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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180750
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20231214BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F02D29/02 H
B60K37/00 Z
F02D29/02 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094300
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】513121513
【氏名又は名称】角 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】角 和樹
(72)【発明者】
【氏名】富岡 遼
【テーマコード(参考)】
3D344
3G093
【Fターム(参考)】
3D344AD05
3G093AA10
3G093BA21
3G093BA25
3G093CA01
(57)【要約】
【課題】管理が簡単なエンジンスイッチ用の遠隔操作システムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る遠隔操作装置1は、乗り物に設けられるロータリスイッチ操作部材Kを遠隔地から操作する遠隔操作装置1であって、前記乗り物に固定される固定部材10と、前記ロータリスイッチ操作部材Kが挿入される被挿入部31を有し、前記被挿入部31に前記ロータリスイッチ操作部材Kが挿入されるよう前記固定部材10に対して相対的に位置決め可能、且つ前記被挿入部31から前記ロータリスイッチ操作部材Kを引き抜くよう前記固定部材10に対して相対的に移動可能な駆動部材30と、前記遠隔地から制御可能であり、前記駆動部材30を回動させるモータ40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に設けられるロータリスイッチ操作部材を遠隔地から操作する遠隔操作装置であって、
前記乗り物に固定される固定部材と、
前記ロータリスイッチ操作部材が挿入される被挿入部を有し、前記被挿入部に前記ロータリスイッチ操作部材が挿入されるよう前記固定部材に対して相対的に位置決め可能、且つ前記被挿入部から前記ロータリスイッチ操作部材を引き抜くよう前記固定部材に対して相対的に移動可能な駆動部材と、
前記遠隔地から制御可能であり、前記駆動部材を回動させるモータと、
を備える、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記駆動部材および前記モータを保持し、前記固定部材に対して取り外し可能に装着または相対移動可能に連結される保持部材をさらに備える、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記ロータリスイッチ操作部材は、キーシリンダに挿入されるエンジンキーであり、
前記保持部材は、前記キーシリンダの外周に適合する穴または切欠きを有する位置決め部を有する、請求項2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記モータにより回転させられる駆動歯車または駆動プーリと、前記駆動歯車または前記駆動プーリによって前記駆動部材と一体に回転させられる従動歯車または従動プーリと、を有する伝動機構をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記従動歯車または前記従動プーリは、環状に形成され、前記ロータリスイッチ操作部材の外側に同軸に配置される、請求項4に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記駆動部材は、前記従動歯車または前記従動プーリに着脱可能に取り付けられる、請求項5に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記駆動部材と一体に設けられ、人が回動させられる操作部材をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地からエンジンを始動できるエンジンスタータシステムを有する自動車が増えている。一般に、エンジンスタータシステムは、エンジンキーのキーヘッドやキーホルダに内蔵される送信機から送信される所定の信号を受信したときに、通常はエンジンキーによってスイッチングされる電気回路を電子制御によりスイッチングするよう構成される。このようなエンジンスタータシステムは、車両ごとに異なるコード(信号パターン)が設定され、設定されたコードを受信したときだけエンジンを始動するよう構成される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-218538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエンジンスタータシステムは主に乗用車に採用されているが、他の種類の乗り物(船舶、航空機等を含む)においても、エンジンを遠隔操作したい場合がある。具体例として、建設機械についても、エンジンの遠隔操作に対するニーズが存在する。多数の建設機械を使用する事業所では、多くの建設機械を共通のエンジンキーを用いて操作できるようにしている場合がある。建設現場等では、必要とされる作業に応じて使用する建設機械の種類やサイズを選択するため、建設機械ごとに異なるエンジンキーを使用することは、エンジンキーの管理を煩雑にするからである。
【0005】
このような建設機械についても、遠隔地からエンジンの始動および停止を行いたい場合がある。建設機械に電子制御によるエンジンスタータシステムを採用する場合、エンジンキーを共通化しているのと同様の理由により、建設機械ごとに異なるコードを割り当てると運用が煩雑になる。しかしながら、エンジンキーと異なり、エンジンスタータシステムの送信機は、利用者の意図だけでは対象となる建設機械を選択できないため、エンジンスタータシステムの発振器を共通化することはできない。
【0006】
このため、本発明は、管理が簡単なエンジンスイッチ用の遠隔操作システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る遠隔操作装置は、乗り物に設けられるロータリスイッチ操作部材を遠隔地から操作する遠隔操作装置であって、前記乗り物に固定される固定部材と、前記ロータリスイッチ操作部材が挿入される被挿入部を有し、前記被挿入部に前記ロータリスイッチ操作部材が挿入されるよう前記固定部材に対して相対的に位置決め可能、且つ前記被挿入部から前記ロータリスイッチ操作部材を引き抜くよう前記固定部材に対して相対的に移動可能な駆動部材と、前記遠隔地から制御可能であり、前記駆動部材を回動させるモータと、を備える。
【0008】
上述の遠隔操作装置は、前記駆動部材および前記モータを保持し、前記固定部材に対して取り外し可能に装着または相対移動可能に連結される保持部材をさらに備えてもよい。
【0009】
上述の遠隔操作装置において、前記ロータリスイッチ操作部材は、キーシリンダに挿入されるエンジンキーであり前記保持部材は、前記キーシリンダの外周に適合する穴または切欠きを有する位置決め部を有してもよい。
【0010】
上述の遠隔操作装置は、前記モータにより回転させられる駆動歯車または駆動プーリと、前記駆動歯車または前記駆動プーリによって前記駆動部材と一体に回転させられる従動歯車または従動プーリと、を有する伝動機構をさらに備えてもよい。
【0011】
上述の遠隔操作装置において、前記従動歯車または前記従動プーリは、環状に形成され、前記ロータリスイッチ操作部材の外側に同軸に配置されてもよい。
【0012】
上述の遠隔操作装置において、前記駆動部材は、前記従動歯車または前記従動プーリに着脱可能に取り付けられてもよい。
【0013】
上述の遠隔操作装置は前記駆動部材と一体に設けられ、人が回動させられる操作部材をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、管理が簡単なエンジンスイッチ用の遠隔操作システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る遠隔操作装置をダッシュボードに装着した状態を示す斜視図である。
図2図1の遠隔操作装置を取り付ける前のダッシュボードを示す斜視図である。
図3図1の遠隔操作装置の内部の構成を示す斜視図である。
図4図3の遠隔操作装置から保持部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る遠隔操作装置をダッシュボードに装着した状態を示す斜視図である。
図6図5の遠隔操作装置の内部の構成を示す斜視図である。
図7図6とは異なる視点からの遠隔操作装置の内部の構成を示す斜視図である。
図8図5のダッシュボードから遠隔操作装置の保持部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図9図5の遠隔操作装置の駆動部材を示す拡大斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る遠隔操作装置を示す斜視図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る遠隔操作装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、後から説明する実施形態において、先に説明した実施形態に係る構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る遠隔操作装置1を乗り物のダッシュボード(コンソール)Dに装着した状態を示す斜視図である。図2は、遠隔操作装置1を取り付ける前のダッシュボードDを示す斜視図である。図3は、遠隔操作装置1の内部の構成を示す斜視図(カバーを取り外した図)である。
【0018】
本発明の一態様に係る遠隔操作装置1は、例えば車両、船舶、航空機等の乗り物に設けられるロータリスイッチ操作部材、具体的にはキーシリンダCに挿入されるエンジンキーKを遠隔地から操作する。エンジンキーKにより操作されるエンジンは、内燃エンジンに限られず、電気エンジン等、任意の動力源であり得る。本実施形態の遠隔操作装置1は、固定部材10と、保持部材20と、駆動部材30と、モータ40と、伝動機構50とを備える。
【0019】
固定部材10は、乗り物のダッシュボードDに固定され、この固定部材10に保持部材20が固定される。換言すると、固定部材10は、保持部材20をダッシュボードDに取り付けるためのブラケットである。固定部材10は、遠隔操作装置1と取り付ける乗り物のダッシュボードDの形状に合わせて設計され、ダッシュボードDの内部の構造体に固定されるよう設計されることが好ましい。遠隔操作装置1は、固定部材10を交換することにより、多様な乗り物に取り付けることができる。
【0020】
保持部材20は、固定部材10に固定され、内部にモータ40および伝動機構50を保持する筐体である。つまり、保持部材20は、モータ40および伝動機構50を収容し、人や異物がこれらの内部構造に接触することによる怪我、感電、装置損傷等のトラブルを防止する。また、保持部材20は、駆動部材30を露出させる開口21を有する。
【0021】
駆動部材30は、伝動機構50に取り付けられ、伝動機構50を介してモータ40によって回動させられる。駆動部材30は、概略円板状に形成され、エンジンキーKの一部であるキーヘッドHが挿入され、相対回転が規制されるスロット状の開口として形成される被挿入部31を有する。これにより、駆動部材30は、被挿入部31に挿入されたエンジンキーKと一体に、伝動機構50によってキーシリンダCの軸を中心に回動させられる。換言すると、駆動部材30は、回動することによってエンジンキーKを操作する。
【0022】
駆動部材30は、ワンタッチで伝動機構50に着脱可能なボールロックピンから構成される係合部材32によって伝動機構50に容易に着脱可能である。図4は、遠隔操作装置1から駆動部材30を取り外した状態を示す斜視図である。このように、駆動部材30は、被挿入部31にキーヘッドHが挿入されるよう固定部材10に対して相対的に位置決め可能、且つ被挿入部31からキーヘッドHを引き抜くよう固定部材10に対して相対的に移動可能に設けられている。遠隔操作装置1は、図4に示すように、駆動部材30を取り外すことで、人によるエンジンキーKのキーシリンダCへの挿入、回動および引抜きを阻害しないようにできる。
【0023】
モータ40は、遠隔地から制御可能であり、伝動機構50を介して駆動部材30を回動させる。モータ40としては、駆動部材30ひいてはエンジンキーKの角度を正確に制御できるよう、例えばステッピングモータ等を用いることができ、フィードバック制御されるサーボモータであってもよい。また、モータ40は、駆動部材30の角度位置を精密に制御できるよう、減速機41を有することが好ましい。減速機41は、駆動部材30を介して連結されているエンジンキーKを直接人が操作することを可能にするために、停止時には出力軸を回転させられるような構成、具体例として出力軸が電機子回転軸と同軸である遊星歯車機構とされることが好ましい。モータ40は、遠隔地から受信した信号に基いて電力を出力するモータドライバ42によって駆動される。
【0024】
伝動機構50は、モータ40により回転させられる駆動歯車51と、駆動部材30と一体に回転可能、且つ駆動歯車51と咬合するよう配置され、駆動歯車51によって回動させられる従動歯車52と、を有する。駆動歯車51は、モータ40の出力軸に取り付けられる。従動歯車52は、駆動歯車51と咬合する。また、従動歯車52には、駆動部材30が係合部材32によってワンタッチで着脱可能に固定される。このため、従動歯車52は、環状に形成され、キーシリンダCの外側に同軸に配置される。これにより、図4に示すように、伝動機構50をダッシュボードDに取り付けたまま駆動部材30だけを取り外すことで、キーシリンダCにエンジンキーKを着脱することが可能になる。また、駆動部材30から突出するキーヘッドHを人が回動可能とするために、駆動歯車51と従動歯車52の径は、大きく異ならないことが好ましい。
【0025】
以上のような遠隔操作装置1は、乗り物の電気的および機械的な構造に変更を加えることなく、エンジンキーKを遠隔地から操作することを可能にする。また、遠隔操作装置1を取り付けた乗り物が遠隔操作の対象となるため、単一の遠隔操作装置1で多数の乗り物の中の任意の1つを遠隔操作可能にできる。さらに、遠隔操作装置1では、駆動部材30が着脱可能であるため、遠隔操作装置1全体を取り外すことなく駆動部材30だけを取り外した状態でエンジンキーKを引き抜くことにより、意図しないエンジン始動等を防止できると共に、エンジンキーKを他の乗り物に使用することを可能にする。
【0026】
図5は、本発明の第2実施形態に係る遠隔操作装置1Aを乗り物のダッシュボードDに装着した状態を示す斜視図である。図6は、遠隔操作装置1Aの内部の構成を示す斜視図(カバーを取り外した図)である。図7は、図6とは異なる視点からの遠隔操作装置1Aの内部の構成を示す斜視図である。本実施形態の遠隔操作装置1Aは、ロータリスイッチ操作部材として、エンジンキーKとエンジンの回転数を設定するスピードダイアルSとを遠隔操作する。
【0027】
本実施形態の遠隔操作装置1Aは、ダッシュボードDに取り付けられる固定部材10Aと、固定部材10Aに対して取り外し可能に装着される保持部材20Aと、エンジンキーKを操作するためのキー駆動部材30A、キーモータ40A、キー伝動機構50Aおよびキー操作部材60Aと、ダイアル駆動部材30B、ダイアルモータ40B、ダイアル伝動機構50Bおよびダイアル操作部材60Bと、を備える。
【0028】
固定部材10Aは、図8に示すように、ダッシュボードDに固定される固定部11と、固定部11に固定され、保持部材20Aを位置決めして装着可能なベース部12と、を有する。固定部11は、アルミニウム押出材からなる支柱13と、支柱13に取付けられ、ベース部12の接続を可能にするフリーアングルブラケットからなる接続部品14と、を有する。このように、ともに汎用ト部品である支柱13および接続部品14から形成される固定部11は、比較的安価であり、ダッシュボードDの構造に応じてベース部12をエンジンキーKおよびスピードダイアルSに対して適切な位置に容易に配置できる。ベース部12は、容易に保持部材20を位置決めして着脱可能に取り付けるための係合構造15を有する。本実施形態において、係合構造15は、カムクランパとされている。
【0029】
保持部材20Aは、駆動部材30A,30B、モータ40A,40B、伝動機構50A,50Bおよび操作部材60A,60Bを保持し、これらと一体に固定部材10AひいてはダッシュボードDから取り外し可能である。また、保持部材20Aは、駆動部材30A,30B、モータ40A,40Bおよび伝動機構50A,50Bを収容する筐体である。さらに、保持部材20Aは、ワンタッチで係合構造15と係合および分離が可能な係合部材22を有する。本実施形態において、係合部材22は、サムターンクランパとされている。
【0030】
図10に示すように、キー駆動部材30Aは、キーシリンダCの中心軸に垂直な面内に配置され、その間に被挿入部31Aを画定する2本の円柱状の挟持部材33Aと、挟持部材33Aを両端から挟み込むよう支持するチャンネル形の支持体34Aと、を有し、ダイアル駆動部材30Bは、キーシリンダCの中心軸と平行に配置され、その間にスピードダイアルSのつまみ部Tが挿入される被挿入部31Bを画定する2対、合計4本の円柱状の挟持部材33Bと、挟持部材33BのダッシュボードDと反対側の端部を片持ち支持する支持体34Bと、を有する。
【0031】
キーモータ40Aは、遠隔地から制御可能であり、キー伝動機構50Aを介してキー駆動部材30Aを回動させ、ダイアルモータ40Bは、ダイアル伝動機構50Bを介してダイアル駆動部材30Bを回動させる。
【0032】
キー伝動機構50Aおよびダイアル伝動機構50Bは、モータ40A,40Bの出力軸に取り付けられ、モータ40A,40Bにより回転させられる駆動プーリ51A,51Bと、駆動プーリ51A,51Bによって駆動部材30A,30Bと一体に回転させられる従動プーリ52A,52Bと、駆動プーリ51A,51Bと従動プーリ52A,52Bとの間に架け渡されるタイミングベルト(不図示)と、タイミングベルトに張力を付与する各1対のテンションローラ53A,53Bと、を有する。従動プーリ52A,52Bは、支持体34A,34BのダッシュボードDと反対側の面に固定されている。このように、伝動機構50A,50Bをベルト駆動機構としたことにより、伝動機構50A,50Bひいては遠隔操作装置1Aを比較的小さくすることができる。
【0033】
キー操作部材60Aおよびダイアル操作部材60Bは、駆動部材30A,30Bおよび従動プーリ52A,52Bと一体に回転可能に設けられる。また、操作部材60A,60Bは、保持部材20Aの外側に露出するよう配置され、人が回転させられる操作部材である。
【0034】
遠隔操作装置1Aは、固定部材10Aのみを残して他の部分をダッシュボードDから取り外すことで、人が直接エンジンキーKおよびスピードダイアルSを操作することができる。また、遠隔操作装置1Aは、複数の固定部材10Aを用意し、複数の乗り物に固定部材10Aをそれぞれ取り付けておくことで、所望の乗り物に駆動部材30A,30B、モータ40A,40Bおよび操作部材60A,60Bを保持する保持部材20Aを容易に取り付けることができる。
【0035】
図10は、本発明の第3実施形態に係る遠隔操作装置1Cを示す斜視図である。遠隔操作装置1Cは、乗り物に固定される固定部材10Cと、固定部材10Cに対して相対的に移動可能な保持部材20Cと、固定部材10Cと保持部材20Cとの間を連接する連結部材70と、保持部材20Cに保持される駆動部材30C、およびモータ40Cと、を備える。
【0036】
固定部材10Cは、乗り物のフロア等に固定される固定プレート16と、固定プレート16に立設されるポール17とを有する。
【0037】
保持部材20Cは、ダッシュボード(不図示)に当接する板状の位置決め部23を有する。位置決め部23は、キーシリンダCの外周に適合する半円形状の切欠き24を有し、これによって、保持する駆動部材30CをエンジンキーKに対して位置決めできる。
【0038】
連結部材70は、両端に任意の方向の屈曲可能なユニバーサルジョイントを有し、保持部材20Cを比較的自由に相対移動させられる。
【0039】
駆動部材30Cは、一対の円柱状の挟持部材33Cの間に被挿入部31Cを画定するよう構成され、モータ40Cの出力軸に直接取り付けられている。このため、モータ40Cは、キーシリンダCと同軸に配置される。
【0040】
本実施形態の遠隔操作装置1Cは、保持部材20Cを連結部材70により固定部材10Cに相対移動可能に連結したことにより、固定部材10Cの配置の自由度が高く、固定部材10Cの設計が容易である。
【0041】
図11は、本発明の第1実施形態に係る遠隔操作装置1Dの要部を示す斜視図である。遠隔操作装置1Dは、不図示の固定部材に対して相対的に移動可能な保持部材20Dと、保持部材20Dに保持される駆動部材30Dおよびモータ40Dと、駆動部材30Dと一体に設けられ、人が回動させられる操作部材60Dと、を備える。
【0042】
保持部材20Dは、ダッシュボード(不図示)に当接する板状の位置決め部23Dを有する。位置決め部23Dは、キーシリンダCの外周に適合する円形状の穴24Dを有し、これによって、保持する駆動部材30DをエンジンキーKに対して位置決めできる。
【0043】
駆動部材30Dは、一対の板状の挟持部材33Dの間に被挿入部31Dを画定するよう構成され、モータ40Dの出力軸に直接取り付けられている。このため、モータ40Dは、キーシリンダCと同軸に配置される。
【0044】
操作部材60Dは、駆動部材30Dに、キーシリンダCの径方向に延びるよう配設されるレバーである。これにより、より簡単に駆動部材30Dを回動させて、エンジンキーKを回動させられる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。上述の各実施形態の構成は、部分的に相互に置換可能であり、技術常識に基づいて同様の効果を奏する構成に置換されてもよい。例として、上述の第1実施形態では環状の従動歯車に駆動部材が着脱可能に取り付けられているが、本発明に係る遠隔操作装置では、キーシリンダの外側に同軸に配置される環状の従動プーリに駆動部材が着脱可能に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1A,1C,1D 遠隔操作装置
10,10A,10C 固定部材
11 固定部
12 ベース部
13 支柱
14 接続部品
15 係合構造
16 固定プレート
17 ポール
20,20A,20C,20D 保持部材
21 開口
22 係合部材
23,23D 位置決め部
24 切欠き
24D 穴
30,30A,30B,30C,30D 駆動部材
31,31A,31B,31C,31D 被挿入部
32 係合部材
33A,33B,33C,33D 挟持部材
34A,34B 支持体
40,40A,40B,40C,40D モータ
41 減速機
42 モータドライバ
50,50A,50B 伝動機構
51 駆動歯車
52 従動歯車
51A,51B 駆動プーリ
52A,52B 従動プーリ
53A,53B テンションローラ
60A,60B,60D 操作部材
70 連結部材
C キーシリンダ
D ダッシュボード
H キーヘッド
K エンジンキー(ロータリスイッチ操作部材)
S スピードダイアル(ロータリスイッチ操作部材)
T つまみ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11