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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180740
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車両制御方法及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20231214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60R16/037
B60R16/02 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094287
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大泉 透
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリの充電中、乗員が車内で快適に過ごすことができる車両制御方法を提供する。
【解決手段】娯楽機能を有した装置を制御する処理をプロセッサに実行させる車両制御方法であって、プロセッサは、車両1が駐車した状態でバッテリ30の充電中に、車載装置10を通じて乗員に娯楽を提供するように車載装置10に出力し、バッテリ30の充電中にバッテリ30の状態を管理し、バッテリ30の残充電時間が所定時間以下である場合には、車両1の乗員を覚醒させるように車載装置10を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
娯楽機能を有した装置を制御する処理をプロセッサに実行させる車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
車両が駐車した状態でバッテリの充電中に、車載装置を通じて乗員に娯楽を提供するように前記車載装置を制御し、
前記バッテリの充電中に前記バッテリの状態を管理し、
前記バッテリの残りの充電時間が所定時間以下である場合には、前記乗員を覚醒させるように前記車載装置を制御する車両制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記乗員の覚醒度を示す覚醒情報を取得し、
前記覚醒度が所定の覚醒度以下である場合に、前記車両の乗員を覚醒させるように前記車載装置を制御する車両制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記バッテリの充電中に、前記バッテリの状態を示すバッテリ情報を車両の外部から取得する車両制御方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記乗員の生体を検出するセンサの検出値に基づき、前記乗員の覚醒度を検出する車両制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記乗員を覚醒させるように制御される前記車載装置は、音響機器、映像機器、照明機器、空調機器、座席機構、及び芳香機器のうち少なくとも1つの機器である車両制御方法。
【請求項6】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記車載装置を制御して、前記乗員を覚醒するためのコンテンツを提供し、
運転者及び同乗者を検出し、
検出された前記乗員に応じて前記コンテンツの要素を制御する車両制御方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記車載装置を制御して、前記乗員を覚醒するためのコンテンツを提供し、
運転者及び同乗者を検出し、
前記運転者と前記同乗者の関係性を推定し、
前記関係性に応じて前記コンテンツの要素を制御する車両制御方法。
【請求項8】
請求項1又は2記載の車両制御方法であって、
前記プロセッサは、
前記車載装置を制御して、前記乗員を覚醒するためのコンテンツを提供し、
前記乗員の乗車位置に応じて前記コンテンツの要素を制御する車両制御方法。
【請求項9】
娯楽機能を有した装置を制御する車両制御装置であって、
車両が駐車した状態でバッテリの充電中に、車載装置を通じて乗員に娯楽を提供するように前記車載装置を制御する車載制御部と、
前記バッテリの充電中に、前記バッテリの状態を管理するバッテリ管理部とを備え、
前記車載制御部は、
前記バッテリの残りの充電時間が所定時間以下である場合には、前記車両の乗員を覚醒させるように前記車載装置を制御する車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御方法及び車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バッテリの充電の待ち時間を運転者が有意義に過ごせる情報を提供する情報処理装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1記載の情報処理装置は、車両の位置の情報及び航続可能距離の情報を取得し、位置から航続可能距離の範囲内にある充電ステーションを、複数の充電ステーションの中から抽出し、抽出した充電ステーションに車両を停めたまま立ち寄り可能なスポットを、複数のスポットから抽出し、抽出したスポットの情報を、抽出した充電ステーションの情報と併せて送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-092473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記情報処理装置は、運転者に提供される立ち寄り可能なスポットは車外に位置するため、バッテリの充電中に、乗員が車内で快適に過ごすことができないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バッテリの充電中に、乗員が車内で快適に過ごすことができる車両制御方法及び車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両が駐車した状態でバッテリの充電中に、車載装置を通じて乗員に娯楽を提供するように車載装置を制御し、バッテリの充電中にバッテリの状態を管理し、残充電時間が所定時間以下である場合には、乗員を覚醒させるように車載装置を制御することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリの充電中に、乗員が車内で快適に過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態における車両制御装置を含む車両及び外部充電装置のブロック図である。
図2図2は、コントローラの車両制御の処理フローを示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の他の実施形態における車両制御装置を含む車両及び外部充電装置のブロック図である。
図4図4は、コントローラの車両制御の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る車両制御装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両制御装置を含む車両及び外部充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図1で示されるように、車両1は、車載装置10、コントローラ20、及びバッテリ30を有している。本実施形態に係る車両制御装置は、コントローラ20を含む装置であって、バッテリの充電中に、車載装置10を通じて乗員に対して娯楽を提供し、バッテリの残りの充電時間が所定時間以下である場合に、乗員を覚醒させるよう車載装置10を制御する。つまり、車両制御装置は、バッテリ充電中は、車室内の乗員が快適に過ごしてもらうために、車載装置10を用いて娯楽を乗員に提供する。また、バッテリの充電中、車室がリラックスした空間になると、乗員、特に運転者の覚醒度が低くなる可能性がある。そこで、車両制御装置は、充電終了前に、乗員を覚醒させるよう車載装置10を制御し、充電終了後の運転に悪影響を及ぼすことを防止する。なお、以下の説明において、バッテリ30の充電は、外部充電装置2による充電とする。
【0010】
車載装置10は、車内がリラックス空間になるよう、車両1の乗員に対して娯楽を提供するための装置であって、娯楽機能を有している。また車載装置10は、乗員を覚醒するための装置であって、乗員の五感に刺激を与える機能も有している。車載装置10は、カメラ11、音響機器12、映像機器13、照明機器14、空調機器15、座席機構16、芳香機器17、及び生体センサ18を備えている。車載装置10は、車載制御部21から出力される制御指令に基づき動作する。なお、車載装置10は、図1に示す装置に限らず、他の装置を備えてもよい。
【0011】
カメラ11は、車内の乗員の顔などを撮像する車内カメラである。音響機器12は、インストルメントパネルに設置されるスピーカ、ヘッドレストスピーカ、ドア設置のスピーカ等の車載スピーカである。音響機器12は、指向性をもつスピーカでもよく、ノイズキャンセル機能を有していてもよい。
【0012】
映像機器13は、乗員に対して、地図や映像などの情報を含む画面を表示する。映像機器13は、センターディスプレイ、メータディスプレイ、リアシートディスプレイ等である。照明機器14は、車室内の照明であり、ルームライトである。照明機器14は、イルミネーションの光量、色調、ゆらぎ等を調整できる機能を有してもよく、また指向性をもつスポットライトや間接照明等でもよい。空調機器15は、車室内の空気室を調整するための機器であって、エアーコンディショナー、窓、サンルーフ等である。なお、窓やサンルーフは、ボタンのオンオフの切替でガラスの透過度を下げる、いわゆるスモーク機能(スモークの有無を切り替える機能)を有してもよい。
【0013】
座席機構16は、リクライニング機能、シートポジション調整機能等、座席の位置、傾きを調整する機能を有している。また座席機構16は、シートヒータ、ストレッチ器、マッサージ器などでもよい。芳香機器17は、乗員に向けて匂いを発する機器である。生体センサ18は、脈波や脳波等、乗員の生体を検出するセンサである。
【0014】
コントローラ20は、娯楽機能を有した車載装置10を制御するための制御装置であり、乗員に対して娯楽を提供する機能、乗員の覚醒度を検出する機能、乗員を覚醒するために車載装置10を制御する機能、及び、バッテリ30の状態を管理する機能等を有している。コントローラ20は、本実施形態に係る車両制御方法を実行させるプロセッサを有しており、機能ブロックとして、少なくとも車載制御部21、覚醒度検出部24、バッテリ管理部25とを含む。各機能ブロックは、ソフトウェアと、ハードウェア(プロセッサ)との協働により各機能を実行する。なお、コントローラ10が有する機能ブロックは、必ずしも、図1に示すような機能ブロックで分ける必要は無く、機能ブロック数も限定しない。
【0015】
車載制御部21は、車載装置10を制御する機能ブロックであり、娯楽制御部22及び覚醒制御部23を有している。娯楽制御部22は、車両1が駐車した状態でバッテリ30の充電中に、車載装置10を通じて乗員に娯楽を提供するように車載装置10を制御する。娯楽制御部22は、バッテリ30の充電中、乗員が車内に乗車している場合には、娯楽提供モード(リラックスモード)を動作させる。娯楽提供モードでは、娯楽制御部22は、音響機器12及び映像機器13を制御して、娯楽コンテンツを乗員に提供する。娯楽コンテンツは、映像コンテンツ、音響コンテンツ等の娯楽要素の一例であり、例えば、車両1の位置、現在時刻、日時、気候などに応じて選択される。なお娯楽コンテンツは、バッテリ充電時の固有のコンテンツでもよい。つまり、娯楽コンテンツが固有のコンテンツである場合には、車両の位置や、時刻等とは関係なく、娯楽制御部22は、バッテリ30の充電中に、同じ映像コンテンツが出力されるよう車載装置10を制御する。以下の説明では、娯楽コンテンツとして映像コンテンツを例として説明する。
【0016】
娯楽制御部22は、車両の位置情報、地図情報、時間情報、及び天候情報の少なくとも1つの情報を取得し、取得した情報に応じて映像コンテンツを選択する。例えば、娯楽制御部22は、車両の位置情報と地図情報から、車両の位置が海の近くであることを特定し、時間情報と天候情報から、夏、晴、及び夕方をそれぞれ特定する。娯楽制御部22は、特定した情報から、映像コンテンツとして、海の近くの夕焼けの映像をディスプレイに表示する。また、娯楽制御部22は、映像コンテンツに加えて、照明機器14及び/又は空調機器15を制御する。照明機器14の制御は、例えば室内灯の照度を低くする。空調機器15の制御は、例えばエアーコンディショナーの風にゆらぎをもたる。これにより、娯楽制御部22は、車両の現在位置、現在時刻、気候等に応じたリラックス空間を実現できる。
【0017】
娯楽制御部22は、例えば以下の演出方法で娯楽を提供する。娯楽制御部22は、車載のディスプレイとスピーカを使って、自然を感じられる風景の映像コンテンツを提供する。風景の映像コンテンツは、焚き火、波打ち際、日の出/日の入り、落葉する街路樹、川のせせらぎ、森等である。また、娯楽制御部22は、車両1の位置、季節、時刻、天候等に応じて映像コンテンツを選択する。現在時刻が夜間の場合には、娯楽制御部22は夜の焚火を表示させる。現在の季節が冬季の場合には、娯楽制御部22は雪の降る森の映像を表示させる。車両位置が海の近くである場合には、娯楽制御部22は波打ち際の映像を表示させる。車両位置が山の近くである場合には、娯楽制御部22は山の映像を表示させる。また娯楽制御部22は、映像コンテンツに加えて、車外から入るノイズを乗員の耳の位置で打ち消すように、いわゆるノイズキャンセル機能を動作させてもよい。これにより、映像コンテンツが、車両1の状態や環境に応じて変わるためマンネリ化を防ぎ、バッテリの充電中、ユーザが車外ではなく車内で過ごしてもらうよう、最適な娯楽を提供できる。
【0018】
娯楽提供の演出方法は、上記に限らず、照明機器14に含まれるルームライト又はイルミライトの光量や色調を変える、間接照明をオンにする等でもよい。演出方法の他の例として、空調機器15に含まれるエアーコンディショナーの風量や温度を変える、窓やサンルーフを変えて外気を車内に取り込むでもよい。演出方法の他の例として、座席機構16に含まれるリクライニングシートの傾きを小さくする、乗員の足元のスペースが広くなるようシートポジションを調整する、シートヒータをオンにする、フットレストが使用できる、シートマッサージャーをオンにする、である。また演出方法の他の例として、芳香機器17からリラックスできる香りを出力する。また、演出方法の他の例として、スモーク有無を切り替える機能を有した窓において、スモークをオンにして、プライベートな空間を演出するような方法でもよい。また、演出方法の他の例として、メータディスプレイの表示を演出するような方法でもよい。なお、娯楽制御部22は、娯楽の提供のための演出方法として、上記の演出方法を複数組み合わせてもよく、1つの演出方法でもよい。
【0019】
バッテリ30の充電中に、娯楽提供モードが動作し、乗員が車内で快適に過ごすことで、乗員の覚醒度が低くなる可能性がある。覚醒制御部23は、バッテリ30の充電終了後に、乗員が低覚醒状態で運転することをさけるために、バッテリ30の充電終了が近づいた時に、車載装置10を制御して、乗員を覚醒状態に導く。覚醒制御部23は、バッテリ30の残りの充電時間(以下、残充電時間とも称す)が所定時間以下である場合には、車両1の乗員を覚醒させるように車載装置10を制御する。バッテリ30の充電時間は、後述するバッテリ管理部25で管理されており、覚醒制御部23は、バッテリ30の状態を示すバッテリ情報を、バッテリ管理部25から取得する。バッテリ情報は、少なくともバッテリ30の残充電時間、及び/又は、バッテリ30のSOCを含んでいる。覚醒制御部23は、バッテリ30の充電終了が近づいたことを示す、残充電時間の時間閾値を有している。そして、覚醒制御部23は、現在の残充電時間と時間閾値とを比較することで、残充電時間が所定時間以下であるか否か判定する。
【0020】
なお、残充電時間が所定時間以下であるか否かの判定は、必ずしも時間を用いる必要はなく、SOCを用いてもよい。例えば、覚醒制御部23は、充電終了に近づいていることを示すための閾値として、SOC閾値を有している。SOC閾値は、充電の目標SOCあるいはバッテリ30の上限SOCより所定のSOCだけ低くした値である。またSOC閾値は、目標SOCあるいは上限SOCに対して所定値(例えば90%)を乗じた値でもよい。そして、覚醒制御部23は、バッテリ30の現在のSOCとSOC閾値を比較し、現在のSOCがSOC閾値以上になった場合には、現在の残充電時間が所定時間以下であると判定すればよい。
【0021】
なお、例えば、ナビゲーションシステムで車両1の目的地設定(ルート設定)がされている場合に、充電終了の目標値となる目標SOCは、バッテリ30を充電する時の車両位置と目的地との距離に応じて設定されてもよい。例えば、目的地に到着する前に充電スポット(外部充電装置2を備えた施設)に立ち寄りバッテリ30を充電するシーンを想定する。さらに、SOCに関する条件として、目的地到着時にSOCを30%以上残し、充電スポットから目的地までの走行によりSOCの20%分を消費する。このようなシーンにおいて、条件を満たすためには、充電スポットでバッテリ30を充電する時の目標SOCは50%に設定されればよい。
【0022】
そして、覚醒制御部23は、バッテリ30の残充電時間が所定時間以下である場合には、覚醒させるための覚醒処理を実行する。覚醒処理は、乗員を覚醒させるように、車載装置10を通じて乗員の感覚に刺激や変化を与えるための、車載装置10の制御処理である。覚醒処理の対象は、車載装置10のうち、映像機器12等の娯楽機能を有した装置、及び/又は、空調機器15等の娯楽機能を有していない装置である。例えば、車載装置10は、映像や音響などのコンテンツの演出により、乗員を覚醒させる場合には、覚醒のための出力コンテンツは、娯楽コンテンツよりも覚醒し易い娯楽要素を含んでおり、例えば、室内灯の照度を上げる、画面輝度を上げる、明るい映像を表示する等である。例えば、娯楽コンテンツとして、夜の焚火の映像が表示されている場合に、覚醒用のコンテンツでは、映像が朝の焚火となる。また覚醒処理は、必ずしもコンテンツの演出である必要はない。言い換えると、覚醒制御部23は、娯楽制御部22による娯楽コンテンツの演出は異なる車載装置10の出力制御で覚醒処理を実行してもよい。
【0023】
覚醒処理について以下説明する。覚醒制御部23は、映像コンテンツを変化させることで覚醒処理を実行する。例えば覚醒制御部23は、娯楽コンテンツとして演出していた雪の映像を晴れの映像に変えることで覚醒用のコンテンツを出力する。他の例では、覚醒制御部23は、娯楽コンテンツとして演出していた静かな雨の映像を雷雨に変える。他の例では、覚醒制御部23は、娯楽コンテンツの映像から、充電の終了を想起させる映像に切り替える。このように、映像の変化で、乗員の視覚に変化を与えて乗員を覚醒させる。また、覚醒制御部23は、映像(ディスプレイ)の輝度を上げる及び/又は音量を大きくすることで覚醒用のコンテンツを出力。つまりコンテンツに含まれる娯楽要素は変わらないが、出力方法を変えることで、娯楽コンテンツを覚醒用のコンテンツに変える。
【0024】
娯楽制御部22が、娯楽提供のために、ルームライト又はイルミライトの光量や色調を標準設定値から変えている場合には、覚醒制御部23は光量や色調を元の標準設定値に戻すことで、覚醒コンテンツを出力してもよい。また、覚醒制御部23は、娯楽提供時に夜間を演出する照明よりも、照度を上げる、あるいは、照明色を昼比較色に変えて、乗員を覚醒させてもよい。つまり、乗員はライトの光量や色調の変化で覚醒する。同様に、覚醒制御部23は、娯楽提供のため、エアーコンディショナーの出力値を標準設定値から変えている場合、あるいは、リクライニングシートの位置を標準設定値から変えている場合には、エアーコンディショナーの出力値、あるいは、リクライニングシートの位置を元に戻すことで、乗員を覚醒させてもよい。またエアーコンディショナーの出力をシートごとに変えることができる場合には、覚醒制御部23は、娯楽提供のため、設定を変更したエアーコンディショナーの出力を元に戻すことで、乗員を覚醒させてもよい。また覚醒制御部23は、娯楽提供用にオンにしていたシートヒータやマッサージ器をオフにしてもよい。
【0025】
また娯楽制御部22は、娯楽コンテンツを提供するために制御されている車載装置10とは異なる車載装置10を制御することで、覚醒処理を実行してもよい。例えば、娯楽制御部22が、娯楽用の映像コンテンツを音響機器12及び映像機器13から出力している場合に、娯楽制御部22は、空調機器15を制御して、エアーコンディショナーの風を乗員に当てる、又は、設定温度を下げることで、乗員を覚醒させてもよい。また、例えば、娯楽制御部22が、車載ディスプレイを用いて、娯楽用の映像コンテンツを出力する場合に、覚醒制御部23は、指向性をもつスポットライトを乗員に当てて、乗員を覚醒させてもよい。また、覚醒制御部23は、ミントやレモン系といった眠気覚ましに有効な香りが出力するよう、芳香機器17を制御してもよい。つまり、覚醒制御部23は、映像機器13に属する機器の中から、娯楽提供用と覚醒用で別々の機器としてもよい。なお、芳香機器17が香りのオンオフをシートごとに制御できる場合には、覚醒制御部23は、覚醒処理を行う座席位置に対して、香りが出力するよう、芳香機器17を制御してもよい。
【0026】
覚醒度検出部24は、車載装置10から、乗員の覚醒度を示す覚醒情報を取得し、乗員の覚醒度(覚醒状態)を検出する。覚醒情報は、乗員の覚醒状態を示す情報であって、車載装置10のうち、カメラ11の撮像画像及び/又は生体センサ18の検出値に相当する。覚醒度検出部24は、生体センサ18から取得した乗員の生体データに基づいて、乗員の脈波や脳波の変化から乗員の覚醒度を検出する。あるいは、覚醒度検出部24は、カメラ11から取得した乗員の顔画像データに基づいて、乗員の眼の開閉判定を行い、所定時間内に発生した閉眼数の積算値を算出することで、乗員の覚醒度を検出してもよい。また、覚醒度検出部24は、カメラ11から取得した乗員の顔画像データに基づいて、乗員の表情変化の判定することで、乗員の覚醒度をしてもよい。
【0027】
覚醒度検出部24は、検出した覚醒度と覚醒度閾値を比較し、覚醒度が覚醒度閾値以下である場合には、乗員を覚醒させるための覚醒制御指令を覚醒制御部23に出力する。覚醒制御部23は、覚醒度検出部24から覚醒制御指令を取得した場合に上記の覚醒処理を実行する。覚醒度は、乗員のリラックス度合いや、乗員の眠気の度合いを値で示した値であり、覚醒度が低い程、乗員がよりリラックスしている、あるいは、乗員の眠気が強いことを示している。覚醒度閾値は、充電中、車室内にいる乗員を覚醒させるか否かを判定するための閾値であり、予め設定されている。また覚醒度検出部24は、車両1に乗車している乗員毎に、覚醒度を検出できる。
【0028】
なお、覚醒度検出部24は、カメラ11の撮像画像及び/又は生体センサ18の検出値を必ずしも用いる必要は無く、覚醒度を、バッテリ30の充電時間と相関性のある値として、各制度を検出してもよい。バッテリ30の充電時間が短い場合には覚醒度は低くならないという想定のもと、充電時間と覚醒度の間の相関性は、充電時間が長くなるほど覚醒度は下がるとみなす。このような相関性の下、覚醒度検出部24は、充電時間が長くなるほど覚醒度は下がるような演算処理により、覚醒度を検出してもよい。
【0029】
バッテリ管理部25は、バッテリ30の充電中にバッテリ30の状態を管理する。バッテリ管理部25は、バッテリ30に接続されている電圧センサ及び/又は電流センサから取得したバッテリ情報(センサの検出値)に基づき、バッテリ30のSOC及び/又は残充電容量を検出する。残充電容量は、バッテリ30に充電されている充電容量であり、例えば電流積算値から算出される。またバッテリ管理部25は、バッテリ30の充電中、車両1と外部充電装置2との間の通信を介して、外部充電装置2からバッテリの30の状態や残充電時間など、バッテリ30の充電の進捗情報を含むバッテリ情報を取得する。バッテリ管理部25は、外部充電装置2から取得したバッテリ情報、及び/又は、バッテリ30のセンサから取得したバッテリ情報に基づき、バッテリ30の残充電時間及び/又はSOCを算出する。
【0030】
バッテリ(車載バッテリ)30は、車両1に搭載される二次電池であって、例えばリチウムイオン電池である。外部充電装置2は、車両1の充電ポートに充電用ケーブルを接続し、車両1の外部からバッテリ30を充電する。外部充電装置2は、バッテリ30の充電状態を示すバッテリ情報をコントローラ20に送信する。充電状態を示すバッテリ情報は、例えば残充電時間、バッテリ30の状態等である。外部充電装置2は、接触式に限らず非接触式の充電装置でもよい。
【0031】
次に、図2を参照して、コントローラ20により実行される、車載装置10の車両制御方法を説明する。図2は、コントローラ20の車両制御の処理フローを示すフローチャートである。コントローラ20は、車両1が充電可能な状態で駐車し、ユーザが車両に乗車した状態で、以下の制御フローを実行する。
【0032】
ステップS1にて、ユーザが、バッテリ30の充電を開始するために、タッチパネル式のディスプレイ(映像機器13に相当)を操作する。コントローラ20のバッテリ管理部25は、ディスプレイの操作指令に基づき、バッテリ30の充電を開始する。バッテリ管理部25は、タイマー設定により充電を開始してもよい。また、バッテリ管理部25は、車両1の充電ポートに充電用ケーブルを接続したことを契機に充電を開始してもよい。
【0033】
ステップS2にて、コントローラ20の娯楽制御部22は、娯楽提供モードを動作させて、車載装置10を通じて乗員に娯楽を提供するように車載装置10を制御する。なお、娯楽提供モードは自動的に動作させてもよいし、ユーザの指示により動作させてもよい。なお、ステップS1にて、車両1の充電ポートに充電用ケーブルを接続したことを契機に充電を開始していた場合は、娯楽制御部22は、ユーザが車両に乗車しているかを検知してから車載装置10を制御してもよい。ステップS3にて、コントローラ20のバッテリ管理部25は、バッテリ30の充電中に、バッテリ30の状態を管理する。ステップS4にて、コントローラ20の覚醒制御部23は、バッテリ管理部25からバッテリ情報を取得し、取得したバッテリ情報に基づき、バッテリ30の残充電時間が所定時間以下であるか否かする。バッテリ30の残充電時間が所定時間より大きい場合には、コントローラ20はステップS3の制御を実行する。
【0034】
バッテリ30の残充電時間が所定時間以下である場合には、ステップS5にて、コントローラ20の覚醒度検出部24は、カメラ11の撮像画像又は生体センサ18の検出値に基づき乗員の覚醒度を検出する。ステップS6にて、覚醒度検出部24は、検出された覚醒度と覚醒度閾値を比較し、覚醒度が覚醒度閾値以下であるか否か判定する。覚醒度が覚醒度閾値より高い場合には、コントローラ20はステップS8の制御処理を実行する。
【0035】
覚醒度が覚醒度閾値以下である場合には、ステップS7にて、コントローラ20の覚醒制御部23は覚醒させるための覚醒処理を実行する。覚醒処理の制御対象となる車載装置10は、音響機器12、映像機器13、照明機器14、空調機器15、座席機構16、及び芳香機器17のうち少なくとも1つの機器である。そして、覚醒制御部23は、覚醒処理の制御対象となる車載装置10のうち、少なくとも1つの車載装置10を制御すればよく、あるいは複数の車載装置10を並列して覚醒処理を実行してもよい。
【0036】
ステップS8にて、バッテリ管理部25は、バッテリ情報に基づき、バッテリ30の充電が終了したか否か判定する。バッテリ30の充電が終了していないと判定した場合には、コントローラ20はステップS5以降の制御処理を実行する。バッテリ30の充電が終了したと判定した場合には、コントローラ20は図2に示す制御フローを終了する。
【0037】
上記のように、本実施形態に係る車両制御方法及び車両制御装置は、車両1が駐車した状態でバッテリ30の充電中に、車載装置10を通じて乗員に娯楽を提供するように車載装置10に出力し、バッテリ30の充電中にバッテリ30の状態を管理し、バッテリ30の残充電時間が所定時間以下である場合には、車両1の乗員を覚醒させるように車載装置10を制御する。これにより、バッテリの充電中に、乗員が車内で快適に過ごすことができる。また、バッテリ30の充電が終了に近づくと、乗員が覚醒するよう車載装置10が制御されるため、車室がリラックスした空間になることで、乗員(特に運転者)の覚醒度が低くなった場合でも、運転前に少なくとも運転者を覚醒できる。その結果として、バッテリ30の充電中の娯楽の提供により、運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0038】
上記のように本実施形態では、乗員の覚醒情報を取得し、覚醒度が所定の覚醒度以下である場合に、乗員を覚醒させるように車載装置10を制御する。これにより、乗員の覚醒度が低くなった場合に、運転前に乗員を覚醒できる。
【0039】
また本実施形態では、バッテリ30の充電中に、バッテリ30の状態を示すバッテリ情報を車両1の外部から取得する。これにより、外部の充電装置でバッテリ30の充電中に、バッテリ30の状態を管理しつつ、バッテリ30の充電が終了に近づくと乗員が覚醒するよう車載装置10を制御できる。
【0040】
また本実施形態では、生体センサ18の検出値に基づき乗員の覚醒度を検出する。これにより、バッテリ30の充電中、車室内の乗員のリラックス度合いを把握できる。
【0041】
また本実施形態では、覚醒処理の制御対象となる車載装置10は、音響機器12、映像機器13、照明機器14、空調機器15、座席機構16、及び芳香機器17のうち少なくとも1つの機器である。これにより、車載装置10を使って乗員を覚醒できる。
【0042】
なお本実施形態において、覚醒制御部23は覚醒処理を段階的に実行してもよい。例えば、覚醒制御部23は映像コンテンツの再生中に音量を増大させることで覚醒処理を実行する場合には、音量レベルを多段階で上げてもよい。
【0043】
なお本実施形態において、コントローラ20は、ステップS5及びステップS6の制御処理を省略し、ステップS4の判定で残充電時間が所定時間以下であると判定された場合に、覚醒処理を実行してもよい。
【0044】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態を図面に基づいて説明する。図3は第2実施形態における車両制御装置を含む車両及び外部充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図4はコントローラ20の車両制御の処理フローを示すフローチャートである。
【0045】
本実施形態では、車載装置10が着座センサ19をさらに備えている点、及び、コントローラ20が乗員検出部26及び関係性推定部27をさらに備えている点で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と異なる点を説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
車載装置10は、カメラ11等に加えて、着座センサ19を備えている。着座センサ19は、車両1の座席ごとに設けられ、乗員が座席に座ったことを検出するためのセンサである。着座センサには例えば荷重センサが用いられる。着座センサ19の検出値はコントローラ20に送信される。
【0047】
コントローラ20は、車載制御部21等に加えて、乗員検出部26と関係性推定部27を備えている。乗員検出部26は、着座センサ19の検出値に基づき、車室内の座席のうち乗員が乗車している乗車位置を特定し、特定された乗車位置に応じて運転者及び同乗者を検出する。また乗員検出部26は、カメラ11の画像から乗客の乗車位置を特定してもよい。また乗員検出部26はカメラ11の撮像画像から、乗客の年齢、性別等の乗員の属性を検出してもよい。さらに、乗員検出部26は、カメラ11の撮像画像から、個人を検出してもよい。例えば、乗員検出部26は、車両のオーナーや、車両を頻繁に利用するユーザの顔写真を予め登録し、撮像画像から顔を認識し、登録された顔画像と認識された顔画像が一致している否かにより、個人を検出する。なお、乗員検出部26は、ユーザ操作に基づき顔画像を登録してもよく、あるいは、車両の乗車後に顔画像を取得し、乗車頻度の高い顔画像を登録してもよい。
【0048】
関係性推定部27は、乗員検出部26の検出結果より複数の乗員を検出した場合には、複数の乗員の関係性を推定する。関係性は、家族関係、友人関係、恋人関係、親子関係、会社関係(ビジネスの間柄)等である。関係性推定部27は、カメラ11の撮像画像及び/又は音響機器12に含まれるマイクの音声から、乗員の関係性を推定する。例えば、ユーザの顔写真と関係性が予め登録されている場合には、関係性推定部27は、カメラ11で撮影される顔画像から関係を推定してもよい。また、関係性推定部27は、乗員検出部26で検出される乗員の属性から関係性を推定してもよい。例えば、関係性推定部27は、乗員検出部26の検出結果に基づき、大人が運転席に乗車し、子供が助手席又は後部座席に乗車していることを、特定した場合には、関係性が親子関係及び/又は家族関係であると判定する。また関係性推定部27は、マイクの音声から乗員の会話を取得し、会話の分析結果から関係性を推定してもよい。例えば、乗員が運転者と助手席にそれぞれ座っている状態で、音声分析から敬語で話していることが特定された場合には、関係性推定部27は、運転者と同乗者の関係性を会社関係として推定する。また関係性推定部27は、乗車頻度に基づき関係性を推定してもよい。例えば乗員検出部26は検出した乗員の乗車頻度を計測し、乗車頻度の高い乗員の関係性を、家族関係又は恋人関係として推定してもよい。
【0049】
覚醒度検出部24は、乗員検出部で検出された乗員の座席ごとに乗員の覚醒度を検出する。覚醒制御部23は、乗員検出部26により検出された乗員に応じて、乗員を覚醒するためのコンテンツの要素を制御してもよい。乗員を覚醒するためのコンテンツは、娯楽制御部22で提供される娯楽コンテンツよりも覚醒し易い娯楽要素を含んだコンテンツ、又は、娯楽コンテンツとは異なる覚醒用コンテンツである。娯楽の要素は、例えばコンテンツの内容や、コンテンツを提供する時に制御される車載装置の対象により変わる。
【0050】
例えば、運転者と同乗者が乗車している場合に、同乗者は必ずしも覚醒する必要はない。そのため、覚醒制御部23は、運転者に提供されるコンテンツと比較した場合に、同乗者にはよりリラックス度合いを高めたコンテンツを提供するよう車載装置10を制御し、同乗者の覚醒度を高めないようにする。リラックス度合いを高めたコンテンツは、例えば運転者のコンテンツよりも輝度を抑えた映像や、よりリラックス効果の高い音楽等である。また覚醒制御部23は、乗員の乗車位置に応じてコンテンツの要素を制御してもよい。例えば、覚醒制御部23は、運転者の覚醒度が娯楽提供によって低くならないように、運転者に提供される映像コンテンツと、同乗者に提供される映像コンテンツとを変えてもよい。
【0051】
また運転者と助手席の人が乗車している場合には、運転者に加えて同乗者を覚醒させてもよい。このとき、後部座席の同乗者は必ずしも覚醒する必要はない。助手席の人は、車両1の走行中に運転者の話し相手になってほしい場合もある。このような場合には、覚醒制御部23は、助手席の人を覚醒させるように覚醒処理を実行する。一方、後部座席の人は覚醒させる必要はないため、覚醒制御部23は後部座席に対して覚醒処理を実行せず、娯楽制御部22は娯楽コンテンツの提供を継続する。
【0052】
また覚醒制御部23は、関係性推定部27により推定された関係性に応じて、乗員を覚醒するためのコンテンツの要素を制御する。例えば、関係性推定部27により推定された関係性が家族関係又は恋人関係である場合には、覚醒制御部23は運転者を覚醒させるように覚醒用コンテンツを提供し、推定された関係性をもつ同乗者に対して覚醒しないように、コンテンツを提供する。言い換えると、覚醒制御部23は、運転者に対して覚醒処理を実行し、推定された関係性をもつ同乗者に対して覚醒処理を実行しない。例えば、関係性推定部27により推定された関係性が親子関係である場合には、覚醒制御部23は運転者を覚醒させるように覚醒用コンテンツを提供し、子供に対して覚醒しないようにコンテンツを提供する。あるいは、娯楽制御部22及び覚醒制御部23は子供に対して、娯楽用コンテンツ及び覚醒用コンテンツを提供しなくてもよい。これにより、大人より体力が低い子供を覚醒しないような車室空間を実現できる。
【0053】
また、例えば、関係性推定部27により推定された関係性が会社関係である場合には、覚醒制御部23は推定された関係性をもつ乗員に対して覚醒用コンテンツを提供することで、覚醒処理を実行する。これにより、互いに敬語で話すようなビジネス的な間柄の乗員を覚醒できる。
【0054】
次に、図4を参照してコントローラ20により実行される、車載装置10の車両制御方法を説明する。ステップS11~S14の制御フローは、第1実施形態におけるステップS1~S4の制御フローと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0055】
ステップS15にて、コントローラ20の乗員検出部26は乗員を検出する。ステップS16にて、乗員検出部26は乗員の検出結果から同乗者がいるか否かを判定する。同乗者がいる場合には、ステップS17にて、コントローラ20の関係性推定部27は運転者と同乗者との間の関係性を推定する。ステップS18にて、覚醒制御部23は覚醒対象乗員を決定する。覚醒制御部23は、上記のように、乗員の関係性及び/又は乗員の乗車位置に基づき、覚醒処理の対象となる乗員を決定する。
【0056】
ステップS19~S22の制御フローは、第1実施形態におけるステップS5~S8の制御フローと同様であるが、ステップS19の覚醒度検出及びステップS22の覚醒処理は、覚醒対象の乗員に対して実行される。
【0057】
上記のように、本実施形態では、運転者及び同乗者を検出し、検出された乗員に応じて、乗員を覚醒するためのコンテンツの要素を制御する。これにより、例えば同乗者を覚醒せずに、運転者を覚醒させることができる。その結果として、同乗者は、バッテリ30の充電終了まで車内で快適に過ごすことができ、運転者は、バッテリ30の充電中にリラックスした空間内で過ごすことで覚醒度が低くなった場合でも運転前に覚醒できる。
【0058】
また本実施形態では、運転者と同乗者の関係性を推定し、関係性に応じて、乗員を覚醒するためのコンテンツの要素を制御する。これにより、例えば運転者と親密度の高い乗員を覚醒せずに、運転者を覚醒させることができる。その結果として、同乗者は、バッテリ30の充電終了まで車内で快適に過ごすことができ、運転者は、バッテリ30の充電中にリラックスした空間内で過ごすことで覚醒度が低くなった場合でも運転前に覚醒できる。
【0059】
また本実施形態では、乗員の乗車位置に応じて乗員を覚醒するためのコンテンツの要素を制御する。これにより、例えば、同乗者を覚醒せず、運転者を覚醒させることができる。その結果として、同乗者は、バッテリ30の充電終了まで車内で快適に過ごすことができ、運転者は、バッテリ30の充電中にリラックスした空間内で過ごすことで覚醒度が低くなった場合でも運転前に覚醒できる。
【0060】
なお本実施形態において、覚醒制御部21は、運転者と同乗者の関係性に加えて、バッテリ30を充電しているときの車両の位置、及び/又は、バッテリ30の充電終了時刻に基づき、覚醒対象乗員を決定してもよい。例えば、ナビゲーションシステムで車両1の目的地設定(ルート設定)がされており、バッテリ30を充電中の車両位置が目的地に近い、又は、バッテリ30の充電終了時刻が目的地の到着時刻に近い、シーンを想定する。このようなシーンで、関係性が親子関係又は家族関係である場合には、覚醒制御部23は同乗者も覚醒対象乗員とする。これにより、家族旅行の際、目的地に近いの充電スポットでバッテリ30を充電した後、運転者は目的地に到着した時の高揚感を同乗者と共有できる。
【0061】
また、例えば、バッテリ30を充電中の車両位置が高速道路のサービスエリアなど、充電後も長時間の運転を推定できるようなシーンを想定する。このようなシーンでは、関係性が親子関係又は家族関係である場合には、覚醒制御部23は同乗者を覚醒対象から外してもよい。これにより、充電後も高速道路での走行する場合には、バッテリ30の充電中にリラックスした空間内で過ごすことで覚醒度が低くなったときでも運転者だけを運転前に覚醒できる。さらに、バッテリ30の充電終了時刻が夜間など遅い時間帯である場合には、覚醒制御部23は同乗者を覚醒対象から外してもよい。これにより、同乗者の眠りを阻害することなく、運転者だけを運転前に覚醒できる。
【0062】
なお本実施形態において、関係性推定部27は省略されてもよく、覚醒制御部23は乗員検出部26の検出結果に基づき覚醒処理を実行すればよい。
【0063】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0064】
1…車両
2…外部充電装置
10…車載装置
20…コントローラ
21…車載制御部
22…娯楽制御部
23…覚醒制御部
24…覚醒度検出部
25…バッテリ管理部
26…乗員検出部
27…関係性推定部
30…バッテリ
図1
図2
図3
図4