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特開2023-180747充電システム、充電スケジュール決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180747
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】充電システム、充電スケジュール決定方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231214BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231214BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231214BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094296
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA08
5G503CB16
5G503EA05
5G503FA06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB09
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】給電側のシステムによらず、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる充電システムおよび充電スケジュール決定方法を提供する。
【解決手段】充電システムが、複数の対象車両を含む。複数の対象車両の各々は、車両外部からの電力を用いて充電可能な蓄電装置を備える。複数の対象車両の各々は、車両状態に基づいて充電スケジュールを決めるためのスケジュール条件を示す情報を保有する。複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両が車両状態を示す情報を相互にやり取りした後、当該複数の対象車両の少なくとも1台が、スケジュール条件と各対象車両の車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象車両を含む充電システムであって、
前記複数の対象車両の各々は、車両外部からの電力を用いて充電可能な蓄電装置を備え、
前記複数の対象車両の各々は、車両状態に基づいて充電スケジュールを決めるためのスケジュール条件を示す情報を保有し、
前記複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両が前記車両状態を示す情報を相互にやり取りした後、当該複数の対象車両の少なくとも1台が、前記スケジュール条件と各対象車両の前記車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の前記充電スケジュールを決定する、充電システム。
【請求項2】
前記車両状態は、前記蓄電装置のSOCを含み、
前記スケジュール条件は、前記蓄電装置のSOCがSOC基準値を下回る対象車両の充電を優先することを規定し、
前記複数の対象車両の少なくとも1台は、前記蓄電装置のSOCが前記SOC基準値を下回る前記対象車両の充電が優先的に早く開始されるように、当該複数の対象車両の充電順序を決定するように構成される、請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記スケジュール条件は、前記対象車両による充電が実行される時間帯を示す充電時間帯を含み、
前記複数の対象車両の少なくとも1台は、当該複数の対象車両の全ての充電が前記充電時間帯内で開始され、かつ、終了するように、当該複数の対象車両の充電開始時刻および充電終了時刻を決定するように構成される、請求項1に記載の充電システム。
【請求項4】
前記スケジュール条件は、同時に充電可能な前記対象車両の台数を示す上限台数を含み、
前記複数の対象車両の少なくとも1台は、同時に充電する前記対象車両の台数が前記上限台数を超えないように、当該複数の対象車両の前記充電スケジュールを決定するように構成される、請求項1に記載の充電システム。
【請求項5】
前記スケジュール条件は、前記車両状態に基づいて優先する充電を規定する第1条件と、前記車両状態に基づいて後回しにする充電を規定する第2条件と、前記複数の対象車両の各々について予め設定された優先順位とを含み、
前記複数の対象車両の少なくとも1台は、当該複数の対象車両の前記充電スケジュールについて、前記第1条件で優先される充電と前記第2条件で後回しにされる充電とのいずれにも該当しない充電のスケジュールを、前記優先順位を用いて決定する、請求項1に記載の充電システム。
【請求項6】
当該充電システムは、前記複数の対象車両の各々について当該対象車両のユーザが操作可能なユーザ端末をさらに含み、
前記ユーザ端末は、前記対象車両に搭載された車載端末と、前記対象車両のユーザが携帯する携帯端末との少なくとも一方を含み、
前記複数の対象車両は、相互の通信により、充電開始前に決定された前記充電スケジュールを共有し、
前記対象車両ごとの前記ユーザ端末は、当該対象車両の前記充電スケジュールを表示するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記充電スケジュールに従って前記蓄電装置の充電を開始した前記対象車両が、当該蓄電装置の充電を終了すると、前記充電スケジュールに従って次に充電を開始する予定の前記対象車両へ充電終了信号を送信し、前記充電終了信号を受信した前記対象車両は、前記蓄電装置の充電を開始する、請求項1~5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項8】
当該充電システムは、共通の分電盤から電力の供給を受ける複数の給電口をさらに含み、
前記複数の対象車両が前記複数の給電口を用いて前記蓄電装置を充電しようとする場合には、当該複数の対象車両による充電開始前に、前記充電スケジュールの決定が実行され、前記複数の対象車両が前記複数の給電口を用いることなく前記蓄電装置を充電しようとする場合には、前記充電スケジュールの決定は実行されない、請求項1~5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項9】
スケジュール条件を示す情報を保有する複数の対象車両の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置の充電準備を行うことと、
前記複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定することと、
を含み、
前記複数の対象車両の前記充電スケジュールを決定することは、
当該複数の対象車両のうち1台の前記対象車両が他の対象車両から車両状態を示す情報を取得することと、
前記1台の対象車両が、前記スケジュール条件と各対象車両の前記車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定することと、
を含む、充電スケジュール決定方法。
【請求項10】
スケジュール条件を示す情報を保有する複数の対象車両の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置の充電準備を行うことと、
前記複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の各々が充電スケジュールを取得することと、
を含み、
前記複数の対象車両の各々が前記充電スケジュールを取得することは、
当該複数の対象車両の各々が、前記スケジュール条件および車両状態を示す情報をクラウド上のコンピュータへ送信することと、
当該複数の対象車両の各々が、前記コンピュータによって決定された前記充電スケジュールを前記コンピュータから受信することと、
を含む、充電スケジュール決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システムおよび充電スケジュール決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-065395号公報には、電気自動車(BEV)に搭載された駆動用バッテリを充電するHEMS(Home Energy Management System)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-065395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるHEMSは、車両(例えば、BEV)による充電スケジュールを決定する。しかしながら、現状においてHEMSを具備する住宅の割合は必ずしも高くない。近年、環境保全などの観点から車両の電動化を促進する政策が世界各国でなされている。しかし、給電側(例えば、住宅側)のシステムが電動車両(以下、「xEV」とも称する)の充電スケジュール管理に対応していないことが、xEVの普及を妨げる一因となっている。例えば、一棟の住宅で複数のxEVが保有される形態において、各xEVのユーザが任意のタイミングで自由に充電を実行した場合には、複数のxEVによる充電が同時に実行されやすくなり、上記住宅に決められた電気容量(例えば、分電盤の主幹容量、または契約容量)を超えてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電側のシステムによらず、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる充電システムおよび充電スケジュール決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点に係る形態に従うと、以下に示す充電システムが提供される。
(第1項)充電システムが、複数の対象車両を含む。複数の対象車両の各々は、車両外部からの電力を用いて充電可能な蓄電装置を備える。複数の対象車両の各々は、車両状態に基づいて充電スケジュールを決めるためのスケジュール条件を示す情報を保有する。複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両が車両状態を示す情報を相互にやり取りした後、当該複数の対象車両の少なくとも1台が、スケジュール条件と各対象車両の車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定する。
【0007】
上記の充電システムでは、充電しようとする複数の対象車両の少なくとも1台によって、充電開始前に、それら対象車両の充電スケジュールが決定される。充電スケジュールは、所定のスケジュール条件と各対象車両の車両状態とを用いて決定される。このため、早期の充電を必要とする状態の対象車両の充電を優先することが可能である。また、充電スケジュールを決めるためのスケジュール条件は予め定められているため、ユーザ間の公平性が高い。また、充電開始前に、車両状態(対象車両の状態)を示す情報が対象車両間で相互にやり取りされるため、充電しようとする各対象車両は、自車の充電スケジュールが上記スケジュール条件に従って適切に決定されたかどうかを確認することができる。こうした構成によっても公平性が担保されている。そして、上記充電システムでは、充電しようとする対象車両が充電開始前に充電スケジュールを決定する。このため、上記の充電システムは、給電側のシステムによらず、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる。
【0008】
充電しようとする複数の対象車両のうち、1台の対象車両が、それら対象車両の充電スケジュールを決定する形態では、その1台の対象車両が、決定された充電スケジュールを他の対象車両へ送信してもよい。あるいは、充電しようとする複数の対象車両の各々が、それら対象車両の充電スケジュールを決定してもよい。なお、充電スケジュールは、充電期間(例えば、充電開始時刻および充電終了時刻)または充電順序を含んでもよい。
【0009】
対象車両は、電力を動力源の全てまたは一部として利用する電動車両(xEV)であってもよい。xEVには、BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)などが含まれる。
【0010】
充電しようとする複数の対象車両は、車両同士の直接的な通信(V2V通信:車車間通信)によって、車両状態を示す情報を相互にやり取りしてもよいし、他の装置(例えば、クラウド上のコンピュータ)を介して、上記情報を相互にやり取りしてもよい。
【0011】
上記第1項に記載の充電システムは、以下に示す第2項~第8項のいずれか1項に記載の構成を有し得る。
【0012】
(第2項)第1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。車両状態は、蓄電装置のSOC(State Of Charge)を含む。スケジュール条件は、蓄電装置のSOCがSOC基準値を下回る対象車両の充電を優先することを規定する。複数の対象車両の少なくとも1台は、蓄電装置のSOCがSOC基準値を下回る対象車両の充電が優先的に早く開始されるように、当該複数の対象車両の充電順序を決定するように構成される。
【0013】
上記構成によれば、蓄電装置のSOCが不足している対象車両の充電を優先するように充電スケジュールを決定することが可能になる。これにより、各対象車両が電欠しにくくなる。
【0014】
(第3項)第1項または第2項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。スケジュール条件は、対象車両による充電が実行される時間帯を示す充電時間帯を含む。複数の対象車両の少なくとも1台は、当該複数の対象車両の全ての充電が充電時間帯内で開始され、かつ、終了するように、当該複数の対象車両の充電開始時刻および充電終了時刻を決定するように構成される。
【0015】
上記構成によれば、ユーザによって都合の良い時間帯に対象車両による充電が実行されやすくなる。充電時間帯は、電気料金が安い時間帯(例えば、深夜の時間帯)であってもよい。
【0016】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。スケジュール条件は、同時に充電可能な対象車両の台数を示す上限台数を含む。複数の対象車両の少なくとも1台は、同時に充電する対象車両の台数が上限台数を超えないように、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定するように構成される。
【0017】
上記構成によれば、同時に充電する対象車両の台数が所定の上限台数を超えにくくなる。これにより、上記複数の対象車両に供給される総電力値が過剰に大きくなることが抑制される。
【0018】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。スケジュール条件は、車両状態に基づいて優先する充電を規定する第1条件と、車両状態に基づいて後回しにする充電を規定する第2条件と、複数の対象車両の各々について予め設定された優先順位とを含む。複数の対象車両の少なくとも1台は、当該複数の対象車両の充電スケジュールについて、第1条件で優先される充電と第2条件で後回しにされる充電とのいずれにも該当しない充電のスケジュールを、上記優先順位を用いて決定する。
【0019】
上記構成によれば、第1条件に従って所定の充電を優先することが可能になる。また、第2条件に従って所定の充電を後回しにすることが可能になる。また、第1条件で優先される充電と第2条件で後回しにされる充電とのいずれにも該当しない充電の優先順位を、ユーザ同士で話し合って任意に設定することが可能になる。
【0020】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。充電システムは、複数の対象車両の各々について当該対象車両のユーザが操作可能なユーザ端末をさらに含む。ユーザ端末は、対象車両に搭載された車載端末と、対象車両のユーザが携帯する携帯端末との少なくとも一方を含む。複数の対象車両は、相互の通信により、充電開始前に決定された充電スケジュールを共有する。対象車両ごとのユーザ端末は、当該対象車両の充電スケジュールを表示するように構成される。
【0021】
上記構成によれば、各ユーザが、ユーザ端末を操作して、自身の対象車両の充電スケジュールを確認することが可能になる。
【0022】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。充電スケジュールに従って蓄電装置の充電を開始した対象車両が、当該蓄電装置の充電を終了すると、充電スケジュールに従って次に充電を開始する予定の対象車両へ充電終了信号を送信し、充電終了信号を受信した対象車両は、蓄電装置の充電を開始する。
【0023】
上記構成によれば、複数の対象車両が、決定された充電スケジュールに従って充電を実行しやすくなる。
【0024】
(第8項)第1項~第7項のいずれか1項に記載の充電システムが以下の特徴をさらに有する。充電システムは、共通の分電盤から電力の供給を受ける複数の給電口をさらに含む。複数の対象車両が複数の給電口を用いて蓄電装置を充電しようとする場合には、当該複数の対象車両による充電開始前に、前述した充電スケジュールの決定が実行され、複数の対象車両が複数の給電口を用いることなく蓄電装置を充電しようとする場合には、前述した充電スケジュールの決定は実行されない。
【0025】
上記構成によれば、上記分電盤の最大需要電力を低減しやすくなる。これにより、上記分電盤の需要電力が所定の容量(例えば、契約によって定められた容量)を超えることが抑制される。また、分電盤の最大需要電力が低減されることによって、電力負荷平準化が図られる。
【0026】
本開示の第2の観点に係る形態に従うと、以下に示す充電スケジュール決定方法が提供される。
【0027】
(第9項)充電スケジュール決定方法が、スケジュール条件を示す情報を保有する複数の対象車両の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置の充電準備を行うことと、複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定することとを含む。複数の対象車両の充電スケジュールを決定することは、当該複数の対象車両のうち1台の対象車両が他の対象車両から車両状態を示す情報を取得することと、上記1台の対象車両が、スケジュール条件と各対象車両の車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定することとを含む。
【0028】
上記充電スケジュール決定方法でも、前述した充電システムと同様、充電しようとする対象車両が充電開始前に充電スケジュールを決定する。このため、上記充電スケジュール決定方法によれば、給電側のシステム(HEMSなど)に頼ることなく、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることが可能になる。
【0029】
本開示の第3の観点に係る形態に従うと、以下に示す充電スケジュール決定方法が提供される。
【0030】
(第10項)充電スケジュール決定方法が、スケジュール条件を示す情報を保有する複数の対象車両の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置の充電準備を行うことと、複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の各々が充電スケジュールを取得することとを含む。複数の対象車両の各々が充電スケジュールを取得することは、当該複数の対象車両の各々が、スケジュール条件および車両状態を示す情報をクラウド上のコンピュータへ送信することと、当該複数の対象車両の各々が、上記コンピュータによって決定された充電スケジュールを上記コンピュータから受信することとを含む。
【0031】
上記充電スケジュール決定方法では、クラウド上のコンピュータが充電スケジュールを決定する。そして、充電しようとする各対象車両は、充電開始前にクラウド上のコンピュータから充電スケジュールを受信する。このため、上記充電スケジュール決定方法によれば、給電側のシステム(HEMSなど)に頼ることなく、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることが可能になる。
【0032】
他の観点に係る形態に従うと、第9項または第10項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。さらに他の観点に係る形態に従うと、そのプログラムを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行するプロセッサとを備えるコンピュータ装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、給電側のシステムによらず、複数の車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる充電システムおよび充電スケジュール決定方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示の実施の形態に係る充電システムの概略的な構成を示す図である。
図2】本開示の実施の形態に係る充電システムに含まれる各対象車両および各給電設備について説明するための図である。
図3】本開示の実施の形態に係る充電システムに含まれる各対象車両の制御装置の構成について説明するための図である。
図4】本開示の実施の形態に係る対象車両が充電開始前に充電スケジュールを取得するために実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図4に示した情報共有および充電スケジュール決定に係る処理の一例について説明するための図である。
図6】対象車両間で共有される充電スケジュールの第1例を示すタイムチャートである。
図7】対象車両間で共有される充電スケジュールの第2例を示すタイムチャートである。
図8】対象車両間で共有される充電スケジュールの第3例を示すタイムチャートである。
図9】対象車両間で共有された充電スケジュールに含まれる第1充電のための充電制御を示すフローチャートである。
図10】対象車両間で共有された充電スケジュールに含まれる第1充電よりも後の充電のための充電制御を示すフローチャートである。
図11】対象車両が充電スケジュールを共有せずに単独で充電を実行する場合の充電制御を示すフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態に係る充電スケジュール決定方法の一例について説明するための図である。
図13図5に示した形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0036】
図1は、本開示の実施の形態に係る充電システムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、この実施の形態に係る充電システムは、建物300に適用される。この実施の形態では、建物300が、ユーザU1,U2の住む住宅である。詳しくは、建物300は、一戸建ての家である。ユーザU1,U2は、家族(例えば、夫婦、親子、または兄弟)であってもよい。ただしこれに限られず、建物300は、集合住宅であってもよいし、住宅以外の建物であってもよい。
【0037】
建物300は、電力システム700から電力の供給を受ける。電力システム700は、電力網710と、変電システム720とを含む。電力網710は、変電システム720を介して、所定エリアに電力を供給する。建物300は、所定エリア内に位置する。電力網710は、送配電設備によって構築される電力網である。電力網710には、複数の発電所(図示せず)が接続されている。電力網710は、それらの発電所から電力の供給を受けている。変電システム720は、発電された電力を需要家ごとに適した電力に変換するための各種の変電設備を含む。変電システム720は、一次変電所と、配電用変電所と、柱上変圧器とを含んでもよい。変電所フィーダごとにUFR(周波数低下リレー)が設置されてもよい。電力システム700は、交流電力(例えば、単相または三相交流電力)を供給する。
【0038】
建物300は、分電盤320およびコンセント装置330A,330Bを含む。分電盤320は、電力システム700から電力の供給を受ける。電力システム700と分電盤320との間にはスマートメータ310が設置されている。電力システム700から建物300に供給される電力量は、受電点に設置されたスマートメータ310によって計測される。計測された電力量は、電気料金の算出のために使用されてもよい。なお、この実施の形態に係る建物300は、HEMS(Home Energy Management System)を備えない。
【0039】
分電盤320は、電力システム700から供給された電力を、屋内に設置された複数のコンセント(図示せず)と、屋外へ電力を出力するコンセント装置330A,330Bとの各々へ出力する。建物300は、屋内のコンセントから電力の供給を受ける電力負荷(例えば、照明装置、空調設備、暖房器具、調理器具、情報機器、テレビ、冷蔵庫、および洗濯機)をさらに含む。コンセント装置330A,330Bは、共通の分電盤320から電力の供給を受け、xEV(電動車両)用の給電口として機能する。
【0040】
この実施の形態に係る充電システムは、車両100A,100Bと、携帯端末500A,500Bとをさらに含む。車両100A,100Bは、建物300の敷地内で管理される。車両100A,100Bの各々は、本開示に係る「対象車両」の一例に相当する。ユーザU1、U2は、それぞれ車両100A、100Bの所有者に相当する。車両100A、100Bは、それぞれユーザU1、U2によって日常的に使用される。車両100A,100Bの各々は、例えば内燃機関を備えない電気自動車(BEV)である。詳細は後述するが、ユーザU1,U2は、コンセント装置330A,330Bを用いて、車両100A,100Bに搭載された蓄電装置を充電することができる(図2参照)。ユーザU1,U2は、充電ケーブル340A,340Bを用いて、車両100A,100Bとコンセント装置330A,330Bとを電気的に接続することができる。コンセント装置330A,330Bの各々は、車両100A,100Bの一方のみに対応するように構成されてもよいし、車両100A,100Bの両方に対応するように構成されてもよい。
【0041】
携帯端末500A、500Bは、それぞれユーザU1、U2によって携帯される。この実施の形態では、携帯端末500A,500Bの各々として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。各携帯端末はコンピュータを内蔵する。各携帯端末には、当該充電システムを利用するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。ただしこれに限られず、携帯端末500A,500Bの各々としては、任意の携帯端末を採用可能であり、例えばラップトップ、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートグラスなど)、または電子キーも採用可能である。
【0042】
以下、図2を用いて、充電システムに含まれる各対象車両および各給電設備について説明する。この実施の形態では、車両100A,100Bと、コンセント装置330A,330Bと、充電ケーブル340A,340Bとが、以下に説明する図2に示す構成を有する。以下では、区別しない場合は、車両100A,100Bの各々を「車両100」、コンセント装置330A,330Bの各々を「コンセント装置330」、充電ケーブル340A,340Bの各々を「充電ケーブル340」と称する。図2は、車両100、コンセント装置330、および充電ケーブル340の各々の構成を示す図である。
【0043】
図2を参照して、車両100は、バッテリ11と、SMR(System Main Relay)12と、MG(Motor Generator)20と、PCU(Power Control Unit)22と、インレット60と、充電器61と、充電リレー62と、起動スイッチ70と、HMI81と、ナビゲーションシステム(以下、「NAVI」とも称する)82と、通信装置90と、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)150とを備える。SMR12、PCU22、インレット60、充電器61、および充電リレー62の各々は、ECU150によって制御される。ECU150の構成については後述する(図3参照)。
【0044】
バッテリ11は、車両100の外部からの電力を用いて充電可能に構成される。車両100は、バッテリ11に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。バッテリ11としては、公知の車両用蓄電装置(例えば、液式二次電池、全固体二次電池、または組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。この実施の形態に係るバッテリ11は、本開示に係る「蓄電装置」の一例に相当する。
【0045】
車両100は、バッテリ11の状態(例えば、電圧、電流、および温度)を監視するBMS(Battery Management System)11aをさらに備える。ECU150は、BMS11aの出力に基づいてバッテリ11の状態(例えば、温度、電流、電圧、SOC(State Of Charge)、およびSOH(State of Health))を取得することができる。SOCは、蓄電残量を示し、例えば満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。SOHは、健全度または劣化度を示し、例えば初期の満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を0~100%で表わしたものである。
【0046】
コンセント装置330は、電力システム700から電力の供給を受けて給電を行うように構成される。コンセント装置330は、電圧100Vまたは200Vの交流電力を出力してもよい。充電ケーブル340は、プラグ341と、制御ボックス342と、コネクタ343とを備える。コンセント装置330は、プラグ341と着脱可能なコンセントを備える。プラグ341は、コンセント装置330のコンセントに接続され、接続されたコンセントから交流電力を受電する。コンセント装置330がプラグ341(入力端)に出力した交流電力は、制御ボックス342を経てコネクタ343(出力端)に出力される。
【0047】
車両100は、コネクタ343が着脱可能なインレット60を備える。プラグ341がコンセント装置330のコンセントに差し込まれ、コネクタ343が駐車状態の車両100のインレット60に接続されると、車両100がコンセント装置330を介して電力システム700と電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。一方、例えば車両100の走行中においては、車両100が電力システム700と電気的に接続されていない状態(以下、「プラグアウト状態」とも称する)になる。なお、車両100は、複数種の給電方式(例えば、AC方式およびDC方式)に対応できるように複数のインレットを備えてもよい。
【0048】
充電器61は、コンセント装置330から充電ケーブル340を通じてインレット60に入力された電力を用いてバッテリ11を充電する。充電器61は電力変換回路を含む。この実施の形態では、コンセント装置330はAC/DC変換回路を備えず、充電器61(車載充電器)がAC/DC変換回路(インバータ)を備える。コンセント装置330は、通信装置も備えず、簡素な構成を有する。充電リレー62は、インレット60からバッテリ11までの電路の接続/遮断を切り替える。車両100は、充電器61の状態(例えば、電流、電圧、および温度)を監視するセンサモジュール61aをさらに備える。充電器61および充電リレー62は、インレット60とバッテリ11との間に位置する。この実施の形態では、インレット60、充電器61、および充電リレー62を含む充電ラインが、SMR12とPCU22との間に接続されている。しかしこれに限られず、バッテリ11とSMR12との間に充電ラインが接続されてもよい。
【0049】
車両100は、外部充電(すなわち、車両外部からの電力によるバッテリ11の充電)を実行可能に構成される。外部充電中は、充電器61が、インレット60が受電した電力(例えば、交流電力)をバッテリ11の充電に適した直流電力に変換し、変換された直流電力をバッテリ11へ出力する。
【0050】
PCU22は、バッテリ11から供給される電力を用いてMG20を駆動する。PCU22は、例えばインバータおよびDC/DCコンバータを含む。MG20は、車両100の走行用モータとして機能する。MG20は、PCU22によって駆動され、車両100の駆動輪を回転させる。また、MG20は、回生発電を行い、発電した電力をバッテリ11へ出力する。車両100は、MG20の状態(例えば、電流、電圧、および温度)を監視するモータセンサ21をさらに備える。なお、車両100が備える走行用モータの数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。走行用モータはインホイールモータであってもよい。
【0051】
SMR12は、バッテリ11からPCU22までの電路の接続/遮断を切り替える。車両100の走行時には、SMR12が閉状態(接続状態)にされ、充電リレー62が開状態(遮断状態)にされる。バッテリ11とインレット60との間で電力のやり取りが行われるときには、SMR12および充電リレー62の両方が閉状態(接続状態)にされる。
【0052】
HMI81は、入力装置および表示装置を含む。HMI81は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI81は、メータパネルおよび/またはヘッドアップディスプレイを含んでもよい。HMI81は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。
【0053】
NAVI82は、タッチパネルディスプレイと、GPS(Global Positioning System)センサと、プロセッサと、記憶装置と(いずれも図示せず)を含んで構成される。記憶装置は、地図情報を記憶している。NAVI82は、地図情報を参照して、車両100の現在位置から目的地までの最適ルート(例えば、最短ルート)を見つけるための経路探索を行う。NAVI82は、OTA(Over The Air)によって地図情報を逐次更新してもよい。
【0054】
通信装置90は、各種通信I/Fを含んで構成される。ECU150は、通信装置90を通じて車両100の外部の装置と通信を行う。通信装置90は、V2V通信(車両同士の直接的な通信)のための無線通信機を含む。図1に示した車両100Aと車両100Bとは、双方の車両に搭載された通信装置90(V2V通信I/F)を通じて車車間で無線通信を行うように構成される。V2V通信の通信範囲は、例えば建物300の敷地全域をカバーする程度であってもよい。例えば、車両100Aと車両100Bとの両方が建物300の敷地内に存在すれば、これらの車両は直接的に通信できる。
【0055】
通信装置90は、車内または車両周辺の範囲内に存在する携帯端末500と直接通信するための通信I/Fをさらに含む。通信装置90と携帯端末500とは、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、またはBluetooth(登録商標)のような近距離通信を行ってもよい。通信装置90は、予め通信装置90に登録された携帯端末500(例えば、車両100のユーザ端末)のみと通信してもよい。例えば、車両100A(図1)の通信装置90は、携帯端末500Aとは通信するが、携帯端末500Bとは通信しないように構成されてもよい。
【0056】
なお、通信装置90は、通信ネットワーク(例えば、インターネットと無線基地局とによって構築される広域ネットワーク)にアクセス可能な無線通信機をさらに含んでもよい。通信装置90はDCM(Data Communication Module)を含んでもよい。車両100(通信装置90)は広域ネットワークを介して携帯端末500と通信してもよい。
【0057】
ECU150を含む車両システム(車両100を制御するシステム)のオン(作動)/オフ(停止)は、ユーザが起動スイッチ70を操作することによって切り替わる。起動スイッチ70は、例えば車両100の車室内に設置される。起動スイッチ70がオン操作されることによって車両システムが起動する。また、車両システムが作動しているときに、起動スイッチ70がオフ操作されると、車両システムは停止状態になる。ただし、走行中の車両100においては、起動スイッチ70のオフ操作が禁止される。一般に、車両の起動スイッチは「パワースイッチ」または「イグニッションスイッチ」などと称される。
【0058】
図3は、ECU150の構成について説明するための図である。図3を参照して、ECU150は、プロセッサ151と、RAM(Random Access Memory)152と、記憶装置153とを備える。プロセッサ151としては、例えばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、書き換え可能な不揮発性メモリを含んでもよい。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(例えば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。なお、ECU150が備えるプロセッサの数は任意であり、制御の区分ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0059】
ECU150は、通信部P1と、計画部P2と、充電制御部P3とを含む。ECU150においては、例えば、プロセッサ151と、プロセッサ151により実行されるプログラムとによって、上記各部が具現化される。ただしこれに限られず、これら各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0060】
通信部P1は、対象車両とV2V通信(車車間通信)を行う。通信部P1は、V2V通信により、対象車両間で情報を共有する。また、通信部P1は、携帯端末500と無線通信を行う。通信部P1は、ユーザが携帯端末500に入力したスケジュール条件および車両設定情報を、携帯端末500から受信し、記憶装置153に格納する。
【0061】
車両設定情報は、バッテリ11のSOCが不足しているか否かの境界値(以下、「SOC基準値」と称する)と、バッテリ11の充電が終了する上限SOC値(以下、「目標SOC値」と称する)とを含む。SOC基準値は、固定値(例えば、20%~40%程度)であってもよいし、NAVI82に設定された目的地に応じて可変であってもよい。目標SOC値は、満充電を示すSOC値であってもよい。
【0062】
スケジュール条件は、対象車両に関する情報(例えば、識別情報、通信アドレス、および優先順位)と、同時に充電可能な対象車両の台数を示す上限台数(以下、「同時充電台数」と称する)と、対象車両による充電が実行される時間帯(以下、「充電時間帯」と称する)と、車両状態に基づいて優先する充電を規定する条件(以下、「優先条件」と称する)と、車両状態に基づいて後回しにする充電を規定する条件(以下、「後回し条件」と称する)とを含む。
【0063】
この実施の形態における対象車両は、2台の車両100A,100Bである。車両100Bよりも車両100Aのほうが優先順位が高い。図3において、xEV1、xEV2はそれぞれ車両100A、車両100Bを意味する。同時充電台数は、例えば1台である。充電時間帯は、例えば0:00~7:00のような時間帯である。
【0064】
この実施の形態における優先条件は、蓄電装置(バッテリ11)のSOCがSOC基準値を下回る対象車両の充電を優先することを規定する。SOC基準値は、対象車両ごとに設定される。SOC基準値は、対象車両ごとの車両設定情報によって示される。
【0065】
この実施の形態における後回し条件は、充電開始を妨げる要因を有する対象車両の充電を後回しにすることを規定する。充電開始を妨げる要因の例としては、充電制御に関わる異常のほか、充電制限が挙げられる。
【0066】
計画部P2は、上記スケジュール条件および車両設定情報を用いて、複数の対象車両(車両100A,100B)の充電スケジュールを決定する。計画部P2によって決定される充電スケジュールは、各対象車両について、充電期間(例えば、充電開始時刻および充電終了時刻)と、充電順序とを示す。充電スケジュールは、通信部P1によって送信される。充電スケジュールの決定方法については後述する(図6図8参照)。
【0067】
充電制御部P3は、バッテリ11の充電制御を実行する。充電制御部P3は、所定の充電開始条件が成立すると、基本的にはバッテリ11のSOCが目標SOC値になるように充電を実行する。ただし、充電制御部P3は、所定の制限条件が成立した場合には、充電制限を実行する。充電制御部P3は、例えばバッテリ11の温度が所定温度以上であり、かつ、バッテリ11のSOCが所定SOC値以上である場合には、充電制限を実行する。所定温度および所定SOC値の各々は、固定値であってもよいし、マップに基づいて可変であってもよい。充電制限中はバッテリ11の充電が禁止される。
【0068】
図4は、対象車両が充電開始前に充電スケジュールを取得するために実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、対象車両が駐車状態であるときに充電時間帯の開始時刻が近づくと、その対象車両のECU150によって実行される。処理開始タイミングは、充電時間帯の開始時刻から所定時間さかのぼったタイミングであってもよい。図4に示す一連の処理は、対象車両ごとに実行される。フローチャート中の「S」は、ステップを意味する。
【0069】
図3とともに図4を参照して、S11では、ECU150が、車載センサによる検出結果を用いて、対象車両(自車)の位置および状態を検出する。S11で検出される状態には、バッテリ11のSOCと、バッテリ11の充電可否に関する状態(例えば、充電制限の有無、および、充電制御に関わる異常の有無)とが含まれる。
【0070】
S12では、ECU150が、S11で検出された車両位置に基づいて、対象車両(自車)が建物300の敷地内に存在するか否かを判断する。当該対象車両が建物300の敷地内に存在する場合には(S12にてYES)、ECU150は、S13において、対象車両(自車)の充電準備が完了しているか否かを判断する。この実施の形態では、当該対象車両がプラグイン状態になっていること(第1準備要件)と、当該対象車両において充電開始を妨げる要因が存在しないこと(第2準備要件)との両方を満たす場合に、S13においてYESと判断され、いずれかの要件を満たさない場合には、S13においてNOと判断される。例えば、図1に示した車両100Aの充電準備が完了していることは、車両100Aがコンセント装置330Aと電気的に接続されており、かつ、車両100Aにおいて充電開始を妨げる要因(充電制限、異常など)が存在しないことを意味する。
【0071】
当該対象車両の充電準備が完了している場合には(S13にてYES)、ECU150は、S14において、当該対象車両(自車)の周囲に他の対象車両(他車)が存在するか否かを判断する。この実施の形態では、V2V通信の通信範囲内に他の対象車両(他車)が存在する場合に、S14においてYESと判断される。例えば、図1に示した車両100Aは、車両100BとのV2V通信を試みて、車両100BとのV2V通信が成立すればS14においてYESと判断し、車両100BとのV2V通信が成立しなければS14においてNOと判断する。
【0072】
S14においてYESと判断された場合には、ECU150が、S15において、S14で検出された他の対象車両(他車)とV2V通信を行い、車車間で情報を共有する。複数の対象車両(車両100A,100B)は、V2V通信により相互に情報をやり取りする。具体的には、図1に示した車両100Aおよび車両100Bが建物300の敷地内に駐車している場合には、各車両が図4に示す一連の処理を実行する。例えば、車両100Aは、S15において、S11で検出された車両100A(自車)の位置および状態を含む情報を車両100B(他車)へ送信し、車両100Bの位置および状態を含む情報を車両100Bから受信する。こうして、車両100Aと車両100Bとの間で情報が共有される。ここで共有される情報には、上記対象車両の位置および状態に加えて、図3に示したスケジュール条件および車両設定情報がさらに含まれる。いずれかの対象車両でスケジュール条件が更新されて、対象車両間でスケジュール条件が一致しない場合には、各対象車両が、保有するスケジュール条件を、更新日時が最も新しいスケジュール条件で上書きしてもよい。これにより、対象車両間でスケジュール条件の共通化が図られる。また、各対象車両が保有する車両設定情報も、上記情報共有によって更新され得る。
【0073】
上記S15の処理後、ECU150は、S16において、対象車両(自車)がマスター車両に該当するか否かを判断する。この実施の形態では、S15で情報共有を行った複数の対象車両(自車および他車を含む)のうち、スケジュール条件(図3)が示す優先順位が最も高い対象車両を、マスター車両とする。例えば、図1に示した車両100Aおよび車両100BがS15で情報共有を行った場合には、車両100Bよりも優先順位が高い車両100Aがマスター車両となる。ただしこれに限られず、複数の対象車両からマスター車両を選ぶ基準は任意に設定できる。
【0074】
当該対象車両がマスター車両である場合には(S16にてYES)、ECU150が、S17において、自車の記憶装置153に記憶されたスケジュール条件(図3)と、S15で情報共有を行った複数の対象車両の各々の車両状態(S11,S15で取得)とを用いて、それら複数の対象車両の充電スケジュールを決定する。充電スケジュールの決定方法については後述する(図6図8参照)。
【0075】
上記S17の処理後、ECU150は、S18において、他の対象車両(他車)とV2V通信を行い、決定された充電スケジュールを車車間で共有する。例えば、図1に示した車両100A(マスター車両)は、S18において、S17で決定された車両100B(スレーブ車両)の充電スケジュールを車両100Bへ送信する。
【0076】
他方、当該対象車両がスレーブ車両である場合には(S16にてNO)、ECU150は、充電スケジュールを決定することなく、S18において、充電スケジュールを共有する。例えば、図1に示した車両100B(スレーブ車両)は、S18において、車両100A(マスター車両)によって決定された車両100B(自車)の充電スケジュールを、車両100Aから受信する。各対象車両は、対応する携帯端末500に自車の充電スケジュールを送信してもよい。携帯端末500は、受信した充電スケジュールを表示する。
【0077】
S18の処理が実行されると、図4に示す一連の処理は終了する。また、S12またはS13でNOと判断された場合には、S15~S18の処理が実行されることなく、図4に示す一連の処理は終了する。また、S14でNOと判断された場合には、S15~S18の処理に代えて、以下に説明するS19の処理が実行された後、図4に示す一連の処理は終了する。この実施の形態では、建物300に設けられた複数の給電口(コンセント装置330)を用いて複数の対象車両が蓄電装置を充電しようとする場合には(S12~S14でYES)、当該複数の対象車両による充電開始前に、充電スケジュールの決定(S17)が実行される。他方、建物300に設けられた給電口(コンセント装置330)を用いることなく対象車両が蓄電装置を充電しようとする場合には(S12にてNO)、充電スケジュールの決定(S17)は実行されない。
【0078】
S19では、ECU150が、他車の状態を考慮することなく、充電時間帯(図3)に基づいて自車の充電スケジュール(充電開始時刻を含む)を決定する。例えば、ECU150は、充電時間帯の開始時刻を充電開始時刻としてもよい。
【0079】
図5は、図4に示した情報共有および充電スケジュール決定に係る処理(図4のS15~S18)の一例について説明するための図である。図5を参照して、図4のS15では、車両100Aと車両100Bとの間で、スケジュール条件(対象車両に関する情報、同時充電台数、充電時間帯、優先条件、および後回し条件)と、車両設定情報(SOC基準値および目標SOC値)と、車両位置と、車両状態とが共有される。これにより、車両100Aと車両100Bとの間でスケジュール条件の共通化が図られるとともに、車両100Aと車両100Bとが、互いの車両設定情報、車両位置、および車両状態を把握することができる。
【0080】
図5に示す例では、車両100Aが、マスター車両となり、図4のS17において車両100Aおよび車両100Bの充電スケジュールを決定し、図4のS18において、車両100Bの充電スケジュールを車両100Bへ送信する。一方、車両100Bは、スレーブ車両となり、図4のS18において、車両100Bの充電スケジュールを車両100Aから受信する。
【0081】
この実施の形態では、対象車両(マスター車両)に搭載されたECU150の計画部P2が、上記スケジュール条件に従って充電スケジュールを決定する。計画部P2は、蓄電装置(バッテリ11)のSOCがSOC基準値を下回る対象車両の充電が優先的に早く開始されるように、複数の対象車両(車両100A,100B)の充電順序を決定する。計画部P2は、複数の対象車両(車両100A,100B)の全ての充電が充電時間帯内で開始され、かつ、終了するように、当該複数の対象車両の充電開始時刻および充電終了時刻を決定する。計画部P2は、同時に充電する対象車両の台数が同時充電台数を超えないように、複数の対象車両(車両100A,100B)の充電スケジュールを決定する。
【0082】
スケジュール条件において、優先条件(第1条件)は、バッテリ11のSOC(車両状態)を用いて優先する充電を規定し、後回し条件(第2条件)は、バッテリ11の充電可否に関する状態(車両状態)を用いて後回しにする充電を規定する。計画部P2は、優先条件で規定される充電が優先的に早く開始されるように、複数の対象車両(車両100A,100B)の充電スケジュールを決定する。また、計画部P2は、後回し条件で規定される充電が後回しにされるように、複数の対象車両(車両100A,100B)の充電スケジュールを決定する。
【0083】
さらに、対象車両に関する情報には、複数の対象車両(車両100A,100B)の各々について予め設定された優先順位が含まれる。この実施の形態では、優先順位が高いほうから、車両100A、車両100Bの順である。計画部P2は、優先条件で優先される充電と、後回し条件で後回しにされる充電とのいずれにも該当しない充電のスケジュールを上記優先順位を用いて決定する。
【0084】
以下、図6図8を用いて、上記のように決定された充電スケジュールの例について説明する。なお、タイムチャート中の「t」はタイミングを意味する。図6図8において、最初のタイミング(t11,t21,t31)は、車両100A,100Bの各々によって図4に示した一連の処理が実行されるタイミングを示す。また、上のグラフ(線L11,L21,L31)は、車両100Aに搭載されたバッテリ11のSOC(以下、「xEV1のSOC」とも称する)の推移を示し、「Th11」、「Th12」はそれぞれ、車両100A(xEV1)について設定されたSOC基準値、目標SOC値を示す。下のグラフ(線L12,L22,L32)は、車両100Bに搭載されたバッテリ11のSOC(以下、「xEV2のSOC」とも称する)の推移を示し、「Th21」、「Th22」はそれぞれ、車両100B(xEV2)について設定されたSOC基準値、目標SOC値を示す。以下では、1つの充電スケジュール中に設定された複数の充電を、早いほうから順に、「第1充電」、「第2充電」、「第3充電」、・・・のように表記する。
【0085】
図6は、充電スケジュールの第1例を示すタイムチャートである。なお、t11において、車両100A,100Bはいずれも充電開始を妨げる要因を有しないものとする。
【0086】
図6を参照して、この充電スケジュールでは、まず、充電時間帯の開始時刻(t12)からt13までの期間に、xEV1のSOCをTh11まで上昇させる第1充電(線L11)が設定され、t13からt14までの期間に、xEV2のSOCをTh21まで上昇させる第2充電(線L12)が設定されている。詳しくは、t11において、xEV1のSOCはTh11よりも低く、xEV2のSOCはTh21よりも低い。このため、優先条件に従って上記第1充電および第2充電が優先的に設定される。さらに、車両100A,100Bの優先順位に従って上記第2充電よりも上記第1充電が優先される。
【0087】
続けて、t14からt15までの期間に、xEV1のSOCをTh12まで上昇させる第3充電(線L11)が設定され、t15からt16までの期間に、xEV2のSOCをTh22まで上昇させる第4充電(線L12)が設定されている。車両100A,100Bの優先順位に従って上記第4充電よりも上記第3充電が優先される。
【0088】
図7は、充電スケジュールの第2例を示すタイムチャートである。なお、t21において、車両100A,100Bはいずれも充電開始を妨げる要因を有しないものとする。
【0089】
図7を参照して、この充電スケジュールでは、まず、充電時間帯の開始時刻(t22)からt23までの期間に、xEV2のSOCをTh21まで上昇させる第1充電(線L22)が設定されている。詳しくは、t21において、xEV1のSOCはTh11よりも高く、xEV2のSOCはTh21よりも低い。このため、優先条件に従って上記第1充電が優先的に設定される。
【0090】
続けて、t23からt24までの期間に、xEV1のSOCをTh12まで上昇させる第2充電(線L21)が設定され、t24からt25までの期間に、xEV2のSOCをTh22まで上昇させる第3充電(線L22)が設定されている。車両100A,100Bの優先順位に従って上記第3充電よりも上記第2充電が優先される。
【0091】
図8は、充電スケジュールの第3例を示すタイムチャートである。なお、t31において、車両100Aは充電制限を実行しており、車両100Bは充電開始を妨げる要因を有しないものとする。
【0092】
図8を参照して、この充電スケジュールでは、まず、充電時間帯の開始時刻(t32)からt33までの期間に、xEV2のSOCをTh22まで上昇させる第1充電(線L32)が設定され、t34から充電時間帯の終了時刻(t35)までの期間に、xEV1のSOCをTh12まで上昇させる第2充電(線L31)が設定されている。詳しくは、t31において、車両100Aは充電開始を妨げる要因を有する。このため、後回し条件に従って上記第2充電が後回しにされる。
【0093】
図9は、第1充電のための充電制御を示すフローチャートである。充電スケジュールにおいて第1充電が割り当てられた対象車両のECU150が、例えば図4のS18の後に続けて、以下に説明する図9に示す一連の処理を実行する。
【0094】
図3とともに図9を参照して、S21では、図4のS18で共有された充電スケジュールによって示される第1充電の開始時刻(例えば、図6図8に示したt12,t22,t32)が到来したか否かを、ECU150が判断する。そして、第1充電の開始時刻が到来すると(S21にてYES)、処理がS22に進む。
【0095】
S22では、ECU150が、自車のバッテリ11の充電を実行する。具体的には、ECU150は、コンセント装置330からインレット60に入力される電力によってバッテリ11が充電されるように、充電器61を制御する(図2参照)。続くS23では、当該対象車両(自車)が第1充電の実行中であることを、ECU150がV2V通信により他の対象車両(他車)に通知する。第1充電の開始時においては、各対象車両が、対応する携帯端末500に第1充電の開始を通知してもよい。通知を受けた携帯端末500は、第1充電開始を報知するメッセージをポップアップ表示してもよい。
【0096】
S24では、上記充電が完了したか否かを、ECU150が判断する。この実施の形態では、バッテリ11のSOCが目標SOC値(車両設定情報)に達しない間は、S24においてNOと判断され、S22~S24が繰り返される。他方、バッテリ11のSOCが目標SOC値に達すると、S24においてYESと判断され、処理がS25に進む。ただしこれに限られず、ECU150は、充電中に制限条件の成否を判断し、制限条件が成立した場合にも、S24においてYESと判断してもよい。
【0097】
S25では、当該対象車両(自車)による第1充電が終了したことを、ECU150がV2V通信により他の対象車両(他車)に通知する。さらに、各対象車両は、対応する携帯端末500に第1充電の終了を通知してもよい。通知を受けた携帯端末500は、第1充電終了を報知するメッセージをポップアップ表示してもよい。
【0098】
図10は、第1充電よりも後の充電のための充電制御を示すフローチャートである。充電スケジュールにおいて第1充電よりも後の充電が割り当てられた対象車両のECU150が、例えば図4のS18の後に続けて、以下に説明する図10に示す一連の処理を実行する。
【0099】
図3とともに図10を参照して、S31では、前の充電の終了通知を受信したか否かを、ECU150が判断する。例えば、第2充電が割り当てられた対象車両のECU150は、第1充電の終了通知(図9のS25)を受信したときに、S31においてYESと判断する。S31においてYESと判断されると、処理がS32に進む。
【0100】
S32では、ECU150が、自車のバッテリ11の充電を実行する。続くS33では、当該対象車両(自車)に割り当てられた充電が実行中であることを、ECU150が他の対象車両(他車)にV2V通信により通知する。図9のS23と同様、充電開始時において、各対象車両が携帯端末500に充電開始を通知し、通知を受けた携帯端末500が所定の情報を表示してもよい。
【0101】
S34では、ECU150が、図9のS24と同様に、上記充電が完了したか否かを判断する。S34においてYESと判断されると、ECU150は、S35において、V2V通信により、当該対象車両(自車)による充電が終了したことを他の対象車両(他車)に通知する。さらに、図9のS25と同様、各対象車両が携帯端末500に充電終了を通知し、通知を受けた携帯端末500が所定の情報を表示してもよい。
【0102】
上述のように、この実施の形態に係る充電システムでは、充電スケジュールに従って蓄電装置(バッテリ11)の充電を開始した対象車両が、当該蓄電装置の充電を終了すると、充電スケジュールに従って次に充電を開始する予定の対象車両へ充電終了信号を送信し(図9のS25)、充電終了信号を受信した対象車両は、蓄電装置(バッテリ11)の充電を開始する(図10参照)。
【0103】
上記では、充電スケジュールを共有した対象車両による充電制御について説明した。図11は、対象車両が充電スケジュールを共有せずに単独で充電を実行する場合の充電制御を示すフローチャートである。各対象車両のECU150は、充電スケジュールの共有(図4のS18)を行うことなく、所定の充電開始条件が成立したときに、以下に説明する図11に示す一連の処理を実行する。例えば、図4のS19で決定された充電開始時刻が到来すると、充電開始条件が成立する。また、図4のS13でNOと判断された後、対象車両(自車)の充電準備が完了した場合にも、充電開始条件が成立する。
【0104】
図3とともに図11を参照して、S41では、対象車両(自車)が建物300の敷地内に存在するか否かを、ECU150が判断する。当該対象車両が建物300の敷地内に存在しない場合には(S41にてNO)、ECU150は、S47において、当該対象車両の位置(充電場所)に応じた充電制御を実行する。例えば、ユーザが公共のEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)を用いて充電を行う場合には、ECU150は、EVSEに対するユーザ操作に応じてバッテリ11の充電制御を実行してもよい。
【0105】
他方、当該対象車両が建物300の敷地内に存在する場合には(S41にてYES)、ECU150は、S42において、他の対象車両(他車)が建物300の敷地内で充電中か否かを判断する。ECU150は、他の対象車両から「充電中」の通知(図9のS23、図10のS33、または後述するS44)を受信したか否かに基づいて、他の対象車両が建物300の敷地内で充電中か否かを判断してもよい。他の対象車両が建物300の敷地内で充電中である場合には(S42にてYES)、図11に示す一連の処理は終了する。その後、ECU150が、他の対象車両から充電終了通知(図9のS25、図10のS35、または後述するS46)を受信したときに再び充電開始条件が成立して、図11に示す一連の処理が開始されてもよい。
【0106】
他の対象車両が建物300の敷地内で充電していない場合には(S42にてNO)、ECU150が、S43において、自車のバッテリ11の充電を実行する。続くS44では、当該対象車両(自車)が充電中であることを、ECU150が他の対象車両(他車)に通知する。図9のS23と同様、充電開始時において、各対象車両が携帯端末500に充電開始を通知し、通知を受けた携帯端末500が所定の情報を表示してもよい。
【0107】
続くS45では、ECU150が、図9のS24と同様に、上記充電が完了したか否かを判断する。S45においてYESと判断されると、ECU150は、S46において、当該対象車両(自車)による充電が終了したことを他の対象車両(他車)に通知する。さらに、図9のS25と同様、各対象車両が携帯端末500に充電終了を通知し、通知を受けた携帯端末500が所定の情報を表示してもよい。
【0108】
図12は、この実施の形態に係る充電スケジュール決定方法の一例について説明するための図である。
【0109】
図1図3とともに図12を参照して、この実施の形態に係る充電スケジュール決定方法では、ユーザU1、U2がそれぞれ、携帯端末500A、携帯端末500Bを用いて、車両100A、車両100Bにスケジュール条件を設定する(図3参照)。このため、車両100A,100Bの各々は、スケジュール条件を示す情報を保有する。そして、ユーザU1は、建物300の敷地内(詳しくは、コンセント装置330Aの近く)に車両100Aを駐車して、駐車状態の車両100Aを、充電ケーブル340Aを介してコンセント装置330Aと接続する(図1図2参照)。これにより、車両100Aがプラグイン状態になる。また、ユーザU2は、建物300の敷地内(詳しくは、コンセント装置330Bの近く)に車両100Bを駐車して、駐車状態の車両100Bを、充電ケーブル340Bを介してコンセント装置330Bと接続する(図1図2参照)。これにより、車両100Bもプラグイン状態になり、車両100A,100Bの各々についてバッテリ11の充電準備が完了する。
【0110】
その後、充電時間帯の開始時刻が近づくと、駐車状態の車両100A,100Bの各々が図4に示した一連の処理を開始する。この一連の処理は、車両100A,100Bによる充電開始前に実行される。これにより、車両100Aと車両100Bとの間で、車両の位置および状態を含む情報が共有され(S15)、車両100A(マスター車両)によって充電スケジュールが決定され(S17)、車両100A,100B間で充電スケジュールが共有される(S18)。以下、充電スケジュールが第1充電および第2充電を含み、第1充電、第2充電がそれぞれ車両100A、車両100Bに割り当てられた例について説明する。
【0111】
第1充電の開始時刻が到来すると、車両100Aが図9に示した一連の処理を開始する。これにより、車両100Aによる第1充電が実行され(S22)、携帯端末500Aに第1充電の開始が通知され(S23)、携帯端末500Aおよび車両100Bの各々に第1充電の終了が通知される(S25)。
【0112】
上記第1充電の終了通知(充電指示に相当)を受け取った車両100Bは、図10に示した一連の処理を開始する。これにより、車両100Bによる第2充電が実行され(S32)、携帯端末500Bに第2充電の開始が通知され(S33)、携帯端末500Bに第2充電の終了が通知される(S35)。
【0113】
以上説明したように、この実施の形態に係る充電スケジュール決定方法は、スケジュール条件(図3参照)を示す情報を保有する複数の対象車両(車両100A,100B)の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置(バッテリ11)の充電準備を行うこと(図2参照)と、複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定すること(図4参照)とを含む。複数の対象車両の充電スケジュールを決定することは、当該複数の対象車両のうち1台の対象車両(マスター車両)が他の対象車両(スレーブ車両)から車両状態を示す情報を取得すること(図4のS15)と、マスター車両が、スケジュール条件と各対象車両の車両状態とを用いて、当該複数の対象車両の充電スケジュールを決定すること(図4のS17)とを含む。こうした方法では、給電側のシステム(EMSなど)ではなく、充電しようとする対象車両(マスター車両)が、充電開始前に充電スケジュールを決定する。これにより、複数の対象車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる。
【0114】
上記図4に示した処理の開始条件は任意に設定できる。例えば、対象車両が駐車状態になったとき(例えば、起動スイッチ70がオフ操作されたとき)に、当該対象車両が、駐車信号をV2V通信の通信範囲内に送信してもよい。そして、駐車状態の他の対象車両が、上記駐車信号を受信すると、V2V通信が成立したことを示す信号を上記対象車両に返信してもよい。そして、V2V通信が成立したことに基づき、これら複数の対象車両が図4に示した一連の処理を同時に開始してもよい。
【0115】
上記図4に示した処理では、複数の対象車両から選ばれた1台のマスター車両が各対象車両の充電スケジュールを決定している。しかし、マスター車両を選ぶことは必須ではない。例えば、図4のS16を省略し、図4のS17で、複数の対象車両の各々が自車の充電スケジュールを決定し、図4のS18で、それらの充電スケジュールを対象車両間で共有してもよい。なお、スケジュール条件および車両設定情報は、ユーザによって更新されるたびに対象車両間で共有されてもよい。
【0116】
上記実施の形態では、対象車両の数が2台である。しかし、対象車両の数は、3台以上9台以下であってもよいし、10台以上であってもよい。また、車両設定情報は、図3に示した情報に限られない。車両設定情報は、SOC基準値および目標SOC値に加えてまたは代えて、定格充電電力と出発予定時刻との少なくとも一方をさらに含んでもよい。ECU150(計画部P2)は、各対象車両の出発予定時刻を考慮して、各対象車両の充電スケジュールを決定してもよい。対象車両の数が3台以上である形態において、同時充電台数は2台以上に設定されてもよい。同時充電台数は可変であってもよい。例えば、同時に充電する複数の対象車両の総充電電力値が所定値(例えば、建物300に決められた電気容量)よりも低い場合には、ECU150(計画部P2)が、それら対象車両の同時充電を許容するように充電スケジュールを決定し、総充電電力値が上記所定値を超える場合には、ECU150(計画部P2)が、それら対象車両の同時充電を避けるように充電スケジュールを決定してもよい。
【0117】
給電口は、コンセントに限られず、EVSEのプラグであってもよい。また、車両100A,100Bはクラウドサーバ1000を介して情報共有を行ってもよい。図13は、図5に示した形態の変形例を示す図である。
【0118】
図13を参照して、この変形例に係る充電システムは、コンセント装置330Aおよび330Bの代わりにEVSE1001および1002を含む。EVSE1001,1002は、例えば建物300(図1)の敷地内に設置され、共通の分電盤320から電力の供給を受ける。分電盤320は、電力系統から電力の供給を受ける。EVSE1001,1002の各々は、回路を内蔵する筐体(本体部)と、その筐体につながる充電ケーブルとを備える。充電ケーブルのコネクタ(先端部)は、対象車両のインレット60(図2)に接続可能に構成される。この変形例では、充電ケーブルのコネクタが、xEV(電動車両)用の給電口として機能する。
【0119】
この変形例では、車両100A,100Bがクラウドサーバ1000を介して情報共有を行う。図4のS15では、車両100A,100Bの各々が、自車が保有するスケジュール条件と自車の位置および状態とを示す情報をクラウドサーバ1000に送信し、車両100A,100Bの各々が、クラウドサーバ1000から他車の情報を受信する。図4のS16は省略され、S17では、クラウドサーバ1000が最新のスケジュール条件と各対象車両の状態とに基づいて充電スケジュールを決定する。そして、図4のS18において、車両100A,100Bの各々が、クラウドサーバ1000から自車の充電スケジュールを受信する。
【0120】
以上説明したように、図13に示した変形例に係る充電スケジュール決定方法は、スケジュール条件(図3参照)を示す情報を保有する複数の対象車両(車両100A,100B)の各々が、当該対象車両に搭載された蓄電装置(バッテリ11)の充電準備を行うこと(図2参照)と、複数の対象車両による充電開始前に、当該複数の対象車両の各々が充電スケジュールを取得すること(図4参照)とを含む。複数の対象車両の各々が充電スケジュールを取得することは、スケジュール条件および車両状態を示す情報をクラウドサーバ1000(クラウド上のコンピュータ)へ送信すること(図4のS15)と、複数の対象車両の各々が、クラウドサーバ1000によって決定された充電スケジュールをクラウドサーバ1000から受信すること(図4のS18)とを含む。こうした方法では、給電側のシステム(EMSなど)ではなく、クラウド上のコンピュータが充電スケジュールを決定する。そして、充電しようとする各対象車両は、充電開始前にクラウド上のコンピュータから充電スケジュールを受信する。これにより、複数の対象車両による充電を適切なスケジュールで実行させることができる。なお、給電口としてコンセントが採用される形態(図1図2参照)において、上記クラウドサーバ1000が採用されてもよい。
【0121】
電力網710は、大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。対象車両と給電口との間でやり取りされる電力は、交流電力に限られず、直流電力であってもよい。
【0122】
携帯端末500の機能の少なくとも一部(特に、通信および表示に関する機能)は、対象車両に搭載された端末(例えば、HMI81またはNAVI82)に実装されてもよい。こうした形態では、HMI81またはNAVI82が、ユーザ端末として機能する。あるいは、携帯端末500とHMI81またはNAVI82とが連携することにより、ユーザ端末として機能してもよい。
【0123】
対象車両の構成は、前述した構成(図2参照)に限られない。例えば、対象車両は、充電器(充電回路)の代わりに充放電器(充放電回路)を備えてもよい。対象車両は非接触充電可能に構成されてもよい。非接触充電しようとする対象車両のECU150は、図4のS13において、対象車両に搭載された受電回路(例えば、受電コイル)と、給電設備側の給電回路(例えば、給電コイル)との位置合わせが完了したときに、前述の第1準備要件を満たすと判断してもよい。
【0124】
対象車両は、BEV以外のxEV(PHEV、FCEV、レンジエクステンダーEVなど)であってもよい。対象車両はソーラーパネルを備えてもよい。対象車両は、自動運転可能に構成されてもよいし、飛行機能を備えてもよい。対象車両は、4輪の乗用車に限られず、バスまたはトラックであってもよい。対象車両は、MaaS(Mobility as a Service)車両であってもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。対象車両は、無人で走行可能な車両(例えば、ロボタクシー、無人搬送車(AGV)、または農業機械)であってもよい。対象車両は、無人または1人乗りの小型BEV(例えば、3輪のBEV、ラストワンマイル用のBEV、または電動スケータ)であってもよい。
【0125】
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
11 バッテリ、20 MG、60 インレット、61 充電器、62 充電リレー、70 起動スイッチ、81 HMI、82 NAVI、90 通信装置、100,100A,100B 車両、150 ECU、151 プロセッサ、152 RAM、153 記憶装置、300 建物、310 スマートメータ、320 分電盤、330,330A,330B コンセント装置、340,340A,340B 充電ケーブル、500,500A,500B 携帯端末、700 電力システム、710 電力網、720 変電システム、1000 クラウドサーバ、1001,1002 EVSE、P1 通信部、P2 計画部、P3 充電制御部、U1,U2 ユーザ。
図1
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図13