5は雌ネジ付き端子40の説明図で、
図5Aは平面図、
図5Bは正面図、
図5Cは底面図、
図5Dは右側面図である。
図6はアダプタ50の説明図で、
図6Aは平面図、
図6Bは正面図、
図6Cは底面図である。
【0015】
ウエハ載置台10は、CVDやエッチングなどを行うウエハWを載置して加熱するために用いられるセラミックヒータであり、図示しない半導体プロセス用のチャンバの内部に取り付けられる。ウエハ載置台10は、セラミック基材20と、中空のセラミックシャフト70とを備えている。
【0016】
セラミック基材20は、円板部材である。セラミック基材20の一方の面は、ウエハWを載置可能なウエハ載置面20aとなっている。セラミック基材20の他方の面(ウエハ載置面20aとは反対側の面)の中央には、筒状のセラミックシャフト70が接合されている。セラミックシャフト70の材料は、セラミック基材20の材料と同じであることが好ましい。セラミック基材20は、ヒータ電極22及び埋設部材32を内蔵している。ヒータ電極22は、帯状又はコイル状の抵抗発熱体をセラミック基材20の全面にわたって一端から他端まで一筆書きの要領で配線したものである。埋設部材32は、ヒータ電極22の一端及び他端のそれぞれに電気的に接続された導電性部材である。埋設部材32は、セラミック基材20の他方の面(ウエハ載置面20aとは反対側の面)から埋設部材32に向かって設けられた穴21の底面に露出している。
【0017】
セラミック基材20は、一対の通電アセンブリ30を有している。各通電アセンブリ30は、埋設部材32に接続されている。通電アセンブリ30は、セラミックシャフト70の内部を通過して図示しない外部ヒータ電源に接続され、埋設部材32を介してヒータ電極22に電力を供給可能となっている。
【0018】
通電アセンブリ30は、雌ネジ付き端子40と、アダプタ50と、雄ネジ付き接続部材60とを備えている。
【0019】
雌ネジ付き端子40は、導電性の円柱部材である。
図2に示すように、雌ネジ付き端子40の一方の端面40aは、セラミック基材20の穴21に挿入されて埋設部材32にロウ接合層34を介して電気的に接続されている。雌ネジ付き端子40は、セラミック基材20のうちウエハ載置面20aとは反対側の面から突き出た突出部41を有している。この突出部41の端面40bには、雌ネジ42が設けられている。雌ネジ付き端子40の突出部41には、アダプタ50に挿入されるアダプタ挿入部41aが設けられている。アダプタ挿入部41aを水平面で切断した断面形状は、円を直径と平行な2つの同じ長さの弦で切断した形状となっている(
図4及び
図5)。
【0020】
アダプタ50は、導電性の円板部材であり、
図2に示すように中央孔52を有している。中央孔52は、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部41aを挿入する凹部52aと、雌ネジ42に連通する連通部52b(連通孔)とを備えている。アダプタ50の凹部52aと連通部52bとの間の段差面は、雌ネジ付き端子40の端面40bに当接している。凹部52aを水平面で切断した断面形状は、円を直径と平行な2つの同じ長さの弦で切断した形状であり(
図4及び
図6)、アダプタ挿入部41aを水平面で切断した断面形状と一致している。具体的には、アダプタ挿入部41aの断面形状は、凹部52aの断面形状よりも僅かに小さな形状となっており、アダプタ挿入部41aと凹部52aとの間にアダプタ挿入部41aを凹部52aに挿入可能な隙間ができる。そのため、アダプタ50の凹部52aに雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部41aが挿入されると、アダプタ50は雌ネジ付き端子40に対して構造的に回転不能となる。
【0021】
雄ネジ付き接続部材60は、導電性の棒状部材であり、
図2に示すように細長い円柱部66の先端に雄ネジ62を有する。円柱部66と雄ネジ62との境界には、フランジ部64が設けられている。雄ネジ62は、アダプタ50の中央孔52の連通部52bを経て(
図3)、雌ネジ付き端子40の雌ネジ42に螺合されている。フランジ部64のうちアダプタ50に対向する面とアダプタ50とは、溶接部68で溶接されて一体化されている。これにより、雄ネジ付き接続部材60は、雄ネジ62が雌ネジ42に螺合した状態で、雌ネジ付き端子40に回転不能となっている。溶接部68は、電子ビーム溶接(EBW)によって形成してもよいし、レーザビーム溶接(LBW)によって形成してもよい。
【0022】
セラミック基材20の材料は、特に限定するものではないが、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの群から選ばれた1種を主成分とする材料が好ましい。
【0023】
ヒータ電極22や埋設部材32は、セラミック基材20を作製する際にセラミック成形体と同時に焼成される。そのため、ヒータ電極22の材料や埋設部材32の材料(以下、「埋設部材32等の材料」という)は、セラミック基材20の材料と熱膨張係数がほぼ同一の高融点金属を主成分とする材料であることが好ましい。埋設部材32等の材料とセラミック基材の材料との熱膨張係数差は、1.5ppm/K以下が好ましく、1.0ppm/K以下がより好ましく、0.5ppm/K以下が更に好ましい。セラミック基材20の材料の主成分と埋設部材32等の材料の主成分との好適な組合せとしては、窒化アルミニウムとモリブデン、窒化アルミニウムと白金、アルミナとニオブ、アルミナとチタン、窒化ケイ素とタングステン、窒化ホウ素とタングステンなどの組合せが好ましく、このうち窒化アルミニウムとモリブデンの組合せが特に好ましい。
【0024】
雌ネジ付き端子40は、雌ネジ付き端子40が埋設部材32やセラミック基材20に接合される。そのため、雌ネジ付き端子40の材料は、埋設部材32の材料と同じものを用いるのが好ましい。例えば、セラミック基材20の材料として窒化アルミニウムを主成分とする材料を用いる場合には、埋設部材32の材料や雌ネジ付き端子40の材料としてモリブデンを主成分とする材料を用いることが好ましい。
【0025】
アダプタ50の材料や雄ネジ付き接続部材60の材料は、特に限定するものではないが、ウエハ載置台10の使用環境を考慮すると、高温での電気抵抗が低く融点が高く耐酸化性の高い金属を主成分とする材料が好ましい。例えば、ニッケルを主成分とする材料を用いることが好ましい。
【0026】
ロウ接合層34の材料としては、特に限定するものではないが、例えば金ロウを用いることが好ましい。
【0027】
次に、ウエハ載置台10の製造例について説明する。
図7はウエハ載置台10の製造工程の一例を示す説明図である。
【0028】
まず、雌ネジ付き端子40を用意する(
図7A)。次に、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部41aをアダプタ50の中央孔52の凹部52aを差し込む(
図7B)。これにより、アダプタ50は雌ネジ付き端子40に対して回転不能な状態で雌ネジ付き端子40に取り付けられる。次に、雄ネジ付き接続部材60の雄ネジ62を、アダプタ50の中央孔52の連通部52bを経て雌ネジ付き端子40の雌ネジ42に螺合し、その後フランジ部64とアダプタ50とを溶接して溶接部68を形成する(
図7C)。これにより、雌ネジ付き端子40とアダプタ50と雄ネジ付き接続部材60とが一体化されて通電アセンブリ30となる。
【0029】
これと並行して、ヒータ電極22と埋設部材32を内蔵したセラミック粉末の成形体を作製し、この成形体をホットプレス焼成することによりセラミック基材20を作製する(
図7D)。次に、セラミック基材20のウエハ載置面になる面とは反対側の面から埋設部材32に向かって円柱状の穴21を設ける(
図7E)。これにより、穴21の底面には埋設部材32が露出する。その後、図示しないが、セラミック基材20にセラミックシャフト70を取り付ける。
【0030】
続いて、穴21の底面にロウ材(例えば金ロウ材)を配置し、通電アセンブリ30の雌ネジ付き端子40の端面40aを穴21に入れてロウ材と接触させ、その状態で加熱した後冷却し、通電アセンブリ30の雌ネジ付き端子40を埋設部材32に接合層34を介して接合する(
図7F)。これにより、ウエハ載置台10が得られる。
【0031】
以上詳説したウエハ載置台10では、アダプタ50は、雌ネジ付き端子40の突出部41の端面40bに取り付けられ、雌ネジ付き端子40に対して回転不能となっている。雄ネジ付き接続部材60の雄ネジ62は、アダプタ50の中央孔52の連通部52bを介して雌ネジ付き端子40の雌ネジ42に螺合されている。この雄ネジ付き接続部材60は、アダプタ50に一体化されているため、アダプタ50を介して雌ネジ付き端子40に回転不能になっている。そのため、雌ネジ付き端子40の雌ネジ42に対して雄ネジ付き接続部材60の雄ネジ62が緩むのを防止することができる。
【0032】
また、アダプタ50と雄ネジ付き接続部材60とは、溶接部68を介して一体化されている。そのため、アダプタ50と雄ネジ付き接続部材60とを比較的容易に一体化することができる。また、溶接部68を切断することにより、雄ネジ付き接続部材60やアダプタ50を雌ネジ付き端子40から取り外すことができる。そのため、雄ネジ付き接続部材60やアダプタ50に何らかの支障が生じたとき、雌ネジ付き端子40を温存したまま、雄ネジ付き接続部材60とアダプタ50を交換することができる。
【0033】
更に、アダプタ50は、雌ネジ付き端子40の突出部41を挿入可能な凹部52aを有し、凹部52aの断面形状は、円以外の形状であり、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部41aの断面形状は、凹部52aの断面形状と一致している。そのため、雌ネジ付き端子40に対してアダプタ50を回転不能にする構造を比較的容易に実現できる。
【0034】
更にまた、アダプタ50の中央孔52の凹部52aは、雌ネジ付き端子40の端面40bと当接しているが接合されていない。つまり、アダプタ50を雌ネジ付き端子40に接合する必要がない。したがって、製造工程が簡素化される。なお、アダプタ50の材料がニッケルを主成分とする材料で、雌ネジ付き端子40の材料がモリブデンを主成分とする材料の場合、ニッケルとモリブデンとの溶接は困難であるため、アダプタ50と雌ネジ付き端子40との溶接は行わない方が好ましい。
【0035】
セラミック基材20の材料は、窒化アルミニウムを主成分とする材料が好ましく、埋設部材32及び雌ネジ付き端子40の材料は、モリブデンを主成分とする材料が好ましく、アダプタ50及び雄ネジ付き接続部材60の材料は、ニッケルを主成分とする材料が好ましい。こうすれば、窒化アルミニウムとモリブデンとは熱膨張係数が近いため、ウエハ載置台10が高温と低温との間で繰り返し使用されたとしても、セラミック基材20と埋設部材32との間やセラミック基材20と雌ネジ付き端子40との間で破損が発生するのを防止できる。また、ニッケルは高温での電気抵抗が低く融点が高く耐酸化性も高いため、ウエハ載置台10の使用環境においてもアダプタ50や雄ネジ付き接続部材60を長期にわたって使い続けることができる。また、
図7のように通電アセンブリ30を埋設部材32にロウ接合する際、通電アセンブリ30はモリブデンやニッケルといった高融点金属を主成分とする材料で形成されているため、ロウ材を用いて高温で接合する場合であっても耐えられる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
上述した実施形態では、
図7に示す製造工程を採用したが、特にこれに限定されない。例えば、
図8に示す製造工程を採用してもよい。この場合、まず、セラミック基材20のウエハ載置面になる面とは反対側の面から埋設部材32に向かって円柱状の穴21を設ける(
図8A(
図7Eと同じ))。次に、穴21の底面にロウ材(例えば金ロウ材)を配置し、雌ネジ付き端子40の端面40aを穴21に入れてロウ材と接触させ、その状態で加熱した後冷却し、雌ネジ付き端子40を埋設部材32に接合層34を介して接合する(
図8B)。次に、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部41aをアダプタ50の中央孔52の凹部52aに差し込む(
図8C)。次に、雄ネジ付き接続部材60の雄ネジ62を、アダプタ50の中央孔52の連通部52bを経て雌ネジ付き端子40の雌ネジ42に螺合し、その後フランジ部64とアダプタ50とを溶接して溶接部68を形成する(
図8D)。このようにしても、ウエハ載置台10が得られる。この製造方法では、アダプタ50や雄ネジ付き接続部材60はロウ接合の温度に晒されることがないため、これらの材料はニッケルよりも低融点の金属を主成分とする材料としてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、アダプタ50の凹部52aを水平面で切断した断面形状を、円を直径と平行な2つの同じ長さの弦で切断した形状(
図4)としたが、特にこれに限定されない。例えば、
図9に示すように、アダプタ50の凹部152aの断面形状を、円を1つの弦で切断した形状とし、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部141aの断面形状を、それと一致する形状としてもよい。あるいは、
図10に示すように、アダプタ50の凹部252aの断面形状を、円の円周に突起を設けた形状とし、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部241aの断面形状を、それと一致する形状としてもよい。あるいは、
図11に示すように、アダプタ50の凹部352aの断面形状を、多角形(ここでは四角形)とし、雌ネジ付き端子40のアダプタ挿入部341aを、それと一致する形状としてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、雄ネジ付き接続部材60は、細長い円柱部66を備えるものとしたが、円柱部66の代わりに、二つの導電性の円柱体の間を導電性のケーブルで連結したものを用いてもよい。ケーブルの材料は、ニッケルが好ましい。
【0040】
上述した実施形態では、雄ネジ付き接続部材60のフランジ部64とアダプタ50とを溶接部68を介して一体化したが、溶接部68の代わりにロウ接合部で一体化したりビスなどを利用して一体化したりしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、アダプタ50の中央孔52の凹部52aは、雌ネジ付き端子40の端面40bと接合しなかったが、接合してもよい。接合は、溶接やロウ接、ビス止めなどで行うことができる。例えば、ニッケル製のアダプタ50とモリブデン製の雌ネジ付き端子40の場合、溶接は困難であるが、溶接可能な金属同士の組合せであれば溶接してもよい。
【0042】
上述した実施形態では、ウエハ載置台10のセラミック基材20にヒータ電極22を内蔵した例を示したが、特にこれに限定されない。例えば、ヒータ電極22に代えて又は加えて、静電電極を内蔵したりRF電極を内蔵したりしてもよい。また、ウエハ載置台10のセラミックシャフト70を省略してもよい。あるいは、セラミック基材20を上下方向に貫通する穴を設けてもよい。そうした穴としては、例えば、ウエハ載置面20aに載置されたウエハWを持ち上げるリフトピンを挿通するためのリフトピン穴やウエハWの裏面にガスを供給するためのガス穴などが挙げられる。
【0043】
上述した実施形態では、セラミック基材20をセラミック粉末の成形体をホットプレス焼成することにより作製したが、そのときの成形体は、テープ成形体を複数枚積層して作製してもよいし、モールドキャスト法によって作製してもよいし、セラミック粉末を押し固めることによって作製してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 ウエハ載置台、20 セラミック基材、20a ウエハ載置面、21 穴、22 ヒータ電極、30 通電アセンブリ、32 埋設部材、34 ロウ接合層、34 接合層、40 雌ネジ付き端子、40a,40b 端面、41 突出部、41a アダプタ挿入部、42 雌ネジ、50 アダプタ、52 中央孔、52a 凹部、52b 連通部、60 接続部材、62 雄ネジ、64 フランジ部、66 円柱部、68 溶接部、70 セラミックシャフト、141a アダプタ挿入部、152a 凹部、241a アダプタ挿入部、252a 凹部、341a アダプタ挿入部、352a 凹部、W ウエハ。