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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180724
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/18 20130101AFI20231214BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20231214BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20231214BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20231214BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20231214BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231214BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20231214BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20231214BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20231214BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20231214BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20231214BHJP
【FI】
H01G11/18
H01M50/505
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/516
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/651
H01M10/6553
H01M10/625
H01M50/503
H01G11/10
H01G11/78
H01M50/213
H01M50/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094266
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 志門
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敦
(72)【発明者】
【氏名】前田 光司
(72)【発明者】
【氏名】宗田 昭彦
【テーマコード(参考)】
5E078
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB02
5E078HA05
5E078JA02
5E078JA07
5H031AA09
5H031EE01
5H031EE04
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD03
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN01
5H043AA09
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA05
5H043FA04
5H043JA03F
5H043JA06F
5H043JA07F
5H043LA02F
5H043LA21F
5H043LA22F
5H043LA25F
(57)【要約】
【課題】導電部材を溶接する際の蓄電素子の熱損傷を抑制しつつ、冷却性能を向上することができる。
【解決手段】蓄電装置は、円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子及び第2蓄電素子と、熱伝導性を有し、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を収納する収納部材と、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を電気的に接続する導電部材と、を備え、前記第1蓄電素子は、軸方向端部に端面電極を有し、前記第2蓄電素子は、外周部に周面電極を有し、前記導電部材は、前記端面電極から前記周面電極に向かって延びることで、前記端面電極及び前記周面電極に接続されており、前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分に厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い端面側薄肉部と、を有し、前記端面側薄肉部は、前記端面電極と溶接接続されており、前記導電部材及び前記周面電極を介して前記端面電極の熱を前記収納部材に逃がす構造とされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子及び第2蓄電素子と、
熱伝導性を有し、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を収納する収納部材と、
前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を電気的に接続する導電部材と、を備え、
前記第1蓄電素子は、軸方向端部に端面電極を有し、
前記第2蓄電素子は、外周部に周面電極を有し、
前記導電部材は、前記端面電極から前記周面電極に向かって延びることで、前記端面電極及び前記周面電極に接続されており、
前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分に厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い端面側薄肉部と、を有し、
前記端面側薄肉部は、前記端面電極と溶接接続されており、
前記導電部材及び前記周面電極を介して前記端面電極の熱を前記収納部材に逃がす構造とされている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記厚肉部は、前記導電部材が延びる方向において一様の厚みを有する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記厚肉部の厚みは、前記周面電極の厚みよりも厚い、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第1蓄電素子の軸方向から見て、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分は、前記端面側薄肉部よりも面積が大きい、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1蓄電素子の軸方向から見て、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分は、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分から径方向外側に延びる部分よりも幅が広い、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記端面側薄肉部は、前記導電部材が延びる方向に沿って延びている、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記導電部材は、前記周面電極と対向する部分に前記厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い周面側薄肉部と、を有し、
前記周面側薄肉部は、前記周面電極と溶接接続されている、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記周面側薄肉部は、前記導電部材が延びる方向に沿って延びている、
請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分から径方向外側に延びた後、屈曲部を介して前記周面電極に向かって延びている、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、外部端子を有する蓄電素子と、外部端子に接続されるバスバーと、を備えた蓄電装置が開示されている。バスバーは、外部端子と対向する一部分に薄肉部を有する。薄肉部と外部端子とが溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/050329号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電装置の低コスト化のために蓄電素子の本数削減が望まれている。しかし、蓄電素子の本数を削減すると、蓄電素子に流れる電流値が大きくなる。すると、蓄電素子の発熱量が上がり、仕様上限温度に達してしまう可能性が高い。そのため、蓄電装置において冷却性能の向上が課題となっている。
【0005】
そこで本発明は、導電部材を溶接する際の蓄電素子の熱損傷を抑制しつつ、冷却性能を向上することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子及び第2蓄電素子と、熱伝導性を有し、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を収納する収納部材と、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を電気的に接続する導電部材と、を備え、前記第1蓄電素子は、軸方向端部に端面電極を有し、前記第2蓄電素子は、外周部に周面電極を有し、前記導電部材は、前記端面電極から前記周面電極に向かって延びることで、前記端面電極及び前記周面電極に接続されており、前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分に厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い端面側薄肉部と、を有し、前記端面側薄肉部は、前記端面電極と溶接接続されており、前記導電部材及び前記周面電極を介して前記端面電極の熱を前記収納部材に逃がす構造とされている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、導電部材を溶接する際の蓄電素子の熱損傷を抑制しつつ、冷却性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る蓄電装置の分解斜視図。
図2】実施形態に係る蓄電素子及び導電部材の組み立て前の分解斜視図。
図3】実施形態に係る蓄電素子及び導電部材の組み立て後の斜視図。
図4】実施形態に係る蓄電装置の組み立て後の斜視図。
図5】実施形態に係る導電部材の溶接箇所の説明図。
図6】実施形態に係る導電部材において端面電極と対向する部分を示す図。
図7】実施形態に係る導電部材の側面図。
図8】実施形態に係る導電部材において周面電極と対向する部分を示す図。
図9】導電部材及び周面電極を介して端面電極の熱を収納部材に逃がす構造を説明するための図。
図10】実施例の導電部材による冷却効果を比較例と共に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、蓄電装置の一例として、キャパシタ搭載ショベル等の作業機械に適用される蓄電装置を挙げて説明する。キャパシタ搭載ショベルにおいては、コスト削減のために蓄電素子の本数削減が望まれている。
【0010】
<蓄電装置>
図1は、実施形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。図2は、実施形態に係る蓄電素子11及び導電部材100の組み立て前の分解斜視図である。図3は、実施形態に係る蓄電素子11及び導電部材100の組み立て後の斜視図である。図4は、実施形態に係る蓄電装置1の組み立て後の斜視図である。
蓄電装置1は、蓄電素子11と、収納部材27と、導電部材100と、冷却機構60と、を備える。図の例では、蓄電装置1は、12個(複数の一例)の蓄電素子11を備える。これらの蓄電素子11は、導電部材100により隣の蓄電素子11と電気的に接続される。実施形態では、12個の蓄電素子11は、全て直列に接続される。
【0011】
<蓄電素子>
例えば、蓄電素子11は、大容量で急速充放電特性に優れる電気二重層キャパシタである。蓄電素子11は、円柱形状を有する。以下、蓄電素子11の円柱形状の中心軸に沿う方向を「軸方向」、中心軸と直交する方向を「径方向」、中心軸の周りの方向を「周方向」ともいう。
【0012】
蓄電素子11は、軸方向端部に端面電極15を有する。実施形態では、端面電極15は正極である。蓄電素子11は、外周部に周面電極17を有する。実施形態では、周面電極17は負極である。蓄電素子11は、有底円筒状のケーシングを有する。ケーシングは、蓄電素子11の円柱形状を構成している。例えば、ケーシングは、アルミニウム板等の金属板を押し出し成型することで形成されている。周面電極17は、ケーシングの筒部により構成されている。
【0013】
なお、ケーシングの底部(蓄電素子11の底面)もケーシングの筒部(蓄電素子11の周面)と一体に成型されているので負極となる。実施形態では、蓄電素子11の底面への電気的接続は行われていない。図示はしないが、端面電極15と周面電極17との間には、絶縁材が介在している。これにより、端面電極15と周面電極17とは、電気的な絶縁が保たれている。
【0014】
<導電部材>
導電部材100は、隣同士の蓄電素子11を互いに電気的に接続する部材(バスバー)である。例えば、導電部材100は、アルミニウム板等の金属板をプレス成型することで形成されている。導電部材100は、略L字形状を有する。導電部材100において周面電極17と対向する部分120は、周面電極17の外周に沿った形状に曲げ加工が施されており、周面電極17の外周に沿った湾曲形状を有する。導電部材100は、端面電極15と対向する部分から径方向外側に延びた後、屈曲部130を介して周面電極17に向かって延びている。
【0015】
屈曲部130は、導電部材100において端面電極15と対向する部分111(以下「端面側対向部111」ともいう。)と周面電極17と対向する部分120(以下「周面側対向部120」ともいう。)との間に設けられている。これにより、導電部材100の端面側対向部111を隣の蓄電素子11の端面電極15に溶接接続する際に、位置ずれがあっても屈曲部130で吸収することができる。加えて、組み立て後の蓄電装置1全体に外部から振動が加わっても、端面側対向部111と端面電極15との溶接接続部分に加わる応力を屈曲部130で緩和することができる。したがって、振動により端面側対向部111と端面電極15との溶接部分が外れる可能性を低減することができ、良好な耐振動性が得られる。
【0016】
実施形態では、導電部材100の周面側対向部120は、蓄電素子11の周面電極17の外周に合致する形状とされている。このため、周面側対向部120と周面電極17とを合致させた状態で溶接接続することにより、信頼性に優れ、かつ、電気的、機械的な接続が可能となる。
【0017】
実施形態では、導電部材100を周面側対向部120で溶接接続した複数の蓄電素子11に対し、隣の蓄電素子11の端面電極15と、導電部材100の端面側対向部111とを溶接接続することにより、1列につき6個の蓄電素子11が直列接続される。例えば、この溶接は、各蓄電素子11の端面電極15が隣の導電部材100の端面側対向部111と接するように正確に位置決めができる治具を用いて行っている。実施形態では、6個の蓄電素子11が直列接続された構成を2列用いることで、12個の蓄電素子11が全て直列接続される。そのために、図1に示す後列右端の導電部材100は、前列右端の端面電極15上に重なるように方向を90度回転させた状態で溶接接続している。
【0018】
なお、蓄電素子11において、図1に示す後列左端の端面電極15には、隣の導電部材100が存在しない。そのため、図1に示す後列左端の端面電極15には、全蓄電素子11の電力入出力用の正極端子25を溶接接続している。正極端子25は、導電部材100の周面側対向部120を端面側対向部111として機能させるための板形状を有する。例えば、正極端子25は、導電部材100と同様、アルミニウム板等の金属板をプレス成型することで形成されている。
【0019】
一方、蓄電素子11における図1の前列左端の導電部材100には、隣の端面電極15が存在しない。そのため、この導電部材100は、全蓄電素子11の電力入出力用の負極端子26として機能させている。
【0020】
<収納部材>
収納部材27は、熱伝導性を有する。例えば、収納部材27は、アルミニウム等の金属で形成されている。収納部材27は、複数の蓄電素子11を収納するための部材(ホルダ)である。収納部材27は、蓄電素子11からの熱を外部に発散することで冷却を行うヒートシンクとしても機能する。
【0021】
収納部材27は、金属製の直方体に、蓄電素子11の周面の一部を収納する円弧状の凹面29を複数箇所(実施形態では12個所)設けた構成を有する。収納部材27は、固定板39をネジ止めするための固定板ネジ穴31と、ケース47をネジ止めするためのケースネジ穴33と、を有する。
【0022】
凹面29は、図1の収納部材27を上面から見たとき、略半円形状になるように形成されている。例えば、収納部材27は、押し出し成型又は切削加工等により形成される。
【0023】
実施形態では、凹面29は、蓄電素子11が俵積み状にならないように設けられている。これにより、収納部材27の熱容量を大きくすることができる。加えて、互いに隣り合う2つの蓄電素子11の間に収納部材27の一部が介在するので、蓄電素子11の間隔が広がる。このため、他の蓄電素子11の発熱の影響を互いに受けにくくすることができる。その結果、良好な放熱性が得られる。
【0024】
収納部材27の凹面29には、蓄電素子11の周面の一部が収納される。例えば、蓄電素子11の周面のうち凹面29に収納される部分と、収納部材27の凹面29とは、絶縁性を有する接合材35(以下「絶縁性接合材35」ともいう。)で接合されている。これにより、金属製の収納部材27に複数の蓄電素子11を収納した際に、互いの周面電極17が電気的に短絡することを防ぐことができる。
【0025】
例えば、絶縁性接合材35としては、両面テープが挙げられる。例えば、蓄電素子11において凹面29に収納される周面部分に両面テープを貼付した後、これを収納部材27に収納することで、蓄電素子11の周面を凹面29と接合させることができる。図1の例では、蓄電素子11の周面の約半分の面積が凹面29と絶縁性接合材35とで固定される。なお、収納部材27の凹面29に両面テープを貼付した後、これに蓄電素子11を収納する構成としてもよい。
【0026】
実施形態では、絶縁性接合材35により接合した後の蓄電素子11の周面と収納部材27の凹面29との隙間には、全体的に絶縁性接合材35が埋め込まれる。これにより、蓄電素子11の熱は絶縁性接合材35を介して収納部材27に伝わる。このため、効率的な放熱が可能となる。さらに実施形態では、蓄電素子11に比べて熱容量の大きな金属製の収納部材27により放熱を行う。このため、頻繁に蓄電素子11を充放電しても、蓄電装置1の中央部分等に配置される特定の蓄電素子11が過熱される可能性を低減できる。
【0027】
絶縁性接合材35としての両面テープは、基材と、基材の両面に形成された粘着部と、の積層構造を有する。例えば、基材は、弾性を有する樹脂(例えば箔状のゴム)であることが好ましい。これにより、半径の異なる蓄電素子11と凹面29との間に形成される隙間全体を両面テープで埋めることができる。このため、効率的な放熱が可能となる。
【0028】
例えば、粘着部は、アルミナやシリカ等のセラミックス製の絶縁性を持つ熱伝導性フィラを含有することが好ましい。これにより、蓄電素子11が凹面29に強く押し込まれたり、劣化が進行することにより基材が切断されたりした場合でも、粘着部に含有された絶縁性を持つ熱伝導性フィラが蓄電素子11の周面と凹面29との間に介在する。このため、蓄電素子11の周面が凹面29と直接接触することで短絡する可能性を低減できる。したがって、高放熱性と高信頼性とを両立できる。
【0029】
実施形態では、収納部材27に収納された蓄電素子11は、さらに固定板39によっても保持されている。例えば、固定板39は、樹脂製である。固定板39は、蓄電素子11の円柱形状の周面の一部を収納し、保持するための保持部41を有する。保持部41は、6箇所の円弧状の凹面を有する。保持部41は、凹面に収納された蓄電素子11を保持した状態で、収納部材27と固定板39との間に僅かな隙間を介在させるように形成されている。
【0030】
例えば、収納部材27を固定板39に取り付ける際に、収納部材27と固定板39との隙間がなくなるように、8個の固定板ネジ43を固定板ネジ穴31に締め込む。これにより、固定板39の樹脂が有する弾性により、蓄電素子11を収納部材27側に押し込むようにして保持する。その結果、蓄電素子11は両面テープで収納部材27と接合されるとともに、固定板39の弾性によって強固に保持される。したがって、振動が顕著な用途(例えば、ハイブリッド建設機械等)に蓄電装置1を適用したとしても、蓄電素子11が外れたり、導電部材100の接続が切断されたりする可能性が低減され、良好な耐振動性が得られる。
【0031】
実施形態では、固定板39の保持部41における下端部には、底板44が一体形成されている。このため、蓄電素子11の底部は、底板44により外部と遮断される構成となる。例えば、底板44は、蓄電素子11を保持部41で保持した際に、蓄電素子11の底部が当接しない位置になるように形成されている。これにより、蓄電素子11の高さにバラツキがあっても、蓄電素子11の底部と底板44との隙間で前記バラツキを吸収することができる。
【0032】
実施形態では、固定板39において保持部41とは反対面(すなわち外壁面)には、フィン45が一体に形成されている。これにより、固定板39の機械的強度を増すことができる。加えて、フィン45の分だけ外壁の表面積が増えるため、固定板39からの放熱性を改善することができる。なお、図1の例では、固定板39の中央部の1箇所にフィン45が設けられているが、これに限らない。例えば、固定板39の複数箇所にフィン45が設けられていてもよい。例えば、フィン45の形状は、図1の水平方向に限らず、垂直方向等に延びる形状を有していてもよい。
【0033】
実施形態では、固定板39が収納部材27に固定された状態で、収納部材27の上部にはケース47が固定される。例えば、ケース47を介してケース固定ネジ49をケースネジ穴33に締め込むことで、収納部材27の上部にケース47を固定している。これにより、蓄電素子11において両面テープが貼付されていない上部がケース47により覆われる。その結果、蓄電素子11の上部を外部と遮断でき、塵埃等の付着を低減できる。
【0034】
本実施形態では、蓄電素子11の全体が、凹面29、保持部41、底板44及びケース47により、外部と遮断される。このため、蓄電素子11や導電部材100への塵埃や粒子状浮遊物等の不純物の付着を低減することができる。したがって、不純物による蓄電素子11や導電部材100の腐食可能性が低減されるので、高信頼性が得られる。
【0035】
例えば、ケース47は、樹脂製である。ケース47の上面には、複数の孔51が設けられている。これらの孔51を介して、導電部材100であるバスバーに一体に形成された端子(以下「バスバー端子」ともいう。)をケース47の上面から突出させる。ケース47の上面には、回路基板53が設けられる。例えば、回路基板53に設けた端子穴(不図示)にバスバー端子を挿入し、半田付けする。これにより、回路基板53とバスバー端子とが電気的に接続される。その結果、回路基板53は、各蓄電素子11の電気的接続点における電圧を検出することができる。
【0036】
例えば、回路基板53は、検出した電圧に応じて、各蓄電素子11の両端電圧を揃えるバランス回路を内蔵していてもよい。例えば、バランス回路による各蓄電素子11の電圧の制御は、バスバー端子を介して行ってもよい。例えば、回路基板53には、電圧検出回路やバランス回路を構成する複数の電子部品が実装されていてもよい。
【0037】
本実施形態では、回路基板53は、6個の回路基板固定ネジ55により、ケース47に固定される。正極端子25及び負極端子26は、外部の充放電回路(不図示)に接続される。例えば、電力仕様に応じて、複数の蓄電装置1を使用する場合は、各蓄電装置1の正極端子25と負極端子26とを互いに直列又は並列に接続すればよい。
【0038】
例えば、複数の蓄電装置1を使用する場合は、熱容量の大きい金属製の台座に収納部材27が接するように固定する構成が望ましい。これにより、収納部材27の熱が速やかに台座に伝達されるため、さらに効率的な放熱が可能になる。加えて、台座自体を水冷にする構成とした場合は、より一層の高放熱性が得られる。
【0039】
実施形態では、収納部材27の下部には冷却機構60が固定される。例えば、冷却機構60の冷却板を介して冷却板固定ネジ(不図示)を収納部材27下部のネジ穴(不図示)に締め込むことで、収納部材27の下部に冷却機構60を固定している。例えば、冷却機構60は、冷却水を流通可能な水路61を有する。これにより、水冷により収納部材27の熱が速やかに伝達されるため、さらに効率的な放熱が可能となる。
【0040】
<導電部材の構成>
図5は、実施形態に係る導電部材100の溶接箇所の説明図である。図6は、実施形態に係る導電部材100において端面電極15と対向する部分111を示す図である。図7は、実施形態に係る導電部材100の側面図である。図8は、実施形態に係る導電部材100において周面電極17と対向する部分120を示す図である。
導電部材100は、端面電極15から隣り合う蓄電素子11の周面電極17に向かって延びることで、端面電極15及び周面電極17に接続されている。蓄電装置1は、導電部材100及び周面電極17を介して、端面電極15の熱を収納部材27に逃がす構造とされている。
【0041】
複数の蓄電素子11は、円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bを含む。導電部材100は、第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bを電気的に接続する。第1蓄電素子11Aは、軸方向端部に端面電極15を有する。第2蓄電素子11Bは、外周部に周面電極17を有する。導電部材100は、第1方向V1に沿って端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びた後、屈曲部130を介して、第2方向V2に沿って周面電極17に向かって延びている。ここで、第1方向V1は、第1蓄電素子11Aの軸方向と直交する方向に相当する。第2方向V2は、第1蓄電素子11Aの軸方向と平行な方向に相当する。
【0042】
導電部材100は、第1蓄電素子11Aの端面電極15と対向する部分111に厚肉部101と、厚肉部101よりも厚みが薄い端面側薄肉部102と、を有する。厚肉部101は、導電部材100において第1方向V1に延びる部分110と第2方向V2に延びる部分120とにわたって設けられる。端面側薄肉部102は、第1蓄電素子11Aの端面電極15と溶接接続されている(図5に示す端面側薄肉部102と端面電極15との溶接部分J1)。例えば、端面側薄肉部102は、レーザ溶接により第1蓄電素子11Aの端面電極15と溶接接続されている。
【0043】
例えば、厚肉部101の厚み101tは、0.6mm以上3mm以下の厚みに設定される。例えば、端面側薄肉部102の厚み102tは、0.3mm以上1mm以下の厚みに設定される。実施形態では、厚肉部101の厚み101tは2mmであり、端面側薄肉部102の厚み102tは0.6mmである。なお、厚肉部101及び端面側薄肉部102の厚みは、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0044】
一般に導電部材(バスバー)は狭小な部分に設置されるため、導電部材の厚肉部は例えば0.2mm程度に薄くされる。このように厚肉部が薄いと、熱の流れにおける導電部材の断面積(伝熱面積)が小さくなり、電気抵抗が増加し、ジュール熱が増加する可能性が高い。
【0045】
これに対し実施形態では、導電部材100の厚肉部101の厚み101tは2mmであり、熱の流れにおける導電部材100の断面積(伝熱面積)を可及的に増加させることができる。そのため、電気抵抗低減によるジュール熱低減と、伝熱面積増加による冷却性能増加とを両立させることができる。
【0046】
例えば、導電部材100の断面積S1と端面側薄肉部102及び端面電極15の溶接面積S2との比S1/S2は、0.3以上1.1以下に設定される。ここで、導電部材100の断面積S1は、熱の流れにおける導電部材100の断面積(伝熱面積)に相当する。端面側薄肉部102及び端面電極15の溶接面積S2は、第2方向V2から見て2箇所の端面側薄肉部102を足し合わせた面積に相当する。導電部材100において第1方向V1に延びる部分110では、導電部材100の断面積S1は第1方向V1と直交する面で切断した場合の導電部材100の断面積に相当する。実施形態では、比S1/S2は0.7である。なお、比S1/S2は、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0047】
厚肉部101は、導電部材100が延びる方向において一様の厚みを有する。ここで、厚肉部101の厚み101tは、端面電極15と対向する部分111は第1蓄電素子11Aの軸方向における厚肉部101の板厚に相当し、周面電極17と対向する部分120は第2蓄電素子11Bの径方向における厚肉部101の板厚に相当する。厚肉部101は、端面電極15と対向する部分111において第1方向V1に一様の厚みを有するとともに、周面電極17と対向する部分120において第2方向V2に一様の厚みを有する。
【0048】
厚肉部101の厚み101tは、周面電極17の厚み17tよりも厚い。ここで、周面電極17の厚み17tは、第2蓄電素子11Bの径方向における周面電極17の厚み17tに相当する。例えば、周面電極17の厚み17tは、0.4mm以上1mm以下の厚みに設定される。実施形態では、厚肉部101の厚み101tは2mmであり、周面電極17の厚み17tは0.7mmである。なお、厚肉部101及び周面電極17の厚みは、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0049】
第1蓄電素子11Aの軸方向から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111は、端面側薄肉部102よりも面積が大きい。ここで、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111の面積は、第2方向V2から見て厚肉部101が端面電極15と重なる部分の面積に相当する。端面側薄肉部102の面積は、第2方向V2から見て端面側薄肉部102が端面電極15と重なる部分の面積(2箇所の端面側薄肉部102を足し合わせた面積)に相当する。
【0050】
第1蓄電素子11Aの軸方向から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111は、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びる部分112よりも幅が広い。ここで、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111の幅111wは、第2方向V2から見て厚肉部101における第1方向V1と直交する方向の最大長さに相当する。厚肉部101において端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びる部分112の幅112wは、第2方向V2から見て厚肉部101における第1方向V1と直交する方向の最小長さに相当する。
【0051】
第2方向V2から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111は、第1方向V1において一様の幅を有した後、径方向外側に延びる部分112に向かって徐々に幅が狭くなっている。第2方向V2から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111のうち径方向外側に延びる部分112とは反対側の部分は、端面電極15の外周に沿うように弧状に湾曲している。
【0052】
第2方向V2から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びる部分112は、第1方向V1において一様の幅を有する。第2方向V2から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びる部分112のうち周面電極17に隣接する部分(屈曲部130)は、周面電極17の外周に沿うように弧状に湾曲している。
【0053】
端面側薄肉部102は、導電部材100が延びる方向に沿って延びている。端面側薄肉部102は、第2方向V2から見て、第1方向V1に長手を有する長方形状に形成されている。端面側薄肉部102は、第2方向V2から見て、第1方向V1と直交する方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの端面側薄肉部102は、第2方向V2から見て互いに同じ形状を有する。なお、端面側薄肉部102の形状や設置数は、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0054】
導電部材100は、周面電極17と対向する部分120に厚肉部101と、厚肉部101よりも厚みが薄い周面側薄肉部103と、を有する。周面側薄肉部103は、周面電極17と溶接接続されている(図5に示す周面側薄肉部103と周面電極17との溶接部分J2)。例えば、周面側薄肉部103は、レーザ溶接により周面電極17と溶接接続されている。
【0055】
例えば、周面側薄肉部103の厚みは、0.3mm以上1mm以下の厚みに設定される。実施形態では、厚肉部101の厚み101tは2mmであり、周面側薄肉部103の厚みは0.6mmである。なお、厚肉部101及び周面側薄肉部103の厚みは、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0056】
周面側薄肉部103は、導電部材100が延びる方向に沿って延びている。周面側薄肉部103は、第1方向V1から見て、第2方向V2に長手を有する長方形状に形成されている。周面側薄肉部103は、第1方向V1から見て、第2方向V2と直交する方向に間隔をあけて3つ設けられている。3つの周面側薄肉部103は、第1方向V1から見て互いに同じ形状を有する。なお、周面側薄肉部103の形状や設置数は、上記に限らず、要求仕様に応じて変更可能である。
【0057】
<蓄電装置の組み立て方法の一例>
まず、蓄電素子11の周面電極17と導電部材100の周面側薄肉部103とをレーザ溶接で溶接接続する。次に、両面テープが貼付されるとともに導電部材100が溶接接続された蓄電素子11を、固定板39の保持部41に並べる。その際、各蓄電素子11の高さ方向の位置決めを行うために、図示しない治具により、導電部材100が隣の端面電極15に接するように並べる。
【0058】
次に、固定板39及び治具により並べられた蓄電素子11の端面電極15と、導電部材100の端面側薄肉部102とを溶接接続する。
次に、両面テープの保護シート(不図示)を剥がし、収納部材27の凹面29に蓄電素子11が収納されるように、固定板39を固定板ネジ43で収納部材27に固定する。2列の蓄電素子11を収納部材27に固定する。その後、図1の後列右端の蓄電素子11に接続した導電部材100と、前列右端の蓄電素子11の端面電極15とを溶接接続する。さらに、後列左端の端面電極15に正極端子25を溶接接続する。
【0059】
次に、ケース47をケース固定ネジ49で収納部材27に固定する。その後、回路基板53をバスバー端子と電気的に接続する。また、回路基板53を回路基板固定ネジ55でケース47に機械的に接続する。
なお、上記の組み立て方法は一例であり、上記以外にも、先に蓄電素子11を収納部材27に固定する等、蓄電装置1を組み立て可能な順序であれば、どのような方法であっても構わない。
【0060】
例えば、絶縁性接合材35は両面テープであることに限らず、熱伝導性フィラを含有した接着剤であってもよい。この構成によれば、接着剤自体が可塑性を有するため、蓄電素子11を凹面29に押し込むことで接着層が薄くなり、良好な熱伝導性が得られる。さらに、接着剤は蓄電素子11の周面と凹面29との隙間にも満遍なく行き渡らせることができ、強固な保持も可能となる。
【0061】
例えば、蓄電素子11の周面電極17において導電部材100が接続される部位以外の周面に、絶縁チューブ等の絶縁部が設けられていてもよい。これにより、蓄電素子11の周面は絶縁チューブによって絶縁されるため、収納部材27との接合材35は絶縁性である必要がなくなる。そのため、例えば両面テープを用いる場合は粘着部に熱伝導性フィラとして金属製の導電性フィラを含有することができ、熱伝導性が改善される。
【0062】
<解析結果>
蓄電装置(例えばキャパシタAssy)においては、蓄電素子内部の温度が許容電流を決めるうえで重要な要素となっている。そのため本発明者は、キャパシタサブモジュール単位での熱解析を行った。本発明者は、鋭意検討の結果、蓄電素子内部の発熱が蓄電素子側面に逃げる経路としては、互いに隣り合う2つの蓄電素子同士を電気的に接続する導電部材(バスバー)が一定の割合を占めていることを見出した。
【0063】
そのため実施形態では、導電部材100の厚肉部101の厚み101tを増加することで、低電気抵抗化によるジュール熱低減と、低熱抵抗化による隣の蓄電素子11への放熱量増加を狙う構成とした。ただし、導電部材100の厚みを一様に増すと蓄電素子11との溶接が困難となるため、溶接部分J1,J2のみ局所的に厚みを薄くすることで溶接を可能としている。
【0064】
図9は、導電部材100及び周面電極17を介して端面電極15の熱を収納部材27に逃がす構造を説明するための図である。
蓄電装置1は、蓄電素子11内部の熱が、端面電極15、導電部材100、周面電極17及び収納部材27を介して冷却機構60の水路61に逃げる構造とされている。具体的に、互いに隣り合う第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bのうちの第1蓄電素子11Aの内部で発生した熱は、第1蓄電素子11Aの端面電極15、導電部材100、第1蓄電素子11Aの隣にある第2蓄電素子11Bの周面電極17、収納部材27の順に伝わり、冷却機構60の水路61に逃げる(熱の流れの一例)。
【0065】
図9の例では、熱の流れにおいて温度を測定するために、5つの温度測定点P1~P5を設定している。5つの温度測定点P1~P5は、第1蓄電素子11Aの上部(素子上部)の温度を測定するための第1の温度測定点P1、導電部材100(バスバー)の温度を測定するための第2の温度測定点P2、第2蓄電素子11Bの周面電極17(隣セル側面)の温度を測定するための第3の温度測定点P3、収納部材27(ヒートシンク)の温度を測定するための第4の温度測定点P4、及び、冷却機構60(冷却板)の温度を測定するための第5の温度測定点P5を含む。
【0066】
図10は、実施例の導電部材100による冷却効果を比較例と共に示す図である。ここで、本実施形態の導電部材100(厚肉部101の厚み101tが2.0mmである導電部材100)を実施例とし、一様な厚みの導電部材(導電部材の厚みが0.6mmであり、薄肉部を有しない導電部材)を比較例とする。なお、実施例は、本発明が適用された具体的な一例であり、本発明を限定するものではない。
【0067】
図10に示すように、素子上部から冷却板に向かって熱が流れる過程で、実施例の導電部材100は厚肉部101の厚み増加により温度勾配が改善されることが確認された。特に、素子上部から隣セル側面との間においては、実施例の温度勾配は比較例よりも緩やかであることが確認された。これにより、実施例は比較例に比べて冷却能力が高く、温度が伝わりやすいことが分かった。
【0068】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の蓄電装置1は、円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bと、熱伝導性を有し、第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bを収納する収納部材27と、第1蓄電素子11A及び第2蓄電素子11Bを電気的に接続する導電部材100と、を備える。第1蓄電素子11Aは、軸方向端部に端面電極15を有する。第2蓄電素子11Bは、外周部に周面電極17を有する。導電部材100は、端面電極15から隣り合う蓄電素子11の周面電極17に向かって延びることで、端面電極15及び周面電極17に接続されている。導電部材100は、端面電極15と対向する部分111に厚肉部101と、厚肉部101よりも厚みが薄い端面側薄肉部102と、を有する。端面側薄肉部102は、端面電極15と溶接接続されている。蓄電装置1は、導電部材100及び周面電極17を介して端面電極15の熱を収納部材27に逃がす構造とされている。
この構成によれば、導電部材100のうち厚肉部101よりも厚みが薄い端面側薄肉部102が端面電極15と溶接接続されることで、溶接時の蓄電素子11への入熱量を減らすことができる。そのため、溶接時の蓄電素子11の熱損傷を抑制することができる。加えて、導電部材100及び周面電極17を介して端面電極15の熱を収納部材27に逃がす構造とされることで、蓄電素子11の冷却経路として蓄電素子11の半径方向だけでなく、軸方向端部からも熱を逃がすことができる。すなわち、蓄電素子11の軸方向端部にある端面電極15からの冷却経路を強化することで、冷却性能を向上することができる。したがって、導電部材100を溶接する際の蓄電素子11の熱損傷を抑制しつつ、冷却性能を向上することができる。
【0069】
本実施形態では、厚肉部101は、導電部材100が延びる方向V1,V2において一様の厚みを有する。
この構成によれば、導電部材100が延びる方向V1,V2に熱が流れる場合、厚肉部101は一様な断面積を持つため、円滑に熱を逃がすことができる。
【0070】
本実施形態では、厚肉部101の厚み101tは、周面電極17の厚み17tよりも厚い。
この構成によれば、厚肉部101の厚み101tが周面電極17の厚み17t以下の場合と比較して、熱の流れにおける導電部材100の断面積(伝熱面積)を増加させることができる。そのため、電気抵抗低減によるジュール熱低減と、伝熱面積増加による冷却性能増加とを両立させることができる。
【0071】
本実施形態では、第1蓄電素子11Aの軸方向から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111は、端面側薄肉部102よりも面積が大きい。
この構成によれば、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111と端面電極15との接触面積を増加させることができる。そのため、導電部材100の接続部位として端面側薄肉部102だけでなく、厚肉部101と端面電極15との接触により、より伝熱性能を向上することができる。
【0072】
本実施形態では、第1蓄電素子11Aの軸方向から見て、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111は、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びる部分112よりも幅が広い。
この構成によれば、導電部材100において端面電極15と対向する部分111に端面側薄肉部102がある場合でも、厚肉部101において端面電極15と対向する部分111により伝熱面積を十分に増加させることができる。したがって、電気抵抗低減によるジュール熱低減と、伝熱面積増加による冷却性能増加とを両立させることができる。
【0073】
本実施形態では、端面側薄肉部102は、導電部材100が延びる方向V1に沿って延びている。
例えば、導電部材100が延びる方向V1と交差する方向に端面側薄肉部102が延びている構成では、導電部材100が延びる方向V1に熱が流れる場合、熱の流れにおいて端面側薄肉部102が邪魔になる可能性がある。これに対し本構成によれば、端面側薄肉部102は、導電部材100が延びる方向V1に沿って延びていることで、導電部材100が延びる方向V1に熱が流れる場合、熱の流れにおいて端面側薄肉部102が邪魔にならない。したがって、円滑に熱を逃がすことができる。
【0074】
本実施形態では、導電部材100は、周面電極17と対向する部分120に厚肉部101と、厚肉部101よりも厚みが薄い周面側薄肉部103と、を有する。周面側薄肉部103は、周面電極17と溶接接続されている。
この構成によれば、導電部材100のうち厚肉部101よりも厚みが薄い周面側薄肉部103が周面電極17と溶接接続されることで、溶接時の蓄電素子11への入熱量を減らすことができる。そのため、溶接時の蓄電素子11の熱損傷を抑制することができる。加えて、導電部材100は端面電極15と対向する部分111に加え周面電極17と対向する部分120にも厚肉部101を有することで、蓄電素子11の軸方向端部にある端面電極15からの冷却経路を更に強化することができ、冷却性能を更に向上することができる。したがって、導電部材100を溶接する際の蓄電素子11の熱損傷を抑制しつつ、冷却性能を更に向上することができる。
【0075】
本実施形態では、周面側薄肉部103は、導電部材100が延びる方向V2に沿って延びている。
例えば、導電部材100が延びる方向V2と交差する方向に周面側薄肉部103が延びている構成では、導電部材100が延びる方向V2に熱が流れる場合、熱の流れにおいて周面側薄肉部103が邪魔になる可能性がある。これに対し本構成によれば、周面側薄肉部103は、導電部材100が延びる方向V2に沿って延びていることで、導電部材100が延びる方向V2に熱が流れる場合、熱の流れにおいて周面側薄肉部103が邪魔にならない。したがって、円滑に熱を逃がすことができる。
【0076】
本実施形態では、導電部材100は、端面電極15と対向する部分111から径方向外側に延びた後、屈曲部130を介して周面電極17に向かって延びている。
この構成によれば、導電部材100を隣の蓄電素子11の端面電極15に溶接接続する際に、位置ずれがあっても屈曲部130で吸収することができる。加えて、組み立て後の蓄電装置1全体に外部から振動が加わっても、導電部材100と端面電極15との溶接接続部分に加わる応力を屈曲部130で緩和することができる。したがって、振動により導電部材100と端面電極15との溶接部分が外れる可能性を低減することができ、良好な耐振動性が得られる。
【0077】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、厚肉部は、導電部材が延びる方向において一様の厚みを有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、厚肉部は、導電部材が延びる方向において一様の厚みを有しなくてもよい。例えば、厚肉部は、導電部材が延びる方向において第1の厚みを有する第1厚み部と、第1厚み部よりも厚みが大きい第2の厚みを有する第2厚み部と、を有していてもよい。例えば、導電部材が延びる方向における厚肉部の厚みの態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0078】
上述した実施形態では、厚肉部の厚みは、周面電極の厚みよりも厚い例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、厚肉部の厚みは、周面電極の厚み以下であってもよい。例えば、厚肉部及び周面電極の厚みの関係は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0079】
上述した実施形態では、第1蓄電素子の軸方向から見て、厚肉部において端面電極と対向する部分は、端面側薄肉部よりも面積が大きい例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1蓄電素子の軸方向から見て、厚肉部において端面電極と対向する部分は、端面側薄肉部よりも面積が小さくてもよい。例えば、厚肉部において端面電極と対向する部分及び端面側薄肉部の面積の関係は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0080】
上述した実施形態では、第1蓄電素子の軸方向から見て、厚肉部において端面電極と対向する部分は、厚肉部において端面電極と対向する部分から径方向外側に延びる部分よりも幅が広い例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1蓄電素子の軸方向から見て、厚肉部において端面電極と対向する部分は、厚肉部において端面電極と対向する部分から径方向外側に延びる部分よりも幅が狭くてもよい。例えば、第1蓄電素子の軸方向から見て、厚肉部において端面電極と対向する部分は、厚肉部において端面電極と対向する部分から径方向外側に延びる部分よりも幅が等しくてもよい。例えば、厚肉部において端面電極と対向する部分及び径方向外側に延びる部分の幅の関係は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0081】
上述した実施形態では、端面側薄肉部は、導電部材が延びる方向に沿って延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、端面側薄肉部は、導電部材が延びる方向と交差する方向に延びていてもよい。例えば、端面側薄肉部が延びる態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0082】
上述した実施形態では、導電部材は、周面電極と対向する部分に厚肉部と、厚肉部よりも厚みが薄い周面側薄肉部と、を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、導電部材は、周面電極と対向する部分に周面側薄肉部のみを有していてもよい。例えば、導電部材は、周面電極と対向する部分に厚肉部のみを有していてもよい。この場合は、厚肉部が周面電極と溶接接続されていてもよい。例えば、導電部材において周面電極と対向する部分の構成態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0083】
上述した実施形態では、周面側薄肉部は、導電部材が延びる方向に沿って延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、周面側薄肉部は、導電部材が延びる方向と交差する方向に延びていてもよい。例えば、周面側薄肉部が延びる態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0084】
上述した実施形態では、導電部材は、端面電極と対向する部分から径方向外側に延びた後、屈曲部を介して周面電極に向かって延びている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、導電部材は、端面電極と対向する部分から径方向外側に延びた後、屈曲部を介さずに周面電極に向かって延びていてもよい。例えば、導電部材は、端面電極と対向する部分から径方向外側に延びた後、湾曲部を介して周面電極に向かって延びていてもよい。例えば、導電部材が延びる態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0085】
上述した実施形態では、導電部材がレーザ溶接によって蓄電素子の電極に溶接接続されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、導電部材は、アーク溶接やガス溶接等によって蓄電素子の電極に溶接接続されていてもよい。例えば、導電部材の溶接態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0086】
上述した実施形態では、蓄電素子が電気二重層キャパシタである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、蓄電素子は、電気化学キャパシタ等の他のキャパシタや二次電池であってもよい。例えば、蓄電素子の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0087】
(付記1)
円柱形状を有し、互いに隣り合う第1蓄電素子及び第2蓄電素子と、
熱伝導性を有し、前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を収納する収納部材と、
前記第1蓄電素子及び前記第2蓄電素子を電気的に接続する導電部材と、を備え、
前記第1蓄電素子は、軸方向端部に端面電極を有し、
前記第2蓄電素子は、外周部に周面電極を有し、
前記導電部材は、前記端面電極から前記周面電極に向かって延びることで、前記端面電極及び前記周面電極に接続されており、
前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分に厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い端面側薄肉部と、を有し、
前記端面側薄肉部は、前記端面電極と溶接接続されており、
前記導電部材及び前記周面電極を介して前記端面電極の熱を前記収納部材に逃がす構造とされている、
蓄電装置。
【0088】
(付記2)
前記厚肉部は、前記導電部材が延びる方向において一様の厚みを有する、
付記1に記載の蓄電装置。
【0089】
(付記3)
前記厚肉部の厚みは、前記周面電極の厚みよりも厚い、
付記1又は2に記載の蓄電装置。
【0090】
(付記4)
前記第1蓄電素子の軸方向から見て、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分は、前記端面側薄肉部よりも面積が大きい、
付記1から3の何れか一つに記載の蓄電装置。
【0091】
(付記5)
前記第1蓄電素子の軸方向から見て、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分は、前記厚肉部において前記端面電極と対向する部分から径方向外側に延びる部分よりも幅が広い、
付記1から4の何れか一つに記載の蓄電装置。
【0092】
(付記6)
前記端面側薄肉部は、前記導電部材が延びる方向に沿って延びている、
付記1から5の何れか一つに記載の蓄電装置。
【0093】
(付記7)
前記導電部材は、前記周面電極と対向する部分に前記厚肉部と、前記厚肉部よりも厚みが薄い周面側薄肉部と、を有し、
前記周面側薄肉部は、前記周面電極と溶接接続されている、
付記1から6の何れか一つに記載の蓄電装置。
【0094】
(付記8)
前記周面側薄肉部は、前記導電部材が延びる方向に沿って延びている、
付記7に記載の蓄電装置。
【0095】
(付記9)
前記導電部材は、前記端面電極と対向する部分から径方向外側に延びた後、屈曲部を介して前記周面電極に向かって延びている、
付記1から8の何れか一つに記載の蓄電装置。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…蓄電装置、11A…第1蓄電素子、11B…第2蓄電素子、15…端面電極、17…周面電極、17t…周面電極の厚み、27…収納部材、100…導電部材、101…厚肉部、101t…厚肉部の厚み、102…端面側薄肉部、103…周面側薄肉部、111…厚肉部において端面電極と対向する部分、111w…厚肉部において端面電極と対向する部分の幅、112…厚肉部において径方向外側に延びる部分、112w…厚肉部において径方向外側に延びる部分の幅、130…屈曲部、V1…第1方向(導電部材が延びる方向)、V2…第2方向(導電部材が延びる方向)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10