IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図1
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図2
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図3
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図4A
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図4B
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図5
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図6A
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図6B
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図6C
  • 特開-トナーコンテナ及び画像形成装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180735
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】トナーコンテナ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G03G15/08 380
G03G15/08 348B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094280
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】グェン ザィン チェン
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA05
2H077AA35
2H077FA21
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】再利用時に廃棄される部分を少なくしたトナーコンテナを提供する。
【解決手段】トナーコンテナは、トナーの充填口43を有する容器本体41と、前記充填口43に沿って設けられた筒部57と、前記筒部57を閉止するキャップ45と、を備え、前記キャップ45は、前記筒部57に挿入されて前記充填口43の縁に係合可能な一対の爪部79と、前記一対の爪部79の先端部間を接続するリンク片81と、前記筒部57を閉止可能な閉止板63と、を備え、前記一対の爪部79を前記充填口43の縁に係合させることで、前記筒部57が前記閉止板63によって閉止され、前記閉止板63の一部を離脱させて開口63Xを形成し、該開口63Xを通して前記リンク片81を引っ張って前記一対の爪部79と前記充填口43の縁との係合を解除し、前記キャップ45を前記筒部57から取り外すことで前記容器本体41が再利用可能である。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーの充填口を有する容器本体と、
前記充填口に沿って設けられた筒部と、
前記筒部の開口を閉止する、取り外し可能なキャップと、を備え、
前記キャップは、
前記筒部の径方向に変形可能に設けられ、前記筒部に挿入されて前記充填口の縁に係合可能な一対の爪部と、
前記一対の爪部の先端部間を接続するリンク片と、
前記筒部の開口を閉止可能な閉止板と、を備え、
前記一対の爪部を前記充填口の縁に係合させることで、前記筒部の開口が前記閉止板によって閉止され、
前記閉止板の一部を離脱させて開口を形成し、該開口を通して前記リンク片を引っ張って前記一対の爪部を前記径方向の内側に弾性変形させて前記一対の爪部と前記充填口の縁との係合を解除し、前記キャップを前記筒部から取り外すことで前記容器本体が再利用可能であることを特徴とするトナーコンテナ。
【請求項2】
前記キャップは、開口を有する円板部を更に備え、
前記閉止板は、前記円板部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のトナーコンテナ。
【請求項3】
前記閉止板は、破断可能な脆弱部で囲まれた離脱部を有し、
前記離脱部を前記脆弱部に沿って離脱させて前記閉止板に開口を形成し、該開口と前記円板部の開口とを通して前記リンク片が引っ張られることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーコンテナ。
【請求項4】
前記脆弱部は溝部であることを特徴とする請求項3に記載のトナーコンテナ。
【請求項5】
前記離脱部には、前記容器本体の使用回数を表す記号が記されていることを特徴とする請求項3に記載のトナーコンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載のトナーコンテナと、
前記トナーコンテナから供給されるトナーを使用して画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再使用可能なトナーコンテナ及びトナーコンテナを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機やプリンター等、トナーを用いる電子写真式の画像形成装置においては、トナーコンテナを再使用(リユース)する傾向が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の現像剤カートリッジ(トナーコンテナに相当)は、円筒状のトナー充填口が設けられた容器本体と、トナー充填口を閉止するキャップと、を備えている。再使用時には、キャップと共にトナー充填口の一部を切除した後、別のキャップをトナー充填口に挿入して、トナー充填口を閉止する。また、特許文献2に記載のトナーコンテナは、筒状の充填口が設けられた容器本体と、充填口の先端面に接着される鍔部を有するキャップと、を備えている。再使用時には、鍔部を含むキャップを充填口とともに切除した後、別のキャップの鍔部を充填口の先端面に接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-208837号公報
【特許文献2】特開2010-96828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の原稿カートリッジや特許文献2に記載のトナーコンテナでは、切除後のキャップは再利用不可能であり、廃棄される部分が多くなってしまう。また、充填口を切除することで、容器本体の強度や剛性が低下するため、容器本体の再利用回数が限られる。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、再利用時に廃棄される部分を少なくしたトナーコンテナ及びこのトナーコンテナを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のトナーコンテナは、トナーの充填口を有する容器本体と、前記充填口に沿って設けられた筒部と、前記筒部の開口を閉止する、取り外し可能なキャップと、を備え、前記キャップは、前記筒部の径方向に変形可能に設けられ、前記筒部に挿入されて前記充填口の縁に係合可能な一対の爪部と、前記一対の爪部の先端部間を接続するリンク片と、前記筒部の開口を閉止可能な閉止板と、を備え、前記一対の爪部を前記充填口の縁に係合させることで、前記筒部の開口が前記閉止板によって閉止され、前記閉止板の一部を離脱させて開口を形成し、該開口を通して前記リンク片を引っ張って前記一対の爪部を前記径方向の内側に弾性変形させて前記一対の爪部と前記充填口の縁との係合を解除し、前記キャップを前記筒部から取り外すことで前記容器本体が再利用可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明のトナーコンテナにおいて、前記キャップは、開口を有する円板部を更に備え、前記閉止板は、前記円板部に固定されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明のトナーコンテナにおいて、前記閉止板は、破断可能な脆弱部で囲まれた離脱部を有し、前記離脱部を前記脆弱部に沿って離脱させて前記閉止板に開口を形成し、該開口と前記円板部の開口とを通して前記リンク片が引っ張られることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明のトナーコンテナにおいて、前記脆弱部は溝部であることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明のトナーコンテナにおいて、前記離脱部には、前記容器本体の使用回数を表す記号が記されていることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記トナーコンテナと、前記トナーコンテナから供給されるトナーを使用して画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記トナーコンテナと、前記トナーコンテナから供給されるトナーを使用して画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナーコンテナを再使用する際に、容器本体を再使用することができる。また、再使用するために容器本体を切除したり加工したりする必要がないので、容器本体を複数回にわたって再使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナを示す分解斜視図である。
図4A】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナのキャップを示す断面図である。
図4B】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナのキャップを示す分解断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナのキャップを示す分解斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナにおいて、離脱部を離脱させたキャップを示す断面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナにおいて、リンク片を引っ張った状態のキャップを示す断面図である。
図6C】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナにおいて、取り外し中のキャップを示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るトナーコンテナにおいて、閉止板の離脱部を離脱させたキャップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及びトナーコンテナについて説明する。
【0017】
まず、図1を参照して、画像形成装置1について説明する。図1は画像形成装置1の内部を模式的に示す正面図である。各図に示すFr、Rr、L、Rは、それぞれ画像形成装置1の前側、後側、左側、右側を示す。
【0018】
画像形成装置1は、略直方体形状の中空の筐体3を備える。筐体3の内部には、用紙が収容される給紙カセット5と、給紙カセット5から用紙を送り出す給紙装置7と、用紙にトナー像を形成する画像形成部9と、トナー像を用紙に定着する定着装置11と、用紙を排出する排出装置13と、が収容されている。筐体3の上面には、排出された用紙が積載される排紙トレイ15が形成されている。さらに、筐体3の内部には、給紙装置7から画像形成部9と定着装置11とを通って排出装置13まで用紙が搬送される搬送経路17が形成されている。さらに、筐体3の内部には、定着装置11の下流側で搬送経路17から分岐して、画像形成部9の上流側で搬送経路17に合流する反転経路19が形成されている。
【0019】
画像形成部9は、回転可能な感光体ドラム21と、感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21の回転方向に沿って配置された、帯電装置23、現像装置25、転写ローラー27及びクリーニング装置29と、露光装置31と、トナーコンテナ33と、を有している。感光体ドラム21と転写ローラー27との間には、転写ニップが形成されている。また、トナーコンテナ33は現像装置25と接続されて、トナーコンテナ33から現像装置25にトナーが供給される。
【0020】
画像形成動作について簡単に説明する。給紙カセット5から給紙装置7によって送り出された用紙は、搬送経路17に沿って画像形成部9に搬送される。画像形成部9において、帯電装置23は、感光体ドラム21の表面を帯電させる。露光装置31は、帯電装置23によって帯電した感光体ドラム21の表面を露光し、感光体ドラム21の表面に画像データに対応した静電潜像を形成する。現像装置25は、トナーコンテナ33から供給されたトナーを用いて感光体ドラム21上の静電潜像をトナー像に現像する。転写ローラー27は、搬送経路17に沿って転写ニップに搬送された用紙にトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙は、搬送経路17に沿って定着装置11に搬送される。クリーニング装置29は転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去する。定着装置11において、用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排出装置13によって排紙トレイ15に排出される。
【0021】
両面印刷の場合は、定着装置11で一方の面にトナー像が定着された用紙が、搬送経路17でスイッチバックされて反転経路19に搬送される。その後、反転経路19から搬送経路17に搬送されて、画像形成部9で他方の面にトナー像が形成され、定着装置11でトナー像が他方の面に定着される。このように両面にトナー像が定着された用紙は、排出装置13によって排紙トレイ15に排出される。
【0022】
次に、トナーコンテナ33について、図2及び図3を参照して説明する。図2はトナーコンテナ33を示す斜視図、図3はトナーコンテナ33を示す分解斜視図である。
【0023】
トナーコンテナ33は、トナーの充填口43(図3参照)を有する容器本体41と、充填口43を閉止するキャップ45と、を備える。
【0024】
容器本体41は、上面が開口した本体部51と、下面が開口した蓋部53と、を有している。本体部51は、前後方向に長い略半筒状の底板51aと、略半円状の前後の側板51bと、を有している。また、本体部51には、上面開口に沿って外側に張り出すフランジ51cが形成されている。蓋部53には、下面開口に沿って外側に張り出すフランジ53cが形成されている。両フランジ51c、53cが溶着されることで、本体部51と蓋部53とによって、トナーが収容される内空間を有する容器本体41が構成される。
【0025】
図3に示されるように、一方の側板51bには、トナーの充填口43が形成されている。さらに、側板51bには、充填口43に沿って、円筒状の筒部57が形成されている。筒部57の先端面には、溝57a(図2図3には図示省略、図4B参照)が周方向に沿って形成されている。また、筒部57の外周面には、キャップ45と位置決めされる位置決め突起57bが形成されている。
【0026】
容器本体41の内空間には、撹拌パドルと搬送スクリュー(いずれも図示省略)が回転可能に収容されている。さらに、本体部51の底板51aには、トナーの排出口(図示省略)が形成されている。排出口は、現像装置25のトナー供給口(図示省略)と連通している。排出口は、シャッター(図示省略)によって開閉可能である。
【0027】
次に、キャップ45について、図3と、図4A及び図4B図5を参照して説明する。図4A及び図4Bはキャップ45を示す断面図、図5はキャップ45を示す分解斜視図である。キャップ45は、容器本体41の筒部57に装着される筒体61と、筒部57の開口を閉止する閉止板63と、で構成される。キャップ45は、樹脂で作成されている。
【0028】
筒体61は、容器本体41の筒部57よりも外径の大きい円板部71と、円板部71と一体に設けられて、筒部57に挿入可能な筒状の挿入部73と、を有している。円板部71の中央には、略十字型の開口71aが形成されている。円板部71の表側の面は平坦に形成されている。また、円板部71の表側の面には、外周縁に沿って側壁71bが形成されている。これにより、円板部71の表側の面に、側壁71bで囲まれた凹部71cが形成される。側壁71bには、一対の切り欠き71dが、対角線上に沿って形成されている。また、円板部71の裏側の面には、円板部71と同心状の環状のリブ71eが、開口71aの周囲に形成されている。さらに、円板部71の裏側の面には、位置決めピン71fが設けられている。
【0029】
挿入部73は、円板部71の裏側の面の開口71aと環状リブ71eとの間に、円板部71と同心状に形成されている。図5に分かりやすく示されるように、挿入部73は、径方向に対向する一対の半筒部77と、径方向に対向する一対の爪部79と、を有している。一対の半筒部77の外周面は、基端側(円板部71側)から先端側(円板部71とは反対の側)に向かって、径方向の内側に傾斜している。一対の半筒部77の最大外径は、容器本体41の筒部57の内径と略同じである。また、一対の半筒部77の長さは、筒部57の長さと略同じである。一対の爪部79の先端部には、径方向の外側に突き出る爪79aが形成されている。各爪79aの外面は、先端側に向かって先細に傾斜している。径方向における一対の爪部79の爪79a間の間隔は、容器本体41の筒部57の内径よりも大きい。一対の爪部79の長さは、爪79aの長さ分だけ筒部57の長さよりも長い。一対の爪部79の長さは、一例で10mmである。
【0030】
一対の爪部79の先端部間は、リンク片81で接続されている。リンク片81は、一対の爪部79の基端側にU字状に湾曲している。リンク片81を円板部71の側に引っ張ることで、一対の爪部79は、径方向の内側に変形可能である。一対の爪部79が径方向の内側に変形することで、一対の爪部79の爪79a間の間隔を短くすることができる。
【0031】
次に、閉止板63について説明する。閉止板63は、筒体61の円板部71の凹部71cに装着可能な円板状に形成されている。閉止板63の中央には、円板部71の開口71aの形状と対応する略十字状の離脱部85が形成されている。離脱部85の周囲は溝部87で囲まれて、他の部分よりも厚さが薄くなっている。溝部87は、本発明における脆弱部の一例である。また、図3に示されるように、離脱部85には、トナーコンテナ33の使用回数を表す数字(この例では、3回目を表す数字3)が記されている。閉止板63の側面には、対角線上に一対の突片63aが形成されている。また、閉止板63の裏側の面は平坦に形成されている。
【0032】
閉止板63は、一対の突片63aを円板部71の側壁71bの一対の切り欠き71dに係合させることで、円板部71に対して位置決めされ、円板部71の凹部71cの底面(円板部71の表側の面)に、両面テープによって貼付されている。
【0033】
上記構成を有するトナーコンテナ33の再使用方法について、図6A図6C図7を主に参照して説明する。図6A図6Cはキャップ45を示す断面図、図7はキャップ45を示す斜視図である。初回(1回目)にトナーが充填される際は、容器本体41に、充填口43から所定量のトナーを充填する。その後、筒部57の開口(充填口43)をキャップ45で閉止する。キャップ45の閉止板63の離脱部85には、1回目の使用を表す数字1が記されている。
【0034】
まず、キャップ45の円板部71の位置決めピン71f(図5参照)を、容器本体41の筒部57の位置決め突起57b(図3参照)に対応するように、キャップ45を筒部57に対して位置決めし、キャップ45の筒体61の挿入部73を筒部57に挿入していく。前述のように、挿入部73の一対の爪部79の爪79a間の間隔は、筒部57の内径よりも大きいので、各爪79aの傾斜した外面が筒部57の開口の縁に当たり、挿入部73の筒部57への挿入に伴って、一対の爪部79が径方向の内側に弾性変形する。一対の爪部79は弾性変形したままで、各爪79aが筒部57の内周面に沿ってスライドする。
【0035】
挿入部73が筒部57へ挿入されて、一対の爪部79の爪79aが容器本体41の充填口43から容器本体41の内空間に突き出ると、一対の爪部79が径方向の外側に弾性変形して充填口43の縁に係合する(図4A参照)。このように、一対の爪部79が充填口43の縁にスナップフィット結合する。さらに、円板部71の裏側の面が筒部57の先端面に当接し、円板部71の裏側の面に形成された環状リブ71eが、筒部57の先端面に形成された溝57aに嵌まり込む。これにより、筒部57の開口がキャップ45で閉止されると共に、キャップ45が容器本体41に装着される(図4A参照)。この状態でトナーコンテナ33が出荷される。
【0036】
出荷後、トナーコンテナ33は筐体3の内部の所定位置に装着され、前述の画像形成動作が実行される。画像形成動作中に、現像装置25のトナー濃度が所定の濃度以下に低下すると、トナー補給動作が実行され、トナーコンテナ33から現像装置25にトナーが補給される。トナー補給動作においては、撹拌パドルと搬送スクリューとが回転すると共に、シャッターが開かれる。撹拌パドルが回転することで、容器本体41内のトナーが撹拌されて搬送スクリューに向けて搬送される。そして、搬送スクリューの回転によってトナーが排出口に向けて搬送されて、排出口を通って現像装置25に供給される。現像装置25内のトナー濃度が所定の濃度に達すると、トナーの補給が停止される。このような補給動作を繰返し、容器本体41内のトナーが消費されると、トナーコンテナ33の交換が指示され、トナーコンテナ33が交換される。
【0037】
トナーコンテナ33交換時には、トナーコンテナ33を筐体3から取り外す。そして、図6Aに示されるように、キャップ45の閉止板63の離脱部85を溝部87に沿って離脱させる。溝部87は厚さが薄くなって破断されやすくなっている。そこで、離脱部85を指や工具で押し込む(図6Aの矢印参照)と、溝部87は容易に破断し、離脱部85を離脱させることができる。筒部57の内部に入り込んだ離脱部85は、指や工具を使用して取り出される。
【0038】
離脱部85が離脱すると、閉止板63に開口63Xが形成される。この開口63Xは、筒体61の円板部71の開口71aと対応しているので、図7に示されるように、筒部57の内部と容器本体41の内空間とが、これらの開口63X、71aを通して露出する。すなわち、筒部57の内部や容器本体41の内空間に入り込んだリンク片81や爪部79が、これらの開口63X、71aを通して露出する。
【0039】
そして、図6Bに示されるように、これらの開口63X、71aを通して指や工具を筒部に挿入し、リンク片81を外側に引っ張る(図6Bの矢印参照)。すると、一対の爪部79と充填口43の縁との係合が解除されて(スナップフィット結合が解除されて)、キャップ45が容器本体41から取り外し可能となる。このように両者の係合を解除した後、図6Cに示されるように、リンク片81を持って、キャップ45を筒部57から引き抜く(図6Cの矢印参照)。このようにキャップ45を取り外した後、容器本体41の内空間をエアブローによって清掃する。
【0040】
その後、1回目と同様に、所定量のトナーを充填口43から容器本体41に充填する。そして、2回目に対応したキャップ45を、前述のように筒部57に装着する。2回目の対応したキャップ45には、2回目を表す数字2が離脱部85に記されている。
【0041】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、トナーコンテナ33を再使用する際に、キャップ45は廃棄されるが、容器本体41を再使用することができる。また、再使用するために容器本体41を切除したり加工したりする必要がない。さらに、キャップ45の一対の爪部79を容器本体41の充填口43の縁に係合させることで、容器本体41(特には筒部57)に大きな負荷をかけることなく、充填口43(筒部57の開口)を確実に閉止することができる。すなわち、充填口43の縁は容器本体41の本体部51の側板51bと筒部57との角に形成されて剛性が高いので、爪部79を縁に係合させても、縁を変形させにくい。充填口43(筒部57の開口)をキャップ45で確実に閉止するために、キャップ45と筒部57とを強く密着させようとすると、容器本体41(特には筒部57)に大きな負荷が加わる場合がある。すると、容器本体41が変形したり破損しやすくなったりして、再使用が不可能となる。本発明では、容器本体41が変形しづらいので、容器本体41を複数回にわたって再使用することが可能となる。さらに、離脱部85に使用回数を表す数字が記されているので、使用回数を確実に把握することができる。
【0042】
また、容器本体41の充填口43に沿って筒部57を形成し、一対の爪部79を充填口43の縁に係合させるように構成したので、一対の爪部79の長さを筒部57の長さだけ長くできる。これにより、一対の爪部79を安定的に弾性変形させることができる。
【0043】
なお、閉止板63を筒体61に一体に形成してもよい。すなわち、筒体61の円板部71に、開口71aの代わりに、溝部87で囲まれた離脱部85を設けてもよい。この場合、溝部87を破断して離脱部85を離脱させることで、円板部71に開口が形成され、この開口を通してリンク片81を引っ張ることができる。しかし、閉止板63に使用回数を表す数字を記す場合には、閉止板63と筒体61とを別々に設けた方が好ましい。この場合、使用回数に関わらず筒体61を共通で使用することができる。そして、閉止板63のみを使用回数に対応して準備し、使用毎に対応する閉止板63を筒体61に両面テープや接着剤で貼付すればよい。
【0044】
また、脆弱部を設けることで、離脱部85を簡単に離脱させることができる。また、離脱部85を離脱させる際に、切り屑や破片が発生しない。特には、脆弱部が溝部87であるので、閉止板63による密閉性を保つことができる。なお、脆弱部を設けない場合は、カッターなどの工具を使用して閉止板63に開口を形成してもよい。
【0045】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置
9 画像形成部
33 トナーコンテナ
41 容器本体
43 充填口
45 キャップ
59 筒部
63 閉止板
71 円板部
79 爪部
81 リンク片
85 離脱部
87 溝部(脆弱部)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7