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特開2023-180730廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180730
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20231214BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094273
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國政 瑛大
(72)【発明者】
【氏名】竹田 航哉
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隼太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康平
(72)【発明者】
【氏名】山根 雄
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】廃棄物処理施設の稼働率を高くすることができる廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法を提供する。
【解決手段】廃棄物処理計画演算装置は、データ取得器と、演算器と、を備え、演算器は、施設ごとの起動停止計画、処理負荷運用範囲および貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、複数の施設における廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、複数の施設における廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、合計搬入量推定値が合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて合計搬入量推定値を、複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、合計搬入量推定値が合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算装置であって、
データ取得器と、
演算器と、を備え、
前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、
前記データ取得器は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、
前記演算器は、
施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、
前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、
前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、
前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う、廃棄物処理計画演算装置。
【請求項2】
前記データ取得器は、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設に前記起動停止計画に従わない計画外停止に伴う他の施設に対する廃棄物受け入れ要請、または、前記合計搬入量推定値に基づいて定められる許容値を超えた量の廃棄物処理要請が生じた場合、前記廃棄物受け入れ要請または前記廃棄物処理要請に基づく受け入れ要請量を取得し、
前記演算器は、
前記受け入れ要請量が、前記複数の施設のうちの稼働可能な施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した修正合計搬入可能量範囲に基づく合計受け入れ可能量の上限値以下となるように、前記稼働可能な施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を修正し、
修正後の起動停止計画を用いて、稼働可能な施設ごとの前記分担処理計画を修正する、請求項1に記載の廃棄物処理計画演算装置。
【請求項3】
前記演算器は、元の前記起動停止計画に基づく前記廃棄物搬入可能量範囲の上限値を上げるように前記起動停止計画を修正する、請求項2に記載の廃棄物処理計画演算装置。
【請求項4】
前記演算器は、
前記稼働可能な施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における運用制約データから前記処理装置の稼働率が最も高くなるように前記処理装置ごとの前記起動停止計画を修正し、
修正後の起動停止計画に基づく廃棄物搬入可能量範囲を用いて前記修正合計廃棄物搬入可能量範囲を算出し、
前記運用制約データは、前記処理装置ごとの連続稼働期間の上限値、前記処理装置ごとの連続停止期間の下限値、および前記処理装置の定期点検計画を含む、請求項2に記載の廃棄物処理計画演算装置。
【請求項5】
前記運用制約データは、前記起動停止計画を修正する施設における前記貯留ピットの現在の残量および当該施設における廃棄物処理量計画を含む、請求項4に記載の廃棄物処理計画演算装置。
【請求項6】
前記演算器は、
前記処理装置ごとの連続稼働期間の上限値、前記処理装置ごとの連続停止期間の下限値、および前記処理装置の定期点検計画から前記処理装置の稼働率が最も高くなるように前記処理装置ごとの前記起動停止計画を決定し、
前記再検討処理において、前記処理装置の前記稼働率を下げて前記起動停止計画を再決定する、請求項1から5の何れかに記載の廃棄物処理計画演算装置。
【請求項7】
廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算方法であって、
前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、
前記方法は、
第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、
施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、
前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、
前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、
前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う、廃棄物処理計画演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物に対して焼却等の処理を行う廃棄物処理施設では、日々各地から収集した廃棄物が搬入され、一時貯留ピットに貯留された後、処理装置にて順次処理が行われる。廃棄物処理施設では、処理の際に生じる熱エネルギーを利用して発電し、廃棄物処理施設の電源として利用したり、周辺の地域に電力供給したり、売電したりしている。
【0003】
しかし、従来、廃棄物処理施設は、個別に運用されているため、以下のような問題がある。例えば、施設において定期点検および補修作業の必要性があり、定期点検期間においては処理装置を停止させる必要がある。このため、廃棄物処理施設では、処理装置ごとに、処理を実行する起動期間および処理を停止する停止期間を定める起動停止計画が策定されており、廃棄物処理施設は、処理装置の起動停止計画に基づいて運用されている。このように、廃棄物処理施設では、処理装置を停止させる必要があるため、貯留ピットの容量をある程度大きくする必要がある。また、処理装置の定期点検や故障に備えて、一施設に複数の処理装置を有することが多く、この結果、通常時における個々の処理装置の稼働率を高くすることができない。このことは、熱エネルギーの回収効率の悪化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-128765号公報
【特許文献2】特許第6993748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、複数の廃棄物処理施設を通信ネットワークで繋いで複数の廃棄物処理施設を遠隔運転可能な構成が開示されている。特許文献1には、複数の廃棄物処理施設を炉の形式等からグループ分けし、一の運転員が同じグループに属する複数の廃棄物処理施設の運転操作を行うようにすることで廃棄物処理施設を安定に運転することが開示される。しかし、廃棄物処理施設における炉の稼働率を高くすることについては言及されておらず、改善の余地がある。
【0006】
また、特許文献2には、複数の廃棄物処理施設における廃棄物の処理能力を取引するシステムが開示されている。しかし、特許文献2のシステムでは、廃棄物を排出する排出者と廃棄物処理施設との取引に重点が置かれており、廃棄物処理施設の起動停止計画を考慮したシステムにはなっていない。
【0007】
そこで、本開示は、廃棄物処理施設の稼働率を高くすることができる廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る廃棄物処理計画演算装置は、廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算装置であって、データ取得器と、演算器と、を備え、前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、前記データ取得器は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、前記演算器は、施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【0009】
本開示の他の態様に係る廃棄物処理計画演算方法は、廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算方法であって、前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、前記方法は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、廃棄物処理施設の稼働率を高くすることができる廃棄物処理計画演算装置および廃棄物処理計画演算方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施の形態に係る廃棄物処理計画演算装置の対象となる廃棄物処理施設を示す概略構成図である。
図2図2は、本開示の一実施の形態に係る廃棄物処理計画演算装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態における分担処理計画を決定するための演算の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、本実施の形態における合計搬入量推定値および合計搬入可能量範囲の一例を示すグラフである。
図5図5は、起動停止計画の変更例を示すグラフである。
図6図6は、図4に示す合計搬入可能量範囲を再検討した結果を示すグラフである。
図7図7は、本実施の形態における計画外停止発生時の分担処理計画の修正例を示すイメージ図である。
図8図8は、本実施の形態における計画外停止発生時の分担処理計画を決定するための演算の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施の形態に係る廃棄物処理計画演算装置について説明する。まず、前提となる廃棄物処理施設の一例について説明する。
【0013】
[廃棄物処理施設の概要]
図1は、本開示の一実施の形態に係る廃棄物処理計画演算装置の対象となる廃棄物処理施設を示す概略構成図である。本実施の形態において、廃棄物処理施設1は、処理装置として焼却炉2を備えた焼却プラントとして構成される。廃棄物処理施設1は、酸素含有ガスを用いて廃棄物を焼却するための火炉室3を有する焼却炉2と、焼却炉2から排出される焼却炉排ガスから排熱を水蒸気として回収する蒸気回収装置であるボイラ4と、を含む。焼却炉2のボイラ4とは反対側には、ホッパー5および給じん機6が配置されており、ボイラ4からは、排ガスの排気経路7が煙突8まで延びている。排気経路7には、上流側から順に、エコノマイザー、減温塔、集塵機およびブロワが配置されている。
【0014】
廃棄物処理施設1は、ホッパー5の火炉室3とは反対側に、焼却炉2に投入される廃棄物を一時貯留するための貯留ピット9を備えている。貯留ピット9の上方にはクレーン10が設けられている。ホッパー5には、貯留ピット9に貯められた廃棄物がクレーン10により投入される。給じん機6は、所定のインターバルで間欠的に作動する、または、所定の速度で連続的に作動することにより、ホッパー5に投入された廃棄物を焼却炉2の火炉室3内に送り込む。
【0015】
焼却炉2は、火炉室3の下方に設けられたストーカを有している。ストーカは、廃棄物の搬送手段として機能する。ストーカは、給じん機6に近い側から順に乾燥ストーカ11、燃焼ストーカ12および後燃焼ストーカ13を有する。すなわち、これらのストーカ11,12,13は、廃棄物の移動方向に配列されている。乾燥、燃焼および後燃焼ストーカ11,12,13の下方には、風箱14,15,16がそれぞれ配置されている。さらに、焼却炉2は、火炉室3とボイラ4との間に火炉室3と連続する再燃焼室17を有する。なお、燃焼ストーカ12は、図例では1段であるが、2段以上設けられていてもよい。乾燥ストーカ11、燃焼ストーカ12および後燃焼ストーカ13は、例えば、互いに異なるインターバルで間欠的に作動する。
【0016】
火炉室3では、廃棄物の熱分解および部分酸化反応により燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスが廃棄物と共に燃焼される。再燃焼室17は、火炉室3から流出する燃焼ガスを完全燃焼させるためのものである。廃棄物の燃焼後の灰は、後燃焼ストーカ13に隣接して設けられた排出口18から排出される。
【0017】
ボイラ4では、焼却炉2から排出される排ガスから得られる排熱によって蒸気が生成される。より詳しくは、図1に示すように、ボイラ4は、再燃焼室17の上方に配置された放射室19と、放射室19と上部同士が連通する第1煙道20と、第1煙道20と下部同士が連通する第2煙道21と、を含む。ボイラ4で排熱から生成された蒸気は、発電機23と連結されたタービン22に送られて発電に利用される。発電機23で発電した電力は、廃棄物処理施設1において利用される。また、余った電力は、周辺の地域に供給される、または、電力会社に売電される。ボイラ4を通過した排ガスの大部分は、排気経路7を流れた後に、煙突8から大気中へ放出される。
【0018】
なお、図1においては、廃棄物処理施設1が1つの焼却炉2を有する構成として図示されているが、廃棄物処理施設1は、複数の焼却炉2、すなわち、複数の処理装置を備えていてもよい。
【0019】
ここで、廃棄物処理施設1における廃棄物の処理には運用上の制約がある。例えば、廃棄物処理施設1における運用上の制約は、焼却炉2の連続稼働期間の上限値、焼却炉2または発電機23の連続停止期間の下限値、焼却炉2の定期点検計画、焼却炉2における単位時間あたりの処理量の上下限値、および、貯留ピット9の容量の上下限値等がある。
【0020】
焼却炉2の連続稼働期間は、焼却炉2の能力維持のために焼却炉2ごとに予め定められている。焼却炉2の連続停止期間の下限値および定期点検計画は、焼却炉2のメンテナンス上の制約として、例えば1年にX回、1回あたりY日停止等のように焼却炉2ごとに定められている。発電機23の停止期間についても同様である。処理量の上限値および貯留ピット9の容量の上限値は、廃棄物処理施設1の性能上限を示す値として廃棄物処理施設1ごとに予め決定されている。処理量の下限値および貯留ピット9の容量の下限値は、焼却炉2が廃棄物の焼却動作を継続的に行うために最低限必要な値として廃棄物処理施設1ごとに予め決定されている。
【0021】
[廃棄物処理計画演算装置の構成]
図2は、本開示の一実施の形態に係る廃棄物処理計画演算装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示す廃棄物処理計画演算装置31は、廃棄物を処理する複数の施設1A,1B,1C間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する。廃棄物処理計画演算装置31は、データ取得器32、記憶器33、演算器34、および出力器35を備えている。各構成32,33,34,35は、バス36により相互にデータ伝達を行う。図2の例において、廃棄物処理計画演算装置31は、インターネット等の通信ネットワーク37を介して複数の廃棄物処理施設1A,1B,1Cの制御装置に接続されている。なお、図2の例では、複数の廃棄物処理施設として、3つの廃棄物処理施設、すなわち、A施設1A、B施設1B、C施設1Cが例示されるが、複数の廃棄物処理施設は、2以上であればよい。以下において、廃棄物処理施設は、単に施設と略記する場合がある。
【0022】
データ取得器32は、後述する各種データを取得する。データ取得器32は、ユーザが入力操作を行う入力器として構成されてもよいし、廃棄物処理施設1の制御装置から送信される各種データを受信する通信インターフェイスとして構成されてもよい。記憶器33は、データ取得器32が取得した各種データを記憶する。また、記憶器33には、分担処理計画演算プログラムが予め記憶されている。
【0023】
演算器34は、例えばマイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを備えている。例えば、演算器34は、CPU、RAM等のメインメモリ等を備えている。演算器34は、記憶器33に記憶された各種の情報に基づいて後述する分担処理計画を演算する。このために、演算器34は、分担処理計画演算プログラムを実行することにより、範囲算出部41、分担処理計画決定部42、および起動停止計画決定部43等の機能を発揮する。
【0024】
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアまたはプロセッサの構成に使用される。
【0025】
出力器35は、演算器34における演算結果を出力する。例えば、出力器35は、廃棄物処理計画演算装置31に接続された表示装置に、施設ごとの分担処理計画および起動停止計画を表示する。また、出力器35は、分担処理計画および起動停止計画を含むデータを対応する施設1A,1B,1Cに送信する通信インターフェイスとして構成されてもよい。
【0026】
[通常時における分担処理計画の決定]
図3は、本実施の形態における分担処理計画を決定するための演算の流れを示すフローチャートである。図3の例は、各施設1A,1B,1Cに搬入される廃棄物の予測値に基づいて各施設1A,1B,1Cの分担処理計画を決定するための演算の流れを示す。
【0027】
まず、起動停止計画決定部43は、各施設1A,1B,1Cにおける運用制約データから、第1単位期間ごとの処理装置、すなわち、焼却炉2ごとの起動停止計画を決定する(ステップSA1)。このために、データ取得器32は、運用制約データとして、各施設1A,1B,1Cにおける焼却炉2ごとの連続稼働期間の上限値、焼却炉2ごとの連続停止期間の下限値、および焼却炉2ごとの定期点検計画を取得する。データ取得器32は、これらのデータを、起動停止計画を決定する都度、各施設1A,1B,1Cから取得してもよいし、予め取得したデータを記憶器33に記憶しておき、記憶器33から読み出してもよい。
【0028】
例えば、第1単位期間は、1年に設定される。また、第1単位期間は、分担処理計画の演算の都度、任意に設定可能であってもよい。また、連続稼働期間の上限値および連続停止期間の下限値は、各施設1A,1B,1Cにおける運用制約として予め定められる。連続稼働期間および連続停止期間は、例えば日単位で設定される。例えば、連続稼働期間の上限値は100日、連続停止期間の下限値は5日に設定される。定期点検計画には、焼却炉2の停止を伴う定期点検または補修を行うスケジュールが定められる。
【0029】
起動停止計画決定部43は、これらの運用制約データから第1単位期間において、いつ、どのくらい焼却炉2を稼働または停止するかを定めることにより、焼却炉2ごとの起動停止計画を決定する。起動停止計画決定部43は、各焼却炉2における稼働率が最も高くなるように焼却炉2ごとの起動停止計画を決定する。複数の施設1A,1B,1Cにおける起動停止計画は、互いに独立して決定され得る。すなわち、複数の施設1A,1B,1C間における焼却炉2の停止期間は互いに重複し得る。ただし、これに代えて、複数の施設1A,1B,1Cにおける起動停止計画は、それぞれ、複数の施設1A,1B,1Cに含まれる各焼却炉2の停止期間がなるべく重複しないように決定されてもよい。決定された焼却炉2ごとの起動停止計画は、その焼却炉2が含まれる施設1A,1B,1Cに対応付けて記憶器33に記憶される。
【0030】
範囲算出部41は、施設ごとの起動停止計画、施設ごとの処理負荷運用範囲および施設ごとの貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲Pを算出する(ステップSA2)。このために、データ取得器32は、施設ごとの起動停止計画、施設ごとの処理負荷運用範囲および施設ごとの貯留量運用範囲を取得する。データ取得器32は、施設ごとの起動停止計画として、記憶器33に記憶された焼却炉2ごとの起動停止計画を施設ごとに読み出す。データ取得器32は、施設ごとの処理負荷運用範囲および施設ごとの貯留量運用範囲を、廃棄物搬入可能量範囲Pを算出する都度、各施設1A,1B,1Cから取得してもよいし、予め取得したデータを記憶器33に記憶しておき、記憶器33から読み出してもよい。
【0031】
処理負荷運用範囲は、焼却炉2における廃棄物の焼却を継続するために最低限必要な廃棄物の焼却炉2への単位時間あたりの供給量の下限値と、焼却炉2が焼却可能な廃棄物の焼却炉2への単位時間あたりの供給量の上限値とによって定められる。貯留量運用範囲は、処理負荷運用範囲における下限値を維持するために貯留ピット9に貯留すべき廃棄物の貯留量の下限値と、貯留ピット9における貯留量の上限値とによって定められる。なお、供給量および貯留量は、例えば、重量、体積またはそれらの組み合わせによって定められる。上述の通り、施設ごとの起動停止計画は、当該施設に含まれる焼却炉2の起動停止計画を含む。例えば、1つの施設が複数の焼却炉2を備える場合、範囲算出部41は、当該施設の起動停止計画として複数の焼却炉2における起動停止計画をすべて考慮する。
【0032】
廃棄物搬入可能量範囲Pは、下限値Pminと上限値Pmaxとの間の範囲として定められる。廃棄物搬入可能量範囲Pは、焼却炉2の稼働率を最も高くしたときに、起動停止計画に従った焼却炉2の稼働を実現するために必要な廃棄物の最小量と搬入可能な廃棄物の最大量との間の範囲に定められる。範囲算出部41は、複数の施設1A,1B,1Cにおける搬入可能量範囲Pを合計した合計搬入可能量範囲Ptを算出する(ステップSA3)。合計搬入可能量範囲Ptは、下限値Ptminと上限値Ptmaxとの間の範囲として定められる。
【0033】
さらに、範囲算出部41は、複数の施設1A,1B,1Cにおける廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値Ctを算出する(ステップSA4)。このために、データ取得器32は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値を取得する。廃棄物搬入量推定値は、各施設1A,1B,1Cにおける過去の稼働実績、廃棄物を排出する工場などの事業計画に基づく廃棄物排出予測情報、または、廃棄物の収集領域における人口変動、工場等の大型施設の増減等の周辺環境情報から当該施設に搬入される廃棄物の搬入量が推定される。データ取得器32は、施設ごとの廃棄物搬入量推定値を、各施設1A,1B,1Cから取得してもよいし、施設の稼働実績、廃棄物排出予測情報または周辺環境情報を取得し、範囲算出部41が取得したデータから施設ごとの廃棄物搬入量推定値を算出してもよい。データ取得器32は、施設ごとの廃棄物搬入量推定値を、合計搬入量推定値Ctを算出する都度、各施設1A,1B,1Cから取得してもよいし、予め取得したデータを記憶器33に記憶しておき、記憶器33から読み出してもよい。
【0034】
廃棄物搬入量推定値は、第1単位期間を第1単位期間より短い第2単位期間ごとに区切って当該第2単位期間ごとの推定値の積算値として構成される。例えば第1単位期間を1年とし、第2単位期間を1月とすると、廃棄物搬入量推定値は、1月ごとの推定値が12月分積算されたものとなる。また、第2単位期間ごとの推定値は、そのときの気温、湿度、時期等により変動し得る。時期による変動は、例えば、休暇期間、繁忙期等によって廃棄物の発生量が変動し得ることを意味する。
【0035】
同様に、合計搬入量推定値Ctも、第1単位期間を第2単位期間ごとに区切って当該第2単位期間ごとの推定値の積算値として構成される。図4は、本実施の形態における合計搬入量推定値および合計搬入可能量範囲の一例を示すグラフである。横軸は、第1単位期間の開始時期を0とし、開始時期から第1単位期間経過後の時刻をT1としている。縦軸は、重量の積算値を示している。したがって、合計搬入量推定値Ctのグラフは、第2単位期間ごとに、水平または右肩上がりに変化するグラフとして示される。
【0036】
このため、図4において、合計搬入可能量範囲Ptは、第2単位期間あたりの合計搬入可能量範囲を第1単位期間分累積したものが第1単位期間における合計搬入可能量範囲Ptとなるようなグラフとして示されている。例えば、第1単位期間が1年で第2単位期間が1月である場合、合計搬入可能量範囲Ptのグラフは、1月ごとの合計搬入可能量範囲がPt/12であるようなグラフとして示されている。また、図4において、合計搬入可能量範囲Ptは、各施設1A,1B,1Cにおける廃棄物搬入可能量範囲P(1A),P(1B),P(1C)を合計したものであることが模式的に示されている。
【0037】
範囲算出部41は、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Pt内に含まれるかどうかを判定する(ステップSA5)。より具体的には、範囲算出部41は、第2単位期間ごとに第1単位期間において合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Ptにおける上限値Ptmaxと下限値Ptminとの間に位置するかどうかを判定する。すなわち、図4において第1単位期間における合計搬入量推定値Ctが時刻0からT1までの全域が、原点0、上限値Ptmaxおよび下限値Ptminを頂点とする三角形の領域内に含まれるかどうかが判定される。
【0038】
ここで、前述した通り、合計搬入可能量範囲Ptは、各施設1A,1B,1Cに含まれる焼却炉2における稼働率が最も高くなるように決定された焼却炉2ごとの起動停止計画に基づいて決定される。このため、通常時であれば、焼却炉2における稼働率が最も高い状態での合計搬入可能量範囲Ptは、合計搬入量推定値Ctよりも十分多くの量を搬入可能な範囲として設定される。すなわち、図4に示すように、合計搬入可能量範囲Ptは、合計搬入量推定値Ctのグラフより上方に位置する。
【0039】
この結果、範囲算出部41は、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Pt外であると判定する(ステップSA5でNo)。演算器34は、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Pt内に含まれない場合に、複数の施設1A,1B,1Cのうちの少なくとも何れか1つの施設における起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【0040】
再検討処理において、起動停止計画決定部43は、再検討対象の施設における焼却炉2の稼働率を下げて起動停止計画を再決定する(ステップSA6)。図5は、起動停止計画の変更例を示すグラフである。図5の上側のグラフは、焼却炉2における稼働率が最も高い場合の初期起動停止計画Qiniを示し、図5の下側のグラフは、当該焼却炉2において稼働率を下げた場合の修正起動停止計画Qmodを示す。
【0041】
図5に示すように、焼却炉2において稼働率が最も高い場合の初期起動停止計画Qiniにおける一部の起動期間を短くし、一部の停止期間を長くすることにより、当該焼却炉2において第1単位期間における稼働率が低下する。起動停止計画決定部43は、所定低下幅で再検討対象の施設における焼却炉2の稼働率を低下させるように起動停止計画を再決定する。再検討対象となる施設は、複数の施設1A,1B,1Cのすべてであってもよいし、一部であってもよい。再検討対象の施設は、予め定められ、記憶器33に再検討対象の施設データとして記憶されている。
【0042】
範囲算出部41は、再決定された修正起動停止計画Qmodを用いて、合計搬入可能量範囲Ptを再計算する(ステップSA2およびステップSA3)。範囲算出部41は、合計搬入量推定値Ctが再計算された合計搬入可能量範囲Ptに含まれるかどうかを判定する(ステップSA4)。演算器34は、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Ptに含まれるようになるまで、再検討処理を繰り返す。
【0043】
図6は、図4に示す合計搬入可能量範囲を再検討した結果を示すグラフである。図6のグラフは、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Ptに含まれている状態を示している。
【0044】
分担処理計画決定部42は、合計搬入量推定値Ctが合計搬入可能量範囲Pt内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて合計搬入量推定値Ctを、複数の施設1A,1B,1Cに分配して施設ごとの分担処理計画を決定する(ステップSA7)。記憶器33には、複数の施設1A,1B,1Cにおいて分担処理計画を決定するための基準が予め記憶される。例えば、基準は、施設間での優先順位、分担比率、分担条件等を含む。例えば、分担比率は、複数の施設1A,1B,1Cの廃棄物搬入可能量範囲Pの最大値の比率、または、複数の施設1A,1B,1Cの発電効率の比率に基づいて設定されてもよい。また、例えば、分担条件は、第1単位期間における複数の施設1A,1B,1Cの全体での売電量を最大化すること、または、第1単位期間における複数の施設1A,1B,1Cの全体での二酸化炭素の排出量を最小化することを含んでもよい。また、例えば、合計搬入量推定値Ctの全量が予め定められた分担比率で分配されてもよいし、合計搬入量推定値Ctのうちの第1基準値まではA施設に優先的に分担させ、第1基準値を超える分については複数の施設1A,1B,1Cで予め定められた分担比率で分配されてもよい。
【0045】
出力器35は、決定された分担処理計画を、対応する起動停止計画とともに出力する。出力器35が通信インターフェイスとして構成される場合、出力器35は、各施設1A,1B,1Cに対応する分担処理計画および起動停止計画を含むデータを送信する。このようにして決定された分担処理計画は、各施設1A,1B,1Cにおける廃棄物搬入量計画値となる。
【0046】
各施設1A,1B,1Cでは、各々の分担処理計画、すなわち、廃棄物搬入量計画値および起動停止計画に基づいて、第1単位期間における廃棄物処理量計画が決定される。廃棄物処理量計画は、焼却炉2の稼働中に焼却炉2へ供給される廃棄物の単位時間あたりの供給量等を含む。
【0047】
[計画外停止発生時における分担処理計画の修正]
図7は、本実施の形態における計画外停止発生時の分担処理計画の修正例を示すイメージ図である。図7の例では、図3に示した通常時の分担処理計画および起動停止計画に基づいて各施設1A,1B,1Cが稼働していたが、時刻T1に至る途中の時刻T2でA施設1Aにおいて故障等の計画外停止が発生した場合を例示している。
【0048】
図7の上側のグラフに示すように、時刻T2においてA施設1Aにおいて計画外停止が発生すると、当該A施設1Aにおいて以降の廃棄物の処理が実施できなくなる。そのため、分担処理計画の通りに廃棄物がA施設1Aに搬送され続けると、A施設1Aでは処理できず、A施設1Aの貯留ピット9における貯留量の上限値を超えてしまう。このため、A施設1Aで処理できなくなった廃棄物を稼働可能な他の施設1B,1Cに可能な限り再分配する必要が生じる。
【0049】
そこで、本実施の形態では、複数の施設1A,1B,1Cのうちの少なくとも何れか1つの施設に起動停止計画に従わない計画外停止が生じた場合に、複数の施設1A,1B,1Cのうちの稼働可能な施設1B,1Cにおける起動停止計画およびそれに基づく合計搬入可能量範囲Ptが修正される。
【0050】
より具体的には、データ取得器32は、計画外停止が生じたA施設1Aからの廃棄物受け入れ要請に基づく廃棄物の受け入れ要請量Dを取得する。演算器34は、受け入れ要請量Dが、稼働可能な施設1B,1Cにおける修正搬入可能量範囲Pcを合計した修正合計搬入可能量範囲Ptcに基づく合計受け入れ可能量の上限値Rmax以下となるように、稼働可能な施設1B,1Cのうちの少なくとも何れか1つの施設における起動停止計画を修正する。
【0051】
図8は、本実施の形態における計画外停止発生時の分担処理計画を決定するための演算の流れを示すフローチャートである。廃棄物処理計画演算装置31は、計画外停止が生じたA施設1Aから計画外停止が生じた旨の通知を受信した場合に、以下の演算を行う。まず、起動停止計画決定部43は、稼働可能な施設1B,1Cのうちの少なくとも何れか1つの施設について、運用制約データから焼却炉2の稼働率が最も高くなるように焼却炉2ごとの起動停止計画を修正する(ステップSB1)。
【0052】
起動停止計画を修正する施設は、稼働可能な施設1B,1Cのすべてでもよいし、そのうちの一部の施設でもよい。起動停止計画を修正する施設または当該施設を決定するための規則が記憶器33に予め記憶される。計画外停止が生じた施設、または、受け入れ要請量D等に応じて起動停止計画を修正する施設またはその数が変化してもよい。あるいは、計画外停止が生じた場合に、ユーザが任意に起動停止計画を修正する施設を都度決定してもよい。
【0053】
焼却炉2の稼働率が最も高くなるような起動停止計画は、通常時の分担処理計画を決定するための初期起動停止計画とほぼ同じである。ただし、入力される運用制約データには、当該施設における現在の運用データおよび元の起動停止計画、すなわち、通常時の起動停止計画が含まれ得る。より具体的には、運用制約データは、通常時の分担処理計画を決定するための運用制約データ、すなわち、処理装置ごとの連続稼働期間の上限値、処理装置ごとの連続停止期間の下限値、および処理装置の定期点検計画に加えて、施設ごとの起動停止計画、廃棄物処理量計画、および貯留ピット9の現在の残量を含み得る。
【0054】
各施設1A,1B,1Cは、通常時の起動停止計画および廃棄物処理計画に基づいて運用されるが、実際に各施設1A,1B,1Cに搬入される廃棄物の量は、推定値に対して前後し得るし、日々の変動も起こり得る。また、廃棄物の単位量あたりの発熱量も、廃棄物の状態が湿度や気温等により変化するため、季節、時間等により変化する。例えば、廃棄物の単位量あたりの発熱量は、夏季において廃棄物に含まれる水分量が多くなるため、小さくなる。このため、各施設1A,1B,1Cにおける廃棄物の処理実績は、起動停止計画および廃棄物処理計画に対して誤差を生じ得る。
【0055】
したがって、計画外停止の発生時に起動停止計画を修正する場合に、運用制約データとして現在の運用データが考慮されることにより、各施設1A,1B,1Cにおける処理実績の誤差をも修正することができる。そのため、より現実に即した起動停止計画の修正を行うことができる。
【0056】
データ取得器32は、現在の運用データを、計画外停止の発生時に各施設から取得してもよいし、計画外停止が発生しているか否かにかかわらず、例えば1日ごと、1時間ごと等、定期的に各施設1A,1B,1Cからそのときの最新の運用データを取得し、記憶器33に蓄積させる、または、記憶器33における記憶内容を更新してもよい。データ取得器32が定期的に最新の運用データを取得することにより、ある施設で急遽計画外停止が発生した場合も、受け入れ要請量Dさえ新たに取得すれば、分担処理計画の修正が実施可能となる。
【0057】
範囲算出部41は、修正後の起動停止計画、処理負荷運用範囲および貯留量運用範囲に基づいて稼働可能な施設1B,1Cのそれぞれの廃棄物搬入可能量範囲Pを修正し、修正搬入可能量範囲Pcを決定する(ステップSB2)。修正搬入可能量範囲Pcの決定態様は、通常時の分担処理計画の演算における廃棄物搬入可能量範囲Pの決定態様と同じである。範囲算出部41は、稼働可能な施設1B,1Cにおける修正搬入可能量範囲Pcを合計した修正合計搬入可能量範囲Ptcを算出する(ステップSB3)。修正合計搬入可能量範囲Ptcは、下限値Ptcminと上限値Ptcmaxとの間の範囲として定められる。
【0058】
範囲算出部41は、修正合計搬入可能量範囲Ptcの上限値Ptcmaxから合計受け入れ可能量の上限値Rmaxを算出する(ステップSB4)。合計受け入れ可能量の上限値Rmaxは、修正合計搬入可能量範囲Ptcの上限値Ptcmaxから稼働可能な施設1B,1Cにおける修正前の合計搬入可能量範囲(P(1B)+P(1C))の上限値Ptmax(1B+1C)を差し引いた値として算出される。
【0059】
範囲算出部41は、受け入れ要請量Dが合計受け入れ可能量の上限値Rmax以下であるかどうかを判定する(ステップSB5)。受け入れ要請量Dが合計受け入れ可能量の上限値Rmax以下である場合(ステップSB5でYes)、起動停止計画決定部43は、修正後の起動停止計画を確定する。分担処理計画決定部42は、修正後の起動停止計画を用いて受け入れ要請量Dを稼働可能な施設1B,1Cに分配して、稼働可能な施設1B,1Cごとの分担処理計画を修正する(ステップSB6)。
【0060】
稼働可能な施設1B,1Cにおける修正後の分担処理計画は、計画外停止発生後における通常時の分担処理計画に基づく廃棄物搬入量に、受け入れ要請量Dに対する分担量を加えた量の計画値となる。受け入れ要請量Dの分配も、通常時の分担処理計画の決定の場合と同様に、予め定められた基準に基づいて行われる。受け入れ要請量Dの分配と、通常時における合計搬入量推定値Ctの分配とで、互いに異なる基準が適用されてもよい。例えば、分担比率が、計画外停止が発生したA施設1Aと稼働可能な施設1B,1Cとの間の施設間距離の比率に基づいて設定されてもよい。また、分担比率が、廃棄物の運搬時の二酸化炭素排出量を考慮して設定されてもよい。
【0061】
受け入れ要請量Dが合計受け入れ可能量の上限値Rmaxを超える場合(ステップSB5でNo)、稼働可能な施設1B,1Cだけでは受け入れ要請量Dの全量を受け入れることができない。そのため、分担処理計画決定部42は、稼働可能な施設1B,1Cが、受け入れ要請量Dのうちの合計受け入れ可能量の上限値Rmaxまでを受け入れるとして分配処理計画を修正する(ステップSB7)。この際、起動停止計画決定部43は、修正後の起動停止計画を確定する。分担処理計画決定部42は、修正後の起動停止計画を用いて合計受け入れ可能量の上限値Rmaxを稼働可能な施設1B,1Cに分配して、稼働可能な施設1B,1Cごとの分担処理計画を修正する。
【0062】
また、出力器35は、計画外停止が生じたA施設1Aに、受け入れ要請量Dの全量が受け入れられないことおよび受け入れられない廃棄物の量(D-Rmax)を通知する。受け入れられない廃棄物は、複数の施設1A,1B,1Cの何れかに臨時の貯留ピットを設置して一次仮置きするか、域外の施設に別途受け入れを要請して、域外の施設で処理される。
【0063】
上記構成によれば、複数の施設1A,1B,1Cのそれぞれにおける起動停止計画が、複数の施設1A,1B,1Cに搬入される廃棄物搬入量推定値を合計した値Ctから決定される。このため、複数の施設1A,1B,1Cにおいて1つの施設における定期点検期間に縛られない柔軟な運用を行うことができる。すなわち、複数の施設1A,1B,1Cに搬入される廃棄物搬入量推定値を合計した値Ctに対して複数の施設1A,1B,1Cにおける焼却炉2の稼働率を高くすることができる。これにより、各施設1A,1B,1Cにおけるエネルギー回収効率を高めることができ、発電量を最大化することができる。
【0064】
また、複数の施設1A,1B,1C間で連携することにより、貯留ピット9の容量を小さくすることができる、または、1つの施設で複数の焼却炉2を設置する必要がなくなる。そのため、新たに廃棄物処理施設1を建設する際に、廃棄物処理施設1を小型化することができるため、1つの廃棄物処理施設1あたりの建設費用や維持費用を低減することができる。
【0065】
また、ある施設の計画外停止等により、起動停止計画通りの運用が難しくなった場合でも、複数の施設1A,1B,1C間で廃棄物の分担処理計画を修正することができるため、廃棄物の処理が停滞することを防止することができる。このため、複数の施設1A,1B,1Cにおいて、貯留ピット9における貯留量の上限値を超えて廃棄物が搬入されることを抑制することができる。
【0066】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態においては、廃棄物処理計画演算の対象として、ストーカ式の焼却炉2を有する廃棄物処理施設1を例示したが、廃棄物を処理する処理装置を備えた廃棄物処理施設であれば、これに限られない。例えば、本開示の廃棄物処理計画演算方法を、流動層式の焼却炉を有する焼却プラント、廃棄物を破砕する破砕機を有する破砕選別プラント等に適用することも可能である。また、廃棄物処理施設1は、焼却炉2以外の処理装置を備えてもよい。例えば、処理装置は、炭化装置または埋立処分場等を含み得る。
【0068】
また、上記実施の形態においては、第1単位期間を1年、第2単位期間を1月としたが、これに限られず、各期間は種々設定可能である。
【0069】
また、上記実施の形態においては、廃棄物処理計画演算装置31が複数の施設1A,1B,1Cと通信ネットワーク37を介して接続される独立した装置または施設として構成される態様を例示したが、これに限られない。例えば、廃棄物処理計画演算装置31は、複数の施設1A,1B,1Cの何れかの廃棄物処理施設に設置されてもよい。また、廃棄物処理計画演算装置31は、複数の施設1A,1B,1Cを管理する管理施設に設置されてもよいし、クラウドサーバ等の情報処理装置として管理施設とは別に設置されてもよい。あるいは、管理施設はなくてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、廃棄物処理計画演算装置31が各施設1A,1B,1Cの起動停止計画を決定または修正する態様を例示したが、これに限られない。例えば、各施設1A,1B,1Cの起動停止計画は、対応する施設1A,1B,1Cで決定され、決定された起動停止計画が廃棄物処理計画演算装置31に送信されてもよい。また、起動停止計画の決定は、所定の決定プログラムによって自動的に決定されてもよいし、ユーザが起動停止計画を作成し、それを廃棄物処理計画演算装置31に入力してもよい。このように、廃棄物処理計画演算装置31の演算器34は、起動停止計画決定部43として動作しなくてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態においては、起動停止計画の再検討処理として、起動停止計画決定部43が起動停止計画を修正する態様を例示したが、これに限られない。例えば、出力器35が起動停止計画の修正が必要である旨の通知を出力してもよい。当該通知は、廃棄物処理計画演算装置31に接続された表示装置に表示するように出力されてもよいし、各施設1A,1B,1Cに送信されてもよい。この場合、通知を受けた施設またはユーザは、対応する施設の起動停止計画を修正する。廃棄物処理計画演算装置31は、通知の出力後、修正後の起動停止計画の入力を待ち受けてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、複数の施設1A,1B,1Cの少なくとも何れか1つの施設に起動停止計画に従わない計画外停止に伴う他の施設に対する廃棄物受け入れ要請があった場合の分担処理計画の修正態様を例示したが、大規模災害時等において合計搬入量推定値Ctに基づいて定められる許容値を超えた量の廃棄物処理要請が生じた場合にも、上記実施の形態と同様に分担処理計画を修正することができる。ただし、この場合、稼働可能な施設は、通常時と同じ複数の施設1A,1B,1Cのすべてとなる。データ取得器32は、廃棄物処理要請に基づく受け入れ要請量Dを取得し、演算器34は、これに基づいて各施設1A,1B,1Cにおける起動停止計画および分担処理計画を修正する。なお、この場合の受け入れ要請量Dの分配の際には、通常時の基準に加えてまたはこれに代えて、例えば分担比率が複数の施設1A,1B,1Cのそれぞれにおける廃棄物の発生場所からの距離の比率に基づいて設定されてもよい。また、分担比率が、廃棄物の運搬時の二酸化炭素排出量を考慮して設定されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態においては、計画外停止に伴う分担処理計画の修正のために、稼働可能な施設1B,1Cのうちの少なくとも何れか1つの施設において焼却炉2の稼働率が最も高くなるように各施設1B,1Cの起動停止計画を修正する態様を例示したが、起動停止計画の修正態様は、これに限られない。例えば、起動停止計画決定部43は、元の起動停止計画に基づく廃棄物搬入可能量範囲Pの上限値Pmaxを上げるように起動停止計画を修正してもよい。
【0074】
この場合、範囲算出部41は、起動停止計画の修正対象の施設における通常時の廃棄物搬入可能量範囲Pの上限値Pmaxを予め定められた量増加させて廃棄物搬入可能量範囲Pを修正してもよい。例えば、図7の例において、B施設1Bの起動停止計画を修正する場合、図7の上側のグラフにおける元の廃棄物搬入可能量範囲P(1B)の上限値を定める直線の傾きを大きくする。起動停止計画決定部43は、修正搬入可能量範囲Pcに基づいて対応する施設の起動停止計画を修正する。ここで、修正搬入可能量範囲Pcの上限値は、当該施設において焼却炉2の稼働率が最も高い場合の起動停止計画に基づく廃棄物搬入可能量範囲の上限値を上限とする。
【0075】
さらに、範囲算出部41は、修正後の廃棄物搬入可能量範囲Pに基づいて稼働可能な施設1B,1Cの修正合計搬入可能量範囲Ptcを算出し、それに基づいて合計受け入れ可能量の上限値Rmaxを算出する。受け入れ要請量Dが算出された合計受け入れ可能量の上限値Rmaxより多い場合、範囲算出部41は、再度修正対象の施設における廃棄物搬入可能量範囲Pの上限値Pmaxを予め定められた量増加させる。起動停止計画決定部43は、受け入れ要請量Dが合計受け入れ可能量の上限値Rmax以下となった時点でそのときの起動停止計画を修正後の起動停止計画として出力する。
【0076】
なお、廃棄物搬入可能量範囲Pの上限値Pmaxを上げるように起動停止計画を修正する場合、廃棄物搬入可能量範囲Pの下限値Pminも上限値Pmaxの上昇に伴って上げるようにしてもよいし、下限値Pminは変更しないようにしてもよい。
【0077】
[本開示のまとめ]
[項目1]
本開示の一態様に係る廃棄物処理計画演算装置は、廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算装置であって、データ取得器と、演算器と、を備え、前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、前記データ取得器は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、前記演算器は、施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【0078】
上記構成によれば、複数の施設のそれぞれにおける起動停止計画が、複数の施設に搬入される廃棄物搬入量推定値を合計した値から決定される。このため、複数の施設において1つの施設における定期点検期間に縛られない柔軟な運用を行うことができる。すなわち、複数の施設に搬入される廃棄物搬入量推定値を合計した値に対して複数の施設における処理装置の稼働率を高くすることができる。これにより、各施設におけるエネルギー回収効率を高めることができ、発電量を最大化することができる。
【0079】
また、複数の施設間で連携することにより、貯留ピットの容量を小さくすることができる、または、1つの施設で複数の処理装置を設置する必要がなくなる。そのため、新たに廃棄物処理施設を建設する際に、廃棄物処理施設を小型化することができるため、1つの廃棄物処理施設あたりの建設費用や維持費用を低減することができる。
【0080】
[項目2]
項目1の廃棄物処理計画演算装置において、前記データ取得器は、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設に前記起動停止計画に従わない計画外停止に伴う他の施設に対する廃棄物受け入れ要請、または、前記合計搬入量推定値に基づいて定められる許容値を超えた量の廃棄物処理要請が生じた場合、前記廃棄物受け入れ要請または前記廃棄物処理要請に基づく受け入れ要請量を取得し、前記演算器は、前記受け入れ要請量が、前記複数の施設のうちの稼働可能な施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した修正合計搬入可能量範囲に基づく合計受け入れ可能量の上限値以下となるように、前記稼働可能な施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を修正し、修正後の起動停止計画を用いて、稼働可能な施設ごとの前記分担処理計画を修正してもよい。
【0081】
上記構成によれば、ある施設において計画外停止が発生した、または、大規模災害等により当初想定した量を超える廃棄物が生じたことにより、起動停止計画通りの運用が難しくなった場合でも、複数の施設間で廃棄物の分担処理計画を修正することができるため、廃棄物の処理が停滞することを防止することができる。
【0082】
[項目3]
項目2の廃棄物処理計画演算装置において、前記演算器は、元の前記起動停止計画に基づく前記廃棄物搬入可能量範囲の上限値を上げるように前記起動停止計画を修正してもよい。
【0083】
[項目4]
項目2の廃棄物処理計画演算装置において、前記演算器は、前記稼働可能な施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における運用制約データから前記処理装置の稼働率が最も高くなるように前記処理装置ごとの前記起動停止計画を修正し、修正後の起動停止計画に基づく廃棄物搬入可能量範囲を用いて前記修正合計廃棄物搬入可能量範囲を算出し、前記運用制約データは、前記処理装置ごとの連続稼働期間の上限値、前記処理装置ごとの連続停止期間の下限値、および前記処理装置の定期点検計画を含んでもよい。
【0084】
[項目5]
項目4の廃棄物処理計画演算装置において、前記運用制約データは、前記起動停止計画を修正する施設における前記貯留ピットの現在の残量および当該施設における廃棄物処理量計画を含んでもよい。
【0085】
上記構成によれば、稼働可能な施設における現在の状況を踏まえて、より現実に即した起動停止計画の修正を行うことができる。
【0086】
[項目6]
項目1から項目5の何れかの廃棄物処理計画演算装置において、前記演算器は、前記処理装置ごとの連続稼働期間の上限値、前記処理装置ごとの連続停止期間の下限値、および前記処理装置の定期点検計画から前記処理装置の稼働率が最も高くなるように前記処理装置ごとの前記起動停止計画を決定し、前記再検討処理において、前記処理装置の前記稼働率を下げて前記起動停止計画を再決定してもよい。
【0087】
上記構成によれば、最も稼働率の高い起動停止計画から稼働率を下げながら合計搬入可能量範囲を調整することにより、効率的に適切な起動停止計画を決定することができる。
【0088】
[項目7]
本開示の他の態様に係る廃棄物処理計画演算方法は、廃棄物を処理する複数の施設間で廃棄物の処理量を分担するための分担処理計画を演算する廃棄物処理計画演算方法であって、前記複数の施設は、それぞれ、当該施設に搬送された廃棄物を一時貯留する貯留ピットと、廃棄物を処理する処理装置と、を含み、前記方法は、第1単位期間における施設ごとの廃棄物搬入量推定値、前記処理装置ごとに前記第1単位期間のうちで廃棄物の処理を行う起動期間および前記廃棄物の処理を停止する停止期間を定めた起動停止計画、施設ごとの前記処理装置における処理量の範囲を定める処理負荷運用範囲および施設ごとの前記貯留ピットにおける貯留量の範囲を定める貯留量運用範囲を取得し、施設ごとの前記起動停止計画、前記処理負荷運用範囲および前記貯留量運用範囲から施設ごとの廃棄物搬入可能量範囲を算出し、前記複数の施設における前記廃棄物搬入量推定値を合計した合計搬入量推定値が、前記複数の施設における前記廃棄物搬入可能量範囲を合計した合計搬入可能量範囲内に含まれるかどうかを判定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれる場合に、予め定められた基準に基づいて前記合計搬入量推定値を、前記複数の施設に分配して施設ごとの分担処理計画を決定し、前記合計搬入量推定値が前記合計搬入可能量範囲内に含まれない場合に、前記複数の施設のうちの少なくとも何れか1つの施設における前記起動停止計画を見直すための再検討処理を行う。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B,1C 廃棄物処理施設
2 焼却炉(処理装置)
9 貯留ピット
31 廃棄物処理計画演算装置
32 データ取得器
34 演算器
図1
図2
図3
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図8